2016年2月記事 - 全造船機械労働組合

企業・産業動向レポート
= 2016年2月1日~29日の報道内容 =
Ⅰ.各分会所属企業、関連企業・関連地域の状況
◎函館ドック労連関係
◆名村造船所/営業益7割減65億円、タンカーなど21隻受注【2/4】 名村造船所が3日発表した2015年4~12月期連結
決算は、営業利益が前年同期比68%減の65億円に落ち込んだ。期間中はリーマン・ショック後に受注した低船価船の建
造が中心だったほか、中長期的戦略により成約した新規開発船など一部で工事損失引当金計上があったことが響い
た。新造船受注は大型船3隻を含むバルカー6隻、タンカー14隻、中型低温式LPG(液化石油ガス)船1隻の計21隻を成約
した。14年10月1日付で株式交換により完全子会社化した佐世保重工業が、今年度から通年で連結対象となったこと
で、売上高は16%増の1,120億円。新造船事業では大型鉱石運搬船1隻、バルカー18隻(うちハンディサイズ14隻)、小型
船1隻の計20隻を竣工させた。経常利益は67%減の69億円。契約解約益など31億円を特別利益に計上し、純利益は56
%減の66億円だった。新造船受注高は63%増の1,299億円、15年12月末の同受注残高は前年末比14%増の3,648億円
とそれぞれ増加。約3年相当の手持ち工事を確保している。16年3月期通期連結業績予想は、昨年5月発表の前回予想
を据え置いた。売上高は1,440億円(前期比6%増)、営業利益43億円(同80%減)、経常利益38億円(同83%減)、純利
益37億円(同75%減)を見込む。配当は年20円配(中間、期末各10円)を予定する。
◆名村造船/経常益7割減の69億円【2/4】 名村造船所が3日発表した2016年4~12月期の連結経常利益は前年同期
比67%減の69億円だった。低船価の受注船の建造が増えたことや新船型の受注に伴う工事損失引当金の計上により
減益となった。新造船は計21隻を期中に受注した。このうち、10~12月の受注分は9隻になる。受注した新造船の内訳は、
大型船3隻を含むバルカー6隻、タンカー14隻、中型LPG船1隻。昨年末時点での受注残高は前年同期比63%増の1,299
億円で、3年分以上の手持ち工事量を確保している。4~12月期の売上高は16%増の1,121億円、営業利益は68%減の65
億円、純利益は56%減の66億円だった。大型鉱石船1隻、ハンディサイズ14隻を含むバルカー18隻、小型船1隻の計20隻
を引き渡した。セグメント別にみると、新造船事業は売上高が13%増の854億円、セグメント利益が72%減の57億円。修
繕事業は売上高が43%増の128億円、セグメント利益が88%増の12億円だった。修繕事業は佐世保重工の子会社化で
大幅な増収増益となった。通期業績は従来予想を据え置き、売上高1,440億円、営業利益43億円、経常利益38億円、純
利益37億円を見込む。
◆4月7日函館どつく、進水式を一般公開【2/9】 ≪エコシップ34型バルカー≫函館どつくは、4月7日に一般公開の命名
・進水式を開催する。エコシップタイプの3万4,000重量型㌧ハンディサイズバルカーで、完工・引き渡しは6月下旬を予
定している。同社は、船主の理解を得て函館造船所での進水式を一般公開している。同社の進水は滑走方式を採用し
ており、見学者は大きな船体が海に滑り降りる様子を間近に見ることができる。児童・生徒・学生の社会見学や体験学習
に利用されているほか、函館を訪れた観光客も見学できる。最近の一般公開は昨年12月で、約170人が参加。多いとき
は500-600人が参加するという。4月7日に予定されている命名・進水式は第874番船の34型バルカー。木材、ばら積み
両貨物に対応した34型は、函館どつくが燃費性能と環境性能の向上を目指し、親会社の名村造船所と共同開発した。
◎住重追浜浦賀分会関係
◆住友重機械/舶舶部門営業損益トントン/通常営業黒字、5億円は変わらず【2/1】 住友重機械工業が1月29日発表し
た2015年4~12月期連結決算は、船舶部門の営業損益がトントンだった。前年同期の8億円の赤字から改善した。16年3月
期通期の営業損益は5億円の黒字(前期は12億円の赤字)と、従来予想を据え置いた。船舶部門の15年4~12月期の売上
高は前年同期比4%増の194億円。新造船の引き渡しは1隻減の1隻だった。受注高は67%減の199億円に落ち込んだ。新
造船は7隻少ない2隻のアフラマックスタンカーを受注した。16年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比15%増の30
0億円、営業損益は5億円の黒字、受注高は35%減の400億円と前回予想を変更していない。全社ベースの15年4~12月
期連結決算は、売上高が前年同期比5%増の4,904億円、営業利益は9%減の309億円、経常利益は14%減の294億円、
純利益は12%減の190億円だった。16年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比3%増の6,900億円、営業利益は横ば
いの460億円、経常利益は4%減の430億円、純利益は10%増の270億円を見込む。前提為替レートは1㌦=115円。
◆住友重機・船舶、3期ぶり黒字へ/4~12月期営業損益トントン【2/1】 住友重機械が1月29日発表した2016年4~12月
期の船舶部門の連結営業損益はゼロ(前年同期は8億円の赤字)だった。円安などの影響もあり、損益をトントンに持ち
直している。通期は3期ぶりの黒字転換を見込む。売上高は前年同期比4%増の194億円で、新造船の引き渡しは1隻だ
った。受注高は前年同期比67%減の199億円で、期中にアフラマックス・タンカー2隻を受注している。受注残はアフラマ
ックス・タンカー13隻で、2018年度第2四半期までの手持ち工事を確保している。通期業績は従来予想を据え置き、売上
高が前期比15%増の300億円、営業損益が5億円の黒字(前期は30億円の赤字)、受注高が35%減の400億円を見込
む。予想の前提となる為替レートは1㌦=115円。
◆住重、増収減益【2/1】 ≪中国不振響く、4-12月期≫住友重機械工業が発表した2015年4-12月期連結業績は増収
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減益だった。油圧ショベルの中国販売減少などが響く建設機械事業やプラント・環境事業が苦戦し、営業利益は前年同
期比9・2%減の309億円となった。経常利益、当期利益ともに前年同期を下回った。売上高については建設機械を除く
全部門で増加した。16年3月期見通しについては、為替を円高傾向に見直したものの、受注高を含めて据え置いた。
◎いすゞ自動車分会関連
◆いすゞ、営業益2%増【2/5】 ≪国内のトラック・バス好調、4月-12月≫いすヾ自動車の2015年4-12月期の連結営業利
益は、前年同期比2%増の1,250億円程度だったもようだ。4-12月期の増益は2年ぶり。国内のトラックとバスの販売が好
調で、東南アジアでの落ち込みを補った。円安・ドル高の進行で輸出採算も改善し、利益を押し上げた。売上高は4%増の
1兆4,000億円程度だったとみられる。国内のトラック販売は貨物需要の増加や、首都圏の再開発に伴う建設需要などを
背景に伸びた。バスも訪日観光客の増加を追い風に受注が大幅に拡大した。国内に次ぐ主力市場のタイでは長引く消
費不振の影響で販売が伸び悩んだ。半面、北米でトラック販売が伸びた。タイから輸出するピックアップトラックの受注が
中近東やフィリピンなどで底堅く推移した。円安も採算改善につながった。4-12月期の為替の実績はl㌦=120 円程度
で、前年同期より15円円安に振れており、営業利益ベースで数十億円の増益要因となった。鋼材など原材料安によるコ
スト削減効果も寄与した。4-12月期の決算発表は8日を予定している。16年3月期通期の業績予想は、売上高で前期比4
%増の1兆9,600億円、純利益で3%増の1,200億円となる従来予想を据え置く公算が大きい。
◆いすゞ株を一部売却/三菱商など自社株買いに対応【2/17】 三菱商事と伊藤忠商事が、保有しているいすヾ自動車
株の一部を売却したことが分かった。2社が16日までに提出した大量保有報告書によると、三菱商の保有比率は9.46%
から7.5%に、伊藤忠は7.96%から6.24%に減少した。両社とも、いすヾの自社株買いに応じる形で株を売却した。いすヾ
は9日から3月末まで600億円、4,500万株(発行済み株式の5.4%)を上限にした自社株買いを進めている。9日には3,3
00万株を359億円で取得した。いすヾによると、自社株買いにあわせて2社に保有株の一部売却を依頼したという。株
主構成は株の売却後も三菱商が筆頭株主で、伊藤忠とトヨタ自動車(5.9%)が続く。いすヾと三菱商は主力市場のタイ
を中心に車の販売や輸出などで提携している。伊藤忠とは日米のトラック販売で協力関係にある。
◎三保造船分会関係
◆常石、建造能力20%向上【2/22】 ≪国内増強、設備を一新 貨物船・タンカー 年13隻体制≫国内新造船建造量2位
(2014年)の常石造船が、国内の設備投資で建造能力を20%以上アップさせようとしている。07年頃からこれまでの
間、海外工場の投資が続いていたが、国内工場は8万2,000㌧級ばら積み貨物船をメーンに、10万㌧級のタンカーなど
年間13隻程度を建造できるようにする。投資額は数十億円になる見込み。本社工場(広島県福山市)の第一船台には15
0㌧のジブクレーンが3基だったが、3月までに150㌧のジブクレーン2基、400㌧のジブクレーン2基に増強する。建造ドッ
クは200㌧の門型クレーンを修繕ドックに移設するなどして、4月までに400㌧のジブクレーン3基の体制にする。このほ
か修繕ドックの効率も引き上げる計画で、移設の200㌧門型クレーンのほか100㌧のジブクレーンを新設する。内業工場
は既存設備が老朽化していたため、ショットブラスト設備やシップベンダー設備を更新する。一連の設備増強で、第一船
台では8万2,000㌧級のばら積み貨物船、建造ドックでは10万㌧級のタンカーを建造する予定。設備投資による生産能力
や効率引き上げで、熟練工減少や人材不足を補う。同社の中国工場には船台が2本、ドックが1本あり、9万8,000㌧級ま
でのばら積み貨物船を建造する。フィリピン工場では18万㌧級のばら積み貨物船などを造る。
◆客船建造中、放火か/長崎、先月に3度発生【2/2】 長崎市香焼町の三菱重工業長崎造船所香焼工場で建造中の大
型客船アイーダ・プリマの船内で1月、火災が3度相次いだ。いずれも火の気がない場所で起きたことから、長崎県警は
放火の可能性も視野に捜査。三菱重工は管理態勢の見直しを検討する方針だ。船は三菱重工が世界最大のクルーズ会
社カーニバル社の子会社から受注した。3,300人乗りの18階建て。全長300㍍。県警によると、1月11日午後8時半ごろ、
第7デッキ(8階部分に相当)後方のビアホールとなる区画で出火し、床や天井など約50平方㍍が焼けたり13日午後8時
40分ごろには、第5デッキ(6階部分に相当)後部の客室部分で布のようなものが燃えた。31日午前1時15分ごろに起き
た火災では、資材を入れた段ボール箱や断熱材、シートが焼けた。11日の現場に隣接する区画で、焼けた跡を修復する
ための資材が置かれていた。県警によると、出火時は船内に作業員ら400~500人がいたが、現場で作業は行われてい
なかったという。
◆建造中客船、火災3度目/三菱重工・長崎造船所、放火の疑いも【2/2】 31日午前1時15分ごろ、長崎市香焼町の三菱
重工業長崎造船所香焼工場で建造中の大型客船で、段ボール箱などが燃えているのを外国人作業員が見つけ、火を
消した。けが人はなかった。船内での火災は2016年に入り3度目。長崎県警大浦署は放火の可能性もあるとみて調べて
いる。大浦署や地元消防によると、火元は客船内の8階に相当する「第7デッキ」のレストラン入り口付近。資材として置
いてあった段ボール箱や断熱材などが燃えた。出火時は周囲で作業をしておらず火の気もなかった。船内では1月11日
午後8時半ごろ、資材が火元とみられる火災が発生した。同13日夜にも、無人で火の気がないはずの客室内で布が燃
えているのが見つかった。この船は三菱重工業が海外企業から受注した約3,300人乗りの客船。設計変更などのため建
造作業が遅れている。
◆三菱重工/客船損失1,800億円【2/5】 ≪累計 欧向け納期延長響く≫三菱重工業は4日、2015年10-12月期に客船
事業に関連して221億円の特別損失を追加計上したと発表した。これにより長崎造船所(長崎市)で建造中の欧アイー
ダ・クルーズ向け大型客船2隻をめぐる損失は、1,000億円と言われる受注額を大きく上回り、累計1,800億円超に達し
た。同日会見した宮永俊一社長は「何が起こるか予断を許さず、軽々には判断できない」と追加損失の可能性を示唆し
た。今回、新たに内装工事の最終仕上げの手直しや客先調整、火災影響などが生じ、1番船の納期を再延期した。1番船
は月内にイタリア当局の安全確認を得る見通しで引き渡しのめどを付けたが、当初3月を予定していた2番船の納期は
協議中で「16年度内に(工事が)終わると思っている」(宮永社長)と不透明感が残る。客船事業の巨額損失の反省から
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CEO直轄の「事業リスク総括部」を新設。「MRJ」をはじめとする新規事業や大型受注については経営トップが主導する
形で、全社検証能力を手厚くする。さらに技術監査機能を強化するためCTO直轄の「シェアードテクノロジー部門」を創
設。リスクマネジメント体制を抜本的に見直す。客船事業を預かる交通・輸送ドメイン長の鯨井洋一副社長の責任につい
ては「潜在的問題は11-12年に起きた。(プロジェクト管理の)体制刷新後は全力で対策を打ってきた。責任は会社全体で
追う」(宮永社長)とし進退には触れなかった。
◆当期益18・5%減、今期見通し【2/5】 三菱重工業は4日、2016年3月期連結当期利益見通しを前回予想の1,300億
円から900億円(前期比18・5%減)に下方修正した。増益予想から一転した。関西電力姫路第2火力発電所向けの蒸気タ
ービン不具合に関連した対策費用や客船事業関連損失などが膨らみ、営業利益、経常利益ともに引き下げた。ただ営
業利益は過去最高を見込む。売上高は交通・輸送ドメインの一部案件で売上計上時期がずれ込む。客船事業損失や「MR
J」開発費などで、16年3月期のフリーキャッシュフロー(FCF)はマイナス500億円になる見通し。有価証券、土地活用な
どアセットマネジメントにより18年3月期までの中期経営計画期間内に総額2,000億円程度を創出する方針。
◆客船損失で221億円を追加/三菱重工、累積赤字は1,872億円に【2/5】 三菱重工業は4日に発表した2015年4~12月
期決算の中で、9~12月期に客船事業関連損失として221億円を特別損失に追加計上したことを明らかにした。これで客
船の累積損失は1,872億円となった。アイーダ向けに建造中の客船2隻シリーズでは、既に2013年度に642億円、14年度
に695億円を特別損失として計上している。今期は、1番船の納期を2015年12月に延期した影響などで、既に4~9月期に
310億円を特別損失に計上していた。だが10月以降も内装工事の最終仕上げ段階で手直しや客先との調整事項などが
生じて対応が完全には収束しなかったほか、設備の最終検査に必要な期間を確保するために引渡時期を再延期するこ
とになったことで、追加損失予想額221億円を特別損失として計上した。2番船の建造に関しては、現時点で工費と関連
経費の完成予想原価が、1番船より約640億円少なくなるとの見通しを示している。「1番船がプロトタイプ船だったこと
による多額の異常原価の相当額を、作業手順の見直しなどで正常化により解消する方針」とした。富永俊一社長は会見
で「1番船は引き渡し寸前で、イタリアの沿岸警備隊の最後の検査を待つばかり。問題は2番船の最終艤装工程をどうす
るかという段階」と現状を話し、2番船については「少なくとも16年度中には引き渡せると見ている」としたものの、今
後の損失拡大の可能性については「織り込める費用は全て織り込んでいるが、予断は許さない。できるだけ予算内部
でやりたいが軽々には判断できない」と語った。客船の追加損失と、姫路第2火力発電所の不具合対策費用などに伴
い、会社全体の通期の経常利益も、従来予想を300億円引き下げて前期比2%減の2,700億円とし、増益の予想が減益
見通しへと転じた。商船事業が属する交通・輸送ドメインの4~12月期の売上高は前年同期比8%増の4,057億円、営業利
益は3.3倍の445億円、受注高は8%減の4,369億円だった。商船の受注は11隻。受注残は39隻(LNG船12隻、LPG船8隻、
巡視船6隻など)。
◆難航の客船建造、追加損失221億円/三菱重工業【2/5】 三菱重工業は4日、建造が難航しているドイツのクルーズ
大手「アイーダ・クルーズ」向けの2隻の大型客船を巡り、2015年10~12月期に221億円を追加で特別損失として計上した
と発表した。1隻目で火災が発生して補修費用がかかることや、納入予定の延期にともなって人件費などがかさむた
め。客船事業の累計の損失計上は約1,867億円にのぼる。2隻目の建造が16年度中にずれ込み、今年3月としていた納
期が遅れることも明らかにした。
◆三菱重が一転減益/今期18%、客船納期遅れ特損【2/5】 三菱重工業は4日、2016年3月期の業績見通しを下方修
正した。連結純利益はこれまで1,300億円(前期比18%増)を見込んでいたが一転、18%減の900億円になる。建造中の
大型客船の納期が遅れ、新たに221億円の特別損失を計上する。この客船工事に関する累計損失は5年間で1,800億円
を超える。客船は海外企業から受注した2隻で、受注額は1,000億円程度とみられるが、設計変更などで建造が遅れ費
用が想定以上に増えた。今年に入って船内で不審火が連続で起こるなどトラブルに見舞われている。記者会見で常永
俊一社長は「問題を早期に発見できなかったことで損失が拡大した」と述べ、全社的に事業へのリスク対応を強化する
組織をつくる方針を示した。営業利益の予想は3,000億円(1%増)で、200億円引き下げた。蒸気タービンが破損した関
西電力の姫路第2火力発電所(兵庫県姫路市)の復旧で費用負担が膨らむ。ボーイングの航空機「777」「787」向け部材
は好調だが補えなかった。同日、火力発電システムの「三菱日立パワーシステムズ」と、製鉄機械の「プライメタルズテ
クノロジーズ」の合弁2社の合理化を発表した。あわせて約2万8,500人の従業員を2万7,000人に減らす。
◆三菱重工/通期最終利益400円下方修正【2/5】 三菱重工は4日、2016年3月期の連結最終利益が前期比18%減の
900億円と前回予想を400億円下回る見通しだと業績予想の下方修正を発表した。エネルギー・環境ドメインで不具合
対策費用が増加した影響により、連結営業利益、連結経常利益が従来予想をそれぞれ200億円、300億円下回るのに加
え、特別損失の客船関連損失が530億円に拡大、事業構造改善費用185億円も特損処理するため。通期の連結営業利
益は前期比1%増の3000億円、連結経常利益は1%減の2,700億円を見込む。連結売上高は2%増の4兆1,000億円。三菱
重工が同日発表した15年4~12月期の連結決算は、売上高が前年同期比5%増の2兆8,326億円、営業利益は8%増の1,8
53億円、経常利益は7%減の1,748億円、最終利益は25%減の533億円だった。船舶・海洋事業が属する交通・輸送ドメイ
ンの15年4~12月期連結業績は、営業利益が3.3倍の445億円、売上高は7%増の4,057億円だった。16年3月期通期の連
結業績は、営業利益が前期比2.3倍の550億円、売上高は3%増の5,500億円を見込む。
◆客船特損処理1,866億円に拡大/三菱重工、221億円を追加計上【2/5】 三菱重工は4日、独アイーダ・クルーズ向け
に建造中の客船で221億円を2015年10~12月期に特別損失として追加計上したと発表した。客船関連の累計の特損処理
額は1,866億円に拡大する。三菱重工はこれまで客船事業関連損失として、14年3月期に641億円、15年3月期に695億
円、15年4~9月期に309億円、計1,645億円を特損処理してきた。15年10~12月期に入り建造中の客船2隻のうち1番船の
最終仕上げ段階で手直しや客先との調整が生じ、引き渡し時期を再延期した結果、今後発生する損失額がすでに引き
当てた金額を超過する見込みとなったため、追加で221億円を特損処理した。2番船の建造は工費などについて、1番船
との完成予想原価の差額が現時点で640億円。作業手順の見直しなどにより、1番船の異常な原価は解消する方針だ
が、客先と工期について協議中であることなどから、今後発生する損失額は異なってくる可能性がある。三菱重工の
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宮永俊一社長は同日開いた決算説明会で、客船建造に全力で取り組んでいることを強調する一方、損失額については
「予断を許さない」と慎重な構えを示した。
◆三菱重工、客船問題を総括/「高付加価値指向に囚われ実力を見極不足」【2/8】 三菱重工業は4日、客船建造が大
規模な損失に至った経緯についての総括と、今後の対策を明らかにした。損失をもたらした本質的な問題として、船舶
部門が「高付加価値船指向に囚われ、実力を見極められていなかった」点があったとしたほか、会社経営のレベルでも
受注時の検証や問題の早期発見の力が不足していたと総括した。「客船だけの問題でなく、複雑系プロジェクト全てに
当てはまる」(吉永俊一社長)とし、今後は客船のような大型プロジェクトのリスクマネジメントを社長直轄組織で行うな
どの管理体制に改める考えを示した。三菱重工業は中期経営計画の推進状況を示す資料の中で、客船建造が損失に至
った経緯や問題点などをまとめた。決算説明会見で宮永社長がこれをもとに説明した。今回の客船では、当初2012年
度中に終える計画だった基本設計が14年度までずれ込んだことが、調達と内装作業の遅れと混乱の主因になってい
たと解説。「潜在的な遅れで問題が複雑化しており、問題が顕在化した後に体制を刷新したが、消火に時間がかかった」
とした。そもそも設計が遅れた背景には、シリーズ1番船の難しさや最新技術を理解しないまま、過去の建造実績に基づ
き対応可能と誤って判断したことがあったと指摘。こうした問題に至った船舶事業部門の本質的な問題として「事業戦
略として高付加価値船指向に囚われ、過去の実績・経験からの判断主体となり、客船への再取組みにおける十分な実
力見極めが不足していた」と総括し、「自部門内での問題解決が可能との思い込みがあった」ことも挙げた。また、全社
経営レベルでも、大型案件受注時の事業部門の判断に対する検証力が不足している点や、財務モニタリングなどで問
題を早期に発見する力が不足している点を本質的な問題点とした。このため再発防止策の1つとして、「複雑なリスクは
CEOが見る以外にないという結論に至った」(宮永社長)とし、社長直轄の組織でリスクマネジメントを行う組織体制に
切り替え、大型案件の検証や問題解決で全社協力体制の強化する考え。また、「成長への挑戦心を失わないという前
提で、客船の反省を当社グループの技術とエンジニアリングの総合的な強化に結び付ける」とし、共通的な技術をとり
まとめる「シェアードテクノロジー部門」を立ち上げる考えだ。このほか今回の客船の損失に関する経営幹部の責任に
ついての質問に、宮永社長は「潜在的な問題は2011年~12年に起こっていた。その当時の人には退いて頂いている。体
制を刷新してからの関係者は全力を尽くし、打てる対策は打ってきているので、そこでの責任を問うつもりはない」と
答えた。
◆客船事業の今後めぐり社内検討会/三菱重工、2番船建造と並行して議論【2/8】 三菱重工業は今後の客船建造事
業の方向性を検討するための社内プロジェクトチームを今春にも立ち上げる。宮永俊一社長が4日、決算説明会での質
疑応答で明らかにした。プロジェクトチームは、建造中の客船1番船を引き渡した後、2番船の建造と並行して検討作業を
行うもよう。社内の客船建造の関係者やプロジェクトマネジャー経験者、若手などが集まり、「後ろ向きな検証委員会で
はなく、三菱重工の今後のための検討を行う」(宮永社長)予定だ。三菱重工は客船をエンジニアリング事業として継続
する方針を示しており、富永社長は4日の会見でも「今後のスマートコミュニティなどいろいろな形(への展開)を考え
ても、能力として持っておきたい分野」とした。一方で、建造事業については「自社で建造するのか、艤装するならどこ
までどう行うかなど、現時点では白紙」とし、検討プロジェクトを経て、「その結論をもって今後を判断する」とした。
◆1番船は2月、2番船は来年3月/三菱重工、客船の新たな納期で調整【2/8】 三菱重工業はアイーダ向け客船2隻シ
リーズの引き渡し時期について、1番船を2月、2番船を2017年3月とすることで船主と調整していることを明らかにし
た。4日の記者会見で、宮永俊一社長は「納期は船主と協議中」として明言は避けたが、発注者のカーニバルグループ
が引き渡し時期について、1番船を今年2月、2番船を来年3月と公表している点についての質問を受け、「1番船はイタリ
アのコーストガードの安全確認が出て初めて航海できるが、その確認結果が2月中に出るだろうと顧客と当社は考えて
いる。(4月からの)航海も決まっており、ハンブルク到着後のクルーズ開始についても顧客と打ち合わせをしている」と
したほか、「2番船は、これくらい(来年3月)だろうと顧客と詳細を調整している。改善余地なども含めて詳しくは協議
中だ」とした。
◆豪潜水艦「現地建造の用意」/三菱重社長、技術移転に前向き【2/12】 三菱重工業の宮永俊一社長は11日、オースト
ラリアが調達する次期潜水艦について、豪州が重視する1隻目からの地元での建造を「喜んで受ける用意がある」と表
明した。同社は潜水艦の共同開発・生産相手の選定手続きに参加している。受注に向け、豪産業界への技術移転にも前
向きな姿勢をアピールした。同日、シドニーで開いた記者会見で明らかにした。三菱重工は海上自衛隊の最新鋭潜水艦
「そうりゅう」型を建造しており、日本企業の代表として日本政府と共に入札に参加している。宮永社長は潜水艦の売り
込みでは初めての訪豪で、政治家や防衛産業幹部らと会い「長期にわたる重要な事業に参加する意欲と決意を伝え
た」という。豪州の次期潜水艦の総事業費は4兆円を超える。入札で競合する独防衛大手ティッセンクルップ・マリン・シ
ステムズなども活発にロビー活動を展開している。宮永社長は「そうりゅうで証明された信頼性と性能の高さ」が日本
の強みだと訴えた。地元紙に全面広告を出すなど、PR活動の遅れを「挽回している最中だ」と述べた。
◆米最新ステルス戦闘機/三菱重工、組み立て開始【2/16】 三菱重工業はこのほど米国の最新ステルス戦闘機「F35
A」の最終組み立て・検査を本格的に始めた。2017年度末までにまず2機、20年度までにさらに16機を手掛ける。ステル
ス機の製造を通して材料技術や特殊加工のノウハウを吸収。次世代の戦闘機開発にも応用する。F35は米ロッキード・マ
ーチンを中心に9カ国が開発参画した戦闘機。敵機に察知されにくい高いステルス性能や操縦性を高める電子機器を
採用しているのが特徴だ。三菱重工はロッキードから日本向けの機体の製造を請け負っている。防衛省は計42機を調達
するが、うち38機を同社が小牧南工場(愛知県豊山町)で組み立てる。1機あたりの価格は約140億~181億円。同工場で
は分割された胴体や尾翼などを接合し、エンジンや車輪装置などを取り付ける。敵機のレーダーに反射する断面積を
少なくするために独自のノウハウで機体を接合する。電波を照射しステルス性能を確認する検査も担う。アビオニクス
と呼ぶ電子機器システムの部品は三菱電機が手掛ける。同社鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)でもこのほどレーダー部
品やセンサーの生産が始まっている。
◆三菱重工、資産2,000億円売却【2/24】 ≪今後2年 遊休地や保有株が対象≫三菱重工業は2018年3月期までの2
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年間で約2,000億円の資産を売却する。本業と関係の乏しい土地や株式を売却する見通しだ。今期は造船事業の苦戦
などで最終減益になる見通しで、フリーキャッシュフロー(純現金収支、FCF)はマイナスを見込む。資産売却で中期的な
純利益の目標を維持し、同時に成長投資や株主還元に使う現金を確保する。≪成長投資や株主還元に≫三菱重は4日
に今期の連結純利益の見通しを前期比18%減の900億円と従来予想の1,300億円から引き下げた。建造中の大型客船
の納期が遅れて、200億円強の特別損失が発生する。ゼロを見込んでいたFCFは500億円のマイナス(前期は386億円
のプラス)になる見通しだ。厳しい業績を受けて対策を急ぐ。遊休地などの土地を売却し約1,000億円、事業戦略上、必
要性の乏しい保有株式の売却で約1,000億円を捻出する計画だ。業務プロセスの見直しや拠点再編などの効率化で、
運転資金の圧縮も進める。同社は18年3月期に純利益2,000億円、FCFは2,000億円のプラスにするという経営目標を掲
げている。資産の売却で経営効率を高めて目標達成につなげる。資産売却で得た資金は成長投資と株主還元、財務体
質の強化に使う。米社向けの航空機部材や自動車用の過給器事業が好調で、過給器は18年3月期に世界生産を年1,100
万台まで増やす計画だ。成長分野への投資を手厚くして安定的に利益を稼げる体質にする。株主還元では中期的な配
当性向を30%前後に設定した。今期の配当は前期比1円増の12円を計画しているが、純利益の増加に応じ来期以降、配
当を積み増す。今期末の有利子負債の見込みは1兆500億円程度で18年3月期には900億円前後に減らす考えだ。
Ⅱ.国内造船・造機関係の動向
◆新造船市場/新規商談が停止【2/17】 ≪輸組統計、1月契約は実質ゼロ≫日本船舶輸出組合(輸組)が16日発表し
た今年1月の輸出船契約実績は3隻・12万総㌧で、㌧数ベースで前年同月の90%減だった。ただ、3隻はいずれも昨年12
月以前に契約されたものとみられ、年明け以降の契約は実質的にゼロだった。新規の新造船商談は完全停止状態に陥
っているようだ。単月ベースの実質契約数がゼロになるのは2000年以降で初めてとみられる。契約数が1ケタ以下に
減少するのは2014年7月以来1年半ぶり。商談停止の背景にはドライバルク市況の低迷や昨年の規制前駆け込みの反動
減の影響があるようだ。昨年は新共通構造規則(調和化船体構造規則:H-CSR)、窒素酸化物(NOx)3次規制前の駆け込
み契約があり、8年ぶりに年間2,000万総㌧の大台を超えていた。年明け以降の新規商談では新規制に対応する必要が
あり、建造コストの大幅な増加が見込まれることも商談低迷の要因となっているようだ。1月の契約船の内訳はバルカ
ー3隻(ハンディマックス2隻、パナマックス1隻)となっている。3隻のうち純輸出船は1隻だった。昨年好調だったタンカー
やコンテナ船の成約もなかった。1月の受注船の契約態様は、㌧数ベースで円建て契約31.0%、外貨建て69.0%だっ
た。現金払い契約は100%、商社契約は37.7%。納期別では2017年度もの100.0%だった。竣工量に相当する通関実績
は、前年同月比2%増の45隻・174万総㌧だった。
◆輸出船契約1月「ゼロ」/先行き不安出口遠く【2/17】 新造船マーケットが一気に冷え込んだ背景には複数の要因
がある。一つは需要先食いの反動減。窒素酸化物(NOx)3次規制など追加コストを強いる国際ルール適用を見込んだ駆
け込み発注が相次ぎ、2015年1~12月の契約実績は08年のリーマン・ショック以降の暦年として過去最高を記録。業界も
「ここまで増えるとは想定しておらず、必ず反動がある」(日本造船工業会の村山滋会長)と、警戒してきた。懸念が現
実になったが、厳しいのはこの先だ。世界の船腹需要は年5,000万~6,000万総㌧と言われるが、中国や韓国、日本を中
心とする新造船の供給能力は約2倍。船腹過剰や新興国経済の減速を受け、海運市況は底を這う。海上物流の動態を
示すバルチック海運指数(BDI)は創設以来の最安値をつけた。海運各社は燃料安の追い風を受けながらも、業績悪化を
余儀なくされ、第一中央汽船が経営破綻するなど世界的に厳しい経営環境に置かれている。商船三井は最大1,800億
円の特別損失を計上、長期契約がない中小型のドライバルク船のフリー運航から撤退するなど、船隊の大幅縮小を決
めた。シンガポールの運航会社(オペレ一夕ー)が船主に用船料の減額を要請するなど「国内外で同じような動きが出
ている」(関係筋)。状況改善の兆しが見えぬ中、2016年の新造船建造量が前年比1,000万総㌧増える可能性も指摘さ
れ、船腹過剰に拍車がかかる恐れがある。1月の輸出船通関実績は45隻、前年同月比2.2%増の173万6,326総㌧。1月末
の手持ち工事量は764隻、3,728万8,637総㌧と、約3年分の仕事量を抱えているが、「17、18年納期の新造船がキャンセ
ルになる恐れがある」(関係筋)といわれる。置かれている状況は韓国、中国の造船業も同じ。とりわけ大宇造船海洋な
ど韓国大手は海洋事業で巨額損失を計上し、商船の受注に軸足を移す。たたき合いによる船価低迷は避けられない。
比較的高値だったタンカーやガス運搬船にも陰りがでており、「半年から1年はLNG運搬船の受注は難しいかもしれな
い」(国内造船大手)との声も聞かれる。
◆「船」輸出契約ゼロ、1月【2/17】 日本船舶輸出阻合(JSEA)が16日発表した1月の輸出船契約実績(一般鋼船)は、
前年同月比90.2%減の11万6,300㌧となり、9カ月ぶりにマイナスに転じた。契約隻数は3隻。いずれも2015年12月に契
約していたが、JSEAへの報告が遅れたもので、1月は「実質ゼロ」(JSEA)。これまでに契約ゼロの月はなく、事実上過去
最悪の実績になった。16年1月に施行された窒素酸化物(NOx)3次規制前の駆け込み需要で、昨年12月までは8カ月連
続で前年実績を大きく上回ってきた。需要先食いの反動に加え、海運市況低迷などが重なり、新造船マーケットが一気
に冷え込んだ格好だ。
◆1月受注、実質ゼロ、年度累計では7割増/船舶輪組まとめ【2/17】 日本船舶輸出組合が16日発表した1月の輪出船
契約(受注)は実質ゼロだった。1月以前に受注した報告遅れ分の12万総㌧(5万CGT=標準貨物船換算㌧)があり、その
分を含めると前年同月比90%減(CGTベースも同じ)。昨年は新国際規則「H-CSR(調和共通構造規則)」、NOx(窒素酸
化物)3次規制の適用回避を狙った駆け込み発注などがあり、受注量が急増、今年に入り反動減が数値に表れたとみら
れる。単月実績ゼロは過去にほとんど例がない模様。一方、規制回避などが追い風となった大量受注効果で、2015年4
月~16年1月の累計実績は1,901万総㌧(903万CGT)と、前年同期比77%(CGTベースで71%)増加。依然として高水準で
推移する。1月分に盛り込まれた受注隻数は9隻減の3隻で、このうち純輸出船は1隻。3隻の船種別内訳はハンディマック
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スバルカー2隻、パナマックスバルカー1隻だった。契約は全て現金払いで、トン数ベースの契約形態別シェアは円建て31
%、外貨建て69%。商社契約が38%を占める。納期は全て17年度。輸出船の竣工量を示す1月の通関実績は174万総㌧
(87万CGT)と2%(CGTベースで17%)増、通関隻数は6隻増の45隻だった。16年1月末の輸出船手持ち工事量は764隻、
3,729万総㌧(1,804万CGT)で、前年1月末の646隻、2,774万総㌧(1,355万CGT)を上回った。
◆手持ち工事量/3,729万総㌧に減少【2/17】 日本船舶輸出組合がまとめた今年1月末時点の手持ち工事量は764
隻・3,729万総㌧(1,804万CGT)で、昨年12月末時点から170万総㌧減少した。手持ち工事量は6カ月ぶりに減少した。納
期別の内訳は、2015年度引き渡し分80隻・312万総㌧、16年度247隻・1,112万総㌧、17年度205隻・1,026万総㌧、18年度151
隻・836万総㌧、19年度以降81隻・444万総㌧だった。
◎新造船
◆スエズ・アフラ小反落/新造船価相場、直近比50万㌦安【2/4】 新造船マーケットでスエズマックスタンカー、アフラ
マックスタンカーの船価レベルが小反落。直近レベルと比べ、それぞれ50万㌦下落した。マーケット筋によると、タンカー
の足元の新造船価レベルは、VLCC(大型原油タンカー)が弱含み横ばいの9,350万㌦(32万重量㌧型)、スエズマックス
は50万㌦安の6,250万㌦(15万7,000重量㌧型)、アフラマックスは50万㌦安の5,150万㌦(11万5,000重量㌧型)、MR(ミ
ディアムレンジ)型プロダクト(石油製品)タンカーは横ばいの3,550万㌦で推移している。バルカーは全船型で弱含み
横ばい。ケープサイズ4,600万㌦(18万重量㌧型)、パナマックス2,580万㌦(7万6,000重量㌧型)、ハンディマックス2,43
0万㌦(6万2,000重量㌧型)、ハンディサイズ2,050万㌦(3万5,000重量㌧型)。ガス船は、LNG(液化天然ガス)船が弱含
み横ばいの2億300万㌦(17万4,000立方㍍型)、大型LPG(液化石油ガス)船VLGCは横ばいの7,700万㌦。コンテナ船は、
1万3,000TEU型が横ばいの1億1,600万㌦、2,750TEU型は弱含み横ばいの2,950万㌦。自動車船(PCTC)は、6,000台積み
がやや強含み横ばいの6,000万㌦。
◆新造船価相場/タンカー弱含みも横ばい【2/15】 タンカーの新造船価相場が弱含みながら横ばいで推移している。
足元のタンカー市況が引き続き底堅いのが主因とみられる。バルカーの新造船価レベルも全般的に弱含み横ばいで推
移する中、パナマックスバルカーが小反発し、直近と比べ70万㌦高となった。マーケット筋によると、タンカーの足元の
新造船価レベルは、原油船が全船型で弱含み横ばい。VLCC(大型原油タンカー)は9,350万㌦(32万重量㌧型)、スエズ
マックスは6,250万㌦(15万7,000重量㌧型)、アフラマックスは5,150万㌦(11万5,000重量㌧型)。MR(ミディアムレンジ)
型プロダクト(石油製品)タンカーは3,550万㌦(5万1,000重量㌧型)と引き続き横ばいを維持している。バルカーの新造
船価レベルは、ケープサイズが弱含み横ばいの4,600万㌦(18万重量㌧型)、パナマックスは70万㌦高の2,650万㌦(8万
1,000重量㌧型)、ハンディマックスは弱含み横ばいの2,430万㌦、ハンディサイズは横ばいの2,050万㌦。ガス船は、LNG
(液化天然ガス)船が弱含み横ばいの2億300万㌦(17万4,000立方㍍型)、大型LPG(液化石油ガス)船VLGCは横ばいの
7,700万㌦。コンテナ船は、1万3,000TEU型が横ばいの1億1,600万㌦、2,750TEU型が弱含み横ばいの2,950万㌦。自動車
船(PCTC)は、6,000台積みが若干強含み横ばいの6,000万㌦となっている。
◆新造船相場/MR・VLGC・自動車船底堅い【2/18】 ≪BC・原油船は弱含み続く≫新造船価相場は、海運市況低迷と2
015年の発注ブームの反動で新規発注が世界的にほぼ姿を消す中、MR(ミディアムレンジ)型プロダクト(石油製品)タ
ンカー、VLGC(大型LPG〈液化石油ガス〉船)、自動車船(PCTC)で横ばいながら、底堅く推移している。建造ヤードが限ら
れることが主因とみられる。バルカーと原油タンカーは弱含み横ばいが続いている。マーケット筋によると、タンカーの
足元の新造船価は、原油船が全船型で弱含み横ばい。VLCC(大型原油タンカー)は9,350万㌦(32万重量㌧型)、スエズ
マックスは6,250万㌦(15万7,000重量㌧型)、アフラマックスは5,150万㌦(11万5,000重量㌧型)。MRは横ばいで3,550万
㌦を維持している。バルカーはハンディサイズを除き弱含み横ばい。ケープサイズは4,600万㌦(18万重量㌧型)、パナ
マックスは2,650万㌦(8万1,000重量㌧型)、ハンディマックスは2,430万㌦(6万2,000重量㌧型)。ハンディサイズは横ば
いの2,050万㌦(3万5,000重量㌧型)。当面の底値とみられていることが横ばい基調の主因のようだが、ドライ市況の
行方によっては予断を許さない展開も予想される。ガス船は、LNG(液化天然ガス)船が弱含み横ばいの2億300万㌦(17
万4,000立方㍍型)、VLGCは横ばいの7,700万㌦。コンテナ船は、1万3,000TEU型が横ばいの1億1,600万㌦。横ばい基調
を維持しているものの、昨年の新造発注の反動減で先行きはじり安展開が予想される。2,750TEU型は弱含み横ばいの
2,950万㌦PCTCは、6,000台積みが強含み横ばいの6,000万㌦で推移しでいる。
◆新造船価相場 弱含み横ばい続く【2/26】 ≪原油船 下落圧力強まる≫新造船価相場はタンカー、バルカーともに
弱含み横ばいで推移している。史上最低レベルのドライ市況によりバルカーの船価レベルが下押し圧力を受けているこ
とに加え、タンカーの船価相場も運賃市況が冬場の需要期が終わるため、新造船供給圧力が強まる見通しのため下落
圧力が強まっている。マーケット筋によると、タンカーの足元の船価レベルは、VLCC(大型原油タンカー)、スエズマック
ス、アフラマックスが弱含み横ばいで、それぞれ9,350万㌦(32万重量㌧型)、6,200万㌦(15万7,000重量㌧型)、5,100万
㌦(11万5,000重量㌧型)。MR(ミディアムレンジ)型&ダクト(石油製品)タンカーは横ばいの3,550万㌦で推移している。
バルカーは、ケープサイズ、パナマックス、ハンディマックスが弱含み横ばい。ケープサイズは4,600万㌦(18万重量㌧
型)、パナマックスは2,650万㌦(8万1,000重量㌧型)、ハンディマックスは2,430万㌦(6万2,000重量㌧型)。ハンディサイ
ズは横ばいの2,050万㌦。ガス船は、LNG(液化天然ガス)船が弱含み横ばいの2億300万㌦。大型LPG(液化石油ガス)船
VLGCは横ばいの7,700万㌦。コンテナ船は、1万3,000TEU型が横ばいの1億1,600万㌦、2,750TEU型は弱含み横ばいの2,
950万㌦。自動車船(PCTC)は6,000台積みが強含み横ばいの6,000万㌦で推移している。
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◎中古船
◆中古船価相場/ハンディマックスBC続落【2/3】 中古船マーケットでハンディマックスバルカーの船価相場が続落し
た。新造リセール(転売)を除き軒並み安となり、直近と比べ50万~100万㌦下落した。マーケット筋によると、バルカーの
足元の船価レベルは、ケープサイズ、パナマックスが弱含み横ばい。ケープサイズは、新造リセール3,600万㌦、船齢5
年物2,300万㌦、船齢10年物1,300万㌦、船齢15年物700万㌦。パナマックスは、新造リセール2,300万㌦、船齢5年物1,30
0万㌦、船齢10年物800万㌦、船齢15年物400万㌦。ハンディマックスは、新造リセールが弱含み横ばいの2,000万㌦、船
齢5年物は100万㌦安の1,200万㌦、船齢10年物は50万㌦安の600万㌦、船齢15年物は50万㌦安の350万㌦に下落した。
ハンディサイズは、弱含み横ばい。新造リセール1,800万㌦、船齢5年物950万㌦、船齢10年物700万㌦、船齢15年物350
万㌦。タンカーの足元の船価レベルは、VLCC(大型原油タンカー)が新造リセールは横ばいの9,800万㌦、船齢5年物は1
00万㌦安の8,000万㌦。船齢10年物、15年物は横ばいで、それぞれ5,800万㌦、3,800万㌦。スエズマックス、アフラマック
スは横ばい。スエズマックスは新造リセール6,900万㌦、船齢5年物5,900万㌦、船齢10年物4,400万㌦。アフラマックス
は、新造リセール5,500万㌦、船齢5年物4,500万㌦、船齢10年物3,000万㌦で推移している。
◆中古船価/バルカー統落【2/3】 ≪スクラップ船価は全船型で続落≫英国ボルチック・エクスチェンジの1日付の中古
船価インデックス(船齢5年)は、バルカー全船型で下落した。バルカーの下落はケープサイズ、パナマックスで18週連
続、スープラマックスで15週連続。ケープサイズは前週比22万㌦安い2,173万㌦になった。タンカーはVLCCとMR型が下
落し、アフラマックスが反発した。スクラップ船価は中国、インド亜大陸解撤の全船型で続落した。ケープサイズの中古船
売買では、1日にスターバルクが18万1,433重量㌧型“obelix”(2011年今治造船建造)を2,330万㌦で売船すると発表し
た。買主は明らかにしていない。このほか直近のマーケットレポートで報告されたバルカーの中古船売買成約は、ハンデ
ィマックスで5万5,496重量㌧型“Aston TraderⅡ”(08年大島造船所建造)をSRシッビングが680万㌦で買船。ハンディ
サイズでは3万3,745重量㌧型“Great Dream”(04年大島造船所建造)をトルコバイヤーが400万㌦で買船したほか、1万
9,968重量㌧型“shuei”(12年新高知重工)が900万㌦で買船された。タンカーの中古船マーケットでは、アフラマックスで
9万6,833重量㌧型“Concertina”(92年サノヤス造船建造)をインドネシアバイヤーが400万㌦で買船。ケミカルタンカー
ではMR型で7万4,999重量㌧型“Eagle Ray”(00年大宇造船建造)をユニオン・マリタイムが買船した。4万9,126重量㌧型
“TRF Bergen”(15年現代ビナシン建造)をUACCが3,750万㌦で買船したほか、1万6,456重量㌧型“Kenza”(01年渡辺造
船所建造)が850万㌦で買船された。
◆バルカー中古船価続落【2/10】 ≪ケープの下げ幅は縮小≫英国ボルチック・エクスチェンジの8日付の中古船価イン
デックス(船齢5年)は、バルカー全船型で続落した。ケープサイズ、パナマックスで19週連続、スープラマックスで16週連
続の前週比下落。ケープサイズは前週比3万㌦安い2,169万㌦で、昨年末から先月末まで毎週100万㌦前後の大幅な下
落が続いていたが、今月に入ってからは下げ幅が縮小している。タンカーはVLCCが反発し、アフラマックスとMR型が下
落した。スクラップ船価は中国、インド亜大陸解撤の全船型で続落した。インド亜大陸では全船型でライトトン当たり10㌦
以上の大幅な下落が続いている。バルカーの中古売買では、パナマックスで8万8,266重量㌧型“Double Progress”(20
07年今治造船建造)をドイツバイヤーが600万㌦で買船。ハンディマックスで5万570重量㌧型“NewPacific”(05年三井
造船建造)をインドネシアのタント・インティム・ラインが580万㌦で買船したほか、5万5,300重量㌧型“Federal Baffin”(0
7年大島造船所建造)を欧州筋が7,750万㌦で買船。5万2,500重量㌧型“Triple Star”(05年常石造船建造)が570万㌦
で買船されたほか、4万7,600重量㌧型“Spar Orion”(96年大島造船所建造)を中国筋が210万㌦で買船。ハンディサイ
ズでは3万3,800重量㌧型“Bianco Venture”(04年大島造船所建造)をベトナムバイヤーが530万㌦で買船した。タンカ
ーでは、アフラマックスで10万6,900重量㌧型“NavionTorinita”(92年常石造船建造)が600万㌦で買船された。プロダク
ト船では、マースク・タンカーズが10万5,000重量㌧型“AIpineAmalia”と“AIpine Aqualina”(10年、11年現代重工建造)をそ
れぞれ4,400万㌦、4,600万㌦5万重量㌧型“Alpine Maria”と“AIpine Mary”をそれぞれ3,200万㌦で買船。7万5,000重量
㌧型“Maritina”(06年尾道造船建造)をユニオン・マリタイムが2,570万㌦で買船した。
◆中古船価相場/アフラマックス小反落、バルカー下落圧力強い【2/10】 中古船価相場で、アフラマックスタンカーが
小反落した。足元の船価レベルは直近と比べ100万㌦安。一方、バルカーの船価レベルは全般的に横ばいで推移してい
るものの、史上最低レベルのドライ市況が続いていることを反映し、下落圧力が強い状況が続いている。マーケット筋に
よると、タンカーの足元の船価レベルは、VLCC(大型原油タンカー)、スエズマックスが横ばい。VLCCは新造リセールが9,
800万㌦、船齢5年物8,000万㌦、船齢10年物5,800万㌦、船齢15年物3,800万㌦。スエズマックスは、新造リセール6,900
万㌦、船齢5年物5,900万㌦、船齢10年物4,400万㌦。アフラマックスは、新造リセールが横ばいの5,500万㌦、船齢5年物
は100万㌦安の4,400万㌦、船齢10年物は100万㌦安の2,900万㌦で推移している。バルカーの足元の船価レベルは、ケ
ープサイズが新造リセールは弱含み横ばいの3,600万㌦、船齢5年物は80万㌦高の2,380万㌦。船齢10年物、15年物は
弱含み横ばいで、それぞれ1,300万㌦、700万㌦。パナマックスは弱含み横ばい。新造リセール2,300万㌦、船齢5年物1,3
00万㌦、船齢10年物800万㌦、船齢15年物400万㌦。ハンディマックスは、新造リセール、船齢5年物が弱含み横ばいで、
それぞれ2,000万㌦、1,200万㌦。船齢10年物は小反発し、50万㌦高の650万㌦。船齢15年物は弱含み横ばいの350万
㌦。ハンディサイズは全般的に弱含み横ばい。新造リセール1,800万㌦、船齢5年物950万㌦、船齢10年物700万㌦、船齢1
5年物350万㌦。
◆中古船価相場/アフラマックス続落、VL船齢5年物反落【2/17】 中古船マーケットでアフラマックスタンカーが続落
した。船齢5年物、10年物が直近と比べそれぞれ100万㌦下落。VLCC(大型原油タンカー)の中古船価も船齢5年物が反
落した。他方、バルカーの中古船価レベルは全般的に弱含み横ばいで推移している。マーケット筋によるとタンカーの足
元の中古船価は、VLCCが新造リセールは弱含み横ばいの9,800万㌦、船齢5年物は100万㌦安の7,900万㌦、船齢10年
物、15年物は弱含み横ばいでそれぞれ5,800万㌦、船齢15年物3,800万㌦となっている。スエズマックスは全般的に弱
含み横ばい。新造リセール6,900万㌦、船齢5年物5,900万㌦、船齢10年物4,400万㌦。アフラマックスは、新造リセールが
横ばいの5,500万㌦、船齢5年物は100万㌦安の4,300万㌦、船齢10年物は100万㌦安の2,800万㌦とそれぞれ続落し
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た。バルカーの足元の中古船価は、ケープサイズが新造リセール3,600万㌦、船齢5年物2,380万㌦、船齢10年物1,300
万㌦、船齢15年物700万㌦。パナマックスは新造リセール2,300万㌦、船齢5年物1,300万㌦、船齢10年物800万㌦、船齢1
5年物400万㌦。ハンディマックスは新造リセール2,000万㌦、船齢5年物1,200万㌦、船齢10年物650万㌦、船齢15年物35
0万㌦。ハンディサイズは新造リセール1,800万㌦、船齢5年物950万㌦、船齢10年物700万㌦、船齢15年物350万㌦とな
っている。
◆中古船価 タンカー反落、全船型100万㌦安【2/24】 中古船マーケットでタンカーの相場が反落した。冬場の需要期
の堅調な運賃市況を背景に昨年末から強含みで推移してきたが、不需要期入りを前に全船型で100万㌦下落した。一
方、バルカーはケープサイズが一部で続落。他の船型は弱含み横ばいとなっている。マーケット筋によると、タンカーの
足元の中古船価レベルは、VLCC(大型原油タンカー)が全力テゴリーで直近と比べ100万㌦安。新造リセール(転売)9,7
00万㌦、船齢5年物7,800万㌦、船齢10年物5,700万㌦、船齢15年物3,700万㌦。スエズマックスも100万㌦下落した。新造
リセール6,800万㌦、船齢5年物5,800万㌦、船齢10年物4,300万㌦。アフラマックスは、新造リセールが弱含み横ばいの
5,500万㌦、船齢5年物は200万㌦安の4,100万㌦、船齢10年物は100万㌦安の2,700万㌦を付けている。バルカーの足元
の中古船価は、ケープサイズが新造リセール、船齢5年物、15年物で弱含み横ばいで、それぞれ3,600万㌦、2,380万㌦、
700万㌦。船齢10年物は100万㌦安の1,200万㌦となっている。パナマックス、ハンディマックス、ハンディサイズは弱含み
横ばい。パナマックスは新造リセール2,300万㌦、船齢5年物1,300万㌦、船齢10年物800万㌦、船齢15年物400万㌦。ハン
ディマックスは新造リセール2,000万㌦、船齢5年物1,200万㌦、船齢10年物650万㌦、船齢15年物350万㌦。ハンディサイ
ズは新造リセール1,800万㌦、船齢5年物950万㌦、船齢10年物700万㌦、船齢15年物350万㌦となっている。
◆中古船価格、全船型で下落【2/24】 ≪ケープサイズ再び軟調≫英国ボルチック・エクスチェンジの22目付の中古船
価インデックス(船齢5年)は、バルカー、タンカーの全船型で下落した。ケープサイズは前週比約2万㌦安い2,197万㌦。
前週およそ5カ月ぶりに上昇したものの再び下落した。その他のバルカーは、パナマックスが21週連続、スープラマック
スで18週連続で下落。スクラップ船価は中国、インド亜大陸解撤の全船型で下落した。バルカーの中古売買では、ケープ
サイズで17万6,900重量㌧型“Golden Hope”(2009年名村造船建造)をウイニング・シッビングが1,930万㌦で買船したほ
か、17万2,564重量㌧型“Kohyohsan”(01年NKK建造)をトルコの電力大手カラデニズが500万㌦で買船。カラデニズは同
船を発電船に改造するとみられる。パナマックスでは7万3,100重量㌧型“Cymbeline”(01年住友重機械工業建造)が325
万㌦で買船された。ハンディマックスでは5万3,000重量㌧型“AnneKjersti”(12年ベトナムのハロン造船所建造)が630
万㌦で買船されたほか、4万6,233重量㌧型“stoveTradition”(98年大島造船所建造)が350万㌦で買船された。タンカ
ーでは、アフラマックスで11万5,048重量㌧型“KillimanjaroSpirit”(04年大宇造船海洋建造)と10万6,360重量㌧型“FujiS
pirit”(03年常石造船建造)が船価不明で買船されたほか、10万6,100重量㌧型“ocean Mare”(06年現代三湖重工業建
造)をユーロタンカーズが2,700万㌦で買船した。
◎日本造船協力事業者団体連合会(日造協)
◆外国人実習生の受け入れ広がる【2/19】 ≪造船協力会社、人員増加傾向≫日本造船協力事業者団体連合会(日
造協)がまとめた「2015年度日造協実態調査報告」によると、造船協力会社の外国人技能実習生の受け入れが広がっ
ている。協力会社の人員数も増加傾向にあり、造船所の操業回復が背景にあるようだ。日造協が会員を対象に実施し
た昨年7月時点の書面調査の集計結果を公表した。43会員を通じて1,421事業所に調査票を配布し、634票を回収した。
造船部門の売上高指数は前年比16.7%増加。人員数は技術員が3%増で そのほか事務・営業、工員のいずれも増加し
た。2010年から減少していたが、14年から増加傾向にある。外国人技能実習生を2010年以前から受け入れていると回答
したのは99社で、一方で11-14年から受け入れているとの回答が28社、今年から受け入れているとの回答が23社、来年
以降受け入れを考えているとの回答が30社からあり、受け入れる協力会社が広がっている。実習生の国籍はフィリピン
と回答した協力会社が49%で最も多く、次いでベトナム23%、中国13%などとなっている。国が昨年から特定活動とし
て実施している外国人造船就労者受入事業は、27社が事業を活用して外国人造船就労者を受け入れていると回答。33
社が受け入れる予定と回答した。
◎その他
◆外国人技能実習制度/拡充・改善法案国会審議へ【2/24】 ≪最長5年に延長など造船業界、早期成立期待≫外国
人技能実習制度の拡充につながる制度改正関連法案が、開会中の通常国会で継続審議にかけられる。一部悪徳事業
者による制度乱用への対策として管理・監督体制の強化を図る一方、優良な受け入れ事業者に対しては実習期間の延
長や受け入れ枠の拡充を認めるのが趣旨。年間1,000人強を受け入れ、実習生と事業者との間で良好なマッチングが
続いている造船業にとっては早期成立が期待される内容だ。外国人技能実習制度は途上国への技術移転を趣旨とし
た制度で、労働力需給の調整に用いることは認められていない。一方で、実習では実習生も作業に加わるため、人手不
足の産業にとっては結果的に実習生が戦力となっている側面がある。しかし、一部産業では同制度を悪用し、安価な労
働力として実習生を酷使するなどの事例が問題視されているため、所管する法務省と厚生労働省が法改正を含む制
度改正に取り組んでいる。継続審議中の法案では、実習生受け入れに当たって策定が求められている技能実習計画が
認定制とされ、不当な実態が判明した場合には認定を取り消して実習を打ち切らせるなどの管理体制強化が盛り込ま
れている。一方で、優良な事業者に向けては制度の拡充も認める。現行制度での実習期間は、1年目対象の「1号実習」、
2-3年目対象の「2号実習」の二つを通じて最長3年。法案では、新たに4-5年目を対象とする「3号実習」の制度を新設
し、最長5年の受け入れを可能にする。また、受入人数についても、現行制度で日本人就労者のおおむね5%に制限され
ているものを、優良事業者に限って2倍の10%を認める見直しが行われる方向。また、造船業界などから要望の強い
「多能工」制度についても改善が図られる見込みだ。現在の制度は2号実習への移行後、「溶接」や「塗装」など72職種
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の中から1職種に絞った実習を行うのが基本。しかし、産業によっては一技能者の担当する作業が単一職種で完結しな
い実態があるためだ。厚労省は「大学の学部・学科選びのように線引きできないケースがあるのは把握している。法案
が成立すれば、その後の制度設計の中で具体化させていきたい」という。なお、2020年までの間、技能実習制度OBが
最長3年間にわたって就労することを認める時限措置が、建設業と、建設業と対象者が重複する造船業についてすで
に認められている。ただ、同措置はあくまでOBを即戦力の労働力として用いることを認めたもので、現在、国会に諮ら
れている実習制度拡充につながる制度改正とは別個のものだ。
◆国内造船/18年納期での受注模索【2/2】 海外船主を中心とした納期延期の要請が相次いでいることを受けて、
国内造船所の中には線表を大幅に組み替える動きも出てきた。日本の造船所の多くが昨年末までに2018年納期の船
台を埋めているが、一部で18年納期のバルカーを19年以降の納期に変更しているほか、建造順を入れ替えることで捻
出した期近納期の船台でタンカーなどバルカー以外の船種の受注活動を進めている造船所もある。友好船主との関係
性を重視しつつ、17~18年納期の船台でタンカーなどの受注を進める韓国や中国造船所に対抗して受注を図る狙いと
みられる。受注した新造船の納期延期は昨年から顕在化していたが、予想を上回るドライバルク市況の低迷により、今
年に入ってからも海外船主から納期延期の要請が寄せられているようだ。ドライ市況の回復が当面見込めないと判断
する海外船主も増えているとみられる。納期延期は新造解約に比べれば受ける余地はあるものの、リスクも大きい。1年
以内に竣工予定の期近納期の建造船はその後の建造工程にも影響が出るため、「岸壁に係留するなどで遅らせるとい
っても2~3カ月が限度」(国内造船所営業担当者)。建造計画どおりに建造し、岸壁に係留するにしても岸壁のキャパシ
ティにも限りがある。また、先物納期の竣工船でも線表を大幅に組み替える必要がある。ただ、18年納期以降の竣工船
については、船主の要望に応じて19年以降に納期を変更する造船所も一部あるようだ。昨年から線表を組み替えたり、
船種変更するなど柔軟な受注戦略をとっていた造船所もあるが、こうした動きが複数の専業造船所の中で広がってき
ているようだ。複数の船種のラインアップを持つ造船所であれば、空いた手前のポジションでタンカーなどの船種を受
注することも可能だ。タンカーは新造発注に一服感もあるものの、バルカ一に比べれば引き合いもあるようだ。ただ、
引き合いがあるケースでもネックになっているのが納期だ。海外船主も供給圧力の強くなる先物よりも期近な納期で
の引き渡しを要望している。手持ち工事確保のため、韓国や中国造船所が17~18年納期での受注攻勢をかけてきてお
り、19年納期の船台での商談は厳しいようだ。「このままでは本来受注できた案件まで韓国に持っていかれる」(国内造
船所関係者)といった懸念もあり、空いた期近船台で受注を模索しているようだ。日本の造船所は、バルカー以外の船
種の開発や受注を進めてきたが、今年や来年から新船型が続々と竣工する。このため、18年以降の納期であれば、新
船型の受注でも問題ないものが多いようだ。韓国に比べて為替レートなどの受注環境も現在は良好だ。ただ、舶用機
器の調達などの課題もある。舶用メーカーの生産計画が固まりつつある中で、期近納期で機器を新たに調達するのは
容易ではない。こうした問題がクリアになれば、期近納期での受注も具体化しそうだ。
◆16年受注環境厳しい/海洋事業不振の影響、色濃く【2/3】 〈デスク〉さて、日本船舶輸出組合の2015年輸出船契約
実績が出たが、どうだったかな。〈A〉15年実績は、2,222万総㌧(1,055万CGT=標準貨物船換算トン)となり、前年比50%
増(CGTベースで46%増)に膨らみました。1966年以降の実績でみると、総トン数ベースでは、03年(2,676万総㌧)、06年
(2,659万総㌧)と、73年(2,583万総㌧)、07年(2,472万総㌧)に次ぐ高レベルでした。昨年末の手持ち工事も3,899万総
㌧(1,889万CGT)に増えています。〈B〉船種でみると、引き続きバルカーが中心ですが、バルカーは総トン数、隻数とも
前年比マイナスでした。一方、貨物船はコンテナ船、自動車船などが伸びたことで、総トンベースで95%増でした。タン
カーはプロダクト船、アフラマックスタンカーなどが隻数を伸ばし、同4倍に拡大しました。〈C〉一方、前年が好調だった
要因を考えると、状況は楽観できるものではありません。バルカーで顕著ですが海運市況が低迷しているほか、世界的
に建造能力、船腹ともに過剰です。昨年はこのような状況下で、H-CSR(調和構造規則、NOx(窒素酸化物)3次規制の適
用を回避するための駆け込み需要などがあり、受注増につながりました。〈デスク〉規制適用後となる今年だが、受注
環境はどうなるのかな。〈A〉厳しそうです。バルカー市況低迷を受け、それ以外の船種の開発、新規参入の動きが継続、
拡大しそうです。〈B〉韓国造船では、今年に入り韓国取引所への告示ベースで大手3社(現代重工業、サムスン重工業、
大宇造船海洋)の受注はゼロです。前年1月は、現代重工がタンカー2隻、サムスン重工もLNG(液化天然ガス)船2隻、大
宇ではLNG船4隻、VLCC(大型原油タンカー)2隻を成約していました。韓国の現代重工グループでは、現代重工、現代尾
浦造船、現代三湖重工業3社の船舶・海洋受注高目標を187億㌦(前年205億㌦)に設定しました。大手3社の中で昨年唯
一海洋プラントを成約し、トータルの受注高がプラスだったサムスン重工でも、今年の状況は厳しそうです。〈C〉韓国で
は、近年積極受注してきた海洋プラントで損失が発生し、業績に大きく響いています。昨年には、リグ(掘削装置)、生産
設備などの引き渡し延期、一部では契約解約も表面化し、その動きは止まっていません。それにどう対応していくのか
注目したい。海洋事業の影響は、日本でも出ています。日本造船に関しては、それへの対応のほか、M&A(企業の合併・
吸収)を含めた経営基盤強化、技術開発の動きも引き続き注視していきたいです。
◆造船事業の損失がさらに拡大/重工各社、工程・採算の挽回いかに【2/5】 総合重工会社の造船海洋事業で、大型工
事の損失が広がっている。三菱重工業では客船の損失が累計1,872億円に増大し、IHIは海洋構造物での赤字が拡大。三
井造船では子会社の海洋支援船4隻の建造で110億円の赤字が発生する見通しとなった。将来の成長を目指して挑ん
だ大型案件が、主に設計の遅れに端を発した混乱に陥り、出血が止まらない状況だ。建造体制や事業計画などを大幅
に見直し、全社を挙げた支援体制で挽回を図ろうとしている。別項のとおり、三菱重工は2015年4~12月期にアイーダ向
け客船で追加221億円の損失を特別損失に計上した。2013年度から損失が発覚し、これまで全社による支援体制で工程
挽回を図ってきたが、建造の最終段階になってもなお現場での変更などが相次いでいる。納期延期による損失も膨ら
み、今後艤装工事が本格化する2番船でもなお損失が拡大するリスクがあるという。IHIは、愛知工場で海洋の混乱が続
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いている。シンガポール向けドリルシップの船体工事で設計遅延により、挽回のための費用負担が拡大した。さらに設計
完了後も、艤装関係での不具合などが継続し、いまも工程は回復していない。これに続くノルウェー向けFPSOの船体工
事も玉突き的に遅れ、外注設計での品質問題や遅れが発生して費用が膨らんだ。海洋部門が属する社会基盤・海洋セ
クターの今期の営業損益は390億円に拡大した。三井造船は、連結子会社の新潟造船が建造中のティーケイ向け支援
船4隻で、損失が拡大している。設計の変更や不具合の発生などにより建造費用が増加し、その後も資機材が予想を超
えて増加しているほか、現場工数も増加。今期は受注工事損失引当金の計上も含めて110億円の損失が発生する見込
みになり、これにより今期の船舶部門の営業損益が100億円の赤字に転落する見通しになった。このほか川崎重工も今
期の船舶部門の営業損益予想を引き下げ、55億円の赤字に転落する見通しになった。為替やLNG船のコスト増加が響い
た。これ以外にブラジル事業では減損処理による特別損失も計上した。各社は立て直しに向けて、大幅な見直しを図っ
ている。三菱重工は既に商船事業の分社をはじめとした造船事業の抜本改革に着手し、客船については実質的に社長
が直轄する体制に転換している。IHIは新規受注を停止し、全社による支援体制をとったほか、FPSOの船体工事を海外の
工場に移管することを決めた。三井造船では、新潟造船に技術者・技能者を増員派遣し、完成に向けて支援体制をとっ
ている。ただ、いずれも設計の遅れがきつかけとなっており、影響が資材調達や生産など各方面に複雑に広がってい
るだけに、混乱の収束は容易ではない。損失拡大をここで食い止められるかどうかは、なお予断を許さないようだ。
◆中堅造船3社/舶舶関連受注増が増加、名村は油送船伸ばす【2/5】 上場する中堅造船3社の2015年12月末の造船
関連事業受注残高は、それぞれ増加した。名村造船所では15年4~12月期に、バルカ一市況低迷を踏まえたタンカーの
成約拡大、中型低温式LPG(液化石油ガス)船事業進出、佐世保重工業の完全子会社化効果もあり、新造船受注高が6割
増。それに伴い15年末の同受注残高も2桁の伸びを記録した。残る2社の期間中の修繕などを含めた造船(船舶)事業受
注高は、サノヤスホールディングスで小幅減、内海造船は未公表だが、各社の受注残高は前年12月末と比べ共にプラス
だった。名村の15年4~12月期新造船受注高は前年同期比63%増の1,299億円だった。隻数は前年比10隻減の21隻。船種
別ではバルカー6隻、タンカー14隻、LPG船1隻で、タンカーの隻数がバルカーを上回った。15年12月末の新造船受注残
高は、前年12月末比14%増の3,648億円に膨らんだ。サノヤスは15年4~12月期に6万重量㌧型(60型)・82型バルカーを
計6隻成約。前年同期の60型・82型・89型バルカー計5隻を1隻上回った。改修船・修繕船、プラント事業を含めた造船事
業全体の受注高は5%減の286億円とわずかに落ち込んだ。15年12月末の同受注残高は、前年ほ月末比12%増の805
億円(新造船は工事進行基準)となった。受注残高隻数は引き渡しベースで4隻増の27隻。内海造船は15年4~12月期に
新造船として貨物船、フェリー、自動車船など7隻を受注し、隻数では前年同期実績を1隻上回った。15年12月末の同受
注残高は3%増の531億円だった。15年末の受注残隻数は、構成される船型は異なるものの18隻で変動はなかった。
◆造船この1カ月<上>【2/5】 ≪排ガス対策、問われる技術力、規制対応が造船業の大きなテーマに≫造船業界では
年初から赤字決算などのニュースが相次いでいる。この一方では、今年からスタートしたIMO(国際海事機関)の窒素酸
化物(NOx)3次規制が造船業には大きな技術テーマとなっている。コストと設計へのインパクトが大きい。さらに、バラス
ト水管理条約や硫黄酸化物(SOx)規制への対応も合わせて検討する必要が出ており、造船所としての技術力が問われ
る年となりそうだ。≪赤字決算に経営破綻・・・≫司会 年が明けても、あまり雰囲気は明るくない。昨年からの流れを引
き継いでいる。― 年初は賀詞交歓会などで業界の人が集まる機会が多いが、今年は良い話は聞こえてこない。ドラ
イバルク市況がこういう状況だから…。― 年初から紙面にも明るいニュースがない。国内外の造船所の決算発表も
相次いでいるが、赤字が多い。― 海洋関連の損失が大きい。造船業の場合、海運市況が決算に影響するまでに時間
差があるけれど、海洋市場の低迷は影響がすぐに出てきた。― キャンセルなども出ている。そもそも海洋関係は全て
難工事に陥っている。― 商船も厳しいので、造船所の経営危機のニュースもいくつかあった。中国では引き続き、中小
規模の造船所の「重整」申請などが相次いでいる。韓国では中堅の韓進重工業が「自律協約」を申請して銀行管理にな
った。― 韓国造船業で銀行管理になっていないのは、これで実質的には現代重工グループとサムスン重工の2社だ
けになってしまった。― 韓進は以前から赤字決算が続いていた。リーマン・ショック後には造船事業をフィリピンに全面
移管しようとして、反対する労組が釜山の工場を長期占拠して政治問題になったことがあった。結局、国内工場も生か
す形になったわけだが、やはり厳しかったのだろうか。― 日本の国内では、三菱重工の客船でボヤ騒ぎがあった。―
韓国や中国でも最近は建造中の船で火災の話がよくあるが、少し違うね。過去には欧州でも建造中の客船で火災が
相次いだことがあったけれど…。― 今回は火の気のないところで出火したとか、状況がよくわからない。― 三菱の
場合、前回の客船火災の反省から、作業員による初期消火や通報の体制などが整えられていたという。だからボヤで
済んだ。大事に至らなかったのは何よりだ。― 客船工事は最後の大詰めだから、本当に頑張ってもらいたい。― 造
船所が工程を挽回するためのラッシュワーク時には、事故なども通常より起こりやすいと聞く。他の造船所でも最近は
遅れを取り戻すための難工事があるから、状況はそれぞれ違うだろうが、気をつけてほしい。≪環境のコスト≫司会 さ
て今年の大きなテーマの1つは新規制だ。IMOのNOx3次規制がいよいよ今年1月から始まった。― 今年1月1日に起工す
る新造船から適応が始まった。とはいえ、いま国内外の造船所が手持ちとして持っている受注工事は、全て昨年末まで
に起工を済ませているので、適応船はほとんどない。実質的には今年建造契約を交わす船からが対象と言って良い。
― これほど大きな規制にもかかわらず、新造船のマーケットでは規制対応の詳細などはあまり話題になっていなか
った。回避するというのが業界の基本路線だったからだろう。― だが、今年からはそうではなくなる。NOxを規制の基
準にまで引き下げるには、エンジンに装置をつけなければいけない。対応装置であるSCRやEGRを搭載するか、あるい
は、ガス焚きにするという選択肢かを選ばないといけない。いずれにしても、数百万㌦規模のコストが生じる。― 造船
所では規制対応の船型開発も進んでいるが、実際に売り出し始めているデザインはまだそれほどない。いつもの新規
制が発効した直後の状況に比べると、対応がゆっくりしているという気もする。それだけ、設計やコストに与える影響が
大きいということだろう。― というより、いまこのマーケットで出しても売れないから、焦っていないということでは
ないか。― そもそも、規制に対応するための装置のリリースも今回は遅かった。NOx3次規制は、規制導入の経緯や、
造船所・メーカー・海運会社の対応など、全体としてチグハグな感じがする。― メーカーは装置の開発を必死に進め
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ていた。だが、こうした対応装置の開発スケジュールに対して、規制の導入が早退ざたのではないか。今さら言っても
仕方がないけれど。― 今回は経済的メリットが全くない規制だから、どうしてもユーザーの腰が重かったということ
もあるだろう。CO2(二酸化炭素)は減らせば燃費も下がるので分かりやすいが、そこが大きな違いだ。― 経済メリット
がない点では、バラスト水処理装置と同じだ。― 環境保護のために海事産業全体として前向きに取り組むという総論
には皆が賛成しているが、コスト負担などの議論になると、やはりシビアにならざるを得ない。特にNOx3次規制は、バラ
スト水処理装置よりも金額が大きい。これほどのコストをどう分け合うのかが見えない。新造船にしか適用されない点も
不公平ともいえる。環境規制に対応した船の方がコストが高いので競争力で劣るという矛盾がある。― それでも規
制はスタートした。NOxの「コスト」は、新造船発注の重しになるかもしれない。≪バラスト装置の混乱≫司会 バラスト水
管理条約は、昨年末に発効条件が満たされるのでは、という局面があった。― 結局、船腹量がわずかに足りず発効し
なかったが、パナマが批准の方針を示したので、もう時間の問題になった。― 新造船では、条約発効を先取りして装
置をほぼ標準的に搭載するようになっている。回避したところで、いずれ既存船も搭載が義務化されるからだ。― だ
が、ここにきてUSCG(米国沿岸警備隊)による装置の型式承認が問題になっている。詳細は記事にしたので省略する
が、IMO規制で一般的に認められている装置の試験法を、米国の地域規制では認めないという方針が昨年末に示され
た。― 船主としては、リスクをとりたくないので、USCGの承認も得た機器を使いたい。造船所もメーカーリストにはそ
ういう機器を入れておきたい。もしいまIMOの条約が発効したら、米国の型式承認が取れた装置から注文が殺到すると
の予測もある。― このタイミングで、これほどのルールチェンジはあまりにもひどい。メーカーも因っている。― 指
定された試験法で粛々と進めるということのようだが、バラスト規制は最後まで業界に混乱をもたらしているね。≪造
船所の連携は≫司会 さらに次にはSOx(硫黄酸化物)の全海域規制も控えている。まだ先の話だが…。― 実はそれ
ほど先でもない。開始は2020年か2025年といわれているが、昨今の流れからすれば2020年になるのではないか。202
0年といえば、もう日本造船所の線表はそこまで近付いている。― 既存船も全て対象になるし、回避はできない。こ
うなると、造船所は次期の船型で、規制対応を考え始めないといけなくなる。― これもインパクトが大きい規制だ。
燃料をガスや低硫黄燃料に切り替えるか、数百万㌦規模の脱硫装置を付けなければ対応できない。コストも大きいが、
CO2やNOxなどの他の排ガス規制とのトータルで考えないといけない面もある。― しかし、これほど大きな規制に対応
するには、造船所の設計リソースは足りるのだろうか。― 規制対応で手いっぱいになってしまい、将来を見据えた技
術開発や、マーケットに機敏に対応した船型開発の方が手薄にならないか心配だ。― 今回の環境規制は、造船所にと
って正念場だと思う。設計規模を得るための再編統合という可能性は…。― 少なくともアライアンスなどは出てくる
のではないか。昨年、尾道造船とJMU(ジャパンマリンユナイテッド)がMR型プロダクト船の新造商談で協力したが、狙い
の1つは設計図面の共同活用だった。こういう方向性は、1つの解決策になると思う。― 基本設計は競争力の源泉と
いう考えが強いから、協力はなかなか難しい点もある。― ただ、一方の造船所が規制未対応船のデザインを提供し
て、もう一方の造船所が規制対応に作り直して双方で活用したり、特定の船種に絞って初めから図面を共同開発した
り、そういう部分的な協力は可能ではないか。
◆国内造船、昨年アフラ計31隻受注/住重・名村・常石、世界シェア6割に【2/18】 国内造船所が昨年1~12月に受注した
アフラマックス・タンカーは計31隻になることが明らかになった。アフラマックスの受注が年間30隻以上になるのは200
6年以来で、世界全体に占める日本の受注シェアは6割近くになった。名村造船所グループ(伊万里事業所、佐世保重工
業)、常石造船、住友重機械の3社でいずれも18年納期の船台を売り切った。ドライバルク市況の低迷を受けた“脱バル
カー”の象徴の1つがアフラマックスだったが、世界的に見ても日本の存在感が高まったようだ。決算発表資料などによ
ると、昨年最もアフラマックスの受注隻数が多かったのが名村造船グループで、15隻を受注した。このうち佐世保重工
建造分が9隻になるもよう。名村造船が開発した省エネ仕様の11万5,000重量㌧型で受注を重ねた。佐世保重工は17年
以降タンカー主体の建造体制に転換する。常石造船は計14隻を受注した。10万6,000重量㌧型6隻のほか、昨年市場に
投入した新船型の11万5,000重量㌧型を計8隻受注した。沼隈の常石工場で建造する。リーマン・ショック以降は、国内外
の3工場ともロングセラーのカムサマックスや「TESS58」ハンディマックスなどのバルカーで受注を進めており、常石造
船として竣工ベースで6年ぶり、常石工場は約8年ぶりにアフラマックスを建造する。住友重機械は11万2,000重量㌧型2
隻を受注した。従来からアフラマックス・タンカーの連続建造体制を採っており、昨年は2隻だったものの、14年に10隻を
受注している。また、13年度には1隻まで絞っていた新造船の建造量を手持ち工事の状況などから18年には年5隻程度
の体制まで戻す計画のようだ。現在は年3隻程度に絞っている。名村造船や常石造船はこれまでバルカーを中心とし
て受注を進めていたが、昨年から大きく方針を転換。3社とも昨年末までに18年納期の船台を完売した。また、船型大型
化のニーズを受けて、3社とも44m幅の幅広船型を市場に投入した。新共通構造規則(H-CSR)を適用しているほか、窒
素酸化物(NOx)3次規制にもめどを付けつつある。一方、競合する韓国造船所は18年納期の船台をまだ売り切っていな
い状況だ。日本国内では、3社以外の造船所でもアフラマックスを開発を検討したり、開発を進めている造船所がある。
◆造船大手5社船舶部門/営業黒字JMU1社【2/8】 ≪4-12月期 通期は住重も営業黒字≫造船大手5社船舶部門の2
015年4-12月期連結決算は、船舶・海洋事業の業績を開示していない三菱重工を除き、ジャパンマリンユナイテッド(JM
U)が営業利益54億円で唯一営業黒字となった。16年3月期通期の連結業績は、JMUが予想を開示していないものの営
業黒字を確保するものとみられ、加えて住友重機械工業も営業黒字に転換する見通し。15年4-12月期連結決算は、川
崎重工の船舶部門が25億円の営業赤字(前年同期は33億円の黒字)、三井造船の船舶部門は113億円の営業赤字(同4
2億円の赤字)だった。川重は前提為替レートを1㌦=120円から117円に見直したことや一部LNG(液化天然ガス)船のコ
スト増加などが響いた。三井造船は子会社・新潟造船が建造中のオフショア船4隻で、受注工事損失引当金を含め72億
円の追加損失を売上原価に計上したことが主因。住友重機械工業は前年同期8億円の赤字からトントンに政善した。16
年3月期通期の連結営業損益は、JMUが為替相場などの不確定要因を理由に開示を引き続き見合わせた。ただし、同社
は15年末までに船台の確定をかなり進めており、現在の厳しい新造船マーケットも踏まえると期中に新規の新造船を
受注し、受注工事損失を引き当てる可能性は低く、通期でも営業黒字を確保するものとみられている。住重は前期12億
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円の赤字から5億円の黒字に転換する見込み。川重は55億円の赤字(前期は26億円の黒字)、三井造船は100億円の赤
字(同101億円の黒字)を見込む。各社は16-17年、新造船価がやや持ち直した13-14年前半に受注した新造船の建造・引
き渡しを迎える。そのため、為替リスクをヘッジしていけば、業績は多少上向いていくと予想されている。他方、海運市
況はドライバルクとコンテナ船で史上最低の水準がしばらく続きそうな展開で、新造船を発注済みの海外船主の動向
を造船関係者は緊張感を持って見守っている。生産現場も高品質の新造船を建造し、デリバリーすることが求められ
る。
◆造船この1カ月<下>【2/8】 ≪新造船市場、低調なスタート、納期延期や韓国の動向が焦点≫ドライバルク市況の記
録的安値や昨年末の駆け込み発注の反動から低調なスタートとなった今年の新造船市場。海外船主を中心とした納期
延期の要請が相次いでいる。国内造船所の中には線表を大幅に組み替える動きも出ており、建造順を入れ替えること
で捻出した18年納期の船台でバルカー以外の船種の受注活動を進めている造船所もある。新規案件が少ない中、韓国
が受注攻勢に出てくるとの懸念も広がっている。≪納期延期の要請続く≫司会 今年の新造船市場はドライバルク市況
の記録的低迷など最悪の環境下でのスタートになった。― もともと窒素酸化物(NOx)3次規制を回避する昨年末の駆
け込みの反動などで新造商談の低迷が予想されていた。ただ、新規商談がほとんどないのはもちろんのこと、海外船
主からバルカーの竣工を遅らせて欲しいという要請が造船所に寄せられている。― 新造船の納期延期は昨年から顕
在化していたが、ドライ市況の低迷が想定していた以上に深刻で、今年に入ってからもそうした動きが顕著なようだ。
― 噂では受注船の6割以上で納期延期の依頼がきている造船所もあるという話だよ。― 造船所にとってみれば、
新造解約に比べれば受ける余地はあるものの、リスクも大きい。1年以内に竣工予定の期近納期の建造船が遅れれば、
その後の建造工程にも当然影響が出てくる。― そうすると、期近なものは建造計画どおりに建造して、岸壁に係留す
るほかないね。ただ、岸壁のキャパシティにも限りがあり、苦労している造船所も多い。― 経営危機の韓国や中国造
船所を買収してそこに係船しておけばいいという冗談も聞くほどだからね。― ドライ市況の回復が当面見込めない
と判断する海外船主も増えており、先物納期の新造船の引き渡し延期の要望もある。― 先物納期の竣工船でも竣工
のスケジュールを遅らせる場合には、線表を大幅に組み替える必要が出てくるね。― ただ、18年納期以降の竣工船
は、船主の要望に応じる形で19年以降に納期を変更する造船所もある。昨年から線表を組み替えたり、船種変更するな
ど柔軟な受注戦略をとっていた造船所もあるが、こうした動きが複数の専業造船所の中で広がってきたようだ。―
納期を延期して空いたボンションはどうするのかな。― タンカーなどバルカー以外の船種のラインアップを持つ造船
所は、空いた18年納期のポジションでの新規受注を模索しているようだよ。― たしかにタンカーも発注に一服感はあ
るものの、バルカーに比べれば引き合いもある。昨年末までに線表を進めたことで、日本の造船所が新規案件で提示
できる納期は19年以降になっていたが、空いたポジションの18年納期を提示できれば、受注につながる可能性は高く
なる。― 海外船主も供給圧力の強くなる先物よりも期近な納期での引き渡しを希望する傾向が強い。韓国や中国の
造船所が17-18年納期を提示する中で、対抗して商談を進めるには18年納期の提示が不可欠になる。― 舶用機器類
の調達などの課題もあるが、うまくいけば友好船主との関係性を考慮しながら、新規受注もできて一石二鳥になるね。
≪日本の手持ち工事は3.5年≫司会 線表の話が出たが、昨年の受注統計の数値が発表されてきたので、改めて各国
の受注状況を振り返ってみよう。― 日本船舶輸出組合の統計によると、日本の新造船受注量は2007年以来8年ぶり
に2,000万総㌧の大台を超えた。オイルショック時の1973年や造船ブーム期の2003年、06年、07年に次ぐ5番目の契約
量だった。― 昨年は新共通構造規則(調和化船体構造規則:H-CSR)やNOx3次規制を回避する駆け込みなどで、年間
を通じてコンスタントに契約があった。― 昨年の竣工量をベースにすると、昨年末時点の手持ち工事は約3.5年分。単
純に数字だけをみると、19年半ばまで埋まったことになる。― 今のようなマーケット状況では操業水準を急激に引き
上げるようなこともないだろうから、手持ち工事の目安としてはあっているのかもしれないね。― 規模の大きな造船
所だけでなく、ケミカル船を主力とする造船所も18年納期の船台を完売したところが多い。最長で20年半ばまで線表
を進めた造船所もあるというよ。― 規制前の駆け込みは“需要の先食い”との見方もあるが、このマーケット状況をみ
れば、時宜をとらえて受注を進めたと言えるだろう。― 日本の造船所の受注量が高水準だった一方で、韓国や中国
は思うように受注が進まなかった。中国船舶工業行業協会(CANSI)の統計によると、中国の新造船受注量は3,000万重
量㌧強まで落ち込み、前年比で半減した。― 韓国も現代重工業グループが年後半に入って商船を相次いで受注して
いたけれど、建造キャパシティからするとまだまだ不十分だろう。現代、サムスン、大宇とも年初の受注目標にはほど遠
く、大宇は半分も達成できなかった。18年納期の船台にもまだ空きがあるだろう。≪韓国の受注攻勢はあるのか≫司会
今年は韓国造船所が手持ち工事確保のために受注攻勢に打って出て、新造船市場の悪影響になるとの懸念もある。
― 業績悪化の影響から極端な安値の受注には踏み切れないとの見方もあるよ。― 確かにこれ以上赤字を膨らま
せられないという見方もあるけど、今年の受注目標をみると、そうとも言い切れないよ。各社とも昨年実績を上回る目
標を設定している。― さすがにこのマーケットの環境で、昨年の実績を上回るとなると、なかなか厳しいものがあり
そうだ。原油安を背景に海洋案件の商談もない。― 韓国大手は商船回帰の傾向が強くなるのだろうか。― 経営危
機に陥っている大宇は商船中心の受注になるだろう。現代は現代尾浦や現代三湖を含めた造船・海洋部門の受注目標
が計187億㌦で、そのうち海洋は32億㌦だ。昨年の受注目標に比べて海洋の比率は低く、商船の比率がやや高くなっ
ている。一方、サムスン重工は125億㌦のうち商船50億㌦、海洋75億㌦と海洋の比率が比較的高い。― サムスンは昨
年も海洋案件の受注が6割以上を占めており、3社の中では海洋の受注が多かった。ただ、今年の75億㌦は、昨年受注
した豪州ブラウズ・プロジェクト向けのFLNG(浮体式LNG生産貯蔵積出設備)のうち、正式決定していなかったトップサイ
ドの受注分だとの見方が有力視されている。― つまり新規の案件はほとんど見込んでいないということだね。そう
なると、商船で日本の造船所と競合する場面も多くなりそうだ。― 発注が比較的見込まれそうなタンカーなどでは、
大手だけでなく韓国中堅クラスの造船所との競合もある。― 韓国の中堅以下の造船所は18年はもちろん17年いっぱ
いの手持ち工事を確定していないところも多い。つまり今年受注に動かなければ、手持ち工事の枯渇が迫ってくる。残
された時間はそれほどない。― ただ、中堅クラスの造船所は実質的な銀行管理になる「自律協約」での再建を進め
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ていることもあり、やみくもに受注できる状況にはないだろう。商談はまとまったものの、リファンド・ギャランティが発給
されず正式契約を結べないといったケースもあった。― 今年に入ってからも、韓国造船所の新規受注はほとんど聞こ
えてこない。新規商談ではNOx3次規制への対応が必要なことも影響しているだろう。開発が完了していてもコストの
問題は解消されていない。― NOx3次規制は開発の進捗に若干の違いはあっても各国共通の課題だ。新規制に対応
した新規商談が本格的に始まるまで時間がかかる見通しで、新造船市場はしばらく静かな展開が続くのではないか。
― 今年は新規商談だけでなく、納期延期など受注船への対応も焦点の1つになりそうだ。ドライ市況の低迷が長引け
ば、持ちこたえられなくなった海外船主のキャンセルなども顕在化してきそうだ。― 海運マーケットが回復しなけれ
ば明るい見通しは見えてきそうにないね。
◆日本財団/造船所ドック拡張などに29億円貸付【2/12】 日本財団は10日、2015年度第2回目の造船関係事業に対す
る設備資金貸付として、12件に計22億6,510万円の融資を決定したと発表した。ドック拡張工事などの借り入れ申請があ
ったが、前年同期を63%下回った。また、中小企業経営革新支援法に基づく「経営革新支援資金貸付」として1件・5億9,
000万円を決めた。いずれも貸付実行予定日は3月16日。東日本大震災の被災地向け災害支援貸付の申請はなかった。
Ⅲ.各国造船業の動向
◆15年の新造受注/ブーム最終年並み【2/16】 ≪IHS統計、日本の受注シェア3割≫IHS(旧ロイド)統計速報値による
と、2015年1-12月の世界の新造船受注量は前年同期比4%減(総㌧ベース、以下同)の2,254隻・8,082万総㌧だった。造
船ブーム最終年の2008年並みで、3年連続の高水準となった。新造発注の中心がタンカーやコンテナ船だったのが特
徴で、受注シェアは日本、韓国、中国が29-31%にひしめき合う僅差だった。一方、今年の新造船市場について「現在動
きのある船種はケミカル船やプロダクト船くらい」(IHSマリタイム&トレードのダリボー・ゴギック主席アナリスト、以下
同)としており、バルカ一に加え、原油タンカーも新造発注は伸びないとの見通しを示している。2015年の新造船実績
は表のとおり。受注量はIHS統計1-9月の確定値と10-12月の速報値の合計。14年実績は下回ったものの、新共通構造規
則(H-CSR)や窒素酸化物(NOx)3次規制の新規制を回避する駆け込み発注があり、高水準となっている。年間を通じて
コンスタントに発注があったものの、駆け込みが佳境を迎えた第2四半期(4-6月)と第3四半期(7-9月)が2,000万総㌧
超を記録するなど、特に多かった。国別の受注量をみると、日本が前年同期比20%増の2,335総㌧、韓国が2%減の2,4
54万総㌧、中国が22%減の2,536万総㌧。シェアはそれぞれ29%、30%、31%で、14年と順位は変わらず、ここ数年トッ
プシェアの中国が首位だったものの、円安の追い風もあり日本が受注を大幅に伸ばし大接戦となった。日本の受注シェ
アが3割近くになるのは造船ブーム初期以来とみられる。船種別にみると、コンテナ船が285隻・2,602万総㌧、タンカー
が489隻・2,707万総㌧、バルカーが413隻・1,686万総㌧、ガス船が100隻・552万総㌧だった。コンテナ船とタンカーが多
いのが特徴で、14年に全体の過半数を占めていたバルカーが大幅に減少した。竣工量は世界全体で計2,611隻・6,737万
総㌧で、前年同期比5%増となった。日本は3%減、韓国は3%増、中国は11%増。建造量でも中国が首位を維持してお
り、シェアは日本19%、韓国35%、中国37%となっている。船種別では、バルカーが2%増の663隻・2,798万総㌧、タンカ
ーが15%増の316隻・1,093万総㌧、コンテナ船が6%増の210隻・1,722万総㌧だった。IHSのダリボー・ゴギック氏は、今年
に入ってからバルカ一に加えて原油タンカーの新造発注の動きがみられない背景について「既存船隊に占める発注残
の比率が約20%に高まった」ことを挙げる。マーケットの環境について「今年竣工予定の原油タンカーは約170隻で、既
存船隊の8-9%。スクラップなどの市場撤退を踏まえると船隊の増加率は6-7%になると予想している。新造船は下半
期以降の竣工が集中しており、業績も良いだろう」と好調を予想しているものの、タンカーの発注が低迷する要因とし
て「タンカーの供給圧力は17-18年に本格化する。また、資金確保のためにタンカーを中古売船する動きも活発だ」と指
摘している。一方、バルカ一については「今年竣工が予定される新造船は8,000万重量㌧あるが、そのうち納期延期に
よる竣工の後ろ倒しや新造解約などで少なくとも3,000万重量㌧が16年中に竣工しないのではないか」との見通しを
示している。12月末時点の世界の手持ち工事量は計6,007隻・2億140万総㌧(1億903万CGT)で、1年前と比べて総㌧ベ
ースで若干増加した。9月末時点と比べるとわずかに減少した。2015年の竣工量をベースにすると、世界の手持ち工事
量は約3・0年分に相当する。
◆韓中新興ヤード苦境/新造船マーケットに閑古鳥【2/3】 〈デスク〉新造船マーケットからいこう。年明けから1カ月が
経過し、商状はどうかな。〈A〉2015年の国際ルール改正に伴う2度の新造船駆け込み発注の反動で、極めて静かです。
〈B〉閑古鳥が鳴いています。〈C〉覚悟はしていましたが、この1年が思いやられます。〈デスク〉日本の主要造船各社の
様子はどうか。〈A〉為替が一時、円高方向に振れたときは、造船業界全体に悪寒が走ったような雰囲気になりました
が、日銀のマイナス金利導入後、再び円安基調に戻り、関係者の間から安堵のため息がもれました。〈B〉各社とも昨年
のうちに18年末までの船台を売り切りましたので、仕事確保という意味では安心感が漂っています。〈C〉足元から目先
に引き渡す新造船は採算が厳しい局面で受注したものですので、現場の踏ん張りが重要です。加えて、新造バルカーを
船主に無事に引き取ってもらう。今年は船主のケアが最も大事な仕事になりそうです。〈デスク〉少なくとも3年分の仕
事を確保したことが日本勢にとっては世界の造船業界の中で際立っているね。韓国や中国の新興造船所の行方はどう
なるとみられているか。〈A〉韓国の新興造船所は、成東造船海洋やSPP造船など、銀行の金融支援を受けるケースが増
えています。〈B〉それ以前に、現代重工、サムスン重工、大宇造船海洋の大手3社が昨年来の巨額赤字により、苦境に立
たされています。大宇に加え、韓進重工も銀行から金融支援を受ける見通しです。リストラは避けられないものとみられ
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ています。〈C〉韓進重工は釜山工場の売却も選択肢とされます。造船事業はフィリピンのスービック工場に集約する可
能性があります。〈A〉中国の民営ヤードは、すでに経営破綻するケースも出ていますが、破綻は今年が本番とみられて
います。〈B〉史上最低のドライ市況を受け、バルカーの新規新造発注は世界的に消失したに等しい状況です。加えて、中
国建造バルカーの実力には、世界の船主が厳しい目を向けています。これまでバルカーを手掛けてきた中国民営ヤー
ドは干上がる可能性大です。〈C〉昨年はケミカルタンカーを受注する中国ヤードも数社ありましたが、ステンレス船の建
造はバルカーの比ではないほどレベルが高く、ケミカル船受注ヤードのこれからの行方も注目を集めています。
◆中国造船/新造バルカー係船増勢、ドライ市況低迷響く【2/9】 中国造船で竣工した新造バルカーの係船が増えて
いる模様だ。史上最低レベルのドライ市況が続く中、2014年前半にかけて中国に新造船を発注した海外船主が造船所
に係船を要請しているものとみられる。バルカー建造をお家芸とする日本の造船各社もそれぞれの可能な範囲内で海
外船主の係船要望に応じており、新造バルカーの納期後ろ倒しは世界的に広がりをみせてきた。新造船マーケット筋に
よると、昨年秋からドライ市況の低迷が著しくなって以降、中国造船でも新造バルカーの係船が増えているという。バ
ルカーの新造発注は、超円高が是正された13年に入り、日本の造船所を中心に殺到。その余波で中国ヤードの船台にも
新造船が発注された。14年には、船内騒音規制の適用を回避するための駆け込み発注がハンディサイズバルカーを中
心に前半に発生。その局面でも中国ヤードに相当数のバルカーが新造発注され、16年前半を中心にデリバリーされるも
のが現在、竣工時期を迎えている。「揚子江沿いの造船所は岸壁が短い。係船場所を探すのは相当大変だろう」新造船
マーケット関係者はそう指摘する。英シップブローカーのクラークソンによると、世界のバルカ一新造発注残は16年初
め時点で、ケープサイズ240隻(4,850万重量㌧)、パナマックス333隻(2,740万重量㌧)、ハンディマックス601隻(3,660
万重量㌧)、ハンディサイズ397隻(1,410万重量㌧)。このうち16年に竣工する新造船は、ケープサイズが全体の75%、
パナマックスは72%、ハンディマックスは74%、ハンディサイズは63%を占める。17年には新造船供給圧力が弱まるた
めドライ市況回復が期待されるものの、新造バルカーの係船による納期後ろ倒しが中国でも増加しているのを受け、ド
ライ市況が回復局面を迎えるタイミングもずれ込む可能性が一段と高まってきた。また、キャッシュフローが行き詰まり
経営破綻する中国民営ヤードが増えるとの観測もじわりと広がっている。
◆韓国造船/舶台投げ売りも、17年後半納期・今年前半が正念場【2/19】 韓国造船が船台を投げ売りする可能性が
高まってきた。世界最大手の現代重工業を中心に、2017年後半納期の船台がまだ完売できていない状況下で、新造船
の発注が世界的に止まっているためだ。17年後半納期の船台を埋めるには、今年前半が正念場となる。海運市況の中
で相対的に運賃市況が堅調なタンカーを中心に、新造船価に下落圧力がかかりそうだ。16年に入り韓国ヤードの新造
船受注が表面化したのは18日現在、11隻プラス・オプション6隻で、全てタンカー。造船所別の内訳は、成東造船海洋が11
万5,000重量㌧型アフラマックスタンカー2隻プラス2隻(タンケルスカ・プロビドバ発注、確定2隻は17、18年竣工予定)、1
5万8,000重量㌧型スエズマックスタンカー2隻プラス2隻(アトランティカ・シッピング発注、確定2隻は17年竣工予定)を
受注した。大鮮造船は1万3,000重量㌧型ケミカルタンカー2隻(ビッケン・クルード発注、18年竣工予定)を獲得。現代尾
浦造船はMR(ミディアムレンジ)型プロダクト(石油製品)タンカー1隻(船主不明、17年11月竣工予定)、現代重工は15万8,
000重量㌧型スエズマックス2隻(ミネルバ・マリン発注、17年竣工予定)、同型船2隻プラス2隻(ディタス・デニツシリク発
注、確定2隻は現代三湖で17年竣工予定)をそれぞれ受注した。最大手の現代重工に加え、新興造船各社でも17年船台
が完売できていない状況が浮かび上がってくる。大半の新造船は、国際ルール改正を前に昨年のうちに契約され、16
年に入り表面化してきたとみられる。昨年の新造発注ブームにより日本を筆頭に船台が埋まった影響のほか、タンカー
市況が堅調なのを受け、タンカーの新造船価は16年に入り弱含みとはいえ横ばい基調が続いている。足元の新造船価
レベルはVLCC(大型原油タンカー)9,350万㌦、スエズマックス6,250万㌦、アフラマックス5,150万㌦、MR3,550万㌦。足元
の新造船マーケットは、海運市況がドライとコンテナ船で史上最低水準に落ち込んでいるのに加え、タンカーを含め新
造発注が昨年までに積み上がったため、「魚が泳いでいない」状況。そうした中、韓国勢が17年後半船台を確定させる
には、操業を著しく落とすか、投げ売りで埋めるしかない。韓国勢は、今年後半には18年前半の船台を確定しなければ
ならないタイミングともなる。18年末までの船台を完売済みの日本の造船各社の関係者は、韓国造船の動向を固唾を
のんで見守っている。
◆韓国造船、1月受注は1隻のみ【2/25】 ≪新造商談停止、受注目標に暗雲≫韓国造船大手3社の今年1月の造船・海
洋(オフショア)部門の新規受注は1隻のみで、受注金額ベースで前年同期比93%減となった。韓国中堅クラスを含めて
も新規受注は1隻のみ。海洋案件の低迷に加え、新造船商談が停止状態に陥っていることが改めて浮き彫りになった。
韓国造船大手は前年実績を上回る受注目標を設定しているものの、早くも暗雲が立ち込めている。各社が公表してい
るIR資料によると、1月の新規受注は、現代重工業グループの現代尾浦造船が受注したケミカル/プロダクト船1隻のみ
だった。船価は4,700万㌦で、グループの受注実績は前年同期比53%減となった。現代重工本体や現代三湖重工の新
規受注はなかった。また、サムスン重工業や大宇造船海洋は、昨年1月にはLNG船やタンカーの受注があり好調な出だし
だったものの、今年はゼロで、各社とも厳しいスタートとなった。各社の受注目標は、現代グループが計187億㌦(本体
の造船部門85億㌦、海洋32億㌦、現代三湖重工40億㌦、現代尾浦30億㌦)、サムスンが125億㌦、大宇が90億㌦。既に2
018年船台をほぼ完売した日本の造船所と比べると、設備規模の大きい韓国造船所は18年納期の船台にもまだ余裕も
みられるようだ。ただ、海洋案件による業績悪化を受けて、採算を下回る受注は避けざるを得ない状況もあり、受注は
進んでいない。今年1月の新造船の新規受注は日本の造船所も実質ゼロ。昨年は新共通構造規則(H-CSR)や窒素酸化
物(NOx)3次規制適用前の駆け込みの反動減などもあり、バルカーだけでなく、市況が好調なタンカーも発注はほとん
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ど表面化していない。商談の低迷が長期化するほど、造船所への影響も大きくなってきそうだ。
Ⅳ.造船・造機以外の産業動向
◎外航海運
◆海運指数/初の300割れ【2/5】 ≪ばら積み船運賃、下げ加速≫天然資源や穀物などばら積み貨物の運賃水準を示
すパルチック海運指数(BDI、1985年=1,000)は、85年の集計開始以来初めて300を割り込んだ。4日に前日比5ポイント
低下して298となり、8営業日連続で過去最低を更新した。季節的に荷動きが少ない時期にあるほか中国経済減速など
で輸送需要が鈍化し、船舶の余剰感が強まっている。≪中国減速で輸送需要鈍る≫BDIは英パルチック海運取引所が主
要海域の運賃や用船料(船主が海運会社や荷主から受け取るチャーター料)を基に算定している。昨年8月から下落基
調に入り、この半年間で4分の1に落ち込んだ。2015年の年間平均は29年ぶりの低い水準で、16年に入って下落ペース
がさらに加速している。海運業界がスポット運賃の算定基準とする用船料は現在、鉄鉱石を運ぶ大型船ケープサイズ
(積載重量17万㌧超)で1日あたり約1,600㌦。昨年8月に比べて9割以上も下落した。スポット市場の採算ラインとされる2
万-2万5千㌦を大きく下回る。ここ数年は世界的な金融緩和で投資マネーが海運市場に流入し、ケープサイズなどば
ら積み船の供給が増加。一方、世界の鉄鉱石輸入量の7割近くを占める中国の輸入量は14年に前年比14%増だったの
が、15年は2%増と減速した。荷動きの伸びが鈍化したことで船舶の過剰感が強まっている。世界全体では現在、約1,65
0隻のケープサイズが運航している。日本郵船の内藤忠顕社長は「需給ギャップは100隻程度に上るのではないか」と
指摘する。日本郵船の予測によると、16年は鉄鉱石の輸送需要が15年に比べて1・7%減るのに対し、ケープサイズの輸
送能力は2・6%増える。石炭や穀物を運ぶ中小型船も「新規供給が多く、市況の本格的な回復にはなお時間がかかる」
(川崎汽船の鳥山幸夫取締役)との見方が強まっている。1月末には商船三井が収益改善を目指し、ばら積み船部門の
スポット事業を縮小する方針を打ち出した。資源需要の先行きが見通しにくいなか、海運業界は「16年度は体力勝負を
覚悟している」(鳥山氏)と危機感を強めている。
◆ばら積み船の就航数3%増【2/24】 ≪1月末、中小型増加≫天然資源や穀物を運ぶばら積み船の世界全体の就航
隻数は1月末時点で1万701隻と、前年同期に比べて3%増えた。前月末比でば2カ月ぶりに増加に転じた。当面は「中小
型船を中心に新造船が増える」(国内海運大手)一方で、荷動きは鈍い。需給バランスは一段と緩みそうだ。海運調査会
社のトランプデータサービス(東京・千代田)が集計した。石炭や穀物を運ぶ載荷重量5万-6万㌧級のハンディマックス
の隻数は前年同期比で6%増、同2万-3万㌧級のハンディサイズが5%増と小型の船の伸びが大きかった。
◎内航海運
◆15年度上期総輸送量3%減【2/29】 ≪貨物船減少・油送船は増加、内航総連≫日本内航海運組合総連合会(内航
総連)がまとめた内航輸送の実績調査によると、2015年度上期(15年4-9月)の総輸送量は1億9,444万㌧と前年同期比
3%減少した。貨物船は4%減の1億2,412万㌧で、鋼材やセメントなどの減少が目立った。油送船は0・5%増の7,031万㌔
㍑。電力向けの黒油は需要減などで割り込んだが、白油は転送需要に下支えされ、前年よりも輸送量が増加した。貨物
船の品目別輸送量は、鋼材2,256万㌧(14年度上期比8%減)▽原料(石灰石、スラグなど)3,162万㌧(4%減)▽燃料(石
炭・コークス)897万㌧(6%増)▽穀物・肥料・飼料298万㌧(9%減)▽紙・パルプ181万㌧(7%減)▽雑責(一般雑貨、コン
テナなど)1,252万㌧(1%増)▽自動車2,322万㌧(4%減)▽セメント1,794万㌧(6%減)▽砂・砂利・石材224万㌧(15%
減)。鋼材は自動車をはじめ製造業向けや建設などの需要に鈍さがみられたほか、中国などの鉄鋼製品の輸出攻勢も
影響した。紙・パルプは新聞用紙の販売不振などが響いていた。自動車は消費税や軽自動車税の税率引き上げで販売
量が低迷。セメントは公共工事などの不振で西日本地区を中心に過剰在庫となっていることが響いた。一方、プラスと
なったのは燃料と雑貨。燃料は石炭火力発電向けの輸送ニーズが高まった。油送船の品目別輸送量は、黒油が1,938万
㌔㍑(4%減)▽ガソリンなどの白油3,648万㌔㍑(1%増)▽油脂44万3,000㌔㍑(1%減)▽ケミカル604万㌔㍑(5%増)
▽特タン船796万㌧(5%増)。黒油は西日本地区のLNG(液化天然ガス)発電所のトラブルで増加した面もあったが、他
の発電源への燃料転換、夏季の低温、原発再稼働で輸送量が減少。白油は製油所間の転送需要が輸送量を下支えし
た。ケミカルは内需を背景に市況の好転や円安、輸出増加があった。
◎鉄骨
◆推定鉄骨需要量は約39万㌧【2/8】 ≪3カ月ぶりに前年上回る≫国土交通省の12月の建築着工統計調査報告によ
ると、全着工床面積は前年同月比0・1%減(前月比4・2%減)の1,028万6,000平方㍍となった。構造別(※表1)では、S造
が同3・1%増(同4・7%減)の378万7,000平方㍍、SRC造は同77・8%増(同282・2%増)の29万6,000平方㍍で、全床面積
中のS造、SRC造の比率は39・7%。推定鉄骨需要量は約39万4,000㌧の水準(前年同月は約38万㌧※表2)と3カ月ぶり
に前年を上回った。
◆工作機械受注1月17%減/日工会まとめ【2/10】 日本工作機械工業会(日工会)が9日まとめた1月の工作機械受
注(速報値)は、前年同月比17・2%減の1,002億5,900万円となり、好不調の分かれ目である1,000億円を維持した。外需
にスマートフォン(スマホ)向けの受注が含まれる模様だが、2015年年央までみられたような大規模な案件ではないよ
うだ。内需は同2・9%増の395億8,400万円で5カ月ぶりの増加、外需は同26・6%減の606億7,500万円で8カ月連続の
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減少だった。外需は前年のスマホ特需の反動減で減少幅が大きい。1月は稼働日が少なく、海外は決算月の翌月のた
め、他の月に比べて総額が小さくなる傾向がある。日工会は1,000億円を維持したことについて、「1月の季節性に加
え、世界経済に不透明感がある状況下では、まずまずの水準になった」(事務局)と評価する。
◆工作機械受注17%減【2/18】 ≪1月1,002億5,800万円 6カ月連続減、日工会まとめ≫日本工作機械工業会(日工
会)が17日まとめた1月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比17・2%減の1,002億5,800万円となり、6カ月連続
で前年割れした。内需は同2・8%増の395億7,200万円で5カ月ぶりに増加した。ただ、外需が同26・6%減の606億8,600
万円で8カ月連続の減少。全体額の引き上げに期待されたスマートフォン(スマホ)向けが低迷した。健全水準の目安と
される1,000億円をかろうじて維持した。内需は12カ月ぶりに400億円を下回った。世界経済の不透明感が増してユー
ザーが設備投資に慎重になり、加えて設備関連の政府補助金を見込んだ買い控えがある。政府補助金については「年
央ごろの内需拡大に期待したい」(花本義麿会長)と年前半は我慢が続きそう。足元の円高基調による受注影響は「し
ばらく続けばややこしいが、今は過敏な反応はない」(同)と話した。外需は前年にスマホ特需があったベトナムが同95
・8%減だった。2015年11月に出現し、春ごろまで継続が期待された中国でのスマホ向け需要も、1月は目立たなかった。
スマホなどをつくるEMS(電子機器製造受託サービス)向けのキヤンセルがあった。同分野を除いた日本勢の中国受注
は「一般経済に比べ、安定している」(石丸雍二専務理事)という。3月に向けては「内需は緩やかに回復し、外需も自動
車、航空機向けで従前同様の高い水準を予想している」(花本会長)。世界経済に停滞感があるが、回復基調が続くと
みる。
◎産業機械
◆産業機械受注4・9%減【2/16】 ≪昨年5兆4,189億円 2年ぶりマイナス産機工まとめ≫日本産業機械工業会(産機
工)が15日発表した2015年1-12月の産業機械受注実績は前年比4・9%減の5兆4,189億円となり、2年ぶりにマイナスと
なった。内需が同10・4%増の3兆5,017億円で3年連続増加した半面、外需は同24・1%減の1兆9,172億円となり、2年ぶり
に前年実績を下回った。内需の内訳は、製造業向けが同23・4%増の1兆1,839億円、非製造業向けが同.15・1%増の1兆4,
126億円、官公需向けが同11・6%減の6,105億円、代理店向けが同0・1%増の2,946億円。外需はアジア、ロシア・東欧が減
少した。主要約70社の産業機械輸出契約高は同25・2%減の1兆7,883億円となり2年ぶりにマイナスとなった。単体機械
はアジア、欧州、南米、ロシア・東欧が増加。プラントはアジア、ロシア・東欧が減少した。一方、12月単月の受注実績は前年
同月比21・0%減の3,815億3,500万円となり、3カ月ぶりにマイナスに転じた。内需は同26・1%減の2,311億5,800万円で3
カ月ぶりに、外需は同11・5%減の1,503億7,700万円と2カ月連続で、それぞれマイナスとなった。内需のうち製造業向
けは同9・7%減、非製造業向けは同42・1%減、官公需向けは同24・0%減、代理店向けは同0・6%減といずれもマイナス
となった。主要約70社の輸出契約高は同10・3%減の1,418億800万円で2カ月連続で減少した。
◎環境装置
◆環境装置受注/3年ぶり減【2/16】 ≪昨年 民需増加も官公需不振≫日本産業機械工業会が15日発表した2015年
の環境装置受注実績は、官公需の落ち込みで前年比2・1%減の5,717億500万円となり3年ぶりに減少した。官公需は全
般に不振で同14・7%減の4,047億5,100万円、民需は電力を中心とする非製造業がけん引して同47・7%増の1,225億2,6
00万円だった。外需は同67・2%増の444倍2,800万円。民需の内訳は製造業が同22・7%増の611億9,700万円、非製造業
が同85・4%増の613億2,900万円。受注金額で非製造業が製造業を上回ったのは、11年以来4年ぶり。主な装置別の内
訳は大気汚染防止装置が同47・3%増の614億8,700万円、水質汚濁防止装置が同15・3%減の1,622億700万円、ゴミ処
理装置が同0・6%減の3,465億600万円。全国各地で計画が相次ぐ火力発電施設向けの装置が、非製造業および大気
汚染防止装置の受注を押し上げた。一方、15年12月の環境装置受注実績は前年同月比55・2%減の233億2,500万円で5
カ月ぶりに減少した。50%を超すマイナスは5月以来7カ月ぶり。官公需は同59・1%減の168億3,500万円で、民需は同3
8・9%減の39億4,400万円だった。特に民需の製造業は同67・6%減の12億4,300万円で不振が際立つ。
①乗用車
◆新車販売/1月4・6%減【2/2】 ≪消費税の影響抜け出せず≫日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車
協会連合会(全軽協)が1日発表した1月の新車販売台数は、前年同月比4・6%減の38万2,876台と、13カ月連続で前年
同月の水準を下回った。消費税と軽自動車税増税の影響から抜け出せていない。貨物車が同8・7%減の2万6,304台と4
カ月ぶりの減少に転じた。登録車は同0・2%増の23万7,661台。4カ月連続のプラスだが、自販連は「前年が極端に厳し
かった。本格的な回復とはなかなかいえない」との見方を示した。「大型トラックの一部車種に在庫過多があるなど、複
雑な要因が重なった」(自販連)。バスは同32・2%増となった。乗用車は同1・3%増で、内訳は普通車が22・7%増だった
一方、小型車は17・2%減少した。自販連は要因を「普通車は新型車の登場で受注を伸ばしたが、小型車は新車がなかっ
た」と指摘。自販連は「次の消費増税で起きそうな駆け込み需要に期待したい」としている。軽自動車は同11・6%減の14
万5,215台だが、統計開始以来5番目の水準。全軽協は「15年1月に続いて水準は高い。年度末需要が前倒しになってい
るのではないか」としている。
②トラック
◆普通トラック2・7%減【2/3】 ≪1月販売 建設系需要が一服≫トラッグ業界がまとめた1月の普通トラック(積載量4
㌧以上の大型と中型トラック)の販売台数は、前年同月比2・7%減の5,314台だった。3カ月連続で前年同月実績を下回っ
た。荷台部分を箱型に架装したカーゴ系車両など物流関連需要は引き続き堅調に推移するが、「これまで市場をけん引
してきた伸び率からは落ち着いてきた」(業界関係者)ため、好調だった前年と比べ減少した。大型トラックの販売台数
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は同4・4%増の3,246台。一方、カーゴ系よりダンプなど建設系車両の比率が高い中型トラックは、同12・1%減の2,068台
と落ち込んだ。カーゴ系車両は燃料代の低下などで大手物流会社を中心に需要が継続。一方、建設系車両は復興需要
の一段落などで一服感がみられるが、日野自動車の梶川宏専務役員は2020年の東京五輪などを見据え「今年の夏頃
から東京地区で建設系の需要が出てくるのではないか」との見方を示した。
◆車世界生産 前年割れ【2/27】 ≪国内8社l月、8ヵ月ぶり≫国内乗用車8社は26日、1月の生産、販売、輸出実績を発
表した。世界生産台数は前年同月比0・2%減の217万7,024台で8カ月ぶりに下回った。海外生産は2・3%増の148万1,222
台と伸びたものの、国内生産は販売不振の影響で5・1%減の69万5,802台だった。販売が好調だった北米や中国で生
産が増えた一方、国内生産は2カ月連続で前年割れだった。国内販売が4・8%減の35万4,362台と振るわず、輸出も0・1
%減の31万7,193台と5カ月ぶりのマイナスに転じた。日産自動車が九州の工場で旧型「ローグ」の北米向け生産を終了
し、富士重工業の輸出船の出航が1月は少なかったことも影響した。ただ、業界では輸出減は一時的とみる向きが多い。
◆粗鋼生産量2・8%減【2/22】 ≪1月 17カ月連続で減少≫日本鉄鋼連盟によると、1月の粗鋼生産量(速報)が前年
同月比2・8%減の877万1,900㌧となり、17カ月連続で減少した。依然として国内市場の荷動きに勢いがなく、輸出環境
の改善も遅れている。ただ、l日当たりの生産量は28万3,000㌧で2015年12月比2・1%増と、やや回復の兆しは見えてき
た。炉別では、高炉系の転炉鋼が同2・1%減の694万8,400㌧で11カ月連続、電炉鋼が同5・1%減の182万3,500㌧で14カ
月連続それぞれマイナス。鋼種別でも、普通鋼が同2・7%減の678万1,200㌧で11カ月連続、特殊鋼が同3・1%減の199万
800㌧で14カ月連続それぞれ減少した。ここに来ての急激な円高で輸出条件が悪化していることもあり、2月も事業環
境は芳しくない。ただ、前年の1-3月期あたりから生産量が顕著に落ち始めていたことから、前年同月比のマイナス幅
は徐々に縮まっていくものとみられる。
◆鉄鋼輸出、7・4%減【2/29】 ≪鉄連まとめ1月 海外市況悪化影響≫日本鉄鋼連盟が財務省貿易統計を基にまとめ
た1月の鉄鋼輸出実績(全鉄鋼ベース)は、前年同月比7・4%減の318万7,998㌧で6カ月連続のマイナスになった。海外
市況悪化の影響がなおも続いている。このうち、普通鋼鋼材は同6・3%減の207万2,647㌧で2カ月連続の減少だった。
品種別では、普通鋼鋼材の半分近くを占める熱延広幅帯鋼が同5・4%増の102万6,484㌧で18カ月連続の増加と健闘し
たが、主要品種の厚板が同27・9%減、亜鉛メッキ鋼板が同19・2%減、冷延広幅帯鋼が同2・0%減となり、全体を押し下げ
た。また、特殊鋼鋼材は同8・1%減の62万1,555㌧、半製品は同7・6%減の41万1,128㌧だった。普通鋼鋼材の輸入量は同1
8・6%減の32万9,612㌧にとどまった。前年同月割れは3カ月ぶり。仕入れ先別でも韓国からが同12・3%減、台湾からが
同20・6%減、過剰輸出が問題となっている中国からは同47・8%減とほぼ半減した。
以 上
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