彗星の思考

第 2 回 4月センター試験本番レベル模試[地学Ⅰ]講評
地 学 Ⅰ
高得点獲得への戦略を持って学習しよう!
Ⅰ.全体講評
Ⅱ.設問別分析
第 2 回 4 月センター試験本番レベル模試は、大問
0
数や難易度、大問ごとの出題分野を 2012 年度のセ
ンター試験に準じた形をとった。大問ごとの出題分
野は、第 1 問が地球、第 2 問が岩石と火山活動、
第 3 問が地質図と先カンブリア時代、第 4 問が大
気、第 5 問が太陽系の天体と恒星であった。
今回の受験者全体の得点分布は、次のようになっ
ている。平均点は 45.8 点であった。なお、2012 年
度センター試験の平均点は 69.5 点である。まだ大
きな開きがあるのは当然であるが、今後 1 年ないし
20
大問別得点率(%)
40
60
80
第1問
100
47.6
44.5
第2問
47.4
第3問
43.2
第4問
46.2
第5問
2 年間で到達すべき目標を明確にしよう。その上
で、
「センター試験とはどのようなものか」という
2012 年度のセンター試験地学Ⅰは、大問 5 題の
ことを知り、センター試験を受験する上での心構え
構成であった。第 2 回 4 月センター試験本番レベル
をし、これからの学習に取り組んでほしい。
模試もその方針に従って出題した。今回、選択肢数
が増えると極端に正答率が下がるという傾向が顕著
得点分布 地学Ⅰ
30
であった。センター試験では 4 択での出題が多い
が、6・8 択でも出題されている。選択肢数に惑わ
平均 45.8%
25
されないよう、確実な理解が必要である。以下の傾
向と対策を踏まえ、しっかりと復習に取り組んでほ
受 20
験
者
数
の 15
割
合
(%)10
しい。
第 1 問 リソスフェアとアセノスフェア・地震と断層
応用問題を解くための基礎の確認。
第 1 問は地震・プレートテクトニクスの基礎問
5
満点
90
∼
80
∼
得点率(%)
70
∼
60
∼
50
∼
40
∼
30
∼
20
∼
10
∼
0∼
0
題である。これから応用問題に挑戦していく上で必
要となる基礎知識の確認という位置づけと考えても
らいたい。センター試験で出題される計算問題は簡
単な計算で済む問題がほとんどであり、特に計算テ
クニックを要するような問題は出題されない。むや
みに地震のエネルギーとマグニチュードの正確な関
係式を覚えるよりも、本問のようにマグニチュード
の定義を覚える方が有効な場合も多い。
マーク番号
正 答
正答率
1
2
3
4
5
6
③
②
①
②
①
②
19.5% 64.0% 63.5% 48.0% 50.8% 48.8%
/5
第 2 回 4月センター試験本番レベル模試[地学Ⅰ]講評
問 1 1 各選択肢の選択率
⑥
⑤ 10.0%
9.6%
48.0% であった。問 5 は地震マグニチュードと地
震エネルギーの関係を答える問題である。マグニ
①
27.1%
なることは覚えておきたい。正答率は 50.8% で
あった。問 6 は地震の初動の方向を考える問題
④
10.0%
③
(正答)
19.5%
チュードが 1 違うと地震エネルギーは 101.5 倍に
である。断層の動きによって西向きに動く地点が
②
23.7%
※注)無回答・マークミスは割愛したため、
選択率の合計は 100% にならないことがある。
以下同様。
どこであるかを考えればよい。正答率は 48.8%
であった。
第 2 問 安山岩・火山活動
理由がわかるものは理由まで理解して、初め
て及第点。
A 地球の層構造と、その発見のきっかけと
第 2 問は岩石に関する出題である。A は火成岩の
なった地震波の性質について問う知識問題であ
中でも特に安山岩に注目した問題である。知識問題
る。いずれも受験の地学としては基本的であり、
であるので、覚えていなければ正解できないタイプ
これらの問題が正解できないようでは応用問題に
の問題である。ただし、センター試験のレベルから
は手も足も出なくなってしまう。問 1 はマント
すればややレベルが高い。B はマグマと火山の関係
ル上層の性質を答える知識問題である。マントル
を考える、センター試験のレベルとしては標準的な
上層のことを問われているということに気づく必
問題である。知識問題に見えるかもしれないが、理
要があり、地殻下層と誤解すると ① を選んでしま
由がわかりやすいので、なぜそうなるのかもわかっ
うことになる。深さから考えて、地殻にしては深
ておきたい。センター試験で理由を問われる問題が
過ぎることに気づいてほしい。正答率は 19.5%
出題されてもおかしくない。
と極めて低かった。選択肢 ① ~ ③ には絞れたもの
の、そこから正解までたどり着くことが難しかっ
たことが伺える。問 2 は本質的にはプレートに
ついての知識を問う問題である。地殻とプレート
マーク番号
7
8
9
10
11
12
正 答
④
①
③
④
③
④
正答率
28.3% 38.2% 49.0% 24.2% 65.6% 70.8%
は似て非なるものであり、センター試験レベルの
基本問題を出題する試験では頻繁に出題される。
問 4 10 各選択肢の選択率
「上層がリソスフェア、下層がアセノスフェア」
という名称もよく出題される。リソスフェアがい
わゆる“プレート”に相当する。正答率は 64.0%
であった。問 3 は地震波の S 波の性質を問う知
⑥ 16.0%
識問題である。S 波が横波であることは覚えてお
く必要がある。横波である S 波が液体や気体の
中を伝搬しないことは外核の発見に関わる重要な
ポイントであるから、絶対に見落としてはならな
① 0.8%
② 0.7%
③ 1.4%
④
(正答)
24.2%
⑤ 56.9%
い。正答率は 63.5% であった。
A 安山岩についての知識問題である。セン
B 地震と断層の関係を考える考察問題であ
ター試験では、特定の火成岩について集中的に問
る。考え方は国公立 2 次試験や私大入試でも役に
うことは少ない。本問はセンター試験レベルの問
立つものである。問 4 は断層の種類とよく見ら
題としてはやや高度な問題と考えてよいであろ
れる場所を答える問題である。入試において海溝
う。問 1 は純粋に安山岩の知識を問う問題であ
付近で見られる断層を問われたら、上下の変位が
る。知っているかどうかで差がついてしまうが、
起こる正断層・逆断層(多くの場合は逆断層)の
レベルとしてはやや高度な問題である。島弧 ─海
ことをいっていると思って構わない。正答率は
溝系で安山岩が量産される仕組みも理解しておき
/5
第 2 回 4月センター試験本番レベル模試[地学Ⅰ]講評
たい。問 3 のように結晶分化作用や部分溶融に
ついて問われることもある。正答率は 28.3% と
低かった。問 2 は安山岩に含まれる鉱物を問う
定番問題である。覚える以外に正解する手段はな
マーク番号
13
14
15
16
17
18
正 答
④
①
③
①
④
①
正答率
46.1% 47.0% 36.0% 49.6% 41.1% 65.8%
いが、含有鉱物をグラフ表示した図を視覚的に覚
えるのがよいだろう。正答率は 38.2% であった。
問 3 15 各選択肢の選択率
問 3 は安山岩質マグマの発生について問う問題
①
5.6%
である。消去法で考えると、どうしても ③ は外せ
ないことがわかる。結晶分化作用が進むとともに
SiO2 重量% は増えることも押さえてくべきポイ
ントである。正答率は 49.0% であった。
④
46.9%
B 火山の噴火とマグマの関係を答える問題で
ある。センター試験としては標準的なレベルの問
②
11.4%
③
(正答)
36.0%
題である。正解を論理的に導けるので、スッキリ
A 地質図を読み取る、センター試験の定番問
とした気持ちで解答できる問題であろう。問 4
題である。走向・傾斜の読み取り方はセンター試
はマグマの粘性と火山噴火の激しさの関係を答え
験では必須であり、それだけで 10 点程度の差が
る問題である。粘性の大きい火成岩が噴火口に蓋
ついてしまう。問 1 は地層の傾斜から地質構造
をするように固結すれば噴火は激しくなるであろ
を読み取る問題である。鍵層は地質構造とは全く
うことは想像がつきやすい。正答率は 24.2% と
関係がない。背斜・向斜は褶曲と関わるものであ
低かった。問 5 はマグマの揮発性成分の成分を
り、傾斜の方向や大きさが変化することを確認し
答える問題で、センター試験タイプの問題でよく
ておこう。正答率は 46.1% であった。問 2 は地
出題される問題である。二酸化硫黄のイメージが
層の走向・傾斜を答える定番問題である。手順は
強いかもしれないが、マグマの揮発性成分のほと
決まっているので、何度か繰り返しているうちに
んどは水蒸気である。正答率は 65.6% であった。
マスターできるであろう。走向・傾斜の記号での
問 6 は SiO2 の量と火山の形体の関係を答える問
表記方法に注意したい。正答率は 47.0% であっ
題であるが、本質的にはマグマの粘性との関係を
た。問 3 は断層によるズレを答える問題である
考える問題である。SiO2 の量が多いほどマグマ
が、水平な地層があるので答えやすい。断層面も
の粘性が大きくなることは問 3 で答えているの
地層と同じく走向・傾斜で表現される。選択式の
で、粘性が小さいマグマによって形成されやすい
問題なので正解することは容易いが、記述式の試
ものから順に答えればよい。粘性が小さければ横
験で断層が傾いている方向を問われても答えられ
に流れやすく、高さが低い火山になることは想像
るようにしておきたい。正答率は 36.0% であっ
できるであろう。正答率は 70.8% であった。
た。問 4 は地史を読み取る定番問題である。 ① ③
を選んでしまった場合は早急に復習が必要であ
第 3 問 地質図・先カンブリア時代
る。最後に断層が来なければおかしい。B、C、
頻出問題をマスターし、得点を確保。
D 層の中で最下層にあるのは B 層であることを
第 3 問は地質の問題である。A では地質図から走
読み取れるかどうかかポイントになる。正答率は
向・傾斜を読み取る問題は頻出なうえに考察手順が
49.6% であった。
決まっているので、必ずマスターして得点を確保し
B 先カンブリア時代の岩石について答える問
たい。B では縞状鉄鉱層の形成とオゾン層の形成
題である。問 5 は岩石の変遷を答える問題であ
は、似ているような感じを受けるかもしれないが、
る。相対年代と放射年代がどのようなものか、
時期が全く異なっているので注意してほしい。
しっかり理解しておくこと。変成作用は地球全域
で起こっているわけではないので、① ③ は不適切
である。正答率は 41.1% であった。問 6 は地球
での光合成生物の出現の影響を答える問題であ
/5
第 2 回 4月センター試験本番レベル模試[地学Ⅰ]講評
る。片麻岩は変成岩であり、地球の酸素の増加と
た。
は関係がないので、② ④ を選んではいけない。正
B 日本付近の気象現象についての問題であ
答率は 65.8% であった。
る。いずれも頻出かつ基本的な問題である。問 4
は台風の発生・定義について問う知識問題であ
第 4 問 大気の大循環・台風
る。そもそも日本列島の緯度を覚えておくことが
いずれも基本問題。1 問たりとも妥協はでき
ない。
正解のコツといえる。台風か否かは風速で決ま
第 4 問は気象現象についての定番問題である。
40.7% であった。問 5 は台風の進路変更の原因を
いずれも入試の地学では頻出問題であり、かつ基本
答える問題であるが、 ④ 以外には考えられない。
的な問題であるから、全問正解できるようになりた
台風の進路が台風自身の風によって変わるのは文
い。
「知らないから正解できない」というのではな
脈的にも不自然だし、黒潮は海流であって気流で
く、
「知らなかったけど、こうでなければおかしい」
はない。消去法でも正解できる。正答率は 60.1%
という思考方法も身につけておきたい。南半球にお
であった。問 6 は北上する台風の風の強さにつ
ける気象現象にも注意したい。
いての定番問題である。南半球で発生した熱帯低
マーク番号
19
20
21
22
23
24
正 答
③
②
③
③
④
①
正答率
39.5% 34.8% 51.6% 40.7% 60.1% 33.0%
り、その境界は風速約 17 m/s である。正答率は
気圧が題材になる可能性も考えられる。答えを覚
えるのではなく、イメージをつかんでおきたい。
正答率は 33.0% であった。
第 5 問 太陽系の天体・惑星の距離
問 6 24 各選択肢の選択率
④
12.7%
③
12.7%
①
(正答)
33.0%
センター試験で何度も出題された問題。高得
点への足がかりにしよう。
第 5 問は天文学の問題である。A は太陽系の天
体、B は恒星についての問題である。いずれもセン
ター試験の過去の問題にも類題が多数ある。正解で
はない選択肢についても復習しておくとよい。天文
②
41.0%
A 地球規模の大気循環の問題である。いずれ
も頻出かつ基本的な問題であるので、3 問とも正
解したい。問 1 は太陽放射で発せられる電磁波
を答える問題である。消去法で考えても正解でき
学の問題は比較的ひねりが少ないので、素直に考え
れば正解しやすい傾向がある。それだけに得点源に
しやすい分野ともいえる。
マーク番号
正 答
正答率
25
26
27
28
29
30
④
②
②
②
②
①
66.2% 52.7% 37.0% 47.2% 32.1% 38.2%
る。① ② は放射ですらなく、問題外である。地球
放射が紫外線であれば、地球上の動物は死滅する
であろう。正答率は 39.5% であった。問 2 は中
緯度帯での熱輸送の担い手を答える問題である。
ハドレー循環と誤答しやすいだろうが、ハドレー
問 5 29 各選択肢の選択率
④
18.7%
①
13.5%
循環は低緯度地域で有効な大気循環なので、ここ
では適当ではない。ジェット気流と偏西風波動は
混同されがちな用語である。両者の違いに注意し
たい。正答率は 34.8% であった。問 3 は降水量・
③
34.9%
②
(正答)
32.1%
蒸発量の分布を答える問題である。降水量の緯度
A 太陽系惑星と彗星についての知識問題であ
分布は特徴的なので、降水量の分布だけを見て正
る。問 1、問 2 は過去にも何度も出題されている
解することも可能である。正答率は 51.6% であっ
問題なので、必ず正解したい。問 3 はセンター
/5
第 2 回 4月センター試験本番レベル模試[地学Ⅰ]講評
試験レベルの問題としては目新しい。問 1 は木
し、問題を消化するだけでは効率が悪い。相手を知
星型惑星の特徴を答える問題である。木星型惑星
り、相手の特徴を理解した上で戦いに挑むのは勝負
の自転周期は地球の半日に満たないほど短い。平
事の鉄則であり、入試でも同じことが言える。高得
均密度が小さいことは有名である。正答率は 66.2
点獲得のためにはセンター試験の特徴を見抜くこと
% であった。問 2 は小惑星帯の位置を答える問
も大事なポイントである。
題である。覚えておく以外に正解する方法はない
が、小惑星帯がちょうど地球型惑星と木星型惑星
◆知識を使いこなす練習をしよう
の境界にあるところが興味深い。正答率は 52.7%
センター試験の特徴として「知っているだけでは
であった。問 3 は彗星の尾の伸びる方向を答え
解けない」という点が挙げられる。教科書や参考書
る問題である。彗星の尾は太陽風によって生じる
に太字で書かれたことをただ覚えただけでは高得点
ものなので、尾は太陽と彗星を結ぶ直線に沿うよ
は獲得できない。太字で書かれたことは大切なポイ
うに伸びる。彗星の運動とは関係がない。正答率
ントではあるが、センター試験ではその現象が起こ
は 37.0% であった。
る理由や、関係式を用いた計算問題が出題され、そ
B 恒星の距離と銀河に関する問題である。セ
こで差がつく。高得点を獲得するためには、地学の
ンター試験で銀河が問題になる場合、ハッブルの
それぞれの分野の論理をしっかり理解することに
法則と絡めて問題になることがほとんどである。
よって知識を使いこなすことが必要になる。そのた
問 4 は恒星の距離の測り方を答える問題である。
めには演習を多くこなすことが有効である。問題を
測定技術の進歩の歴史から考えて、比較的近い恒
解くことで思考を磨き、より高度な論理力と思考力
星について答えればよいことに気づいてほしい。
を身につけよう。
本問での「秒」は「角度」の単位である。スペク
トルと後退速度は比較的遠い恒星や銀河に用いる
◆過去問の徹底演習
ものであり、しかも「スペクトルから後退速度を
今後の長期的な学習計画の中に、必ずセンター試
割り出す」という関係にある。年周光行差は恒星
験の過去問演習を組み込んでほしい。センター試験
の距離を表すものではない。正答率は 47.2% で
では、過去問と類似した内容が出題されている。傾
あった。問 5 はパーセクと年周視差の関係を答
向を把握し、時間配分の訓練をするためにも、過去
える計算問題である。年周視差は微小な角度であ
問は徹底的に演習を積もう。最低でも現行課程の 7
り、パーセクとは反比例の関係にあるとみなすこ
年分、できれば 10 年分は演習してほしい。何度も
とができる。正答率は 32.1% と低かった。問 6
解きなおし、センター試験の感覚を体に刷り込ませ
は恒星の明るさと距離の関係にもとづいて答える
よう。なお、正答以外の選択肢についても考察する
問題である。国公立 2 次試験や私大入試でも明る
など、丁寧に学習をすすめることが、過去問を演習
さ・等級・距離の関係は出題されることがある。
する上で重要となる。得点に一喜一憂せず、腰を据
センター試験レベルとしてはやや高度な問題では
えて取り組もう。
あるが、論理の進め方をよく理解して他の受験生
に差をつけたい。正答率は 38.2% であった。
Ⅲ.学習アドバイス
◆センター試験の特徴を見抜こう
今回のセンター試験本番レベル模試は、センター
試験の過去の問題で何度も出題された頻出問題を数
多く含んでいる。センター試験の性質上、毎年頻出
問題が「これでもか」というほど繰り返し出題され
るという特徴があり、受験する側の者としてはこれ
を利用しない手はない。ただやみくもに知識を増や
/5