人は、自らを取り巻くすべてのものと関わりを持って生きて

CLOTHES HANGING ON WIRES
人は、自らを取り巻くすべてのものと関わりを持って生きている。そして各々が持つ様々な違いから人を認
識する。日常気に留めないかもしれないが、我々自身を強く主張するエレメントがある。それは衣類だ。
我々はその体にまとう服で、外の世界と接触する。あまり考えないことかもしれないが、実際に服は、我々
自身より先に外の世界に対峙するのだ。それもとても特別な形で。そのことに気づいたアーティストは、そ
の発見を自らの作品で伝えようと考えた。個人のプライバシーを傷つけることなく、細やかさを持って。
紐に吊るされた服(Clothes hanging on wires)。日々の営みの一部が、まさに文字通り紐に吊るされ語り
かける。我々はこれらの写真を観て、自分の中だけで物語を作り出すことを赦される。ちょうど人の顔を見
て、勝手にその人の物語を想像してみるのと同じように。人は写っていなくても、そこに存在している。