新 製 品 小形レシートプリンタユニット FTP-627USLシリーズ 用紙交換やカッターの取扱い性を追及した小形の組込みレシートユ ニットです。USBインターフェース対応で,OPOSドライバも準備しま した。マルチメディアKIOSKや発券機等,レシート発行が必要な小 形機器の組込み用プリンタに最適です。 はじめに 当社独自のカッターコンセプトによる,イージーカッターオペレー ションを特長とする,小形の組込みレシートプリンタユニットを開発し ました。当社の従来製品と比べて50%近い小形化を実現し,操 作性・実装性に優れるレシートユニットです。 概 要 当社では,従来ATMやマルチメディアKIOSK用途向けに,カ スタムユニットや,標準の3インチ組込みレシートユニットを開発・販 写真1 外観(パネルマウント実装方式) 売してきました。このような用途では,レシートを受け取るオペレー ターが不特定となり,カット途中に紙を無理に引っ張ってカッターを 壊したり,カッタージャムを起こすような問題が多発するため,その 対策としてプレゼンター機構などを設けるのが通常でした。 しかし近年,顧客装置のダウンサイジング化も進み,小形化・ 低価格化に対応できる小形の組込みレシートユニットが望まれてい ます。 設計コンセプト 本製品は,現場のオペレーターに優しい作業環境を提案します。 レシートプリンタを使用する現場での課題である,カッタージャム発 写真2 外観(デスクトップ実装方式) 生時の解除容易性,用紙カット中の用紙引き抜きに対するカッター 保護などにソリューションを提案します。 図1に外形寸法図,図2に従来カッターの原理図,図3に低 背カッターの原理図を示します。 コンセプト1:カッタージャム解除容易性 定刃の間に圧力が保たれた状態となります。この状態では,ロー ル紙カバー側に固定刃が実装されていることから,可動刃により固 定刃の上部をブロックされロック状態に陥ります。従来機種では, オペレーターがプリンタ側の装置カバーを開けてマニュアルのノブを 課題:従来のカッターでは可動刃がプリンタメカの上面に配置され, 回したり,装置側面などに設けた作業窓からネジ回しを使ったりし 固定刃はプラテン側に配置されています。可動刃は,圧力を加え てカッター可動刃をホームポジションに戻し,用紙カバーを開ける作 た状態でスライドし,固定刃との刃圧を可動刃側のバネを介して行 業が必要でした。 います。このため,カッタージャムでカット刃が止まると,可動刃と固 提案:当社は,可動刃を用紙カバー側に,カッターの加圧バネを FIND Vol.24 No.4 2006 23 FTP-627USLシリーズ コンセプト3:常にフェールセーフ 固定刃側に設け,可動刃に自動ホームポジショニングのバネを設け 課題:従来のカッター方式では,用紙カバーオープン時にはこれを る独自方式を開発しました。 本方式では,カッター加圧バネが固定刃下側に設けられている 検出し,可動刃が動かないようにする必要があります。用紙交換 ことから,用紙カバーオープン動作によって可動刃が上方に微動し, 中に誤って可動刃が動いてしまうとオペレーターが危険なため,安 固定刃との間に隙間が発生します。フリーとなった可動刃は,ホー 全設計が要求されます。 ムポジショニングのバネにより,カッター収納部内に自動的に戻りま 提案:当社方式では,用紙カバーが開いた状態では,可動刃の す。この結果ロックが外れ,用紙カバーを自由に開閉できる状態 駆動力はホームポジショニングのバネのみとなります。このため,カ に戻ります。 バーが開いた状態では可動刃が常に収納部内に収まり,安全性 本方式の優位性は,プリンタに不案内なオペレーターであっても, が保たれます。 用紙交換と同じ作業でカッタージャムからの復旧ができることにあり 以上の設計コンセプトは,不特定多数のオペレーターを対象とす ます。 コンセプト2:カッター保護 る機器において,安全かつ安定した動作を保証するソリューション 課題:カッター付プリンタが市場で問題となる最大の課題の一つに となります。本製品は,顧客装置に対しても有利な差別要因を提 カッターの保護があります。コンセプト1で説明した従来カッターの 供できます。 このほか,当社のカッター方式は従来のDCモーター駆動方式と 原理から,カット動作中に用紙を引っ張ると可動刃がひねられ,こ の結果,可動刃を押していたバネが変形し,カット異常を起こしま 異なり,ステッピングモーターを採用しており,低電圧でのカッター す。 制御が容易となります。DCモーターは初動に大電流を要し特殊電 提案:当社の提案するカッター方式では,可動刃はピニオンギヤに 源が必要であるのに対し,当社方式は通常の印字搬送モーターと よりスライド動作を行うだけであり,カットに必要な刃圧は固定刃下 同程度の電源で制御できます。また,カッターロック時にも異常電 側から与えられます。このため刃圧用バネはイレギュラー操作の影 流は流れずモーターが脱調するだけとなり,異常負荷による機構 響を受けず,その後も正常カット動作が保証されます。 損傷等も防止できます。 図1 外形寸法図 注2) 100 注1)ケーブル、FPCの飛出しは含まれて いません。 (94) 注2)斜線部領域にはプリンタ以外の実装 はしないでください。 2-M3 ネジ用孔 注3) 22.4 注3)取付けの際にはネジ2箇所と引っかけ 2箇所にて固定してください。 88.0 2.0 108 86.3(用紙排出位置) 用紙 5.0 7.5 (44.0) (6.5)(用紙排出位置) 32.3(位置決め用リブ) 5.0 48.5 単位:mm 引っかけ部 奥行き6(両側)注3) 24 FIND Vol.24 No.4 2006 FTP-627USLシリーズ ドライバソフト充実 特 長 Windows R XP/2K,OPOS,Linux対応ドライバを準備してお り,各種OS環境で使えます。 イージーローディング コンパクト設計 用紙を投げ込むだけでセットは完了です。繁忙時にもスピーディー にロール紙交換ができます。 当社の従来製品と比べて約50%の小形化を実現しており,省 スペース設計にも柔軟に対応できます。 イージーカッターオペレーション 各種センシング対応 カッタージャムが発生しても,用紙交換と同じ作業でジャム解除で 用紙エンド,プラテンオープン,カッター初期化エラー,温度異 きます。さらに,カッター動作中に用紙を引っ張ってもカッターは壊 常のほか,用紙ニアエンド検出も対応しています。 れません。オペレーターが不特定の用途でも安心して使えます。 アプリケーション例 安全設計 フェールセーフ設計で,不特定多数のオペレーターにも安心な作 業環境を提供します。 マルチメディアKIOSKや,デジタルカメラのセルフプリントスタンド USB高速インターフェース対応 のレシート発行,駐車券,順番待ち整理券の発券機器等,オペ USB対応で,高速印字にも対応できます。 レーターを特定できない用途に最適です。パネルマウント方式と, デスクトップ方式の2実装形態に対応できます。 図2 従来カッターの原理図 仕 様 固定刃 表1に主な仕様を示します。 今後の展開 プラテン 可動刃 当社では,より多様化する顧客ニーズに対応して,大径ロール 紙や高速印字対応製品の開発・製品化を推進していきます。 ■ *Windowsは,米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における プラテン取付け位置 登録商標です。 *Linuxは,Linus Torvaldsの米国およびその他の国における登録商標あるい は商標です。 *OPOSはOpen POS for OLEの略です。 図3 低背カッターの原理図 表1 主な仕様 可動刃 プラテンユニット 印字方式 プラテン ヘッド 固定刃 感熱印字方式 解像度 8本/mm 発熱体数 432ドット 有効印字幅 用紙 プラテン取付け位置 (全体図) 54mm 幅 58mm +0/−1 ロール紙径 Φ60mm (最大) 印字速度 100mm/秒 文字種 漢字第一・第二水準, ANK,国際文字,外字登録文字 バーコード 電源電圧 一次元 UPC A/E,JAN8/13,CODE39, ITF,CODABAR 二次元 QR,マキシ,PDF417 ヘッド/モータ 24V ロジック 5V 外形寸法 W×H×D 100mm×108mm×94mm インターフェース USB V1.1 【お問い合わせ先】 技術:富士通コンポーネント㈱ マーケティング部 TEL(03)5449-7013 FAX(03)5449-2624 FIND Vol.24 No.4 2006 営業:最寄りの富士通コンポーネント㈱ 販売部(裏表紙をご参照ください) 25
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