プロパティマネジメントとノンマーチャンダイズリテイラー!!

流通とSC・私の視点
2002 年8月 12 日
視点(335)
プロパティマネジメントとノンマーチャンダイズリテイラー!!
J−REIT(日本版不動産投資信託)が発展するにつれて、プロパティマネジメント(不動産の価値を
最大限に発揮する機能)が重要になってきます。SCはデベロッパーによって売上高は1.5∼2倍、粗利益
率は2∼7ポイント、利益は4∼10倍異なります。すなわち、デベロッパーは、テナントのように小売業
機能(商品を仕入・陳列・販売する機能)を持っていないにもかかわらず、売上高を変えたり、粗利益率を
変えたり、利益額を変えたりすることが出来ます。この考え方を「デベロッパーは、ノンマーチャンダイズ
リテイラー」と呼んでいます。直訳すると、デベロッパーは商品を持たない小売業であり、意味訳すると、
デベロッパーは商品を持たないが、小売業の感覚を有し、小売業のMDingを活かすノウハウを持つ業者
となります。
いわゆるデベロッパーはマーチャンダイジングデベロッパーでなければならないとの所以です。
MDingは基本的に小売業(SCにおいてはテナント)の機能ですが、SCのデベロッパーがMDing
に参画することにより、小売業の固有のMDingを飛躍的に高める「拡大効果」があります。すなわち「商
品を売れるようにする価値の創出」
(売れるようになっているから売れる・売れないようになっているから売
れない=小売業のMDingを活かす手法)が出来るノウハウを持っているか否かがSCデベロッパーの真
髄となります。多くの今までのデベロッパーのように単に顕在化した売上高の維持・微向上ではなく、マー
ケットやSCの仕組みを潜在的に探索し、
「SCの売上高を1.5∼2倍、粗利益率は2∼7ポイント、利益
は4∼10倍異なる原則」
(ノンマーチャンダンズリテイラーの概念パワー)を適用するデベロッパーになら
なければなりません(六車流:流通理論)
。
このノンマーチャンダイズリテイラーの概念パワーを持つデベロッパーを「プロパティマネジメント型デ
ベロッパー」であり、このような機能を持つ会社を「プロパティマネジメント会社」
、このSCのマネージャ
ーを「プロパティマネージャー」と呼びます。
プロパティマネージャーあるいはプロパティマネジメント会社のデベロッパーノウハウによって売上高と
粗利が大きく異なることは、J−REITシステムによるSCへの投資家への配当が大きく異なることを意
味します。SCの投資家への配当はテナントの賃料から支払われますから、テナントからの賃料をいかに多
く獲得するかが、プロパティマネジメント会社(担当者はプロパティマネージャー)のノウハウとなります。
このテナントの賃料は、テナントの売上高と粗利益率によって理論的に計算されます。すなわち、テナント
の売上高と粗利益率より算定される賃料算定手法を「収益還元法」と言い、収益還元法から算定される賃料
を「理論賃料」と言います。
理論賃料とは、一定の売上高を上げているテナントは、理論上、これだけの賃料を支払う能力を持ってい
る…ことを意味します。それゆえに、今現在、実際に支払ってもらっている「実際賃料」とは異なり、理論
賃料と実際賃料の差のことを「差異賃料」と言います。プラスの差異賃料額・率(理論賃料−実際賃料=プ
ラスの数値の場合)
、マイナスの差異賃料額・率(理論賃料−実際賃料=マイナスの数値の場合)が計算上発
生するわけですが、プロパティマネジメント会社は、常に、理論賃料を高めて、プラス差異賃料額・率を確
保し、潜在的にテナントの賃料アップをスムーズに数値的に出来るようにすることが必要です。収益還元法
に基づく理論賃料はデベロッパーとテナントの共存共栄の立場から算定される手法であり、その意味におい
ても理論賃料と呼びます。
理論賃料は、保証金(建設協力金の金利相当分)と年間賃料(固定賃料+歩合賃料)の合計であり、共益費
や共同販促費等は含まれまれません。共益費や共同販促費等を含んだ場合は、理論賃料ではなく、
「理論SC
経費(額・率)
」と呼びます。理論賃料は、
「売上高×粗利益率×賃料分配率」によって算定されます。SC
デベロッパーは、理論賃料の算定において、売上高と粗利益率及実質賃料(保証金の金利+年間賃料)のみ
を対象とし、一般経費は各企業や小売業から発生するものであり、デベロッパーの理論賃料算定のためには
必要ありません。
(株)ダイナミックマーケティング社
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表 六
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