腎排泄性薬物ではないのに減量の必要な薬物

腎排泄性薬物ではないのに減量の必要な薬物
尿中排泄率が低いのに減量すべき薬物には活性代謝物が蓄積する薬物、腎で代謝される薬物などの例外がありますが、ここに挙げる薬物はなぜ腎不全患者で減量
すべきかがよくわかっていない薬物です。おそらく尿毒素の蓄積によりCYPやトランスポータなどの機能性タンパク質の発現量や機能を低下しているものと考えら
れています。どのような機能性タンパク質が尿毒素の影響を受けるのかについては一定の法則がありません。従ってこれらの薬物は例外として記憶するしかあり
ません。
薬効
薬物名
商品名
尿中排泄率
ESKDのCL
トラマドール
トラマール
13-16%
不明
1/2以下に減量
抗うつ剤(SNRI)
デュロキセチン
サインバルタ
0%
-62%
禁忌
抗てんかん薬
ラモトリンギン
ラミクタール
10%
不明
1/2に減量
筋弛緩薬
チザニジン塩酸塩
テルネリン
わずか
CYP1A2による肝初回通過効果低下の
1/7に減量
消化管運動改善剤
メトクロプラミド
プリンペラン
20-30%
-66%
β遮断薬
プロプラノロール
インデラル
1~4%
CYP1A2による肝初回通過効果低下
抗凝固薬
ワルファリン ワーファリン
2%以下
-50%
禁忌
カルペリチド
ハンプ
0%
不明
1/2に減量
肺高血圧症治療薬
シルデナフィル
レバチオ
0%
-50%
低用量から開始
肺高血圧症治療薬
タダラフィル
アドシルカ
0%
不明
禁忌
ロスバスタチン
クレストール
10%
-67%
1/4に減量
エキセナチド
パイエッタ
0%
腎で代謝
フェキソフェナジン
アレグラ
11%
-65%
1/4~1/3に減量
ラロキシフェン
エビスタ
0-10%
不明
1/3~1/2に減量
ロキシスロマイシン
ルリッド
7.5-10%
-42%
1/2に減量
マクロライド系抗菌薬
エリスロマイシン
エリスロシン
12-15%
-31%
1/2~3/4に減量
ケトライド系抗菌薬
テリスロマイシン
ケテック(製造中止)
21%
-32%
1/2に減量
インターフェロンα
イントロンAなど
不明
腎で代謝
1/5に減量
イマチニブ
グリベック
5%
不明
1/2に減量?
シクロホスファミド
エンドキサン
5-25%
-30%
1/2~3/4に減量
タダラフィル
ザルティア
0%
不明
禁忌
インターロイキン製剤
セルモロイキン
セロイク注
不明
腎で代謝
不明
インターロイキン製剤
テセロイキン
ミコフェノール酸モフェチ
ル
モルヒネ
イムネース注
0%
腎で代謝
1/2に減量
セルセプト
0.70%
腸肝循環する
モルヒネ
2-6% (M-6G 5%)
-40%
非麻薬性鎮痛薬
利尿薬
HMG-CoA還元酵素阻害薬
GLP-1アナログ製剤
抗アレルギー薬
選択的エストロゲン受容体モジュレー
タ
マクロライド系抗菌薬
抗ウイルス薬
分子標的薬
抗がん薬・免疫抑制薬
排尿障害改善剤
免疫抑制薬
麻薬
無断転載を禁じます(熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター・平田純生 2015年9月作成)
ESKDの用量
1/4に減量
1/3~1/2から開始
禁忌
最高用量2000mg/日まで
1/2に減量