7.進化心理学 (1)分野の概要 (1)分野の概要 (1)分野の概要 (2

13.10.4
(1)分野の概要
7.進化心理学
(1)分野の概要 (2)有名な人々 (3)研究例
(1)分野の概要
• 心理学と進化論の関係は非常に微妙である。 • 進化論は、心理学における「氏か育ちか」の
問題に直結する。激しく両極に振れる。 • 初期の心理学は無批判的に取り入れた。 本能論、優生学など。 • 行動主義の時代には逆にきびしく批判された。 「社会生物学」批判など。
(2)有名な人々
Charles R. Darwin, 1809-­‐ 1882 大学卒業後の1831年、ビーグル号の
世界周航に参加。1836年に帰国。 1839-­‐1843年「ビーグル号航海記」。 マルサスの人口論、畜産学、博物学
に基づいて思索を続ける。 1859年「種の起源」。 1871年「人の由来と性に関連した選
択」。 1872年「人と動物の感情の表現」。 1881年「ミミズと土(ミミズの作用によ
る肥沃土の形成及びミミズの習性の
観察)」が最後の著作。 • 「進化論」とは何か? • ダーウィンの進化論(ダーウィニズム)とは? • それは、「自然選択」による種の分化。 • 「進歩」とは何の関係もない。 • ダーウィン自身が、心理学的問題に強い関心
を持っていた。しかし彼は非常に慎重だった。
(1)分野の概要
• 現代の進化心理学は、 20世紀末から始まった非常
にあたらしい考え方。分野というより、考え方。 • その中核にあるのは、「社会的知能」がヒトの進化
に決定的な役割を果たした、とする考え。 • 仲間と協力したり、裏切ったり出し抜いたりする能力
(マキャベリ的知性)がヒトを創った。 • 「心の理論」についての研究も同様の文脈である。 • 「人間性」について重要な示唆 (2)有名な人々
Edward O. Wilson, 1929-­‐ アメリカの昆虫学者。 1975年「社会生物学 Sociobiology」
を出版。 「あらゆる社会行動の生物
学的基盤の体系的な研究」をめざし、
生態学、集団遺伝学、動物行動学
の知識を統合。大論争となる。人種
差別主義者、女性蔑視者、優生学
者、ジェノサイド支持者と非難された。
国際会議(1977)でコップの水をか
けられた。 1
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(2)有名な人々
Leda Cosmides and John Tooby 心理学者と人類学者の夫婦。 1992年、「Adapted Mind: EvoluPonary Psychology and the GeneraPon of Culture」を出版。 現代の進化心理学を創始。 ・ヒトでは「互恵的利他行動(お返し
を期待して他人に利益を与える行
動)」が著しく進化している。 ・このためには、「ただ乗り」をきびし
く見分ける能力が必要。 ・これを古典的「4枚カード問題」の実
験で検証。 ・認知心理学、社会心理学、発達心
理学に激震をもたらす。 (3)研究例:Cosmides(1989)
• 「4枚カード問題」における内容効果
• 主題型:4枚のカードは4人の人物を表す。表
に年齢、裏に飲み物。「飲酒は20歳以上」が
守られているかどうかを確かめるには最低ど
のカードをめくればいいか。
• • 酒 茶 25 16
(3)研究例:Cosmides(1989)
• 「4枚カード問題」における内容効果
• 抽象型:4枚のカードがある。表に数字、裏に
アルファベット。「母音なら偶数」というルール
があるとして、これが正しいかどうかを確かめ
るには最低どのカードをめくればいいか。 • A D 4 7
• 非常にむつかしい。正答率10%程度。
(3)研究例:Cosmides(1989)
• 「4枚カード問題」における内容効果
• Cosmides(1989):この現象は、ヒトが社会生活
の中で「裏切り者検知能力」を進化させた結
果生じている。ヒトの持つ高度な認知能力は、
社会的問題(他者との関係)を解決するため
に進化した。 • 「社会契約」の文脈」においてだけ成績が上
昇する。
• ほとんどの被験者が正解。
(3)研究例:Buss (1995)
• Buss, David M. (1995). Psychological sex differences: Origins through sexual selecPon. American Psychologist, 50(3), 164-­‐168. • • • • • 認知能力の性差という問題は、かつては危険な研究テーマであった。 しかし正直にデータを見ると、空間的認識能力には明らかな性差がある。 心的回転課題では、29例の研究で男性優位。 しかし物体位置の記憶(神経衰弱型課題)においては逆に女性優位。 これは、男性がハンターとして、女性は採集者として進化したことの反映
である。
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