平成17・18・19年度 文部科学省研究指定 学力向上拠点形成事業 (確かな学力育成のための実践研究事業) 研 究 概 要 研 究 主 題 自ら学ぶ力の育成と協同的な学びの推進による 確かな学力 の向上 平成19年11月 長岡京市立長岡中学校 1 本研究の全体構想 確かな学力の向上 学習ガイドの開発 (学習習慣の定着) 自ら学ぶ力の育成 指導方法、教材等の工夫 協同的な学びの推進 H17・18年度 研究実践中心テーマ H19年度 研究実践中心テーマ 「学習と生活に関する調査」の実施 学力状況の的確な把握・検証 【H17・18年度研究実践中心テーマ】 自ら学ぶ力の育成 ・・・学習ガイドの開発、学習習慣の定着 自ら学ぶ力を高める「学習ガイド」の開発 ◆自己制御学習の理論に基づく「自ら学ぶ力」の育成と学習習慣の定着を図るための 「学習 ガイド」 の作成及び工夫・活用 (学習のねらい・内容の明確化、学習方法の明確化、家庭での宿題や自主学習の取組の推進) ア イ ウ エ 自己制御学習理論にに基づく、「学習ガイド」の作成・試行(H17年度) 試行を受けての、「学習ガイド」の改善(H17年度) 各教科の特性に合わせた、「学習ガイド」の作成・実施(H18・19年度) 生徒アンケートの実施・分析による「学習ガイド」及び活用方法の改善(H17∼19年度) 【H19年度研究実践中心テーマ】 協同的な学びの推進 ・・・指導方法、教材等の工夫 自己制御学習のできる生徒の育成を支える指導方法の工夫 ◆自己制御学習能力を踏まえつつ、一人一人の多様性が交流される 「協同的な学び」 の推進 (授業の中で「生徒相互が学び合う」場面の設定、学びの基になる生徒間の協力関係の構築) 協同的な学びのイメージの共通理解(校内研修会・授業公開) 教科部会での協同的な学びの実践プランの検討・開発(教科を越えての共有化 ◆個に応じた指導の充実 「SUM」(毎週月曜日の5教科復習テスト)による基礎・基本の定着の徹底 「SOSチェックシート」の活用による個別学習支援 「学習と生活に関する調査」の実施、学習状況の的確な把握・検証 ◆中学校学力診断テスト(京都府)や目標基準準拠検査(CRT)等の経年比較等による学力状況の的確な把 握と検証 ◆「学習・生活に関する調査」による学力・学習意欲と生活習慣との関連性の検討 ◆家庭学習を含めた学習スキルの育成(学校での学びと家庭での学びの有機的なリンク) ◆学ぶことの意味が見える学習と体験の推進 (キャリア教育の推進と「総合的な学習の時間」の工夫) ア CRTの実施及び分析 項目毎、経年比較 授業改善 イ 「学習・生活に関する調査」の実施及び分析 学力・学習意欲と生活習慣との関連性の検討 「学習ガイド」改善 ウ キャリア教育の推進及び「総合的な学習の時間」の工夫 「総合的な学習の時間」での「生き方」学習の実施 「私のしごと館」での体験活動及び「京の子ども夢・未来体験活動(こころ生き生き体験活 動)」の実施 キャリア教育の視点での教育活動の整理及び全体計画の立案 2 「学習ガイド」の実践に関わって (1)自己制御学習(Self-regulated learning: SRL)とは ・学習の中でも、特に学校においてなされるような学習(学 業)に主体的に取り組む過程を記述したモデルを指す。 ・学習に取り組む過程を、計画・遂行・自己評価の各段階で をとらえた循環的過程としてとらえる。 自己制御学習のできる生徒を 育てるための指導のポイント < Zimmerman,2004> ア 計画の段階 自ら学習に取り組もうとしながら(自己統制)、自分がど のような学習に取り組んでいるのかを考えながら(自己観 察)実際の学習に取り組む段階 ① 学習内容に関連した目標をもたせる。 ② どのように学習を進めればよいかを示 す。 イ 遂行の段階 目標を設定し、学習方略を計画する段階 自己効力、課題への興味や価値、目標志向性といった要 因(自己動機づけにかかわる考え方)によって引き起こ され、また支持されると考えられている段階 ③ ④ 自分で学習を進められるようにする。 自分で適宜学習状況を振り返ることが できるようにする。 ⑤ 学習内容に関連した形での自己評価が できるようにする。 ウ 自己評価の段階 実際に学習を行った結果、計画の段階で設定された学習目 標を達成したかどうかを検討したり(自己判断)、学習方 法が効果的であったかどうかを考えたり(自己反応)する段 階 自己制御学習のできる生徒の育成 確かな学力 の向上 (2)「学習ガイド」の実践 ・「学習ガイド」の位置づけ・・・・生徒の自ら学ぶ力を高める(自立的に学ぶ力)を育むための一手段 ・「学習ガイド」のねらいを、授業全体で達成できるようにする。 単元全体を通したねらい、学習方法、学習への取組方を提示する。単元終了時における自己評価を行う。 教師(作成者)側のねらい 生徒にとっての「学習ガイド」は、 ・学習のねらいを明らかにする。 ・学習内容を明らかにする。 ・学習方法を明らかにする。 ・自主学習の方法を具体的に示す。 ・なかなか勉強が手につかない。 ・勉強の方法がわからない。 ・勉強しても内容がよくわからない。 自分で勉強できるようになる。 勉強の方法がわかるようになる。 勉強した内容が身に付く。 計画、遂行、自己評価を 学習者自身が取り組みやすくする。 <生徒指導用資料> こ ん な こ と なかなか勉強が手につかない で 困 っ て い 勉強の方法がわからない 理由があります! ま せ ん か ? 「学習ガイド」を使って勉強すると本当に 自分で勉強できるようになるんですか? 勉強しても内容がよくわからない なりますよ。去年試しにやってみたら こんなことがわかりました。 どうして? それは,どんな目標を持 つかということなのです 心当たりは ありませんか? • • • • • 「テストで点数をとろう」というような目標を持っている 「とにかくがんばる」というようなあいまいな目標をたてている 「授業内容は全部覚える」というように目標が大きすぎる 「勉強の進め方や方法」に関心を持っていない 「自分がどんな内容を勉強しているのか」に気を配っていない そこで,先生たちは 文部科学省の研究所の 先生と一緒に 考えてみました 「学習ガイド」には・・・ 「どんな内容を学習するのか」が書いてあります 「どんなことが大事なのか」が書いてあります 授業に沿って「段階的な目標」が書いてあります 先生おすすめの「勉強の進め方」が書いてあります みんなが「勉強を進め 「自分がどんなことを身につけたのか」を確認できます ガイド 学習 る上で困ったこと」を解 決するために「学習ガ イド」を作ってみました 自分で勉強できるようになる! これで勉強が しやすくなるね! きちんと使って 勉強すれば 勉強の悩みは 解決しますよ! これから授業に取り入れ て,みんなが勉強しやす くなるようにします! 監修 国立教育政策研究所 山森光陽 勉強の方法がわかるようになる! 勉強した内容が身につく! 自分ですすんで 勉強していた人 やる気はあったけど 自分ですすんで 勉強できなかった人 やる気が出なくて 自分ですすんで 勉強できなかった人 自分で勉強できるようになる! ガイド 学習 学習目標を きちんと持つ ことができる ようになり・・・ 自分で勉強の できぐあいを 学習ガイドを ふりかえること ができるように 使って なり・・・ 勉強すると・・・ 勉強の方法がわかるようになる! 勉強するやる気が 高くなりました 自分で進んで勉強 を進められるよう になりました。 勉強した内容が身につく! 学 習 ガ イ ド を 使 っ て 自 分 で 勉 強 に 取 り 組 ん で み よ う ! 学 習 ガ イ ド を 使 っ て 自 分 で 勉 強 に 取 り 組 ん で み よ う ! <学習ガイド例(数学)> (3)「学習ガイド」の検証 <2年英語科 自己効力感・自主学習の変化(H18年度)> 自己効力感( 「できそうだ」という見込みを持つ気持ち)の変化 (2年 英語) 30% 自主学習の変化 (2年 英語) 30% 1学期 1学期 2学期 2学期 20% 20% 10% 10% 0% 0% 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 どちら とも いえない 全くあて はまらな い 20 2 21 3 4 5 6 とても よくあて はまる 7 8 9 英語の学習に自分から計画的に取り組んでいます 私は,この教科で良い成績をとると思います 自分から進んで英語の勉強をしています 私は,この教科でやる学習内容を理解することができると思います 予習復習以外の英語の自宅学習をします 60% 40% 40% 20% 20% 0% 0% ① 3年数学 80% 60% ② ③ ② ③ ④ ⑤ ⑱2中肯定 ⑱2期肯定 ⑱2中否定 ⑱2期否定 12 13 14 2年理科・3年数学> 2年理科 80% 11 とても よくあて はまる 私は,きっと,この教科で与えられた課題で素晴らしい成果をあげると思います <生徒アンケート経年比較 ① 10 どちら とも いえない 全く あてはま らない ⑥ 平均 ⑲1期肯定 ⑲1期否定 ④ ⑤ ① ② ⑱2中肯定 ⑱2中否定 ③ ④ ⑤ ⑱2期肯定 ⑱2期否定 ⑥ 平均 ⑲1期肯定 ⑲1期否定 ⑥ 自分で勉強するときに、学習ガ イドを使って勉強した。 自分で勉強するときに、どのよ うにすればよいのかが分かっ た。 自分で勉強するときに、自分が 学習内容をどの程度理解して いるのかを知ることができた。 学習ガイドを見て、授業のポイ ントが分かった。 学習を進める上での目標を持 つことができた。 学習ガイドがあった方が勉強し やすい。 H18年2学期中間、H18年2学期期末、H19年1学期期末に生徒アンケートを実施 → 肯定評価の生徒の割合は増加、否定評価の生徒の割合が減少している。 <成果> ・教科の特性を反映させ、かつ円滑な授業展開へつながる「学習ガイド」を各教科で開発することができた。 ・生徒が使用しやすいものへ改善が進んだ。 (確認問題、自己評価を取り入れる。学習レベルに合わせた目標を設定する。 ) ・教師が「学習ガイド」を作成する過程で、授業のねらいをより明確にもつことができた。 ・授業での活用の仕方を考える中で、授業の構成、展開などを明確にし授業に臨むことができた。 ・習熟の程度に応じた家庭での具体的な学習内容を示し、意識を喚起できた。 ・ 「学習ガイド」を肯定的に捉える生徒の割合が増加するなど、生徒の中で「学習ガイド」を活用した学習が定着し つつある。 ・ 「学習ガイド」に自己評価を取り入れたことにより、生徒の自己評価能力が向上してきた。 ・自己効力感が高まったり、自主学習に取り組む生徒が増加した。 <課題> ・ 「学習ガイド」の内容などの課題(ねらいや学習方法等をよりわかりやすく提示する、生徒自ら活用させる)は、 まだ残っており、改善の手立てを検討する必要である。 ・ 「学習ガイド」の活用を積極的に組み込んだ授業の展開を更に進めていく必要がある。 (効果的に活用できていない面もある。 ) ・自主学習に取り組ませるための具体的な手立て(家庭学習の方法など)の提示方法を工夫する必要がある。 ・ 「学習ガイド」を十分に活用できていない生徒に対する手立てを検討する必要がある。 ・今後、 「協同的な学び」との有効的な関係を模索する必要がある。 3 「協同的な学び」の実践に関わって (1)「協同的な学び」のねらいは? 生徒相互の関わりを取り入れ、関係の中で学ぶ力を育てる。 (2)目指す「協同的な学び」のイメージ 学習課題に関わって他者とかかわり,協同する 学習環境が社 会的相互作用 を起こしやすく し,多様性を認 めるものである とき 相互作用的, 協同的な教授 環境において 柔軟な考えを促し, 社会的能力の高まりが期待できる。 よりよい対人関 係,すなわち安 定的で,信頼と 思いやりがあ る関係 肯定的な対人 関係における 援助や指導と いった自己動 機づけにつな がる方策は 学習者の集団に対する帰属意識, 自尊心,自己受容感を高め, 肯定的な学習環境の醸成につながる。 人は多様な考え方を理解し, 深い思考を行うことができ, より高いレベルの社会的, 道徳的な発達と自尊感情を身に付ける。 肯定的な学習 環境は 健全な思考,感情,行動をうな がす状況を作り出す。 ある特定の教科の学習能力に対する否定的な考え方を弱める。 高いテスト不安を弱める。 否定的な性役割期待を弱める。 良い成績を取ることに対する過度な期待を弱める。 学習が促進される 支援のターゲット • 生徒どうしのかかわりが学習活動を促進 • 生徒どうしの意味あるつながりづくり • 他者からの信頼や受容が意欲を高める 関係の 中で 学ぶ力を 育む 関係性 集団に 対する 支援 生徒どうしの かかわりを取り入れた 「協同学習」の実現 ﹁ 確 か な 学 力 ﹂ の 向 上 教育心理学のモデルから見通しを持ち,データから子どもの実態の把握 有能感 • 目標設定の仕方への配慮 • 学習活動の価値・意義・目標の伝達 • 学習内容関連型フィードバック 自律的 に学ぶ力 を育む 生徒の姿 学 習 意 欲 の 高 ま り 「学習ガイド」を活用した 指導の展開と 自主学習への援助 支援のゴール 自律性 「学習ガイド」と 「協同的な学び」の実践と 「確かな学力」の向上の関連 生徒 一人 一人に 対する 支援 支援の手立て H 19年 度 の 実 践 の 内 容 ・ 校 内 研 修 会 を 通 し て 、「 協 同 的 な 学 び 」 の イ メ ー ジ ( 実 践 の 視 点 ) の 共 有 化 ・教科部会で「協同的な学び」の実践プランについて検討及び実践例の交流 ・「 協 同 的 な 学 び 」 の 視 点 で の 公 開 授 業 ( 全 教 職 員 参 加 形 式 3 回 )・ 事 後 研 の 実 施 ・ 全 教 職 員 が 、「 協 同 的 な 学 び 」 の 視 点 で の 授 業 公 開 を 実 施 ( 授 業 チ ェ ッ ク シ ー ト を 通 し て の 交 流 ) ・教職員のアンケートにより「協同的な学び」の実践を検証 (3)「協同的な学び」の実践例 国語(1年) 単元名 スピーチの会を聞く 1分間スピーチの発表会で、話すこと・聞くことをとおして、より よいスピーチについて学び合う。 内容 ・スピーチの注意点について考える ・スピーチの話題を集める (自分自身の体験から考えたこと、読書案内のいずれかを選択) ・スピーチ原稿作り ・1分間スピーチ発表会 学級の前で発表する 聞いている者は、相互評価表に評価し、アドバイスやコメントを記入 ・他の生徒からの評価表を読み、自分のスピーチを振り返る 自分のスピーチの感想・反省 アドバイス・コメントの中で一番うれしかったもの 他の人のスピーチを聞いて参考になったこと (自分が他の人に対して書いたアドバイス・コメントについても振り返る) 技術(3年) 単元名 ものづくり 数学(2年) リンク装置のてことリンクの関係から可動範囲 を考える活動を通して、互いの意見からの学び 合いを行う。 一次関数 身近な問題を解決する過程において、一次関数のグラフを用いて 解決する。 グループ内での教え合いを通して理解を深める。 内容 ・ 以下の課題をグループで考えさせ、まとめる。 ①てこクランク機構で、クランクが回転すると てこはどのような動きをするか。また、揺動 運動を大きく(小さく)するには、どうすれ ばよいか。 ②カム装置でカムが1回転すると、棒は どのような動きを何回するか。また、 棒の動きをカムの1回転で、2回動か すにはどうすればよいか。 内容 1 課題提示 電話会社の2つの料金プランを見て、Aプランの方がBプランよ り使用料が安くなるのは、何分以上通話したときか。 2 課題解決 (1) 分通話したときの使用料を 円として、それぞれのプランに ついて、 を の式で表す。 個人で考察 グループで考察 ※個人の考えを小グループで交流し、なぜそのような式になるのか 考え方を発表する。 (2)それぞれのプランの式をグラフに表す。 個人で考察 グループで考察 ※座標軸の位置と、1目盛の値をいくらにするか考え、交流する。 ※グラフを交流する。 (3)Aプランの方がBプランより使用料が安くなるのは、何分以上通話 したときか、結論を出す。 (4)新たにCプランが加わったときに、Cプランが最も安くなるのは何 分以上通話したときか。 (4)「協同的な学び」の検証 ・生徒のアンケートと定期テストの素点の比較より ・教師アンケートより ◎意識(注意)した点は 「協同的な学びによって学力は高まる」という仮説 ・グループでの活動を成立させるためのグループ形態及び 生徒の活動につながる学習課題を設定していった。 ・生徒への指示の出し方を工夫した。 (協同的な学びを意識させていく) ・グループでの活動内容を工夫した。 (意見を出させるだけで終わらないように) 1学期中間試験の得点 が高いほど2学期中間 試験の得点が高い 1学期中間試験 単元名 2学期中間試験 ◎どんな点で、効果があったか 学力が高い生徒ほ ど,関係性の欲求 が充足される • 国語の授業をいっしょに受けている 人たちとは,仲がよいと思います • 国語の授業では,いっしょに授業を 受けている人たちと協力して勉強で きていると思います • 国語の授業でのグループ活動には, 協力的に取り組めていると思います ・普段、聞くだけの生徒が、話し合いに参加したりするな ど、積極性が出てきた。 ・授業自体が活発になる。学習に幅広い生徒が参加してい る。 ・意見交流や活動を行うことが、他の活動にもプラスにな った。 ・学習課題がはっきりし、意識して活動に取り組むように なった。 関係性の欲求が充 足されるほど学力 を高めることにつな がる 協同的な学びを進める ほど高まることが期待さ れる要因(関係性) ◎苦労した点は 1学期中間試験の得点 が高いほど2学期中間 試験の得点が高い .83 1学期中間試験 学力が高い生徒ほ ど,関係性の欲求 が充足されるという 関係は見られない .80 2学期中間試験 .00 .14 .00 .11 • 国語の授業をいっしょに受けている 人たちとは,仲がよいと思います • 国語の授業では,いっしょに授業を 受けている人たちと協力して勉強で きていると思います • 国語の授業でのグループ活動には, 協力的に取り組めていると思います 協同的な学びを進める ほど高まることが期待さ れる要因(関係性) 関係性の欲求が充 足されるほど学力 を補償的に高める ことにつながる 2年生の国語・理科で﹁協同的な学び﹂の実 践による関係性の高まりが、2学期中間試験 の結果につながっていると考えられる。 2年国語(上段)(GFI=.97, AGFI=.93, CFI=.99, RMSEA=.04) 2年理科(下段)(GFI=.98, AGFI=.95, CFI=1.00, RMSEA=.02) 検証結果 ・これまで、協同して学ぶ場面が少なく、意見を出し合い 一緒に考えることが難しい。 ・学習課題の設定。 (学習内容との関係、協同的な学びの視点) ・生徒同士の関わり合いに弱さがあり、学習活動がうまく 進まない場面がある。 ・教科の中でどう取り組んでいくか。 (授業の進度、活動との兼ね合い) ・学習課題の意味が分からない生徒の対応をどうするか。 ・習熟度別の基礎コースでの支援をどうしていくか。 ◎今後、効果的な実践にしていくには ・考えさせる学習課題を提示するとともに、課題にあった、 グループ形態を考える。 ・その学習内容が定着できるように日常的に指導を行う。 ・生徒間の関係に留意する必要があるので、教師は生徒の 人間関係を把握して進める。 ・ガイドの中などに 、「協同的な学び」の視点を入れると ともに、「協同的な学び」の活動への評価を行う。 ・教師間で実践例の交流を進めていく。 (他教科の実践も含めて) 4 3年間の実践の成果 1 「学習ガイド」に関わって ・自ら学習に取り組む力が弱いという生徒の実態の改善を目指し、自己制御学習の理論に基づいた「学習ガイド」 の作成を行った。 ・初年度の試行を検証し、統一形式ではなく各教科の特性を反映させた「学習ガイド」が作成できた。 ・ 「生徒達がより活用しやすいものへ」と継続的に改善していくことができた。 ・ 「学習ガイド」作成の過程で、教師が授業のねらいや展開を明確にすることができた。 ・ 「学習ガイド」を肯定的に捉える生徒の割合が増加するなど、生徒の中で「学習ガイド」が定着しつつある。 ・自己効力感が高まったり、自主学習に取り組む生徒が増加した。 2 「協同的な学び」に関わって ・試行錯誤しながらではあるが、学習課題の設定や活動形態の検討、生徒への支援の手立てを考えることを通して、 生徒同士の関わりを意識した授業を行うことができた。 ・学習課題が生徒に明確になり、生徒が意識して学習活動に取り組んだ。 ・ 「協同的な学び」を取り入れることで、生徒が意欲的に学習活動に参加することができた。 3 教員の学習指導力(授業力)の向上 ・全教科で取り組んだことにより、全教員が共通理解のもとに実践を進めることができた。 校内研修会を軸に実践の交流や検討を行うことができた。 ・他教科の「学習ガイド」 、 「授業公開」の実践から学び、自分の担当教科の実践に生かすことができた。 ・全員が公開授業に取り組むことで、これまでの授業の振り返りや授業の改善につながった。 4 生徒の実態把握及び、学力との関連の検証 ・中学校学力診断テスト(京都府)、目標基準準拠検査(CRT)の分析を各教科で行い、生徒の学力の実態を全 教員で共通理解を図ることができた。 ・生徒のアンケートなどを実施することで生徒の実態を把握するとともに、「学習ガイド」の改善に生かすことが できた。 5 今後の方向性 1 「学習ガイド」に関わって ・教科の特性を踏まえ、生徒が授業や家庭学習で積極的に活用していけるものになるよう、改良を図る。 ・授業の中での効果的な活用(ねらいの提示、学習活動の提示、自己評価等)を図る。 2 「協同的な学び」に関わって ・生徒が主体的に学習活動に取り組み、単なる「教え合い」でなく、互いに「学び合い」ができる授業の構成を検 討していく。 ・授業のねらいに即した学習課題(指導形態も含めて)を設定する。 ・ 「学び合い」の土台となる共感的な人間関係を授業も含め、様々な活動の中で構築していく。 3 教員の学習指導力(授業力)の向上 ・ 「学習ガイド」や「協同的な学び」の実践のデーターベース化を進める。 (教科を問わず、互いに学び合う資料として) ・教科部会の機能化を図る。「 ( 協同的な学び」を含めた指導法の工夫、 「学習ガイド」の改良など) ・視点を明確にした校内研修会及び公開授業を効果的にな実施する。 4 生徒の実態把握及び、学力との関連の検証 ・生徒の学力の実態把握・分析を継続的に進める。 (全国学力・学習状況調査・中学校学力診断テスト(京都府)、目標基準準拠検査(CRT)等を用いて) ・生徒の生活実態や家庭学習状況を把握し、授業やその他指導の場面で生かしていく。 (生徒アンケート・SOSチェックシート、教育相談週間等を用いて) ・ 「学習ガイド」や「協同的な学び」と学力の変化との関係の検証をしていく。
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