JP 2014-210725 A 2014.11.13 10 (57)【要約】 【課題】高い効果を有し

JP 2014-210725 A 2014.11.13
(57)【要約】
【課題】高い効果を有し安全なTRPA1又はTRPV1活性化組成物、並びに、当該組成物を含有
する飲食品、医薬品、香粧品、及び香味料組成物を提供する。
【解決手段】特定のω−アルケニルイソチオシアナート化合物、ω−アルキルチオアルキ
ルイソチオシアナート化合物、ω−アルキルスルフォニルアルキルイソチオシアナート化
合物、ω−フェニルイソチオシアナート化合物、及びアルキルイソチオシアナート化合物
からなる群より選ばれた1種又は2種以上のイソチオシアナート化合物を含むことを特徴
とするTRPA1又はTRPV1活性化組成物、並びに、当該組成物を含有する飲食品、医薬品、香
粧品、及び香味料組成物である。
【選択図】なし
10
(2)
JP 2014-210725 A 2014.11.13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式〔1〕で表されるω−アルケニルイソチオシアナート化合物、下記式〔2〕で表
されるω−アルキルチオアルキルイソチオシアナート化合物、下記式〔3〕で表されるω
−アルキルスルフォニルアルキルイソチオシアナート化合物、下記式〔4〕で表されるω
−フェニルアルキルイソチオシアナート化合物、及び下記式〔5〕で表されるアルキルイ
ソチオシアナート化合物からなる群より選ばれた1種又は2種以上のイソチオシアナート
化合物を含むことを特徴とするTRPA1又はTRPV1活性化組成物。
式〔1〕: CH2=CH−(CH2)m−NCS
(式中、mは2∼10の整数を表す)
10
式〔2〕: R1−S−(CH2)n−NCS
(式中、nは1∼10の整数を表し、R1は炭素数が1∼4の直鎖又は分岐
のアルキル基を表す)
式〔3〕: R2−SO2−(CH2)p−NCS
(式中、pは1∼10の整数を表し、R2は炭素数が1∼4の直鎖又は分岐
のアルキル基を表す)
式〔4〕: 【化1】
20
(式中、qは1∼10の整数を表し、R3は水素又は水酸基を表す。但し、
q=1及びR3が水素の場合を除く。)
式〔5〕: R4−NCS
(式中、R4は炭素数が1∼10の直鎖又は分岐のアルキル基を表す)
【請求項2】
30
3−ブテニルイソチオシアナート、4−ペンテニルイソチオシアナート、5−ヘキセニ
ルイソチオシアナート、6−ヘプテニルイソチオシアナート、メチルチオメチルイソチオ
シアナート、エチルチオメチルイソチオシアナート、n−プロピルチオメチルイソチオシ
アナート、イソプロピルチオメチルイソチオシアナート、n−ブチルチオメチルイソチオ
シアナート、イソブチルチオメチルイソチオシアナート、sec−ブチルチオメチルイソチ
オシアナート、2−メチルチオエチルイソチオシアナート、2−エチルチオエチルイソチ
オシアナート、2−n−プロピルチオエチルイソチオシアナート、3−メチルチオプロピ
ルイソチオシアナート、4−メチルチオブチルイソチオシアナート、5−メチルチオペン
チルイソチオシアナート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアナート、7−メチルチオ
ヘプチルイソチオシアナート、8−メチルチオオクチルイソチオシアナート、9−メチル
40
チオノニルイソチオシアナート、3−メチルスルフォニルプロピルイソチオシアナート、
4−メチルスルフォニルブチルイソチオシアナート、5−メチルスルフォニルペンチルイ
ソチオシアナート、6−メチルスルフォニルヘキシルイソチオシアナート、7−メチルス
ルフォニルヘプチルイソチオシアナート、8−メチルスルフォニルオクチルイソチオシア
ナート、9−メチルスルフォニルノニルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナ
ート、p−ヒドロキシベンジルイソチオシアナート、n−プロピルイソチオシアナート、
イソプロピルイソチオシアナート、n−ブチルイソチオシアナート、sec―ブチルイソチオ
シアナート、イソブチルイソチオシアナート、n−ペンチルイソチオシアナート、及びイ
ソペンチルイソチオシアナートからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物を含む
ことを特徴とするTRPA1又はTRPV1活性化組成物。
50
(3)
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【請求項3】
請求項1又は2に記載のTRPA1又はTRPV1活性化組成物を含有することを特徴とする飲食
品。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のTRPA1又はTRPV1活性化組成物を含有することを特徴とする香味
料組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のTRPA1又はTRPV1活性化組成物を含有することを特徴とする医薬
品。
【請求項6】
10
請求項1又は2に記載のTRPA1又はTRPV1活性化組成物を含有することを特徴とする香粧
品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソチオシアナート類を有効成分として含有するTRP活性化組成物に関する
。
【背景技術】
【0002】
TRP(Transient receptor potential)チャネルは感覚機能など多様な生理活性を発揮
20
し、多くの生体反応や病態に関わっている。その活性化機能は多岐にわたっており、温度
、機械刺激、化学刺激、浸透圧、痛み、酸・塩基など種々の刺激で活性化される。
TRPチャネルの中でN末端に14∼18回のアンキリンリピート構造を持つことを特徴とする
TRPA(TRP ankyrin)ファミリーは、哺乳類においてTRPA1のみが同定されている。生体内
においては後根神経節、三叉神経節、節状神経節、脳、肺、胃、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓
、胎盤、精巣、子宮に発現している。TRPA1は脱分極、細胞内Ca2+濃度上昇、pH変化、機
械刺激、冷刺激(17℃以下)など様々な刺激や物質により活性化されることが報告されて
いる(非特許文献1∼3参照)。
また、炎症性疼痛の発生にも関わっているとされる(非特許文献4参照)。
さらに、ワサビやカラシに含まれるアリルイソチオシアナート、桂皮中のシンナムアル
30
デヒド、胡椒中のピペリンなどの刺激物質に反応し、辛味、灼熱感、体熱産生を引き起こ
す(非特許文献5∼7参照)。
TRPVファミリーは哺乳類においてTRPV1∼6のメンバーで構成され、N末端にはアンキリ
ンリピートドメインが存在する。生体内においては、後根神経節、三叉神経節、節状神経
節、脳、内耳、舌、心臓、肺、腸、膵臓、平滑筋に発現している。TRPV1は侵害刺激受容
に関わっていると考えられている(非特許文献1∼3)。トウガラシ中の辛味成分である
カプサイシンなどの活性化剤の他に、43℃以上の熱刺激、pH変化、機械刺激、浸透圧変
化、膜の脱分極などで反応する。種々の炎症関連メディエーターの最終的なターゲットが
TRPV1であることから、TRPV1を阻害する薬剤が炎症性疼痛に有効と考えられ、新規鎮痛薬
の研究開発が行われている。
40
【0003】
イソチオシアナート化合物は主にアブラナ科植物に含まれる成分であり、ワサビ、カラ
シなどスパイスとして利用される以外に、抗菌抗かび剤(特許文献1、2)、歯垢形成抑
制剤(特許文献3)、抗歯周病剤(特許文献4)、アレルギー性疾患抑制組成物(特許文
献5)、白血病細胞増殖阻害剤(特許文献6)、潰瘍性大腸炎予防治療剤(特許文献7)、
神経成長因子作用増強剤(特許文献8)としての用途も報告されている。しかし、健康長
寿が注目されている現在、安全安心な食品素材によるQOL向上の要望は極めて高く、イソ
チオシアナート化合物においてもさらなる効能を見出すことでさらなる用途拡大が期待で
きる。イソチオシアナート化合物のうち、アリルイソチオシアナートはTRPA1及びTRPV1活
性、ベンジルイソチオシアナートはTRPA1活性を有することが報告されているが(非特許
50
(4)
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文献8、9参照)、両化合物ともに不安定であり、加水分解しやすい。さらに、アリルイ
ソチオシアナートについては強い刺激臭を放つため、用途が限定されることから、これに
代わるイソチオシアナート化合物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-139949号公報
【特許文献2】特開平11-246319号公報
【特許文献3】特開2005-104856号公報
【特許文献4】特開2007-308378号公報
10
【特許文献5】特開2009-292735号公報
【特許文献6】特開2001-163775号公報
【特許文献7】特開2009-73804号公報
【特許文献8】特開2006-16362号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】沼田朋大、外8名、「TRPチャネルの構造と多様な機能」、生化学、第8
1巻、第11号、p.962-983、2009
【非特許文献2】辛島裕士、外1名、「感覚とTRPチャネル」、福岡医誌、 2011年、102(
3)、p.48-55
20
【非特許文献3】岩井和夫、編、「トウガラシ―辛味の科学」、改訂増補、株式会社幸書
房、2008年10月、p.62-82(2008)
【非特許文献4】Yi Dai, et al. "Sensitization of TRPA1 by PAR2 contributes to th
e sensation of inflammatory pain", The Journal of Clinical Investigation, 117(7)
, 1979-1987 (2007).
【非特許文献5】Yusaku IWASAKI, et al. "TRPA1 Agonists - Allyl Isothiocyanate an
d Cinnamaldehyde - Induce Adrenaline Secretion", Biosci. Biotechnol. Biochem. 72
(10), 2608-2614 (2008).
【非特許文献6】Yukiko OKUMURA, et al. "Activation of TRPV1 and TRPA1 by Black P
epper Components", Biosci. Biotechnol. Biochem. 74(5), 1068-1072 (2010).
30
【非特許文献7】Toshihide YOSHIDA, et al. "Effects of Capsaicin and Isothiocyana
te on Thermogenesis of Interscapular Brown Adipose Tissue in Rats", J. Nutr. Sci
. Vitaminol. 34, 587-594 (1988).
【非特許文献8】Jordt, S. E., et al. "Mustard oils and cannabinoids excite senso
ry nerve fibers through the TRP channel ANKTM1", Nature 427, 260-265 (2004).
【非特許文献9】Story, G. M., et al. "ANKTM1, a TRP-like channel expressed in no
ciceptive neurons, is activated by cold temperatures", Cell 112, 819-829 (2003).
【非特許文献10】Masataka NARUKAWA, et al. "Galangal Pungent Component, 1'-Acet
oxychavicol Acetate, Activates TRPA1", Biosci. Biotechnol. Biochem. 74(8), 16941696 (2010).
40
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、TRPA1又はTRPV1活性化作用を有する組成物の提供で
あり、当該TRPA1又はTRPV1活性化組成物を含有する飲食品、医薬品、香粧品、香味料組成
物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のω−アルケニル
イソチオシアナート化合物、ω−アルキルチオアルキルイソチオシアナート化合物、ω−
50
(5)
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アルキルスルフォニルアルキルイソチオシアナート化合物、ω−フェニルアルキルイソチ
オシアナート化合物、及びアルキルイソチオシアナート化合物からなる群より選ばれた1
種又は2種以上のイソチオシアナート化合物がTRPA1又はTRPV1活性を発現させることを見
出し、発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)下記式〔1〕で表されるω−アルケニルイソチオシアナート化合物、下記式〔2〕
で表されるω−アルキルチオアルキルイソチオシアナート化合物、下記式〔3〕で表され
るω−アルキルスルフォニルアルキルイソチオシアナート化合物、式〔4〕で表されるω
−フェニルアルキルイソチオシアナート化合物、及び下記式〔5〕で表されるアルキルイ
10
ソチオシアナート化合物からなる群より選ばれた1種又は2種以上のイソチオシアナート
化合物を含むことを特徴とするTRPA1又はTRPV1活性化組成物。
式〔1〕: CH2=CH−(CH2)m−NCS
(式中、mは2∼10の整数を表す)
式〔2〕: R1−S−(CH2)n−NCS
(式中、nは1∼10の整数を表し、R1は炭素数が1∼4の直鎖又は分岐
のアルキル基を表す)
式〔3〕: R2−SO2−(CH2)p−NCS
(式中、pは1∼10の整数を表し、R2は炭素数が
1∼4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す)
20
式〔4〕: 【化2】
(式中、qは1∼10の整数を表し、R3は水素又は水酸基を表す。但し、
30
q=1及びR3が水素の場合を除く。)
式〔5〕: R4−NCS
(式中、R4は炭素数が1∼10の直鎖又は分岐のアルキル基を表す)
(2)上記のTRPA1又はTRPV1活性化組成物を含有することを特徴とする飲食品、香味料組
成物、医薬品、又は香粧品。
【0009】
上記式〔1〕で表される化合物の好ましい具体例としては、3−ブテニルイソチオシア
ナート、4−ペンテニルイソチオシアナート、5−ヘキセニルイソチオシアナート、6−
ヘプテニルイソチオシアナートなどが挙げられる。上記式〔1〕中、mはより好ましくは
2∼5である。
40
上記式〔2〕で表される化合物の好ましい具体例としては、メチルチオメチルイソチオ
シアナート、エチルチオメチルイソチオシアナート、n−プロピルチオメチルイソチオシ
アナート、イソプロピルチオメチルイソチオシアナート、n−ブチルチオメチルイソチオ
シアナート、イソブチルチオメチルイソチオシアナート、sec−ブチルチオメチルイソチ
オシアナート、2−メチルチオエチルイソチオシアナート、2−エチルチオエチルイソチ
オシアナート、2−n−プロピルチオエチルイソチオシアナート、3−メチルチオプロピ
ルイソチオシアナート、4−メチルチオブチルイソチオシアナート、5−メチルチオペン
チルイソチオシアナート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアナート、7−メチルチオ
ヘプチルイソチオシアナート、8−メチルチオオクチルイソチオシアナート、9−メチル
チオノニルイソチオシアナートなどが挙げられる。上記式〔2〕中、nはより好ましくは
50
(6)
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4∼7である。
上記式〔3〕で表される化合物の好ましい具体例としては、3−メチルスルフォニルプ
ロピルイソチオシアナート、4−メチルスルフォニルブチルイソチオシアナート、5−メ
チルスルフォニルペンチルイソチオシアナート、6−メチルスルフォニルヘキシルイソチ
オシアナート、7−メチルスルフォニルヘプチルイソチオシアナート、8−メチルスルフ
ォニルオクチルイソチオシアナート、9−メチルスルフォニルノニルイソチオシアナート
などが挙げられる。上記式〔3〕中、pはより好ましくは4∼7である。
上記式〔4〕で表される化合物の好ましい具体例としては、フェネチルイソチオシアナ
ート、p−ヒドロキシベンジルイソチオシアナートなどが挙げられる。上記式〔4〕で表
される化合物中、より好ましくは、q=1及びR3=水酸基の化合物又はq=2∼4の化
10
合物である。
上記式〔5〕で表される化合物の好ましい具体例としては、n−プロピルイソチオシア
ナート、イソプロピルイソチオシアナート、n−ブチルイソチオシアナート、sec―ブチル
イソチオシアナート、イソブチルイソチオシアナート、n−ペンチルイソチオシアナート
、及びイソペンチルイソチオシアナートなどが挙げられる。上記式〔5〕で表される化合
物中、より好ましくはイソプロピルイソチオシアナート、sec―ブチルイソチオシアナー
ト、及びイソブチルイソチオシアナートである。
【発明の効果】
【0010】
侵害刺激を受容するイオンチャネルの多くはTRPスーパーファミリーに属する。TRPA1、
20
TRPV1ともに侵害刺激を受容するイオンチャネルであり、温度、機械刺激、化学刺激、浸
透圧、酸・塩基など種々の刺激で活性化され、辛味、痛み、熱さ、冷たさといった感覚を
得るが、生理的役割については未だ解明されていない点が多い。イソチオシアナートに関
してはこれまでにアリルイソチオシアナートにTRPA1及びTRPV1活性、ベンジルイソチオシ
アナートにTRPA1活性が報告されているが、非常に刺激性が高く、また安定性が低いなど
、感覚刺激剤として香味料、香粧品、医薬品、嗜好品などへの展開は難しいものがあった
。しかし、本発明の活性化組成物が新たに加わることで、その役割解明の研究をいっそう
進展させることができ、新たな鎮痛薬開発など創薬に寄与することが期待されるだけでな
く、活性化されることで辛味や温度など様々な感覚を生じさせるので、感覚刺激剤として
新規な香味料、香粧品、医薬品、嗜好品などその応用範囲は広い。
30
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】イソチオシアナート化合物のTRPA1活性(EC50)を示したグラフである。
【図2】イソチオシアナート化合物のTRPA1活性(最大応答)を示したグラフである。
【図3】イソチオシアナート化合物のTRPV1活性(EC50)を示したグラフである。
【図4】イソチオシアナート化合物のTRPV1活性(最大応答)を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)イソチオシアナート化合物
本発明で用いるω−アルケニルイソチオシアナート化合物又はω−フェニルアルキルイ
40
ソチオシアナート化合物は、例えば特開平2−221255号公報に従って不活性溶媒中
、式〔5〕又は〔6〕
CH2=CH−(CH2)m−X 〔5〕
【化3】
50
(7)
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(式中、m、R3及びqは前述したものと同一意義を有し、Xは臭素、塩素、ヨウ素のよ
うなハロゲン原子を示す)
を有するω−アルケニルハライド又はω−フェニルアルキルハライドをチオシアン酸塩と
反応させ、得られたω−アルケニルチオシアナート又はω−フェニルアルキルイソチオシ
アナート化合物を極性非プロトン溶媒中で異性化することにより得られる。
本発明で用いるω−アルキルチオアルキルイソチオシアナート化合物は、例えば特開平
7−215931公報に従って、式〔1〕
式〔1〕: CH2=CH−(CH2)m−NCS
(式中、mは前述したものと同一意義を有し、1∼10の整数を表す)
を有するω−アルケニルイソチオシアナート化合物にメチルメルカプタン等のアルキルメ
10
ルカプタンを付加させることにより得られる。
本発明で用いるω−アルキルスルフォニルアルキルイソチオシアナート化合物は、例え
ば特開平7−247497公報記載の方法を改変し、式〔2〕
式〔2〕: R1−S−(CH2)n−NCS
(式中、R1及びnは前述したものと同一意義を表す)
を有するω−アルキルチオアルキルイソチオシアナート化合物をm−クロロ過安息香酸で
酸化することにより得られる。
本発明で用いるアルキルイソチオシアナート化合物としては、例えば市販品(東京化成
(株)(東京)製の試薬等)を使用できる。
【0013】
20
(2)組成物に添加する任意成分
本発明のTRPA1又はTRPV1活性化組成物においては、飲食品用、香味料組成物用、香粧品
用又は医薬品用として通常用いられている他の任意成分を含有させてもよい。
用いられる任意成分としては、例えば香味料、甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、
酸化防止剤、苦味料、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑
沢剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、界面活性剤及び香料などであり、これらを添加
して各種製剤・剤型として用いることもできる。
【0014】
(3)組成物の製剤化
本発明のイソチオシアナート化合物を含むTRPA1又はTRPV1活性化組成物は、そのままの
30
状態、希釈した状態、乳化した状態、更には粉化した状態などの様々な形態に製剤して用
いることができる。
【0015】
(4)香味料組成物
本発明のTRPA1又はTRPV1活性化組成物は辛味があることから既存の各種香味料を適宜添
加して新規でユニークな香味料組成物を調製することができる。
添加する既存の香味料としては、例えばアセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスア
ルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイ
ゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、
【0016】
40
インドール及びその誘導体、γ−ウンデカラクトン、エステル類、エチルバニリン、エー
テル類、オイゲノール、オクタノール、オクタナール、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミ
ル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケ
トン類、ゲラニオール、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシ
ル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル
、酢酸ベンジル、
【0017】
酢酸リナリル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトラール、シトロネラール、シト
ロネロール、1,8−シネオール、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アル
デヒド類、脂肪族高級炭化水素類、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエ
50
(8)
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ーテル類、チオール類、デカナール、デカノール、デカン酸エチル、テルピネオール、リ
モネン、ピネン、ミルセン、タピノーレン、テルペン系炭化水素類、γ−ノナラクトン、
バニリン、パラメチルアセトフェノン、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネ
ラールジメチルアセタール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソ
ブチル、フェニル酢酸エチル、
【0018】
フェノールエーテル類、フェノール類、フルフラール及びその誘導体、プロピオン酸、プ
ロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン酸、ヘキ
サン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、ベンジル
アルコール、ベンズアルデヒド、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネ
10
オール、マルトール、N−メチルアントラニル酸メチル、メチルβ−ナフチルケトン、酪
酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ラクトン類、リナ
ロオール等の合成或いは天然由来の香料の他、オレンジ、レモン、ライム、グレープフル
ーツなどシトラス系精油類、アップル、バナナ、グレープ、メロン、ピーチ、パイナップ
ル、ストロベリーなどフルーツ系の精油或いは回収フレーバー、
【0019】
ミルク、クリーム、バター、チーズ、ヨーグルトなど乳系の抽出香料、緑茶、ウーロン茶
、紅茶、コーヒー、ココアなど嗜好品系の回収フレーバー、アサノミ、アサフェチダ、ア
ジョワン、アニス、アンゼリカ、ウイキョウ、ウコン、オレガノ、オールスパイス、オレ
ンジノピール、カショウ、カッシア、カモミール、カラシナ、カルダモン、カレーリーフ
20
、カンゾウ、キャラウェー、クチナシ、クミン、クレソン、クローブ、ケシノミ、ケーパ
ー、コショウ、ゴマ、コリアンダー、サッサフラス、サフラン、サボリー、サルビア、サ
ンショウ、
【0020】
シナモン、シャロット、ジュニパーベリー、ショウガ、スターアニス、セイヨウワサビ、
セロリー、ソーレル、タイム、タマネギ、タマリンド、タラゴン、チャイブ、ディル、ト
ウガラシ、ナツメグ、ニガヨモギ、ニジェラ、ニンジン、ニンニク、バジル、パセリ、バ
ニラ、パプリカ、ヒソップ、フェネグリーク、ホースラディッシュ、マジョラム、ミョウ
ガ、ラベンダー、リンデン、レモングラス、レモンバーム、ローズ、ローズマリー、ロー
レル、ワサビなどから得られる香辛料抽出物、アイスランドモス、アカヤジオウ、アケビ
30
、アサ、
【0021】
アサフェチダ、アジアンタム、アジョワン、アズキ、アスパラサスリネアリス、アップル
ミント、アーティチョーク、アニス、アボカド、アマチャ、アマチャズル、アミガサユリ
、アミリス、アーモンド、アリタソウ、アルカンナ、アルテミシア、アルニカ、アルファ
ルファ、アロエ、アンゴスツラ、アンゴラウィード、アンズ、アンズタケ、アンゼリカ、
アンバー、アンバーグリス、アンブレット、イカ、イカリソウ、イグサ、イースト、イタ
ドリ、イチゴ、イチジク、イチョウ、イノコヅチ、イランイラン、イワオウギ、インペラ
トリア、インモルテル、ウィンターグリーン、ウォータークレス、ウコギ、ウコン、ウス
バサイシン、ウッドラフ、ウニ、ウメ、ウーロンチャ、エゴマ、エノキダケ、エビ、エビ
40
スグサ、エリゲロン、エルダー、エレウテロコック、エレカンペン、エレミ、エンゴサク
、エンジュ、エンダイブ、欧州アザミ、オウレン、
【0022】
オオバコ、オカゼリ、オキアミ、オーク、オークモス、オケラ、オスマンサス、オポポナ
ックス、オミナエシ、オモダカ、オランダセンニチ、オリガナム、オリス、オリバナム、
オリーブ、オールスパイス、オレンジ、オレンジフラワー、カイ、カイニンソウ、カカオ
、カキ、カサイ、カシューナッツ、カスカラ、カスカリラ、カストリウム、カタクリ、カ
ツオブシ、カッシー、カッシャフィスチュラ、カテキュ、カニ、カーネーション、カノコ
ソウ、カモミル、
【0023】
50
(9)
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カヤプテ、カラシ、カラスウリ、カラスビシャク、ガラナ、カラムス、ガランガ、カーラ
ント、カリッサ、カリン、カルダモン、ガルバナム、カレー、カワミドリ、カンゾウ、ガ
ンビア、カンラン、キウィーフルーツ、キカイガラタケ、キキョウ、キク、キクラゲ、キ
ササゲ、ギシギシ、キダチアロエ、キナ、キハダ、ギボウシ、ギムネマシルベスタ、キャ
ットニップ、キャラウェイ、キャロップ、キュウリ、キラヤ、キンミズヒキ、グァバ、グ
ァヤク、クコ、クサスギカズラ、クサボケ、クズ、クスノキ、クスノハガシワ、グーズベ
リー、
【0024】
クチナシ、クベバ、クマコケモモ、グミ、クミン、グラウンドアイビー、クララ、クラリ
セージ、クランベリー、クリ、クルミ、クリーム、グレインオブパラダイス、クレタディ
10
タニー、グレープフルーツ、クローバー、クローブ、クロモジ、クロレラ、クワ、クワッ
シャ、ケイパー、ゲットウ、ケード、ケブラコ、ゲルマンダー、ケンチュール、ケンポナ
シ、ゲンノショウコ、コウジ、コウダケ、コウチャ、コウホネ、コカ、コガネバナ、コク
トウ、コクルイ、ココナッツ、ゴシュユ、コショウ、コスタス、コストマリー、コパイパ
、コーヒー、コブシ、ゴボウ、ゴマ、コーラ、コリアンダー、コルツフート、ゴールデン
ロッド、コロンボ、コンサイ、コンズランゴ、コンフリー、サイプレス、
【0025】
魚、サクラ、サクランボ、ザクロ、サケカス、ササ、ササクサ、サーチ、サッサフラス、
サフラン、サポジラ、サボテン、サラシナショウマ、サルサパリラ、サルシファイ、サル
ノコシカケ、サンザシ、サンシュユ、サンショウ、サンタハーブ、サンダラック、サンダ
20
ルウッド、サンダルレッド、シイタケ、ジェネ、シダー、シトラス、シトロネラ、シヌス
、シベット、シマルーバ、シメジ、シャクヤク、ジャスミン、ジャノヒゲ、ジャボランジ
、シャロット、シュクシャ、ジュニパーベリー、ショウガ、ショウユ、ショウユカス、ジ
ョウリュウシュ、ショウロ、シロタモギタケ、ジンセン、シンナモン、酢、スイカ、スイ
セン、スギ、スターアニス、スターフルーツ、スチラックス、スッポン、スッポンタケ、
ズドラベッツ、スネークルート、スパイクナード、スプルース、
【0026】
スベリヒユ、スローベリー、セイボリー、セキショウ、セージ、ゼドアリー、セネガ、ゼ
ラニウム、セロリー、センキュウ、センタウリア、センゲン、セントジョーンズウォルト
、センナ、ソース、ダイオウ、ダイズ、タイム、タケノコ、タコ、タデ、ダバナ、タマゴ
30
、タマゴタケ、タマネギ、タマリンド、ダミアナ、タモギタケ、タラゴン、タラノキ、タ
ンジー、タンジェリン、タンポポ、チェリモラ、チェリーローレル、チェリーワイルド、
チガヤ、チコリ、チーズ、チチタケ、チャイブ、チャービル、チャンパカ、チュベローズ
、チョウセンゴミシ、チラータ、ツクシ、ツケモノ、ツタ、ツバキ、ツユクサ、ツリガネ
ニンジン、ツルドクダミ、ディアタング、ティスル、ディタニー、ディル、デーツ、
【0027】
テンダイウヤク、テンマ、トウガラシ、トウキ、ドウショクブツタンパクシツ、ドウショ
クブツユ、トウミツ、トウモロコシ、ドクダミ、トチュウ、ドッググラス、トマト、ドラ
ゴンブラッド、ドリアン、トリュフ、トルーバルサム、トンカ、ナギナタコウジュ、ナシ
、ナスターシャム、ナッツ、ナットウ、ナツメ、ナツメグ、ナデシコ、ナメコ、ナラタケ
40
、ニアウリ、ニュウサンキンバイヨウエキ、ニンジン、シンニク、ネズミモチ、ネットル
、ネムノキ、ノットグラス、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、麦芽、ハコベ
、バジル、ハス、ハスカップ、パースカップ、パセリ、バター、バターオイル、バターミ
ルク、バーチ、ハチミツ、パチュリー、バックビーン、ハッコウシュ、ハッコウニュウ、
ハッコウミエキ、パッションフルーツ、ハツタケ、バッファローベリー、ハトムギ、ハナ
スゲ、バナナ、バニラ、ハネーサックル、
【0028】
パパイヤ、バーベリー、ハマゴウ、ハマスゲ、ハマナス、ハマボウフウ、ハマメリス、バ
ラ、パルマローザ、パンダナ、バンレイシ、ヒキオコシ、ヒシ、ピスタチオ、ヒソップ、
ヒッコリー、ピーナッツ、ヒノキ、ヒバ、ピプシシワ、ヒメハギ、ヒヤシンス、ヒラタケ
50
(10)
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、ビワ、ビンロウ、フェイジョア、フェネグリーク、フェンネル、フジバカマ、フジモド
キ、フスマ、フーゼルユ、プチグレイン、ブチュ、ブドウ、ブドウサケカス、フトモモ、
ブナ、ブナハリタケ、ブラックキャラウェイ、ブラックベリー、プラム、ブリオニア、プ
リックリーアッシュ、プリムローズ、プルネラ、ブルーベリー、ブレッドフルーツ、
【0029】
ヘイ、ベイ、ヘーゼルナッツ、ベチバー、ベーテル、ベニバナ、ペニーロイヤル、ヘビ、
ペピーノ、ペプトン、ベルガモット、ベルガモットミント、ペルーバルサム、ベルベナ、
ベロニカ、ベンゾイン、ボアドローズ、ホアハウンド、ホウ、ホウキタケ、ホウショウ、
ボウフウ、ホエイ、ホオノキ、ホースラディッシュ、ボタン、ホップ、ポピー、ポプラ、
ポポー、ホホバ、ホヤ、ボルドー、ボロニア、マイタケ、マグウォルト、マシュマロー、
10
マジョラム、マスティック、マソイ、マタタビ、マチコ、マツ、マツオウジ、マッシュル
ーム、マツタケ、マツブサ、マツホド、マテチャ、マメ、マリーゴールド、マルバダイオ
ウ、マルメロ、マレイン、マロー、マンゴー、マンゴスチン、ミカン、ミシマサイコ、ミ
ソ、ミツマタ、ミツロウ、ミート、ミモザ、ミョウガ、ミルク、ミルテ、ミルフォイル、
ミルラ、ミロバラン、ムギチャ、ムスク、ムラサキ、メスキート、メドウスィート、メハ
ジキ、メープル、メリッサ、メリロット、
【0030】
メロン、モウセンゴケ、モニリアバイヨウエキ、モミノキ、モモ、モロヘイヤ、ヤクチ、
ヤマモモ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユッカ、ユリ、ヨウサイ、ヨロイグサ、ライオ
ンズフート、ライチ、ライフエバーラスティングフラワー、ライム、ライラック、ラカン
20
カ、ラカンショウ、ラズベリー、ラタニア、ラディッシュ、ラブダナム、ラベンダー、ラ
ングウォルト、ラングモス、
【0031】
ランブータン、リキュール、リーク、リツェア、リナロエ、リュウガン、リョウフンソウ
、リョクチャ、リンゴ、リンデン、リンドウ、ルー、ルリジサ、レセダ、レモン、レモン
グラス、レンギョウ、レンゲ、レンブ、ローズマリー、ロベージ、ローレル、ロンゴザ、
ワサビ、ワタフジウツギ、ワームウッド、ワームシード、ワラビ、ワレモコウなどから得
られる天然香料が例示され、適宜選択して使用される。
【0032】
香味料の添加量は特に限定されるものではないが、一般的には本発明のTRPA1又はTRPV1
30
活性化組成物を含む組成物中、0.0001∼50質量%、好ましくは0.001∼30質量%、最も好
ましくは0.01∼10質量%の添加量となるように配合される。
【0033】
(5)飲食品
本発明に関わるTRPA1又はTRPV1活性化組成物を含有する飲食品を製造するには、上記の
方法で製造した成分またはその製剤を用いることができ、慣用の手段を用いて、食用に適
した状態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、ペースト状等
に形成したものを用いることができる。
この飲食品は、香辛料、清涼菓子や嗜好品としてそのまま食用に供してもよく、また種
々の食品(例えばハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、パン、バター、粉乳、チューイ
40
ンガム、ビスケット、キャンデー等の菓子など)に添加して使用、あるいは水、酒類、果
汁、牛乳、清涼飲料水等の飲料に添加して使用してもよい。
【0034】
(6)医薬品
本発明のTRPA1又はTRPV1活性化組成物を医薬品として使用する場合には、そのまま医薬
品として使用してもよく、または、他の適当な薬効成分と常法に従って混合することによ
り医薬品として製造してもよい。本発明の医薬品は、種々の投与形態で使用できるが、内
服薬として使用する場合は、好ましくは錠剤、丸剤、粉剤、シロップ剤、乳剤、液剤、カ
プセル剤、注射剤などに製剤化して使用され、外用剤として使用する場合は、好ましくは
クリーム、パップ剤、浴用剤などに製剤化して使用される。
50
(11)
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【0035】
(7)香粧品
本発明のTRPA1又はTRPV1活性化組成物は香粧品として使用する場合には、そのまま香粧
品として使用してもよく、または、公知の香粧品に常法に従って配合することにより製造
することができる。
本発明のTRPA1又はTRPV1活性化組成物を含む香粧品として、化粧料組成物や浴用剤組成
物などを例示することができ、それぞれ液状、乳液状、ベースト状、ゲル状、パウダー状
(粉末状)、顆粒状、ペレット状、スティック状、固形状等の何れの形態として提供され
てもよい。
【0036】
10
化粧料組成物としては、化粧水(ローション)、乳液、クリーム、オイル、軟膏、パッ
ク、リップ、口紅、ファンデーション、アイライナー、頬紅、マスカラ、アイシャドウー
、マニキュア・ペディキュア、爪被覆剤、爪被覆除去剤、ひげ剃り用剤、シャンプー、リ
ンス、ヘアトリートメント、ヘアトニック、ヘアスプレー、ヘアクリーム、ヘアローショ
ン、整髪料、育毛料、パーマネント液、染毛料、ハンドソープ・ボディーソープ、歯磨き
剤、洗口料、洗顔料・石鹸類等が挙げられる。
【0037】
浴用剤組成物は、入浴時、浴湯に投じて使用するもので、形態は、液状、粉末状、顆粒
状、固形状、ゲル状などの何れであってもよい。
【実施例】
20
【0038】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。イソチオシアナート化合物を、下記製造例1∼6のとおり合成した。
【0039】
〔製造例1〕4−ペンテニルイソチオシアナートの合成
ヨウ化4−ペンテニル32gを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン40gに溶解
し、チオシアン酸カリウム16gと炭酸カルシウム5.5gを加え、混合液を75℃で1
時間加熱攪拌した。
次いで、内温155℃まで加温上昇させて6時間、加熱攪拌した。不溶物を除去後、塩
化メチレンで抽出し、粗油を得た。粗油を減圧蒸留し、4−ペンテニルイソチオシアナー
30
ト4.2gを得た。収率20%、沸点83℃/96mmHgであった。
【0040】
〔製造例2〕3−ブテニルイソチオシアナート、5−ヘキセニルイソチオシアナート、6
−ヘプテニルイソチオシアナートの合成
製造例1と同様の方法で合成した。
【0041】
〔製造例3〕6−メチルチオヘキシルイソチオシアナートの合成
5−ヘキセニルイソチオシアナート28gおよびメチルメルカプタンのメタノール溶液
(30%)50gの混合物にt−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)0.4gを加え
、室温で2時間攪拌した。酢酸エチルを加え、水洗後、蒸留し6−メチルチオヘキシルイ
40
ソチオシアナート32gが得られた。収率82%、沸点119℃/0.5mmHgであっ
た。
【0042】
〔製造例4〕3−メチルチオプロピルイソチオシアナート、4−メチルチオブチルイソチ
オシアナート、5−メチルチオペンチルイソチオシアナート、7−メチルチオヘプチルイ
ソチオシアナートの合成
製造例3と同様の方法で合成した。
【0043】
〔製造例5〕6−メチルスルフォニルヘキシルイソチオシアナートの合成
6−メチルスルフォニルヘキシルイソチオシアナート10gを塩化メチレン200gに
50
(12)
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溶解し、−5℃に冷却する。m−クロロ安息香酸17gの塩化メチレン340gを滴下し
た、3時間撹拌後、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。塩化メチレン層を減圧濃縮し、
再結晶して6−メチルスルフォニルヘキシルイソチオシアナート14g(収率83.5%
)を得た。
【0044】
〔製造例6〕3−メチルスルフォニルプロピルイソチオシアナート、4−メチルスルフォ
ニルブチルイソチオシアナート、5−メチルスルフォニルペンチルイソチオシアナートの
合成
製造例5と同様の方法で合成した。
【0045】
10
ω−フェニルアルキルイソチオシアナート及びアルキルイソチオシアナートは東京化成
(株)(東京)、シグマ−アルドリッチ(株)(セントルイス, USA)から購入した。アリル
イソチオシアナートは東京化成(株)(東京)から購入した。
【0046】
<TRPA1及びTRPV1活性の測定>
TRPA1を発現させたHEK T-REx細胞は、非特許文献8の方法に従って、以下の通り調製し
た。hTRPA1のmRNAはヒトWI38細胞から抽出した。安定的にhTRPA1を発現させたHEK細胞は
、Invitrogen社のテトラサイクリン制御T-REx発現システムにより誘導した。hTRPA1 mRNA
を鋳型としてRT-PCRにより増幅させたhTRPA1 cDNA を、哺乳類細胞用遺伝子発現ベクター
であるpcDNA4/TO (invitrogen社製)へ組み込み、invitrogen社の遺伝子導入試薬であるLi
20
pofectamin 2000 reagentを用いてHEK T-REx細胞に導入した。pcDNA4/TOはZeocinおよび
ブラストサイジン耐性遺伝子が組み込まれている。そこで、抗生物質であるZeocin500μg
/mLおよびブラストサイジン10μg/mLを用いて安定的にhTRPA1遺伝子を保持するHEK T-REx
細胞株を選択し、樹立した。
hTRPV1のmRNAはAgilent Technologies社製のヒト脳一本鎖cDNA (Santa Clara, CA, USA
)から入手した。得られたmRNAを鋳型としてRT-PCRにより増幅したhTRPV1 cDNAを、哺乳類
細胞用遺伝子発現ベクターであるpcDNA3 (invitrogen社製(Carlsbad, CA, USA)へ組み込
み、Qiagen社製(Hilden, Germany)の遺伝子導入試薬であるSuperFect transfection re
agentを用いてヒト胎児腎由来HEK293T細胞に導入した。pcDNA3にはネオマイシン耐性遺伝
子が組み込まれている。そこで750μg/mL の抗生物質G418存在下で培養後、生き残った細
30
胞を選抜することで、hTRPV1を安定的に発現させたHEK293T細胞株を樹立した。
【0047】
次いで、TRPA1又はTRPV1の活性化度についても非特許文献10の方法に従って測定した
。
TRPA1又はTRPV1が活性化されることにより細胞内へCa2+が流入する。そこで、Ca2+濃度
に応じて蛍光量が増すCa2+濃度指示薬を用いてTRPA1あるいはTRPV1の活性化度を測定する
ことができる。
具体的には、Ca2+濃度指示薬を予めHEK T-REx細胞内あるいはHEK293T細胞内に取り込ま
せておき、Flex Station IIマイクロプレートリーダー(Molecular Devices、Sunnyvale
、CA、USA)にて蛍光量を測定した。
40
【0048】
TRPA1又はTRPV1活性(%)は以下の式で算出した。
TRPA1又はTRPV1活性(%) =(サンプル投与時の蛍光量/イオノマイシン(注)投与時の最
大蛍光)×100
(注)イオノマイシン(Ionomycin)は、Ca2+と複合体を形成しCa2+の細胞膜透過性を高
めるため、最大蛍光を測定できる。なお、イオノマイシンは、試薬(Sigma、St. Luis、M
o、USA)を使用した。
【0049】
ポジティブコントロールとしてTRPA1活性測定ではアリルイソチオシアナート(和光純
薬工業(株)、大阪)、TRPV1活性測定ではカプサイシン(Sigma、St. Luis、Mo、USA)を
50
(13)
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用いた。
【0050】
図1及び図2に示すように、TRPA1活性を示すイソチオシアナート化合物のうち、アリ
ルイソチオシアナートと同程度又はそれ以下のEC50を有する化合物として、イソプロピル
イソチオシアナート、3−ブテニルイソチオシアナート、4−ペンテニルイソチオシアナ
ート、ベンジルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナート、3−メチルチオプ
ロピルイソチオシアナート、4−メチルチオブチルイソチオシアナート、5−メチルチオ
ペンチルイソチオシアナート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアナート、3−メチル
スルフォニルプロピルイソチオシアナート、4−メチルスルフォニルブチルイソチオシア
ナート、5−メチルスルフォニルペンチルイソチオシアナート、6−メチルスルフォニル
10
ヘキシルイソチオシアナートが見出された。また、アリルイソチオシアナートと同程度又
はそれ以上の最大応答を有する化合物として、4−メチルチオブチルイソチオシアナート
が見いだされた。さらに、図3及び図4に示すように、TRPV1活性を示すイソチオシアナ
ート化合物のうち、アリルイソチオシアナートと同程度又はそれ以下のEC50を有する化合
物として、イソプロピルイソチオシアナート、sec−ブチルイソチオシアナート、5−ヘ
キセニルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナート、4−メチルスルフォニル
ブチルイソチオシアナート、5−メチルスルフォニルペンチルイソチオシアナートが見出
された。また、アリルイソチオシアナートと同程度又はそれ以上の最大応答を有する化合
物として、イソプロピルイソチオシアナート、sec−ブチルイソチオシアナート、イソブ
チルイソチオシアナート、5−ヘキセニルイソチオシアナート、6−ヘプテニルイソチオ
20
シアナート、ベンジルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナート、4−メチル
スルフォニルブチルイソチオシアナート、5−メチルスルフォニルペンチルイソチオシア
ナートが見出された。
【0051】
〔実施例1〕(混合茶飲料)
90℃の湯500mlに対して、緑茶葉1g、はとむぎ8g、大麦1g、玄米0.2g、プーアル茶0.2g
、どくだみ茶0.1g、はぶ茶0.1g、チコリー0.1gを添加し、8分間抽出を行った。
抽出後固液分離を行い、ビタミンC 0.1gと水を加えて1000mlとし炭酸水素ナトリウム
にてpHを5.5に調整後、4-ペンテニルイソチオシアナート0.001gを添加して、混合茶飲料
を得た。
30
【0052】
〔実施例2〕(清涼飲料水)
バレンシアオレンジ果汁30ml、レモン果汁3ml、果糖1.5g、クエン酸0.5g、ビタミンC
0.1gに、3−ブテニルイソチオシアナート0.002gを加え、水を加えて100mlとし、よく攪
拌した後に炭酸ガスを封入し、清涼飲料水を得た。
【0053】
〔実施例3〕(チューインガム)
ガムベース50gに砂糖100g、香料0.5g、5−ヘキセニルイソチオシアナート0.003gを添
加し、ニーダーを使用して練り、成型後完成した。
【0054】
40
〔実施例4〕(ビスケット)
強力粉100g、ショートニング100g、上白糖40g、薄力粉30g、水 20g、全脂粉乳4g、重曹
0.6gに6−メチルチオヘキシルイソチオシアナート0.001gを混合し、成型したのち焼成し
てビスケットを得た。
【0055】
〔実施例5〕(キャンデー)
水飴280g、グラニュー糖360gに、5−メチルチオペンチルイソチオシアナート0.001gを
混合した後、155℃まで加熱した。その後、120℃まで冷却し、クエン酸12g、香料1.2g、
グリセリン50gを添加し、成型、冷却後完成した。
【0056】
50
(14)
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〔実施例6〕(顆粒剤)
乳糖5.0g、トウモロコシデンプン5.0gに4-ペンテニルイソチオシアナート0.001gを添
加して練合し、造粒した後、乾燥して整粒した。
【0057】
〔実施例7〕(カプセル剤)
トウモロコシデンプン5.0g、乳糖5.0g、結晶セルロース1.0gに5−ヘキセニルイソチオ
シアナート0.002gを添加し充分に混合した後、カプセルに充填し、カプセル剤40個を製造
した。
【0058】
〔実施例8〕(錠剤)
10
トウモロコシデンプン2.0g、乳糖50g、ステアリン酸カルシウム0.2g、タルク1.8gに3
−ブテニルイソチオシアナート0.001gを加え充分に混合した後、打錠機により打錠し、重
量0.52gの錠剤を200錠製造した。
【0059】
[実施例9](スキンケア用クリーム)
処方例1にしたがい、水相部として、精製水に1,3−ブチレングリコール、ポリエチ
レングリコール1500などの保湿剤を配合したものを用意し、これに6−メチルチオヘキシ
ルイソチオシアナートを0.002%配合した。油相部として、ステアリン酸、ステアリ
ルアルコール、水添ラノリンなどの固形油分、スクワラン、オクチルドデカノールなどの
液体油分、防腐剤、界面活性剤などの油性成分を配合したものを用意した。
20
水相部を徐々に加熱し、約80℃になったところで、これに、ほぼ同じ温度に加熱され
た油相部を少しずつ添加し、乳化して本発明のスキンケア用クリームを製造した。
【0060】
【表1】
30
40
【0061】
[実施例10](浴用剤組成物)
処方例2にしたがい、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムに、香料などを添加し混合
した浴用剤基剤を用意し、5−メチルチオペンチルイソチオシアナートを0.005%配
合し本発明の浴用剤組成物を製造した。
50
(15)
JP 2014-210725 A 2014.11.13
【0062】
【表2】
10
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のTRPA1又はTRPV1活性化組成物は、例えば、飲食品、香味料組成物、医薬品、香
粧品等の感覚刺激効果増強のために利用できる。
【図1】
【図3】
【図2】
【図4】
(16)
JP 2014-210725 A 2014.11.13
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A23L
1/30
(2006.01)
A23L
1/30
Z
A23L
2/52
(2006.01)
A23L
2/00
F
A23L
1/226
(2006.01)
A23L
1/226
F
(72)発明者 西村 修
千葉県浦安市千鳥15番地7 小川香料株式会社舞浜研究所内
(72)発明者 渡辺 達夫
静岡県静岡市駿河区谷田52−1 静岡県公立大学法人 静岡県立大学内
Fターム(参考) 4B017 LC02 LC03 LK06 LL09
4B018 LB01 LB08 MD18 ME14 MF02
4B047 LB08 LF07 LF09 LG13 LG14
4C083 AB312 AB352 AC022 AC072 AC092 AC122 AC182 AC242 AC422 AC761
AC762 AD042 AD512 CC01 CC02 CC05 CC25 FF01
4C206 AA01 AA02 JA70 MA01 MA04 NA14 ZC41
10