いじめ防止基本方針 函館市立八幡小学校 ○はじめに 学校教育において,今,「いじめ問題」が生徒指導上喫緊の課題となっている。 また,近年の急速な情報技術の発展により,インターネットを通しての新たな「いじめ問 題」が生じ,ますます複雑化,潜在化する様相を見せている。 本校では,すでに学校経営の中でも函館市義務教育基本計画重点を通し,「いじめ問題」 を教職員の共通確認事項としていたが,更に基本姿勢について十分に理解し,校長を中心 として組織的に取り組むことが必要と思われる。 1.いじめとは <いじめの定義を理解する> 「いじめ」とは,「当該児童生徒が,一定の人間関係のある者から,心理的・物理的な 攻撃を受けたことにより,精神的な苦痛をかんじているもの」とする。なお,起こっ た場所は学校の内外を問わない。 個々の行為が「いじめ」に当たるものか否かの判断は表面的・形式的におこなうこ となく,いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。 ※文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より <いじめ問題の特質> ① いじめはどの子どもにも,どの学校にも起こり得るものである。 ② いじめは人権侵害であり,人として決して許される行為ではない。 ③ いじめは大人には気づきにくいところで行われることが多く発見しにくい。 ④ いじめはいじめられる側にも問題があるという見方は間違っている。 ⑤ いじめはその行為の態様により,暴行,恐喝,強要等の刑罰法規に抵触する。 ⑥ いじめは教職員の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題である。 ⑦ いじめは家庭教育の在り方に大きな関わりをもっている。 ⑧ いじめは学校,家庭,地域社会などすべての関係者がそれぞれの役割を果たし,一体と なって取り組むべき問題である。 2.学校におけるいじめの防止 人権尊重の精神の涵養を目的とする人権教育や思いやりの心を育む道徳教育,また, 様々なかかわりを深める体験教育を充実させることが大切である。 ① 人権教育の充実 いじめは,「相手の人権を踏みにじる行為であり,決して許されるものではない」こと を子どもたちに理解させることが大切である。また,子どもたちが人の痛みを思いやる ことができるよう,人権教育の基盤である生命尊重の精神や人権感覚を育むとともに,人 権意識の高揚を図る必要がある。 ② 道徳教育の充実 未発達な考え方や道徳的判断力の低さから起こる「いじめ」に対し,道徳の授業が大 きな力を発揮する。とりわけ,いじめ問題は,他人を思いやる心や人権意識の欠如から発 生するものであり,いじめをしない,許さないという,人間性豊かな心を育てることが大 切になる。子どもたちは,心根が揺さぶられる教材や資料に出会い,人としての「気高さ」 や「心づかい」,「やさしさ」等に触れれば,自分自身の生活や行動を省み,いじめの抑止 につながると考えられる。道徳の授業では,学級の児童生徒の実態に合わせて,題材や資 料等の内容を十分に検討したうえで取り扱うことが重要である。 ③ 体験教育の充実 子どもたちは自己と向き合い,他者,社会,自然との直接的なかかわりの中で,生命に対 する畏敬の念,感動する心,共に生きる心に自分自身が気づき,発見して体得していく。し かしながら,現在の子どもたちは,福祉体験やボランティア体験,就業体験等の「生きた社 会」とのかかわりが少なく,学校が意識的に発達段階に応じた体験教育を体系的に展開 し,教育活動に取り入れることが必要である。 ④ コミュニケーション活動を重視した特別活動の重視 現在の子どもたちは,他者と関わる生活体験や社会体験が少ないため,日々の授業をは じめとする学校生活のあらゆる場面において,他者と関わる機会を増やしていくことが 必要になる。子どもたちが,他者の痛みや感情を共感的に受容するための想像力や感受 性を身につけ,対等で豊かな人間関係を築くための具体的なプログラムを教育活動に取 り入れることは有効である。 ⑤ 保護者や地域への働きかけ PTAの各種会議や保護者会等において,いじめの実態や指導方針などの情報を提供 し,意見交換する場を設ける。また,いじめのもつ問題性や家庭教育の大切さなどを具体 的に理解してもらうために,保護者研修会の開催やHP,学校・学年だより等による広報 活動を積極的に行うことも大切である。 3.いじめの早期発見のための措置 ① 日常の観察 ・いじめサイン発見シート(別表 1)を参考に,学校・家庭共通理解しながら,日常の チェックを行う。 ・生活リズムチェックシート,「アセス」を活用しての児童理解と指導を行う。 ② 教育相談 ・「いじめアンケート」をもとにした,教育相談。※基本,年二回。 ※教育相談については (別表 2)参照 ③ 校内でできるだけ死角をつくらないために ア,登校時刻より早く校内に入れる活動の時は, ☆委員会活動では,担当の先生が,玄関が開く5分前に,自動ロックの扉から, 関係児童だけを入れましょう。 ☆学級の活動は,インターホンを鳴らさせ,担任が入れましょう。 ※職員玄関から,児童を入れるのは,やめましょう。 イ,休み時間には, ☆特別教室(学習室,視聴覚室を含む)には,児童だけで残すのはやめ ましょう。勝手に入るのをやめさせましょう。 ☆時間があったら,広場や体育館の遊びをのぞきましょう。 ウ,放課後は, ☆担任がいない中,教室に残すのはやめましょう。 エ,アフタースクールに参加したら, ☆トイレは,図書室横のトイレを使わせましょう。 ☆教室に忘れ物を取りに行くときは,アフタースクールの先生に断っ てから,いかせましょう <指導措置経路> 校長・教頭 生 活力向 上 推進部 事故発生 通 内 容 原 因 調 査 報 置 ・ 決 告 報 学 指 措 導 定 年 学級担任 市 教 委 関 係 機 関 こ 職う 員ち ょ 会う 議 校 長 保 教 頭 者 児 護 童 ※外部との窓口は,校長または教頭とし,生活力向上推進部も指導・対策に努める 4.いじめに対する措置 いじめの兆候に気づいた時は,問題を軽視することなく,早期に適切な対応をするこ とが大切である。いじめられている子どもの苦痛を取り除くことを最優先に迅速な指導 を行い,対決に向け一人で抱え込まず,学年及び学校全体で組織的に対応することが重 要である。また,いじめの再発防止のためには,日常的に取り組む実践計画を立て,継続 的に見守る必要がある。 <いじめ対応の基本的な流れ> いじめ情報のキャッチ 正確な実態把握 保護者との連携 指導体制・方針決定 子どもへの指導・支援 今後の対応 5.いじめ発見時の緊急対応 いじめを認知した教職員は,その時に,その場で,いじめを止めるとともに,いじめにか かわる関係者に適切な指導を行わなければなりません。あわせて,ただちに学級担任,生 活力向上推進部に連絡し,管理職に報告する。 ① いじめられた子どもに対して 子どもに対して ●事実確認とともに,まず,つらい今の気持ちを受け入れ,共感することで心の安定を 図る。 ●「最後まで守り抜くこと」 「秘密を守ること」を伝える。 ●必ず解決できる希望が持てることを伝える。 ●自信を持たせる言葉をかけるなど,自尊感情を高めるよう配慮する。 保護者に対して ●発見したその日のうちに,家庭訪問等で保護者に面談し事実関係を伝える。 ●学校の指導方針を伝え,今後の対応について協議する。 ●保護者のつらい気持ちや不安な気持ちを共感的に受け止める。 ●継続して家庭と連携を取りながら,解決に向かって取り組む事を伝える。 ●家庭で子どもの変化に注意してもらい,どのような些細なことでも相談するよう伝 える。 いじめを訴えた保護者から不信感をもたれた教職員の言葉 ・お子さんにも悪いところがあるようです。 ・家庭での甘やかしが問題です。 ・クラスにはいじめはありません。 ・どこかに相談にいかれてはどうですか。 ② いじめた子どもに対して 子どもに対して ●いじめた気持ちや状況などについて十分に聞き,子どもの背景にも目を向け指導す る。 ●心理的な孤立感・疎外感を与えないようにするなど一定の教育的配慮のもと,毅然 とした対応と粘り強い指導を行い,いじめが人として決して許されない行為である ことやいじめられる側の気持ちを認識させる。 保護者に対して ●正確な事実関係を説明し,いじめられた子どもや保護者のつらく悲しい気持ちを伝 え,よりよい解決を図ろうとする思いを伝える。 ●「いじめは決して許されない行為である」という毅然とした姿勢を示し,事の重大 さを認識させ,家庭での指導を依頼する。 ●子どもの変容を図るために,今後のかかわり方などを一緒に考え,具体的な助言を する。 平素の連携がないため,保護者から発せられた言葉 ・いじめられる理由があるのだろう。 ・学校がきちんと指導していれば…。 ・ここまで深刻にならないうちに,なぜ連絡してくれなかったのか。 ③把握すべき情報例 ◆誰が誰をいじめているのか? ………………【加害者と被害者の確認】 ◆いつ,どこで起こったのか? ……………………【時間と場所の確認】 ◆どんな内容のいじめか?どんな被害をうけたのか? …………【内容】 ◆いじめのきっかけは何か? ………………………………【背景と要因】 ◆いつ頃から,どのくらい続いているのか? ……………………【期間】 要注意 子どもの個人情報は, その取扱いに十分注意 すること!! ④ 周りの子どもたちに対して ●当事者だけの問題にとどめず,学級及び学年,学校全体の問題として考え,いじめの 傍観者からいじめを抑止する仲裁者への転換を促。 ●「いじめは決して許さない」という毅然とした姿勢を,学級・学年・学校全体に示 す。 ●はやし立てたり,見て見ぬふりをする行為も,いじめを肯定していることを理解さ せる。 ●いじめを訴えることは,正義に基づいた勇気ある行動であることを指導する。 ●いじめに関するマスコミ報道や,体験事例等の資料をもとにいじめについて話し合 い,自分たちの問題として意識させる。 ⑤ 継続した指導 ●いじめが解消したと見られる場合でも,引き続き十分な観察を行い,折に触れて必 要な指導を継続的に行う。 ●教育相談,日記,手紙などで積極的にかかわり,その後の状況について把握に努める。 ●いじめられた子どもの良さを見つけ,褒めたり,認めたりして肯定的にかかわり,自 信を取り戻させる。 ●いじめられた子ども,いじめた子ども双方にカウンセラーや関係機関の活用を含め, 心のケアにあたる。 ●いじめの発生を契機として,事例を検証し,再発防止・未然防止のために日常的に取 り組むことを洗い出し,実践計画を立て,いじめのない学級づくりへの取組を強化 する。 6.重大事態への対処 ●速やかに教育委員会や警察等の関係機関へ報告する。教育委員会の支援のもと,管理 職が中心となり,学校全体で組織的に対応し,迅速に事案の解決にあたる。 ●事案によっては,学年及び学校の全ての保護者に説明する必要の是非を判断し,必要 があれば,当事者の同意を得た上で,説明文書の配布や緊急保護者会の開催を実施する。 ●事案によっては,マスコミ対応も考えられる。対応窓口を明確にし,誠実な対応に努め る。 ※危機対応については,自殺が起こったときの緊急対応の手引き(H22.3 文部科学省)参照 7.評価 いじめ問題への学校総体や教員一人一人の取組の効果を確認するとともに,より一層 充実した取組へと改善を図るため,いじめ問題を視点とした学校評価・教員評価を工 夫・改善する必要がある。また,学校評価・教員評価については,学校や教員一人一人の いじめ問題への意識の向上及び保護者や地域の学校教育への信頼性を高めるためにも 適切な評価が行われるよう留意する必要がある。 8.ネットいじめ対応 (1)ネット上のいじめとは ①不特定多数の者から,特定の子どもに対する誹謗・中傷が絶え間なく集中的に行われ, また,誰により書き込まれたかを特定することが困難な場合が多いことから,被害が短 期間で極めて深刻なものとなる。 ②ネットが持つ匿名性から安易な書き込みが行われた結果,子どもが簡単に被害者にも 加害者にもなる。 ③インターネット上に掲載された個人情報や画像は,情報の加工が容易にできることか ら,子どもたちの個人情報や画像がネット上に流出し,それらが悪用されやすい。 ④保護者や教師など身近な大人が,子どもたちの携帯端末やインターネットの利用の実 態を十分に把握しておらず,また,保護者や教師により『ネット上のいじめ』を発見する ことが難しいため,その実態を把握し効果的な対策を講じることが困難である。 (2)「ネット上のいじめ」の具体例 ○パソコンや携帯端末から,ネット上の掲示板※・ブログ※・プロフ※等に特定の子ど もに関する誹謗・中傷を書き込む。 ○ネット上の掲示板・ブログ・プロフ等に,実名入りや個人が特定できる表現を用いて, 特定の子どもの個人情報を無断で掲載する。 ○特定の子どもの悪口や誹謗・中傷を不特定多数の携帯端末等にメールで送信する。 (チ ェーンメール) ○特定の子どもになりすましてネット上で活動し,その子どもの社会的信用を貶める行 為などを行う。 (なりすましメール) (3)「ネット上のいじめ」が発見された場合の対応 ①児童生徒への対応 ○被害児童生徒への対応 きめ細やかなケアを行い,いじめられた子どもを守り通すことが重要。 ○加害児童生徒への対応 加害者自身がいじめに遭っていた事例もあることから,起こった背景や事情につい て,詳細に調べるなど適切な対応が必要である。また,十分な配慮のもとで粘り強い 指導が求められる。 ○全校の児童生徒への対応 個人情報保護など十分な配慮のもとで,全校児童生徒への指導を行う。 ②保護者への対応 迅速に連絡し,家庭訪問等を通して学校の指導方針を説明し,相談しながら対応する。 ④ き込みのサイトへの削除依頼 サイトの「お問い合わせ」や「ヘルプ」を確認し,削除依頼方法を調べる。削除した い箇所を具体的に指定し,運営会社や管理者に連絡する。 別表 1 いじめサイン発見シート 別表 1 休み時間 登校時・朝の会等 □ 欠席、遅刻、早退が目立つ。 □ トイレ等に閉じこもりがちである。 □ 表情が暗く、どことなく元気がない。 □ 階段の昇り降りを繰り返すなど、一人 □ 自分からあいさつせず、友だちからのあい □ 体育館の裏やトイレ、物陰等、目の届き さつや声かけもない。 □ 顔や体に傷や殴られたような跡がある。 □ どこかおどおどして、脅えているように で時間をつぶしている。 にくい場所からよく出てくる。 □ プロレスごっこ等でいつもやられ役になっ □ 友達とよくふざけあっているが、なんと 感じられる。 □ 教師と視線を合わせようとしない。 ている。 (教師の目を避けている。 ) □ 教師の問いかけに答えようとしない。 なく表情がさえず、おどおどしている。 □ (何かごまかそうとしている。 ) 特別な用事もないのに、職員室や保健室・ 図書室等にいることが多く、一人になりた がらない。 □ 授業時間 らされている。 □ □ 遊びの中で、いつもオニ役等、嫌な役をや 頭痛、腹痛、吐き気等を訴え、保健室や 休み時間前にはなかった衣 服の汚れや破 れ等がみられる。 職員室への出入りが頻繁になる。 □ 一人で遅れて教室に入ってくることが多 い。 □ や評価が得られない。 □ 特定の子が発表すると笑いや冷やかし、ま たは、無視がある。 □ 体育の授業等で、特定の子にボールが回ら ない、または、回される。 □ 一人で活動することが多い。 □ グループ活動等で、机と机が離れている。 □ いつも準備や後かたづけをさせられてい る。 □ 配付したプリントが特定の子に渡らない。 昼食時 □ 給食のおかずやデザートを他人に与えて いる。 □ 敬遠しがちなメニューを特定の子に山盛 りに盛りつけている。 □ 給食当番の場合、特定の子がさわった食器 をさわりたがらない。 □ その他 よい発言や行動をしたのに周りから賞賛 グループで食べる時、特定の子の机だけ離 されたり、ポツンと残されたりする。 □ 特定の子が、いつも帰りの会で追及される。 □ 学級内で問題が生じると、いつも特定の子 どもの名前がすぐあがる。 □ 班編成で最後まで所属が決まらない。活動 中もよく一人でいる。 □ 特定の子の机や椅子が取り残されたり、 誰も移動させなかったりする。 □ 周りの友達に異常なほど気をつかっている ように見える。 □ 特定の子の席に座ろうとしない。 □ 不快な呼び名で呼ばれている。 □ 席の周りが空いている。机やイスの周りに ゴミが散乱している。 □ 納入金等を急に滞納しはじめた。 □ 学級写真等の顔にいたずらをされている。 □ 下校の通学路で、いつも友だちの荷物等を 持たされている。 児童理解を高める指導の充実(教育相談) 別表 2 (1) 役割 ・教育相談は1対1の人間関係を基本として,教育上の悩みや問題を持つ人が専門的 な見識を持つ人の援助を得て解決する過程である。 ・教育相談は生徒指導の有力な手段の一つとして温かい人間関係を通して児童一人一 人の主体性と相手との相互作用を重んじながら,その問題解決と人格的成長を助け る専門的努力である。 (2) 重点 ・教育相談を通して児童一人一人に自らの在り方を考えさせ,問題解決の方法をつか ませ,望ましい方向へ導くように努める。 ・問題をもつ児童の早期発見や解決までの指導の在り方を深めるとともに,家庭や関 係機関との連携を密にして非行の防止に努める。 (3) 方法 ・ 日常生活の観察を主にしながら多くの資料により児童理解に努める。 ・ 家庭との連絡を密にして協力を得られるように努める。 ・ 問題のある児童には全職員がその指導にあたる。 ・ 教育相談期間(年2回)を設定し,児童理解に努める。 (例) ・家庭環境 ・家庭訪問 ・個人面談相談 ・グループ面談相談 ・作文や日記 ・地域PTA ・学級懇談 ・教師間の情報交換 ・性格検査 ・適性検査 ・学力検査 ・知能検査 問題行動について ① 不登校・登校拒否の児童 ② 非行を重ねる児童 ③ いじめを重ねる児童 ④ 善悪の判断力が極端に欠ける児童 など ↓ 普段観察し,メモしておく。 普段観察し,メモしておく。 交流会で発表し,研修する。
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