行って帰ってきた司書たちからの声(PDF)

<ミミオ図書館 in 石巻市図書館
司書ボランティア参加感想>
お子さんを連れていらっしゃった方は、震災で家が流されてしまい絵本が何もなく、新聞で
ミミオ図書館を知り、子供に絵本を読ませたくていらしたとおっしゃっていました。小さなお
子さんが、何冊もお母さんに「読んで!」とせがんでいたのが印象的でした。12月6日は、一時
間に一度、石巻のホームムービーが流れる直前に館内アナウンスをしたのですが、たまたま館
内にいて、アナウンスを聞いた方も結構いらっしゃっていました。石巻のホームムービーに興
味を示していらっしゃっている方がとても多かった印象です。
鴻池さんもおっしゃっていたのですが、積極的に話しかけてみることが大事だと感じました。
こちらとしては、震災に関する話をしてもいいのか分からなかったのですが、「今日はどちらか
らいらっしゃったのですか?」とか「何でミミオ図書館を知っていらしてくださったのですか?」
など質問を投げかけると、大抵の方が、震災の話を結構長いこと話されていて、皆さんとても
話したがっているという印象を受けました。
来場者数は少なかった日でしたが、逆にじっくりお話しする時間がたくさんあり、内容の濃
い時間を過ごすことができました。2000世帯以上流された地域で、流されなかった8世帯のう
ちの一つが自分の家だったが、見慣れた街並みを一瞬で全て失った現実をどう受け止めたらい
いのか分からない、とおっしゃっていた男性や、アニメーションを見て、イマジネーションの
世界に触れ、震災でいなくなってしまった人が完全に消えてしまったわけではなくて、イマジ
ネーションの世界の様に、実はとても身近に存在している様な気がした、とおっしゃっていた
男性の言葉がとても印象に残っています。
私は、今回初めて震災後、東北に訪れ、川の近くを実際歩いてあまりのつらい景色に絶句し
ました。その中で日常を過ごしている方の気持ちを考えると、一人ではとても受け止めきれな
いだろうということがよく分かり、そのことが分かっただけでも今回参加できて本当によかっ
たです。これから司書をされる方はぜひ、いらっしゃった方とたくさん話していただいて、震
災のお話しもたくさん聞いていただきたいと思いました。
(飯島はるか)
私が司書として参加したのは1日だけでしたが、行って本当に良かったと思っています。そ
の日は雪が降っていて来場者が少なかったのは残念でした。ですが、最後に来てくれた二組の
お母さんと子どもたちが、私達が用意した手作りワークショップにとても楽しく参加してくれ
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たのが嬉しかったです。お話もたくさんできたので、私達も楽しい時間を過ごすことができま
した。
また、私は被災地に行ったのは初めてだったので、日和山を越えた向こう側を直接自分の目
で見ることができたのは、本当に自分にとって重要な体験になったと思います。今回のボラン
ティアでは、私が何かするというよりは私が石巻の環境や現状に少しですが触れて、あちらか
ら与えられる要素が強く、受け身的になってしまったのですが、自分のこれからの活動につな
がるものが得られた気がします。自分でできることを見つけて、積極的に行動していきたいで
す。ミミオ図書館のこれからにも期待しています。
(井田彩子)
ミミオ図書館 in 石巻に参加してみて、強く感じたのは誰もが「帰る場所」を求めているのだ
ということです。現在の石巻の方々の中には、残念な事に震災によって自宅がなくなってしま
ったご家庭も数多くあることが事実ですが、ミミオ図書館のあの小さな部屋で絵本を読んだり、
司書と直接話せる空間があることで「帰る場所」の疑似体験と言いましょうか、そのような感
覚を呼び覚まされるように思えました。
私は、震災前は「帰る家」があって当たり前のように感じていたと思います。けれども、あ
の3月11日に帰宅難民となって自宅に戻れなくなり、初めてお会いした方のお宅に一泊した
とき「帰る場所」のありがたみを強く感じました。また、私個人も夏に入院をしましたが、入
院中に図書室で本を読んだ時はようやく自分の時間を作れたような気がして嬉しかったことを
覚えています。約1ヶ月ぶりに自宅に戻れた時も物凄くホッとしましたから、人間がくつろげ
る場所としばらく離れている時は、正直ストレスが溜まってしまうのだと気づきました。この
ような個人的な体験もあり、ミミオ図書館の活動では「帰る場所」について大きく考える機会
にもなりました。
石巻入りをする前の私は、どうなるんだろう、うまくやれるんだろうか、と正直少し不安に
なっていました。けれども、現地に到着してみたら、鴻池さんがメールで「行けばなんとかな
る」とおっしゃっていた通り、ちゃんと自分の足で歩けますし、地図を見て宿までたどり着い
て、ご飯を食べて、布団で眠れる。石巻の方々とも笑顔でお話が出来た時に「なんだ、緊張し
不安が大きくなりすぎていた。もっとゆったりとした大らかな気持ちでいればいいんだ」と自
分の中での緊張の氷が解けていくような気がしました。今回の石巻での活動が、久々の外泊で
もあったため、外で移動が出来る喜びもありました。
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災害ボランティアへの参加は不安だという人にとっても、ミミオ図書館は被災地に触れる良
いきっかけになったと思います。(私自身も体力的にまだ不安な面がありましたので、今回は
自分が出来る活動になり助かりました。)私にとって、自身の大きな経験を経た後のミミオ図書
館 in 石巻は、大変有意義な機会でした。本当にどうもありがとうございました。次回の巡回地
でもぜひ時期が合えば参加したいと思います。
(岩田ゆず子)
「現地に行く」ことは自分の中にある時計の針を合わせるためだと思いました。というのも、
「被災地」は私の日常生活と離れたところにあり、私の中では震災後の報道そのままに止まっ
た「被災地」であったのです。現地に行って、震災後で止まっていた被災地のイメージが更新
され私の生活と交じり、「あっち」も「こっち」もない、今であることを確認できました。自分
が今を進んでいるのと同じように、人のこころもまちも動き出しているのだと感じられました。
石巻といってもひとくくりにできないとも思いました。津波の被害があったところを歩いて
みると、お鍋や座布団が落ちている、家が丸見えになってぽつんと建っている、電柱がぽきっ
と折れて倒れている、仮設住宅に暮らしている人たちがいる、仕事が無くなった人がいる。か
と思えば、震災以前と変わらない生活を送ることができている人がいる。変わらない生活がで
きていても、こころは変わってしまった(変えさせられた)人がいる。被災地や被災者という
言葉でまとめてしまうことはできない、ひとくくりにすることは誰かを否定することになりか
ねないのだと思いました。
また、ボランティアという行為についても考えさせられるきっかけとなりました。気になっ
たのは、住む人が少なくなっていることを知っても、だからといって自分が住むわけでないこ
と、人の日常に気軽に介入していくことなどです。ボランティアはどういう心持ちが大事なん
だろうと考えさせられました。
(上村萌)
12/13開館時間より少し遅れて到着。9:40ぐらいすでに2、3人来館者がいらした
様子。フランス在住の友人の絵本もちょうど届いたところだった。(ミミオ図書館たちあげのこ
ろ、ちょうどフランスへ滞在しており、フランスにいる日本人が日本人でありながら何もでき
ずにいることで病んでいるとき、このプロジェクトについて紹介した。)
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まもなく幼稚園児たち30人プラス先生5人?が訪問。2グループにわけ、読みきかせ、手
遊びカラダでおしゃべり等を提供。みんな集中してみたりきいたり、それぞれに色々な思いは
あるのだろうけど、今という時間にストンと主軸をもつ強さがまぶしい。その後、スタッフに
ストレッチを提供、主婦3人組、小学校での読み聞かせをしているという方々がいらっしゃり、
身体の声をきくストレッチ等を提供。冷えや腰痛、肩こり等の解消になった様子。みるみる血
色がよくなり、表情も明るくなった。お二方は、マンションの上の階の方に住んでいらしたと
いう事でご自分の部屋への浸水はなかったようでしたが、おひとり一軒家に義父義母とお住ま
いの方は、2階に避難して5日間家にあるもので食べ繋いだとのこと「こういうときは一日一食
でいいんです。あってもそんなに食べられない」記憶を咀嚼するようにはなしてくださった。
リアルな声だ。きかなければ、そういう影すらないけれど、確かに記憶とカラダに残っていて、
その消化には時間が必要だと感じた。
その後、昼休憩、そのまま日和山へいき神社でおみくじを引き、津波の被害のあったところ
までいく。新しく建てられている家、営業してる床屋さん、放置されている家、転がってる冷
蔵庫、遠くには車が積み上げられている。手をつけられないエリアもあるそうで、お墓も倒れ
てたりもするけれど、それでも、足の裏に再生のエネルギーを感じた。
午後は、下の階へいき、上にミミオ図書館があることを入り口や貸し出し手続きパソコンの
ところにいる方々へお知らせ。宣伝。いやがられるかなとも思ったのだけれど、ニコニコその
まま来てくださる方が多かった。閉館30分前ぐらいだったか2家族の母子と司書の上村さん
リードによるクリスマスオーナメント作り。子供達のセンスと丁寧さが素敵。子供よりも没頭
して楽しそうなお母さん。「ああ、たのしいわ∼」といっていくつもつくっていた。こういう集
中できる時間が何よりのごちそうなのかも。創造する力がひとの生きる上での糧になるのを目
の当たりにした瞬間だ。この2つのご家族は、避難所暮らしをへて現在仮設住宅にいて、隣の
声、音、が筒抜けのなかにいる。
「いまだにトイレの水1回でながしていいんだっけって思うの」
と。避難所では5∼10人ぐらい用を足してからだったそうで、「生理の人とかいると真っ赤に
なっちゃうのよね」と。一軒家暮らしだった方にとっては、仮設住宅での生活音筒抜けは大変
だと思われる。「これもいい経験だわ」とおっしゃりながら消化している感じがした。
この日お会いした皆さん、表向きごくごく普通で暗い影なぞないけれど、、、非日常の扉をあ
けること
と
自宅ではない場で振り返ること
を今必要としてるのかもしれない
と感じた。
泣く事はある程度の強度と余裕が必要でそれを通り越して処理しきれなかった思いや体験の置
き場所を冷静につくるときに日常の流れから一歩でることが役に立つのだろうと思う。過去と
未来の間にある今という時間の位置と価値をものすごくリアルに感じた。帰ってフランスの友
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人にもろもろ報告。「日々の小さなことも大切に受け止めて生きていきたいと思う」と彼女。日
本とフランスの距離を超えて、それぞれのアクションが呼応していると感じた。
(奥田純子)
ボランティアスタッフとしてこうして一通り終えてみると、期間中一日だけの参加だっただ
けに、どんな展開になっていくのかドキドキしていた事を思い出します。facebookのお陰で、
他の日の様子や多くの方が来場されていた事などミミオ図書館の経過を知る事が出来たので、
ずっとスタッフの一員であるような感覚でした。
その日のスタッフが送る写真日記が、そのまま活動報告になっているのはとても良いなと思
いました。一人一人の活躍が目に見える形で繋がっていき、大きなプロジェクトとしてまとま
っていて参加者冥利につきる感じです。携帯で写真と文章を送る手軽さも、身構えず報告しや
すかったです。
来場者された方達について思ったことは、場所が図書館だっただけに、本に興味のある子供
達が来てくれて良かったなぁと思いました。本の中身にすんなり入っている感じがしました。
ふらっと来た人達で絵本を読まなくても、絵本の山を目前にすると少しワクワクしているのが
隠せていない様子が微笑ましかったです。
ミミオ図書館には、絵本以外もあるので本を読まなくても映像が見れ、映像を見なくても工
作があり思い思いに時間を過ごしても作品に触れる機会があって子供達も楽しそうでした。子
供達と一緒に工作作りをしていると、はっとさせられる場面もありました。正しい作り方を教
えると興味を失ってしまうのですが、正解ではなくコツを教えるとのめり込む様に作業し始め
て、自分が子供達の関心に目がいっていなかった事に気づかされるなど勉強になる場面もあり
ました。それにしても、ミミオは人気があり映像の中のミミオが登場するのを心待ちにしてい
たお子さんが居ました。でも、工作もやりたいのでペーパークラフトをしながらミミオ待ちを
していました。
今回、石巻を訪れて、津波が押し寄せた町を見て歩き、再開した商店街の居酒屋で夕飯を頂
いたり、気仙沼の友人と会ったりする事も出来ました。このような機会を与えて頂いた事にと
ても感謝しております。ありがとうございました。VOLCANOISEの皆様のますますの発展とご
健康をお祈り申し上げます。
(川上一紀)
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今回は実際に行ってみないとわからないことが沢山あり、そのことがとても大きかったです。
ここには書いていないのですが、復興商店街(マンガロードというところにありました)の方々
にとある出来事が元にお世話になり、色々と興味深いお話も聞かせていただきました。その方
は商店街で古本市を開きたいという構想を持っておられていまして、ものすごく元気な方でし
た。お金はないけれど色々とアイディアはいっぱいあるのでボランティアに来た人が帰ったら
そのことを広めて欲しいとおっしゃっていました。
今回はミミオで参加させていただきましたがまた春休みにも東北へ行きたいと思いました。
一日だけの参加でしたか行って良かったと思っています。
(近藤晴夏)
震災後、NPOに支援金を送っことがあるものの、具体的にボランティアに参加したことも
なく、絵本をお送りしてからも、日々のニュースを見ながらなんとなくモヤモヤした気分でい
ました。そのような時に図書館司書参加呼び掛けのメールをいただき、自分でも何かできるん
だろうか、とひと押しされて説明会に出かけ、参加することが出来た次第です。
思いを乗せた言葉のちから、というのを強く感じました。滞在出来たのは3日間で、司書と
しての実動は2日、それも1日目は右往左往してしまい、2日目にやっとちょっと来館者の方
とコミュニケーション出来たかな、というぐらいですが、やはり参加してみてよかったです。
ぶらりと図書館にいらして普通にしていらっしゃるようでも、お聞きしていると2、300
世帯流されて残った8軒のうちの1軒にお住まい、という方がいらしたり、元気に明るく喋っ
ている家族の方でも、実は家が流されてしまった、小学校も流されてしまった、など実際に被
災した事実が話の流れの中で出て来て、ああ、本当に大変なことがあったし、今も続いている
のだ、と肌身に感じました。
上映している作品の中に、昔の石巻のホームムービーが入っていたのは、とてもよかったと
思いました。それをきっかけに来館してお話しして下さる方や、今は無い施設(たとえば小学
校など)が写ったときに懐かしんで下さってお話しするきっかけを作る事ができました。
行って印象的だったのは、実際に人に会って話をお聞きする、というのもそうですが、場所
に足を踏み入れて、景色を見て匂いをかいで・・ということでした。石巻へ向かう途中の、松
島の美しさが今も忘れられません。他にも、たくさんの美しい景色を持つ場所だと思います。
それが壊されてしまうということ、そして場所によっては二度と目にすることが出来ない、近
付けない場所になってしまうということが、とても恐ろしく哀しいことだと、真に思いました。
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図書館で来館者の方にお話をおうかがいする以外に、泊った旅館が家族経営のこじんまりし
た場所だったのでそこでも少しですが、お話しできたことも印象深いです。旅館の方はお忙し
そうですし、こちらから一方的にお話を聞くというのも失礼な気もするし・・と、特に積極的
に何かお聞きする、というのはしないでおこう、と思っていました。旅館にはかわいい看板ネ
コがいて、帰ると玄関で待っていたり(自分が出るために開けてもらおう、というだけなので
すが)ちょこちょこ見かけるので、自分がネコを飼っていることもありネコについて旅館のお
かみさんとお話ししたりはしました。1日目に駅周辺を歩き回って、犬の散歩は見かけても、
野良猫というのを全く見ないことに気がつき、そのことをお尋ねしてみて、震災の時にネコが
出て行ってしまい4日間戻らなかったこと、その時の状況など少しお聞きすることが出来まし
た。
また、旅館で働く他の方で帰る前の日に、わたしの職業がイラストレーターというのに興味
を持って話し掛けて下さり、(美術系の大学を卒業されたとか)短い時間でしたが、ずっと無口
だと思っていたその方がいきなり、自らど∼っと震災時の話をされたので驚きました。
旅館自体は、床の上に水が来たぐらいで済んだけれど、離れの倉庫が大きく被災してしまい、
自分が子どもの時に描いた絵や、思い出の品物が全部流されてしまったこと、近くのコンビニ
のガラスが割られて商品を取る人もあったけれど、レジにお金は置いていく人もいた、とか
そのあと飛び交ったいろいろなうわさ話のこと、旅館に来るお客さんはほとんど土木関係の方
で、聞かれるのは可愛い女の子のいるお店とかお酒の事で、興味のある話をできるわけではな
いなど、など。こちらからお聞きしたわけでは全くなかったんです。人から何か話をうかがう
というのは、いろいろなきっかけやタイミングがあってのことなのだなぁ、と思いました。
到着1日目の夜に鴻池さんと夕御飯をご一緒して、経験談などいろいろなお話を事前にお聞
き出来たのも貴重なことでした。いかにも震災後のボランティア、でもなくても被災地以外の
人間が入っていって、ただ話を聞くことでも気分が楽になるのではないか、など・・。
今まで、自分の実家(茨城)でも家こそ壊れないものの、ライフラインが止まったり、非常
事態に置かれた時期の事は家族や知人に聞いていましたし、ニュースなど被災地の話題が出る
と、その状況をなるべく想像しようと努力していたつもりでした。でも実際行ってみると、た
だ想像するのとは違う見え方があるものだと思いました。
改めて、石巻に行く機会をいただけて、よかったです。また、ふだんの仕事からして1人で
こもっている事が多いので、全く未知の方々と同じ目的のもと、知恵や力を出し合って何かす
る、という新鮮さも味わうことができました。短い期間でしたが、自分に足りないものや、こ
れから必要なことなどで気付いたことがあったのも収穫です。日々のニュースで、石巻の話題
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が出ることも多いので、そのたび身近に感じ、出会った方々の顔が浮かんで、どうされてるか
な、と思うようになりました。
ボランティア、と言ってしまうと自分の経験が無いだけに尻込みしてしまいますが、まず行
ってみるものだな、と思いました。行けばだれかしら、何かしら、に出会って、その経験が、
人事では無い自分の感覚として残りそれから何か出来るのでは、と思いました。
そして出会うには、意識して自分の気持ちを開いておくことも大切だなぁ、と思いました。
(斉藤かこみ)
ミミオ図書館本当にお疲れ様でした。初日、二日目に参加させていただきましたが、正直な
ところ司書のボランティアとしてあまりお役に立てず、すみませんでした。(Kさんと、万が一
ワークショップをやることになったときのために事前に打ち合わせをしてましたが、幸か不幸
かその機会はありませんでした)
個人的にはミミオ図書館がなければ石巻に行くこともなかったと思いますし、実際に現地を
歩いて見ることができたり、夜は復興バーなどで地元の若者たちやボランティアに来ている学
生さんたちの生の声が聞けたのも貴重な体験でした。
また何らかの形でお手伝いをさせていただければ思っています。今後ともよろしくお願いい
たします。
(まい)
うまくまとめられなかったので、印象に残った物事を箇条書きで挙げていきます。
・ミミオに来てくださったお子さんで、海外に行った事のある子がいたので「何回行ったこと
があるの?」と訊いたら「何年か前と、地震のすぐ後の合わせて2回」と答えていました。
・夜の商店街は居酒屋や料理店が多く開き、忘年会シーズンということもあり満席の店が多か
ったです。
・料理店で隣の席の会話が聞こえてきたのですが、東北の自慢をする方や震災後の保育園につ
いて話している方などがいました。
・日和山を降りたところにあるテニスコート(隣が墓石の倒れたお墓です)でテニスをしてい
る若者がいました。
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・石巻立町復興ふれあい商店街壁画で知り合った方に頼まれて、商店街に壁面を描くことにな
りました。また、商店街のおじさん曰わく「石巻での復興活動を全国に伝えるためのツールが
まだない。各地から来るボランティアの人達にブログや口コミで広めてほしい。」とのことです。
・ふれあい商店街では古本市(1人1人が無理をしないよう本の量はリュック1つ分程度、を強調
していました)を開く予定もあるようで「何度か来て本を売って、そのお金で美味しいものを
食べたりしてお金を落としていってくれたら嬉しい。そうやってお金のサイクルを作ってほし
い。」とのことです。
・ミミオ図書館の隣の自習室で勉強している高校生をみて同じ学生として嬉しくなりました。
・スーパー銭湯では夜遅いのにも関わらず家族連れが多く感じました。
・タクシーの運転手さん、通りすがりのおじさん、料理店のお兄さん、ふれあい商店街の方々
など親切な方が多く、ボランティアに来たはずなのに助けていただく場面が多かったです。
・全体としては、復興のための街おこしに力をいれている印象でした。
以上です。長くなってしまいすみません。
また、開館中迷惑をかけることが多く申し訳ありませんでした。振り返ってみて、本当に行け
てよかったとしみじみ感じています。ありがとうございました。
(須永裕璃香)
14日は一日、来場者も少なめで静かなでした。2∼3歳くらいの女の子とお母さん。年配の女
性が読み聞かせをやっているという娘さんと二人で。赤ちゃん連れの若いご夫婦。
夕方にいらした年配の男性は、
「テーラー文庫」の立ち上げに携わっているので、参考になれ
ばといらしたそうです。「テーラー」とは、石巻で英語の授業のアシスタントティーチャーをし
ていた方の名で、津波で亡くなられたそう。ご両親が英語の絵本で文庫をつくろうとされてい
るそうです。この方は「ミミオ図書館」にたどりつくまでに迷ってしまったとか。図書館の奥
にあるので、行きづらかったそうです。「すぐ下に小学校もあるのに、もったいないなあ」とお
っしゃっていました。(このことはたしか、司書の樋熊さんが坂本さんにお伝えすると言ってい
たので、もうご存じかもしれません)
若いご夫婦は東京から3年前?に石巻に越してきたそうです。「この本、知ってる!」などと
話されて絵本を見たり、映像も見ていかれました。
「石巻のこと教えてください」は、改めてお話を聞くというタイミングがつかめず、結局、
ふつうに会話するくらいになってしまいました。坂本さんにもご相談にのっていただいたのに、
申し訳ないです。ですが、若いお母さん方に仮設住宅の話を聞いたり、一緒に司書に入った方
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とお話したり、読み聞かせ初体験をしたり、石巻の町を歩いたり(お店で「舞玉」というお正
月飾りを見つけました)、よい経験をさせてもらいました。ありがとうございました。
(関牧子)
被災した地域を歩いたり、地域の人と話をしたのは初めてでした。取材ではなく、絵本やホ
ームムービーがきっかけという自然な形で話ができたことは自分にとって貴重な経験でした。
一方、2日だけの参加では、図書館にとって、来訪された方にとってどれだけ役に立ったかと
問われると心もとないです。
今後ですが、石巻のようなある程度商業施設も開いているところだけでなく、図書館や書店
が近くにない仮設住宅などで開催できたらなとも思います。坂本さんにご連絡があったのは高
校の先生だったでしょうか。地元の高校生をスタッフ側に交えて開催するのもよさそうですね。
絵本を真剣に読んでくれそうな気がします。
(高橋咲子)
石巻では貴重な体験をすることができ、ありがとうございました。こうした機会がなければ、
なかなか現地に赴くということもなかったでしょう。
私の実家は瀬戸内ですが、河口の埋立地に建てられた市営住宅の払い下げの土地で、内海ゆ
え津波の心配は少ないのですが、台風がくると浸水する危険性があるようなところです。ゆえ
に災害に傷ついた街、というのは他人事には思えませんでした。被災地域を2時間ほど歩いただ
けでも、その大変さがわかりましたが、そんななかでも営業を再開している事務所などもあり、
そこにいる人たちのたくましさも感じられました。
さて、私が参加したのはオープンから2日間で、レイアウト、来場者への対応等、手探りのま
ま終わってしまった感がありました。個人的には何事も3日かかわると3日目に見えてくるこ
とが大きいと思っていますので、もう1日いたかったです。残念だったのは、タイミングの問
題があったのですが、図書館以外の活動にかかわることができなかったことです。参加者のな
かでももう少し、そうした活動をしてみようと考える人がおられると思っていたのですが…。
それと、オープンしていなかったけれどもよってらっしゃいと迎え入れられた喫茶店ではお茶
でもいただいて話を聞くべきでした。
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個人的にできたらいいかなと思うのは、
・現地の人との懇親会、交流会的な場をつくる(先方の都合にもよりますが、図書館の他のス
タッフの方と交流する手もあるかと思います)
・借りてうちで読みたい、という人に何らかの手当てをする
・絵本の図書館というとどうしても子どものための企画、というイメージに引っ張られるとこ
ろがあるので、それ以外の層に積極的にアピールするための要素を入れる
・お母さんのために、おむつを替えたり、授乳したりするスペースの確保
・こんな絵本が読みたい、という希望を積極的に聞く
会場のルールとの兼ね合いもあるでしょうが、企画の立て方によっては、自由度の高い他の場
所も利用する(たとえばお茶会を、飲食ができる他の場所で開く)ということを考えてもよい
かもしれません。
また、今後この企画をつづけていくなら、各人の交通費・宿泊費はともかく、現地までの運
送料等、必要経費の手当ての問題も考えるべきかな、とは思います。ともあれ、次回も手伝い
たいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。
(冨重雅也)
①自分でもいろいろできるよう、一応工作の材料は持っては行ったのですが、他のみなさんが
かなり気合いが入っていたので、(と、来館者が非常に少なかったせいもあり)プログラムはし
っかり準備してきている方たちにお任せしました。ワークショップのプログラムをお手伝いし
ながら、という立場で来館者の方々と関わることができたのが良かったと思います。
②みなさんが「こうしたらいいよ」という丁寧なアドバイスを日記に残してくれていたので、
そこを参考にしながら配置や関わり方を工夫できました。
③宣伝が弱く、ランチに行ったお店でも図書館の存在を知られていなかったので、もっと宣伝
しな!と激励されました。人数が多い時は宣伝部隊として常にチラシを持って行ったり、置い
てもらったり、また、チラシが置いてあるお店には、地図上にシールを貼っていったり・・と
図書館の期間が限られているだけに、宣伝にも力を入れる必要性を感じました。(会期前からボ
ランティアが現地に出向く等)
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また、私が参加した2日間(15日、16日)は、来場者数の最少を2日連続で更新したくらい
(恐らく)、閑散というのか、のんびりというのか、そんな時間でした。石巻のみなさん曰く、
「今年いちばんの寒さと初めてのちゃんとした雪(一時は吹雪でした)」の2日間とのことでし
たので、そのせいにしてよいのやら・・。最終日のワークショップは盛況だったとのことで、
よかったです。
そんなこともあり、一緒に過ごしたボランティアの上村さんとは、いろいろな話をしました。
石巻で出会った市役所の方や図書館でいろいろと話をしてくれた年配の方・お母さんたち、み
なさんの言葉や表情があまりにも爽やかだったので、私はそれが不思議で仕方ありませんでし
た。そんなとき、ふと「3月11日で止まっていたのは、私たちの方なのかも」と気付きました。
メディアで得た死や破壊、「被災者」のイメージを私は頭の中でカチコチに固めて、石巻に出
掛けたのでした。なんて想像力が足りなかったのか・・・失礼で、ひどく傲慢な思い込みです。
破壊された現実を前に、石巻のみなさんはもうとっくに動き始めていて、(立ち止まる暇さえな
く)私のほうがよっぽど、怖がって動けていなかった・・。(もちろん、一方で立ち止まってい
る方もいることが今では想像ができます)
自分の目で見、自分の耳で聞かないとわからないことがあって、本当に人それぞれの思いや
やり方がある、そんな当たり前のことに気付いたのでした。言葉にしてしまえば簡単なことな
のですが、本当に、自分自身でそれを実感できたことが、大切な体験だったと思います。16日、
雪で白くなった石巻の町が、「白の路」の続きのようで、すっきりとした気持ちと、なんだかし
んみりした気持ちを感じながら帰途に着きました。
今、職場でミミオ図書館の絵本寄贈について協力してくれる方が何人かいます。まとまりま
したら、ギャラリーまで届けに伺いますので、その際はよろしくお願いいたします。ありがと
うございました。
(野上麻衣)
17日は16日と比べ天気もよいせいか人が多く来てくださいました。工作はオーナメントより
カード作りが人気でした。
袋に入れて持って帰るのはかなり反応が良かったです。
(村田さんのワークショップもできた
ら持って帰りたい方が多かったようでした。)ただカード作りに夢中になりすぎて絵本の方はあ
まり見ない方が多かったです。読み聞かせもタイミングを逃してしまい出来ませんでした…こ
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れについてはまたサークルでも読み聞かせについてもう少し勉強してみようという話になりま
した。また来られる方の中には子供が対象だと思って遠慮して入ってこられない方もいました。
18日は子供も大人も入りやすい空気になっていたと思います。特に親子連れの方が多かった
ようでした。アニメーションはお母さん方に人気でした。子供達の中にはアニメーションを見
て怖い!!という子もいてなるほどなぁと思いました。
また17・18日の夜ご飯の時など地域の商店街やお店の方や朝市などで交流する機会があり、
お話をしたところ、震災時の様子やこれからの石巻についてお話して下さいました。みなさん
とても親切で東京とはまた違う人間関係を持った地域だということを改めて思いました。この
ような地域がこれからどのように変わっていくのかとても興味深いと思いました。またお話の
中に石巻にはぜひ東京の方にたくさん来て頂きたいとおっしゃっていたので、周りの友人など
に声をかけてみようと思います。
私達のサークル内のボランティアであるタンポポ絵本箱もこれからの活動について考えさせ
られました。ただ絵本の需要は少しの人でもたしかにあるという手応えも感じることが出来ま
した。
最後に私達多摩美のメンバー何かと至らぬところがありご迷惑をお掛けして申し訳ありませ
んでした。本当によい体験をさせて頂いたこと深く感謝しております。どうもありがとうござ
いました。またミミオ図書館には参加したいと思います。その時はどうぞよろしくお願いしま
す。
(林のはら)
昨年はミミオ図書館をきっかけに、思いもよらない体験や色んな人に出会えて本当に良かっ
たと思いました。個人的でささやかな体験でしたが、私がボランティアや観光した事を家族や
友人に話すことが出来ました。観光できるの?ボランティアはまだやっているの?という意見
ばかりでしたので。映像で見ていて予想はしていましたが、被災地に行って、石巻を実際に歩
いて地域一くくりではなく、地形によって被害が大きく変わっているのも実感できました。と
ても怖かったです。でも歩いて行く石巻は紅葉が赤く綺麗でした。津波の跡は恐ろしいですが、
山に海が入り込んでいる風景自体は美しかったです。
ミミオ図書館では、子供と一緒にワークショップをするのはひさしぶりの体験でしたが、み
んなすごい集中力で、この位の年齢の子達は思っている以上に、何でも出来るんだなと思いま
した。ずーと絵本読んでいる子、ずーと工作している子、それぞれでした。訪れた親達も、こ
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ちらを受け入れる態勢が出来ていたので、やさしく色んなお話しをしてもらえました。後で川
上に聞いたら、子供に月食の話しをする私はテンション高かったそうです。
夜にたまたま訪れた居酒屋は、びっくりするくらい海の幸がおいしくて、人生で一番おいし
い牡蛎をいただきました。カウンター10人もないお店でしたが、最後にお話しを聞いたら地元
の人は一人で、皆さん東京からボランティアで応援に駆けつけた人たちでした。そこで陸前高
田にコンテナを送る話しなどを聞きました。ホテルまでの帰り道に見たジワジワ広がる月食が
不思議でした。ホテルから双眼鏡でずっと見ていました。
日曜日は南三陸町で被災した漁師をやっている友人と会いました。家は流されたけれども家
族は全員無事で、家を借り、みなし仮設住宅の認定を受けたこと。お金はつい最近ようやく支
給されたこと。物も支給されたけれど、すべてそろえた後だったこと。漁師仲間と、養殖再開
の準備を始めたけれども皆色々で大変だという話しなどを聞きました。それから色んな話しを
しました。彼の安否確認は震災から3日たって分かったので、今生きていて会えて話せているこ
とは本当に良かったと思いました。友人たちが集めた義援金やメッセージも渡せて、お使いを
果たせました。
今回の私の滞在の感想の様な形になりましたが、私の感じた事です。石巻に行ったことによ
って、より個人的にその町を思うことが出来てボランティアにいって良かったです。機会をい
ただきありがとうございました。今後もミミオ図書館に関わって行きたいと思っています。
(本多麻美)
一昨日、昨日と石巻では大変お世話になりました。昨夜、東京での所用後、ミヅマの三川さ
んへ北杜夫さんの本2冊を届けて参りました。そして帰宅した後、鴻池館長の体験記を拝読し
て、正直すごく救われた気持ちです。あらかじめ個人寄贈の件で石巻市図書館の方とメールの
やりとりをしていて、石巻、東松島、女川で流失・損失した図書資料が約7万点であること、
南三陸町図書館は建物自体が流され、館長もお亡くなりになったことなどをお聞きし、変に気
負いばかりが先に立ってしまいました。
私自身石巻を訪れるのは初めてでしたが、ボランティア初日の日和山から見た風景は一生忘
れないでしょう。そしてミミオ図書館で震災後の写真をじっと眺める石巻の方々に、一体何と
言葉をおかけしたら良いのか、とつい黙ってしまいました。でも周りを気にせず、勝手に読み
聞かせを始めた方が良かったかなとか、もっと自然にいろんな方に話しかけるべきだったとか、
帰りの新幹線では反省ばかりでした。次回の折には、もっと積極的に動きたいと思います。
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最後に、私は10/21のボランティア説明会に参加しておりませんので、今回のボランティア
応募動機を。16年前、出版系財団で仕事をしていたとき、図書館や書店がない地方の町や村に、
自治体運営による書店を作るという事業の一環で訪れたのが福島県飯舘村でした。一番寒い年
はマイナス20℃を記録した飯館に2月にオープンした「ほんの森いいたて」は、子供が座って
本を読めるスペースもあり、そこここで読み聞かせをしたり、おじいさんやおばあさんもたく
さんいらしていただきました。そのときに、やっぱり本っていいものだなぁ、ずっと関わって
いきたいと強く感じたものです。そこで今回のミミオ図書館プロジェクトで本を通じた活動が
できたらいいなと思い、応募させていただきました。現在、各地に避難されている飯館をはじ
め福島の方たちにも、いつかミミオ図書館の本を手に取る機会があればいいなと願って止みま
せん。
(松下幸子)
私はたった1日、しかも雪の日であまり人に会えなかった日の参加しか出来なかったのです
が、それでも貴重な体験を出来たと思います。町や人の印象としては、概ね「普通と変わらな
い」と感じました。すっかり壊され尽くした地帯のすぐとなりに「普通」があることを目の当
たりにして、ぞっとしました。怖かったです。死は身近なものなんだと改めて思いました。
石巻に縁もゆかりもない私が被災地を見に行ったりしていいものかなあ、という理由がよく
わからない遠慮がぬぐいきれなかったので、そちらの方で外へ行く事を進める方針を出して頂
けたのは有り難かったです。一人では出来ない体験でした。参加出来てよかったです。ありが
とうございました。
(松田紫野)
石巻のミミオ図書館では司書としてあまりお役に立てなかったのが残念ですが、今回参加さ
せていただいて私にとって一番よかったことは、石巻の住民の方々に直接お目にかかってお話
しする機会が持てたことでした。市立図書館での展示だったことで、まさに老若男女、さまざ
まな興味関心を持つ方々に足を運んでいただけたのだと思います。子どもたちからの読み聞か
せのリクエストが「アンパンマン」に集中していたことも次への教訓となりました。今回は子
ども・大人ともに来館者の方々と絵本についてあまりお話しできなかったのですが、特に大人
のみなさんは当然ですがとてもお忙しいようですので、トークなどのイベントは日時をあらか
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じめお知らせして行うのも一案かと思います。朗読のあとに参加者全員でその本の感想を語り
合う、主に大人を対象とした朗読会が世田谷区の図書館などで行われていて人気のようですの
で、そのようなイベントも加えると、ミミオ図書館の蔵書の特徴である寄贈者の感想の部分が
いかされるのではないかと思いました。坂本さんの周到な計画と効率的かつ創造的な運営のお
かげで、初回にもかかわらず来館者一人一人に楽しんでいただけたのだと思います。参加させ
ていただけたことに心から感謝しています。
(村井まや子)
Thank you very much for inviting me to join the volunteer work for Mimio Library; I was
very glad to be able to participate, and I hope that the children gained something from
me being there. Certainl, it was a very worthwhile and educative experience for me.
May I make one suggestion? Next time, I think it might be a good idea to schedule
things a little more exactly; I felt it was difficult for the children to concentrate on two
things at one time, so if there could have been a defined ten-minute slot when
Saito-san and I read, perhaps the children could have gained more pleasure (and
wonder!) from the experience. Nevertheless, I do feel this was a very worthwhile project,
and I was very glad to be able to help.
(Paul Rossiter)
今回のボランティアでは、多くの事を学ぶことが出来ました。ミミオ図書館でのボランティ
アをした日、午前中休みをいただいて、石巻市で一番被害が大きいところが見えるという日和
山公園にいってきました。ニュースでは最近この災害の報道が少なくなったため、もう良くな
っているのかなと思っていました。確かに、瓦礫は綺麗にされつつあるのかもしれませんが、
まだまだ復興しているとは言えませんでした。本当に言葉が出ませんでした。こんなに被害が
大きいのに私たちが、来て、何か助けになるのか?とさえ思ってしまいました。その後、街の
中も見て、ある商店街のパン屋さんに行きました。そこはおばさんが一人でやっていました。
そのおばさんはとっても私達に良くしてくれました。そのおばさんは「いい事をしたらそれは
自分に帰ってくる。悪い事も同じだよ。だからボランティアに来てくれた人にはこうして恩返
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しをするんだ。自分のためにいい事をするんだよ。」と言っていました。この言葉が今も忘れら
れないです。逆に元気をもらってしまいました。
ミミオ図書館では、子供たちと楽しく遊んでいる中で、一番印象に残っているのはあるお母
さんがひとつの絵本を手にとって、震災の日を思い出し、涙を流していました。その時、やは
りあの震災は心に大きな傷を残しているんだと実感しました。しかし、話を聞いているとみん
な前向きに元気に進もうとしていました。石巻市に来る前、少し、図書館をやるというのは本
当に復興の手助けになるのだろうか?と思いってしまいました。今は、そう思った自分が情け
ないです。被災された方々の心のケアというのはとても大事な役割があると感じました。どん
な形でも、どんなに小さくても何かの力にはなっているのかな?と思いました。私は、一回行
っただけで、「いい経験でした。」と言いたくはないので、また違う形でも石巻市に行こうと決
心しました。
(山崎有紗)
私は今回、設置日の2日と中盤の12日(月),13日(火)に参加しました。2日の設置のとき
は、会場の多目的室の中で絵本や備品等々がまだなんとなく緊張しているような印象でしたが、
12日に再訪したときには、会期の間にたくさんのスタッフの方々の手によって工夫と改善がさ
れ、まるで以前からそこにあったかのようにイキイキと機能してたのが印象的でした。
13日には朝から幼稚園の子どもたちやお母さん方、おばあちゃんとお孫さん連れ、親子連
れ・・と賑わい、皆さん絵本と映像をとても楽しんでいらっしゃいました。スタッフによるワ
ークショップでも参加者の皆さんの笑顔を何度も見かけ、こちらも嬉しい気持ちになりました。
日和山から望む風景も、復旧できていない石巻線の途中区間も、街中の一角にも、まだまだ震
災の傷跡は残っており、あらためて自然の怖さを知る一方で石巻に暮らす人たちの笑顔に触れ
ると、未来は変わらずちゃんとあると実感しました。
1冊の絵本と本棚から始まったミミオ図書館の第1回開館が成功したのは何よりも嬉しいです。
今後も色々な場所で絵本と人、人と人とのワクワクするような出会いがあることを期待してい
ます!
(三川真紀子)
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私は3回、計6日間石巻に滞在しました。初回は、日和山から海沿いの地帯を見下ろし、その
光景には言葉も出ませんでしたが、正直何か現実感がなく、まだ映像や写真を見ているような
感覚でした。そんなにすぐには受け入れられませんでした。
2回目は街を歩き人と出会い、ようやく自分の足の感覚を取り戻して、日和山から海沿いの地
帯に降りた時は、一気に現実感がこみ上げてきました。黙っているとのみこまれそうで、一緒
に居た方たちにずっと話しかけていた(本当は宙に向かって話していた)記憶があります。で
も、時間が経つにつれ、ミミオ図書館の閉館時間を気にしている自分がいました。こんな光景
を前に、そんな現実的なことを考える私って…と思うのと同時に、体のなかの生命力…を感じ
ていました。どんな状況にいても、帰らなきゃいけない場所があるのは、時として生きるエネ
ルギーになるのかなと思いました。海沿いに建つ新築の家は、それでもココに帰ってくるんだ、
と何だか凛々しく見えました。一緒にいた方々の感情を考えると「帰らなきゃ」と切り出すタ
イミングは迷ったけど、ミミオ図書館が帰る場所としてあったことは、石巻を訪れるのに大事
なことだった気がします。
ここには書ききれませんが、活動を通したさまざまな出会いはとても貴重でした。絵本、エ
ピソード、映像だけでなく、そこで人間が動くことで初めて活動になるんだと実感しました。
「ア
ーティストならどんな状況でも何かしようとする」という鴻池さんの言葉を思い出します。状
況は思い通りじゃなくても、そこから最大の効果を生み出そうとする方々の姿勢を見て、貪欲
につくり続けようとする人間がアーティストと呼ばれるようになるんだと改めて思いました。
何人かの司書が、考えていたアイデアができず「ただ話すだけ」になってしまったと言って
いましたが、この身一つで「ただ話すだけ」が、実は一番難しいことじゃないかと思います。
自分の経験からも、企画や段取りがあって参加してもらう方が楽かもしれないと感じます。日
常生活では、できそうでできない、知らない者同士が「ただ話す」ことが、絵本、エピソード、
映像があることによってできたというのは、すごいことだなと思いました。
ミミオ図書館は、館もスタッフも移動することが特徴の一つなので、入念な事前準備をする
と同時に、その時その場の眼を持ち匂いをかぎながら、いつもの頭や体を解放して移動した先
の地に委ねてみるというのも大切だと思いました。そこから、既にある方法論を繰り返すだけ
ではない、ミミオ図書館らしいやり方が見えてくるのかなと思いました。その場の雰囲気や人
の動きによって、事前のイメージが心地よく流れるように変化する時に、あっ何かつくりだせ
るかもと感じました。同時に、まだ体が移動しきれていない自分もいて、課題もいろいろと見
えてきました。次に移動する先では、どんなミミオ図書館がつくられるのでしょうか。
(坂本里英子)
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