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クロマトグラムで混合物の
成分を見る
1 クロマトグラムとは
2 実際にやってみよう
3 色はどのようにして見えるのか
4 三原色
5 その他のクロマトグラフ
金沢大学工学部物質化学工学科分子設計講座
分子機能解析化学研究室
1クロマトグラムとは
1-1 クロマトグラムとはクロマト(chromato colorの意を表すギリシャ 語)とグラム
(gram 図)を併せて作られた造語で文字通り色を示した図を 意味します。
1-2 クロマトグラフはクロマトグラムを作るために用いられる装置のこと をいい
ます。
1-3 また、クロマトグラフィーとはクロマトグラムを作るためにクロマト グラフを用
いる方法や技術をいいます。
1-4 固定相(ろ紙、シリカゲル、イオン交換樹脂など)とそれに接して連続 的に流
れる移動相(水、エタノール、アセトンなどの溶媒単独またはいく つかを混合した
溶液)に試料を移動相の流れに載せて導入することに よって混合物を形成す
る各成分と固定相、移動相の間に働く弱い力(相互 作用、親和力、分子間力など
といわれる)のわずかな差によって分離しま す。
1-5 クロマトグラフを用いると物理的、化学的性質の似通った物質でも簡 単に
分離することができます。
2 実際にやってみよう
2-1 インクを2倍に薄める
2-3 スポットの中央からろ紙の
はしまで切り目を入れる
黒インクそのままでは濃すぎるので、黒インク
2滴と水2滴をスライドグラスに取り爪楊枝で
よくかき混ぜる
2-2 ろ紙にスポットを付着する
スポットが乾燥したらスポットの中央部で
1∼2mm、ろ紙のはしで5∼6mmになるよう
に2本の切り目を入れる
2-4 切った部分を折り曲げシャ
ーレ中の水に浸す
爪楊枝の先をつぶして、上で作ったインク溶液
をたっぷり含ませ、ろ紙の中央に3∼4mmのス
ポットになるまで押しつける
水
切った部分が水(移動相)を吸い上げ試料と共
にろ紙(固定相)に広がっていく(展開される
という)間に混合物は分離する
3 色はどのようにして見えるのか
3-1 太陽光はいろんな波長の光の集
合体で人間の目には無色透明に
しか見えない(白色光という)
赤い物体
太陽光
反射光の場合も全く同様である
プリズムのような分光器を用いれば各色に分離
して人間の目に見えるようになる
3-2 例として赤い物が赤く見えるのは 白 赤
色 緑
光 紫
白 赤
色 緑
光 紫
透過光の場合、赤い透明な溶液が赤く見えるの
は赤色だけが吸収されない場合と、赤色と紫色
が吸収されない場合の2つの場合がある
3-3 光の波長と色およびその補色(見
える色)の関係
光の波長(nm) その波長の その光が吸収された残りの色(補 光の色 色といわれ人間の目に見える色)
>400
無色(紫外線)
400-435
紫 黄緑
435-480 青 黄
480-500 青緑 だいだい
500-530 緑 赤
530-570 黄緑 紫
570-590 黄 青
590-620 だいだい 青緑
620-750 赤 緑
<750 無色(赤外線)
4 三 原 色
4-2 人間の目 G
R
M
W
黒B
C
Y
B
光の三原色は左図のように赤(Red)、緑(Green)、
青(Blue)であり、すべての色の光が混合すると白
色(White)となる。一方、絵の具の三原色は赤紫
(Magenta)、黄(Yellow)、緑青(Cyan)であり、す
べての色が混合すると黒となる。光の場合次のよ
うな関係がある。
B + G + R = W, W - B = G + R = Y, W - G = B +
R = M, W - R = B + G = C
これを図示すると下のようになる。
400
600
800
光が目に入り、網膜にある視細胞に当たると視細
胞が興奮し、電気信号が神経を通って脳に送られ、
明るいと感じる。視細胞は杆体と錐体の2種類あり、
杆体は暗いとき働き、高感度であるが色を識別し
ない。錐体は網膜の中心部に密に分布し、杆体よ
り感度は低いが色を識別できる。それは波長感度
の異なる3種類のセンサー
b 、 g、 r があるからで短波長の光が入射して b
が興奮すれば青いと感じ、520nm付近の光で g が
興奮すれば緑、長波長の光で r が興奮すれば赤
いと感じる。 b 、g、r が同程度に興奮している状態
が白色である。
2
b
感 度
4-1 光と絵の具の三原色
g
1
r
nm
400
500
600
700
光の波長 / nm
肉眼のセンサーの感度曲線
5 その他のクロマトグラフ
5-1 薄層クロマトグラフ
5-2 カラムクロマトグラフ
ガラス板やプラスチック板にシリカゲルなど
の固定相を塗布したものの一点に混合物をス
ポットし展開する方法。
溶媒
(展開剤)
溶媒(展開剤)の
先端
原点
X
溶媒(展開剤)
原点から各スポットの中心までの距離を原点
から溶媒(展開剤)の先端までの距離で割った値
をRf(Rate of flow)値といい、溶媒、温度などの
雰囲気が同じならば物質特有の値を示し、密
度、融点、沸点などと共に物質を特定するの
に用いられる重要な値である。
試料
固定相
シリカゲルや
イオン交換樹脂
綿
左図のように太さ一様
なガラス管にシリカゲ
ルやイオン交換樹脂の
ような固定相を詰め、
その上面に試料溶液を
静かに吸着させる。そ
の後溶媒(展開剤)を一
定流速で流してやると
試料中の成分に分離す
る。図では今まさに赤
色成分が流出している
ところである。これを
他の容器に集めれば赤
色成分だけを集めるこ
とができる。さらに溶
媒(展開剤)を流し続け
ると次に緑色成分が流
出してくるというよう
に試料中の成分をきれ
いに分離収集できる。