高齢者への見守りサービス提供 介護予防や生きがいづくり 子育て世帯の居住環境確保 等 多世代交流やコミュニティ形成 5.団地居住者が自ら参加できる「見守り・助け合い」・「生きがい」・「多世代 交流」の拠点づくり (選定年度:平成 22 年度) ■代表提案者:滝山団地自治会(共同事業者:UR 都市機構) ■事業場所: 東京都東久留米市 高齢者 障害者 子育て世帯 〔事業概要〕 大都市近郊のUR団地自治会が既存集会所を改修し、配食サービス等の拠点整備を 行い、配食、高齢者並びに子供の見守り、多世代交流、日常生活支援等高齢化が進ん だ大型団地の住民自身による自治会活動を再生する事業である。 〔提案の評価概要〕 老朽化が進んだ大規模団地の再生を目的として、高齢者、障害者、子どもという地 域で生活する幅広い者を対象として、ハードのみならず相互扶助等の活動を活性化す る事業であること、コミュニティの中核である自治会による取組として継続性が見込 まれること、同様の団地への普及性が高いことが評価された。 (1)提案概要 ① 提案時の事業背景 UR 都市機構が管理する滝山団地は、建 設当初から 40 年以上経過した団地であり、 最近では、高齢化の進行と単身高齢者の増加 に伴い、引きこもりなどの顕在化が懸念され ていた。これまで、自治会の自主的な活動に 事業場所 より、単身高齢者への声掛け運動等が実施さ れていたが、自治会としての拠点場所がなか ったことから、団地内に新たな場を確保する ことが求められていた。今後も団地の高齢化 が進行する中で、高齢者等が住みやすい住環 位置図 境を整えていく必要があり、高齢者等を孤立させないための仕組みや、高齢者自身の生 きがい、仲間づくりの仕組みを構築するため、これらの活動を支援する拠点場所の整備 を目指し、当提案に至っている。 ② 提案時の事業概要 UR 都市機構が団地内の既存集 会所を改修し、コミュニティカフ ェやこどもラウンジ、自治会の活 動拠点などの空間を整備する。自 治会は、そららの施設を活用しな がら、高齢者の見守りや、生きが い、仲間づくりを支援する。 (2)建物概要(竣工時) ①建物 住宅・施設の形態 「滝山あんしんつながりの家」 敷地面積 5,278 ㎡ 延床面積 205 ㎡ 構造・階数 管理開始年月 鉄筋コンクリート造・平屋建 平成 24 年 4 月 延べ床面積:104.20 ㎡(元・第 2 集会所/E ラウンジ) 既存部分 「こどもラウンジ」 (30.40 ㎡) 「自治会事務所」 (30.10 ㎡) 増築部分 延べ床面積:101.25 ㎡(同集会所の北側に増築) 「ダイニングカフェ滝山」 (3)運営状況等 ① 団地自治会としての活動 自治会は創立当初から、賃貸、分譲の入居者が共に活動をしている(会員数は約 千人) 。自治会の組織には専門部署があり、高齢者対策部、財政部等、約 10 の組織 が存在する。最近では、地域の高齢化に伴い、高齢者対策部の活動が盛んとなって いる。 主な活動内容として、従来より、高齢者等の日常支援活動、ミニデイサービス、 お茶会・食事会、孫の手クラブ※(助け合い活動)などを取り組んでいる。 また、自治会の活動を通じた見守り活動を行っているほか、UR 都市機構が配置す る生活支援アドバイザーによる高齢者への電話や訪問による見守りなども行われて いる。 ※孫の手クラブ・・・約 5 年前から活動し、電球交換、家具移動、ゴミ出し、大 掃除、裁縫・裾あげ等高齢者が一人でできず、介護保険の 対象外となっている部分を対象としている。 ② 運営状況 滝山あんしんつながりの家では、ダイニングカフェ滝山を毎日営業(休日を除 く)し、飲み物やお菓子を提供し、毎週水曜日のお昼にはランチも提供されてい る(平成 25 年 3 月から月曜日のカレーの日に変更)。多くの団地高齢居住者が利 用し交流を育んでいる。スタッフは自治会の会員であり、男性が 2 名、女性が 35 名である。その他にカフェ前のパラソル等の管理の手伝いをする男性が 2、3 名、 総勢 40 名程度で運営しており、スタッフ自身の生きがいの場にもなっている。 ③ 提案事業の達成状況・課題 既存集会所の改修による見守り拠点の開設およびコミュニティカフェの運営を 通じて、高齢者等を孤立させない仕組み作りや高齢者自身の生きがい作りは、達成 できている。 また、こどもラウンジでは、居場所のない子供たちを見守ったり、子育て中のお 母さんが安心できる場所としての運営を目指し、平成 25 年 7 月までに交流イベン トを5回開催し、その後、月に 1 度、近隣保育園からの出前保育が行われている。 〔事業実施後の評価委員の所見〕 高齢化の進行した団地における住民による共助の取組みとして評価できる。集会 所を改修した「滝山あんしんつながりの家」は、団地の住民の交流の場であり、見 守り・助け合いの拠点として機能している。カフェが毎日開かれており、高齢者ス タッフ 40 名で運営され、高齢者の生きがいの場になっている。多世代交流に期待を 寄せ、子どもを対象に「こどもラウンジ」の看板を挙げたものの機能しておらず、 実際には高齢者の交流に偏っている状況にある。今後、子どもを含めた交流の企画 をはじめ、若い世代の担い手をどのようにして取り込めるかが課題である。団地な らではの高齢者と子育て世帯との交流の取り組みを期待したい。 〔資料等〕 建物外観 ダイニングカフェ カフェのメニュー (こどもラウンジ) こどもラウンジ 建物平面図 施設オープンイベント
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