食生活に伴う健康問題 戦後の食料難時代に比べ、現代日本は食べ物が巷にあふれ、24時間いつでもどこでも、好きな ものを好きなだけ食べられるという状況にあります。それは、まさに飽食の時代の象徴でもあり ます。 「食品群別摂取量の年次推移」をみると、戦後 10年間(1945∼ 1955)は労働力不足や土地の荒廃、 経済活動の低下などで、食生活に占めるいも類や穀類など炭水化物の比重が大きく、エネルギー やたんぱく質が不足していました。高度経済成長期に入ると、牛乳や乳製品をはじめ卵や肉類な どの欧米型食品の摂取量が増え、食生活も大きく変化しました。食生活が量的にも質的にも劇的 に変化するのは 1970年代頃で大型スーパーやコンビニエンスストアの登場、ファミリーレスト ランやファーストフードなどの外食産業の拡大からです。しかし、その反面、心臓病や動脈硬化、 糖尿病などの生活習慣病の増加や精神的ストレスによる過食症や拒食症、ダイエットによる健 康被害、肥満の低年齢化や現代型栄養失調症、アトピーや花粉症によるアレルギー疾患など、健 康に関する様々な問題が進行しています。 そこで、時代とともに変化してきた日本人の食生活における栄養、健康面の様々な課題に対し て、牛乳・乳製品は今後どのような役割を担っていくのか、みていくことにします。 図表9 食品群別摂取量の年次推移 ※1965年を基準にした指数 600 米 いも類 500 豆 類 緑黄色野菜 400 肉 類 鶏 卵 牛乳及び乳製品 300 魚介類 200 100 0 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2001 2002 (年) 資料:農林水産省「食料需給表」 ―14―
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