理学療法士 田中 洋平 水無月の季節を迎え、今年も残り半年となりました。梅雨も到 来しジメジメした日々が続きそうですね。 さて今回は誰もが意識した事がある、姿勢についてです。家の 鏡や街中のショーウィンドガラスなどに自分が映った姿を見た 事があると思います。 ・私の背中こんなに曲がっていたのかしら? ・いつも背筋を伸ばして歩いていたはずなのに・・・ そんな事を思った事はありませんか? 良く耳にする猫背と言う言葉がありますが、背中が全体的、部 分的に後方へ曲がる現象で、医学的には円背と言います。本来人 間は生理的弯曲としてS字状に近い形状をしています。頸椎から 前弯し胸椎は後弯、腰椎で前弯する形状を取ります。円背姿勢が 強くなると側面から見ても解る程に胸椎の後弯が強くなるので す。 円背には自然に曲がってしまうものと、病的に曲がる2種類が 存在します。一般的な猫背=円背姿勢とは自然に起こる現象であ り年齢を問いません。日常生活における姿勢の乱れ、加齢に伴う 骨の変形や摩耗、骨密度の低下による脊椎圧迫骨折、体幹筋力の 低下などが影響し、次第に脊椎が後方へ変形する事を言います。 この円背姿勢は生活習慣との関係性が大きく影響し、日々の生 活の中で意識的に姿勢を良くする事が大切となります。その為、 不良姿勢を続ける限り脊椎の変形は進行し続け、次第に腰背部痛 や骨折、頸部や下肢の変形、呼吸器疾患を引き起こす要因にも繋 がります。しかし円背姿勢だからと言って、これらの症状が出る とは限りません。腰が曲がっているからといっても、しっかり歩 ける方もいます。 医療法⼈社団めぐみ会 南大沢メディカルプラザ リハビリテーション科 特徴としては重心の位置が変わってしまう事で、バランス感覚 が悪くなりやすいです。その結果、下半身の筋力が弱っていたり すると足場の悪い道や階段などで転倒しやすい傾向にあります。 人間の機能としては必ず何処かが変形していても、痛みが出てい る状態でも体を動かす事が出来ます。それはなぜだと思います か? 答えはその部位を他の部位が代償して機能を養うからです。円 背姿勢で考えると重心を安定させる為に頭頸部は前方へ突出し、 頸椎は真っ直ぐな形を取り(ストレートネック)両肩が前方へ、 骨盤は後傾位となり股関節と膝関節は軽く曲がる姿勢を取りや すくなります。この姿勢を取る事で動く、歩く、座るなどの一般 的な動作が行えるのです。しかし、この姿勢は通常の姿勢からは 逸脱している為、部分的に筋肉が固くなり伸びにくくなります。 正しい姿勢とは重心の位置が横から見ると【耳垂→肩峰→大転 子→膝関節前部→外果前方】と言う位置を通るのが理想とされて います。 そこで正し姿勢を維持する為のポイントがありますので是非 試して見て下さい。まず壁に対して頭部・背中・臀部・踵を順に 付けて真っ直ぐ立ちます。その際に顎を少し引き耳たぶと肩の位 置を整えます。その際に肩甲骨を寄せる様に引き、胸を張る様に 意識して下さい。次に、お腹を凹ましながら口をすぼめて息を吐 き、背中を壁に押し付ける様にします。その姿勢のまま20秒か ら30秒程壁に背中を押し付けて力を抜く様にして下さい。これ は回数では無く気付いたら行う様にしてみて下さい。習慣性が付 くと意識的に背筋を伸ばせる様になると思います。 姿勢は日常生活で意識的に改善させる事が出来るものです。日 頃の姿勢を再度見つめ直すのも良いかと思います。 医療法⼈社団めぐみ会 南大沢メディカルプラザ リハビリテーション科
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