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自動車産業時評

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特
集
ロシア・NIS諸国の石油精製業
自動車産業時評
での効果が得られるのかという素朴な疑問も
生じる。
ちなみに、2015年初頭時点の数字を見てみ
ると、ロシアで登録されている乗用車(総登録
台数は4,085万台)のうち約52.0%がユーロ2
およびそれ以下の基準しか満たしていない車
で占められており、ユーロ5対応の車の割合
はわずか5.3%にすぎなかった。その他、ユー
ロ4対応が27.9%、ユーロ3対応が14.8%とな
っていた。
商用車になるとユーロ2およびそれ以下の
ロシア・ウクライナでの
排ガス規制強化
基準しか満たしていない車の割合がさらに大
きくなり、2015年初頭時点の総登録台数(806
万6,000台)の実に73.3%を占めていた。一方、
ロシアでは2016年初頭より軽油の環境基準
ユーロ5対応の車の割合はわずか1.7%にすぎ
が強化されました。ガソリンに関しても2016年
なかった(ロシアの調査会社『Autostat』が発
7月1日から強化される予定で、今後は、ロシア
表している数字)。
国内ではクラス5(ユーロ5にほぼ相当)の軽油
とガソリンしか販売できなくなります。
それと歩調を合わせるような形で乗用車の排
2015年に入ってからも状況に劇的な変化は
見られず、Autostat社によれば、同年1~11月
期の販売台数に占めるユーロ5の車の割合は、
ガス規制も強化されており、2016年初頭からユ
乗用車で38.0%、小型商用車で14.4%、トラッ
ーロ5に対応していない輸入車、国産車の新規登
クで13.5%だったとされている。
録が認められなくなりました。今回は、ロシアの
排ガス規制強化をめぐる状況とそれに対する一
般市民の反応などについてご紹介します。また、
付随してウクライナの動きにも触れます。
新しい排ガス規制の導入
自動車工場および製油所の準備体制が整っ
ていないとの理由でユーロ5への移行は何度
か見送られてきたが、2014年末にロシア政府
排ガス規制の現状
は2016年初頭を最終的なデッドラインとする
ロシアでは2016年初頭よりユーロ5に対応
ことを基本決定した。自動車業界の反対はあ
していない乗用車(SUVを除く)の新規登録が
ったものの移行に向けた作業は着実に進めら
認められないことになったが、すでに販売さ
れ、2015年11月19日付の『イズベスチヤ』紙は、
れ登録済みの車にはその規制は適用されない。
連邦関税局から得た情報だとした上で、
「移行
すなわち、ユーロ5の基準を満たしていない
への準備作業が遅れている総重量12t以上の
車であってもすでに登録されていれば、所有
大型商用車を除くすべての自動車に2016年初
者はその車を使用し続けることができる。車
頭よりユーロ5が適用される。すなわち、2016
の所有者にとっては寛大な措置だといえるが、
年1月1日以降は、ユーロ5に対応していな
ユーロ2の基準すら満たしていない車にクラ
い乗用車および総重量12t未満の商用車を輸
ス5のガソリンを使用してどの程度の環境面
入しても、ロシア国内での登録は認められな
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ロシアNIS調査月報2016年3月号
自動車産業時評
くなる。同様に、基準を満たしていない国産車
く値上げの必要性に迫られるのは、ユーロ4
の新規登録も認められなくなる。総重量12t
対応の車を中心に生産・販売しているロシア
以上の商用車については、ユーロ5の適用が
と中国のメーカーであろう」との見解を示し
2年間猶予される」と報じていた。ところが、
ている(上掲『イズベスチヤ』紙)。
『イズベスチヤ』紙の情報が出る少し前ぐら
いからユーロ5への移行スケジュールの変更
一般市民の反応
に関する検討が行われていたようで、2015年
ウクライナも2016年初頭よりユーロ5に移
12月末に連邦関税局は関係者に対し、
「ユーラ
行したが、それに伴い市民の間で様々な噂が
シア経済連合の技術規定“車輪輸送手段の安
飛び交っている。全ウクライナ自動車輸入業
全性について”に変更が加えられ、2016年1月
者・ディーラー連盟のオレグ・ナザレンコ会長
1日より乗用車(SUVを除く)にはユーロ5が
がそれらの噂についてのコメントを行なって
適用されることになり、ユーロ4もしくはそ
いるが、ロシアの市民の間でも同様の噂が広
れ以下の乗用車のユーラシア経済連合加盟国
がっている可能性が高いし、ナザレンコ会長
領内への輸入は禁止されることになる。ただ
のコメントの内容自体も興味深いのでその一
し、SUV、総重量5t未満の旅客輸送用の商用
部を紹介しておく。
車、総重量5t以上の旅客輸送用の商用車、な
ウクライナでは、町の修理工場でもユーロ
らびに、トラックに関しては、2017年12月31日
4およびそれ以下の車をユーロ5に改造する
までユーロ4の車の輸入が認められる」とい
ことが可能だとの噂が広がっているようであ
う主旨の通達を行った(連邦関税局のHP等よ
るが、それに対しナザレンコ会長は、
「そのた
り)。
めには電子部品も取り換えることが必要とな
り、修理工場では対応できない」とコメントし
考えられる影響
ている。
このように2016年1月1日からユーロ4も
また、ウクライナでは、
「欧州から輸入され
しくはそれ以下の基準にしか対応していない
る車であれば7~8年落ちでもユーロ5に対
乗用車(SUVを除く)の新規登録が認められな
応している。日本から輸入される車に関して
くなったわけだが、そのことは何よりもまず
も同様のことがいえる」との噂も広がってい
ロシアで販売される乗用車の価格の上昇につ
るようだが、その点につきナザレンコ会長は、
ながるとみられている。ユーロ5の基準を満
「欧州でユーロ5対応の乗用車の大量生産が
たすには相応の投資が必要となり、それが乗
開始されたのは2009年9月以降である(ただ
用車の販売価格に転嫁される可能性が高いか
し、トラックの場合は、2008年10月からユーロ
らだ。
5対応車の大量生産が開始された)。それ以降
それでは、どの程度価格が上昇するのであ
に生産された車しかユーロ5に対応していな
ろうか。この点については様々な意見が存在
いと考えるのが妥当である。日本車の場合は、
す る が 、 コ ン サ ル タ ン ト 会 社 「 EU Russia
2013~2014年以降に生産された車でないと対
Partners」のイワン・ボンチェフは、
「私は値上
応していない可能性が高い」とコメントして
がり幅が5%程度に達すると考えている。た
いる(『ウクラインスカヤ・プラヴダ』紙、2016.1.
だ、値上げは消費者がそれに気づかぬよう段
22)。
階的に実施されることになるだろう。最も強
ロシアNIS調査月報2016年3月号
(坂口 泉)
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