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Medical Fitness
第 10 回メディカルフィットネスフォーラム開催
業界動向
日本メディカルフィットネス研究会
(テクノジム ジャパン株式会社)
は、
2015 年6月 20・21 日の2日間にわ
たり、筑波大学にて第 10 回メディ
カルフィットネスフォーラムを開催
した。テーマは
「
『医療』
『介護』
『健
康』をつなぐメディカルフィットネ
ス」
。医師、大学教授、研究者、
理学療法士、健康運動指導士、ト
レーナーなど、さまざまな分野で
活躍する 15 名もの講師から直接
話を聞ける貴重な機会に、参加者
たちは熱心に耳を傾けていた。こ
こでは、そのセミナー模様を紹介
したい。
や、コレステロール値が高い=身体に
同氏は、約5ヶ月半にわたったそこで
悪い、という一般的な説について疑問
の生活や実験内容、身体の変化につい
を投げかけ、JMFS の取り組みのひと
て語った。
つとして、もっと一人ひとりの体質・
さまざまな分野から講師や
参加者が集結
宇宙では骨や筋力の衰えが進むため、
遺伝を考慮した対応を提供できるよう
少しでも進行を抑えるために、ほぼ毎
にしたいと述べた。
日2時間程度、バイクやトレッドミル、
「BMI の計算は身長の影響を受けや
抵抗運動を行っていたことを当時の写
すく、あまり正確とはいえません。ま
真や動画を交えながら紹介。それでも
た、コレステロール値についても、高
地球に帰還した直後は立つことはおろ
今回のセミナーには約 200 名が参
いことが一概にすべての人に悪いとは
か、歩くこともできない状態になる。
加。講師同様、参加者の職種も研究者、
限らないという説が出てきています」
「自分の身体の重心の位置や、自分の
医師やメディカルスタッフ、トレー
こ の こ と ば か ら は、 メ デ ィ カ ル
ナー、理学療法士、健康運動指導士、
フィットネスに関わる者は、人々の運
栄養士、学生など多岐にわたる。冒頭
動習慣のサポートをするだけでなく、
挨拶にたった日本メディカルフィット
常に新しい研究結果や情報を収集し、
ネス研究会(以下、JMFS)会長であ
学んでいく姿勢が必要であることを感
る田中喜代次氏は、次のように語った。
じた。
「健幸華齢 は生活者が主体的に獲得
午後に行われた「介護予防を目的と
するものですが、それには行政、企
したフィットネス」と題した講演にお
業、医療機関がしっかりサポートする
いては、講師の理学療法士である土屋
ことが必要であり、その一翼を担うの
元明氏が「お客さまにポジティブな感
が JMFS です。健やかに老いていくた
情をもっていただくことや、それぞれ
めに、フィットネスやスポーツはとて
の方にとって快適なペースで続けられ
も大切。快食や快眠に効果的であるこ
る運動を提案してあげることが大事」
とはもちろん、生きる気力の向上にも
と参加者にアドバイスを送るなど、各
大きく寄与します。健幸華齢や元気長
分野の講師が自身の経験から運動指導
寿への導きに向けて、私たちはこれか
や継続へのポイントを紹介した。
※
らもフィットネスの重要性を伝えてい
きたいと思います」
今回のセミナーには宇宙航空研究開
発機構宇宙医学生物学研究グループ室
続いて同氏は、これまで肥満度を測
長古川聡氏も登場。2011 年に国際宇
る指標とされていた BMI の計算方法
宙ステーションに滞在した経験をもつ
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Fitness Business 79 ◎ July-August 2015
今回のフォーラムで司会を務めたテクノジ
ム ジャパン株式会社 HCP 事業部事業部長
/日本メディカルフィットネス研究会事務
局長の藤本浩也氏
※健幸華齢…身体の健康だけでなく、幸せ(心豊かに)に、そして仲間との
交流を愉しみながら、華やかに齢を重ねること
Medical Fitness
て学び、また経験できるように構成さ
同氏はこのように語り、それぞれの
れている。
目標に合わせて、柔軟に運営形態は発
展させていけばいいと述べていた。さ
1日目の夜には講師を交えた懇親会
らに、医療法 42 条施設における経営
も開催され、参加者は久々に会った同
者、医師、運動指導者は、それぞれが
志などと会話をはずませていた。初め
以下の活動を中心に、各専門分野で
て参加したという理学療法士として働
リーダーシップをとることで、現場が
く参加者は「自分の専門外の分野につ
活性化していくと語った。
いても知ることができてとても参考に
経営者…現場をチェックし、発展させ
なりました。また、新しい情報を得ら
るべく改善提案を行う
れて社会とつながった気持ちにもなり
医師…利用者の健康チェックおよび、
ましたね。メディカルフィットネスの
運動指導者へ、利用者に適した運動ま
分野に興味があるので、ぜひ実際の運
たは適さない運動を指示、運動後の
営について聞いてみたいです」と言い、
効果測定
講師と話す機会をうかがっていた。
さらに、ここ数年は毎回参加してい
運動指導者…利用者へ医師の指示に基
懇親会にて挨拶を行う猫山宮尾病院診療部
内科部長/医療法 42 条施設であるメディ
カルフィットネス CUORE センター長の太
田玉紀氏
るという介護予防施設で施設長を務め
づいた運動指導を提供
る参加者は、
「このフォーラムに参加
新しい知識を得られる機会
してネットワークが拡がりました。ア
メディカルフィットネスフォーラム
ドバイスをいただいたり施設を見学さ
の講演は長くても 30 分と小刻みに設
せてもらったりと、交流が続いていま
足の重さがわからなくなっているんで
定されている。テンポよく進むため、
す。次回もぜひ参加したいです」と充
す。だからうまく足をあげられず、些
参加者の集中力が途切れることはない。
実した笑顔で語っていた。
細な段差でつまずいてしまう。バラン
皆、熱心にメモをとったり、スクリー
次回は 12 月5・6日にわたり、群
ス感覚を取り戻すために、帰還後は
ンに映し出される講演資料をスマート
馬県高崎市で開催されることがすでに
45 日間厳しいトレーニングを行いま
フォンなどで撮影する姿が印象的で
決定している。高齢者やアスリートの
した」
あった。
運動指導に携わる方はもちろん、健常
当事者しか語れない内容に参加者も
興味津々といったふうであった。
2日目の講演では、猫山宮尾病院
フォーラムでは講義のほかに実技の
者の運動指導に携わる方にとっても、
クラスも提供されており、2日間とい
現場で活かせる多くのことが学べる機
う短い期間ながら、多くの分野につい
会となることだろう。
診療部内科部長であり、医療法 42 条
施設であるメディカルフィットネス
CUORE センター長としても活動する
太田玉紀氏が登壇。
「医療法 42 条施
設における医師の役割」と題して講演
を行った。
「医療法 42 条施設は医療法人が運営
しているものですが、逆もしかりかと
いうと、必ずしもそうではありませ
ん。医療法人が運営していても、民間
のフィットネスクラブと同じような形
態をとっている施設もあります。その
成功例が医療法人社団美心メディカル
フィットネス&スパ ヴァレオプロで
す。ここは『脱 42 条施設』をうたい、
一般的に小規模で疾病治療を中心とす
る施設が多いところ、大規模で、地域
住民の健康管理にあたるという方針を
とっています。
『メディカルフィット
ネスであるからこうでなければいけな
い』ということはないのです」
1日目の講演終了後に行われた懇親会。商品が当たるゲームなども行われ、大いに盛り上
がった
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