3.4. 導入促進策の検討 - 経済産業省北海道経済産業局

3.4. 導入促進策の検討
前項で想定したエコカーの導入を実現し、更なるエコカーの普及を促進することで、省
エネルギーや CO2 排出量の削減を実現するために、北海道内における普及促進及び全国に
向けたPR等の導入促進策を検討した。
(1) 低公害車導入促進策の種類
国内外の、エコカーの導入・普及を促進するための行政施策は、概ね下記のように「経
済的手段」
「利用優遇手段」
「啓発教育・広報的手段」の 3 種に分類できる。
(経済的手段)
・ 税(率・額)控除、補助金、課徴金、奨励金
・ 有料道路通行料優遇
・ 駐車料金優遇
・ 交換ポイント
等
(利用優遇手段)
・ 専用・優先走行ゾーン(禁止の例外を含む)
・ 専用・優先レーン(禁止の例外を含む)
・ 専用・優先駐車場(禁止の例外を含む)
等
(啓発教育・広報的手段)
・ エコドライブ・安全運転の動機付け情報提供/広報
・ ディーラーへの教育、意識の向上
・ 広報への著名人の起用
等
(2) 我が国における税・補助制度による導入促進策
北海道内におけるエコカーの普及促進及び全国に向けたPR等の導入促進策を検討する
にあたり、まず我が国における税・補助制度によるエコカーの導入促進策を整理した。
我が国では図表 3-30 のような税・補助制度による導入促進策が実施されている。
38
図表 3-30 税・補助制度による導入促進策
対象車種
税・補助制度
燃料電池
低公害(代エネ・省エネ)車普及事業
補助制度
次世代技術普及事業のうち次世代低公
害車普及事業
電気
CNG
ハイブリッド
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
事業
(自動車税のグリーン化)
低公害車に係る自動車取得税の軽減措
置
税制上の優遇措置
動車取得税の軽減措置
ディーゼル車に係る自動車取得税の軽
●
●
●
●
●
減措置
自動車 NOx・PM 法に基づく排出基準
●
適合車に係る自動車取得税の軽減措置
における所得税・法人税の優遇措置
●
●
低燃費かつ低排出ガス認定車に係る自
エネルギー需給構造改革投資促進税制
設備
●
●
クリーンエネルギー自動車等導入促進
その他
●
●
低公害車普及促進対策費補助
低公害車に係る自動車税の軽減措置
ディーゼル
●
●
●
●
●
低公害車の燃料供給設備に係る固定資
●
産税の特例措置
排出ガス規制に適合した特定特殊自動
●
車に係る固定資産税の特例措置
39
これらの税・補助制度による導入促進策の内容は以下のとおりである。
【補助制度による導入促進策】
① 低公害(代エネ・省エネ)車普及事業
目的:地方公共団体等が保有する公営バスへの低公害車(天然ガス、ハイブリッド、電気自動車)の導入
を支援し、地方公共団体が率先して導入することにより、地域における省エネ・代エネ対策を推進
する。
対象者:地方公共団体及びその団体、第3セクター(出資比率 50%以上)
補助対象:
・公営バスへの低公害車の導入(購入及びリース)
・燃料等供給施設の整備
補助率:
・車両:通常車両との価格差あるいは改造費用の1/2
・燃料等供給施設:設置費の1/2
② 次世代技術普及事業のうち次世代低公害車普及事業
目的:地方公共団体等による次世代低公害車(燃料電池自動車、ジメチルエーテル自動車、水素自動車)
の導入を支援し、地方公共団体が率先して導入することにより、燃料電池自動車等の次世代低公害
車の早期普及を図る。
対象者:地方公共団体及びその団体、第3セクター(出資比率 50%以上)
補助対象:次世代低公害車の導入(リース)
補助率:リース費用の1/2
③ 低公害車普及促進対策費補助
目的:バス・トラック事業者を中心に、CNG バス・トラック等の導入に対し、地方公共団体等と協調して
補助を行うことにより、低公害車の普及を促進し、大気環境の改善を図る。
対象者:バス・トラック事業者等
補助対象:
・CNG バス・トラック、認定ハイブリッドバス・トラック(※)の導入
(※)認定ハイブリッドバス・トラック
平成 17 年排出ガス基準より NOx・PM ともに 10%低減した車両として、低排出ガス車認定制
度における認定を取得したハイブリッドバス・トラック
・使用過程車の CNG 車への改造
補助率:
・CNG バス・トラック、認定ハイブリッドバス・トラックの導入:通常車両との価格差の1/2
・CNG 車への改造:改造費用の1/3
40
④ クリーンエネルギー自動車等導入促進事業
目的:運輸部門における新エネルギー利用促進、省エネルギーの推進及び CO2、NOx 等有害物質の排出
抑制を図る。
対象者:民間事業者等
補助対象
・クリーンエネルギー自動車(電気、天然ガス、ハイブリッド自動車)の導入(ただし、天然ガス、ハ
イブリッド自動車は、乗用車を除く)
・燃料等供給施設の設置
補助率
・クリーンエネルギー自動車の導入:通常車両との差額の1/2以内
・燃料等供給施設の設置
自家用:設置費の1/2以内(主として路線バス及び塵芥車に供給する充填設備は設置費の2/3
以内(ただし小型充填設備を除く)
)
【税制上の優遇措置による導入促進策】
① 低公害車に係る自動車税の軽減措置(自動車税のグリーン化)
制度内容:電気自動車(燃料電池自動車含む)
、天然ガス自動車、メタノール自動車及び低燃費かつ低排出
ガス認定車(LPG 車含む)を、平成 18 年度あるいは平成 19 年度に新車新規登録した場合、そ
れぞれ翌年度1年間の自動車税を軽減。また、新車新規登録から一定年数を経過したガソリン
車及びディーゼル車については自動車税を重課。
措置内容:
【軽課対象】
・電気自動車(燃料電池自動車含む)
、天然ガス自動車、メタノール自動車:概ね 50%軽減
・☆☆☆☆かつ燃費基準+20%達成車:概ね 50%軽減
・☆☆☆☆かつ燃費基準+10%達成車:概ね 25%軽減
【重課対象】
・ガソリン車 13 年超、ディーゼル車 11 年超:概ね 10%重課(電気自動車、天然ガス自動車、メタ
ノール自動車及び一般乗合バスを除く)
(注)
・☆☆☆☆:平成 17 年排出ガス基準値より、有害物質を 75%以上低減させた低排出ガス車
・燃費基準+10%(又は+20%)
:省エネ法に基づく燃費基準よりも 10%(又は 20%)以上燃費性能
を向上させた自動車
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② 低公害車に係る自動車取得税の軽減措置
制度内容:電気自動車(燃料電池自動車含む)
、天然ガス自動車及びハイブリッド自動車の取得に際し、自
動車取得税を軽減
措置内容:
①電気自動車(燃料電池自動車含む)
、天然ガス自動車(車両総重量 3.5t以下:☆☆☆☆に限る、車両
総重量 3.5t超:重量車☆(NOx)に限る)
、ハイブリッド自動車(バス・トラック)
(車両総重量 3.5t
以下:☆☆☆☆かつ燃費基準+20%達成車に限る、車両総重量 3.5t 超:重量車☆かつ重量車燃費基準
達成車に限る)
:2.7%軽減
②ハイブリッド自動車(乗用車等)
(車両総重量 3.5t 以下:☆☆☆☆かつ燃費基準+20%達成車に限る、
車両総重量 3.5t 超:重量車☆かつ重量車燃費基準達成車に限る)
:2.2%軽減
(注)
・☆☆☆☆:平成 17 年排出ガス基準値より、有害物質を 75%以上低減させた低排出ガス車
・重量車☆:平成 17 年排出ガス基準値よりも NOx 又は PM を 10%以上低減させた自動車
・燃費基準+20%:省エネ法に基づく燃費基準よりも 20%以上燃費性能を向上させた自動車
・ハイブリッド自動車の車両総重量 3.5t 超に係る限定は平成 19 年 9 月 1 日から適用
③ 低燃費かつ低排出ガス認定車に係る自動車取得税の軽減措置
制度内容:低燃費かつ低排出ガス認定車(LPG 車含む)の取得に際して、30 万円あるいは 15 万円を取得
価額から控除する課税標準の特例措置
措置内容:
・☆☆☆☆かつ燃費基準+20%達成車:30 万円控除
・☆☆☆☆かつ燃費基準+10%達成車:15 万円控除
(注)
・☆☆☆☆:平成 17 年排出ガス基準値より、有害物質を 75%以上低減させた低排出ガス車
・燃費基準+10%(又は+20%)
:省エネ法に基づく燃費基準よりも 10%(又は 20%)以上燃費性能
を向上させた自動車
④ ディーゼル車に係る自動車取得税の軽減措置
制度内容:平成 17 年排出ガス基準に適合し、かつ、平成 27 年度を目標とした燃費基準を達成したディー
ゼルトラック・バス等(車両総重量 3.5t 超)の取得に際し、自動車取得税を軽減
措置内容:
車両総重量 3.5t を超えるディーゼルトラック・バス等のうち
①重量車燃費基準を達成し、かつ重量車☆(平成 17 年排出ガス基準値から NOx又は PM を 10%以
上低減)
:2.0%軽減
②重量車燃費基準を達成し、かつ平成 17 年排出ガス基準に適合:1.0%軽減
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⑤ 自動車 NOx・PM 法に基づく排出基準適合車に係る自動車取得税の軽減措置
制度内容:自動車 NOx・PM 法に基づく排出基準に適合しない自動車(トラック・バス等)を廃車し、排
出基準適合車(トラック・バス等)を取得する際に、自動車取得税を軽減
措置内容:
自動車 NOx・PM 法対策地域内において、平成 17 年排出ガス基準適合車(ガソリン・LPG・ディーゼ
ル車)
・平成 19 年4月1日∼平成 21 年3月 31 日:1.2%軽減
⑥ エネルギー需給構造改革投資促進税制における所得税・法人税の優遇措置
制度内容:低公害車(燃料電池自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車、天然ガスフォークリフト)
及び低公害車用燃料供給設備(天然ガス、水素)の取得に係る特別償却制度又は税額控除措置
措置内容:
青色申告を行う個人事業者又は法人が、以下の設備を取得し、その取得の日から1年以内に事業の用に
供した場合に、次のいずれか一方を選択できる。
・初年度 30%の減価償却の特例
・7%の所得税(法人税)の特別控除(資本金1億円未満の法人等に限る。
)
⑦ 低公害車の燃料供給設備に係る固定資産税の特例措置
制度内容:燃料供給設備(電気、天然ガス、水素)の設置に係る固定資産税の課税標準の特例措置
措置内容:最初の3年間の課税標準を2/3
⑧ 排出ガス規制に適合した特定特殊自動車に係る固定資産税の特例措置
制度内容:特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)における基準適合表示の付さ
れた特定特殊自動車(オフロード車)を定格出力等に応じ定める規制適用日前(定格出力が
130kW 以上 560kW 未満のものに限っては平成 19 年 9 月 30 日まで)に取得する際の固定資産
税の課税標準の特例措置
措置内容:最初の3年間の課税標準を1/2
(3) 国内外における導入促進事例
我が国における税・補助制度によるエコカーの導入促進策の整理に続き、国内外におけ
るエコカーの導入促進策について調査した。
海外においては、エコカーの導入促進のために図表 3-31 のような導入促進策が実施され
ている。
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図表 3-31 海外におけるエコカーの導入促進事例
(米国)
・ 2004 年にカリフォルニア州でカリフォルニア水素ハイウェイネットワーク(CA H2 Net、環境・健
康・経済に配慮しつつエネルギーセキュリティを確保し、さらにエネルギー効率と再生可能エネルギー
利用を進める目的で実施されているデモンストレーションプログラム)を策定。最終的に水素ステー
ションを 250 カ所まで増加させる予定。
(EU)
・ 欧州企業と欧州委員会が協力して普及促進を展開するライトハウス(LIGHTHOUSE)デモンストレー
ションプロジェクトを実施。バス( HyFLEET: CUTE)、乗用車( ZERO-REGIO)、小型車両
(HyCHAIN)のデモンストレーションと、それらをマネジメント・分析する組織(HyLights)から
構成される。
−HyFLEET:CUTE は、「次世代の」燃料電池バスと水素内燃機関バスの設計・製造、走行テストなら
びにベルリンにおける新規の水素充填ステーションの設計・建設・稼動テストを行う。ヨーロッパの
7 都市(アムステルダム、バルセロナ、ハンブルク、ロンドン、ルクセンブルク、マドリッド、レイ
キャビク)及びオーストラリア(パース)と中国(北京)で、合計 33 台の燃料電池バスを運行させ、
さらに、ドイツ(ベルリン)で 14 台の水素内燃機関バスを運行させる。
−Zero Regio は燃料電池乗用車の実証走行実験プログラムであり、2004 年 11 月に開始。実証はドイツ
の Rhein-Main 地区にて DaimlerChrysler「F-Cell」5 台、イタリアのロンバルディア州マントヴァ
にて FIAT「Panda Hydrogen」3 台で実施。2005∼2006 年にインフラを整備し、次の 3 年間(2007
∼2009 年)で実証走行を行う予定。また、全長 1.7km の超高圧(950bar)水素パイプラインをヘキ
ストの敷地内へ敷設の予定。
−HYCHAIN MINITRANS プロジェクトは小型燃料電池(250W∼10kW までの 5 種類)を搭載した小
型車両のデモンストレーションであり、2006 年 2 月 1 日に開始。ドイツ、フランス、イタリア、ス
ペインが参加し、燃料電池二輪車やミニバスなど 158 台が運転される。
(英国)
・ CO2 排出量の低い自動車の普及を促す政策 Low Carbon Transport Innovation Strategy を発表。
2000 万ポンドを投じ、イギリスの公共部門が低温暖化ガス(CO2)排出車の導入を進める。これが順
調にいった場合、さらに 3000 万ポンドを追加する。低温暖化ガス(CO2)排出車には、電気自動車
やプラグイン・ハイブリッド車なども含まれる。初めに低温暖化ガス(CO2)排出車を導入するイギ
リスの公共部門には、ロンドン警視庁、環境庁、交通省、郵便事業会社ロイヤル・メールなどが含ま
れる。具体的な計画は 2008 年 1 月より開始。
・ ロンドン市では、中心部を走る車(排出量 121g/km 以上)を対象に1日 8 ポンドの渋滞緩和税を徴収。
また、2008 年中に、排出量 226g/km 以上の車の場合、一気に 25 ポンド前後に引き上げる方向。ただ
し、低排出車(120g/km)以下は無税のまま。
・ リビングストン市では、2025 年までに CO2 排出量を 60%削減する目標を打ち出しており、2006 年
11 月に混雑税の大幅値上げ方針を発表。具体的には、2008 年 10 月から市中心部を通行する CO2 排
出量の多い車種については、現在の1日当たり 8 ポンドから 25 ポンドとする予定である。1km 走行
当たりの CO2 排出量が 225g を超える大型四輪駆動車や高級車などが対象となる一方で、CO2 排出量
120g未満の「エコカー」は無料。
・ グリーン・モーション・ビークル・レンタル(Green Motion Vehicle Rental)社(2007 年 10 月設立、
ロンドンやオックスフォードなどに 3 支店が存在)が、2008 年 1 月よりフォルクスワーゲン(VW)
の低燃費ディーゼル車「ポロ・ブルーモーション」のレンタルを開始。
(ドイツ)
・ 排ガス基準などを満たしていない車の街の中心部への乗り入れを制限する「環境ゾーン」規制を導入。
2008 年 1 月 1 日からベルリン、ケルン、ハノーバーの 3 都市で開始しており、約 30 都市が導入を予
定、うち 20 都市が年内開始を目指している。浮遊粒子状物質などの基準を定めた欧州連合(EU)の
指針に従うもので、有害物質の排出量などに応じて「赤」「黄」「緑」に色分けされたステッカー(5
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ユーロ)を取得した車だけが指定された区域(環境ゾーン)に入れる。一方で、基準を満たさない車
は即時乗り入れ禁止。2009 年からは順次規制が強化され、2010 年以降は緑のステッカーだけが乗り
入れ可能となる。違反には 40 ユーロの罰金などが科せられる。
(フランス)
・ スポーツ多目的車(SUV)、大型セダン、大型ファミリーカーなど排気量の大きな自動車を対象に自
動車登録税を加算。2008 年 1 月 1 日以降に自動車登録証が交付される、1km 走行当たりの CO2 排出
量が 200g を超える大型車(新車及び 2004 年 6 月 1 日以降に新車として購入され転売された中古車)
に適用され、加算税額は 1g 超過する毎に 2 ユーロから 4 ユーロである。
・ 低公害車購入者への優遇措置として、燃費の良い自動車を購入した人に 2008 年 1 月以降、最大 1300
ユーロを支給。逆に燃費の悪い車を購入したら最大 2600 ユーロを支払わなければならない。1km 走
行当たり CO2 排出量が 130g/km 以下の車が支給の対象。具体的には、
100g/km 以下
1000 ユーロ支給
101g/km∼120g/km 以下 700 ユーロ支給
121g/km∼130g/km 以下 200 ユーロ支給
161g/km 以上
200∼2600 ユーロの割増金支払い
また、15 年以上乗っている古い自動車から対象車に買い替えた場合には 300 ユーロが加算。
(イタリア)
・ 2007 年から低公害車への買い換えを促す奨励金制度を実施。2008 年にはそれをさらに強化。Euro0
∼2 の車を廃棄して、Euro4 または Euro5 の新車を購入した場合、廃棄手数料が無料になる。また、
政府が 700€ の買い替え奨励金を支給し、自動車税も1年分が無料になる。2008 年からは、同一家族
で古い車を 2 台下取りに出して新車 1 台を購入する場合、買い替え奨励金が 1200€ まで上昇。
・ 2008 年 1 月 2 日からミラノ市中心部に流入するクルマに課金するロードプライシング制度を導入。土
日を除く 7 時 30 分から 19 時 30 分までに中心部に入るクルマが対象であり、該当車両はエコパスと
名付けられたカードを購入し、ダッシュボードに掲示しなければならない。ガソリン乗用車は Euro0
∼2、ディーゼル車は Euro3 までがエコパスの対象。なお、Euro3 以上のガソリン車、Euro4 以上の
ディーゼル車、及び LPG、メタン、ハイブリッド、電気自動車はエコパスの対象外である。
(スイス)
・ スイスで一、二位を争う人気の山岳リゾート地であるツェルマットは、環境を守るため、排気ガスを
出すガソリンやディーゼルなどエンジンの付いた自動車の乗り入れを規制。街中を循環するバスや送
迎車も、すべて電気自動車や馬車を使用。その他の自動車は消防自動車、救急車、ごみ収集車以外乗
り入れ出来ない。
・ その他、スイスでは、リーダーアルプ、ベットマーアルプ、サースフェー、ヴェンゲン、ミューレン、
リギカルトバート、シュトース、ブラウンヴァルトが、ガソリン車の乗り入れ禁止リゾートとなって
いる。
45
一方、国内におけるエコカーの導入促進については、この他にもエコカーの導入促進事
例ではないが、国内の観光地において、交通混雑干渉や環境保全のために図表 3-32 のよう
なマイカー規制が実施されており、環境保全の場合、エコカーのみ規制対象外とすること
でエコカーの導入促進が期待される。
図表 3-32 国内の観光地におけるマイカー規制事例
地域
北海道
事例
知床マイカー規制
概要
北海道・知床にある知床五湖∼知床大橋が混雑期、交通混雑解消のため
にマイカーを規制。
摩周湖マイカー乗り
北海道運輸局の「摩周湖エコ交通整備プロジェクト検討委員会」による、
入れを規制実験
摩周湖に乗り入れる道道屈斜路摩周湖畔線についてマイカー規制を実
施し、摩周湖への代替交通機関として、摩周湖バスの運行を行う実験。
大気汚染被害が目立つ摩周湖を排ガスから守り、環境と観光の両立を図
るのが狙い。
東北
秋田駒ヶ岳マイカー
秋田県の駒ケ岳において八合目地区の交通混雑の解消と自然環境の保
規制
全を目的とし、混雑期にマイカーの乗り入れを規制。
早池峰山マイカー規
排気ガスによる周辺植生への影響、路肩駐車による高山植物の踏みつけ
制
による裸地化等、道路周辺の環境保全や交通混雑を解消することを目的
とするマイカー規制。
雄国沼マイカー規制
雄国沼周辺は、ニッコウキスゲ等で有名で、沼の入口まで林道が整備さ
れていることから、その時期、マイカーによる利用者が集中、環境への
悪影響が懸念されていたことで、2005 年より実施。
尾瀬マイカー規制
毎年夏季における、マイカーによる渋滞、路上駐車、環境保全にむけた
マイカー規制。
関東
富士山マイカー規制
富士山の自然環境の保全と交通渋滞解消のため、マイカー規制を実施。
中部
湯 の 丸 ・高 峰高 原マ
長野県の東側・東御市(とうみし)にある湯の丸・高峰高原に関するマイ
イカー規制
カー規制。自然保護の中心となっているのは、夏季の「池の平湿原」。
毎年、沢山の観光客や登山者が訪れるため、それに伴うマイカー規制。
上高地マイカー規制
観光客が多い上高地は、マイカーによる自然破壊もさることながら、マ
イカーの駐車、すれ違いによる道路渋滞(中の湯∼上高地)などの問題も
抱えており、マイカーは通年、通行止め。
乗鞍通行規制
乗鞍岳の畳平には、岐阜県側から有料道路、長野県側から県道が通って
いたが、2003 年、有料道路の償却を終えたことから、マイカー規制を開
始。
南アルプス市広河原
南アルプス北部の登山ベース・広河原へのマイカーでのアクセスの禁止
地区へのアクセス道
(2005 年から)
。
路の通行規制
近畿
高野山マイカー規制
和歌山県高野町の「世界遺産高野山・歩いて周遊できる道づくり協議会」
実験
による、山内でのマイカーによる観光や参拝を一部規制する社会実験。
46
また、エコカーの導入促進を図る方法の一つとして「カーシェアリング」が考えられる。
カーシェアリングは、1 台の自動車を複数の会員が共同で利用する形態であり、利用者は自
ら自動車を所有せず、管理団体の会員となることで、必要時にその団体の自動車を借りる
ことができる。1987 年にスイスの学生の間で始まり、国内外で図表 3-33(海外)や図表
3-34(国内)のような事例がある。
このカーシェアリングは、マイカーの所有に対して自動車の総台数を減らすことになり、
それにより、エネルギー消費量や CO2 排出量の削減、都市の交通渋滞緩和、迷惑駐車の低
減、自動車事故発生の低減などに効果がある。これらに加えて、共同利用する自動車を電
気自動車やハイブリッド自動車などのエコカーにすることで、更なる環境保全効果がある。
これらのカーシェアリングによる効果を積極的にアピールすることや、管理団体に対し
てエコカー保有に対する優遇措置などを設置することで、
「カーシェアリング」によるエコ
カーの導入促進が期待される。
図表 3-33 海外の主なカーシェアリング事例
出典)
「国際交通安全学会誌(平成 19 年)
」より作成
47
図表 3-34 国内のカーシェアリング事例
運営組織、関連団体等
オリックス自動車㈱
(2007/4∼)
㈲移動サポート
早稲田大学交通計画浅野研究室
西尾レントオール㈱
オリックスレンタカー
阪急電鉄㈱
名 称
(事業名/システム名/実験名)
開始時期
実施地域
東京都・神奈川
1999/9*
県・千葉県
オリックスカーシェアリング「プチレ
ンタ」
900人 2008年1月
2004/10* 名古屋市
31ヶ所
43台
510人 2008年1月
2007/10 京都市
20ヶ所
32台
160人 2008年1月
1ヶ所
3台
30人 2008年1月
3ヶ所
50台
2008年1月
2004/3 千葉県浦安市
2ヶ所
2台
40人 2008年1月
2004/12 東京都江東区
1ヶ所
2台
40人 2008年1月
2005/3 東京都大田区
1ヶ所
2台
200人 2008年1月
2004/4 大阪府茨木市
3ヶ所
5台
45人 2008年1月
2ヶ所
6台
200人 2008年1月
1ヶ所
1台
17人 2008年1月
5ヶ所
5台
25人 2008年1月
1ヶ所
2台
24人 2008年1月
17ヶ所
46台
710人 2008年2月
60ヶ所
70台
180人 2008年1月
9ヶ所
11台
約100人 2008年1月
6ヶ所
8台
50人 2008年1月
2007/5 大阪市
1ヶ所
2台
0 2008年1月
2007/4 東京都町田市
1ヶ所
2台
6世帯 2008年1月
2ヶ所
2台
0 2008年1月
4ヶ所
11台
8人 2008年1月
299ヶ所
513台
3,245人 1900年1月
2003/2 東京都三鷹市
2003/11* 大阪府
彩都カーシェアリングシステム
新大阪駅・ 新神
戸駅
2004/4
利用者、NPO法人「志木の輪」
志木「手作りカーシェアリング」
2004/5 埼玉県志木市
ユーピーアール㈱
UPRカーシェアリングシステム
タウンモービルネットワーク北九州
カーシェアリング・レンタサイクル
Chocomo
2004/12*
札幌市、東京
都、名古屋市、
2005/2
大阪市、神戸
市、広島市、福
北海道留萌市、
札幌市、埼玉県
川口市、大阪府
2005/3 箕面市、池田
市、茨木市、東
大阪市、京都
市、広島県府中
東京都目黒区、
2005/11 神奈川県藤沢
市、川崎市、大
石川県金沢市、
2006/11
野々市町
日本カーシェアリングネットワーク有限
Windcar(ウインドカー)
責任事業組合、ウインド・カー㈱
㈱アスク
マンションカーシェアリング
北星産業、辻商事、オリックス自動車
カーシェア金沢
㈱
プライアント・パワーズ
マンションカーシェアリング
エコヴィレッジ鶴川「きのかの家」乗物
きのかの家VSクラブ
部会
㈱エブリカ
東京都港区、福
井県福井市
2005/1 北九州市
カーシェア24
エブリカ・カーシェアリング
2007/10 大阪市
トヨタ自動車㈱、㈱トヨタレンタリース
トヨタカーシェアクラブ
東京、㈱トヨタレンタリース愛知
確認月
208台
㈱駅レンタカー関西(JR西日本) カーシェアリングサービス
㈱マツダレンタカー
会員数
128ヶ所
OUR CAR
業務用車両共同運用システム
mobi-system
「パークシティ東京ベイ新浦安」
カーシェアリングシステム
「オリゾンマーレ」カーシェアリング
システム
「大森プロストシティレジデンス」 自
動車共同利用サービス
車両ス
車両台数
テーション
2007/11
合 計
(注)開始時期のうち、*印は前身の実験または事業まで遡った開始時期。
出典)交通エコロジー・モビリティ財団 HP に基づき作成
48
東京都区内、名
古屋市
北海道でも以下の2つのカーシェアリングが実施されている。
カーシェア24(㈱マツダレンタカー)
・北海道内のステーション:1 ヶ所
利用料金
料金(税込み)
Aプラン
Bプラン
カード発行料(1 人 1 枚につき)
2,100 円
2,100 円
月額基本料金
4,200 円
1,050 円
利用料金(15 分ごと)
210 円
315 円
無断延長料金(15 分ごと)
420 円
630 円
ウィンド・カー㈱
・経済産業省の平成 16 年度中小商業ビジネスモデル事業として札幌市の須賀原自動車工業㈱
が 2004 年 10 月より札幌市内にて開始。
・北海道内のステーション:13 ヶ所(札幌 11 ヶ所、函館 1 ヶ所、留萌 1 ヶ所)
利用料金
料金(税込み)
基本料金
無料利用分
時間料金
(15 分ごと)
ベーシック
エコノミー
プレミアムⅠ
プレミアムⅡ
3,000 円
8,000 円
15,000 円
25,000 円
0円
8,000 円
15,000 円
25,000 円
デイリー(ミニ)
200 円
180 円
170 円
デイリー(コンパクト)
250 円
230 円
220 円
ナイト
10 円
距離料金
デイリー
20 円
(1km ごと)
ナイト
35 円
※ 1ヶ月の利用料金=基本料金+(時間料金+距離料金−無料利用分)
49
以上より、国内外において、エコカーの導入促進のために実施されている主な導入促進
策や想定される導入促進策としては以下のものが考えられる。
(経済的手段)
・ エコカーへの税制優遇措置
・ エコカーの購入奨励金の支給
・ 既存車や高齢車への重課措置
・ 駐車場料金のエコカー割引措置
・ 有料道路におけるエコカー割引措置
等
(利用優遇手段)
・ エコカー優先駐車スペースの設置
・ 市街地や観光地へのマイカー乗り入れ規制
−P&R駐車場の設置やマイカー通勤自粛等とバスへのエコカー導入
・ 業務用貨物車等(エコカー)の共同利用(共同配送など)
・ ステーションの設置
等
(啓発教育・広報的手段)
・ 観光地におけるレンタカーへのエコカー導入
・ 自動車ディーラーに対する教育・啓発
・ 公用車におけるエコカーの優先導入
・ エコカー公用車の民間企業へのリース
・ 巡回車(市バス、民間幼稚園等の送迎バス、学校給食配送トラック、ゴミ収集車など)
へのエコカー導入
・ カーシェアリングにおけるエコカー導入
・ 福祉車両や高齢者向け車両などへのエコカー導入
・ エコカーの走行実証デモンストレーション
等
以上の中で、本調査で対象とするエコカーに関しては、啓発教育・広報的手段による促
進策の効果が高く、意義が大きいとものと考えられる。本調査で対象とするエコカーは、
既存に車種に比べればまだ普及台数が非常に少なく、自動車ユーザーがその特性を知る機
会も少ない。特に、これから市場に登場してくる、クリーンディーゼル車やコンパクト電
気自動車、プラグイン・ハイブリッド車などについては、登場初期にユーザーが実際に利
用体験し、その特性を理解する機会が非常に限られたものになるであろう。
50
図表 3-35 は、クリーンディーゼル車について、市場投入前に試乗アンケートにより、
ディーゼル車に対するイメージが試乗前後でどのように変わるか調べたものであるが、非
常に大きなイメージ改善効果があることが分かる。
図表 3-35 試乗前後におけるディーゼル乗用車のイメージ変化(試乗アンケート結果)
0%
遅い
黒煙が出る/汚い
うるさい
20%
くさい
60%
80%
100%
50%
5%
75%
0%
試乗前
70%
5%
試乗後
45%
耐久性が高い
振動が大きい
40%
15%
90%
10%
60%
5%
出典)経済産業省「クリーンディーゼルに関する懇談会」資料に基づき作成
最近の環境問題に対する関心の高まりや、燃料価格高騰を背景に、自動車ユーザーのエ
コカーに対する関心も非常に高まってきているが、実際の購買行動に繋がるまでにはまだ
大きな距離がある。エコカーの利用体験を含む啓発教育・広報的手段は、その距離を早く
縮める大きな効果を持つものと考えられる。
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(4) 北海道における導入促進策
前述の国内外の導入促進事例等を参考にし、北海道の自動車利用に係る特性(観光資源
の豊富さ、交通手段としての自動車依存率の高さ、走行実験に適した広大な用地など)と、
エコカーの利用体験を含む啓発教育・広報的手段の有効性を踏まえると、北海道において
は、下記のような導入促進策の実施が効果的であると考えられる。
【観光集客効果を活かした体験型普及啓発】
・ 観光拠点等のレンタカーへの積極的エコカー配置
・ 観光ハイヤー・タクーシー等への積極的エコカー配置
【環境特性を活かした制限的交通手段として利用】
・ 国立公園などでの制限的交通手段としてのエコカー導入
【その他全国的に実施可能な促進策】
・ 公用車におけるエコカーの優先導入
・ 市街地へのマイカー乗り入れ規制
⇒パーク&ライド駐車場の設置やマイカー通勤自粛等とバスへのエコカー導入
・ カーシェアリングにおけるエコカー導入
・ 巡回車(市バス、民間幼稚園等の送迎バス、学校給食配送トラック、ゴミ収集車など)
へのエコカー導入
・ 福祉車両や高齢者向け車両などへのエコカー導入
・ 業務用貨物車等(エコカー)の共同利用(共同配送など)
・ エコカー優先駐車スペースの設置
・ 駐車場料金のエコカー割引措置
・ 有料道路におけるエコカー割引措置
・ 燃料供給ステーションの設置
なお、この中でも、北海道の地域特色に適した、実現可能性の高い具体的な例示として
次頁以降に、事業モデルを提案する。また、サミット開催に伴う環境配慮意識の高まりと
連動し、北海道におけるエコカー率先導入の意識醸成を図る普及啓発事業を提案する。
52
事業提案1
観光集客力を活用した体験普及型啓発の提案
∼レンタカー率先導入モデル事業∼
<概要>
北海道は道外からの年間観光入込客数が 659 万人(平成 18 年度)に上る大きな観光集客
能力を有している。また、道外からの観光客の多くがレンタカーを利用して、道内各地域
の観光地を周回していることから、観光用としてのレンタカー需要が多い拠点にエコカー
を集中的に配備し、観光客が自ら運転することによる体験型普及啓発キャンペーンを実施
する。
<レンタカー利用客の特徴>
道外からの観光客の約2割(20∼30 代は約 3 割が選択)はレンタカーを移動手段とした
長距離ドライブ型である。また、旅行者の約 6 割は家族旅行かグループ旅行が占めており、
複数者による移動が大半を占めている。
なお、1 レンタルあたりの平均移動距離は約 450km、平均使用期間は 2.5 日であるが、
移動距離は長い場合で 1,000km 程度及ぶ行程も見られる。
(
「ノーステック財団研究成果報告」
、
「北海道 来道観光客動態調査」より)
<期待する効果>
実際にエコカーを自ら運転することにより、最新型エコカーの環境性能、燃費性能、航
続距離の長さ、静粛性等について実体験により学習する。また、レンタカー利用者は家族
やグループ客のレンタカー旅行が多いことから、複数者によるイメージ改善やメリットの
共感が期待できる。
ディーゼル車については、従来から「汚い」、
「うるさい」、
「遅い」などの印象が根強く、
最新型クリーンディーゼルを実体験することによる著しいイメージ改善は、当該体験者か
ら第3者への波及効果も高いと考えられる。
<候補地>
① 道内空港周辺
新千歳空港周辺地域は 7 月から 9 月の間で延べ 15 万台を超えるレンタルが発生する。
観光ハイシーズンに空港周辺地域におけるレンタカーにエコカーを先導的に導入するこ
とにより、広く北海道内を長距離ドライブ旅行する観光客が体感する。
(試算例) 100 台×30 レンタル/3 ヶ月×4 人=12,000 人
(想定車種)クリーンディーゼル、ハイブリッド
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② 観光地駅周辺
北海道では鉄道駅から距離のある観光地も多く、鉄道切符とレンタカーがセットに
なったツアーも存在している。大沼公園など自然体感型観光地の駅周辺のレンタカーに
エコカーを導入し、周辺散策の利便性と環境保全を両立するエコカーを体感する。
(試算例) 5 台×90 日×3 周回/日×2 人=2,700 人
(想定車種)電気自動車
<想定する協力体制>
・自動車メーカー(発売当初にレンタカーへの優先的な導入)
・レンタカー事業者(北海道のレンタカー事業者が率先導入)
・カーリース事業者(観光ハイシーズンにおける北海道への集中投入に対応)
・観光ツアー事業者(エコツアーの企画・販売)
・鉄道事業者等(レール&エコカーパックなどの企画連携)
<導入に際してのインセンティブ>
・低公害(代エネ・省エネ)車普及事業
・クリーンエネルギー自動車等導入促進事業
・低燃費かつ低排出ガス認定車に係る自動車取得税の軽減措置
・低公害車に係る自動車税の軽減措置 等
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【参考】道内レンタカーへのエコカー導入に際してのポイント
道内レンタカー業界団体によると、道内のレンタカー業者は、ハイブリッド乗用車(主に、
トヨタプリウス)を中心に相当数のエコカーを既に導入している。道内のレンタカー需要や、
エコカーのレンタカーについては、次の特徴があるという。
・道内レンタカーの需要として、観光目的のものが多いが、半数程度は、法人需要(ビジネ
ス用のレンタル)や事故代車需要である。
・プリウスの導入はかなり進んでおり、ユーザーの評価は高く、一度借りたユーザーはリピー
ターとなる傾向が明らかである。
・道内の冬場のレンタカー需要は、雪道走行の安定性に優れる 4WD 車に移行するが、プリ
ウスは FF であるためこの需要に対応できない。そのため、夏場の高い需要に合わせてプ
リウスを通年で導入することができず、春に購入し秋に売却する方法が取られている。プ
リウスの中古車市場価格が比較的高いため、この方法で採算が取れている。
以上の状況を踏まえると、今後、道内のレンタカーへのエコカー導入に当たって、次の点が
ポイントとなる。
・道内レンタカーへのエコカー導入は、観光客だけでなく、道内の法人や一般のレンタカー
ユーザーにも広くエコカーの利用体験機会を提供する効果をもつことに留意する。
・道内レンタカーに導入するエコカーについては、4WD 車が優先される。
・現在のプリウスのように、レンタカー業界から中古車市場に流れるエコカーが相当数ある
ことから、例えば、新車ディーラーへの啓蒙・教育などのエコカー導入普及方策について
は、中古車販売業界も重要な対象となる。
55
事業提案2
自然環境の維持と保護を考えた次世代低公害自動車導入促進の提案
∼国立公園地域など環境制約の厳しい地域への電気自動車率先導入モデル事業∼
<概要>
近年の旅行形態として、団体で観光ルートを移動する旅行が減少し、家族や友人等と出
かける個人・小グループ旅行が増加している。旅行形態の個人化・小グループ化の傾向に
より、近年レンタカーの利用が増加してきているが、今後、北海道の自然保護の観点で考
えると、自動車で乗り入れ可能な観光地への道路を制限するなど、保護すべき場所が増加
する事も考えられる。更に、近年の環境保全に対する問題意識の高まりから、国立公園地
域などでの環境負荷低減を目的に、シャトルバス(ハイブリッドバス)の運行も行われている。
今回の導入モデルは、国立公園地域などの環境制約の厳しい地域への電気自動車乗り入
れの可能性を提案する。
<想定される利用客の特徴>
近年のグリーンツーリズムやエコツーリズムへの理解促進や環境問題への意識の高さか
ら、環境に負荷をかけない観光について注目が集まっている。
最近では、大手旅行代理店が発売した、環境性能の高いバスを使用した、CO2 ゼロ旅行
に関東エリアを中心に多数の申込みがあるなど、環境に対する意識の高さが伺える。
<有効性>
電気自動車については、走行距離が短いとの欠点もあるが、限られた地域での移動であ
れば全く問題が無く、環境制約の厳しい地域での移動手段として活用することが出来るこ
とを実体験させることにより、電気自動車の優位性を実感してもらう。
<候補地>
① 知床国立公園(平成 17 年 7 世界遺産登録)
世界遺産登録の知床国立公園周辺の環境保全のため、環境負荷の少ない電気自動車によ
る、観光コースの設定を行い、地域限定型の電気自動車のレンタカーの導入を行う。
(試算例) 5×90×3 回/日×4=5,400 人
(想定車種)電気自動車
② 摩周湖周辺
北海道運輸局が「北海道遺産・摩周湖におけるエコ交通整備検討に関する調査」を実施。
摩周湖展望台を訪れる乗用車やバスは多い日には 3,000 台以上を数え、そのほとんどが
56
乗用車によるアクセスである。摩周湖に乗り入れる道道屈斜路摩周湖線について、電気自
動車を導入する。
(試算例) 10 台×90 日×5 周回/日×4 人=18,000 人
(想定車種)電気自動車
<想定する協力体制>
・地元バス・タクシー事業者(地域限定の電気自動車のレンタル)
・自動車メーカー(発売当初にレンタカーへの優先的な導入)
・観光ツアー事業者(エコツアーの企画・販売)
<導入に際してのインセンティブ>
・低公害(代エネ・省エネ)車普及事業
・クリーンエネルギー自動車等導入促進事業
・低公害車に係る自動車税の軽減措置
・低公害車に係る自動車取得税の軽減措置
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事業提案3
「適材適所 エコカーマップ」を活用した広報
G8 サミットでは、国内外から約 4,000 人の報道関係者が滞在し、国際メディアセンター
では、報道向けに次世代低公害車の展示・試乗も行われる。
次世代低公害車に関する報道はメーカーの市場投入前倒しなどの動きも活発化しており、
さらに報道気運が高まる傾向にある。
サミットに先立って、6 月 19 日から 6 月 21 日にかけて、札幌ドームにおいて「北海道
洞爺湖サミット開催記念
環境総合展」が開催され、一般及びビジネス来場者など3日間
で 6 万人の来場者を見込んでいる。環境総合展では最新のエコカーをはじめ環境問題に関
する展示やフォーラムなどが開催され、これらに興味を有する来場者が期待できる。
自動車ディーラーの営業部門は、自動車の部品製造から末端ユーザーの手に渡る過程に
おいて、最もユーザーに近い位置にあり、自動車購入時の車種選択にも大きな影響を及ぼ
していると考えられる。昨今の原油高騰によるユーザーの自動車燃費の関心や地球温暖化
問題への関心が高まっており、適格にアドバイスを行う必要がある。
以上これらの視点から、以下の対象者に対して「適材適所 エコカーマップ」を配布し、
エコカーに対する理解促進を図る。
<配布対象者>
・サミット関連報道関係者(メディア)
・自動車販売店、レンタカー事業者、リース業者等(販路)
・環境総合展来場者(ユーザー)
<配布部数>
10,000 部
58
事業提案4
「北海道洞爺湖サミット開催記念 環境総合展」における広報・試乗の実施
サミットに先立って、6 月 19 日から 6 月 21 日にかけて札幌ドームにおいて、環境産業・
環境技術をテーマとした「北海道洞爺湖サミット開催記念 環境総合展」が開催される。
環境総合展は、北海道洞爺湖サミット道民会議を筆頭に北海道、札幌市、道内経済界や
報道機関等多数の主催により開催され、一般来場者、ビジネス来場者など 3 日間で 6 万人
の入場を見込んでいる。
道民の関心を集める一大イベントの集客力を活用し、以下の取り組みを検討する。
① エコカーの展示・試乗
自動車メーカー各社に最新型エコカーの出展と試乗会の開催について、呼びかけを行
い、大規模なエコカーの展示コーナーと屋外試乗の実施を計画する。
エコカーの展示・試乗について、一般への来場案内に加え、自動車販売店やレンタカー
事業者、リース事業者等に広く案内し、試乗体験による理解促進を図り、率先導入に繋
がるきかっけとする。
② クリーンディーゼルに関するセミナー
経済産業省、国土交通省、環境省、日本自動車工業会、石油連盟、北海道により構成
する「クリーンディーゼル懇談会」では、北海道地域としても、クリーンディーゼル普
及のモデルとなるような取り組みを検討していくこととしている。
自動車から排出される温室効果ガス抑制対策として期待されるディーゼルエンジンの
普及が高い欧州の自動車・燃料に関する動向や、来年度から適用される最新排ガス規制
をクリアする最新型のディーゼルエンジン自動車についてのセミナーを実施。
③ エコドライブ・セミナー
自動車による温室効果ガスの抑制には自動車単体の技術革新のみならず、操作する運
転手側の知識やドライビングテクニックも重要となる。
環境総合展に訪れる多数の一般ユーザーに加え、業務用ユーザー関連団体等に対して
も案内を行い、専門家によるエコドライブ・セミナーを実施する。また、専門家ノウハ
ウをテキスト化した「エコドライブのツボ(仮称)
」を配布する。
59
<参考>
導入モデル
レンタカーへ
の導入
ハイヤーへの
導入
観光地域の通
行規制への導
入
カーシェアリ
ング・パーク&
ライドへの導
入
目的及び
期待効果
・ 道内、特に環境制約の
厳しい国立公園地域な
どでの環境負荷低減。
・ エコカーの知名度向上
・ 観光の振興
・ 事業者のイメージアッ
プ
・ 道内、特に環境制約の
厳しい国立公園地域な
どでの環境負荷低減。
・ エコカーの知名度向上
・ 観光振興
・ 事業者のイメージアッ
プ
・ 道内、特に環境制約の
厳しい国立公園地域な
どでの環境負荷低減。
・ エコカーの知名度向上
・ 観光振興
・ 社会経済活動の集中に
より環境負荷の高い地
域での環境負荷低減。
・ 渋滞緩和
・ 通勤利便性の向上
・ エコカーの知名度向上
実施内容
導入地域例
・ 観光用としてのレンタ
カー需要の多いレンタ
カー拠点にエコカー(ク
リーンディーゼル車、ハ
イブリッド車)を集中的
に配備する。
・ 新千歳国際空港等道内
主要空港・観光拠点近
接鉄道駅周辺配備のレ
ンタカー・プール
・ レンタカー事業者
・ 自動車リース事業者
等
・ 自動車税・自動車取得税の軽
減措置(自動車グリーン税制)
・ 地域新エネルギー等導入促進
事業
・ 観光用ハイヤー・タク
シーとして、エコカー(ク
リーンディーゼル車、ハ
イブリッド車)を拠点配
備する。
・同上配備の観光ハイ
ヤー・タクシー・プー
ル
・ タクシー・ハイヤー事
業者
・ 自動車リース事業者
等
・ 自動車税・自動車取得税の軽
減措置(自動車グリーン税制)
・ 地域新エネルギー等導入促進
事業
・ 環境制約の厳しい地域で
の移動手段として、エコ
カー(特に電気自動車)
を配備、レンタルし、環
境負荷が小さく利便性の
高い移動手段を提供す
る。
・ 道内国立公園・国定公
園地域
・ 地方自治体・第3セク
ター
・ 観光施設運営事業者
・ 自動車リース事業者
等
・ 市街地の一定地域の走行
を対象としたエコカー共
用車(電気自動車など)
を、公共交通機関のハブ
周辺にプールしてレンタ
ルする。会員制での運用
も想定される。
・ 札幌市内
・ 旭川、小樽、函館、苫
小牧等の中心部
・ 地方自治体・第3セク
ター
・ レンタカー事業者
・ 自動車リース事業者
等
・ クリーンエネルギー自動車等
導入促進事業
・ 自動車税・自動車取得税の軽
減措置(自動車グリーン税制)
・ 地域新エネルギー等導入促進
事業
・ 新エネルギー・省エネルギー
非営利活動促進事業
・ クリーンエネルギー自動車等
導入促進事業
・ 自動車税・自動車取得税の軽
減措置(自動車グリーン税制)
・ 地域新エネルギー等導入促進
事業
・ 新エネルギー・省エネルギー
非営利活動促進事業
60
導入実施主体
活用可能な補助金・制度等