黒田庄町農村環境計画 - 西脇市ホームページ

黒田庄町農村環境計画
元気な人と自然を創造する循環と共生の農村づくり
平成 15年3月
兵庫県黒田庄町
「夕照」
「夕ぐれの加古川」
「紅葉が彩る荘厳寺」
(ふるさとを撮ろう!第1回ふるさとフォトコンテスト作品より)
目 次
第1章
計画の概要 1
1.計画策定の背景と目的 1
2.農村環境計画の位置づけ 2
3.農村環境計画の策定手順 3
第2章
地域の現状と環境評価 5
1.現況調査 5
(1)地域概要 5
(2)自然環境 7
(3)社会環境 25
(4)生産環境 48
2.環境評価 57
(1)現状と課題 57
(2)地域の環境点検 60
(3)環境評価 65
第3章
農村環境保全の基本方針 69
1.環境保全の基本的な考え方 69
(1)農業・農村環境の保全 69
(2)農業農村整備における環境への配慮 69
2.環境保全目標 71
(1)地域の現況と課題 71
(2)本町の基本目標 72
(3)環境保全目標 74
第4章
農村環境整備計画 77
1.広域的整備計画 77
(1)自然環境整備計画 77
(2)社会環境整備計画 77
(3)生産環境整備計画 78
2.広域的整備計画における方策 78
(1)環境評価別の必要方策 78
(2)水と緑のネットワーク 89
第5章
地域別農村環境整備計画 95
1.加古川右岸田園ゾーン(Aブロック) 95
(1)環境の特性と課題 95
(2)農村環境整備の方向性と主要施策 97
2.加古川左岸田園・自然ゾーン(Bブロック) 101
(1)環境の特性と課題 101
(2)農村環境整備の方向性と主要施策 103
3.中心市街地ゾーン(Cブロック) 107
(1)環境の特性と課題 107
(2)農村環境整備の方向性と主要施策 109
4.門柳川公園交流ゾーン(Dブロック) 113
(1)環境の特性と課題 113
(2)農村環境整備の方向性と主要施策 115
第6章
農業農村整備事業における環境対策指針 119
1.環境対策に向けた基本的な考え方 119
(1)環境配慮5原則(ミティゲーション) 119
(2)水と緑のネットワークの確保 121
2.事業工種別環境対策指針 123
(1)農道 123
(2)河川、水路 124
(3)近代化施設等 125
(4)土壌 125
(5)安全施設 125
(6)集落道 126
(7)ため池 127
(8)山林 128
(9)歴史・文化 129
第7章
住民参加による農村環境保全 131
1.地域住民の参画と協働 131
2.地域住民・事業者・行政の役割分担 132
(1)地域住民の役割 132
(2)事業者の役割 132
(3)行政の役割 133
3.計画の進行管理 135
第1章 計画の概要
第1章 計画の概要
第1章
計画の概要
1.計画策定の背景と目的
これまでの農業農村整備事業は、国民に供給する食料を増産する
という目的を第一にした農業農村整備事業を積極的に推進してき
たが、近年では、農村地域の環境整備にも重点を移してきており、
国民が豊かな生活を送るために果たす農業農村整備事業の役割は
時代の要請に応じて大きく移り変わってきた。これは、農業が基礎
的な食料の安定供給という本来的な役割に加え、物質循環という機
能により、環境と最も調和した産業として水と緑豊かな国土の形成
とその保全にも貢献していることによる。
農業農村の機能としては、このような国土や地域の環境保全に係
る側面を有しているにもかかわらず、従来の農業農村整備事業では、
個々の事業地区において個別に環境に配慮するにとどまっており、
地域としての統一性や効率性に欠ける面があった。また、環境は広
域的なつながりを持っていることから、部分的な対応ではなく、町
域全体として一定の水準を確保した計画的取り組みを行う必要に
迫られている。
このような状況のもと、国においては、平成 11 年7月に生産者
と消費者、都市と農村の共生を可能とする「食料・農業・農村基本
法」を制定し、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の
●環境適合型社会
社会の構成員の活動
(日常生活や事業活動な
ど)が環境に悪い影響を
及ぼすことが少なく、将
来にわたって、豊かな自
然の恵みのもとに発展を
続けることができる社
会。
持続的な発展、農村の振興の4つの基本理念のもと、21 世紀を展
望した新たな農政政策体系の確立を目指している。平成 13 年6月
には、土地改良法が改正され、土地改良事業の実施の原則として環
境との調和への配慮が加えられ、農村地域の環境保全を総合的かつ
体系的、効率的に図ることを目的とした新しい農業農村整備を実施
していくための指針として「農村環境計画」の策定を推進している
ところである。
また、兵庫県では、環境適合型社会の形成を目指して、平成8年
6月に兵庫県環境基本計画を策定したほか、平成 12 年3月には農
林水産業の振興及び農山漁村づくりの指針を示した、ひょうご農林
水産ビジョン 2010 を策定し、21 世紀にふさわしい兵庫県の環境づ
くりのための取り組み方針を示してきた。
1
●ひょうご農林水産ビジ
ョン 2010
21 世紀初頭のひょうご
のの農林水産・農産漁村
の目指す姿を示す。また、
県農林水産行政の基本指
針。
黒田庄町農村環境計画
黒田庄町としては、平成9年に「黒田庄元気創造計画」を策定し、
人と自然が元気になる こころのふるさとづくり をキャッチフ
レーズに、うるおいと安らぎに包まれた町の実現のために、環境を
良好なまま将来世代へ引き継いでいくことをめざす。
このような国や県、町の農政政策・環境政策の方向性のもと、本
町の農村地域においても、地域のみならず町域の環境保全を総合的
かつ体系的、効率的に図っていくために、農業農村地域のもつ国
土・環境保全効果に着目した環境保全に関する取り組み指針が求め
られている。
このようなことから、特に農地・農村の環境保全機能等の多面的
機能の発揮及び農業の持続的な発展と農村振興の方策に焦点を当
て、環境保全の目標やこれを達成するために必要な対策の基本方針
及びこのための各種対策を定めた「黒田庄町農村環境計画」を策定
するものである。
2.農村環境計画の位置づけ
本計画が位置づける農村環境特性としては、黒田庄町の農村地域
(農業振興地域)を対象とした自然環境、社会環境、生活環境に大
別している。
本計画は、土地改良法の改正により環境との調和への配慮が事業
実施の基本原則として位置づけられたことを受け、環境と調和した
農業農村整備事業を推進していくためのマスタープランとして、そ
れら諸施策の根元となるものである。
また、そこに暮らす町民一人ひとりが豊かな地域環境を享受し、
地域への誇りと愛着をもって生活できるふるさと環境づくりを推
進していくため、農村環境整備の基本方針や具体的な方策を明らか
にしている。
2
第1章 計画の概要
3.農村環境計画の策定手順
本計画は、平成 13 年度の現況調査、平成 14 年度の計画立案の 2
ヵ年で策定している。本計画の策定手順は概ね以下のとおりである。
資料収集整理・現地踏査
②住民意向調査(アンケート調査)
一般世帯アンケート、児童アンケート
③現況調査
文献調査及び現地概査による自然環境、社会環境、生産環
境調査
④図上整理
各種調査結果の図上整理、図面作成
⑤現状及び課題の整理
農村環境にかかる現状及び課題の整理
平成 14 年度(計画立案)
⑥環境評価及び基本方針
環境評価・環境保全の基本的な考え方・環境保全目標
⑦広域的整備計画(町全域)
農村環境整備の基本的考え方、農業農村整備事業における
基本方針
⑧地域別整備計画(地域別)
地域別整備方針(計画)
⑨地域運営計画(住民参加)
計画の進行管理(実施体制)・地域住民等の参画の方針
※地域の環境点検、魅力再発見を目的とした「第 1 回ふるさ
とフォトコンテスト」開催
3
︵地域の率直な意見・地域独自の発想・アイデアの集約のため、ワークショップ方式を採用︶
①計画基礎調査
農村環境計画検討委員会を設置
平成 13 年度(現況調査)
黒田庄町農村環境計画
4
第2章 地域の現状と環境評価
第2章 地域の現状と環境評価
第2章
地域の現状と環境評価
1.現況調査
(1)地域概要
①沿革
本町は、1500 年前には現在の大字の原型と見るべき集落がすで
に形成されており、播磨国風土記によると、土の色が黒く黒田の里
と呼ばれ、鎌倉時代以後は黒田庄と呼ばれていた。明治維新以前は、
三草藩、一橋藩、尼崎藩、幕府領に分かれ、明治 4 年の廃藩置県と
ともに生野県となり、後、姫路県、飾磨県と変わり明治 9 年現在の
兵庫県となった。明治 22 年、町村制施行により黒田庄村と称し、
昭和 35 年に町制を施行して現在に至っており、旧村の合併のない
めずらしい町といえる。町の名前にある「庄」の字は、かつてこの
地が荘園だったことを物語っている。「荘厳寺」、「兵主神社」な
ど荘園時代の貴重な史跡も残されており、歴史の重みを感じさせる
寺や神社が各所にみられる。また、県下一の大河、加古川が流れ、
かつては水運の中継地として栄えたその面影が、いまも船町にみら
● 黒田庄町の位置
れる。
②位置
本町は、兵庫県のほぼ中心に位置する多可郡に属し、町のほぼ中
央部を東経 135 度線がとおり、南端は北緯 35 度線に近接している。
また、町域は、東西 8.4Km、南北 6.8Km、総面積 35.34km2 であり、
北は氷上郡山南町、南は西脇市、西は中町と接している。
③地勢
町東部には妙見山(標高 622m)がそびえ、これを主峰に 300∼
600m の山々が連なり、中起伏山地を形成している。一方、町の中
央には加古川(河床標高 62m)が南方に向かって貫流し、その両側
に沿って平地が開けており、東西に集落が分布している。そのほか、
町北部の加古川と篠山川の合流地点周辺では三角州が広がってい
る。
5
黒田庄町農村環境計画
④交通
道路交通については、加古川西岸を国道 175 号、東岸を県道黒田
庄滝野線が南北に走り、西脇市をはじめとする播磨地域や丹波地域、
さらには中国自動車道や山陽自動車道、舞鶴自動車道などの高速道
路に連絡している。また、町北部を県道山南中線、町南部を県道門
柳大門線及び県道津万井西田線が東西に走り、東の丹波・三田地域、
西の多可郡 3 町と本町とをつないでいる。
鉄道交通としては、加古川東岸を JR 加古川線が通っており、町
内に黒田庄駅、本黒田駅、船町駅の 3 駅が立地しているが、年々利
用者が減少している。
⑤地域特性
県下一の大河、加古川の中流部に位置し、かつては水運の中継地
として栄えた。その面影はいまも船町にみられ、水と緑が調和した
景観は町のシンボルともいえる。
また、町のほぼ中央を子午(東経 135 度)線が走り、キャンプな
どのアウトドア機能を備えた東はりま日時計の丘公園が整備され
ている。
町中央を南北に流れる加古川沿岸には平地が広がり、本町の中心
地や農村集落が分布している。その他は典型的な中山間地域であり、
他の中山間地域と同様に、本町においても高齢化、担い手の減少、
就業の場の不足が顕著である。これらにともない農業生産活動が低
下しており、環境保全機能の低下が危惧されている。
本町は豊かな緑を有しており、特に白山・荘厳寺周辺は自然環境
保全地域に指定され、動植物や野鳥、昆虫等の宝庫になっている。
また、町南東地域には、オオサンショウウオをはじめカジカガエル
やギフチョウなど貴重な生き物の生息が確認されている。
本町の特産品としては、織物、つり針、黒田庄ビーフ、しいたけ
などがあり、特に、黒田庄ビーフの産地として知られている。また、
播州毛ばりは国の伝統的工芸品に指定されている。
歴史・文化的施設については、かつてこの地が荘園であったこと
から、荘厳寺、兵主神社など歴史的価値の高い史跡や文化財が残っ
ている。
6
第2章 地域の現状と環境評価
(2)自然環境
①気象
気温については、冬は冷涼で夏は県下の一般的な値を示し、気温
の年較差及び日較差がともに大きいことから、内陸的な要素が強い。
降水量については 4 月から 9 月にかけて多く、それ以外の月では比
較的まとまった降水量であり、瀬戸内海側の気候に近い。年間平均
気温は 15.3℃、降水量は年間 1,657mmである。
●気温及び降水量
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9 月 10 月 11 月 12 月 年間
最高気温(℃) 8.1
8.5
12.5
18.5
23.2
26.8
30.4
31.7
27.6
21.8
16.3
11.0
19.7
-2.3
-1.8
1.0
5.7
10.1
15.3
21.4
21.6
17.5
10.3
4.9
0.1
8.6
2.9
3.4
6.8.
12.1
16.7
21.1
25.9
26.7
22.6
16.1
10.6
5.6
14.2
92
90
84
143
157
119
220
183
203
84
70
56
1,501
最低気温(℃)
平均気温(℃)
月降水水量
(mm)
資料:
「黒田庄中学校観測」
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9 月 10 月 11 月 12 月 年間
月平均気温(℃) 2.9
2.7
8.2
12.6
18.0
21.5
24.8
26.7
24.7
17.0
10.5
4.5
14.5
70
125
84
164
301
125
89
334
95
97
3
1,508
月降水水量
(mm)
21
資料:西脇測候所調べ「平成 11 年兵庫県気象年報」
7
黒田庄町農村環境計画
②地形・地質・土壌
[地形]
町東部では、妙見山(標高 622m)がそびえ、これを主峰に 300
∼600m の山々が連なっており、小・中起伏山地が広がっている。
一方、町の中央部には加古川(河床標高 62m)が南方に向かって貫
流し、その沿岸に扇状地性の平地が開けている。また、加古川とそ
の支流の合流地点周辺には、比較的開けた砂礫からなる台地が形成
されているほか、山南町との町境では加古川と篠山川が合流してお
り、その周辺部に三角州が広がっている。町南西部には、急峻な丘
陵地が広がっている。
[地質]
本町の地層は、加古川と門柳川に沿った谷間については新生代第
四紀に形成され、そのほかの山間地域については、中世代白亜紀に
形成されたものである。
地質に関しては、谷間には砂礫、砂、シルト、粘土といった未固
結堆積物が広く分布している。また、山間部の大部分は流紋岩類な
どの結晶質溶結凝灰岩で覆われ、一部地域においては安山岩類がみ
られる。
[土壌]
加古川沿岸は灰色低地土壌であり、その他の河川沿岸には褐色森
林土壌または乾性褐色森林土壌が広がっている。山間部は残積性未
熟土壌で覆われている。
8
第2章 地域の現状と環境評価
③水環境
[河川]
本町は、一級河川加古川の中流に位置し、その豊かな水系からな
る。加古川は流域面積 1,730km2、幹線流路延長 96km と兵庫県屈指
の河川であり、中国山地朝来郡山東町と氷上郡青垣町の境界にある
栗鹿山(標高 962m)を源に数々の支流が合流し、瀬戸内海の播磨
灘に注いでいる。本町においては、山南町との町境付近で篠山川と
合流した後、黒田地区で南谷川、大伏地区で野尾谷川、、津万井地
区で門柳川、西脇との市町境で福地川と合流している。
加古川東岸は標高が高いため、加古川から水が十分に引けず、昔
から干害に悩まされてきた経緯があり、ため池が多く設けられてい
る。一方、加古川西側は標高が低く、水害が多いため、堤防ととも
に安定した水を引くための小苗井堰、西部井堰、喜多・前坂・黒田
井堰が整備されている。
加古川の水質については、町内では 5 箇所の下水処理場が整備さ
れ、水質汚濁に係る環境基準の B 類型(水素イオン濃度 pH:6.5
∼8.5、生物化学的酸素要求量 BOD:3mg/ 以下、浮遊物質量 SS:
25 mg/ 以下、大腸菌群数 5,000 個/100ml 以下)を満足している。
そのほか、門柳川が町南東部を流れ、加古川と合流するまで多く
の農村集落を貫流し、農業や生活に必要な水を供給している。
●加古川
●篠山川・佐治川・加古川
11
黒田庄町農村環境計画
●河川・水系一覧
流域面積
水系
河川名
小苗谷川
1.4
堂ヶ谷川
0.3
北谷川
3.3
田高谷川
1.2
南谷川
加古川水系
(km2)
加古川
宮ノ本川
1.5
市山谷川
野尾谷川
7.2
西の塔谷川
権現谷川
村中谷川
門柳川
門柳東谷川
20.9
才谷川
福地川
大谷川
2.0
資料:「茨谷川渓流環境整備計画策定業務報告書」
●加古川(新中橋)の水質及び流量
大腸菌群数
年度
PH
BOD(mg/ ) SS(mg/ )
(個/100ml)
平成 8 年
7.2
1.7
7.0
3,058
平成 9 年
7.3
1.1
9.1
3,617
平成 10 年
7.4
1.1
6.5
4,118
平成 11 年
7.4
1.4
11.3
1,924
平成 12 年
7.2
1.5
8.9
3,100
資料:「公共用水域及び地下水の水質測定結果;兵庫県」
12
第2章 地域の現状と環境評価
[ため池]
農業を基幹産業とする本町にあって、加古川東岸では干害が多く、
十分な水源を確保することが昔からの課題であり、江戸時代の中頃
より多くのため池が整備されてきた。現在、36 のため池が現存し
ており、そのうち 14 のため池が改修済みである。しかし、その他
にも、防災上危険なため池をはじめ、改修を必要とするため池が多
く残っている。
●ため池一覧
受益
面積
(ha)
備考
名称
喜多
5.0
H. 7 改修
尾地池
門柳
3.0
小谷池
喜多
3.0
信神池
門柳
0.5
大谷池
喜多
2.0
村池
門柳
4.0
H.10 改修
大谷補助池
喜多
1.0
寺池
門柳
0.5
H. 2 改修
秋谷池
喜多
26.8
門柳池
門柳
0.0
−
庵谷池
喜多
52.5
市山池
石原
4.2
三山池
大門
0.1
西ノ塔池
石原
2.6
伊勢講池
大門
0.1
野尾谷池
石原
1.6
S.54 改修
畑瀬池
大門
0.1
中池
黒田
9.8
S.61 改修
名称
所在地
村池
谷ノ池
津万
井
S.48 改修
S.60 改修
所在地
受益
面積
(ha)
備考
黒田
0.7
S.61 改修
北山池
H.10 改修
奥山池
黒田
3.0
S.51 改修
S.63 改修
1.0
長池
福地
5.0
政右エ門池
福地
5.0
新池
黒田
16.0
谷田池
福地
1.0
末谷池
黒田
30.8
宮池
岡
7.0
S.56 改修
大山谷池
黒田
0.9
小山池
岡
5.0
H. 2 改修
大山谷補助池
黒田
0.9
福谷池
岡
4.0
S.61 改修
殿山池
黒田
7.0
釜池
岡
9.0
坂下池
黒田
0.9
−
五領池
岡
0.5
南池
前坂
39.2
S.36 改修
資料:「黒田庄町
ため池台帳」
13
S.34 改修
黒田庄町農村環境計画
④植物
これまでに人間の影響をほとんど受けていない自然植生は、ごく
わずかしか残っておらず、ほとんどが元あった植生に人為が加わっ
た代償植生や植林地に置き換えられている。しかし、集落の大半が
緑の多い住宅地に属し、アンケート調査の結果からも身近な緑に恵
まれていることがうかがえる。
[自然植生]
自然植生は神社、寺院、仏閣の周辺の社寺林などにわずかに残っ
ている。まとまった自然植生としては、町北部の神社周辺にヤブツ
バキクラス域自然植生のコジイ−カナメモチ群集が分布している。
草本類では、ウキクサクラス・ヒルムシロクラスの植生が一部のた
め池にみられ、ヨシクラスの植生が加古川の全域で広範囲に分布す
るほか、現地踏査により一部のため池で確認されている。
[代償植生]
加古川以西には、アカマツ−モチツツジ群集が広がっているが、
加古川以東では、アカマツ−モチツツジ群集のほかにコナラ群集や
スギ・ヒノキ植林が分布し、それぞれ同程度の面積を占めている。
また、加古川沿岸に広がる平地は広く、水田雑草群落も広範囲に及
んでいる。
既存資料及び現地調査により本町で確認された植物のうち、貴重
な植物と判断される種について、一覧を以下の表に示す。
●貴重な植物
文献調査
樹種名
特定植物群落 巨樹・巨木林
●サギソウ
現地踏査
現地
ヒアリング
兵庫県
小苗のケヤキ
―
○
―
―
―
喜多のアベマキ
―
○
―
―
―
岡のクスノキ
―
○
―
―
―
村池のイトモ
―
―
要調査種
○
―
門柳のサギソウ
―
―
C ランク
―
○
注
1.『特定植物群落』
:
「自然環境保全基礎調査」による。
「日本の巨樹・巨木林」による。
2.『巨樹・巨木』 :
3.『兵庫県』
:
「兵庫県版レッドデータブック」による。
4.『現地踏査』
:
「現地踏査」による。
5.『現地ヒアリング』 :
「現地ヒアリング」による。
14
第2章 地域の現状と環境評価
【植物】
1.特定植物群落選定基準
記号
選定理由
A
原生林もしくはそれに近い自然林。
国内若干地域に分布するが、極めて希な植物群落又は個体
群。
比較的ふつうにみられるものであっても、南限、北限、隔離
分布等分布限界になる産地にみられる植物群落又は個体群。
砂丘、断崖地、塩沼池、湖沼、河川、湿地、高山、石灰岩地
等の特殊な立地に特有な植物群落又は個体群で、その群落の
特徴が典型的なもの。
強度景観を代表する植物群落で、特にその群落の特徴が典型
的なもの。
過去において人工的に植栽されたことが明らかな森林であ
っても、長期にわたって伐採等の手が入っていないもの。
乱獲その他人為の影響によって、当該都道府県内で極端に少
なくなるおそれのある植物群落又は個体群。
B
C
D
E
F
G
H
その他、学術上重要な植物群落又は個体群。
2.巨樹・巨木林の調査対象基準
地上から約 130cmの位置での幹周(囲)が 300cm以上の樹木又はこれら
が生育している樹林・並木等。なお、地上から約 130cmの位置において幹
が複数に分かれている樹木の場合には、個々の幹の幹周の合計が 300cm以
上であり、そのうちの主幹の幹周が 200cm以上のものとする。
3.兵庫県
記号
A ランク
B ランク
C ランク
要調査種
植物
日本版レッドデータブックの絶滅危惧種に相当。兵庫県内に
おいて絶滅の危機に瀕している種等、緊急の保全対策、厳重
な保全対策の必要な種。
日本版レッドデータブックの危機種に相当。兵庫県内におい
て絶滅の危機が増大している種、個体数の極めて少ない種、
極力、生息環境、自生地等の保全が必要な種。
日本版レッドデータブックの希少種に相当。特殊な環境に生
息・生育する種、個体数の極めて少ない種、分布域の極限し
ている種等、兵庫県内において存続基盤が脆弱な種。
本件での生息・生育の実体がほとんど分からないこと等によ
り、現在の知見では貴重種の評価ができないが、今後の調査
によっては貴重種となる可能性のある種。
記号
A ランク
B ランク
C ランク
要注目
植物群落
規模的、質的に優れており貴重性の程度が最も高く、全国的
価値に相当するもの。
A ランクに準ずるもので、地方的価値、都道府県的価値に相
当するもの。
B ランクに準ずるもので、市町的価値に相当するもの。
人間生活との関わりを密接に示すもの、地元の人に愛されて
いるもの等、貴重なものに準ずるものとして保全に配慮すべ
きもの。
15
黒田庄町農村環境計画
⑤動物
[哺乳類]
アナグマ、ニホンザル、ニホンジカ、タヌキ、キツネ、イノシシ
が広く分布している(第 2 回自然環境保全基礎調査,昭和 53 年度;
旧環境庁)。
●アナグマ
[鳥類]
良好な水辺環境の指標種であるヤマセミやカワセミが町南部の
加古川付近で確認されている。
●カワセミ
●ヤマセミ
●ミサゴ
[両生類]
鳴き声の美しいカジカガエルが門柳川流域に生息するほか、門柳
川上流にはモリアオガエルの生息が確認されている。
●オオサンショウオ
●カジカガエル
16
●モリアオガエル
第2章 地域の現状と環境評価
[魚類]
門柳川上流にはアブラハヤ・カジカ、加古川流域にはオヤニラ
ミ・ホトケドジョウ・スジシマドジョウ・アカザ・ドジョウ・メダ
カ、加古川の一部にはイチモンジタナゴの生息が確認されている。
●アカザ
●ヨシノボリ
●カジカ
●メダカ
[昆虫類]
加古川や門柳川及びその支流でゲンジボタルの生息が確認され
ている。そのほか、加古川とその周辺を除いて、ハルゼミが広く分
布し、東はりま日時計の丘周辺にはギフチョウ、門柳川上流にはハ
ッチョウトンボの生息が確認されている。
●ハルゼミ
●ギフチョウ
●ハッチョウトンボ
このほか、現地踏査、現地ヒアリングの結果、文献調査対象種の
ほかにミサゴやオオサンショウウオなどの貴重種をはじめ多くの
生物が確認されている。
17
黒田庄町農村環境計画
●貴重な動物
文献調査
区分
種名
哺 乳類
ア
ナ
ミ
鳥
類
絶滅法
グ
サ
兵庫県
―
―
C
―
―
ゴ
―
準絶滅
危惧種
A
○
―
マ
ヤ
マ
セ
ミ
―
―
B
―
―
カ
ワ
セ
ミ
―
―
B
―
―
B
―
○
B
―
○
C
―
―
B
―
―
A
―
―
―
A
―
―
オ
類
国際希少野 準絶滅
生動植物種 危惧種
モ リ ア オ ガ エ ル
カ ジ カ ガ エ ル
魚
現地ヒアリ
ング
国
オオサンショウウオ
両 生類
現地踏査
ヤ
準絶滅
危惧種
絶滅危
惧ⅠB 類
―
ホ ト ケ ド ジ ョ ウ
―
スジシマドジョウ
―
ア
―
―
B
―
―
絶滅危
惧Ⅱ類
B
―
―
ラ
ラ
―
ミ
ブ
ニ
―
ハ
ヤ
ア
カ
ザ
―
カ
ジ
カ
―
―
B
―
―
イチモンジタナゴ
―
絶滅危
惧ⅠB 類
C
―
―
ド
ウ
―
―
要 注 目
○
○
カ
―
絶滅危
惧Ⅱ類
要 注 目
○
○
ハッチョウトンボ
―
―
C
―
―
―
―
指 標 種
(第 2 回)
―
―
ウ
―
絶滅危
惧Ⅱ類
B
―
―
ゲ ン ジ ボ タ ル
―
―
要 注 目
―
○
ジ
メ
ハ
ョ
ダ
ル
ゼ
ミ
昆 虫類
ギ
フ
チ
ョ
注 1.『絶滅法』
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」による。
「絶滅のおそれ」とは,野生動植物の種について,種の存続に支障をき
たす程度にその種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつあるこ
と,その種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつあること,そ
の他その種の存続に支障を来す事情があることをいう。
区分
国内希少野生動植物種
国際希少野生動植物種
緊急指定種
基本概念
その個体が本邦に生息し又は生育する絶滅の恐れ
のある野生動植物の種であって政令で定めるもの
国際的に協力して種の保存を図ることとされてい
る絶滅のおそれのある野生動植物の種(国内を除
く。
)
国内・国際希少野生動植物種以外の野生動植物の
種の保存を特に緊急に図る必要があるとき
18
第2章 地域の現状と環境評価
注 2.『国』
:
「レッドデータブック」による。
区分
基本概念
過去に我が国に生息したことが確認されており、飼育・栽
絶滅
培下を含め、我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
過去に我が国に生息したことが確認されており、飼育・栽
野生絶滅
培下では存続しているが、我が国において野生ではすでに
絶滅したと考えられる種
現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場
絶滅危惧I類
合、野生での存続が困難なもの
絶滅危惧 IA類 ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高
いもの。
絶滅危惧 IB類 IA 類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の
危険性が高いもの
現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場
絶滅危惧 II 類
合、近い将来「絶滅危惧 I 類」のランクに移行することが
確実と考えられるもの
現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっ
準絶滅危惧
ては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有す
るもの
評価するだけの情報が不足している種
情報不足
注 3.
『兵庫県』
:
「兵庫県版レッドデータブック」による
区分
今みられない
Aランク
Bランク
Cランク
基本概念
兵庫県内での確認記録、標本がある等、かつては生息・
生育していたと考えられるが、現在はみられなくなり、
生息・生育の可能性がないと考えられる種。鳥類にあ
たっては、過去には兵庫県内で毎年又は通年みられた
が、現在は希に迷鳥としてしかみられなくなった種に
ついては、この区分に含めることとした。
日本版レッドデータブックの絶滅危惧種に相当。兵庫
県内において絶滅の危機に瀕している種等、緊急の保
全対策、厳重な保全対策の必要な種。
日本版レッドデータブックの危機種に相当。兵庫県内
において絶滅の危機が増大している種等、極力、生息
環境、自生地等の保全が必要な種。
日本版レッドデータブックの希少種に相当。特殊な
環境に生息・生育する種、個体数の極めて少ない種、
分布域の極限している種等、兵庫県内において存続基
盤が脆弱な種。
要注目種
最近減少の著しい種、優れた自然環境の指標となる種、
特殊な分布をする種などの貴重種に準ずる種。
地域限定貴重種
標語県全域でみると貴重とはいえないが、兵庫県内の
特定の地域においては A,B,C,要注目のいずれかの
ランクに該当する程度の貴重性を有する種。
未確認貴重種
兵庫県内での生息・生育の可能性が相当あるが、現在
のところ確認されていない種で、県内で確認されれば
A,B,C,要注目のいずれかにランクづけされる種。
要調査種
本件での生息・生育の実体がほとんど分からないこと
等により、現在の知見では貴重種の評価ができないが、
今後の調査によっては貴重種となる可能性のある種。
指標種
生息域周辺の環境変化により分布に隔たりが生じる、
地域環境の指標となる種。
注 4.『現地踏査』 :
「現地踏査」による。
注 5.『現地ヒアリング』
:
「現地ヒアリング」による。
19
●レッドデータブック
絶滅のおそれのある野
生生物をリストにしてそ
の分布や生息状況を詳し
く紹介するガイドブック
による。
黒田庄町農村環境計画
●主な貴重な野生生物解説
哺乳類
アナグマ
丘陵地から低山帯の森林や灌木林に棲息する。果樹園や民家の近
くに現れることも多い。穴掘りが得意で地中に巣穴を掘り家族単
位で生活する。顔つきがタヌキと似ていることからよく間違えら
れる。
鳥類
ミサゴ
ヤマセミ
カワセミ
海岸、河川、池沼などに魚を求めて飛行する姿が、まれに記録
される程度である。
近年樹林の伐採で営巣樹を奪われ、また、河川、ため池、湿地
の埋め立てなどで漁場を失い急激に減少の一途をたどっている。
冠羽の目立つ白黒まだらの美しい鳥で、渓流や池沼近くの木に
とまってじっと水中の魚をねらい、機をみて飛び込んではこれを
捕らえる。
兵庫県には留鳥として山地や丘陵帯に記録されたが、河川改修
あるいは宅地開発等のため、魚を捕らえる環境の急激な変化にあ
い、減少傾向にある。
1950 年頃までは、各地にごく普通に見られたが、農薬被害で一
時農耕地帯の池沼には、ほとんど見ることが出来ず、山寄りの池
沼、小川沿いにわずかに見られる程度に減少した。その後は、各
地で回復のきざしが見えるようになってきたが、一方で湿地、た
め池の埋め立てなどで、全く姿を消した地域もある。
両生類
オオサンショウウオ
モリアオガエル
カジカガエル
日本特産で世界最大の両生類として貴重なため国の天然記念
物に指定されているが、現在生息数は少なくない。しかし、河川
工事により確実に隠れ家や繁殖の場が減少している。自然分布は
岐阜以西の本州と四国、九州であるが、兵庫県を含む中国山地が
主生息地である。
日本の代表的な水中生物であるが、夜行性であることやライフ
サイクルが長いことなどで生態は不明な点が多い。
体長は雌で 70mm、雄で 60mm 前後と大型で、背面に暗褐色の
斑紋が現れることがある。
水田や湿地周辺の森林で生活し、5∼7 月に水辺の地面や草の上、
木の枝などに泡状の卵を産む。
体長は雌で 60mm、雄で 40mm で雌雄差が著しい。県下でも河
川の河川の本流を中心に分布する。アオガエル科ではあるが、体
は灰褐色で緑色にならない。雄は河原で非常に美しい声で鳴く。
ヒグラシに似た感じで、フィーヨフィーヨと鳴く。
魚類
ホトケドジョウ
オヤニラミ
全長 5cm 口ひげが4対あること尾鰭基底に暗色斑がないことで
日本産どじょうと区別できる。青森を除く東北以南に分布し、
兵庫県下では加古川水系のみ分布が見られ、ここが西限である。
全長 13cm になる。海産魚のメバルに似た体形である。兵庫県
では加古川、千種川、揖保川、夢前川、円山川に自然分布する。
大河川の中流域、中小河川下流域など水のきれいな岸近くの緩流
部を好む。
河川改修による環境悪化のため減少している。兵庫県では比較
的生息数は多い。
昆虫類
ハッチョウトンボ
ギフチョウ
低地から山地の浅く陽当たりの良い草丈の低いミズゴケ湿地
や休耕田に生息し、5 月中旬から 10 月中旬に見られる。
本州特産の小型の美しいアゲハチョウで、年1回桜の開花頃に
現れる。生息地が里山に近いことから宅地造成などの影響を受け
やすい。食草はカンアオイ類である。
20
第2章 地域の現状と環境評価
⑥景観
県下一の大河、加古川の中流部に位置し、かつては水運の中継地
として栄えたこともあり、水と緑が調和した景観は町のシンボルと
もいえる。また、加古川沿岸には平坦地が広がり、そこには集落と
農地が広がる農村風景がみられる。近年では、新興住宅地や新築の
住宅もみられるが、各集落には昔ながらの木造住宅が多く残り、こ
れらは日本の田舎風景といえる。山間部においては、スギ・ヒノキ
の植林が多くみられるほか、アカマツ林、コナラ林を背景に山麓低
地には水田が広がり、その中に集落が点在する、いわゆる里山景観
となっている。
特筆すべき景観としては、門柳川上流にはししがきが残り、昔か
らの門柳地区特有の田園景観がみられる。自然環境に恵まれた荘厳
寺一帯は、自然環境保全地域に指定され、山野草をはじめとした植
物の宝庫となっており、秋になると紅葉の名所として多くの人が訪
れる。福谷公園は、桜の名所であるとともに、四季を通して藤、紫
陽花、紅葉等の美しい景観がみられる。また、加古川西岸の新中橋
周辺では桜の名所として親しまれている。近年においては、東はり
ま日時計の丘公園内の才谷川で、景観と親水性に配慮した「水と緑
の砂防モデル事業」が行われており、さらに、平成 13 年現在では、
福地の稲荷神社と御霊神社の間の谷間でも景観に配慮した砂防事
業が進められている。
一方、妙見山、白山一帯には登山コースが整い、白山、まばお、
妙見堂等からの眺めは、訪れる人々を楽しませている。
●福谷公園の桜
●田園風景
●畑瀬橋
●コスモス畑
23
●里山
集落周辺の丘陵か低山
地帯に広がる薪炭生産・
堆肥や木材生産など農業
を営むのに必要な樹林
で、農地に続く樹林、た
やすく利用できる樹林。
黒田庄町農村環境計画
⑦廃棄物処理
●黒田庄町さわやかなまち
づくり条例
国際社会や全国的な環境
保全活動とも呼応しつつ、
町事業者及び町民が一体と
なって、健全で恵み豊かな
環境の保全及びゆとりと潤
いのある美しい環境の創造
を基調とし、さわやかなも
ちづくりを積極的に推進す
る。
ゴミ処理は、西脇多可及び滝野町とともに北播磨清掃事務組合が
処理を行っている。ゴミ処理量については増加傾向にあり、その内
訳は、消却処理は増加、埋め立て・リサイクルについては、リサイ
クルプラザの新設など施設の充実を進めており、年毎にばらつきが
あるが、中・長期的には増加している。しかし、近年、工場等の事
業活動やレジャー、日常生活のマナーの低下により、ゴミの不法投
棄や空缶等の散乱、騒音や悪臭の発生などの苦情も少なくない。
このような中、「黒田庄町さわやかなまちづくり条例」を設け、
リサイクル活動や環境美化等を通してゴミ問題等を解決し、住みよ
い町に向けて取り組んでいる。
●ゴミ収集処理状況(許可業者の搬入を含む)
年度
排水量
対象人口
収集処理量
平成 9 年
1,898
8,309
平成 10 年
1,945
平成 11 年
(単位:人,t)
処理内容
消却
埋め立て・リサイクル
1,726
1,634
264
8,287
1,774
1,663
282
1,970
8,294
1,801
1,724
246
平成 12 年
2,019
8,231
1,820
1,753
266
平成 13 年
2,074
8,162
1,934
1,850
224
資料:
「住民課」
24
第2章 地域の現状と環境評価
(3)社会環境
①地域指定
本町の総面積 3,534ha のうち農業振興地域は 870ha であり、農用
地区域には 335ha が設定されている。都市計画区域については、都
市計画制度を導入していないため指定されていない。また、宅地造
成工事規制区域、保安林指定、鳥獣保護区、自然環境保全地域、特
別誘導地域、工場適地、特定中小企業対策地域、特定不況地域、伝
統的工芸品産業振興地域、辺地の指定を受けている。
●法令に基づく地域等の指定状況
地域等の名称
指定年月日
根拠法令
保安林指定
明治 30 年
森林法
鳥獣保護区
昭和 38 年
鳥獣保護、狩猟に関する法律
農業振興地域
昭和 48 年
農業振興地域の整備に関する
法律
宅地造成工事規制区域
昭和 48 年
宅地造成等規制法
自然環境保全地域
昭和 49 年
自然環境の保全と緑化の推進
に関する法律
特別誘導地域
昭和 53 年
工場再配置促進法
工場適地
昭和 55 年
工場立地法
特定中小企業対策地域
昭和 61 年
特定不況地域
昭和 62 年
伝統的工芸品産業振興地域
昭和 62 年
辺地
昭和 63 年
埋蔵文化財
昭和 63 年
25
特定地域中小企業対策臨時措
置法
特定不況地域の振興に関する
法律
伝統的工芸品産業の振興に関
する法律
辺地にかかる公共的施設の総
合整備のための財政上の特別
措置等に関する法律
文化財保護法
黒田庄町農村環境計画
②地域指標
[人口と世帯数]
総人口は、昭和 35 年の町発足時から減少しているものの、近年
においてはほぼ横這いであり、約 8,000 人である。
また、年齢階層別人口において0∼4歳までの人口は極端に減少
し少子化が顕著に現れている。しかし、0歳∼19歳よりも20歳
∼39歳階層の人口の方が少なく、44歳以下についてほぼ寸胴な
形となっている。これは、若者層の他市町への就業による流出が原
因と考えられる。
高齢者の占める割合についても平成 12 年では 21.8%となってお
り、昭和 60 年の 13.8%と比べると 8%増えており高齢化が進行し
ている。
男
人口
世帯数
人口(人)
10,000
世帯数(戸)
90∼94歳
3,000
80∼84歳
女
70∼74歳
8,000
60∼64歳
2,000
6,000
50∼54歳
40∼44歳
4,000
30∼34歳
1,000
20∼24歳
2,000
10∼14歳
0
0
0∼4歳
S30S40S50S60 H2 H7 H12
400
300
200
100
0
100
200
人口(人)
●人口及び世帯数の推移
●年齢階層別人口
(国勢調査)
(国勢調査
平成 12 年)
(%)
100
13.8
16.3
19.6
21.8
80
60
64.6
65 歳∼
65.1
63.0
62.0
40
20
15 ∼64 歳
0 ∼14 歳
21.6
18.6
17.4
16.2
S60
H2
H7
H12
0
●年齢区分別人口構成の推移
(国勢調査)
26
300
400
第2章 地域の現状と環境評価
[産業構造]
就業人口について、その総数は総人口と同様にほぼ横這いである。
産業別にみると、平成 12 年で、第 1 次産業人口は 3.9%、第 2 次
46.0%、第 3 次 47.7%となっている。今後は第 1 次、第 2 次産業に
おける就業者は減少し、第 3 次産業の就業者は増加が続くと考えら
れる。
林業については、本町の森林は 2,565ha あり、うち 26.8%が人工
林で、針葉樹(杉、檜)が造林の大半を占める。また、林野面積のう
ち 98.9%が私有林である。林業特産物としては、しいたけがあげら
れる。近年の木材需要の低迷、林業経営費の高騰、林業労働者の高
齢化と後継者不足により、厳しい状況に直面し、素材生産量は停滞
している。
本町の工業は、古くから織物業が盛んであり、西脇織物圏の一角
をなしてきた。釣針、特に毛針は工芸品としての価値が高く、国の
伝統的工芸品の指定を受けている。しかし、近年の長引く不況によ
り、本町の工業は停滞状態が続き、事業所数が減少するとともに雇
用能力が低下している。しかし、製造業の出荷額がのびているなど
明るい話題もみられる。業種構成をみると窯業・土石製品製造業の
比率が高く、従来の繊維工業に代わって本町工業の中心的存在とな
っている。
商業については、流通サービス業については、近年における経済
のサービス化を反映して好調である。小売業については、西脇市な
ど近隣の地域に大型商業施設が設置されるなど町外消費が進んで
いるが、町内においても国道沿いを中心に新しく商業施設の立地が
進んでいる。
観光業については、総入込客 33 万人の内、半数が町内客、もう
半数が町外客であり、ほとんどが日帰り客である。また、夏季に入
込客が集中する傾向がある。
その他
1.4%
観光産業の
振興
16.9%
商店街の整
備・活性化
をはかる
6.3%
大規模農家
無回答 の育成を進
8.0% める 5.1%
地場産業の
振興をはか
る 21.3%
農業経営組
織の法人化
7.8%
工場の誘致
を進める
31.9%
林業の振興
をはかる
1.2%
【これからの産業に必要なもの】
新しく工業団地を造成するなど、
「工場の誘致を進める」が 31.9%と
最も多く、経営改善、人材育成などに
より、「地場産業の振興をはかる」が
21.3%となり、あわせて全体の半数以
上を占めています。
27
黒田庄町農村環境計画
第3次産業
第2次産業
5,000
第1次産業
4,000
3,000
2,000
1,000
0
平成2年
平成7年
平成12年
●産業大分別就業人口の推移
●産業大分別就業人口の推移
(単位:人、%)
就業人口
計
構成比
第1次 第2次 第3次
計
第1次 第2次 第3次
平成 2 年
4,103
190
2,197
1,711
100.0
4.6
53.5
41.7
平成 7 年
4,087
150
2,038
1,897
100.0
3.7
49.9
46.4
平成 12 年
4,035
157
1,857
1,924
100.0
3.9
46.0
47.7
資料:
「国勢調査」
●林種別・所有形態別林野面積
林種別林野面積
所有形態別林野面積
国有
人工林
天然林
公有
林野庁 その他
計
所 管
の官庁
民有
県有
町有
私有
(ha) 2,565
688
1,857
−
−
1
28
2,537
(%) 100.0
26.8
72.4
−
−
0.0
1.1
98.9
資料:黒田庄町森林整備計画
28
第2章 地域の現状と環境評価
400
300
200
100
0
H7
H8
H9
H10
H11
●総入込数の推移
●総入込数および宿泊客数の推移
(単位:千人)
年度
7
8
9
10
11
11/10
総入込数
301
296
291
316
334
105.7%
宿泊客数
21
20
20
21
21
100.0%
資料:
「平成 11 年度
観光客動態調査報告書」
●形態別入込数
総入込数
334
(単位:千人)
居住別
日帰り客
313
資料:
「平成 11 年度
四季別
県外客
県内客
春
夏
秋
冬
165
169
93
121
83
37
観光客動態調査報告書」
29
黒田庄町農村環境計画
③土地利用
町域の 7 割以上を山林が占め、農地や農業集落は 1 割余りであり、
米、野菜、肉牛などを中心に食料生産が行われている。
町の中央を縦貫する国道 175 号線は中国自動車道にも近く、バイ
パスが計画されており、交流機能の向上が期待される。公共交通機
関については、JR 加古川線が運行されるものの、便数は少ない。
JR 黒田庄駅から町役場、中央公民館にかけての一帯は、各種の
公共施設や商店などが集まり、町民生活の中心地としての機能を備
えている。また、新中橋をはさむ東西の地域には近年医療・福祉施
設が開設され、今後住宅や生活関連施設の立地が進むと予想される。
●土地利用状況の推移
総面積
(km2)
平成 3 年
平成 8 年
平成 11 年
(単位:ha)
牧場原
田
畑
宅地
山林
雑種地
その他
野
35.34
399
40
165
1,112
11
23
1,782
100.0%
11.3%
1.1%
4.7%
3.1%
0.3%
0.7%
50.4%
35.34
388
35
176
1,004
12
32
1,887
100.0%
10.9%
1.0%
4.9%
28.4%
0.3%
0.9%
53.4%
35.34
383
36
166
999
12
33
1,905
100.0%
10.8%
1.0%
4.7%
28.3%
0.3%
0.9%
53.9%
資料:
「兵庫県統計書」
30
第2章 地域の現状と環境評価
④観光・レクリエーション
東はりま日時計の丘公園は、「子午線=時」をテーマとし、四季
折々の自然に親しみながら野外での生活をおくることができる施
設である。公園内には、オートキャンプ場、ロッジやコテージなど
があり、利用率は全国トップクラスである。その他、たくさんの日
時計が置いてある広場もある。
東はりまフォルクスガーデン黒田庄は、北播磨の豊かな自然と美
しい景観を生かしたイングリッシュスタイルのガーデンである。こ
こでは、ガーデニング講座や暮らしに関わる講習会を実施している。
ガーデンハウス内では花や木の苗木、ガーデニングに関する資材等
の販売も行っている。
東はりまフォルクスガーデン黒田庄と隣接する緑と水の郷秋谷
は、森林と水辺のある自然空間として整備され、散策路や展望台、
藤棚などにより、手軽に自然と親しめるように整備されている。ま
た、池周辺の森林は保安林指定されており、防災機能も兼ね備えて
いる。
このほか、西部井堰周辺の加古川河川敷は公園化が進められ、妙
見山や白山などは登山コースとして人気が高く、加古川のいかだ下
り大会などのイベントが行われており、自然豊かな観光資源や歴
史・文化資源が存在する。
33
黒田庄町農村環境計画
●主要な観光・レクリエーション施設
東はりま日時計の丘公園
日時計の丘を中心とする「歳時
記の森」のほかに、県内初のオー
トキャンプ場「東播磨野外 CSR
施設」を備え、AC 電源が完備さ
れたオートキャンプ場が 35 サイ
ト、キッチン、バス等完備のロッ
ジが 6 室、バーベキューサイト、
レストラン、売店などを設置して
いる。
東はりまフォルクスガーデン黒田庄
豊かな自然と美しい景観を生か
したイングリッシュガーデンであ
り、園内には 300 種類もの景観植
物が植栽され、四季折々の花や樹
木を楽しむことができる。また、
植物の育て方や植栽のデザインの
基礎等を学ぶことができる。
緑と水の郷
秋谷
東はりまフォルクスガーデン黒
田庄に隣接し、森林と水辺のある
自然空間として整備されている。
池周辺には 2.7km におよぶ散策路
が設けられ、展望台、藤棚などに
より、手軽に自然と親しめるよう
に整備されている。また、池周辺
の森林は保安林指定されており、
防災機能も兼ね備えている。
子午線モニュメント
国道 175 号線沿いに建てられ
た子午線(東経 135 度線)上に位
置するモニュメントであり、周辺
は桜の名所となっている。
34
第2章 地域の現状と環境評価
丸山公園
多可 10 景の1つであり、山
頂への道沿いには四国八十八
カ所の札所の石仏が立ってい
る。
福谷公園
桜の名所であり、春になると
稲荷神社の赤い鳥居のトンネル
が満開の桜に包まれる。また、
藤、紫陽花、紅葉等により一年
を通じて美しい景観をみせてい
る。
白山
ふるさと兵庫 50 山にも選ばれ
ている標高 510mの山であり、晴
れた日には、明石海峡大橋や淡路
島が遠望できる。北側麓にはのぞ
き岩があり、荘厳寺の多宝塔など
が望むことができる。
コブ岩
小杉原山の頂上にある高さ
4m、周囲 10m の巨大な岩。江戸
時代から人々の信仰を集め、現
在ではハイキングコースとして
多くの人々に親しまれている。
35
黒田庄町農村環境計画
荘厳寺
多宝塔
自然環境に恵まれた荘厳寺一帯は、自
然環境保全地域に指定され、山野草はじ
め植物の宝庫となっている。野山真言
宗、荘厳寺。 法道仙人の創建と伝えら
れる。江戸時代には、十余の僧坊があっ
た。その他、多宝塔や鐘楼を擁し、その
重厚なたたずまいは、周囲の静寂さと相
まって、訪れる人の心を魅了する。
兵主神社
兵主神社の御祭神は大己貴命が祀られています。拝殿が長床式入母屋造
りで、茅葺きの大屋根が特徴となっている。天正 19 年(1519 年)の棟札が
残り、全国でも数少ない桃山時代の様式を伝える遺構として兵庫県指定の
重要文化財となっている。
秋祭りには大伏、喜多、大門、津万井、岡の各地区から5台の屋台が練
り出し、宮入りが行われる。屋台が境内に据えられると子供奉納相撲や屋
台の宮出しが行われる。
いかだ下り大会
加古川で行われるいかだ下り大
会は、恵まれた自然と深い歴史をた
たえた町を舞台とした交流イベン
ト。年々人気を集めている。
36
第2章 地域の現状と環境評価
⑤関連計画
兵庫県には次の図に示すように環境保全とその創造に関する多
くの条例や計画が策定されている。その中で、農業農村整備事業の
実施の際に周辺の環境へ配慮しなければならない内容が含まれて
いる主な計画は以下のとおりである。
「環境基本計画」:兵庫県の環境計画の最上位に位置する
(以下は、環境基本計画の部門別推進計画)
「流域水環境保全創造指
「緑の総量確保推進計画」
「景観形成等基本方
「兵庫ビオトープ・プラン」
「ひょうご快適環境プラン」
また、兵庫県の農業農村整備事業の基本的な展開方向と実施目標
を示している「新しい兵庫の農業・農村をめざして(兵庫の農業農
村整備事業計画)」及び黒田庄町のまちづくりの指針となる「黒田
庄元気創造計画(人と自然が元気になるこころのふるさとづくり)」
も関連計画とする。
本計画に関連する条例等の概要を農村環境計画に関する記述内
容を中心として、次頁にまとめる。また、本町で策定されている農
業関係法令に基づく各種農業振興計画の概要を続けて示す。
39
黒田庄町農村環境計画
昭和 61 年 3 月
平成 2 年 3 月
ひょうご快適環境プラン
兵庫 2001 年計画
平成 7 年 7 月
環境の保全と創造に関する条例
環境基本計画(平成 8 年 6 月)
兵庫ビオトーププラン(平成 8 年 6 月)
景観形成等基本指針
(平成 5 年 10 月)
流域水環境保全創造指針(平成 8 年 6 月)
緑の総量確保推進計画
ひょうご豊かな
森づくりプラン
農業農村整備環境対策指針
ひょうご新エネルギービジョン
資源循環利用促進計画
地域温暖化
防止促進計画
自動車公害防止計画
●関連計画の体系
40
第2章 地域の現状と環境評価
●農村環境計画と関連する主な計画
□環境基本計画(兵庫県)
「環境の保全と創造に関する条例」に基づく、県の環境政策に関する最
上位計画として位置づけられており、他の計画策定および施策の実施に際
して、環境面において整合性が図られるべき計画(主な対象:
「環境全般」)
□流域水環境保全創造指針
地域における水量、水生生物、水辺等の水に係わる環境の保全と創造
をめざし、県および関係行政各機関の水環境に関する施策間の協調と連携
を図るための指針(主な対象:「水」)
□緑の総量確保推進計画
緑が減少する場合は回復させ、保全と創出双方の施策を結びつけ体系化
を図り、長期的な方針を示す基本計画として位置づけられている計画(主
な対象:「緑地の総量」)
□ビオトーププラン
地域の風土にめざした、地域固有の生態系の保全と創出を図るとともに、
県民への風土アイデンティティの醸成と自然にやさしい考え方やライフ
スタイルの確立を促進させ、生き物ノーマライゼーション(共生)の確立
を図る計画(主な対象:「生態系」)
□ひょうご快適環境プラン
地域の環境特性を活かして地域づくりを環境面から誘導し、県民の環境
への認識と行動の向上をめざす計画(主な対象:「生活環境」)
□新しい兵庫の農業・農村をめざして
−兵庫の農業農村整備計画−
創造性と活力に満ちた農業を展開するため、農業農村整備事業の計画的
かつ効率的に行うため策定した計画(主な対象:「農業農村」)
□ひょうご快適環境プラン
創造性と活力に満ちた農業を展開するため、農業農村整備事業の計画的
かつ効率的に行うため策定した計画(主な対象:「兵庫県における農業農
村地域」)
41
黒田庄町農村環境計画
□黒田庄元気創造計画
−人と自然が元気になるこころのふるさとづくり−
豊かなふれあい、かけがえのない環境に囲まれ、町民一人ひとり
が元気で輝き、本町に訪れた人も心とからだの元気を取り戻すこと
のできるまちをめざす計画(主な対象:「町全域の環境」)
42
第2章 地域の現状と環境評価
⑥歴史・文化財
町の名前にある「庄」の字は、かつてこの地が荘園であったこと
を物語っており、1,200 年の歴史の重みを感じさせる県の重要文化
財でもある「兵主神社」や、木曽義仲に関係するといわれている「十
三重の石塔」、法道仙人創建と伝えられる荘厳寺にある「多宝塔」
等、歴史的価値の高い貴重な史跡や文化財が残っている。なかでも、
豊臣秀吉からの奉納金で排殿が改築されたと伝えられる兵主神社
において、10 月の第 2 日曜に行われる秋祭りは、5 基の化粧太鼓屋
台や神輿の練り込み、レッケイと呼ばれる行列などで賑わいをみせ
ている。
しかし、こうした歴史・文化資源はあるものの、有機的なネット
ワーク構築ができていないことや、受け入れ施設が完備されていな
いため、観光産業への利用が図られていない状況にある。
●埋蔵文化財
名
称
種
小 苗 古 墳 群
古
田
墳
古
黒 田 古 墳 群
古
坂ノ東 1 号墳
黒
田
窯
北
山
古
別
在
群
黒田庄町小苗
墳
黒田庄町田高堂ノ上
群
黒田庄町黒田
古
群
黒田庄町黒田坂ノ東
跡
窯
跡
黒田庄町黒田南山
墳
古
墳
群
黒田庄町前坂北山
喜 多 古 墳 群
古
墳
群
黒田庄町喜田
天 神 前 古 墳
古
墳
黒田庄町喜田天神前
岡
古墳(円)
黒田庄町岡軸
高
古
3 ∼ 5 号 墳
墳
所
墳
岡
1
号
墳
古墳(円)
黒田庄町岡軸
岡
2
号
墳
古
黒田庄町岡軸
南 山 塚 古 墳
墳
古墳(円)
黒田庄町福地百合
資料:
「全国遺跡地図,昭和 57 年;国土地理協会」
43
地
黒田庄町農村環境計画
●歴史資源
名 称
所 在 地
名 称
所 在 地
古奈爲神社
小苗
大歳神社
丸山
蛭子神社
船町
稲荷神社
丸山
稲荷神社
船町
福聚寺
丸山
瀧尾神社の分霊
船町
天満宮
喜多
大歳神社
田高
東光寺
大門
春日神社
田高
十三重の塔
津万井
八王子神社
黒田
大歳神社
津万井
荘厳寺
黒田
大歳神社
下岡
稲荷神社
黒田
妙見堂
門柳
黒田城跡
黒田
薬師堂
門柳
瀧尾神社
黒田
住吉神社
門柳
円福寺
石原
八幡神社
門柳
観音堂
石原
山王神社
新田
三社神社
石原
若宮神社
岡
大国神社
石原
薬師堂
岡
薬師堂
石原
極楽寺
岡
西光寺
石原
観音堂
岡
光福寺
前坂
稲荷神社
岡
大歳神社
前坂
兵主神社
岡
大歳神社
大伏
●子供相撲
●観音堂の秋
●秋祭り
●兵主神社
44
秋祭り
第2章 地域の現状と環境評価
⑦環境教育及び環境美化活動
地球環境の現状を正しく認識し、環境保全のための行動を選択で
きる人間を育てるため、教育活動において自然とのふれあいの機会
を積極的に設けている。
また、ゴミ処理対策として、消費者協会では資源の節約やリサイ
クル、環境保全のため、牛乳パックやトレー等の回収、買物袋の持
参、石鹸の共同購入などの運動を展開している。また、各集落毎に
自治会や婦人会、老人クラブなどのコミュニティ団体が組織されて
おり、地域の清掃美化や環境保全活動を自主的に展開している。
⑧防災等
近年では、大きな自然災害は起こっていないが、本町は加古川と
それに合流する急峻な山地を源泉とする中小の河川を有し、山麓部
の集落では裏側が急傾斜地であることから、洪水・土砂崩れ等の自
然災害の危険性が高い。このようななか、土砂の流出による被害を
防止するため、砂防施設を設置し、または当該区域で行われる一定
の行為の禁止若しくは制限を行う区域として、15 渓流が砂防指定
地の指定を受けている。さらに、土石流の発生により、被害を生ず
る恐れがある渓流については、土石流危険渓流調査要項に基づいて、
危険渓流とこれに準ずる渓流として指定されている。
自然災害に備えるため、現在までに、砂防施設をはじめとした防
災施設の整備を進めるとともに、集落毎に消防分団を組織し、常備
消防組織として西脇多可行政事務組合により広域的に取り組んで
いる。
一方で、町内の交通量の増加にともなって、近年、交通事故の発
生件数は増加する傾向にある。このため、道路の改良や防護柵、カ
ーブミラー等交通安全施設を整備するとともに、警察や交通委員会
と協力して各種交通安全教室を実施するなど、交通事故の防止に努
めている。しかし、依然として見通しの悪い危険箇所が多く残って
おり、安全な交通環境の整備が望まれている。
45
●コミュニティ
人と人とのふれあいや連
帯からなる共同体。地域社
会。
黒田庄町農村環境計画
●河川災害関連事業
年時
河川名
被災原因
47
加古川
台風 20 号
54
野尾谷川
梅雨前線、大雨
資料:
「兵庫の河川事業 50 年のあゆみ,平成 3 年;兵庫県」
●交通事故状況
水系名
総数
人身事
故
物損事
故
死者
負傷者
平成 8 年
222
38
184
1
50
平成 9 年
211
34
177
−
41
平成 10 年
x
x
x
x
x
平成 11 年
204
46
157
1
x
平成 12 年
210
43
166
1
x
資料:
「西脇警察署資料(平成 8・9 年)
,交通事故白書(平成 11・12 年)
」
●砂防施設の整備状況
流路工
(渓流数)
床固工
(基)
ダム工
(基)
域
4
2
5
系
6
0
4
計
10
2
9
危険渓流数
準ずる渓流数
合計
域
24
0
24
系
10
1
11
計
34
1
35
水系名
加
門
古
川
柳
残
川
流
水
合
資料:
「兵庫県社土木事務所資料,平成 7 年」
●土石流危険渓流の指定状況
水系名
加
門
合
古
柳
川
残
川
流
水
資料:
「土石流危険渓流及び土石流危険区域調査図面集,平成 3 年;兵庫県」
46
第2章 地域の現状と環境評価
●砂防指定地の指定状況
支流名
福
地
渓流名
川
指定年
面積(ha)
保安林の有無
福
地
川
S.37
0.27
−
福
地
川
S.42
0.05
−
門
柳
川
S.13
2.31
−
〃
才
谷
川
S.55
0.55
−
〃
才
谷
川
H. 4
0.73
−
〃
門柳東谷川
S.63
0.62
−
〃
門柳東谷川
H. 5
0.42
−
〃
村 中 谷 川
S.13
0.10
−
〃
村 中 谷 川
S.39
4.24
○
西の塔谷川
野 尾 谷 川
S.39
5.80
−
市 山 谷 川
S.40
5.00
−
西の塔谷川
S.40
6.50
−
権 現 谷 川
S.48
1.80
○
〃
南
川
S.39
4.30
−
〃
南谷川及び宮ノ本川
S.53
10.04
−
田 高 谷 川
田 高 谷 川
S.40
4.10
−
北
北
S.13
0.89
○
S.62
0.57
−
〃
門
柳
川
野 尾 谷 川
谷
川
谷
谷
川
堂 ケ 谷 川
資料:
「兵庫県資料」
⑨情報通信
近年の情報通信技術の発達はめざましいものがあり、本町でも高
度情報化に対応した整備が進められており、情報通信回廊構想に基
づき、県と関係の市町が協力して、子午線沿いの地域に情報通信施
設や情報産業を集約すべく東播磨情報公園都市の整備が進められ
ている。また、山間地に位置する集落もあることから、難視聴地区
もみられ、共聴施設が整備されている。そのほかの情報源は、役場
から月 1 回の広報誌が発行されるほか、町北部を中心に有線放送告
知設備が整備されているが、南部が未整備であることから、町内に
均一の情報提供がなされていない。なお、緊急時に即時性を活かし
た情報提供が可能な無線施設についても未整備である。
47
●情報通信回廊構想
兵庫県情報化構想。マル
チメディアを中核とする地
域整備を目的に、広域的な
連携を果たすための情報ネ
ットワーク整備を図る。特
にケーブルテレビの普及。
黒田庄町農村環境計画
(4)生産環境
①農業の現状及び動向
本町の農業は稲作が中心であるが、農業従事者の高齢化、輸入農
作物との販売競争という厳しい状況におかれている。経営規模、経
営形態をみると、経営耕地 1.0ha 以下の農家がほとんどである。
農家人口、戸数、経営耕地面積は減少傾向にあり、農家のほとん
どが兼業農家である。また、全産業における農業従事者の割合は
3.6%となっている。
農業粗生産額については、約 11 億円であり、そのうち米が 4 億
●ひょうご安心ブランド
農薬や肥料の使用を低
減する生産方式(有機質
肥料使用、アイガモ農法
等)により生産し、かつ
農薬を使用した場合は残
留農薬の自主検査(食品
衛生法における残留農薬
基準等の国基準の1/1
0以下とする)できる体
制を整備した生産集団を
県が認定し、生産した農
産物を「ひょうご安心ブ
ランド農産物」として、
認定マークを貼付し流通
させるもの。
円、野菜が 1 億円程度である。また、黒田庄ビーフとしてブランド
化している肉用牛の生産額が大幅に増加し、町の主要農産物となっ
ている。これらの堆肥を農地へ地力維持増進のために使用している
農家も多い。
レタス・モロヘイヤ・下仁田ねぎ・減農薬山田錦の4品目につい
て、安心できる農産物を供給するための「ひょうご安心ブランド」
の認定を受けている。
農業経営については、中核的農家を中心とした営農集団により、
農作業の受委託及び共同化を推進している。そのほか、畜産農家と
耕種農家との堆肥と稲藁の交換により、有機農業に積極的に取り組
むとともに、地力の維持、増進を図るとともに、農業経営基盤強化
促進法に基づく農地の流動化の推進により、中核的担い手農家への
集積を図っている。
●農家数の推移
区分
(単位:戸)
農家数
専業農家
兼業農家
第1種
第2種
平成 2 年
678
48
19
611
平成 7 年
563
43
37
483
平成 12 年
513
31
27
455
資料:
「2000 年世界農林業センサス」
48
第2章 地域の現状と環境評価
●経営耕地面積の推移
分
計
(単位:ha)
田
畑
畜産
小計
普通畑
樹園地
牧草地
平成 2 年
430
422
8
7
1
−
0
平成 7 年
418
414
4
4
0
−
0
平成 12 年
342
334
8
7
1
−
0
資料:
「2000 年世界農林業センサス」
●農業粗生産額及び生産農業所得
(単位:百万円)
米
麦
雑穀
豆類
いも類
野菜
果実
肉用牛
生産農
業所得
平成 2 年 1,118
405
24
8
9
83
4
491
354
平成 7 年 1,151
514
7
3
7
59
3
480
436
平成 12 年
398
7
5
7
70
3
583
362
農業粗
生産額
1,073
資料:兵庫農林水産統計年報「生産農業所得統計調査」結果
●地域農業集団及び農業生産組織等の組織化の現状
組織名
設立
年度
組織構成
員
数
福地区農会
昭和 59 年度
32
岡区農会
昭和 58 年度
43
大伏区農会
昭和 59 年度
38
西沢区農会
昭和 59 年度
36
石原区農会
昭和 59 年度
60
田高区農会
昭和 58 年度
22
船町区農会
昭和 58 年度
32
小苗区農会
昭和 58 年度
30
黒田区農会
昭和 59 年度
63
前坂区農会
昭和 58 年度
82
活
動
内
容
機械共同利用・転作団地化・受
委託促進・裏作導入・流動化等
流動化促進・転作団地化検討・
受委託促進・裏作導入検討等
転作団地化・受委託促進・裏作
導入・流動化等
機械共同利用・転作団地化・受
委託促進・裏作導入・流動化等
転作団地化・受委託促進・裏作
導入・流動化等
流動化促進・転作団地化検討・
受委託促進・裏作導入検討等
機械共同利用・転作団地化・受
委託促進・裏作導入・流動化等
機械共同利用・転作団地化・受
委託促進・裏作導入・流動化等
流動化促進・転作団地化・受委
託促進・裏作導入検討等
機械共同利用・転作団地化・受
委託促進・裏作導入・流動化等
資料:
「黒田庄農業振興地域整備計画書」
49
地区名
福地
岡
大伏
西沢
石原
田高
船町
小苗
黒田
前坂
黒田庄町農村環境計画
●農作業の受委託及び共同化、耕地利用率、裏作導入等の現状
農 作 業 の 受 委 託 農 作 業 の 共 同 化 耕地利用率
裏作導入
平成 2 年
588 戸
155.7ha
6 組織
533 戸
107%
37ha
平成 7 年
469 戸
185.1ha
9 組織
379 戸
109%
58ha
平 成 12 年
469 戸
185.1ha
9 組織
379 戸
109%
58ha
資料:
「黒田庄農業振興地域整備計画書」
●経営規模別農家数の推移
0.3ha
未満
(単位:戸)
0.3∼
0.5ha
0.5∼1.0ha 1.0∼1.5ha 1.5∼2.0ha 2.0ha 以上
平成 2 年
195
208
203
37
13
16
平成 7 年
146
173
165
40
20
19
平成 12 年
123
163
148
44
14
21
資料:
「2000 年世界農林業センサス」
●農業関係法令に基づく各種農業振興計画の概要
地域指定、計画
策定等年度
指定地域
等の範囲
内容
昭和 48 年度
黒田庄町全域
農業を中心とした
振興総合計画
高機能生産団地整備計画
(期間 54∼58)
昭和 54 年度
地域の特性に即し
た農業生産及び流
黒田庄町全域 通加工等の体制を
団地的に整備する
総合計画
肉用牛生産近代化計画
昭和 59 年度
〃
肉用牛の生産に関
する近代化計画
新地域農業生産総合振興計画
昭和 57 年度
〃
地域における農作
物の生産総合計画
計画等名
農業振興地域整備計画
50
第2章 地域の現状と環境評価
②集落の現状及び動向
本町では、平成 13 年 8 月 7 日時点で 2,228 世帯が 14 集落に分か
れて居住している。大多数の世帯は持ち家に住んでいるが、本町で
は低廉な住宅を供給するため 4 団地 52 戸の町営住宅を設置してお
り、また、黒田において、新たに町営住宅を建設している。町営住
宅の中には既に耐用年数を経過し、老朽化しているものもあり、改
修が必要になっている。
●各集落の戸数
(単位:戸)
集落名
戸数
集落名
戸数
喜多
217
石原
216
津万井
124
船町
147
岡
328
西澤
58
大門
102
田高
177
福地
94
小苗
59
門柳
83
黒田
281
大伏
65
前坂
277
合計
2,228
平成 13 年 8 月 7 日現在
51
黒田庄町農村環境計画
●集落区分
52
第2章 地域の現状と環境評価
③基盤整備状況
本町では、ほ場整備を中心に基盤整備が進められてきた結果、ほ場
整備はほぼ完了している。しかし、高齢化や担い手不足から耕作放棄
地や管理の行き届いていない農地も少なくない。
生産基盤施設については、作業所や倉庫が整備されているほかに、
農業機械の導入も進んでいる。流通加工施設としては、直売施設およ
び特産開発センターを設けている。このセンターでは、JA からの営農
情報等の提供や、本町の活性化推進機構である「黒田庄農業 21 世紀飛
翔塾」の活動拠点でもあり、また、様々な人材教育・研修の場として
の機能も有しており、本町の農業振興には不可欠な存在となっている。
●基盤整備状況一覧
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
事業種目
第
同
団
土
(
新
土
(
土
(
土
(
土
(
農
地
土
(
山
特
農
農
(
農
(
1 次 農 業 構 造 改 善 事
和対策農業基盤整備事
体 営 ほ 場 整 備 事
地 改 良 総 合 整 備 事
地 域 改 良 対 策
農 業 構 造 改 善 事
地 改 良 総 合 整 備 事
団 体 営 一 般
地 改 良 総 合 整 備 事
団 体 営 一 般
地 改 良 総 合 整 備 事
団 体 営 一 般
地 改 良 総 合 整 備 事
団 体 営 一 般
林 業 地 域 改 善 対 策 事
域 農 業 拠 点 整 備 事
地 改 良 総 合 整 備 事
団 体 営 一 般
村 振 興 等 農 林 漁
別
対
策
事
業 集 落 排 水 整 備 事
( 中 部 処 理 区
業 集 落 排 水 整 備 事
北 部 処 理 区
業 集 落 排 水 整 備 事
小 苗 処 理 区
業
業
業
業
)
業
業
)
業
)
業
)
業
)
業
業
業
)
業
業
業
)
業
)
業
)
受益
面積
主要工事名称及び事
業量
事業着工
∼完了年度
38.0
72.3
26.0
ほ場整備A=38.0
ほ場整備A=72.3
ほ場整備A=26.0
昭和 42 年∼45 年
昭和 49 年∼55 年
昭和 50 年∼53 年
33.5
ほ場整備A=33.5
昭和 53 年∼58 年
11.1
ほ場整備A=11.1
昭和 54 年
40.6
ほ場整備A=40.6
昭和 55 年∼60 年
16.8
ほ場整備A=16.8
昭和 58 年∼61 年
21.6
ほ場整備A=21.6
昭和 59 年∼64 年
22.5
ほ場整備A=22.5
昭和 59 年∼64 年
2.2
0.8
ほ場整備A=2.2
ほ場整備A=0.8
昭和 61 年
昭和 61 年
31.1
ほ場整備A=31.1
平成 元年∼ 6 年
11.7
ほ場整備A=11.7
平成 7 年∼ 8 年
43.6
34.7
8.4
17
土 地 改 良 総 合 整 備 事 業
( 省 力 化 対 策 特 別 型 )
35.0
18
土 地 改 良 総 合 整 備 事 業
( た め 池 等 整 備 事 業 )
30.8
資料:
「黒田庄農業振興地域整備計画書」
53
処理場一式
管渠 L=10.3km
処理場一式
管渠 L=9.1km
処理場一式
管渠 L=3.6km
パ イ プ ラ イ ン
L=6.9km
ポンプ場一式・自動
給水栓
堤体工 l=155m
洪水吐・取水施設
一式
平成 6 年∼ 9 年
平成 8 年∼11 年
平成 7 年∼10 年
平成 12 年∼15 年
平成 10 年∼14 年
●黒田庄農業 21 世紀
飛躍塾
本町の農業農村の
振興に向けた諸施策
を地域が一体となっ
て取り組むための中
心機関。
黒田庄町農村環境計画
54
第2章 地域の現状と環境評価
2.環境評価
(1)現状と課題
①自然環境
現状
課題
加古川東岸は干害が多く、水源
地形的に急峻で自然災害の危険
の確保を目的として多くのため池 性が高い本町にあって、良好な自
がつくられ、ため池周辺には良好 然を保全しながら、防災と一体と
な自然環境が残っている。
なったため池改修が課題である。
加古川の水質については、下水
豊かな水源の確保と清らかな水
処理場が 5 箇所に設けられ、水質 質の保全が課題である。
汚濁に係わる環境基準の B 類型を
満足している。
神社、寺院、仏閣の周辺に貴重
な植生が分布している。
貴重な植生の保全と、開発時に
おける影響の回避、軽減などの検
討が必要である。
植生図において、住宅地のほと
身近な緑を保全し、うるおいあ
んどが「緑の多い住宅地」に位置 る住環境を構築することが望まれ
づけられており、身近な緑が残っ る。
ている。
加古川や門柳川、ため池などの
貴重な動植物の保全と、親水性
水辺には貴重種をはじめ、多くの に富んだ水辺ネットワークの構築
動植物が生息、生育している。
による動植物の生息・生育域の拡
大、動植物とのふれあいの場の創
出が課題である。
門 柳川 上流 には ししが きが 残
地域の特有な景観を保全すると
り、特有な景観を形成するととも ともに、伝統的な農村風景、里山
に、里山や棚田などの日本古来の 景観を保全するため農地及び森林
景観がみられる。また、荘厳寺や の適切に管理することが課題であ
福谷公園には桜や紅葉など、四季 る。
折々の美しい景観がみられる。
東はりま日時計の丘公園内の才
事業にあたって、景観に配慮し
谷川や福地の福地川支流では、景 た工法を積極的に導入していくこ
観に配慮した砂防事業が行われて とが課題である。
いる。
ゴミ処理量が年々増加傾向にあ
ゴミの減量化・リサイクルの徹
り、山間部を中心にゴミの不法投 底とゴミの不法投棄に対する有効
棄が増えている。
な対策が必要である。
57
黒田庄町農村環境計画
②社会環境
現状
課題
本町は典型的な中山間地域にあ
地場産業の振興、地域資源や自
って、就業の場の不足、高齢化、 然環境を生かした新産業の創出に
担い手の減少等により、過疎化が より、人口の定着を実現し、地域
進行している。加えて、地場産業 の活性化を図ることが必要であ
が低迷するなど、地域の活力が失 る。
われつつある。
狭小な集落内道路や未改修路線
国道 175 号バイパス及び県道バ
が多いが、一方では、国道 175 号 イパス化の推進や町道の整備・拡
のバイパス化が計画されている。
幅、防災施設等の社会基盤の整備
を進めることが望まれる。
妙見山を中心に自然を生かした
良好な自然の保全と利活用によ
登山コースが整い、丸山公園、福 り、人と自然のふれあいの場を創
谷公園等の自然とふれあう場が残 出する。
っている。
東はりま日時計の丘公園や東は
各種観光・レクリエーション施
りまフォルクスガーデン黒田庄等 設のネットワーク化を図り、多様
の近代的な施設が整備され、自然 なニーズに対応した施設の整備を
とのふれあいを基調に各種施設が 行うことが重要となる。
整いつつある。
県の重要文化財である兵主神社
資源の有機的なネットワークを
をはじめ、多くの歴史・文化財が 構築し、受け入れ体制を整えるこ
残り、各地区で古くから伝わる伝 とが課題といえる。
統行事も行われているが、観光産
業への利用が図られていない。
砂防指定地や土石流の危険渓流
砂防施設をはじめとした防災事
の指定を受けるなど、自然災害の 業を進め、安心な生活環境を築く
危険性が高い。
ことが課題である。
近 年の 交通 量の 増加に とも な
交通事故の危険箇所を把握し、
い、交通事故の発生件数が増加す 安全な交通環境を整備するととも
る傾向にあり、危険箇所が多く残 に、交通に関する教育や啓発活動
っている。
を進める必要がある。
58
第2章 地域の現状と環境評価
③生産環境
現状
課題
畜産業が盛んであり、神戸ビーフ、 地域の特性を活かした特産品の開
黒田庄和牛の産地である。
発や生産、加工、販売の連携によ
る新たな産業の創造が課題であ
る。
農家のほとんどが兼業農家であ 研修や異業種交流により、優れた
り、年々減少が続いている。また、 経営感覚をもった担い手を育成す
経営規模が零細な農家が多く、所 るとともに、営農集団経営や他産
得は十分とはいえない。
業の連携、農地の流動化により中
核的農家への農地の集積を図り、
農業経営基盤を強化することが課
題である。
高齢化、過疎化の進行により、耕 高生産型の優良農地を確保すると
作放棄地が増加傾向にある。また、 ともに、良好な農村風景の保全の
農地の宅地等への転用により、農 ため、農地の適正な管理が課題で
地は減少傾向にある。
ある。
畜産業との連携により、有機農業 安心・安全な食料の供給と自然に
に積極的に取り組んでいる。
やさしい循環型農業を展開してい
また、ひょうご安心ブランド4品 くため、土づくりセンターの整備
目が指定されている。
が課題となる。
ししがきが残るなどふるさと田園 各種整備に関しては、自然と調和
景観を形成している。また、水路 した田園景観の保全を基調とす
やため池、畦畔などには生物が生 る。
息している。
近年、都市住民の農業・農村への 体験農園や貸し農園、特産品の加
関心が高まりつつある。
工体験をはじめ農業・農村を都市
農村交流の場として活用していく
ことが課題である。
ほ場整備を中心に基盤整備が進 農道、用排水路及びため池などの
み、農作業の効率化のほか、農業 農業基盤施設の老朽化に対する適
機械の導入が進んでいる。
切な改修が課題である。
山間部では鳥獣被害が多く、生産 鳥獣害への適切な対策により、安
性を著しく害している。
定な食糧供給を図ることが必要で
ある。
59
黒田庄町農村環境計画
(2)地域の環境点検
本町は、加古川を中心に狭小な谷間が存在し、これらを急峻な山
岳が取り囲んでいるため、それぞれの谷で特徴ある集落を形成して
いる。このため、地形及び社会・経済的性質により、本町を大きく
4 つの地区
(ブロック)に区分して地域資源のとりまとめを行った。
以下に、各ブロックの概要を示す。
【Aブロック】
加古川以西の、加古川沿岸の平地と狭小な谷、そしてそれらを囲
む山岳からなる地区。平坦地にはほ場整備済みの優良農地が広がっ
ている。
【Bブロック】
加古川以東の北・中部の地区。自然環境保全地域に指定されてい
る荘厳寺の森を中心として豊かな自然が残る。
【Cブロック】
役場をはじめ各種公共施設が集まる本町の中心地。兵主神社をは
じめとする歴史・文化財が多く、歴史的な町並みを形成している。
また、丸山公園、福谷公園等の自然を活用した施設も整備されてい
る。
【Dブロック】
町東部の門柳川とその周辺の農村集落及び山林からなる地区。東
はりま日時計の丘公園や東はりまフォルクスガーデン黒田庄、緑と
水の郷 秋谷等の観光資源のほかに、妙見山や白山を中心に登山コ
ースが整備され、本町において観光・交流の中心地となっている。
また、門柳川を中心とした清流や管理が行き届いた森林などの良好
な自然を有している。
●地域区分
60
第2章 地域の現状と環境評価
Aブロック
地域環境点検地図
61
黒田庄町農村環境計画
Bブロック
地域環境点検地図
黒田庄西部井堰
62
第2章 地域の現状と環境評価
Cブロック
地域環境点検地図
農村勤労福祉センター
中央公民館
63
黒田庄町農村環境計画
Dブロック
地域環境点検地図
黒田庄
特産開発センター
64
第2章 地域の現状と環境評価
(3)環境評価
目的区分
保全すべき資源
区分
自然環境
社会環境
生産環境
目的区分
復元すべき資源
資源の内容
野尾谷川上流の自然護岸
ミサゴが餌を取りにくる加古川周辺
船町から大門へ連なる山並み
荘厳寺周辺の景観
加古川流域の流れや景観
ホタルが乱舞する北谷川・南谷川
湧水地
市山池周辺の湿地動植物
門柳川流域や湿地の動植物
ハッチョウトンボの生息地
ギフチョウ生息地
カンアオイの自生地
兵主神社のレッケイ行列
鳥居
大伏の大歳神社
鐘堂
春日神社
恵比寿神社「蛭子大祭」
稲荷神社の「二の午祭典」
黒田城跡
桜が美しい大国神社
西沢八幡神社
瀧尾神社の秋祭り
光福寺
荘厳寺多宝塔
小苗古墳群
東はりま日時計の丘公園
東はりまフォルクスガーデン黒田庄
減農薬で山田錦の栽培
黒大豆の生産地
黒田庄和牛の生産地
整備済みの優良農地
しいたけの生産地
黒田庄西部井堰をはじめとする井堰
昔ながらの空石積「ししがき」
冬水が流れるため池
良好なため池
区分
自然環境
社会環境
生産環境
資源の内容
身近な野生生物
加古川沿いのネコヤネギ
池や川での水遊び
針葉樹林から広葉樹林へ
各神社に伝わる伝統行事
昔のような村つきあい
里山の手入れ
有機質資源の循環システム
山田錦の生産地
特性を活かした食文化
65
黒田庄町農村環境計画
目的区分
改善すべき資源
区分
自然環境
社会環境
生産環境
目的区分
創出すべき資源
資源の内容
加古川の水質
川代ダムの放流水量
小河川の親水性
街路樹
ゴミの不法投棄場所
若い人の活動する場
交差点のカーブミラー
ガードレール未整備地
案内板の設置
集落内の狭小な道路
通学路の歩道
小苗古墳までの散策路
開発地
加古川堤防沿いの道路
大水の時のかん水被害地
老朽化したため池
農業従事者の高齢化
自給率の低下
未使用のため池
椎茸団地跡地
耕作放棄地
区分
自然環境
社会環境
生産環境
資源の内容
福谷公園の桜
加古川沿いの桜並木(桜づつみ回廊)
夏には子供が泳ぐ清流門柳川
秋谷池・庵谷池周辺散策路
末谷池周辺
白山登山道
生ゴミの利用
田園空間博物館との連携
登山コース
各集落の祭りや地域活動
転作農地
有機農業・減農薬農業
堆肥の有効利用
循環型農業
ひょうご安心ブランド農作物
66
第2章 地域の現状と環境評価
以下は、町内全世帯(配布 2,237 戸、回収 1,613 戸)を対象に平
成 13 年に実施した「実りある農村振興と豊かな農村環境のための
アンケート」結果のなかから、環境評価に関する内容の抜粋である。
37.6
41.8
道路網整備
公共交通機関整備
交通安全施設を整備
河川・水路整備
公営住宅整備
公園緑地整備
公民館・集会所整備
ゴミの収集方法・体制を強化
防火施設を整備
自然災害安全施設整備
その他
無回答
26.5
25.6
【生活環境を良くするための施策】
13.3
43.1
18.7
16.4
13.6
29.9
1.7
5.0
子供達の遊び場や身近な「公園緑地整
備」を望む意見が 43.1%と最も多くみ
られる。また、バスや鉄道などの「公共
交通機関整備」が 41.8%、
「道路網整備」
が 37.6%と交通の利便性を望む意見も
多い。
49.8
山の緑
【残したい自然】
10.0
山の動物たち
43.9
緑豊かな里山の風景
6.7
あぜ道、田んぼの植物
4.8
あぜ道、田んぼの動物
ほのぼのとした田園風景
ため池や川の植物
24.7
3.0
25.0
ため池や川の動物
ため池の風景・うるおいのある川
その他
無回答
全体的に風景への関心が高く、
「山の
緑」
(49.8%)や「緑豊かな里山の風景」
(43.9%)を残すことが望まれている。
また、田園景観や潤いのあるため池、
川などの身近な農村環境に関する意見
が多い。
20.4
0.6
4.4
19.3
大規模な開発を規制
34.7
住宅地緑化整備
29.9
河川や水路、ため池の親水整備
生き物が住める環境整備
25.9
身近な生物や河川の水質の調査を行う
26.5
7.7
環境についての情報提供
18.7
学校教育における環境教育を推進
18.8
自然環境実感イベントを開催
環境問題討議会や講演会を開催
3.7
高い割合を占めており、深刻な問題と
いえる。
次いで、身近なところから「住宅地
緑化」(34.7%)などの取り組みが必
要とする意見も多い。
11.7
環境保全活動等への行政支援を行う
50.4
不法投棄防止を徹底
無回答
「不法投棄防止を徹底」が 50.4%と
20.9
町民運動で自然を守る
その他
【豊かな自然を残すための施策】
0.6
6.8
67
黒田庄町農村環境計画
68
第3章 農村環境保全の基本方針
第3章 農村環境保全の基本方針
第3章
農村環境保全の基本方針
1.環境保全の基本的な考え方
(1)農業・農村環境の保全
農業・農村は、食料の安定供給という本来的な機能に加えて、物
質循環という機能により、環境と最も調和した産業として、水と緑
豊かな農村環境の形成とその保全にも貢献している。
また、広い意味での国土・環境保全といった多面的かつ公益的機
能を有しており、これらの機能は、そこに定住している人々による
適正な農林業活動によって維持増進されている。
また、これらの機能は地域住民のみならず、都市住民を含めた国
民全体に利益をもたらすものと考えられている。したがって、これ
らの機能の基盤となる農業・農村環境の保全は、都市住民を含めた
国民全体の資産を保全することに繋がるものである。
(2)農業農村整備における環境への配慮
近年、環境問題の悪化等から農村地域の環境整備にも重点がおか
れるようになってきている。即ち、農業農村整備は、生産性の向上
や居住環境の改善といった直接的な効果とともに、環境に配慮する
ことが求められている。
①自然環境と調和した農村環境づくりへの配慮
農業農村整備事業は、かつては食料供給の増産を主たる目的とし
て進められてきた。その後は、生産性の向上と高度経済成長期に伴
う農工間の所得格差の是正や農業構造の改善、農村生活環境基盤の
改善等が一体的に行われてきた。それは動植物を含む自然環境との
調和関係の上に成り立ったものではなく、自然に対して大きな負荷
をかけ、農村地域における環境の悪化が問題となった。従って、農
業農村整備を行うにあたっては、自然生態系の保全を図ることはも
ちろん、地形、水系や土地利用など農村を取り巻くすべての環境と
調和し、共生できる環境対策への配慮が必要である。
69
黒田庄町農村環境計画
②安全で快適な農村生活環境づくりへの配慮
農村環境は地域住民が長い時間を経て形成してきたものであり、
そこに住む人々の生活を守り、保全し、育てていくことも環境対策
の重要な要素となる。地域住民は地域の自然環境保全の担い手であ
り、安全で住み良い、快適な居住環境を創造する手法としての農村
整備事業が必要である。
③地域の文化、景観を継承・発展する農村環境づくりへの配慮
●アイデンティティ
独自性・個性。
地域や都市のアイデ
ンティティは、自然環
境やそこに展開され
る生活や産業など
人々の活動、その歴
史、まちなみなどが絡
み合って形成される。
地域の歴史や風土は地域環境の特性であり、農業農村整備にあっ
ても重要な要素である。
また、地域のアイデンティティ(個性・独自性等)を育て、継承
していくのは地域住民であり、地域住民と一体となった農業農村整
備の取り組みが必要である。
70
第3章 農村環境保全の基本方針
2.環境保全目標
(1)地域の現況と課題
本町は県下一の大河である加古川が町を貫流し、町域の約 70%
が山林に覆われた自然豊かな環境を有している。しかし、近年都市
化が進むにつれて、町のシンボルでもある加古川の水質汚濁やゴミ
の増加、廃棄物の不法投棄をはじめ騒音や悪臭などの環境悪化が進
行している。以下は、本町の現況と課題を整理したものである。
<現
況>
<課
○ため池周辺の良好な自然環境
○水質汚濁に係わる環境基準 B 類型を満足
○社寺の周辺に貴重な植生が分布
○緑豊かな集落が多く身近な緑が残る
○加古川や門柳川、ため池周辺の多様な動植
物の生息、生育環境
○ししがきや里山、荘厳寺や福谷公園等の地
域特有の景観
○ゴミ処理量が年々増加に伴う、山間部を中
心としたゴミの不法投棄の増加
○地場産業(釣り針、織物)の低迷
○狭小な集落内道路、未改修路線が多い
○登山コースや、丸山公園、福谷公園等の自
然公園・緑地が整備
○東はりま日時計の丘公園や東はりまフォル
クスガーデン黒田庄等の観光施設が整備
○歴史・文化財や伝統行事が残っているが、
交流・観光産業への利用が不十分
○伝統産業・工芸の担い手不足
○交通事故の危険箇所が多い
○地形が急峻で自然災害の危険箇所がある
○黒田庄和牛等の特産品を生産
○農用地、農家数の減少
○零細な農家が多く所得も不十分
○農地の宅地等への転用、耕作放棄地が増加
傾向
○近年の有機農業への取り組み
○基盤整備率の向上、営農の効率化や大型機
械の導入が進んでいる
○中山間部における鳥獣被害が頻繁化
○農業関連施設の老朽化が進行
71
題>
●豊かな水源の確保と水質の保全
●貴重な植生の保全
●開発時の影響を回避・軽減し、うるおい
のある住環境の構築
●動植物の生息・生育域、環境の確保
●動植物とのふれあいの場の創出
●地域特有の景観の保全
●農地及び森林の適切な管理
●ゴミの減量化・リサイクルの徹底
●不法投棄に対する有効な対策
●地場産業の振興と新産業の創出
●町道の拡幅、バイパス化の推進
●観光・レクリエーション施設のネットワーク化
●未活用資源の発掘
●ニーズに対応した観光施設整備
●都市住民の受け入れ体制の構築
●担い手の確保・育成(伝統産業)
●交通事故の危険箇所の改良
●交通安全施設の整備・充実
●危険ため池の改修
●土砂災害防止、法面の安定化
●特産品の開発、生産から加工・販売まで
の一貫体制の確立、新産業の創造
●担い手の確保・育成
●中核農家への農地の集積
●農地の有効利用と適正な管理
●堆肥の活用等、有機農業、循環型農業の
推進
●体験農園等の都市農村交流の推進
●鳥獣害対策の推進
●老朽化施設の早急な改修
黒田庄町農村環境計画
(2)本町の基本目標
本町では「黒田庄町第3次長期総合計画(平成 9 年 8 月)」にお
いて、<交流・共生・参加>を計画の基本的な考え方とし、「人と
人との豊かなふれあいがあり、山や川や多くの生き物などの自然が
大切にされている町、そしてこの町の人や自然にふれることによっ
て誰もが心とからだの元気を取り戻すことができる町」を目指し、
まちづくりの基本目標を次のように定めている。
<町の基本目標>
人と自然が元気になるこころのふるさとづくり
(黒田庄町第3次長期総合計画:平成 9 年 8 月)
総合計画では、この基本目標を実現するため、次の 4 つの将来像
を示し、具体的なまちづくりを進めることとしている。
①うるおいと安らぎに包まれた町
快適でさわやかな生活環境の創造、豊かな自然環境の保全、防
災対策の充実等を目指す。
②共に生き手をつなぐ町
誰もが健やかに生き、それを支える人と人とのネットワークの
形成、まちづくりへの住民参加等を目指す。
③個性と魅力が光る町
個性や魅力ある人や文化の創出を目指す。
④知恵と元気が生まれる町
町民の知恵を集めた特産品づくり、人と人・地域と地域の交流
等から町の活力づくりを目指す。
72
第3章 農村環境保全の基本方針
また、農業面においては、農業生産性の基盤となるほ場の整備率
は現在 98%を超えており、ほぼ完了しているが、農家数は年々減
少するとともに、農業の担い手の高齢化、後継者の不足等により、
遊休農地や管理不足の農地が少なくない状況となっている。
一方、米作とともに本町の特産品の柱となっている黒田庄和牛は、
飼養頭数が増加傾向にある。町ではこうした地域特性を活かし、黒
田庄和牛肥育と耕種農業と結びつけ、堆肥と稲藁の交換など資源の
循環と安全な食物の提供に取り組んでいる。こうした取り組みは、
循環型社会の形成、環境保全型農業の推進に寄与するとともに、消
費者の立場での安全な食物の提供という効果が期待され、地域特性
を活かした本町の農業の柱となることが期待されている。
さらに、本町の約 10%を占める農地や農村集落は、食料生産の
場であると共に、自然と調和した環境や景観をまもる役割を果たし
ている。このため、優良な農地や優れた田園景観をまもるための対
策が求められている。
73
第3章 農村環境保全の基本方針
①環境保全型農業の推進
○地域特性を活かした農業システムの確立
黒田庄和牛の堆肥と米作の稲藁の交換に代表されるような資
源の循環、安全な食物の提供を基本とした農業システムの確立を
めざす。
○環境保全型農業の推進
廃棄物の適正処理及び再利用による持続可能な農業の展開を
図ると共に、その理念としてリサイクルをはじめとする循環型社
会の形成への展開に結びつける。
②自然環境と調和した農業農村整備の推進
○多自然型農業農村整備の推進
これまでの農業農村整備は、主として農業生産基盤における経
済効率を目的として行われてきた。今後は、国土の環境保全に配
慮した整備が求められており、自然資源はもとより、生態系の保
全にも配慮した多自然型農業農村整備の推進が必要である。
○農地、ため池、山林等の公益的機能の確保
農地やため池、それらを取り巻く山林の洪水防止や水源涵養、
保健休養機能など多様な公益的機能の安定的確保に努める。
○郷土の農村景観の保全
農村を取り巻く自然環境は、生物の生息環境のみならず、農業
地域における美しい農村景観を形成している。今後は自然生態系
の保全はもとより、地形、水系、土地利用ならびに地域文化の基
盤となるあらゆる自然との調和を基本とした、自然環境の保全・
復元を図るものとする。
③身近な生物の生息環境の保全・復元・創出
○身近な自然環境の保全
農村を取り巻く農地、ため池、河川・農業用水路、山林等は、
身近な自然とのふれあいの場であるとともに、生物の生息環境と
なっており、これらの自然環境を保全・復元・創出する。
○自然環境の保全・活用
自然環境保全地域に指定されている「白山・荘厳寺周辺」や門
柳川流域は動植物の宝庫であり、貴重な生物の生息地となってい
る。こうした貴重な自然環境を保全するとともに、身近な自然と
のふれあい空間として活用していくものとする。
75
黒田庄町農村環境計画
○水質の保全
河川・水路等の水質悪化による生物への影響が拡大しており、
今後、公共下水道、農業集落排水処理施設、合併処理浄化槽等の
整備による水質の保全に努める。
④安全で快適な居住環境の創出
○防災整備の推進
地震や水害をはじめ各種の災害に的確に対応できる総合的な
地域防災計画が必要であるとともに、居住地域周辺の農地及び山
林は、雨水の調整機能や涵養機能といった防災機能を有しており、
適切な農地・山林の保全が望まれる。
○計画的土地利用の推進
地域の役割や利用目的を明確にし、自然環境を含めた広い視点
において、計画的土地利用の推進を図る。
○安全で快適な居住空間の創出
農村は地域住民の生活の場であるとともに、地域の歴史・文化
を育んできた。地域住民は地域の環境保全の担い手であり、した
がって、住民が安心して住める、住みやすい、住んでみたいと思
える居住空間の整備が求められる。
○集落排水等の下水道整備
安全で快適な居住環境の基盤であるとともに、水質の保全を図
るため、集落単位で下水道の整備を図る。
⑤住民参加による循環型社会の形成
○住民参加による循環型社会の形成
身近な生活環境や地域環境と物質循環の関連についての理解
を深め、環境に対する負荷をできる限り抑え、健全な大気環境や
水・土壌環境を保全すると共に、廃棄物の適正な処理やリサイク
ルを推進する。そのためには、住民の積極的な参加による地域ぐ
るみでの取り組みが必要である。
76
第4章 農村環境整備計画
第4章 農村環境整備計画
第4章
農村環境整備計画
1.広域的整備計画
町全域を対象として、計画的また段階的に向上させる必要のある
環境要素、また地域全体を通して一貫性を持たせる必要のある環境
要素について、広域的整備計画として整理する。
(1)自然環境整備計画
①水環境の保全・整備
・多様な動植物が見られる水環境(河川、ため池、水路等)を連続
的に保全する。
・老朽化したため池や水路については、水質の浄化や生物の生息環
境として多自然型の水環境の整備に努める。
②生態系の保全・復元
・多様な生物の生息を保全・復元するため、水環境の保全・改善を
図るとともに、連続した生息空間(生物の移動空間、ビオトープ・
ネットワーク)の形成に努める。
・動植物の生息空間となる自然度の高い森林の保全に努める。
(2)社会環境整備計画
①循環型社会の形成
・循環型農業の推進とともに、地域全体でゴミのリサイクル、再資
源化に取り組み、環境にやさしい循環型社会の形成に努める。
②交流型産業の育成
・地域の活性化、地域らしさ(地域アイデンティティ)の育成、情
報発信の観点から地域の豊かな自然資源、遊休農地、レクリエー
ション施設を活用した交流型産業(市民農園、観光農園、広域交
流施設、レクリエーション・交流施設等)の整備・育成を図る。
③安全で快適な居住環境の創出
・安全で住みよい居住空間を整備するため、安全な道路の整備、水
質保全に対する排水路の整備等に努める。
77
黒田庄町農村環境計画
(3)生産環境整備計画
①環境保全型農業の推進
・地域の特産品である黒田庄和牛の堆肥と米作の稲藁の交換に代表
される、循環型の農業、環境にやさしい農業、消費者が安心でき
る食物の提供などの環境保全型農業を推進し、本町の農業政策の
柱とする。
2.広域的整備計画における方策
(1)環境評価別の必要方策
環境評価別の必要方策は、本町の自然・生産・社会環境における
「保存すべき資源」、「復元すべき資源」、「改善すべき資源」、
「創出すべき資源」を明らかにした上で、各々の対策を明確にした
ものである。
本計画における「今後必要となる方策」について、以下の 4 つの
視点から評価、選定する。
保全系……将来に向けて保全し、残していくべき資源。
復元系……かつての姿に復元し、将来に向けて保全すべき資源。
改善系……環境保全の視点から改善していくべき資源。
創出系……元気のある農村環境生活を営む上で、新たに創出して
いくべき資源。
78
第4章 農村環境整備計画
■保全すべき資源
目的区分 環境資源の視点
自然環境
保全系
社会環境
生産(農業)環境
■復元すべき資源
目的区分 環境資源の視点
自然環境
今後必要となる方策
(1)生息環境に対する方策
①河川・ため池等の水辺環境への対策
②森林の適切な管理
(2)身近な自然環境に対する対策
①社寺林の保全
②集落内緑地の保全
(1)地域特有の里山景観への方策
①優良農地、里山等の景観の保全
②荘厳寺、福谷公園等の地域景観の保全
(2)歴史的資源に対する対策
①歴史・文化財の保全
(1) 優良農地への対策
①集落周辺のまとまりある優良農地の
保全
②中核農家の確保
(2) 自然的な用水路に対する対策
①自然的な用水路の保全
②伝統的な石積等の保全
今後必要となる方策
(1)身近な生物生息環境に対する方策
①ため池周辺の多自然型整備による復元
②用水路の多自然型整備による復元
復元系
(1)歴史・文化財周辺環境に対する対策
社会環境
①景観と調和した周辺環境の復元
79
黒田庄町農村環境計画
■改善すべき資源
目的区分 環境資源の視点
自然環境
改善系
社会環境
生産(農業)環境
■創出すべき資源
目的区分 環境資源の視点
自然環境
社会環境
創出系
生産(農業)環境
今後必要となる方策
(1)生息環境に対する方策
①河川・ため池等の水質の改善
(2)身近な自然環境に対する方策
①動植物の生息環境の改善
(1)地域景観に対する方策
①ゴミの不法投棄場所の改善
②針葉樹林から広葉樹林への改善
(2)道路に対する方策
①狭隘道路の改善
②交通事故危険個所の改善
(3)循環型社会形成への方策
①ゴミの減量・再資源化に対する方策
(4)ゴミの不法投棄への方策
①リサイクル活動の推進
②クリーンエネルギーの推進
(1)農業生産施設に対する方策
①水路やため池等の老朽施設の改善
②放置された水田やため池の改善
(2)環境保全型農業に対する方策
①有機農法の推進
②減農薬栽培の推進
今後必要となる方策
(1)身近な自然環境に対する対策
①自然散策路や登山道の整備
②河川の水辺環境における親水空間の創出
(1)門柳川流域に対する対策
①公園交流ゾーンの創出
(2)循環型社会の形成のための対策
①(仮称)資源循環推進センターの創出
(1)農業生産施設に対する方策
①環境保全型農業を支える土づくりセンター
の整備
②体験農園等の交流型農業の整備・推進
80
第4章 農村環境整備計画
■保全すべき資源
①基本的な考え方
加古川や門柳川等の河川や田園集落を取り囲む山林は、本町のシ
ンボルであると共に、多様な生物の生息環境となっている。また、
農地やため池・水路も身近な自然とのふれあいの場であると共に生
物の生息の場となっている。今後はこうした豊かな自然環境の重要
性を再認識し、人と自然との共生を図るため、適切な保全を図ると
共に、人と自然が交流する自然とのふれあいの場を形成する。
②保全すべき資源の今後の方策
◇生息環境に対する方策
・河川・ため池等の水辺環境の保全
生物の身近な生息環境である河川・ため池などの水辺環境を保
全する。特に、ホタルの生息の場となっている北谷川、南谷川、
門柳川等の水質の保全、護岸形状、水辺の植物の保全について配
慮する。
市山池、門柳池をはじめとするため池の保全及び周辺に生息す
る湿地の動植物の保全に努める。
・森林の適切な管理
身近な緑である森林は、水源涵養などの防災機能を有すると共
に、生物の生息地となっている。近年、管理不足や松くい虫被害
により一部の森林に荒廃が見られ、管理者をはじめ住民、ボラン
ティアなどによる適正な管理が必要である。
◇身近な自然環境に対する方策
・社寺林の保全
自然環境保全区域に指定されている荘厳寺周辺の自然環境は、
貴重な動植物の生息地となっており、適切な保全が必要である。
・集落内緑地の保全
集落内に点在する樹林地等の緑地は、小さなビオトープとして
の機能を有している。また農村景観を形成する重要な要素となっ
ているため、管理・保全が望まれる。
81
黒田庄町農村環境計画
◇地域特有の景観に対する方策
・優良農地、里山等の景観の保全
加古川の河川沿いに広がる優良農地や周辺の里山は、地域特有
の景観を形成しており、土地利用計画に基づいた適切な管理・保
全が望まれる。
・荘厳寺、福谷公園等の地域景観の保全
荘厳寺や福谷公園は、本町の代表的な景観であり、適切な管理
と共に、自然とのふれあいの場として保全・整備に努める。
・歴史・文化財の保全
社寺をはじめとする文化財は、地域の景観要素であると共に、
地域の伝統や文化を継承していくための重要なよりどころとな
っており、これら文化財及び周辺の環境の保全が望まれる。
例:兵主神社のレッケイ行列、恵比寿神社のえびす大祭、稲荷神
社の二の午祭典、瀧尾神社の秋祭り、大国神社の桜、荘厳寺
の多宝塔、大歳神社、春日神社、光福寺、西沢八幡神社黒田
城跡、小苗古墳
等
◇優良農地確保のための方策
・集落周辺のまとまりある優良農地の保全
優良農地は、効率的な食料生産の場であると共に、地域景観を
形成し、また洪水調整機能を有するなど、多面的機能を有してお
り、その保全が望まれる。
・中核農家の確保
農業就業農家は、優良農地の日常的な保全にかかわると共に、
地域の環境保全の担い手であるため、特にその中心となる中核農
家の確保に関する方策が望まれる。
◇身近な農業環境に対する方策
・自然的な用水路の保全
自然的な用水路は近年特に少なくなっているが、身近な自然と
のふれあい空間として保全すべきである。
・伝統的な石積等の保全
昔ながらの空石積「ししがき」などは、地域特有の景観をかた
ちづくると共に、生物の生息空間ともなっており、保全すべきで
ある。
82
第4章 農村環境整備計画
■復元すべき資源
①基本的な考え方
かつて野生生物の生息の場であった河川・水路、ため池等が人工
的な改修、あるいは放置されることによって変化し、生物生息の環
境が奪われつつある。また、生活様式の変化等から各神社に伝わる
伝統行事や地域特性を活かした食文化などが失われつつある。今後
はこうした失われた豊かな環境や地域特性を復元していくことが、
地域のアイデンティティを育てていく上で大切である。
②復元すべき資源の今後の方策
◇身近な生物生息環境に対する方策
・河川・ため池の水辺の多自然型整備による復元
河川やため池の改修等にあたっては、野生生物が生息しやすい
多自然型の護岸や親水空間の整備に努める。
・用水路の多自然型整備による復元
身近な自然とのふれあいの場となる用水路の改修等にあたっ
ては、野生生物が生息しやすい多自然型の護岸等の整備に努める。
◇歴史・文化財周辺環境に対する方策
・地域景観と調和した周辺環境の復元
社寺や埋蔵文化財等はそれ単体ではなく、周辺の緑地や里山等
とあいまって、個性ある地域環境を形成するとともに、各神社に
伝わる伝統行事が行われることやその場所があることが、地域住
民にとって親しみあるものとなる。従って、歴史・文化財の周辺
環境の整備にあたっては、地域景観との調和や伝統行事に配慮し
た整備・復元が望まれる。
83
黒田庄町農村環境計画
■改善すべき資源
①基本的な考え方
自然環境では特に、本町のシンボルである加古川の水質悪化をは
●モータリゼーション
自動車が生活必需品とし
て普及する現象。自動車の
大衆化。
じめ、町内河川の水質や親水性の高い水辺空間が阻害されている。
また、社会環境においてはモータリゼーションの進展と共に狭隘な
道路の通行が困難となり、交通事故の危険性が高まっている。さら
に生活様式の変化に伴い、ゴミ・廃棄物の増加が問題となっている。
生産(農業)環境においては、休耕田や耕作放棄地、老朽化したた
め池等の問題のほか、環境保全型農業を目指した農業廃棄物のリサ
イクルや循環が課題となっている。こうした環境に対し、今後資源
の有効な活用という観点から適切な改善方策が望まれている。
②改善すべき資源の今後の方策
◇生物生息環境に対する方策
・河川・ため池等の水質の改善
河川・ため池については水質の改善を図るため、集落単位で下
水道の整備を図ると共に、加古川については流域の市町と連携し
た取り組みが必要である。
◇身近な自然環境に対する方策
・動植物の生息環境の改善
身近な自然とのふれあいの場として、河川、水路、ため池等の
水辺環境に対し、水に親しめる空間(親水公園等)を整備すると
共に、身近なビオトープ空間として動植物の生息環境として改善
する。
◇地域景観に対する方策
・ゴミの不法投棄場所の改善
不法投棄されたゴミの回収と共に、跡地の緑化を図り、自然環
境の改善を図る。
・針葉樹林から広葉樹林への改善
管理不足により荒廃した人工林(針葉樹林)については、適切
な管理を行うと共に、今後は生物の生息環境としての機能が高く、
また紅葉など地域景観を高める広葉樹林への更新・転換を図るも
のとする。
84
第4章 農村環境整備計画
◇道路に対する方策
・狭隘道路の改善
集落内の狭隘道路の拡幅整備を進める。
・交通事故危険個所の改善
危険な交差点や見通しの悪いカーブ、通学路等については、交
通安全対策を進める。
◇循環型社会への方策
・ゴミの減量・再資源化に対する方策
地域社会が一体となって、ゴミの減量・再資源化を推進する。
・ゴミの不法投棄への方策
産業廃棄物等の不法投棄に対する監視体制の強化、情報収集を
図り、地域住民と連携して未然防止に努める。
・リサイクル活動の推進
資源ゴミの集団回収や商業施設と連携した資源ゴミのリサイ
クル活動を推進する。
・クリーンエネルギーの推進
太陽エネルギーなどクリーンエネルギーの公共施設、大型建築
物、さらには一般家庭への導入を推進する。
◇農業生産施設に対する方策
・水路やため池等の老朽施設の改善
老朽化した水路やため池は防災上危険であると共に、有効に機
能しない。こうした施設については、生物の生息環境でもあるこ
とから、多自然型の整備に努める。
・放置された棚田やため池の改善
放置された棚田やため池は、それが本来持っていた地域景観、
洪水調整、生物生息環境機能等が失われている。こうした棚田や
ため池の復元にあたっては、管理者のみならず住民やボランティ
アの協力による本来的な復元やビオトープ的な復元・管理が望ま
れる。
85
黒田庄町農村環境計画
◇環境保全型農業に対する方策
・有機農法の推進
畜産和牛の堆肥と米作の稲藁の交換に代表されるような資源
の循環、安全な食物の提供を基本とした農業システムの確立をめ
ざす。
・減農薬、無農薬農業の推進
消費者に安全でおいしい食材を提供するため、減農薬、無農薬
農業を推進する。
86
第4章 農村環境整備計画
■創出すべき資源
①基本的な考え方
自然とのふれあいは自然の大切さや楽しさを感じさせるもので
あり、自然環境の保全活動においてもきわめて重要であると共に、
地域住民や都市住民との交流の場としての活用が期待される。
また、社会環境においては、循環型社会形成のための拠点施設が
望まれ、循環型社会の確立へ向けての啓発活動や、ゴミの減量・再
資源化を推進する拠点として期待される。
生産環境においては、環境保全型農業を支える土づくりセンター
や、地域住民や都市住民の交流の場となるような体験農園等の交流
型農業の推進が望まれる。
②創出すべき資源の今後の方策
◇身近な自然環境に対する方策
・自然散策路や登山道の整備
白山周辺の登山、秋谷池や庵谷池等の水辺の自然散策路などの
自然遊歩道を整備し、自然とのふれあいを推進する。
・河川の水辺環境における親水空間の創出
加古川沿いの桜並木、門柳川沿いの散策路や河川公園など、親
水性豊かな水辺空間の創出を図る。
◇門柳川流域に対する方策
・公園交流ゾーンの創出
東はりま日時計の丘公園、福谷公園、東はりまフォルクスガー
デン黒田庄等が整備される門柳川流域については、地域住民のみ
ならず都市住民とっての豊かな自然を活かした交流・レクリエー
ション・保養の場として活用できるよう総合的に計画・整備して
いくことが望まれる。
◇循環型社会の形成のための対策
・仮称)資源循環推進センターの整備
循環型社会形成のための拠点施設として、循環型社会の確立に
向けての啓発活動や、ゴミの減量・再資源化を推進する拠点とし
て整備する。
87
黒田庄町農村環境計画
◇農業生産施設に対する対策
・環境保全型農業を支える土づくりセンターの整備
畜産和牛の堆肥と米作の稲藁の交換に代表されるような農業
廃棄物資源の循環など、環境保全型農業を支える土づくりセンタ
ーを整備する。
・体験農園等の交流型農業の整備・推進
地域住民や都市住民の交流の場となるような体験農園や観光
農園等の交流型農業施設の整備を図る。
88
第4章 農村環境整備計画
(2)水と緑のネットワーク
黒田庄町において生物相の保全を行うために、個々の自然環境要
素(山林、河川、ため池、農地等)の生息地としての質を向上させ
る施策を効果的に実施するためには、各々の自然環境要素間の種の
移動、供給の補償を、ネットワーク化する等の配慮を同時進行で行
っていく必要がある。
ビオトープの整備には、このような個別的整備手法と広域的配置
計画の2つの観点からのアプローチが必要であり、特に、町レベル
での環境計画の策定には、後者のアプローチが重要となる。
一般的に、ビオトープネットワークづくりのための広域配置計画
の作成にあたっては、様々な規模・形状を持つ自然環境要素を、
「核
(面)」、「回廊(線)」、「拠点(点)」として位置づけを与え
ながら、構想することが有効とされている。
●ビオトープネットワークの概要
各種生物の供給源の場所(数十ha以上の自然
核
(大拠点)
植生等)。
生態系内の高次消費者が生息可能な自然環境
容量を持った場所。
回廊
(中拠点)
拠点
(小拠点)
ビオトープの一つであり、生物の移動場所(河
川、道路の緑地等)。
核と核、核と拠点をつなぐ帯状の空間
回廊の途中や末端に位置し、中位∼低位の消費
者が生息対象となる(公園、ため池等)。
島状に孤立した中・小規模の自然空間
89
●生物相
ある一定の地域に存在
する生物の全種類のこと。
その地域の自然の質を表す
指標の一つで、数量や種類
間関係などは含まない。バ
イオータともいう。
黒田庄町農村環境計画
黒田庄町をビオトープネットワークの観点からみると、以下の特
徴が見られる。
■黒田庄町におけるビオトープネットワークの特徴
兵庫県のほぼ中心に位置する多可郡黒田庄町は、氷上郡と県南を
結ぶビオトープネットワークの骨格と位置づけることができる。特
に、中町、山南町、西脇市との境をなす山地帯は、まとまった山林
が広がっており、また、本町を南北に貫流する加古川はビオトープ
ネットワークにおける良好な「核・回廊」と位置づけることができ
る。
本町東南部は、その多くが森林植生に覆われており、ビオトープ
ネットワークにおける中心地域にあたる。妙見山、白山等の山々は、
周辺農地をはじめとした二次的自然環境と一体となって、広い面積
の連続する緑環境を形成している。
黒田庄町における「水のネットワーク」として、河川、用水路、
水田、ため池があげられる。黒田庄町の水環境は、山東町と青垣町
境にある栗鹿山を源流とする加古川の中流域に位置し、山南町境で
篠山川と合流、門柳川と合流し、下流域の市町の水環境と結ばれて
いる。特に、加古川が町の中央を貫流しており、門柳川をはじめと
した支流が各集落から流れ農地や集落が広がっているため、河川が
果たす役割が高いのが特徴といえる。
本町では、圃場整備が進んでいるものの、昔ながらの空石積や湧
水地、門柳川をはじめとした良好な水環境が現存しており、自然環
境特性としては比較的良好な状態を保っている。
90
第5章 地域別農村環境整備計画
第5章 地域別農村環境整備計画
第5章
地域別農村環境整備計画
1.加古川右岸田園ゾーン(Aブロック)
(1)環境の特性と課題
当該地域は加古川右岸に位置し、河川沿いには国道 175 号が貫通
するとともに、優良農地が広がり、その中に農村集落が点在してい
る。集落の後背地は山林で囲まれている。
町総合計画では、加古川右岸地域のほぼ全域が「田園環境ゾーン」、
国道 175 号沿道が「産業交流ゾーン」、JR 本黒田駅の対岸に位置
する地区が「生活交流ゾーン」と位置づけられている。
「田園環境ゾーン」では、優良な農地や優れた田園環境を守りな
がら、農業をめぐる今後の動向や農地の管理状況、農業後継者の確
保の状況を踏まえ、土地の有効利用の視点から、必要に応じて住宅
や公共施設、産業用地への転換を図るとしている。また、「産業交
流ゾーン」では、国道沿線などについては、その交流機能を活かし、
原則として工業、商業・サービス業などの産業の導入を進める地域
としている。「生活交流ゾーン」では既存の施設に加え、今後さら
に福祉や文化、生涯学習、情報発信等の機能を充実し、町民や来町
者の日常的な交流の場とするとしている。
■加古川右岸田園ゾーンの位置
Aブロック
JR 加古川線
加
自然環境ゾーン
古
川
生活交流ゾーン
生活交流ゾーン
田園環境ゾーン
産業交流ゾーン
公園交流ゾーン
国道 175 号
生活交流ゾーン
95
黒田庄町農村環境計画
①主な環境資源
・農業……優良農地、山田錦、畜産団地(黒田庄牛)、農業用水路
・自然……加古川、山すその道、田園風景、石原坂、西部井堰、桜
(薬師堂、大国神社、田高、旧グラウンド、中央橋南、津万井)、
市山池周辺の湿地、野尾谷川上流の自然護岸
・歴史……西沢八幡神社、星神社、大国神社、大蔵神社、西光寺
②主な問題点
・国道 175 号および集落内道路等の整備が不十分なため危険箇所が
多い。
・農業従事者の高齢化、農業後継者の不足。
・老朽化したため池がある。(市山池、西ノ塔池等)
・ゴミの不法投棄。
96
第5章 地域別農村環境整備計画
(2)農村環境整備の方向性と主要施策
本町の環境像である「元気な人と自然を創造する循環と共生の農
村づくり」と地域の環境特性と課題を踏まえて、加古川右岸田園ゾ
ーンにおける農村環境整備の方向性と主要施策を以下に示す。
☆加古川を活かしたうるおいのある環境づくり
加古川は当該ゾーンの自然・景観のシンボルであると共に、加古
川沿いに広がる平坦地は地域住民の生活・産業の活動の中心となっ
ている。このため、加古川を中心とした自然環境および生活・産業
環境における環境質の向上を図り、うるおいのある環境づくりを目
指すものとする。
■加古川の河川環境の保全・整備
●水質保全対策
集落単位で下水道の整備を図ると共に、加古川流域の市町と連携
した水質保全対策を図る。
●親水空間の整備
河川沿いに桜並木、散策路・サイクリングロード、親水公園等を
整備し、潤いのある河川環境を整備する。
■河川・ため池の多自然型護岸の整備
●自然護岸の残る河川の自然環境の保全・創出
加古川支流の野尾谷川上流部等には自然護岸が残されており、こ
うした水環境を保全するとともに、西ノ塔谷川や市山谷川等と合わ
せて当該流域における自然環境の質の向上を目指し、豊かな「自然
ふれあいゾーン」を創出することを目指す。
●ビオトープの整備
市山池周辺の湿地において、多様な動植物が確認されており、老
朽化したため池の改修にあわせて、市山池を含む周辺地域をビオト
ープとして整備し、「自然ふれあいゾーン」の中心的施設として位
置づける。
97
黒田庄町農村環境計画
☆若者が定住する魅力のある環境づくり
高齢化・少子化が進む当該地域にあって、若者層の定住は農業後
継者不足の大きな要因となり、地域の大きな課題となっている。こ
のため、集落内における道路、下水道、公園等の都市基盤施設の整
備を図ると共に、安定した就労環境の整備や安心して子供たちが自
然とふれあうことのできる環境を創出することを目指す。
■国道 175 号を軸とした豊かな道路景観の創出
●個性ある道路景観の創出
危険箇所等の道路改良を図ると共に、街路樹の整備や川の駅の検
討など、個性ある道路景観の創出に努める。
●集落内の狭隘道路の整備
若者たちのモータリゼーションに対応すると共に、安全で快適な
居住環境を創出するため、集落内の道路の拡幅整備を行う。
☆元気な農業の環境づくり
当該ゾーンには優良農地が広く存在すると共に、畜産団地や有機
農法による生産を行っている農家もある。このため、環境保全型農
業の積極的な展開を図り、安全で健全な農業<元気な農業>の環境
づくりを目指す。
■優良農地の保全・創出
●優れた農業生産地としての機能の向上
生産基盤の整備や有機農法等により、安全でより優れた農業生産
の場としての機能を高める。
●体験農園等の交流型農業の推進
農業生産と調和した都市近郊型農業や地域住民や都市住民の交
流の場としての体験農園や観光的活用を図る。
■環境保全型農業を支える土づくりセンターの整備
●土づくりセンターの整備
環境保全型農業を支える土づくりセンターの整備を図り、環境保
全型農業の推進拠点とする。
98
第5章 地域別農村環境整備計画
2.加古川左岸田園・自然ゾーン(Bブロック)
(1)環境の特性と課題
当該地域は加古川左岸に位置し、河川沿いには JR 加古川線が貫
通するとともに、優良農地と集落と山林が複合した田園と自然が調
和した農村環境を呈している。
町総合計画では、黒田地区を中心とした集落ゾーンが「生活交流
ゾーン」、それを取り囲む地域を「自然環境ゾーン」と位置づけら
れている。
「生活交流ゾーン」では既存の施設に加え、今後さらに福祉や文
化、生涯学習、情報発信等の機能を充実し、町民や来町者の日常的
な交流の場とするとしている。また、「自然環境ゾーン」では、山
林の有する多様な公益的機能を守るため、開発を制限すると共に、
人と自然との交流の場として活用していくものとしている。
■加古川左岸田園・自然ゾーンの位置
加
JR 加古川線
古
自然環境ゾーン
Bブロック
川
生活交流ゾーン
生活交流ゾーン
田園環境ゾーン
産業交流ゾーン
公園交流ゾーン
生活交流ゾーン
国道 175 号
101
黒田庄町農村環境計画
①主な環境資源
・農業……優良農地、黒田庄牛の生産地
・自然……加古川、北谷川(ホタル)、蓬莱峠、登山コース(白
山、妙見山)、殿山池、末谷池、古奈為神社(ケヤキ
の巨木)、野生動物が良く見られる(シカ、イノシシ、
タヌキ、サル)、荘厳寺周辺の自然環境保全区域、ふ
るさと桜つつみ回廊(喜多前坂黒田井堰∼新中橋)
・歴史……荘厳寺、光福寺、瀧尾神社(秋祭り)、小苗群集墳
②主な問題点
・加古川をはじめとする河川の水質が悪化している。
・減反政策により、優良農地の有効活用が図れない。
・野生動物による農作物の被害がある。
・集落を連絡する道路および集落内道路が狭い。
・伝統行事が衰退している。
・ゴミ不法投棄が多い。
・蓬莱峠への入り口がわかりにくい。
102
第5章 地域別農村環境整備計画
(2)農村環境整備の方向性と主要施策
本町の環境像である「元気な人と自然を創造する循環と共生の農
村づくり」と地域の環境特性と課題を踏まえて、加古川左岸田園・
自然ゾーンにおける農村環境整備の方向性と主要施策を以下に示
す。
☆自然と調和したまちづくり
当該地域は、加古川、荘厳寺周辺の自然環境保全区域、北谷川の
ホタルをはじめ、特徴ある豊かな自然環境を有している。このため、
こうした特色ある自然環境を保全すると共に、自然との豊かなふれ
あい空間を整備するなど、自然と調和したまちづくりを目指すもの
とする。
■荘厳寺自然環境保全区域を中心とした自然環境の保全・活用
●自然博物苑の整備
荘厳寺周辺の自然環境保全区域では貴重な動植物が多く見ら
れ、野生生物の宝庫とされている。このため、こうした野生動植
物の保全を図る。
●登山道の整備
当該地域周辺には、白山や妙見山への登山コースが設定されて
いるが、今後、案内板や休憩施設等を整備し、自然との適切なふ
れあいを促進する。
■河川環境の保全・整備
●北谷川の保全
ホタルの生息地である当該河川においては、ホタルの生息環境
を保全すると共に、河川沿いの散策路の整備など、豊かな自然と
のふれあい空間を整備する。
●水質保全対策
集落単位で下水道の整備を図ると共に、加古川流域の市町と連
携した水質保全対策を図る。
●親水空間の整備
河川沿いに桜並木、散策路・サイクリングロード、親水公園等
を整備し、潤いのある河川環境を整備する。
103
黒田庄町農村環境計画
☆伝統・文化を活かしたまちづくり
当該地域には、集落内やその周囲に多くの歴史文化財が点在して
いる。豊かな自然とのふれあいと共に、歴史文化財を保全し、活用
していくことで、地域住民や都市住民との交流も図れるような伝
統・文化を活かしたまちづくりを目指す。
■歴史文化財の保全・活用
●歴史文化財の環境整備
伝統・文化を活かした個性あるまちづくりを図るため、歴史文化
財を保全すると共に周辺環境を整備する。あわせて、これら歴史文
化財の活用を図るため、ネットワーク散策路や案内板、文化財マッ
プ等の整備に努める。
●集落間道路および集落内の道路の整備
モータリゼーションに対応すると共に、安全で快適な居住環境を
創出するため、集落間及び集落内の道路の拡幅整備を行う。
☆元気な地場産業の発展
当該ゾーンには優良農地が広く存在するが、減反政策により農地
の効率的な生産が問題となっている。このため、有機農法による環
境保全型農業の積極的な展開を図るとともに、安全で安心して食べ
られる地域の特産品を開発するなど、元気な地場産業の発展を目指
す。
■特産品の開発・PR
●特産品の開発
減反政策を踏まえ、農地の効率的な活用を図るため、地域の伝統
や特性を活かした特産品の開発に努める。
●環境保全型農業の推進
生産基盤の整備や有機農法等により、安全でより優れた農業生産
の場としての機能を高める。
104
第5章 地域別農村環境整備計画
3.中心市街地ゾーン(Cブロック)
(1)環境の特性と課題
当該地域は加古川左岸に位置し、本町の中心的な市街地が形成さ
れている。市街地中央部を JR 加古川線が貫通するとともに、市街
地周辺には優良農地と山林が広がっている。
町総合計画では、当該ゾーンほぼ全域が「生活交流ゾーン」と位
置づけられている。
JR黒田庄駅から町役場、中央公民館にかけての一体は、各種の
公共施設や商店などが集まり、町民生活の中心としての役割を果た
している。こうした地域を「生活交流ゾーン」と位置づけ、既存の
施設に加え、今後さらに福祉や文化、生涯学習、情報発信等の機能
を充実し、町民や来町者の日常的な交流の場とするとしている。特
に、中央公民館周辺については、福祉や文化に関する拠点機能の整
備を進めるものとしている。
■中心市街地ゾーンの位置
JR 加古川線
加
自然環境ゾーン
古
川
生活交流ゾーン
生活交流ゾーン
田園環境ゾーン
産業交流ゾーン
公園交流ゾーン
国道 175 号
生活交流ゾーン
Cブロック
107
黒田庄町農村環境計画
①主な環境資源
・農業……優良農地、黒田庄牛、黒大豆、イチゴ、有機農業、有機
山田錦
・自然……加古川、福谷公園(サクラ、モミジ)、丸山公園(樹林
地、西国八十八ヶ所めぐり)、門柳川(ホタル)、里山
(クワガタ)、宮池(景観が美しい)、福谷池、登山コ
ース
・歴史……兵主神社(鐘堂、レッケイ行列)、御霊神社(名水)、
大歳神社(秋季例祭)、山王神社(秋祭り)、薬師寺(じ
ゅじゅくり)、稲荷神社(初午祭り、カラコツバキ)、
道祖神、厄神さん、観音堂
②主な問題点
・集落内道路が狭い。
・夜間照明が少ない。
・高齢化、若者の流出等による農業後継者が不足している。
・野生動物による農作物の被害がある。
・浸水箇所がある。
・野生動物の住みかが少なくなっている。
・ゴミ不法投棄が多い。
108
第5章 地域別農村環境整備計画
(2)農村環境整備の方向性と主要施策
本町の環境像である「元気な人と自然を創造する循環と共生の農
村づくり」と地域の環境特性と課題を踏まえて、中心市街地ゾーン
における農村環境整備の方向性と主要施策を以下に示す。
☆癒しのまちづくり
高齢化、若者の流出が問題となる中、みんなが来たくなる、住み
たくなるような魅力づくりが大きな課題となっている。ホタルの生
息する門柳川や多くの歴史文化財が散在しており、今後こうした地
域特性を活かした魅力あるまちづくりを目指すものとする。
■河川・ため池の自然環境の保全・活用
●門柳川の保全・活用
ホタルの生息地である当該河川においては、水質の保全及びホ
タルの生息環境を保全すると共に、河川沿いの散策路の整備など、
豊かな自然とのふれあい空間を整備する。
●親水空間の整備
河川沿いに桜並木、散策路・サイクリングロード、親水公園等
を整備し、潤いのある河川環境を整備する。
●福谷公園及び周辺の自然ふれあい拠点の整備
福谷公園及び福谷池周辺において、池の水質改善や水生生物
(例/モト:ブラックバスによる減少)の保全・改善、登山道の
案内板等の整備、空閑地の整備など、当該地区を自然ふれあい拠
点としての整備に努める。
■歴史文化財の保全・活用
●歴史文化財の環境整備
伝統・文化を活かした個性あるまちづくりを図るため、歴史文
化財を保全すると共に周辺環境を整備する。あわせて、これら歴
史文化財の活用を図るため、ネットワーク散策路や案内板、文化
財マップ等の整備に努める。
109
黒田庄町農村環境計画
☆四季を体感できるまちづくり
魅力ある居住環境を形成するため、また地域における身近な自然
とのふれあいを促進するため、集落内や河川沿いの散策路等に草花
や親水公園の整備など、四季を体感できるまちづくりを進める。
■集落内道路の整備
●集落内狭隘道路の整備
モータリゼーションに対応すると共に、安全で快適な居住環境
を創出するため、集落間及び集落内の道路の拡幅整備を行う。
整備時において、沿道建物と一体となった緑化スペース(花壇
等)を確保し、四季を体感できる道路空間の整備に努める。
■歴史環境の緑花(緑化)
●歴史文化財の環境整備にあわせた緑花(緑化)
歴史文化財の周辺環境整備にあわせて、地域住民のための緑花
(緑化)スペースを確保する。
歴史文化財のネットワーク散策路や案内板設置場所等に、地域
住民のための緑花スペースを確保する。
110
第5章 地域別農村環境整備計画
4.門柳川公園交流ゾーン(Dブロック)
(1)環境の特性と課題
当該地域は門柳川の中上流域に位置する。当該ゾーン内には、東
はりまフォルクスガーデン黒田庄、東はりま日時計の丘公園等の観
光レクリエーション施設が整備されている。また、門柳川はホタル
の生息地として有名であり、当該地域の自然のシンボルとなってい
る。集落及び水田は小規模であり、地域の大半を山林が占めている。
町総合計画では、門柳川流域を「公園交流ゾーン」と位置づけ、
豊かな水や緑を活かして、町民や来町者のためのレクリエーション、
心身のリフレッシュの場として活用するゾーンとしている。
■門柳川公園交流ゾーンの位置
JR 加古川線
加
自然環境ゾーン
古
川
生活交流ゾーン
生活交流ゾーン
門柳川
田園環境ゾーン
公園交流ゾーン
産業交流ゾーン
国道 175 号
生活交流ゾーン
113
Dブロック
黒田庄町農村環境計画
①主な環境資源
・農業……シシガキ(伝統的な石積)、特産開発センター
・自然……門柳川(ホタル)、門柳川最上流部(ホトケドジョウ)、
門柳池(乾燥化、樹林地化)、登山コース(白山、妙
見山)、山麓部の湿地(ハッチョウトンボ、モウセン
ゴケ)、湧水池、水辺の遊び場、秋谷池、庵谷池
・歴史……毘沙門さん、行者さん、八幡さん、愛宕さん、住吉神
社、妙見堂(イチョウの大木)、薬師堂、
・施設……東はりまフォルクスガーデン黒田庄、東はりま日時計
の丘公園、開発地(別荘、キャンプ場、温泉等)
②主な問題点
・門柳川の自然環境の保全が今後の地域づくりにおいて重要な課題
である。
・集落を連絡する道路および集落内道路が狭い。
・若者が定住しない。
・伝統行事が衰退している。
・開発地の景観の不一致。
・花粉症の原因となるスギ・ヒノキ林が多い。
114
第5章 地域別農村環境整備計画
(2)農村環境整備の方向性と主要施策
本町の環境像である「元気な人と自然を創造する循環と共生の農
村づくり」と地域の環境特性と課題を踏まえて、門柳川公園交流ゾ
ーンにおける農村環境整備の方向性と主要施策を以下に示す。
☆門柳川の自然と調和した公園交流ゾーンづくり
当該地域は、門柳川を中心として狭い谷間に集落・農地が散在し、
周囲を深い山林に覆われた豊かな自然地域である。
豊かな自然を背景として、東はりまフォルクスガーデン黒田庄、
東はりま日時計の丘公園等の観光レクリエーション施設が整備さ
れ、公園交流ゾーンとしての機能充実が図れつつある。
今後は、門柳川及び周囲の山林等の豊かな自然環境を保全しつつ、
それらと調和した交流ゾーンの形成を目指すものとする。
■河川環境の保全・整備
●門柳川の自然環境の保全
ホタルの生息地である当該河川においては、ホタルの生息環境
を保全すると共に、河川沿いの散策路や親水公園の整備など、豊
かな自然とのふれあい空間を整備する。
●門柳川の水質保全対策
集落単位で下水道の整備を図り、水質の保全図る。
●親水空間の整備
河川沿いに桜並木、散策路、親水公園等を整備し、潤いのある
河川環境を整備する。
■自然環境の保全・活用
●登山道の整備
当該地域周辺には、白山や妙見山への登山コースが設定されて
いるが、今後、案内板や休憩施設等を整備し、自然との適切なふ
れあいを促進する。
115
黒田庄町農村環境計画
●門柳川最上流部の自然環境の保全・回復
門柳川最上流部の門柳池は乾燥化が進み、樹林地化している。
こうした変化は門柳川の水質や野生生物に影響することが考え
られる。また、さらに上流にはホトケドジョウの生息地がある。
このため、これらの自然を保全するため、当該地区をビオトープ
として自然環境の保全・回復に努める。
■歴史文化財の保全・活用
●歴史文化財の環境整備
伝統・文化を活かした個性あるまちづくりを図るため、歴史文
化財を保全すると共に周辺環境を整備する。あわせて、これら歴
史文化財の活用を図るため、ネットワーク散策路や案内板、文化
財マップ等の整備に努める。
●伝統的な石積の保全
当該地域には伝統的な石積である「シシガキ」が残されており、
こうした石積みは地域の農村景観を特徴付けるものであり、今後
とも保全すると共に、水路や擁壁の改修にあたってはできる限り
こうした伝統的な技法による工法とし、その工法の継承にも努め
る。
●集落間道路および集落内の道路の整備
モータリゼーションに対応すると共に、安全で快適な居住環境
を創出するため、集落間及び集落内の道路の拡幅整備を行う。
116
第6章 農業農村整備事業に
おける環境対策指針
第6章 農業農村整備事業における環境対策指針
第6章
農業農村整備事業における
環境対策指針
1.環境対策に向けた基本的な考え方
(1)環境配慮5原則(ミティゲーション)
環境への影響を緩和するための方法(環境配慮 5 原則)としては、
回避、最小化、修正、軽減・消失、代償がある。
計画の段階で「回避」を検討し、回避が不可能な場合には「最小化」
、
「修正」、
「軽減・消失」の可能性を検討する。
「代償」は、他の措置を
検討したうえでなお生じる環境影響について行うものと考えられる。
①回避
事業実施地点をできるだけ保全すべき地点から遠ざけたり、事業実
施範囲から除外したりすることが可能であれば、工事の影響を回避す
ることができ、地域の生態系にとって望ましいものとなる。
水路や農道の建設予定地が貴重な生物の生息・生育する樹林地や沼
沢地などであった場合に、建設予定路線を迂回させたり一部を現状の
まま保全したりすることにより、事業実施による環境影響を回避する
ような方法がこれに該当する。
②最小化
事業の目的と生態系の保全ができるだけ両立するような工法を選
定し、自然環境に対する影響をできる限り少なくする方法であり、一
般的に生態系保全工法といわれているものが該当する。
生態系の保全工法には、三面張水路ではなく二面張水路や片側護岸
水路とすること、蛇篭・ふとん篭や木工沈床といった伝統的な工法の
活用、生態系保全を意図して開発された二次製品の利用などの方法が
ある。
119
黒田庄町農村環境計画
③修正
事業の実施が常に生態系に対し悪影響を及ぼすものとして捉えず
に、事業の実施が生態系の保全・回復のために望ましい状況を作り出
すように積極的な対応を図ることもできる。
ほ場整備の際に耕作放棄地や生産にとっての条件不利地を換地処
分し、地区内に生物の生息・生育空間としてのビオトープを新たに創
造したり、ネットワーク化を図ったりすることは検討に値する。また、
単純な断面のため生物の生息・生育に適さなくなった水路を事業実施
に伴い、生物の生息・生育可能な水路に改修することは、生態系の保
全に望ましい環境を創出する事例として考えられる。
④軽減・消失
工事の実施による一定の環境への影響は避けられないが、その影響
の程度を軽減し工事完了後の環境の回復をスムーズなものとするため
の方法である。工事実施中の濁水処理対策や水生生物保全のための水
流の確保、十分な水流の確保が困難な場合には一時的に生物を移動さ
せるなどの方法がある。
⑤代償
事業の実施により、生物の生息・生育地にダメージを与えざるを得
ない場合には、代替の生息・生育地を確保したり、創設したりして生
息・生育空間を確保する方法があり、移植もこれに含まれる。
用排水路の改修に伴い水路の直線化が行われる場合、蛇行したバイ
パス水路や保護池を隣接地に設け生物の生息・生育空間を確保する方
法等がこれに該当する。この方法は適切な用地や水源の確保などもと
の環境と同様の環境の確保が条件となり、どの地域でも適応できるわ
けではないものの、条件が整えば、事業目的の達成と生態系の保全を
両立させるうえで有効な方法である。
120
第6章 農業農村整備事業における環境対策指針
(2)水と緑のネットワークの確保
水と緑のネットワークの確保(ネットワークの原則)とは、生物
種や生態系の保全のためには、その生息域に関わる環境要素のネッ
トワークが適切な形で確保されていることをいう。
環境と の調和 に配慮す るにあ っては 、国際自 然保護 連合
(IUCN)が、実証的研究により最も効率的な「生物生息空間の形
態・配置の6つの原則」として提唱している「広大化」、
「団地化」、
「集合化」、「等間隔化」、「連結化」及び「円形化」を考慮して
行うことが重要である。生物生息空間をより広い面積で、より円形
に近い形で塊として確保し、それらを生息空間的回廊(コリドー)
で相互に繋ぐことが、最も効果的な形態及び配置といえる。
今後の農業農村整備事業の実施においても、このような考え方を
踏まえつつ、河川・水路系のネットワークのみならず、里山等の緑
のネットワークについても極力現況の植生を生かすとともに、必要
となる並木や緑地等の整備の可能性や方法について検討する必要
がある。
121
黒田庄町農村環境計画
〔生物生息空間の形態・配置の6つ原則〕
優(better) 劣(worse)
広
大
化
団
地
化
集
合
化
等
間
隔
化
連
結
化
円
形
化
生物生息空間の形態・配置の原則
生物生息空間はなるべく広い方が良い。
タカ、フクロウやキツネ等高次消費者が生活で
きる広さが一つの目安。生物の多様に富み、安
定性が増し、種の絶滅率が低くなる。
同面積なら分割された状態よりも一つの方が
良い。
一塊の広い地域であって初めて高い生存率を
維持できる多くの種は、生息空間が幾つかの小
面積に分割されると、生存率が低くなる。
分割する場合には、分散させない方が良い。
生物空間が接近することで、一つの生物空間で
種が絶滅しても近くの生物空間からの種の供
給が容易になる。
線上に集合させるより、等間隔に集合させた方
が良い。
等間隔に配置されることで、どの生物空間も、
他の生物空間との間での種の良好な交流が確
保される。線上の配置は、両端に位置する生物
空間の距離が長く、種の交流を難しくしてしま
う。
不連続な生物空間は生態的回廊(コリドー)で
繋げた方が良い。
コリドーの生存より、生物の移動が飛躍的に容
易になる。
生物空間の形態はできる限り丸い方が良い。
生物空間内おける分散距離が小さくなる。外周
の長さも小さくなり、外部からの干渉が少なく
て済む。
高次消費者が生息可能な良質な生
物空間をより広い面積で、より円形に
近い形で塊として確保し、それらを生
態的回廊で相互に繋ぐことが、最も効
率的なビオトープの形態及び配置の
仕方である。
122
第6章 農業農村整備事業における環境対策指針
2.事業工種別環境対策指針
(1)農道
具体的な配慮
1.舗装
2.線形
自然環境
●必要最小限の舗
装幅員と自然色の
利用
●生き物にやさし
い舗装工法の選定
生産(農業)環境
●維持管理を低減
できる環境へ配慮
した舗装の整備
●荷傷みを防止す
るための平坦性の
確保
●地形に沿った無 ●ほ場や農業施設
理のない線形
の立地場所との調
整
社会環境
●作業車両程度を
支えるための適正
な舗装
●車両通行の安全
確保のため見通し
をよくし、ミラー
等を設置
3.景観
●周辺自然環境と ●植栽による周辺 ●植栽による周辺
の調和
景観・環境との調 景観・環境との調
和
●植栽による周辺 和
景観への配慮
4.構造物
●小動物も利用し ●農作業軽減への ●地域の文化や歴
寄与
史を伝えるデザイ
(水路,擁壁) やすい構造
ン
●小動物が通過可
能な構造(水路壁
緩勾配,自然素材,
多孔質化,等)
5.植栽・動物 ●現況植生を利用 ●街路樹や植樹に ●地元で管理でき
し周辺環境との調 よる害虫発生の防 る植生
和
●法面への地域種
止
の植栽
●街路樹による植
生の連続性の確保
●道路横断動物に
関する警戒標識
●生態系の不分断
備考
●全体として、緑
●管理しやすい法
のネットワークの
面の緩勾配化
連続性を意識する
123
黒田庄町農村環境計画
(2)河川、水路
具体的な配慮
自然環境
生産(農業)環境
1 . 水 深 ・ 水 ●水生生物が移動 ●流入口付近の水
量・流速
できる構造とし、 量確保
浅瀬や緩やかな流 ●水路内の管理の
れの環境と小動物 容易さ
の横断場所の確保
●年間を通した生
物生息環境の確保
2.水質
●自然的・生物的 ●農薬使用の抑制
な水質浄化機能の
活用
3.水際・護岸 ●生物の冬眠や繁 ●農業従事者の休
殖のための土羽構 憩場所の提供
造の見直し
●環境負荷の低減
●小動物のための による悪臭の減少
スロープの設置
●自然植生が付き
やすく多孔質な伝
統的護岸の採用
●ため池等との水
環境の連続性の確
保
4.線形・断面 ●水路の蛇行や断 ●受益農地の維持
面 に 変 化 を 持 た に必要な断面確保
せ、多様な環境を と影響が最小とな
復元・創出
る線形
●野生生物の水路
横断への配慮(緩
勾配化など)
5.植生
●水生生物や水鳥 ●農害虫の発生源
のための植生の創 とならない植生
出
●農業用水の送水
●可能な限り、現 の妨げとならない
況植生を保全・利 植生
用
6.素材
●自然素材の利用
●コンクリート利
用は、表面処理の
工夫を
124
社会環境
●子供達の水への
近づき易さの確保
●安全性確保のた
め東屋などの周辺
には浅瀬を確保
●農業集落排水施
設の設置や汚水流
入防止
●人々が利用しや
すい潤いと安らぎ
の場を提供
●階段・スロープ
を設置し、水生生
物とのふれあいと
学習の場を提供
●安全性を考慮
し、人の入れる場
と入れない場を分
離区分
●周辺住民の散歩
道として変化を持
たせ、やわらかい
景観を生み出す曲
線線形
●刈り取り等の管
理の徹底
●管理のし易い植
生の植栽
●地域の風土にあ
った素材の利用
●地場素材の利用
第6章 農業農村整備事業における環境対策指針
(3)近代化施設等
具体的な配慮
自然環境
生産(農業)環境
1.共同利用施 ●周辺環境へ影響 ●農業生産環境の
設
の少ない場所への 向上
立地と周辺との景
観的調和
2.農作業小屋 ●自然素材の利用 ●農作業に寄与す
(個人)
●敷地における多 る立地場所
孔質な空間の確保
●周辺環境へ影響
の少ない場所への
立地
社会環境
●地域の文化や歴
史を伝えるデザイ
ン
●周辺との調和
●地域の文化や歴
史を伝えるデザイ
ン
●地域の伝統的意
匠
●周辺との調和
(4)土壌
具体的な配慮
1.土壌
2.植生
自然環境
生産(農業)環境
社会環境
●生物の生息が可 ●高生産・高品質 ●環境負荷の低減
能な土壌の確保
の向上を図る土壌 をかなえる土壌
づくり
●生ゴミリサイク
●循環型農業の推 ル
進
●事業実施前の植
生の保全
(5)安全施設
具体的な配慮
1.素材
自然環境
●自然素材の利用
●コンクリート利
用は、表面処理の
工夫を
2.デザイン
●周辺環境との調
・形状 和
3.土壌
生産(農業)環境
社会環境
●地域の風土にあ
った素材の利用
●地場素材の利用
●地域の文化や歴
史を伝えるデザイ
ン
●周辺環境との調 ●農作業への影響 ●地域住民生活の
和
が少ない場所へ立 安 全 性 確 保 の た
地
め、適所配置
125
黒田庄町農村環境計画
(6)集落道
具体的な配慮
1.舗装
2.線形
3.擁壁
4.景観
5.防護柵
自然環境
●透水性舗装の
利用
●必要最小限の
舗装幅員
●生き物にやさ
しい舗装
●地形に沿った
無理のない線形
生産(農業)環境
社会環境
● 通 行 の 利 便 性 ●一般通行車両およ
を確保
び緊急車両を支える
● 農 作 物 の 荷 痛 ための適切な舗装
み等の防止
● 農 道 と の 接 続 ●車両通行の利便性
の利便性を確保
を確保
●歩行者の安全性確
保
●周辺環境・景
観と調和する一
体的整備
●植栽等での周
辺環境との連続
性確保
●周辺自然環境
との調和
●周辺環境との調和
を考えた色調
●機能確保と地域文
化や環境との調和
6.電灯
● 虫 が あ つ ま る ●人の安全が確保で
ことへの防止
きる光量
7.植生・動物 ●地場植生の利
●住民が管理できる
用
植栽
●動物のための
●小動物とのふれあ
移動空間の確保
いの場の確保
●生態系の不分
断
126
第6章 農業農村整備事業における環境対策指針
(7)ため池
具体的な配慮
1.水深・水量
2.水質
自然環境
●水生生物が移動
可能な水量と余水
吐等の構造
●干し上げの際の
全貯蓄水の排水抑
制
●浄化や清掃に関
する付帯施設の設
置
●固有生物の生息
環境の確保
生産(農業)環境
社会環境
●かんがい機能保 ●安全性確保のた
持のための水量確 めフェンスの設置
保
や親水空間周辺に
は浅瀬を設ける
●農薬の抑制によ ●ゴミや濁水流入
る水質の向上
抑制による水質の
向上
●利用者マナーの
向上へ向けて啓蒙
活動
●農業従事者の休 ●潤いと安らぎの
憩場所
提供
●適切なため池機 ●子供達の水生生
能を有する構造
物観察の場として
保全・整備
●管理の行い易い
緩斜面の設置
3.水際・護岸・ ●河川や水路との
堤体
水環境の連続性の
確保
●堤体の野草や草
原の利活用
●波浪高以上の法
面へ自然植生の植
栽
4.植生
●現況環境の維持 ●農薬散布抑制に ●子供をはじめと
のため外来種の流 よる生物生息環境 する学習教材とし
入抑制
の保全
て利用
●水鳥の安全確保
●管理のし易い植
のため隠蔽植栽
生の植栽
●生物生息空間と
してできる限りの
保全と創出
127
黒田庄町農村環境計画
(8)山林
具体的な配慮
1.植生
2.動物
3.道路
自然環境
●現況環境の維持
のため外来種の流
入抑制
●生物生息空間と
してできる限りの
保全と創出
●山の生態系拠点
として連続したエ
リアの保全
●道路横断動物に
関する警戒標識
●生態系の不分断
●動物のための移
動空間の確保
4.構造物・素 ●周辺自然環境と
材
の調和
●自然素材の利用
●コンクリート利
用は、表面処理の
工夫を
備
考
●国土保全などの
公益的機能の高い
山林の再評価
●全体として、緑
のネットワークの
連続性を意識する
生産(農業)環境
●アカマツ林の再
生によるまつたけ
山の保全
●下草刈りなどの
定期的管理
社会環境
●遊歩道整備によ
り、子供をはじめ
とする学習教材と
して利用
●枯枝の伐採,撤
去などの里山管理
●害獣の非殺傷的 ●小動物とのふれ
駆除方法の検討
あいの場の確保
●街路樹や植樹に ●法面への地域種
よる害虫発生の防 の植栽
止
●管理のし易い植
生の植栽(現況樹
種)
●コンクリート側 ●地域の風土に合
溝は動物の移動に っ た 素 材 の 利 用
配慮したものの利 (地場素材)
用
●機能確保と地域
●山際は直線的に 文化や環境との調
せず、出来るだけ 和
自然地形に沿わせ
る
●住民が管理しや
すい方法の検討
(法面の緩勾配
化)
●人手の少ない農
村だけではなく、
都市からの人手を
活用
128
第6章 農業農村整備事業における環境対策指針
(9)歴史・文化
具体的な配慮
1.交通アクセス
自然環境
●周辺自然環境と
の調和
●自然素材の利用
●コンクリート利
用は、表面処理の
工夫を
生産(農業)環境
●コンクリート側
溝は動物の移動に
配慮したものの利
用
●山際は直線的に
せず、出来るだけ
自然地形に沿わせ
る
2.保存・復元 ●環境への負荷の ●調査・保存・復
調査
少ない方法での調 元への協力
査
3.案内・
●自然素材による
周辺環境との調和
発信施設
社会環境
●観光施設をスム
ーズに結ぶアクセ
ス道整備
●機能確保と調和
を図った統一デザ
イン
●地域の風土にあ
った素材での保
存・復元
●全体を把握する
総合案内板の設置
●車からの視認性
を高めるデザイ
ン、色、位置
4.休憩施設
●周辺環境へ影響
●東屋・トイレの
の少ない場所への
設置
立地と周辺との景
●地域の風土にあ
観的調和
った素材の利用
●地域の文化や歴
史を伝えるデザイ
ン
5.伝統文化・
●土地に伝わる伝 ●住民主導による
風習
統文化風習の子供 保存委員会の発足
達への伝達
●「郷土」の保存・
伝承
129
黒田庄町農村環境計画
130
第7章 住民参加による農村環境保全
第7章 住民参加による農村環境保全
第7章
住民参加による農村環境保全
1.地域住民の参画と協働
本町の農村環境を構成するさまざまな環境資源には、町民や各種
団体・組織の所有する建物や土地も対象となりえる。このため、自
然環境の保全や地域文化の保存・伝承による豊かな地域環境の創造
を推進していく上で地域住民の参加が大前提となる。
このため、地域住民、事業者(各種団体・組織等)・行政の役割
分担を明確にし、協働による地域運営を効率的かつ効果的に行う必
要がある。地域住民の参加機会としては、地域の環境目標の策定、
企画・運営、環境保全に関わるボランティアやイベント活動への参
加、環境資源の調査等が考えられ、各地区の現状に応じた住民参加
の手法を選択し、継続的に実施していくことが望まれる。
農村環境整備の内容や施設の維持管理にかかる詳細事項等につ
いては、農家(直接受益者)と非農家によってその考え方は異なる
ことが通例といえる。このため、今後の農村環境整備の推進にあた
っては、企画・計画段階からの幅広い住民参加機会を設け、維持管
理までを見通した合意形成を図っていく必要がある。
また、事業の実施中だけでなく、実施後の利用や維持管理を円滑
に行うためには、調査・計画・設計の内容、完了後の機能、必要な
管理等についての正確な情報や合意の内容、各主体の役割分担の内
容等を地域の実情に応じた適正な方法により周知していくことが
重要となる。
131
黒田庄町農村環境計画
2.地域住民・事業者・行政の役割分担
(1)地域住民の役割
地域住民については、日常生活に起因する環境への負荷が増大の
傾向にあること、地域の自然・歴史文化資源の重要性を十分理解し、
それらの保全・創造にかかる地域住民の自主的な活動を進めていく
ことが重要である。また、生活環境の観点からすれば、大量消費や
大量廃棄型の生活様式を見直し、環境への負荷の低減や身近な環境
をよりよいものにしていくための行動を自主的かつ積極的に進め
ることが必要である。
このような諸活動の活性化を促していくためには、各々の家庭内
において、次世代を担う児童や青少年の環境教育に注力し、家庭や
集落、地域レベルの積極的な取組みを促していくことが重要である。
(2)事業者の役割
農業組織をはじめとする事業者については、化学肥料や農薬の大
量消費、副産物等の大量廃棄型の社会経済活動を見直し、環境負荷
が少ない循環型の社会システムの構築に努めていく必要がある。ま
た、国際規格等に沿った環境管理システムに関する動向も踏まえつ
つ、公害防止や廃棄物の減量化、リサイクル、省資源・省エネルギ
ーの推進をはじめ環境への負荷の低減を事業者自ら積極的に進め
ることが必要である。
あわせて、各方面における環境技術の進歩を鑑みながら、エコビ
ジネスへの転換、敷地緑化、美化運動への積極的な参加など、地域
住民や行政が推進する環境保全施策への協力が必要である。
132
第7章 住民参加による農村環境保全
(3)行政の役割
行政については、地域環境の状況及び課題の把握に努め、地域住
民が住みよい環境を保全し、必要に応じて創造するための基盤確保
に努めていくことが必要である。このためには、町内において地域
住民、事業者、行政の相互の連携を密にしながら、また、国や県、
他の地方自治体等との連携、協力体制を構築していくことが重要と
いえる。
また、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活
動を見直し、環境負荷が少ない循環型社会の構築の重要性を地域住
民や事業者に広く呼びかけ、行政自らが環境保全に関する行動を率
先して実行していこととする。さらに、次世代を担う人づくりを基
調として、各主体の各種環境保全活動への支援や基盤確保に努め、
環境教育や広報に関する諸施策を推進する。 さらに、本計画の着
実な推進とすべての町民が豊かな地域環境を享受できるよう、本町
や地域の実状に応じた各種制度や条例の整備も検討していくとと
もに、環境保全・創造にかかる財源の確保に努めていく。
133
黒田庄町農村環境計画
各主体が取り組むべき主な環境保全・創造活動は以下のとおりで
ある。
主
体
具体計画
○公民館活動(各種サークル・生涯学習など)
○福祉、国際交流・文化財調査・環境パトロー
ルなどのボランティア活動
○緑化活動、歴史的景観・街並み保存運動
民間主体
(町民、事業者、
NPO 等)
○祭り・イベント活動
○地域住民主体の調査、展示、保全
○環境保全型農業(全町有機土壌化)の推進
○ゴミの減量化・リサイクル(バザーなど)、適
正な破棄物処理、ISO14001 の取得などの環境
保全活動
○地域住民、事業者等に対する各種環境保全活
動への啓発活動
○コミュニティ意識の醸成にかかる啓発活動
○各種環境保全活動にかかる支援事業の実施
○高度情報基盤の整備・充実
公的主体
(国・県・町 等)
○情報提供の推進(広報紙、ウェブサイト、懇
談会など)
○地域リーダーの育成支援
○環境教育の実施
○各種イベントの企画、運営、支援
○PFI の導入検討(民間とのパートナーシップ)
○住民活動拠点の整備・充実
○住民参加型事業の導入
134
など
第7章 住民参加による農村環境保全
豊かな地域環境
決定・行動(合意形成)
相互協力
地域住民
事業者
要請・協力
要請・協力
支援・広報
支援・広報
黒田庄町
連携
協力
国・県
■地域住民・事業者・行政の役割分担イメージ
3.計画の進行管理
農村環境計画に掲げられた環境保全目標をはじめ、今後の各種施
策について、その着実な推進を図るため、庁内担当課においては本
計画の進捗状況やその時点における問題点の把握に努め、これらの
結果を明らかにしていくとともに、必要に応じた見直しを行うもの
とする。
かつては、農地やため池、水路、緑地に関しては、「共有財産」
として自主的な維持・管理がなされてきたが、近年の社会構造の変
革や農業の衰退等により、維持・管理が十分に行われていない状況
にある。このため、めまぐるしく変化する社会状況に対応した維
持・管理システムの構築をめざし、地域合意にもとづく、行政と民
間とのパートナーシップによる維持・管理を推進していくものとす
る。
135
農村環境計画策定検討委員会名簿
氏
名
所属及び役職名(平成 13 年度)
宮
崎
好
史
黒田庄町議会
議員
西
山
拓
昌
黒田庄町議会
議員
藤
原
元
一
黒田庄町区長会
会長
宮
崎
誠
一
黒田庄町区長会
副会長
金
川
慶
蔵
黒田庄町区長会
副会長
宮
崎
邦
男
黒田庄町農業委員会
委員長
高
橋
義
一
黒田庄町農業委員会
委員
委員
藤
本
豊
黒田庄町農業委員会
橋
間
透
黒田庄町商工会
青年部部長
黒田庄町商工会
青年部副部長
林
学
池
田
博
行
みのり農業協同組合
黒田庄営農経済センター長
村
上
正
代
特産品開発グループ
黒っこマザーズ会員
横
山
和
子
特産品開発グループ
黒っこマザーズ会員
上 月 か を る
ボランティアグループ
チェリーサークル会員
森
脇
享
子
ボランティアグループ
チェリーサークル会員
岩
本
理
香
ボランティアグループ
飛
田
義
正
黒田庄町産業課
課長(平成 14 年 7 月∼)
崇
黒田庄町産業課
主査
豊
黒田庄町土木課
課長(平成 14 年 7 月∼)
也
黒田庄町土木課
主査(平成 14 年 7 月∼)
高
瀬
吉
本
森
脇
達