くらしの法律 第 41 回 認知 法律上の親子関係発生 法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子を嫡出でない子(非 嫡出子)といいます。 非嫡出子と父母との法的な親子関係は民法上、血縁的親子関係か ら直ちに発生するものではなく、認知により初めて発生するものと されています。ただし、母子関係については分娩(ぶんべん)の事 実によって当然に発生し、原則として認知を必要としないと解されています。 非嫡出子の出生届は、母が届けるよう義務づけられており、子は母の戸籍に入って、母の氏を称する ことになります。 非嫡出子と父との関係は父の認知を受けた場合と受けない場合とで大きな違いがあります。 父の認知を受けない子は、事実上、父が自分の子であることを認めていても、父との間で法律的な親 子関係は一切ないものとして扱われ、扶養請求や相続の権利も認められません。父の認知を受けること で、初めて父の非嫡出子としての身分を取得します。 父または母は非嫡出子を認知することができるとされ(民法 779 条)、原則として認知される者の意思 を問いませんが、子が成年に達した後はその承諾がなければ認知できません(同 782 条)。 父は胎内に在る子も認知することができますが、母の承諾を得なければなりません(同 783 条①)。 認知の効果は子の出生の時にさかのぼって生じますが、第三者が既に取得した権利を害することはで きないとされます(同 784 条)。 認知は戸籍上の届出によるほか、遺言によって認知することもできるとされます(同 781 条)。父が、 非嫡出子を自分の妻との間の嫡出子として届け出た場合には、これによって子は嫡出子となるわけでは ありませんが、その子が自分の子であるという意思表示が含まれているという理由で、認知としての効 力があると解されています。 認知がなされても父子関係の事実がないならば無効です。しかし、いったん認知がされると、訴えに よって無効の確認を求め、認められなければ戸籍は訂正されません(同 786 条)。 父が認知を拒む場合、認知を求める子の側はどうすればよいでしょうか。 民法 787 条は、子、その直系卑属またはこれらの者の法定代理人は認知の訴えを提起することができ ると規定しています。 認知請求の手続きについては次回にご説明します。
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