狼少年 原作 ： イソップ アレンジ ： ヤマチャピ 山の羊飼いの少年が息を切らし、村の中に駆け込んできました。 助けてくれ、狼だあ！山の牧場に狼が出たぞ！ 何だ、狼だって？ 驚いた村の男たちは狼を退治しようと、鉄砲を持って山の牧場に出かけまし たが、狼はどこにも見当たりません。 おかしいなあ、狼は逃げてしまったのかなあ。 村の男たちは首をかしげながら、帰って行きました。 羊飼いの少年は岩の陰に隠れて、それを見ていました。 ク、ク、ク、、、面白い、面白い。狼なんていないのに、バカなおじ さんたちだ。明日も遊んでみようかな。 次の日、羊飼いの少年は昨日と同じように息を切らして、 助けてくれ、狼だあ！山の牧場に狼が出たぞ！ え？また狼だって？ 村の男たちは狼を退治しようと、昨日と同じように鉄砲を持って、牧場へ行 きました。が、しかし、いくら探しても、狼はいないし、羊が殺された様子さ えありません。 何だ、狼なんかどこにもいないじゃないか。 羊飼いの少年は岩の陰から、昨日と同じように、 ああ、面白い。なんて間抜けなおじさんたちなんだ。 さて、その次の日です。少年が羊の番をしていると、本当に狼がやってきま した。狼は牧場の柵を越え、羊たちに襲いかかってきます。 た、た、助けてくれ、狼だ！山の牧場に狼が出たぞ！ 何を言っているんだ。もう騙されないぞ。お前は嘘つきだからな。 違うんです。本当なんです。本当に狼が出たんです。 少年がいくら訴えても、村の男たちは信じようとしません。結局、牧場の羊 は全部狼に食べられてしまいました。
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