本邦におけるアミオダロンの 臨床使用実績と適応の

《制作者: 》 Title:アミオダ11_一般講演1_庭野 Page:10
.
.
(
.
): ∼ 一般講演
1
本邦におけるアミオダロンの
臨床使用実績と適応の傾向
―神奈川地区専門11施設による共同調査―
庭野 慎一1) 西崎 光弘2) 沖重 薫3) 石川 利之4)
中澤 潔5) 野上 昭彦6) 東 祐圭7) 村川 裕二8)
横山 泰廣9) 吉岡公一郎10) 中川 毅11) 整脈ならびに症例数,②投与の適応ならびに他治療と
はじめに
の選択基準,③投与方法
(導入量・維持量),④副作用
欧米ではアミオダロンが心室頻拍/心室細動
(VT/
管理のためのモニタリングとした.
VF)
や心房細動
(AF)に対するfirst line therapyと位置
づけられ,アミオダロン投与を第1選択とする様々な
結
果
臨床試験が行われているが,わが国は同薬剤が毒薬に
1.アミオダロン投与症例のプロフィール
指定されるといった独自の状況にあり,その使用は原
アミオダロン投与の対象不整脈は,44%がAF,残り
則的に第2選択以降とされているのが現状である.そ
が心室性不整脈であり,主に持続性VT/VF,あるいは
の背景としては,致死的な肺線維症などの副作用を比
非持続性VTであった.単独の心室期外収縮(PVC)に
較的高率に出現させることが挙げられ,合併症の予防
対する投与は少数であった
(図1左).
や早期発見のため,少量投与などの工夫や定期検査も
基礎心疾患としては,大半の症例が虚血性心疾患な
行われているが,一定のプロトコールは未だに確立さ
いし心筋症を有しており,特発性不整脈に対する投与
れていない.
は少数であった
(図1右)
.
そこで本研究では,アミオダロンの臨床使用におけ
2.アミオダロン投与を考慮する病態
る一般的な合意事項ならびに問題点を提起するため,
アミオダロン投与を考慮する病態としては,持続性
不整脈専門医師が常勤する複数の専門施設を対象とし
VT/VF
(基礎心疾患あり)ないし非持続性VT,AFを
て,同薬剤の使用状況や治療の指標,副作用防止/早期
挙げる施設が多かった.一方,特発性VT/VF,PVC
発見のための検査法について調査を行った.
の頻発,単独の心不全に関しては,投与を考慮すると
の回答が少なかった
(図2)
.
方
法
病態別の調査結果を以下に示す.
不整脈専門医師が常勤する神奈川県内の1
1施設にお
1)持続性心室頻拍/心室細動(VT/VF)
いて,研究への同意を得た上でアンケート調査を行っ
持続性VT/VFの二次予防については,全施設が「原
た.調査内容は,①アミオダロンの投与対象とする不
則的にICD
(植え込み型除細動器)
治療を選択する」
と
1)S. Niwano:北里大学医学部循環器内科学 2)M. Nishizaki:国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院 3)K. Okishige:横浜
市立みなと赤十字病院 4)T. Ishikawa:横浜市立大学附属病院 5)K. Nakazawa:聖マリアンナ医科大学 6)A. Nogami:労働者
健 康 福 祉 機 構 横 浜 労 災 病 院 7)Y. Higashi:昭 和 大 学 藤 が 丘 病 院 8)Y. Murakawa:帝 京 大 学 医 学 部 附 属 溝 口 病 院 9)Y.
Yokoyama:国家公務員共済組合連合会横須賀共済病院 10)K. Yoshioka:東海大学医学部付属病院 1
1)T. Nakagawa:神奈川県立
循環器呼吸器病センター
0287―3648/07/¥500/論文/JCLS
―
(
718)―
《制作者: 》 Title:アミオダ11_一般講演1_庭野 Page:11
第1
1回アミオダロン研究会講演集
対象不整脈
(n=739)
基礎心疾患
(n=522)
サルコイドーシスなど
4%
先天性心疾患
5%
心房細動
44%
持続性
VT/VF
31%
HCM
12%
非持続性
VT
19%
PVC
6%
その他
6%
虚血性
心疾患
44%
DCM
29%
心室性不整脈56%
図1 アミオダロン投与症例のプロフィール
持続性 VT /VF
(基礎疾患あり)
11/11
・「器質的心疾患あり」が前提
11 /11
特発性VT/VF
4/11
非持続性VT
8/11
PVC頻発
3/11
心房細動
10/11
心不全
4/11
・左心機能低下のみで投与
2 /11
・EPS ガイド(VT /VF 誘発)を利用
9 /11
→誘発(+)なら持続性 VT /VF に準ずる
8 /11
→誘発(−)でもアミオダロンを投与する
図2 アミオダロン投与を考慮する病態
4 /11
Nは施設数.
図3 非持続性VTにおけるアミオダロンの投与条件
Nは施設数.
の回答で一致したが,アミオダロン初期投与の是非に
左心機能低下の基準は,NYHAⅡ∼Ⅳ度,LVEF <30∼5
0%と
施設間差あり.
ついては意見が分かれた.すなわち,2施設が
「無条
件に全例投与」
と回答したのに対し,別の2施設は
「原
則的に非投与」
としており,ICD作動の頻発など,よほ
3)心室期外収縮(PVC)
どの問題が生じない限り投与しないという立場であっ
PVCについては,6施設が
「PVCの頻発のみであれ
た.一方,3施設は
「カテーテル・アブレーション無
ば原則的に治療しない」と回答したのに対し,残る5
効例に投与」
,4施設は
「カテーテル・アブレーション
施設は
「突然死の一次予防を目的に治療する」と回答し
および他剤無効例に投与」
と回答している.
ている.その際の投与条件としては,全5施設が器質
的心疾患の存在を挙げているが,左心機能低下例のみ
2)非持続性心室頻拍(VT)
非持続性VT自体は致死的ではないことから,全施
に投与する(3施設),あるいはEPSガイドによる評価
設が
「突然死一次予防を目的に治療する」
と回答した.
を経て投与する
(2施設)
との回答もあった.
投与条件としては,全施設が器質的心疾患の存在を
興味深いのは,左心機能低下の基準が施設ごとに異
挙げたほか,EPS
(電気生理学的検査)
ガイドでリスク
なっていた点である.左室駆出率
(LVEF)では40%未
ならびに投与の必要性を評価するという回答が多かっ
満ないし3
5%未満を目安とする施設が大多数を占めて
た.一方,左心機能の低下が認められれば,予後の悪
おり,各種大規模試験の報告などに基づいていると考
化が予測されることからアミオダロンを投与する,と
えられるが,5
0%未満や3
0%未満を基準としている施
いう施設も散見された
(図3)
.
設も一部にみられた.NYHA心機能分類に関しても,
―
(
719)―
《制作者: 》 Title:アミオダ11_一般講演1_庭野 Page:12
. 表1 投与方法
原則的に CA,無効なら¿→Á群
2 /11
施 設
典型例で CA,ほかは¿→Á群
2 /11
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
¿群無効ならÁ群
5 /11
¿群ないしÁ群を第1選択
2 /11
図4 心房細動予防治療における選択順位
Nは施設数.
6施設では,カテーテル・アブレーション(CA)は「薬物抵抗
性」に限定.
アミオダロンは,Ⅲ群抗不整脈薬の中でも第2選択以降(10/
11施設).
表2 副作用経験数
総数739例の経過観察において以下の副作用を観察
致死的な副作用
1
6/7
39例
(22
. %)
・肺線維症15例/重症肝障害1例
その他の副作用
・肺線維症58例(78
. %)
・投与中止55例
・甲状腺機能異常112例(152
. %)・投与中止4例
・眼球色素沈着ほか8例(11
. %)・投与中止5例
・その他3例(04
. %)
基本的にはⅢ度,あるいはⅣ度の既往を基準としてい
20
0
4
00∼8
00
4
00
2
00
4
00
50∼60
0
20
0∼4
00
400
600∼10
,0
0
40
0
4
00∼60
0
10
0
20
0
100∼2
0
0
5
0∼1
00
20
0
5
0∼3
00
10
0∼20
0
100
1
00∼20
0
100∼2
0
0
20
0
あ り
な し
な し
あ り
な し
あ り
あ り
あ り
あ り
な し
あ り
理学所見
(肺聴診など)
9 /11
胸部X線写真
11 /11
胸部X線 CT
1 /11
%DLCO
3 /11
KL − 6
11 /11
薬剤血中濃度
3 /11
一般血液検査
(含甲状腺機能)
る施設が多いものの,4施設ではNYHA Ⅱ度の症例
もアミオダロンの投与対象にするとの回答であった.
導入量
維持量
外来で導入
(mg/日) (mg/日) する場合
11 /11
図5 外来で実施している定期検査項目
Nは施設数.
4)心房細動(AF)
AFの停止を目的とするアミオダロン投与に関して
ら開始している施設もあり,専門施設においても様々
は,7施設が
「使用する場合あり」
と回答する一方,残
なケースがあると考えられた.
る4施設では停止目的には用いず,直流除細動
(DC)
4.副作用管理
などの治療を考慮するとの回答であった.
全73
9例の経過観察において,致死的な副作用は1
6
一方,AFの予防目的では,全施設が
「使用する場合
例
(22
. %)に認められており,うち15例は肺線維症で
あり」
と回答しているが,カテーテル・アブレーショ
あった.そのほかに甲状腺機能異常,眼球色素沈着な
ンやⅠ群抗不整脈薬,あるいは他のⅢ群抗不整脈薬投
ども認められているが,投与中止に至る割合が高いの
与を優先する施設が比較的多数であった(図4)
.アミ
は肺線維症であり,その他の副作用が出現した場合は
オダロンを第1選択としている施設はみられず,Ⅲ群
慎重に投与を継続することが多いようである(表2).
抗不整脈薬としても1
0/1
1施設が第2選択以降との回
副作用の早期発見を目的とする外来での定期検査は,
答であった.
全11施設において実施されていた.ただし,胸部X線
3.アミオダロンの投与方法
写真撮影,KL―6測定,一般血液検査が全施設で行われ
導入量と維持量,外来における導入の有無など,ア
ているのに対し,それ以外の検査については,行って
ミオダロンの具体的な投与方法については,施設ごと
いる施設は限られていた
(図5)
.
に大きな相違が認められた.表1に示すように,欧米
ま
で初期に報告された高用量による導入,比較的高用量
による維持投与を行っている施設もあれば,低用量か
と
め
神奈川県内の専門1
1施設において,アミオダロンの
―
(
720)―
《制作者: 》 Title:アミオダ11_一般講演1_庭野 Page:13
第1
1回アミオダロン研究会講演集
使用状況を調査した.同薬剤の投与対象は,基礎疾患
を有する重症心室性不整脈ないし心房細動(AF)症例
であった
(総数7
3
9例).
心室性不整脈の治療において,植え込み型除細動器
(ICD)との役割分担はおおむね一律であったが,アミ
オダロン投与の基準には施設間で差異が認められた.
AFに対しては,停止目的・予防目的ともに同薬剤が
用いられていたが,選択順位は3∼4位以下であった.
また,致死的副作用は6/11施設が経験しており,15/1
6
例が肺線維症であった.
本研究では,薬剤の使用基準など様々な点において
施設間の違いが認められた.複数施設における臨床
データを比較する際には,たとえ専門施設同士であっ
ても上記の点に留意することが重要と考えられた.
文 献
1)Fuster V, Ryden LE, Asinger RW, et al:ACC/AHA/
ESC Guidelines for the Management of Patients With
50.
Atrial Fibrillation. Circulation 2
00
1;10
4:211
8―21
2)外山淳治,三浦 傳,竹越 嚢ほか:循環器病の診断
と治療に関するガイドライン.心房細動治療(薬物)ガ
8.
イドライン.Jpn Circ J 200
1;65
(Suppl)
:9
31―97
3)Wyse DG, Waldo AL, DiMarco JP, et al;Atrial Fibrillation Follow―up Investigation of Rhythm Management
(AFFIRM)Investigators:A comparison of rate control and rhythm control in patients with atrial fibrilla33.
tion. N Engl J Med 2
002;3
47:1
825―18
4)Yamashita T, Ogawa S, Aizawa Y, et al;J―RHYTHM
Investigators:Investigation of the optimal treatment
strategy for atrial fibrillation in Japan. Circ J 20
03;
67:738―741.
5)松下浩平,石川利之,住田晋一ほか:塩酸ピルジカイ
ニド静脈投与により除細動された心房細動の臨床的特
徴.J Cardiol 2003;42:81―86.
6)Donovan KD, Power BM, Hockings BE, et al:Intrave-
nous flecainide versus amiodarone for recent ―onset
97.
atrial fibrillation. Am J Cardiol 19
95;75:6
9
3―6
7)Kerin NZ, Faitel K, Naini M:The efficacy of intravenous amiodarone for the conversion of chronic atrial
fibrillation. Amiodarone vs quinidine for conversion of
3.
atrial fibrillation. Arch Intern Med 1
9
9
6;15
6:4
9―5
8)Galve E, Rius T, Ballester R, et al:Intravenous amiodarone in treatment of recent―onset atrial fibrillation:
results of a randomized, controlled study. J Am Coll
82.
Cardiol 1
99
6;2
7:107
9―10
9)Yoshida T, Niwano S, Inuo K, et al:Evaluation of the
effect of bepridil on paroxysmal atrial fibrillation:relationship between efficacy and the f―f interval in sur5.
face ECG recordings. Circ J 20
0
3;67:1
1―1
10)Fujiki A, Tsuneda T, Sugao M, et al:Usefulness and
safety of bepridil in converting persistent atrial fibrillation to sinus rhythm. Am J Cardiol 2
0
0
3;92:4
7
2―
47
5.
1
1)Roy D, Talajic M, Dorian P, et al:Amiodarone to prevent recurrence of atrial fibrillation. Canadian Trial of
Atrial Fibrillation Investigators. N Engl J Med 0.
20
00;3
42:9
13―92
12)Gosselink AT, Crijns HJ, Van Gelder IC, et al:Low―
dose amiodarone for maintenance of sinus rhythm after cardioversion of atrial fibrillation or flutter. JAMA
93.
199
2;26
7:32
89―32
13)Skoularigis J, Rothlisberger C, Skudicky D, et al:Effectiveness of amiodarone and electrical cardioversion
for chronic rheumatic atrial fibrillation after mitral
27.
valve surgery. Am J Cardiol 19
9
3;7
2:42
3―4
14)Chun SH, Sager PT, Stevenson WG, et al:Long―term
efficacy of amiodarone for the maintenance of normal
sinus rhythm in patients with refractory atrial fibrilla0.
tion or flutter. Am J Cardiol 199
5;7
6:4
7―5
15)川瀬綾香,杉 薫,手塚尚紀ほか:発作性心房細動
の洞調律維持に対するⅢ群薬の効果―アミオダロン,
ソタロール,ベプリジルの比較―.Prog Med 2
0
0
1;
83.
21
(Suppl 1)
:1
180―11
―
(
721)―
《制作者: 》 Title:質疑応答02_庭野 Page:14
. 質疑応答
(新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器学分野教授)
座長/相澤 義房
(国立循環器病センター心臓血管内科部長)
鎌倉 史郎
(北里大学医学部循環器内科学)
演者/庭野 慎一
鎌倉
(座長)
ありがとうございました.アミオダロ
しゃるとおり,個々の症例を詳細に検討した上で統計
ン使用状況のアンケート調査に関する演題でしたが,
をとる必要があるのかもしれません.
ご質問やご意見はありませんか.
栗田 Pre―NIPPON Studyという臨床試験のデータ
栗田
(国立循環器病センター)
大変興味深く拝聴し
を後ほどご紹介しますが,この試験では肺線維症の頻
ました.持続性VT/VFの二次予防については,2/1
1
度がそれほど高くなかったのです.どこが違うのか,
施設が
「無条件に全例投与」
,2/11施設が
「原則非投与」
また後でご意見をお聞かせください.
で,残りはカテーテル・アブレーションやⅠ群抗不整
井上(富山大) AFの適応の順位が低いにもかかわ
脈薬が無効だった場合に使うということでしたが,大
らず,症例数で4
4%を占めているのはどういうことで
半の施設ではICD単独という治療法を考慮していない
しょうか.肥大型心筋症に伴うAFはごく少数だと思
ということでしょうか.
いますが,そのあたりの実態はどうですか.
庭野
(演者)
少なくともアンケート調査の結果によ
庭野 各施設の詳細については明確にお答えできま
れば,9/1
1施設はICD単独で治療を開始して,次にカ
せんが,最初にお示しした症例数は概算ですから,正
テーテル・アブレーション,場合によってはアミオダ
確な数字ではないのかもしれません.先生がおっしゃ
ロン以外の薬剤投与を考えるということでした.
るとおり,カテーテル・アブレーションや他剤投与を
栗田 結果的にそのような治療経過になっていると
積極的に考えている施設が多い割に,AFの比率が高
いうことであって,ICDの導入時には無投薬でもよい
いと私も感じました.
と判断している先生が多いということですか.
井上 適応外使用例が4
0%以上というのは,異常な
庭野 そうです.
事態といわざるを得ないと私は思います.先生のお考
栗田 致死的副作用の定義は様々だと思いますが,
えはいかがでしょうか.
肺線維症の頻度が驚くほど高率ですね.
庭野 そのように思いますが,欧米のエビデンスに
庭野 「致死的」
というのは,実際に患者さんが死亡
鑑みると,難治性の場合はカテーテル・アブレーショ
されたという意味ではなく,致死的となり得るほど重
ンに踏み切る前にアミオダロンを試みるべきだという
篤な副作用という意味です.実際の死亡例は合計3例
見解が少なくありませんから,そういった状況を反映
でした.
しているのではないでしょうか.
栗田 全例が肺線維症ですか.
井上 こういう事態は何とかしたいですね.厚生労
庭野 はい.
働省とパイプの太い代表幹事の笠貫先生もいらっしゃ
栗田 DLCOの低下だけではなく,症状やX線所見も
いますから,本研究会としても貢献していきたいもの
含めて肺線維症と診断された症例が78
. %にも上ると
です.
いうことですね.
笠貫
(東京女子医科大)
私も井上先生と全く同感で
庭野 そうです.
す.新GCP
(good clinical practice)
の施行に伴い,薬剤
栗田 投与量との関係は不明でしょうか.
の認可や安全対策について大幅な改革が行われている
庭野 そこまでは解析していません.先生がおっ
状況でもありますから,患者さんのために早急に認可
―
(
722)―
《制作者: 》 Title:質疑応答02_庭野 Page:15
第1
1回アミオダロン研究会講演集
すべきだろうという考えは医師としてもっていますし,
ん使っておられるわけではないと思います.
行政当局にどのように働きかけるかという問題もとき
相澤 関東から遠い長崎などはいかがでしょうか.
どき話し合っています.
AFに対するアミオダロンの使用頻度はいかがですか.
日本独自のデータが必要なのか,それともCTAFの
矢野(長崎大)
私どもの場合,原則的にアミオダロ
ような欧米のデータで十分ではないか,といった問題
ンを第1選択薬とはしていません.いくつかの薬剤を
も含めて,本研究会で議論を重ね,製薬メーカーや行
試みた上で,どうしても治療の必要があるという場合
政当局と連携をとりつつ,前向きに取り組んでいくべ
に初めてアミオダロンを考慮しています.一方,肥大
きテーマではないかと思っています.
型心筋症のようなケースでは早期からアミオダロンを
相澤
(座長)
このアンケート調査には錚々たる専門
考慮するという具合で,ごく一般的な使用状況です.
家が参加しておられますが,同じ関東でも一般の医師
相澤 庭野先生が発表されたような使い方には同意
が同様にアミオダロンを使っているわけではないので
されますか.
しょうね.
矢野 将来的にはそういう方向を目指すのが良いの
庭野 東京の先生方のことまでは把握していません
ではないでしょうか.
が,専門の先生方だからこそアミオダロンの適用を考
鎌倉 どうもありがとうございました.
慮されるということであって,一般の先生方がどんど
―
(
723)―