子供を装って接近 小6女児が被害者に

ネットトラブル事例
16 誘い出し(掲示板)
関連する授業パッケージ
子供を装って接近
小6女児が被害者に
・自分や友達を守るために
・見知らぬ人と出あうことの危険
(事例)転校したばかりの女児が,携
帯電話からネット上の掲示板に「お友
達になりたい」と書き込みを行った。
容疑者(男性,36 歳)は子供を装って
女児の書き込みに返事。メールのやり
とりするようになった。容疑者はコン
ビニの駐車場に呼び出した女児を乗
用車でホテルに連れ込み,わいせつ行
為を行った。
(結果)容疑者はわいせつ目的誘拐の
疑いで逮捕された。
(2002 年,京都市)
解
説
匿名性とは?
インターネット上の掲示板を通してトラブルに巻き込
匿名性を保証することで,個
まれる児童・生徒の存在が報告されている。掲示板は「出
人情報を漏らさずにインター
会い系サイトではないから安全だ」と思っている児童・生
ネットを利用したり自由な発
徒が少なくないが,ネットの匿名性を利用し,身分を偽っ
言が可能になるといったメリ
た者からの要求に応じてしまい被害にあっている。
ットがあるが,トラブルに巻き
被害にあった児童・生徒の多くは,掲示板での書き込み
込まれた際には,相手の特定が
やメールのやり取りを行う間に相手と意気投合し,実際に
困難になるといったデメリッ
会う約束するなど「出会い系サイト」的な使い方をしてい
トもある。
る。また,相手から「胸の形が変なので気にしている,あ
掲示板とは?
なたの胸の写真を送って欲しい」などの身体的な相談を受
け,自分の裸の写真を送ってしまい,その後に脅迫される
ケースも報告されている。
警察庁の発表によると,平成 21 年度に「出会い系サイ
ト」から被害にあった児童・生徒は 453 人であったのに対
し,「非出会い系サイト」から被害にあった児童・生徒は
1136 人であった。
参加者が文章などを自由に
投稿し,書き込みを連ねていく
ことでコミュニケーションが
可能な web ページのこと。
かつては文字情報のみが投
稿可能であったが,最近は画像
やファイルをアップロードで
きる掲示板も存在する。
類似の事例
コミュニケーションが可能
・ 愛知県の中学生が誘い出されて性被害(2010 年)
であることから,「出会い系サ
・ 岐阜県の中学生が掲示板で知り合った相手に誘拐される
イト」のような目的に使われて
(2005 年)
いるものもあり,注意が必要で
ある。
指導のポイント
・ ネット上には「なりすまし(年齢や性別,職業を偽る)
」がいる。
・ ネットで知り合いになっても自分の情報(氏名,住所,写真など)は教えない,送らない。
・ ネットで知り合った人とは会わない。
宮城県教育研修センター
ネットトラブル事例
17 個人情報
ネットに顔写真を載せていた中学生が
「モデルになれる」と誘い出される
名 前:○○○○
メール:○○@○○.co.jp
夢 :芸能人になること
関連する授業パッケージ
・自分や友達を守るために
・インターネット上での自己紹介
・見知らぬ人と出会うことの危険
(事例)埼玉県の中学生(14 歳)は,
インターネットのコミュニケーショ
ンサイトに顔写真やメールアドレス
などの個人情報を載せていた。その
サイトを見たある芸能プロダクショ
ンの人物からメールで「モデルにな
らないか」との勧誘を受けた。
(結果)勧誘をした人物は,会社を
訪れた生徒にわいせつな行為をし,
児童福祉法違反で逮捕された。
(事件
は 2008 年,逮捕は 2009 年)
解
説
コミュニケーションサイトとは?
インターネット上のコミュニケーションサイトやプロ
現実の世界では,地域や年代
フィールサイト(プロフ),ブログなどに,自ら顔写真や
の違いから直接接点を持たな
メールアドレス,電話番号などの個人情報を公開している
い人たちが,趣味や嗜好などの
児童や生徒が存在する。
共通点をきっかけに,新たな人
ネットの特性として,一度公開された情報は瞬時に拡散
するとともに,完全に回収するのはほぼ不可能である。ネ
間関係を構築する場を提供す
るサイトのことを指す。
ット上に個人情報を公開することによって,「架空請求」
一般には,SNS(ソーシャル
や「送りつけ商法」をはじめとする金銭が絡むトラブルの
ネットワークキングサービス)
ターゲットにされるだけでなく,「ストーカー」や「誘い
サイトなどのことを指すが,狭
出し」の被害,さらには「誹謗中傷」や「迷惑メール」の
義的に出会い系サイトを示す
対象にされるといった,多くのトラブルに巻き込まれる可
場合もある。
能性がある。
自ら個人情報を公開していなくても,勝手に公開されて
児童福祉法とは?
いたという事例も報告されている。ある女子生徒は知らな
18 歳未満の児童とその福祉
い間に顔写真を撮られ,ネット上に公開されていた。通学
に関する総合的な基本法。従来
途中の駅で全く面識のない人たちから「○○ちゃんだよ
の少年教護法や児童虐待防止
ね」と声をかけられることが度々あり,非常に怖い思いを
法などが要保護児童などの一
したという。
部の児童に限定されていたの
児童や生徒は友達を増やしたいといった思いから個人
情報を公開しているが,世の中には個人情報を悪用しよう
とする人たちがいることを十分に理解させる必要がある。
とは異なり,すべての児童の権
利を規定している。
違反した場合は,最大で 10
年以下の懲役,300 万円以下の
罰金が科される。
指導のポイント
・ インターネット上に個人情報を公開すると,思いがけないトラブルに巻き込まれる可能性がある。
・ インターネット上には,自分の個人情報だけでなく友人などの個人情報も勝手に載せない。
・ インターネットを見た人から「実際に会いたい」と言われても会わないようにする。
宮城県教育研修センター
ネットトラブル事例
15 誘い出し(無料ゲーム)
関連する授業パッケージ
女子高校生が携帯電話用ゲームサイト
で知り合った相手から脅される
・知っておこう・親子で話そう!ケータイのこと
・自分や友だちを守るために
・インターネット上での自己紹介
・見知らぬ人と出会うことの危険
(事例)土木作業員の少年(18 歳)
今度,実際
に会いませ
んか?
は,携帯電話のゲームサイトで知り
合った女子高校生(16 歳)を誘い出
し,刃物を突きつけてトイレの個室
に連れ込み,体を触るなどしたうえ,
財布などを奪った。
(結果)その後,少年は強姦未遂と
強盗容疑で逮捕された。
(2010 年,鹿
児島県)
解
説
無料ゲームサイトとは?
携帯電話向けのゲームサイトやプロフ(自己紹介サイ
サイトの利用者が仮想通貨
ト)などの「非出会い系サイト」を通して犯罪に巻き込ま
を得るには,「友人へ招待メー
れる児童・生徒が増えている。
ルを送り,その友人がこのサイ
無料ゲームサイトなどの中には,チャット(おしゃべり)
トへ会員登録する」「利用者が
や「友達」を探す機能が用意されているものもある。さら
サイト内のバナー広告をクリ
には,共通の話題を持つ「友達」を探すために,趣味など
ックする」「利用者がバナー広
のテーマから相手を探す機能や,その相手とメールのやり
告を出しているスポンサーサ
とりができる機能が用意されているサイトもある。これら
イトに会員登録する」などの必
の機能を利用して実際に会う約束をする利用者もおり,事
要がある。これにより,自然に
実上の「出会いの場」になっている。
会員が増え,自発的に広告をク
「出会い系サイト」と違って防御意識が低いまま,軽い
気持ちでメール交換を始め,年齢や性別を偽った相手に誘
リックする仕組みとなってい
る。
い出され,犯罪に巻き込まれるケースが増えている。また,
サイトの運営企業にはスポ
メール交換を重ねるうちに裸の写真を送らせられたり,個
ンサー企業から広告料やアフ
人情報を握られて脅迫を受けるケースも報告されている。
ェリエイトなどの報酬が支払
われる仕組みとなっており,こ
の仕組みによって,無料ゲーム
類似の事例
の提供が可能となっている。
・ 宮城県の女子高校生が携帯電話向けゲームサイトで知り合った相手から性被害(2009 年)
・ 宮城県の女子小学生が携帯電話向けゲームサイトで知り合った相手から性被害(2007 年)
指導のポイント
・ ネット上には「なりすまし(年齢や性別,職業を偽る)
」がいる。
・ ネットで知り合いになっても自分の情報(氏名,住所,写真など)は教えない,送らない。
・ ネットで知り合った人とは会わない。
宮城県教育研修センター