RealVideo 9 技術概要

RealVideo 9
技術概要
Version 1.5
© 2004 RealNetworks, K.K. All Rights Reserved
この文書に記載されている情報は、予告なしに変更される場合があります。
RealVideo 9 技術概要
1
要約:
本項は、RealVideo® 9 ビデオコーデックの技術概要について説明します。内容としては、
RealVideo 9 デコーダーのコーディングのアルゴリズム、パフォーマンスの特性、およびメ
モリ使用などが含まれます。RealVideo 9 の主な機能は以下のとおりです。
•
•
•
MPEG-4 の 1/2 のビットレート、および MPEG-2 の 1/4 のビットレートで同じ品質
QVGA サイズのビデオは 34 Kbps から、DVD 品質も 500 Kbps で実現
マルチプラットフォーム – Windows、Linux、Macintosh、WinCE、Symbian
目次:
1 RealVideo 9 圧縮
1.1 REALVIDEO 9 の主要な機能
1.2 REALVIDEO 9 圧縮アルゴリズム
1.3 REALVIDEO 9 エンコーダー
2 RealVideo 9 の品質
3 RealVideo 9 のスケーラビリティ
4 RealVideo 9 のエラーからの回復機能
5 RealVideo 9 デコーダーのパフォーマンス
5.1 CPU の使用
5.2 メモリ使用
6 その他の情報
RealVideo 9 技術概要
2
1. RealVideo 9 圧縮
RealNetwork の RealVideo 9 コーデックは、ダウンロード、またはストリーミングのいずれに
使用する場合でも、ナローバンドから HDTV まで非常に高い品質を実現します。
RealVideo 9 は、前世代のテクノロジを超え大幅に向上した圧縮技術により、帯域幅コスト
を削減しながら機器の種類を問わずすべてのビットレートで、高品質で豊富なメディアエ
クペリエンスを可能にします。
1.1 REALVIDEO 9 の主要な機能
他に類を見ない高品質 — すべてのビットレートに対応した最先端のビデオ
• MPEG-4 の 1/2 のビットレートで同じ品質を実現
• MPEG-2 の 1/4 のビットレートで同じ品質を実現
• RealVideo 8 と比較すると、パフォーマンスが 30%向上
• RealVideo G2 と比較すると、パフォーマンスが 50%向上
新規機能 ― RealVideo 9 の優れた機能
• 34 Kbps からのクォータースクリーンビデオ ― 現在のモデムビットレートビデオより
も 2 倍のサイズ、および高品質を実現
• 日常的なブロードバンドレートで VHS 品質を実現 (160 Kbps から)
• 高速ネットワークでダウンロード、またはストリーミングを実行する場合、500 Kbps で
DVD に近似の品質を実現
マルチプラットフォーム — 複数の環境で再生が可能
• Microsoft Windows、Intel プロセッサ (MMX™、SSE™、SSE2™)
• Linux、Intel プロセッサ (MMX™、SSE™、SSE2™)
• MacOS、PowerPC プロセッサ (AltiVec™)
• WinCE、ARM プロセッサ (ARMv5、StrongARM、Xscale™)
• Symbian、ARM プロセッサ (ARMv5、StrongARM、Xscale™)
• MIPS プロセッサ (NEC vr550)
任意の機器 — モバイルからテレビ、PC、HDTV ほか、広範囲の機器でインターネットメ
ディアを拡張
• 広範囲なビデオ解像度に対応。最小解像度 32x32 から最大解像度 1920x1080 まで
コンテンツのエンコードが可能。
• HDTV 対応 — すべての HD フォーマット、および 720p や 1080i などの解像度をサポ
ート
• インターレースのサポート — RealVideo 9 ビットストリームは、1 秒間に 60 フィールド
のインターレースコンテンツを転送可能
RealVideo 9 技術概要
3
1.2 REALVIDEO 9 圧縮アルゴリズム
RealVideo 9 には、RealNetworks のエンジニアが長年開発してきた技術が応用され、過去
の RealVideo コーデック開発で積み重ねた見識とノウハウが活用されています。
RealVideo 9 は動画補完のハイブリッドコーダーで、RealNetworks が特許取得済み、およ
び出願中の以下の技術が含まれています。
•
•
•
•
•
•
•
より正確な動画モデリング
独自の空間ピクセル予測方式
多重解像度残差分析/合成ステージ
コンテキスト適応エントロピコーディング
心理視覚効果をもたらすためにチューニングされたセグメンテーションおよびフィルタ
リングのスキーマ
レート歪み最適化エンコーディングアルゴリズム
ツーパスエンコーディング
多くのビデオコーデックでは、ビデオの圧縮、解凍用に、「ブロックベース」のアルゴリズム
が使用されています。このようなアルゴリズムは、ビデオの複数のピクセルをブロック単
位で処理します。圧縮率が高くなると、このようなブロックベースのアルゴリズムは各ブロ
ックをできるだけ簡素化して表現しようとします。単一ブロックは、単色に簡素化されて表
現される場合があります (例: ブロック全体が「水色」になる)。競合するビデオコーデック
を十分に調査すると、このような (視覚的な「作為」と呼ばれる) 視覚的な効果が明らか
だと思われます。ブロックベースのアルゴリズムを使用すると、ブロックエッジと呼ばれる、
影響力の大きな断絶が発生する可能性が高くなります。
RealVideo 9 技術概要
4
RealVideo 9 は、ビデオをより正確に圧縮することができる高度なアルゴリズムを使用して、
ブロック歪みを回避します。新しい独自の分析、および合成アルゴリズム (変換機能)、よ
り高度な動画分析、コンテンツ適応フィルタリングテクノロジ、および RealVideo 9 に内蔵さ
れているその他の圧縮スキーマにより、ビデオをより忠実に再生し、自然なルックアンド
フィールを提供することができます。
RealVideo 9 は、デコーダーで後処理を実行することはありません。RealVideo 9 の中核的
なアルゴリズムは、既存のビデオコーデックよりも大幅に改善されているため、既存のビ
デオコーデック無しで、かつてない高品質が実現されました。
1.3 REALVIDEO 9 エンコーダー
RealVideo 9 は、リアルタイムストリーミングからダウンロードアンドプレイ、ストレージアン
ドアーカイブまで、広範囲のビデオアプリケーションをサポートします。RealVideo 9 エンコ
ーダーは、このようなアプリケーションに対応するために、以下のエンコーディングモード
をサポートします。
•
•
•
一定ビットレート
可変ビットレート (有効最大制約ビットレート)
品質ベースエンコーディング (有効最大制約ビットレート)
エンコーダーは、一定ビットレートモードの場合、コンテンツの存続期間中、目標ビットレ
ートを保持し、ビット使用の微小な歪みを調整するための少量のバッファを有効にします。
このバッファのサイズにより、事前バッファリングの時間が決定します。また、このサイズ
は、「最大開始待機時間」設定を使用して Helix Producer Plus で設定することができます。
一定ビットレート接続で視覚的な品質を最大化するためには、ほとんどのリアルタイムス
トリーミングアプリケーションでこのモードを使用する必要があります。
可変ビットレートモードを使用する場合、エンコーダーはコンテンツの存続期間中、目標ビ
ットレートを確保しようとしますが、この間、一定レートを維持しようとはしません。可変ビ
ットレートエンコーディングは、全体のビットレート、またはファイルサイズに制約を適用す
る必要がある場合に使用しなければなりませんが、ダウンロード済みのコンテンツなどに
対する瞬間的なビットレート要件はありません。可変ビットレートを使用すると、瞬間的な
ビットレートを制限するために最大制約ビットレートを設定することができます。
品質ベースエンコーディングは、ビット使用にかかわらずコンテンツを圧縮しますが、代わ
りに、一定レベルの視覚品質をコンテンツ全体で維持します。このモードは、ビットレート、
またはファイルサイズを維持する必要はないが、一定レベルの視覚品質が必要な場合に
使用しなければなりません。可変ビットレートモードと同様に、瞬間的なビットレートを制
限するために最大制約ビットレートを設定することができます。
RealVideo 9 技術概要
5
さらに、フレームレート、キーフレームレート、エラー保護、およびツーパスエンコーディン
グモードなどのその他の関連パラメータを設定することができます。RealVideo 9 エンコー
ダーは、ツーパスエンコーディングを使用して、コンテンツを圧縮する前に、まずビデオ分
析を実行することができます。この分析により一定ビットレートモード、および可変ビットレ
ートモードのビット使用要件を満たしながら、視覚品質をより適切に最大化することがで
きます。品質ベースエンコーディングを使用する場合、分析を実行すると、目標とする視
覚品質がより効率的にコンテンツ全体を通して維持されます。
2 RealVideo 9 の品質
RealVideo 9 は、以下のセクションで説明するとおり、競合他社の一歩先を行く視覚品質
を実現しています。Windows Media 9 シリーズビデオは、Microsoft が開発した独自のビデ
オコーデックです。DivX 5.05 は、DivXNetworks が開発した MPEG-4 Simple Profile 対応
のビデオコーデックです。図 2~4 は、RealVideo 9 エンコーダー、およびその他の一般的
なビデオフォーマットを使用した場合に、同じレベルの忠実度 (PSNR: Peak Signal-toNoise Ratio) を実現するために必要なビットレートを比較しています。図 5~7 は、
RealVideo 9 エンコーダー、およびその他のエンコーダーの PSNR の結果を示していま
す。
この比較には、Windows Media 9 シリーズでは「最高品質」エンコーディング設定を、DivX
5.05 では「最低速」エンコーディング設定をそれぞれ使用しました。ビットレート制御の影
響を回避するために、品質ベースエンコーディングを使用し、すべての前処理、および後
処理オプション (スムージング、色補正) を無効にしました。PSNR は、デコードされた各
YV12 フレームの Y コンポーネントに対して算出し、すべてのフレーム全体の平均 PSNR
を報告しています。
RealVideo 9 技術概要
6
RealVideo 9 技術概要
7
RealVideo 9 技術概要
8
RealVideo 9 技術概要
9
RealVideo 9 エンコーダーは、優れた視覚品質を提供する一方で、専門技術の採用により、
高速で効果的なエンコーディングアルゴリズムを可能にしました。RealVideo 9 エンコーダ
ーには、Intel の協力のもとで開発され Intel プロセッサ上で高性能を誇る最適化機能と、
Macintosh G4 および G5 プロセッサの最適化を行う AltiVec の協力により開発された最適
化機能が搭載されています。図 8 は、2.2 GHz Pentium 4 で 352x288 のクリップをエンコ
ーディングしたときに測定した速度を示しています。
3 RealVideo 9 のスケーラビリティ
The Helix™プラットフォーム (Producer、Server、および Player) は、RealNetworks の
SureStream™テクノロジを特徴としています。このエンコーダーは、SureStream を使用し
て帯域幅やパケット損失レートなどの様々なネットワークの特性に合わせて変更された
複数のオーディオ、およびビデオのストリームを作成します。Helix Producer を使用すると、
複数の目標ビットレートを選択することができ、このような目標ビットレートに適合したオ
ーディオ、およびビデオストリームがエンコードされます。
RealOne™ Player、および Helix Universal Server は、ネットワーク上でストリーミングを実
行する場合、適切なオーディオとビデオのストリームが転送されるように通信します。クラ
イアントおよびサーバーは、ネットワークの動的な特性を監視しながら通信を継続します。
使用可能な帯域幅、またはパケット損失レートが変化した場合、サーバーはより適切なビ
ットレートミッドストリームへと切り替えを行うことが可能です。
RealVideo 9 技術概要
10
SureStream テクノロジには、スケーラビリティ (空間、時間、および品質) を実現する代
表的な手段がすべて活用されています。コンテンツの一部をエンコーディングするために
複数の目標ビットレートを選択した場合、選択した各ビットレートは、デコード可能なストリ
ームを表します。このようなストリームはそれぞれ異なる解像度、フレームレート、および
画像忠実度でエンコードされる場合もあります。また、ストリーム間には従属関係が存在
しないので、各ストリームは、ビットレートに最適なフレームサイズ、フレームレート、およ
び品質レベルでエンコードが可能です。
4 RealVideo 9 のエラーからの回復機能
エラーからの回復機能は、当社のメディア配信プラットフォームの主要なコンポーネントで
す。このプラットフォームに実装されているエラーからの回復機能は、以下のとおりです。
• Producer から Server、Server から Server、Server から Proxy、Proxy から Client など、
ほとんどすべての配信ネットワークにおいて、FEC パケット挿入レートを動的に設定
することができます。
• クライアントは、自動再伝送要求により、損失したデータパケットを再送信することが
できます。
• コーデックの RealVideo ファミリーでエラー回復モードを有効にすることができます。
エンコード時に設定可能なこのモードは、レイヤ化されたエラー補正、およびエラー
軽減の情報を、より重要なビデオデータをインテリジェントな方法で保護する
RealVideo ビットストリームに追加します。
5 RealVideo 9 デコーダーのパフォーマンス
RealVideo 9 は、パフォーマンスの異なるさまざまなクライアントで使用することを目的に
設計されており、RealVideo 9 のエンコーダーおよびデコーダーには、必要に応じてビデオ
の高速処理が可能な CPU スケーラビリティ機能が内蔵されています。
5.1 CPU の使用
一般的なデフォルトの設定でのエンコーダーとデコーダーの演算の間には、3 倍から 5 倍
近い処理の複雑さの違いがありますが、エンコーダー/デコーダーの複雑性はこれには
非対称です。
PC で RealVideo 9 の高品質再生を実現するためには、以下のシステムを推奨します。
•
•
ダイアルアップ接続のための CIF、または QCIF ― ダイアルアップ速度で典型的な
コンテンツを再生する場合 (176x132)、200 MHz Pentium II 以上を推奨
フルスクリーン ― 640x480 のビデオをフル 24 fps (フィルムの場合)、または 30 fps
RealVideo 9 技術概要
11
•
(ビデオの場合) で再生する場合、750 MHz Pentium III 以上を推奨
HDTV ― HD 解像度のコンテンツ (例: 720p) を再生する場合、2.6 GHz Pentium 4
以上を推奨
表 1~3 は、一般的なプロセッサで RealVideo 9 を実行した場合の CPU パフォーマンスを
示しています。表 2 および 3 は、プラットフォーム用に最適化された RealVideo 9 デコーダ
ーを実際の機器で実行した場合のパフォーマンスです。
5.2 メモリ使用
RealVideo 9 デコーダーのメモリ使用は、デコードされるビデオの画像サイズによって異な
RealVideo 9 技術概要
12
ります。表 4 は、複数の一般的な解像度に対応する効果的なメモリ使用を示しています。
RealNetworks は、様々なプロセッサプラットフォームで使用可能なコーデックの実装を行
っています。このようなコーデックのほとんどは、Helix Community から入手することが可
能ですが、特殊なコーデックが必要な場合には、当社へご連絡ください。
6 その他の情報
RealVideo、RealAudio、および RealSystem®についてお知りになりたい場合は、当社の
Web へアクセスしてください。
http://www.jp.realnetworks.com/solutions/leadership/realvideo.html
Helix™ Community、および Helix DNA™プラットフォームの詳細についてお知りになりたい
場合は、以下のサイトへアクセスしてください。
https://www.helixcommunity.org/
RealVideo 9 技術概要
13