透過型スクリーン・MMD製作

透過型スクリーン・MMD製作
中原 望
る。アミッドスクリーンは、図1を見本に作っ
ていく。
中村 公紀
平岡 紘弥
1.まえがき
僕たちは、今年の課題研究で透過型スクリー
ン(アミッドスクリーン)、及びMMD (Miku
Miku Dance)の製作をした。普段触れることが少
ない工作機械や、初めて扱うソフトウェアを用
いての作業が多く、不安があったが、どんな映
像ができるか期待もあった。
2.原
理
透過型スクリーンの原理は単純で、スクリー
図1
ンのほぼ正面からプロジェクターの投射光を、
視覚者の方向に効率よく散らばらせることで明
るい映像を実現する。プロジェクター以外の光
見本
3.研究内容
は、スクリーン上での不要な散らばりを最小限
まずは透過映像を映し出すのに欠かせないア
に抑えることで、プロジェクター映像への影響
ミッドスクリーンの製作から取り掛かり、完成
を抑え、高いコントラストを実現するものであ
後にMMDによるモーションを製作、という順
る。
番で作業を進めていった。
今回僕たちが製作したアミッドスクリーンは、
網戸を使ってこの技術を再現させたもので、網
戸の網の部分に映像を映し出し、網目の部分を
利用することで効率よく投射光を映す。また、
部屋を暗くすることによってスクリーン上での
(1) アミッドスクリーン製作について
まず最初に、透過型スクリーン「アミッドス
クリーン」を製作した。
使用した材料は、網戸用ネット(灰色のもの)、
不要な散らばりを抑えるようにしたものである。
塩化ビニル製水道管、HI継手各種、ボルト、ナ
このスクリーンにプロジェクターで映像を投影
ット、ビニルテープ。
することで、映像を透過映像として映し出し、
モデルを立体に見せることで実際に踊っている
ように見せる。モデルはMMDを使って作成す
使用した道具は、金ノコギリ、金ヤスリ(平)、
ボール盤、万力。
まず、スクリーンの骨組みとなるパイプを製
作していく。
塩化ビニル水道管を万力で挟んで固定し、金
ノコギリを用いて切断する。その後、金ヤスリ
で切断面を削り、寸法通りになるように長さを
調節すると同時に、切断面を綺麗に整形する。
その際、余計な切れ端も後の過程で必要となる
ので捨てずに保管しておく。なお、パイプの寸
法、本数は以下の通り。
1130mm×1、980mm×2、950mm×2、900m
m×4、435mm×2、200mm×2
パイプの切り分けの次は、土台部分と支柱部
分を接続するための繋ぎ手を製作する。
継手チーズの片側にパイプの切り分けの際に
できた切れ端を挿入し、もうひとつの継手チー
ズの片側と直角に交差するように接続する。こ
の際、正確に接続ができていないと支柱が垂直
にならないので、慎重に作業し、接続後はビニ
図2
完成したアミッドスクリーン
(2)MMD製作について
ルテープでしっかりと固定した。
モデルはすでにあるものを使用し、モーショ
継手が完成すると、一旦仮組みをし、土台部
ン製作を中心に作業を進めていった。
分と支柱部分を支えるための骨組みを作る。
使用したモデルは、つみだんごさんのつみ式
骨組みとなるパイプとフレーム部分を合わせ、
駆逐艦島風をお借りした。(図3)
ちょうど交差する部分に印をつけて、その部分
にボール盤で穴を開ける。電動ドリルではなく
ボール盤での作業のため、組み立てながらの作
業ができず、一箇所に穴を開けるたびに仮組
み・分解を繰り返した。そのため、とても時間
がかかり、また慎重に作業を進めていった。
すべての穴開けが終了し、ボルトとナットで
骨組みを固定したら、スクリーンが自立するこ
とを確認し、網戸をフレームに張ってアミッド
スクリーンは完成である。
図3
つみ式駆逐艦島風
モーションは、左右の動きが少なくアミッドス
クリーンに収まるものを考え、ラジオ体操第一
を製作することにした。最初は、参考書(図4)
5.あとがき
を見てやりながら作成していった。製作のため
工作は経験したことある作業だったのでアミ
に参考にしたのは、動画や自分自身の動きを参
ッドスクリーン自体の製作は基本的簡単に行う
考にした。
ことができました。しかし、MMDは使ったこ
となくMMDになれることから始まったのでと
ても大変でした。人間の関節を一つ一つ動かす
と聞いて少し不安だったけれど徐々に動かしか
たも分かっていき無事に製作することができま
した。(中原)
アミッドスクリーンは他の2人が頑張ってく
れたので、網戸の貼り付けや穴開けの印付けを
するくらいでした。なので、僕は主にMMDの
モーション製作のほうを頑張りました。最初は
モーションの動かし方や、MMDアプリの見方
も分からなかったので、全然作業が進みません
でした。操作の仕方を見ても少ししかできませ
んでした。なので、できるようになったときは
嬉しかったです。(中村)
今回の研究は先生に勧められて始めたのです
図4
参考書
が、使ったことのないMMDに慣れるところからの
スタートだったので、とても大変でした。しか
し、この技術を先生から紹介してもらった時に
4.まとめ
普段の実習でもあまり使わない工作機械を用
いてのアミッドスクリーン製作、今まで扱った
ことのないソフトウェアを用いるMMD製作など、
研究の大半が慣れない作業であったため、ソフ
トウェアを使いこなせるか、綺麗な透過映像を
映し出せるかとても不安だった。特にMMDは、自
由度が高いソフトウェアである反面、操作がと
ても複雑で、キャラクターのスキンデータを読
見た透過映像を自分も作りたい、という思いか
ら、製作に励むことができ、自分たちで作った
スクリーンに映像を投影したときはとても感動
しました。MMDの操作はまだまだわからないこと
が多く、製作中も班員に頼ることがほとんどだ
ったので、今後はMMDの知識をもっと深め、自分
ひとりで作品を作ることができるようにしたい
と思いました。(平岡)
6.
参考文献
み込ませるだけでも苦労した。しかし班員と協
力することでキャラクターを動かし、無事に透
過映像を投影することができた。
(1)
アミッドスクリーン製作
アミッドスクリーン研究室
http://textalk.moe-nifty.com/
(2)
MMDモデルデータ
つみ式駆逐艦島風
https://bowlroll.net/file/29455
(3)
参考書
MMDでPさんと呼ばれる本
http://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784
798121659