なりたいもの 城南中学校 3 年 齋藤 菜々子 私には将来の夢がまだありません。これだ、といった具体的なものを持っていません。 私は今、3 年生でもうすぐ受験です。 将来が決まるこの時、夢がないというのは、正直不安です。周りを見ると、みんなそ れぞれ夢を持っているのです。その夢に向かって、努力している人が何人もいます。同 じ年の人がこんなにも輝いているのに、自分にはそういうものがありません。できるこ ともなければ、やりたいことも、強く願うこともありませんでした。自分は一体これか らどうすればいいのか、このごろ、とても悩んでしまうのです。 「これから、どうすればいいのか」難しいです。ただ、自分を変えることは必要だと 思うのです。 私は今まで逃げる事しかしていなかった気がします。自分がやりたくないことや、嫌 いなこと、自分に不都合な事は全て後回しにして、楽な方へと逃げていました。そのた びに後悔をしました。それから、辛いことや悲しいことからも逃げました。避けて考え ようとせず、強がっていました。どうして私はこんなにもダメなのか、わかりませんで した。 でも、それはよく考えれば簡単なことだったのです。私には、欠けているものが多す ぎたのです。難題に立ち向かう勇気も努力も強さも何もなく、心ではわかっているはず なのに、それを言葉にすることも、行動に移すこともできませんでした。そしてそれは ときに、私を信じていてくれた人を傷つけ、悲しませました。多くの期待を裏切りまし た。これが今の私と思ったとき、涙がでました。苦しくて、いっそ消えてしまいたいと 思いました。でもこれはすべて自業自得で、こうなって当たり前のことでした。 今、私がこうやって日々を過ごしていられるのは、私の周りのたくさんの人たちのお かげだと気づきます。 家族をはじめ、先生や、たくさんの友達がそばにいて、私を応援してくれました。友 達とはたくさん喧嘩をして、たくさん迷惑をかけて、たくさん困らせてそれでもそばで 笑っていてくれました。そんな優しい人たちに出会えて私は本当に恵まれています。こ んな私が、こんなに恵まれて、不思議だとも思います。本当に感謝しています。 私には、具体的な夢がまだありませんが、こんな人になりたいという希望はあります。 私は、世界中の人を笑顔に出来るような人になりたいです。笑顔は人を幸せにします。 心を満たしてくれます。私がそうであったように、どんなに苦しい時も、悲しい時も、 誰かがそばで笑っていてくれるだけで、それは大きな支えになるはずです。そして笑え ば怖いものなんて何もありません。私がみんなにそうしてもらったように、今度は私が みんなのそばで笑っていたい、私がもらった幸せをみんなに分けてあげたい。 まずは手の届く範囲でそれを実践して、いつか世界中の人を笑顔にできるようになり たいです。 世界中には私なんかの悩みがちっぽけに見えるくらい辛い思いをしている人がいま す。想像もできないほど過酷な生活をしている人がいます。そんな人々に、手を差し伸 べることができて、みんなが笑えたら、と思います。 それは時間のかかることかもしれません。私には到底不可能なものにも思えます。 でも、世界中の笑顔が集まれば、それは世界中の幸せになって、やがて平和につなが る。みんなが笑った分だけ幸せを分け合える。そう信じています。 そして、その過程で、自分に欠けているものを少しずつうめていきたい。 私の後悔は、将来の幸せに向かうための大きな力に変化しつつあります。そしてそれ は、私にしつこくついてきた後悔を消そうとしています。それもこれも全部、そばで支 えてくれた人たちの笑顔のおかげです。 だから私は笑います。どんなことにも負けずに、笑います。自分を変えるために、誰 かを変えるために、絶対に笑顔をたやさないようにします。世界中の人を笑顔にする。 今の私の希望です。それが私の幸せにつながると信じています。
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