第2章 行財政改革の新たな試み ―行政評価システムの導入

第2章
行財政改革の新たな試み
-行政評価システムの導入
行政評価システムとは
行政評価とは、行政(市役所)の行う仕事
市民 にとって今何が必要
か。使命を明確にし、評価
を基に計画をつくります。
が、市民のためにどう役立っているのか、どう
いう状態にしようとしているのか、その成果を
Plan(計画)
測る“ものさし(指標)
”で、仕事をした後の
状態を測り、その仕事が市民のためにどれだけ
有効に働いたか、また、どれだけ少ない投資
(予算、人材等)でできたかについて評価をお
See(評価)
こないます。そして、その評価の結果を次の事
業計画に反映することで、行政の仕事の質の向
Do(実施)
市民の目線で設定した指標
(数値化)で成果を測ります。
上を図っていこうとするものです。
なぜ行政評価が必要なのか
行政活動は、時代の要請や変化に対応するため、新しい多様な機能を持たなければなりませんが、従来か
らの機能を容易に廃止したり縮小できず、市民のニーズに合わない行政サービスを行ってしまう場合があり
ます。行政評価は、財政状態の良い悪いにかかわらず、こうした市民のニーズを満たせず、効果的でない行
政サービスを排し、市民の立場に立った行政サービスをより効果的、効率的に提供できるようにする新たな
行財政システムの基本的な手段となるものです。
本市は、これまで右肩上がりの経済状況の中で、豊かな財政力をもとに様々な事業を展開し拡大してきま
右肩上がりの時代
(景気上昇)
右肩下がりの時代
(景気停滞・下降)
事業の拡大
豊かな財政力を背
景に、多様なニーズ
に対応するために事
業を拡大してきた。
事業の選択と集中
予 算が 多い 少な い
で サー ビス 水準 の
高 低を 評価 して き
た。
市民にとってどれ
だけ成果があった
かで評価する。
市民にとっての成果
を見据えた有効な手
段を選択し、事業を
組み立てる。
した。しかし、長引く景気停滞により、税収
は減少し、これまでの状態を維持することも
難しくなっています。平成10年度からは、
行財政改革を推進することによって経費の削
減に努め、その結果、一定の成果を上げてき
ました。ところが、これまでの改革の方法は、
太りやすい体質を変えずにダイエットするよ
うに、右肩上がりの時代における仕事のやり
方や職員意識をそのままにして、無駄を省き
減量することに力を注いだものでした。やは
り、本来の健康なカラダにするには、体質そ
のものの改革をもっと進める必要があります。
そこで、本市では、これまでの行財政運営
の考え方を変えるべく、
「行政評価」を取り入
れ、事業の見直し、予算編成、組織の見直し
等様々な分野での活用を図りながら、職員の
意識改革につなげるとともに、
真に市民にとっ
て意義のあるサービスの提供を重視した、効
行政評価
率的で質の高い行政の実現を目指そうとして
います。
9
どのように評価を行うのか
●業務棚卸手法による評価
業務棚卸表の構造
本市では、さまざまな行政評価手法のうち
「業務棚卸表」という評価表を活用した手法を
目
的
導入しました。
この「業務棚卸表」は、組織(課・室)ご
手
とに作成され、その組織が何のために仕事を
段
手
(目的)
するのかというその組織の使命を明確にし、
そ
段
(目的)
の使命(目的)を果たすための手段を段階的
に記述したものです。そして、その目的、手
段それぞれの目指す状態を測るものさし(指
標)を設定し、毎年その指標を測定して目標
手
値への達成度により、その手段の有効性等を
段
手
段
手
段
手
段
《それぞれの目的・手段に成果・活動指標と目標値を設定》
評価していきます。
●予算編成への活用
平成15年度予算からは、
従来の各課が積み上げたものを財務課が査定して予算編成を行う方法から、
あらかじめ試算した歳入に合わせて、各部の裁量に委ねられる経費については、それぞれに予算を割り
予算編成作業における事業見直しの視点
<前提条件>
その事業がどういう使命を果たすためで、市民にとってどういう成果に
つながるかを明確にする。
目的達成のために効果的な事業か?
成果が得られる
(見込める)事業か?
効果的でない、成果が得られな
い事業は、廃止、縮小を図る。
市が主体的に実施すべき事業
か?
市民との協力・協働、民間の活
用、県・市の役割分担の明確化
を図る。
類似した事業を重複して実施し
ていないか ?
他の事業との連携により効率
化を図る。
優先順位は適当か ?
優先順位を見直すことで予算、
人員の見直しを図る。
振る「総額管理枠配分方式」
に改めました。
従来の方法では、右肩上が
りの時代の意識や考え方を
払拭できず、多くの予算を獲
得することに意識が傾き、予
算の膨張傾向を食い止める
ことができませんでした。そ
こで、
歳入の総額を把握した
うえで、
その財源内で歳出を
調整する方法に切り替える
ことにしました。
この方式で予算を配分さ
れた各所属は、常に成果を意
識し、
業務棚卸表における所
属の使命(目的)を果たすた
めの効率的な事業を選択し
ていくこととなります。
市役所の仕事を真の成果志向に転換していくためには、何よりもまず職員の意識改革が重要である
ことは言うまでもありません。市では、このような行政評価を導入することにより、職員が常に自ら
の所属する課(室)の使命を意識し、最良の手段を選択するために様々な議論をしていく過程で、こ
れまでの意識や考え方からの脱皮が図れるものと考えています。
また、近い将来この評価表を公開していく予定です。市が今何をしようとしているのかを市民の皆
さまにお示しし、さらに市民協働のまちづくりを進めていきます。
【総務部
10
行財政改革推進室 TEL54ー8936】