【 本 文 】合流式下水道の分流化に関する実態調査・研究

1999年度 下水道新技術研究所年報〔2/2巻〕
合流式下水道の分流化に関する
実態調査・研究
1. 背景と目的
早くから下水道整備に着手したわが国の都市で
は,その多くが臨海部の低地に発達した市街地を抱
え,下水道整備にあたり浸水対策が大きな課親であ
った。これらの地域では,地形的にポンプ排水にな
るなど,整備に費用を寮することから,両水対策と
同時に汚水整備が行える合流式下水道を選択する都
市がほとんどであった。
合流式下水道では,雨天時に汚水の一都が未処理
のまま公共水域へ放流されるため,水質保全,生態
系など環境へのリスク,臭気などアメニティ…への
影響の問題を抱えている。そのため,雨水滞水池の
設置をはじめとする合流式下水道の雨天時越流水対
策が行われ始めているが,大規模な施設を必要とす
る合流式下水道の改善事業は,中小の都市では進ん
でいないのが現状である。
このような背景のなか,病原性微生物,微量汚染
物質などが引き起こす問題が注目され,生活由来の
排水を公共水城に直接放流しないための基本的な解
決策である分流化が見直されつつある。また,合流
管きょの能力不足に対する浸水対策や計画降雨確率
年の引き上げによる治水安全度の向上,さらには老
朽化に対応するための施設更新計画を併せて考慮し
た場合,分流化が有利となる場合がある。
分流化は,都市の条件によっては,時間をかけて
も計画的に取り組めば有利な施策ともなり,今後,
下水道普及率が高くなるとともに,分流化を検討す
る都市が増えると考えられる。
そこで,本研究では,合流式下水道の抜本的な改
善策の…一つである分流化に注目し,国内外における
合流式下水道の分流化に関する実態調査を行い,情
報の整理・分析を行うことにより,分流化の通用条
件,技術的な課題と対応策に関する評価を明らかに
する。,これらの分流化を進める士で留意事項の基礎
資料とすることを目的とするものである。.,
本報では,合流式下水道を採用している米国,カ
ナダにおいて合流式下水道の分流化に関する実態調
査について報告する。
米国では,現在約1,100の都市で合流式下水道を
採用しており,約20,000ヶ所の吐き口がある。その
多くは,19世紀から20世紀初頭にかけて建設された
ものである。その中で,分流化を実施・計画してい
る都市は,18都市とかなり少ない。実施・計画都市
を図−1に示す。
米国の合流式下水道越流水(CSO:Combined
SewerOverflow)における規制の歴史は,「Federal
WaterPollutionControIAct(汚水・雨水に関連する
連邦政府の管理政策)」(1972)の改正に始まった。
この法は「全米の公共用水域において魚釣りと泳
ぐことができる」ことを基本方針とした水質基準を
ー67−
1999年度 下水道新技術研究所年報〔2/2巻〕
ていたため,1994年,EPA(環境保護局)において,
「CombinedSewerOverflowControIPolicy(合流式下
水道越流水対策に関する政策)」を発表している。
分流化に対してEPAは,①費用が高い,②分流雨
水の新たな対応が必要,③代替案に比べ費用効果が
悪い,④住民に迷惑がかかる,⑤改善に時間がかか
る,などと分流化に対してあまり積極的でない報告
を行っている。
図−1米国における分流化計画・実施都市
連邦政府によって定められた。また,1987年には
「CleanWatcrAct(水浄化法)」として改定され,現
在に至っている。
しかしながら,この水浄化法は地域特性に対する
配慮,公衆衛生やリスク管理に関する問題が不足し
米臥 カナダにおいて分流化を実施している都市
のうら5都市について,①分流化の経緯,②分流化
の要因,③分流化の手法,④排水設備の切替,⑤事
業費,㊦)効果及び評価,②分流化後の課題などにつ
いて実態調査を行った。都市の概要を義一1に示す。
表−1 分流化調査都市の概要
項 目
行 政人目
降 両 の状 況
バ ン クー バ ー市
(カ ナ の
約55万人
① 年 間 降 雨量 1,
2 00 mm
豆:
計 画 降 耐 合流区域商機
(
.
ha)
新 離 ヒ対 象 商
機
(h a )
分離
ヒ済 商 機
(h a )
分 流 化 の経 緯
と状 況
分流化 の要因
4 m 沼甘
(
5年確率)
セ ン トポ ー ル 市
ミ ネア ポ リス市
(・
ミネ ソ タ州 )
(ミ ネ ソ タ州 )
約 27 万 人 l約 肺 万 人
① 年 間降 雨 巌 700 mln
② 計 画 降 雨 川0W 伽
(仕 年確 率)
約 13 ,
50 0
約 描 40
排水設備の切
替
補助制度
水 質基 準 値
分 流 化 の効 果
と評 価
ウェ イン郡 (ガ・
・
−デ ン市 )
・
(ミ シ ガ ン州 )
約 13 万 人
(:
掴 欄 渦 潮 巌 =)
00 m m
(
.
わ計 画 降 .
雨 射)
m l・
nルr
(10 年 確 率 )
(・
ミシガ ン州 )
(
吏)
年 間 降雨 量
2 5mm 以 上 の降 雨 が
5 ノ
・
レ10 回/ 年
、
約 2,
70 0
約 4 70
約 2,
70 0
約 4 70
約 3(
:
)
0
約2 .
/3 完 了
ダウ ン タウ ン地域
約 8OO
全 体 13 ,
5 00
ダ ウ ン タ ウ ン地 区 2/
3完
了
CO ダ ウ ン タ ウ ン
19 60 年 よ り分 流 化
事業着手
20 10 年 完 了 予 定
② 住 屠 地 域 2 05 0年 頃
冊期年で明%が分流式
庄:
)
198 4 年 に 分 流 化事 業 者 (
〕
:
、
)
19 85 年 に 分 流 化 事 業 者 CCl1卵 2年 よ り分 流 化 事 業 (
.
£)
l錮 0 年 よ り分 流 化 事 業
手
202 5 年 完 了 予 定
(
4(
咋 計 画)
手
200 5 年 に 完 了 予 定
(30 年 計 画 )
①雨天時越流の防止
① 汚 水 を公 共 用 水 域 (ミシ シ ッ ピ仙 川 ) へ 放 流 し
②施 設 更 新 の必 要 性 か
ない
浸水防止)
ら ,分 流 化 が 低 コ ス ト ② 宅 内 へ 逆 流 防 止 (
③ 下 流 の 州 に水 質 汚 濁 が 激 しい と提 訴 され た
分 流化 の 手法
ラ ンシ ン グ市
① 原 則 と して汚 水 ・雨 水 ① 合 流 管 を汚 水 管 と して 庄)
雨天新設
同 時施 工 (
既 設 合流 管
使 用 (雨 水 新 設 )
(
彰原 則 と して道 路 t 事 に
は撤 去 )
② 県 別 として ≠8仰以上 につ
併 せ て分 流 化 工 事 を実
着手
30 年 計 画
着手
⑦ 連 邦 ,州 の 法 規則 に よ
りC SO に対 し鋸ischa喝e
か 2 次 処 理 を義 務 化
(
郭地 形 条件 を 考 慮 し代 替
案に比べ 費用 が安 く済 む
① 汚水新設
①・
雨水新設
(
む屋 根 排 水 は道 路 へ 排 水
施
いては雨水管 と して使用
① 家 屋 の 建 替 時 に 分 流化 ① 宅 内 の雨 水 は雨 樋 か ら CD 宅 内 の雨 水 は 雨樋 か ら ① 宅 内 の 雨 水 は雨 樋 か ら
へ の 切 替 工事 を行 う
庭へ流 す
庭 へ 流す
地 表 を経 由 して , 道 路
年2 % の 改 築 率
下 水 管 へ 接 続 す る場 合
側 へ 流 出 させ る (取 付
(
2 % ×50 年 )
は ,費 用 は 地主 が 払 う
管 は 設 置 し ない )
① 1,
00 0C $ (約 7 万 )/戸
の補助
①雨 樋 を分 離 す る た め
(
力金 銭 補 助 は行 わ ず , 技
に,側 U S $ (
4,
2(
X)
H )
の補助
糞便性大腸菌
糞 便性 大 腸 菌
20 0個 / 10伽α
200 個 / 10 0 m g
(
∋施 設 更 新 を 1 % / 年 と ① 水 質 改 善
考 え長 期 間 実 施 す る こ (
む水 辺の有効利用
と に よ り, 分 流 化 が 低
術的提案 のみ
糞便性大腸菌
20 0個 / 10 0 融
(吏
)生 態 系 の 回 復 (水 質 改 ① 浸 水 被 害 が 解 消
善)
(
力大 き な区 域 で は 費 用 効
只が悪い
・
蓬)分 流 化 の 良 否 につ い て
結 論 はで て い な い
コス ト
ー68−
1999年度 下水道新技術研究所年報〔2//2巻〕
3.1バンクーバー市
一戸建の舗装面積を6割までに規制をしている。
1890年より合流式下水道事業に着手したが,CSO
放流地点での水質汚濁が進んだ。分流化整備におい
てダウンタウンでは,2/3の地区が完了しており
2010年に完了予定,その他地区では2050年に完了予
定である。
3.2 セントポール市
本市は,ミネアポリス市と併せてミネソタ州にあ
るツインシティ(双子都市)と呼ばれている産業都
市である。
1850年に下水道を着手し,ミシシッピー川に放流
していた。その後,ミシシッピー川の水質汚濁が進
んだ。1975年分流化に着手し,1984年には約1/2,
2025年に完成予定である。
3.1.1分流化の要因
1)雨天時越流の防止
放流先が海水浴場となっており,汚水が規制され
ることとなった。
3.2.1分流化の要因
2)施設更新の必要性
市の発展により下水道管が能力不足となり,市の
中心部では配管の更新が必要となった。
日 下流にあるウイスコン州から水質汚濁に関して
裁判所へ訴訟された。
2)降雨後は,ミシシッピー川から悪鬼が希ってい
た。
上記より,「ミシシッピー川に未処理水を放流し
ない」という思想から,分流化事業を行った。
3.1.2 分流化の手法
日 汚水・雨水の同時布設替え
・原則として,汚水・雨水同時施工で,開削工法に
よっている。
・汚水管は直接渡来管に接続し,汚水は汚水ポンプ
を経由して処埋場に送水する。雨水は,地区内の
3且芝・分流化手法
宅内排水設備の分流化が完了するまで,分水堰で
分水を行う。
2)亀内切替
既設管については,樟00以上を雨水管として使
用し,それ以下を汚水管として使用した。
2)宅内切替
・1960年に分流化事業を進めており,19植年より新
築のビル・一戸建については,分流設備を義務化
している。
宅内の雨水は,原則として雨樋を切り離して厳に
放流するものとし,下水道管に接続する場伽ま地主
が負担しなければならない。。
3)道路排水の分離
分流化工事は道路の舗装工事と併せて行った。そ
の際の舗装費用の内訳は,分流化(下水通謀),市
の…V・般財源,道路周辺の地主が各1/3ずつ算出して
いる。
4)浸透の促進
1)汚水新設
・ダウンタウンにおいては年間2%の櫨渡しが行わ
れており,建直し時に排水設備の切替を依殖して
いる。100%÷2%/年ニ50年計画としている、二ノ
3.1.3 事業費
分流化に係わる事業費は約14億C$(約980億円),
740万円/haとされている。
道路に多くの植樹を行い,雨水の流出を低減させ
ているとのことであった。
3.1.4 評価と効果
30∼50年間の長期間分流化を行うことにより,分
流化が他の施策に比べ費用が安く行えた。
ウオーターフロントの利用や水路(水辺)の復活
ができ,雨水は資源であるという考え方が芽生えた。
3.1.5 その他
1)住民説明
分流化工事依頼の通知をし,30日以内に土地のオ
ーナーに返答を貰う。
2)浸透の促進
雨水の流出を低減するために,市の条例において
3.2.3 効果
1)ミシシッピー川の水質改善
分流化を促進したことにより,川の水質は規制値
糞便性大腸菌が200個/100刑ゼ以下になり,水浄化法
(CWA法)の「泳げて魚釣りができる」基準を満足
している。
2)ミシシッピー川周辺の有効利用
川の悪臭,汚濁が少なくなったことにより,市民
の憩いの場として有効利用されている。
3)インフラの整備
−69−
道路整備など様々なインフラの整備につながり,
1999年度 下水道新技術研究所年報〔2/2巻〕
都市の産業に大きく貢献している。
吐け口の統廃合により,以前まで影響が少なかっ
た近隣の小さな湖に雨水が流入しており,今後影響
評価を図っていくとのことである。
4)分流雨水の汚濁対策
本市では,多くの湿地帯を設けており,雨天時に
おける初期汚濁(ファーストフラッシュ)負荷の低
減を図っている。
3.3 ミネアポリス市
本市は,セントポール市とミシシッピー川をはさ
んで対岸にありセントポール市と同様な背景事情が
あった。1960年から道路舗装の改良工事を行うとと
もに分流化を図り,2005年に完了予定である。
3.3.1CSO対策案の比較
3.4 ランシング市
分流化の対象地域は,市の合流区域約2,700haで
あり,計画では約30年間の事業で完成予定である。
現在約300ha,約2,500世帯の区域について分流化済
みであり,約300haのうち,宅内排水設備の切替は
98%完了している。
CSO対策を行うにあたり,完全分流化,貯留,部
分分流化,全量処理について検討を行い,事業費が
必ずしも低廉ではないが社会的なイメージ,技術的
管理の容易性から,分流化を行うことを決定した。
3.3.2 事業費
1986年までの総事業費は約9,700万$(約100億円)
であり,全額ミネアポリス市の支出で雨水管の新設
が進められた。
3.4.1分流化の要因
1錮年以降の連邦政府,州,市における事発費の
負担割合を図−2に示す。連邦政府の補助は1990年
に,州の補助は1個年に打切られ,1996年以降は市
単独事業となっている。
れた。このため,表…2に示す3つの代替案により
轍も経済的であった分流化を採用した。
本市では遼東管が川に沿って建設されており,川
が市内を縦断に流れていることから,雨水管を新設
連邦及び州の法規制(NPDES)により,放流回
数を0回とするか二次処理を行うことが義務づけら
7
する区間が短くて済むため,分流化が効果的であっ
た。また,分流区域が一部であったため,その区域
を増やすことがよいと判断した。
1)完全分流化(A塞)
′
O
J
4
−す.﹁へ.一.一
q
{ 連邦政府
■川
口 有
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J
り
仙
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卜獣−
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こミニ
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ズよへ−一
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トミニ
0
図−2 ミネアポリス市の分流化事業費の内訳
3.3.3 結果と効果
1)水質の改善
大腸菌が600個/1001舶(1981年)から175個/100
融(1995年)と基準値200個/100融を満足した。
全区域を分流式に変更する。汚水管を新設し,既
設管は雨水管とする。∴雨水巣の放流口での処理は行
わない。
2)貯留施設(滞水池)の設置と部分分流(B案)
貯留施設(滞永池)を設置し,ピークが過ぎた後
に処理場へ送水し,2次処理を行う。
3)分流化と部分的に貯留施設の設置(C案)
中心の商業地区と重工業地区など建設が困難なと
ころでは貯留施設を建設して対応し,その他につい
表−2 ランシング市におけるCSO対策代替案
(単位:百万$)
建 設 費 用
貯 留 管
3.3.4 課題・問題点
1)臭気の集中化
吐けHを統廃合したため,当初分散していた臭気
が,残っている合流桝に集中するようになった。
2)汚水管への雨水の流入
完全な分流化は不可能であり,雨天時に汚水管へ
雨水が流入している。
3)放流先の変化
一70一
処 理 場 改 良
調 整 槽
ポ ン プ 場
分 流 管 , 遮 集 管 , 増 補 管
小 計
管 理 , 設 計 , 手 続
き , そ の 他
仝 事 業 費
年
間 支
出 額
A
案
B
案
C
案
0
4 7 .6
1 6 .9
1 1 .8
1 9 .3
1 1 .8
8 .6
7 .2
8 .6
3 .2
8 .4
3 .2
1 1 2 .1
8 6 .7
9 9 .1
1 3 5 .7
1 6 9 .2
1 3 9 .6
4 0 .7
5 0 .7
4 1 .8
1 7 6 .4
2 1 9 .9
1 8 1 .4
2 6 .7 5
3 3 .8 7
2 7 .
7 1
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ては分流化を行う。
計画対象の中にガーデン市などの分流化計画があ
る。
3.4.2 分流化の手法
1)汚水管を新設
大半は開削工法で行い,約2,700haの整備を行う
予定。
2)宅内切替
図入りレターを各家庭へ送付し,技術提案は行う
が,金銭的補助は行わない。
宅内切替は,建物の所有者が行う。分流化を行わ
ない場合,市のサービス(下水道の使用禁止,土地
の使用制限など)を打切るようにしている。
雨樋は桝に流入させず地表面を経由して,道路側
藩へ流出させる。
3.5.1分流化の要因
要因について6つの項目を挙げている。分流化の
適否は,対象地域を小さな地域とすることが,重要
であるとしている。
① 合流区域が小さいエリアの場合
② 費用効果が高い場合
(郭 CSO対策施設の設置場所が無い場合
④ 既存の合流施設が能力不足であるか,信頼性に
欠ける場合
⑤ インフラとしての他のニーズがある場合
⑥ 多目的プロジェクトがある場合
3.5.2 分流化の手法
3.4.3 事業費
分流化に係わる事業費は,約2,700haで17,600万
$(約176億円),約650万円/ha(1992年試算値)
とされている。
日 商水管の新設
既存合流管を汚水管に用い,雨水管を新設してい
る。
3.4.4 効果
日 規制への対応
州からの規制(放流回数0回か2次処理)に対し
て,他の施策より費用が安く済んだ。
2)授水被害の解消
この地区では,雪解け水の影響により,度々地下
室に水が逆流し浸水が発生することから,この間題
も解決することが可能 なった。
3.4.5 その他
自 分流雨水の汚濁対策
分流雨水の汚濁については現在考えておらず,将
来的に必要になった際に施策を考えることである。
現在,雨水に対しての規制は無いが,2へ・3年後には,
規制される状況にある。
2)住民への対応
住民への告知は,分流化工事の18ケ月前に通知し,
工事前にはレターを出し,さらに公民館で住民説明
を行っている。また,苦情,問い合わせとして相談
室を設置し,対応を図っている。しかしながら,全
ての住民の理解は得られにくいとのことである。
3.5 ウェイン郡(Rouge計画,ガーデン市)
Rouge川はミネソタ州で最も汚染された川であ
り,五大湖の水質保全を図るためのCSO計画
「Rouge川計画(RougeRiverNationalWetWeather
DemonstrationProject)」が1992年より進められた。
2)宅内切替
屋根排水を菅栄に流入させ地表面を経由して道路
流出した場合,各期に路面凍結が生じている。
3、5、3 事等費
市における分流化に係わる事業費は472haで3,200
万$(約32億円),約680万円/haと射tている。
3息4 分流化の評価
1)ガーデン市の評価
1980年代より分流化計画・整備を開始し,2/3の
地区が完了している。分流化の良否については,結
論が出されていない。残りの地区についても分流化
を進める方向で考えている。,
2)ウェイン郡の評価
分流化に対しては否定的な見解が多く,①住民の
理解が得られにくい,②雨水(新設雨水を含む)へ
の誤接があり,雨水水質に問題が生じることであっ
た。
3息5 その他
1)インフラの整備
住民の要望により分流化に伴い車道,歩道の舗装
工事も併せて行っている。
2)誤接
雨水管への誤接が10∼20%と大変多く,大腸菌郡
の問題が生じている。
さらに,雨水管への不明水が多く,雨天時に設計
−71−
1999年度 下水道新技術研究所年報〔2/2巻〕
容量以上の雨水が投入し,浸水被害が生じている。
3)分流雨水の汚濁対策の必要性
河川への放流流量変動により,生態系に与える影
響が大きいことも分流化の短所として挙げている。
4)住民への対応
5)分流化の効果・評価
分流化により公共水域が水質改善され,生態系の
回復に大きく寄与したことや,市民の水辺空間とし
住民との関係を重要としており,労力の3/4は苦
情処理に使われた。住民への説明会の参加人数は少
なかった。
る。一方で,不明水,誤接などによる分流化に伴う
問題が発生している都市においては,効果は十分と
は言い難いとのことであった。
6)住民告知
事業実施都市において最も重要視したのは,住民
対応の問題であった。
4.1調査のまとめ
1)分流化の要因
調査を行った多くの都市は,末処理水を放流させ
ないという背景から分流化事業を行っている。
2)分流化の手法
4.2 我が周における適用条件
実態調査を踏まえ,さらなる検討が必要であるが,
我が国における分流化の一つの適用条件として以下
の項目が考えられる。
ての有効利用,さらには浸水の解消,他事業との連
携によるインフラ整備に繋がったことを挙げてい
浸水被害が発生している都市においては,雨水管
を新設している。
排水設備の切替については,雨樋を切り離し,庭
へ放流し,地表面から,道路側藩へ流出させるケー
スが多数であった。
3)事業費
今回調査を行った各都制よ,「分流化が安価であ
る」ということが多数であったが,これらは,「汚
水を放流先に越流させない」という厳しい規制が要
因となっており,分流化を30≠50年の長期間かけて
行っているものであった。
4)分流化後の対策
ノンポイント対策や雨天時増水対策など,多くの
課題も残っていることも認識をしており,叩一部の都
市では分流化と併せて実施されていた。
研究第二部研究員
研究第二部研究員
研究第二部研究員
本調査で得られた知見を基に,今後分流化を進め
る場合の基礎的な資料に役立つものと恩われる。
篠田 康弘
長谷川隆之
藤浦 哲士
神谷 佳宏
大塚 正典
−72−
●この研究に関するお問い合わせは
研究第二部長 中里
研究第二部主任研究員 市川
研究第二部研究員 神谷
研究第二部研究員 大塚
治一宏典
研究第二部主任研究員
4.3 おわりに
卓裕佳正
●この研究を行ったのは
研究第二部長
① 合流区域が小さい場合
(勤 費用効果が高い場合
③ 環境へのリスク,鬼気などアメニティーへの影
響の問題を抱えている場合
毎〕既存の合流施設が能力不足であるか,老朽化し
ている場合
信)インフラとして再整備が行われたり,アップグ
レートが求められる場合