Page 1 Page 2 8 日本作業療法研究学会雑誌 第ー5巻ー号 はじめに

日本作業療法研究学会雑誌15(1):7−12,2012
原著
認知症と手段的ADLに関する文献研究
A伽、跡沌花池zOq/、de"e"伽α刀d細"邸沈g"”/αc伽伽sq/伽bノ伽"9
仙波梨沙1)2),上城憲司1),田平隆行1),西田征治3),原口健三4)
RisaSenbal)2),KenjiKamijou1),TakayukiTabira1),SeijiNishida3),KenzoHaraguchi4)
」ノGmd邸α彫Sbノセ00/q/雄αノ肋α"dSocねノWな脆〃Sbだ"Ce,jVKsjz物zjshz‘[ノ》zjz’2応ilty
2jAd”"cedco”だ〃g"sizノg鋤"c"o"αノRec”eがCe"”Flzc"ノォyq/Mとα”だ2,sIzgzzu>z”eパ幻
3ノ”c"ノ‘yq/雄α"ノクα"dW12腕〃,Pγeたc””ノU〃"eバノ〃q/H1シ℃s〃”α
イノG”。"α蛇SchoOノ,伽彫加α"0"αノ〔〃2"e湾ijyq/雄α雌αガゴ”g脆”
要旨:本研究では認知症疾患のInstrumentalActivitiesofDailyLiving(IADL)に関する文献研究を通して,本領域に
おける現状と課題を明らかにし,今後の作業療法のあり方について検討することを目的とした.方法は,「認知症」「IADL」
をキーワードに文献検索を実施し,アブストラクトテーブルを作成後,内容,対象,調査場所,評価について分析した.
28論文を分析した結果,内容別では調査研究(16件).評価表開発研究(9件)が多く,介入研究(3件)が最も少な
い状況であった.その他の特徴として.対象は,認知症高齢者に限定した論文が5件(17%)と少ないこと,調査場所
は地域が13件と多いこと,評価はIADL-Scaleが8件と多いことがわかった.今後の作業療法では,軽度認知障害(MCI)
者や軽度の認知症者に対するIADLに関する介入研究が必要であることが示唆された.
キーワード:認知症,手段的ADL,作業療法
ABSTRACT:Thesubjectofourresearchwas(1)toidentifythecurrentstateofresearchandissuesregarding
lnstrumentalActivitiesofDailyLiving(IADL)fOrpersonswithdementiathroughaliteraturereviewiand(2)to
discusswhatkindofresearchweshouldofferinoccupationaltherapyfOrthemWeusedtheterms“dementia'.
"IADL”askeywordstosearchliterature、Aftermakinganabstracttable,weanalyzedtheircontents,subjects,
researchfields,andassessment、Asaresultofanalyzingtwenty-eightarticles,wefbundthattherearearticlesonthe
fbUowingtopics,listedinorderbyfrequency:investigationofthecurrentconditions(16articles).assessmenttool
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articlesfbcusedonelderlypersonswithdementia(fivearticles,17%).themostcommonfieldofinvestigationwas
community(l3articles),andthemostcommonassessmenttoolwasanlADL-Scale(8articles).Theresultsindicated
thatweneedtofUrtherresearchIADLinterventionfbrpersonswithmildcognitiveimpalrmentandmilddementia
inoccupationaltherapyinfuture
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')西九州大学大学院健康福祉学研究科
2)佐賀大学医学部附属病院先進総合機能回復センター
3)県立広島大学保健福祉学部
4)国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科
受付日平成24年6月1日受理日平成24年8月26日
日本作業療法研究学会雑誌第15巻1号
8
はじめに
わが国は高齢社会を迎え,認知症高齢者は今後200万
人を超えるといわれている').認知症高齢者を地域で支
JDreamⅡ30件)が抽出された.この中から重複論文,
解説,総説,学会発表および会議録を除いた結果,28件
を最終対象論文とした.
2.文献の分類:
えるためには,早期発見・早期治療をもちろんであるが,
対象論文を分類した,認知症のIADL研究に関するア
認知症予防の取り組みや認知症になっても住みよい町作
ブストラクトテーブルを表1に示す.調査方法別にカテ
りが必要であると考える.
ゴリーした結果,①介入研究は.予防介入研究5),通院
介入研究6),在宅介入研究7)の計3件,②調査研究は,
④地域在住高齢者調査研究8-16)9件,もの忘れ外来調査
研究17 19)3件,予防調査研究20),介護保険調査研究21),
通所調査研究型),認知症高齢者グループホーム(GH)
調査研究鱒)の計7件,③評価表開発研究は金銭管理評価
認知症は認知機能の低下からその初期症状として,買
い物や家事などの手段的日常生活動作(Instrumental
ActivitiesofDailyLiVing:以下,IADL)が低下する2).
また,最近の研究3)ではこのIADLの低下は,認知症の
前駆段階ともと言われる軽度認知障害(MildCognitive
lmpairment:以下,MCI)の状態から観察されると報
告されている.
研究2件24.25),他の評価表開発研究7件26 32)であった.
①介入研究は,情動に訴える手掛かり5)や遂行機能ト
認知症作業療法場面では,①認知症の初期段階を過ぎ
レーニング6),在宅自己リハビリメニュー7)などの介入に
た中等度以降の対象者が多いこと,②IADLに障害があっ
よってIADLの改善が示された.②調査研究の地域在住
たとしてもリスク管理の観点から,その訓練を行わず,
高齢者調査研究では,地域在住高齢者を対象とした調査
例えば買い物は家族が代わりに行く,もしくは付き添う
を行い,認知機能低下者にはさみや計算機使用能力の低
などの代償的アプローチを優先する,などの理由によっ
下があること8),IADLの「実際の能力と」と「実行状況」
て,認知症のIADLの実践報告が少ない現状にある4).
には差があること9),IADL低下群は新聞や本の利用率が
本研究の目的は認知症疾患のIADLに関する文献研究
低いことl6)などが示された.もの忘れ外来調査研究17.18.19)
を通して,本領域における現状と課題を明らかにし,今
では,カルテや問診票を後ろ向きに検討し,認知機能低
後の作業療法のあり方について検討するものである.
下者に服薬や金銭管理の低下があることが示された.そ
の他の調査研究では,「病人を見舞う」「食事の準備」「買い
研究方法
物」などが健康寿命に関連していること20),問題行動群21)
や介護困難・入院群22)にIADLの低下が認められること,
1.検索方法
GHの個別ケアによってIADLが図れていること23)などの
検索日時は,2011年12月24日13∼17時,2011年12月
実態が明らかとなった.③評価表開発研究の金銭管理評
29日13∼17時の計2回実施した.検索期間は2002年∼
価研究では.買い物動作の評価を通して「かごを持ち歩
2011年の過去10年間とし,医中誌Web・CiNii,JDream
きながら買い物をする」24)「収支の把握」25)する能力が
Ⅱのデータベースにて,「認知症」,「IADL」のキーワー
低下することが明らかとなった.その他の評価表開発研
ドを用いて検索した.
究26.27.28.29.30.31.32)では,スタンダード評価との比較検討が
2.結果の分類
行われ,認知機能の低下に伴うIADLの低下が示された.
検索にて得られた文献のうち解説,総説,学会発表,
対象者に関しては,認知症高齢者を含む論文は17件,
会議録は対象から除外し,結果にIADLに関する記載の
地域在住高齢者のみの論文は11件であった.また,対象
ある論文を選択する.最終的に抽出された論文は,対象
を認知症高齢者に限定した論文は,5件(17%)であった.
者(認知症の有無),調査方法,調査場所(外来,通所サー
調査場所に関しては,地域の公民館13件,施設サービ
ビス,地域の公民館など)などのキーワードをもとにカ
ス(有料老人ホーム3件,GH3件,老健2件)8件,
テゴリー分けし,論文コード,対象,方法,結果につい
もの忘れ外来6件.通所サービス5件,病院2件,訪問
てアブストラクトテーブルを作成する.また,対象,調
サービス1件であった.
査場所,使用された評価表などの特徴に関しても併せて
検討する.
評価表に関しては,InstrumentalActivitiesofDaily
LivingScale(以下.IADLS)33)8件.オリジナル7件.
老研式活動能力指標(以下.老研式)制)4件,Nurses
結果
ObservationScaleGeriatricPatient(以下.NOSGER)
26.2812件.FinancialCompetencyAssessmentTool(以
1.検索結果:
「認知症」「IADL」のキーワードにて文献検索を実施
した結果.169件の論文(医中誌Web125件,CiNiil4件.
下,FCAT)35)1件.AssessmentofMotorandProcess
Ski11s(以下.AMPS)36)1件,HyogoActivitiesofDaily
LivingsScale(以下,HADLS)3711件,その他.観察1
認知症と手段的ADLに関する文献研究
9
表1認知症のIADL研究に関するアブストラクトテーブル
一小舟入碕究
通院一予防一在宅
初老則アルツハイマー病患者1名
結果
方法
対象
蛤文コード
愉動機能を利用したアプローチを実施.
道具操作において精勤に訴えるシンプルな手掛かりを提示する
ことによって.麟操作侮正時の気付きが促され目的動作の自立
竹田ら3.
2006
高原ら6!
健常および軽度鯉知擬能低下を腿め 5檀顛(XHf趣28風属性分馴.チェック.暗算.班算・変更.暗棟 介入扉の胆知機能(MMSEFAB・TMT.A・TMT、BS【molB).
IADL(琶研式)に有意な改善を狸めた.
2009 る高齢者30名(介入群15名.対照扉 .抑制)の遂行機能トレーニング効果を検討.
につながった.
1
5
名
)
石惜ら?,
大腿骨頚部骨折後の高齢者310名(リ 介入群には「在宅自己リハビリメニュー」を作成・実施し、1 介入群の商実行群では.①1年後に歩行能力.ADL.IADLス
コアが有窓な向上.②ロジステイック回船分析の結果.浬知症
年間後の成果について対照群と比紋分析.
2006 ハ介入群203名.対照群137名)
の有無と受侮前IADLとの間に関連を鯉めた.
前原ら8,
2011
鈴木ら,!
2007
65皮以上の女性23名(理知低下群9名. 7課題の課題(IADLではハサミ.計騨機.タイマー.据帯砥 哩知低下群は.ビデオ視瞳回散が多く所要時間が長かった.タ
飴の使用課題がある)をデモピデオを見ながら施行.擬毒の活 イマー.携帯電猛の使用は有意差がなく.コントロール群にお
コントロール群14名)
いても廷しい輝題であった.
用判断と操作に関して測定.
地域在住高齢者114名
1ADL(老研式)の「能力」と「実行状況jを面接鋼査にて実箇. 「実行状況」と「能力」に垂離がみられる者が多かった.また.
良好群.境界群.不良群の願に身体.社会.心理面が悪化す
対取者をIADL良好群.境界群.不良群の3群に分類し分析.
地域在住のMCI高齢者392名
【ADL障客と痴呆への移行との関連を検肘.
る傾向が見られた.
花木らI。’
地域在住高齢者一もの忘れ外来一予防一介謹保険一通所一GH
杉村ら''0
75奴以上の地域在住高齢者146名
地域居住高齢者5.667名
竹田ら121
2006
吉田ら皿’
2005
石川'8,
②倒交研
究
MMSEと年齢.男女別ではMMSEのみ.HADLSは予測因子
とはならないことを示唆された.
2007
2007
金ら'ヨI
痴呆発症の予測因子と鯉められたのは.全体の検肘では
型知痘頓鹿鋼壷.「おたっしや健鯵」の岬点とMMSE,IADL. 「おたっしや健齢」の得点との関連において,MMSE.【ADL.
GDSの関連を検討.
GDSのいずれも比較的強い相関が阻められた.
立方体模写の翌知症の早期発見ツールとしての可能性を検肘.
【ADLや知的活動の自立度が低下する鯛に.立方体模写が不可
能もしくは未配入となり.脳の擬能低下をより早期にスクリー
ニングができる可能性を示した.
65皮以上の地壇在住高齢者425名(独 鰹知症疑いやADL障害とうつを有する住民の頻度を求めるた 独居.非独居の2群を比較した結果.7項目のIADLと理知障害
に有童差は醒めなかった.うつは明らかに独居群に多かった.
め悉皆飼壷を実捻.
居113名.非独居312名)
MCIからADの転換率は85%/lOOperson・year・MCIから痴呆
MCIを抽出後.追跡飼査を実緒.
地域在住高齢者1.162名
2005
へは161%/lOOper君on・yearと虹出.
肪問面接法により実施したパネル閥壷によって得られたデータ ADLの程度が中間以上であった者はIADLが低下しており.
在宅要介獲高齢者693名
IADLが中間以上であった者はADLと痴呆症状が改善してい
を分析.
2001
た
.
地域在住高齢者1.147名
日常生活憤報及びIADLによる桐頼源の通いについて検討.
新聞.本.区の広報姥の利用率とIADLレベルの問に有意な関
係を邸め.IADLの低い群は高い群と比べこれらの利用率が少
なかった.
宇良ら'61
2003
平川ら171
2010 名
植田ら88’
2008 群28名.ごく軽度AD群44名.軽度 内容について分祈.
植田ら191
2006
竹田ら勢I
2007
厘知症外来に初診で訪れた全患者63 外来カルテから後ろ向きにデータを収巣.
全体の半数以上が服薬管理や金銀管理に何らかの介助を必要
としていた.HDSRの平均得点は約15点.もの盗られ妄理は全
体の約4分の1に阻められた.
外来受診者293名(健常群39名.MCI もの忘れ外来受診者やその家族が初鯵時に妃唾した問診票の 配憧陣書はMCIから気づかれやすくその後の虹箆化も顕著だ
が.IADLの低下はごく軽度AD以降にしだいに顛在化する傾
向が狸められた.
AD群57名)
物忘れ外来受鯵者111名
物忘れとIADLに関する問鯵期への回答を後ろ向きに検肘.
「銀行や郵便局の金銭管理が出来ない」などの7項目が.ADが
疑わられるという判断に高い関与を示した.
地域在住高齢者2340名(要介護状愚 5年間鯉知症にならずに健康寿命を保持している状悪を予想す 健康状肌よりも.心理・社会面の望ましい状恕を保持すること
が鯉知症予防には並要である可能性を示唆.IADL(老研式)
るオッズ比を求めた.
なし2110名.鯉知症230名)
では.痢人を見伺う,食事の準煽,同い物のオッズ比が高かつ
た
.
鯉釦空寓齢者333名
筒井五’
2004
佐蓮ら五’
2011
性別.年齢,初回と更新時の哩定結果.介鍾サービス利用状 問阻行動あり群では.日常体諾能力やIADLが有童に低下して
いたにも関わらず.介護サービスの内容や回数は変化していな
況の喪化.身体的・梢神的検感像などの属性の変動を飼査.
かつた.
山口蚕’
金唖
町田ら”
血庇亜釦症デイケア利用を中止した 年齢.性別.鰹知症診断.利用期間.入所時および中止時の鰹 中止理由は入院が最も多かった.また.介蔑困睡群.入院群な
どでADLやIADLの有童な低下が狸められた.
知機能.ADL.IADL行動障害などを検討.
133名
フォーカスグループによるフィールド飼壷を行いGHケアの効 「ADL・IADLj「グループでの役割」「感情」「コミュニケション」
醒知症高齢者5名
「配知症の周辺症状」の因子が抽出され.IADLに関しては.
果について検証.
2005
GHの個別ケアによってその向上が因られていると考えられた.
2006
管理
熊沢塞’
2001
梅本ら蕃,
2011
GH入所者及び鰹知症専用DS利用者 模擬店での買い物動作を独自の買い物・金銭管理行動チェック できた行動は「選択・判断」が蛾も多く.できなかった行動は.
22名
リスト(30頃目)を用い肝伍.
「かごを持ち歩きながら買い物をする」であった.
金銭管理能力のアセスメントツール(FCAT)を用い、金銭管 軽度AD群は非痴呆群よりもFCAT合叶得点が有童に低かっ
た.下位尺度では「収支の把蝦」の成級に有迂差が阻められた.
理脆力とその浬知機能との関連性を検肘.
老健.GHの入居者とDCの通所者59 鯉釦溌の行動観察解日スケール(NOSGER)における鮮価者 併存的妥当性では.「麗憧」「近具を用いる日常行動」「セルフ
ケア」「行動障害」「感愉」「社会的活動」の各項目とスタンダー
問の妥当性の検討.
名
AD思者23名と健常高齢者10名
ド評価との有童な相関関係が混められた.
亜田ら訂、
2010
ATD群21名と健衛群24名
IADLSとFAIとの相関関係を飼壷.
老健.GHの入居者27名
③解価表開発研究
梅本ら葛’
独自の机上IADL検壷の侭頼性・妥当性の検討するために. 机上IADL検壷はIADLSFAIともに強い相関をEめ.n回鋸
間の侭頼性の検討.
2009
分析では.机上IADL検壷の得点に対し高い寄与率が示きれた.
四知痘の行動観察評価スケール(NOSGER)における廉価者 感慨の項目「機蛾がよぎそうである」「むなしさを酔える」が
低い一致率,K指数では上記に加え「夜間は落ち藩かない」に
低い位が示ぎれたが.検壷の信頼性は示きれた.
蔭田らか’
軽度AD者10名と非狸知症者10名
7撒碩の片付け作梁課皿で構成された片付け検壷と.遂行樋能 軽度AD者には.片付け検壷の方がBADSより建易度が適して
いた.下位項目では「課題に取りかかるまでの時間」「確腿行動」
障害髭候群の行動評箇法日本版(BADS)を実施.
鯉釦癌高齢者23名
覇獲配録からの訪問君腰実殴肝箇を実施し、指標別の配載率 配紋率の高い指標は「周囲からの情報収集」「保険・サービス
などのアセスメント」であり.IADLのアセスメントの記戟牢
と自己解債を比較し併存的妥当性を検肘.
2009
においては適きないことが示唆された.
山本ら功!
2008
lま低かつた.
森ら型I
2007
荻田ら封’
2006
女性高齢者102名(GHの配知症群52 鯉釦痘畔と健常群のAMPSのIADL脆力とRBMTの日衛妃低 IADL能力と日常程撞峻力は相関を醒めた.胆知症群.健常群
共に前方視配憧得点は,IADL遂行能力に関係なく低下するこ
龍力を比較しその特徴について検肘.
名と自宅生活健常群50名)
とが明らかとなった.
退院支援介入実施群と非実雄詳
退院に際して問題が予測きれる患者とそうでない患者を振り 「介硬者不在」「ADL要介護」「IADL要介鰻」「鯉知症」「入退
分ける「入院時ハイリスクスクリーニングシート」の妥当性 院を織り返す」の項目で有意差が阻められた.
を項目ごとに検証.
MMSE:Mini・Men皿St3teExamination・FAB:FmntalAsscs郭cntBattery,TMT.T眼anMakingTeSt・IADLgInstmmentzlActMtiesofDaiIyLMn圧.HADLS:H”goACtivftiesofDailyLMn顕SCaIe・GDS:
GeriatricDep応ss幻nScz1e・IADIS:InStmmentalACtivitiesofDaiIyLMngSC鋤e・老研式:老研式活動陸力橘揮.リハ:リハビリテーション.MCIgMi1dCOgnitiveImpairment.AD:アルツハイマー癖・GH:グルー
プホーム.DS:ディサーピス.FCAT:FinanCialComPetEnEyA巽Cs割nentTOOl・デモピデオ:デモンストレーシロンピデオ.DC;デイケア.ATD:アルプハィマー型箆知症痢.FAI:FenchayACtMtiESIndex・
老健:老人保健鐘錠NOSGER:Nu応eSPObServationScaleGeriatricPatient.BADS:BehaviourエIAssessmentoftheDy垂xccutiveSyndrome.AMPS;AssessmcntofMotorandPmcessSkiLRBMT:
Riv亡rmeadBehaviO砲lMeITmryT毎t
日本作業療法研究学会雑誌第15巻1号
1
0
件,面接1件の順であった.
重要となると述べている.また,国外では作業療法士に
よる地域在住高齢者の一次予防介入が,社会的交流や生
考察
活満足感とQOLの改善,医療費提言などの効果が報告
されている43).今後の作業療法においては,早期介入を
1.認知症疾患IADL研究の現状と課題
今回わが国における認知症とIADLに関する文献研
行うために,外来部門や地域予防事業への参画が急務で
あると考えた.
究を実施し28件を抽出したが,認知症者を対象に含む論
次に役割の観点から考察する.本研究における地域在
文は18件(61%),認知症者のみに限定した研究5件
住高齢者研究の対象者を見てみると,医療機関にいても
(17%)と少ない現状であった.また,研究内容におい
おかしくないレベルの認知機能やIADLの低下した対象
ても,介入研究が3件(11%)と著しく少なく,IADL
者が地域で生活していることが見て取れる.小漂44)は.
障害が出現する初期の認知症に対する対応や介入が遅れ
認知症の症状というと,どうしても陽性症状に目が向け
ていると考える.認知症の初期段階ではIADLと周辺症
られがちだが,認知症という病は,生きるエネルギーを
状の関連性が高いもの,例えばお金に対する執着(もの
奪うところに実は最大の問題があって,そこに援助の手
盗られ妄想),買い物に行くといって帰ってこられない
を差し伸べねばならない,もう一つの問題の核心がある
(俳掴)などが観察される38)ため,IADL能力向上に関す
と述べている.つまり,IADL場面の失敗によって買い
るプログラムを行うことで,周辺症状に悪影響を及ぼす
物や家事といった役割を失っているケースが多く,徐々
可能性がある.これらが認知症のIADL介入が少ない原
に要介護状態に陥ってしまうことが予想される.このた
因ではないかと推察した.
一方,認知症者が対象でない11件ではMCIに関連する
め,認知機能やIADLの低下した初期の対応として,家
族への関わり方のアドバイスや自宅での役割を継続する
調査が多く,認知症予防に対する関心が徐々に高まりつ
試みが重要であると考える.今後は,もの忘れ外来や地
つあることが確認できた.MCI39)とは,正常でもなく認
域検診等の依頼によって,MCIや認知症の初期に対応す
知症でもない中間ゾーンの状態をいい,認知症への移行
る訪問リハビリテーションなどの介入システムの構築が
率は年間約10∼15%と報告されている40).そのため,
期待される.
わが国においても介護予防の取り組みが施策として進行
中である.本研究における評価表開発研究および地域在
文献
住高齢者調査研究においても,その背景を受け認知機能
の低下に伴うIADLの低下を捉えるためにスタンダード
評価との比較検討やMCIレベルの対象者のIADL状況の
把握の取り組みが実践されていた.しかしながら,認知
症疾患治療ガイドライン4')にも示されている通り,MCI
の診断手順はあるものの定型の診断法は確立されておら
ず,MCIの早期発見・早期治療には至っていない.今後
1)厚生労働省老健局:高齢者介護研究会報告書「2015年の
介護計画書」.2003.
2)遠藤英俊:痴呆とIADL,綜合臨林52(7):2170-2173,
2003.
3)大内義隆,目黒謙一:手段的ADLの水準低下と認知症
への移行.老年精神医学雑誌20(3):265-270,2009.
は,MCIレベルの対象者の診断システムを確立し,早期
4)駒井由紀子,繁田雅弘:認知症のリハビリテーションに
介入を実践することで認知症への移行率を低下させる研
対する文献研究.作業療法25(5):423-438.2006.
究が求められると考えた.
2.認知症疾患IADLに対する作業療法のあり方
本研究において認知症者を対象としたIADLに対する
作業療法介入は,竹田ら5)の研究1件のみであった.事
例を通した介入研究であり,IADLに関しては地下鉄を
5)竹田里江,村上新治.加藤正巳,石合純夫:眼球運動障
害を呈した初老期アルツハイマー病患者に対する情動機
能を利用したリハビリテーション.老年精神医学17(8):
871-882,2006.
6)高原世津子,二木淑子:高齢者に対する遂行機能トレー
利用した外来通院や携帯電話の使い方の練習についての
ニングの効果一認知機能.ADL指標を用いた探索的研
作業療法が展開されていた.作業療法のIADL研究が少
究一.作業療法30(2):147.157.2011.
ない背景には.上記のように治療機関として,外来リハ
7)石橋英明.山本精三,堀内敏行:大腿骨頚部骨折後の
やもの忘れ外来などに作業療法士を配置している施設が
ADL,およびQOLにおける在宅リハビリテーションメ
少なく,現行制度では軽度の認知症者を担当する機会に
ニューの介入効果の検討.OsteoporosisJapanl4(3):
乏しい現状がある.さらにMCI者においても,地域の予防
521-523.2006.
事業に参画する作業療法士はごく稀である.斎藤ら421は.
8)前原果奈.二木淑子.白木はる奈:認知機能低下のある
ADL・IADLの直接訓練は作業療法が中心的役割を担い,
高齢者の日常生活を支援する誘導システムの研究デモ
早期治療という点からは特に認知リハビリテーションが
ンストレーション・ビデオ使用による課題遂行状況.作
認知症と手段的ADLに関する文献研究
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24)町田久美子,内田陽子,小谷弥生:認知症高齢者の買い
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行動観察評価スケールNOSGERの検討(第1報)‐信
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2005.
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29)藤田高史.二木淑子,高橋美幸,杉本まみ,能登谷晶子:
と影響要因の検討-東京都S区のパネル調査を中心に-.厚
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生の指標51(8):815,2004.
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30)山本則子,片倉直子,藤田淳子,篠原裕子,園田芳美,他:
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を用いた訪問看護実践評価の試み.老年看護学13(1):
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31)森明子.杉村公也:女性高齢者の手段的日常生活活動能
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33)LawtonMP,BrodyEM:Assessmentofolderpeople:
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(連絡先仙波梨沙Email:semba-ot@yahoo、CO.』p)