Most Welcome!

平成 27 年 7 月 23 日
ツのッター
学年部長のつぶやき便り NO.5
2 学年部長
津野 誠司
Most Welcome!
今でも思い出すと元気になれる、とびっきりの笑顔が僕の心にあります。
20 代でインドを旅行しました。帰りの航空券だけをポケットの奥にしまって、あとは一人、気ま
まにリュックサック一つで自由に海外を旅する「バックパック」というスタイルです。
ベナレス(ヴァーナラシー)に 1 週間ほど滞在しました。ベナレスはヒンズー教の聖地です。こ
の聖地で死に、そしてこの聖地でガンジス川に流されたい、という目的のためだけに、ここへ「死
にに来ている」人たちがたくさんいます。ガンジスのほとりで、手を伸ばしてバクシーシ(喜捨)
を求めるやせ衰えたヒンズー教徒たちに囲まれ、僕は申し訳ないけれど彼らに「あわれさ」を感じ
ました。そのことを現地で友達になったインド人に伝えると、それは全くの誤解だ、と強く否定さ
れました。「おまえは、ヒンズー教をわかっていない。彼らはここで死ぬことが幸せなのだ。イン
ド中から、自ら希望してここへ集まってくる。彼らは決して孤独ではないし、ここで死ぬことで神
と一体となれるのだから、人生の最後に希望を叶えることになるんだ。」ラージというインドの若
者は、そう真っ直ぐな目で言って、そしてにっこり笑ったのです。
改めて思えば、病院のベッドで点滴の針を刺され、何種類もの薬を飲まされ、寝たきりで死んで
いく日本人の典型的な「死に様」と、最後まで自分の力だけで生き、太陽の下で多くの信者に見守
られて最期の時を迎え、望み通りガンジスに流されるベナレスの人々の「死に様」と、どっちが幸
福かと言われたら考えてしまいます。
布にくるまれた遺体が静かに水面を流れてくる、そのすぐ脇で、聖なるガンジスの水を幸せそう
に沐浴する人たち。生と死、聖と俗が混在し、その中で、時は、流れているようにも、止まってい
るようにも、巡っているようにも感じられました。
このベナレスで過ごした1週間は、短い時間でしたが、僕にとっては一生忘れることのない貴重
な異文化体験でした。
とびっきりの笑顔の話をもう一つ。これはオールドデリーでのこと。
古い歴史ある街を歩いていると、街の中のモスク(イスラム教の礼拝堂)からコーランの声が響
いてきました。(当時の僕はイスラムについては全く無知でした。唯一神アラーを崇拝し、排他的
で好戦的で、世界の各地での紛争に関わっているような印象を勝手に持っていました。イスラムの
皆さんごめんなさい。)コーランの朗々たる響きに誘われるように、僕は怖いもの見たさもあっ
て、モスクに行ってみることにしました。思ったよりも大きなモスクで、かなりのムスリム(イス
ラム教徒)が集まっています。礼拝者は、地下へ続く階段を次々と降りていきます。地下はクロー
クで荷物や下足を預けるようになっていました。ドキドキしながら、礼拝者をさばいていた人に勇
気を出してこう聞いてみました。
Excuse me. I’m from Japan. Not Muslim. Is it OK that I come into this Mosque?
(すみません。私は日本人で、イスラム教徒ではありませんが、モスクの中に入ってもよろしい
でしょうか?)
その次の瞬間の彼の表情を僕は忘れることができないのです。
彼は、少し目を大きくして(ちょっと驚いたような感じ)僕を見て、そして満面の笑顔で、こう
答えたのです。
Most Welcome! (大歓迎です!)
この瞬間、すべての僕の偏見は吹き飛びました。
誤解は、無知から始まり、お互いがかかわらないところで膨らみ、増長し、やがて偏見へと歪ん
でいくのでしょう。もちろん、学問を通して、つまり聞いたり読んだりしながら、偏見を少しずつ
正していくことはできますが、実際に直接会ってみると、理屈ではなく感覚的に誤解の根底が氷解
する、そういうことは時々あります。まさに、百聞は一見に如かず、です。
彼のくしゃくしゃな笑顔、本当に嬉しそうな声、身振り、手振り…。
言葉も文化もしきたりも宗教も価値観もすべて違う人間同士でも、瞬間的に分かち合える部分が
あるのだという、そのことを肌で瞬間的に経験した、これはインターナショナル(国境を超えて交
流する)体験だったと思います。
本日配布されたPTA便りでも書かせていただきましたが、今の高校生が社会の中核となる 20 年
後、日本は更なるグローバル化の渦に巻き込まれていることと思います。その兆候はいたるところ
に散見できます。
北越高校は、世界のグローバル化に対応する人材の育成を目指して、今年から海外研修をバージ
ョンアップします。
先陣を切って、Int.特進コースは 8 月にフィリピンのセブ島へ語学研修に行ってきます。これは
昨年まで行っていた、オーストラリアのホームステイ研修で、参加した生徒の多くがほとんどホス
トファミリーと会話できなかったという反省を述べていたこと等から、まずは集中的な語学力の向
上を図ろうということで、期間を倍の 2 週間に延ばして実施するものです。また、貧困問題に取り
組む現地NGOとの交流や、グローバル化とは真逆のローカルな豊かさを築こうとしている離島の
文化に触れる体験等を通して、この海外研修が単なる英語力の向上に終わることなく、豊かなグロ
ーバル社会の在り方を考えるきっかけとなることを期待しています。
12 月には、スポーツコースがスキューバダイビングライセンス取得を目指してグアムへ、普通コ
ースは日本と異なる文化、しきたり、価値観等に触れる異文化体験をホームステイで研修するため
にイスラムの国マレーシアへ旅立つ予定です。また、Int.特進コースは同じ時期に、アメリカ ボス
トンでホームステイ研修を実施します。
保護者の皆様におかれましては、お子様を海外へ行かせることに不安を覚えていらっしゃる方も
おられることと思います。保護者面談等において、特にマレーシアに対して心配する声がありまし
た。2 学期に、もう一度、説明会を開かせていただき、保護者の皆様の不安が解消され、逆にご理解
が深まるよう努力してまいります。
一つだけ、事実としてお伝えしてみたいことがございます。
仕事を退職した後、海外で老後をゆっくり過ごしたいという日本人が増えているそうです。その
長期滞在渡航先として、6 年連続
NO.1 を続けている国があります。
それがマレーシアです。
ハワイでもなく、オーストラリア
でもなく、シンガポールでもなく、
なぜマレーシアなのか?
保護者の皆様も、ぜひ、疑問をお
持ちになり、興味をお持ちになり、
マレーシアという国に、今までとは
違うまなざしを向けてみてくださ
い。きっと、たくさんの長所と微笑
みが見えてきますから。
H24 海外研修 マレーシアホームステイの一風景