CIICメールマガジン-第 65回- 公認会計士・税理士 井村 登 複雑な税金計算と税負担計算 [複雑な税金計算プロセス] 会計士 年が明けると、個人は所得税の確定申告、法人は 3 月決算が迫ってきますね。 社 その法人の税金計算ってとっても複雑ですよね。どんなプロセスで計算しているのですか。 長 会計士 平成 28 年 3 月期で資本金 1 億円以下の中小法人をイメージすると、概ね次のようなプロセスで す。 スタート [法人税課税所得金額] 企業利益 ①法人税 [概ね法人税額] 法 人 税 ・ 住 民 税 及 び 事 業 税 ③地方法人税 ④法人都道府県民税 ⑤法人市町村民税 交際費等申告調整後 法人税課税所得金額 [概ね法人税課税所得金額] [概ね法人事業税額] ②法人事業税 ⑥地方法人特別税 ①~⑥の[ ]内は当該税目の課税標準 社 長 こんな6種類もの税金を計算するのですか。 [さらに消費税] 会計士 そうです。まだこの他に消費税も国税分と地方消費税分に分けて計算しますから、会社はほん と大変です。 社 長 国と地方でそれぞれの事情があると思いますし、法人はそれなりの税負担は必要でしょうが、 もっとシンプルにしてほしいですね。 ところで、もうひとつ会社に大きな影響のある社会保険ではどんなプロセスで保険料の額が決 まりますか。 [社会保険の計算等プロセス] 会計士 はい。概ね次のようなプロセスですね。 類 健 康 保 険 ・ 厚生年金保険 社 長 会計士 年一回被保険者全員の「報酬月額算定基礎届」の提出、 給与等の大きな変動や賞与支払はその都度届出 年一回本年度の概算保険料と前年度の確定保険料の 申告と納付等 税も社会保険も法人の事務負担はやはり相当なものですね。 そうですね。金額負担も大きいので、その使途も大切にしてほしいものです。 1 法 企 定 業 負 福 担 利 分 費 ) 労 働 保 険 主なプロセス ( 種 [速算表] 社 長 前述の6つの税金ですが、自社の法人税課税所得金額が分っても、一体どの程度の税負担かさ っぱり分りませんが。 会計士 このメールマガジン第58回でもご紹介しましたが、資本金1億円以下の中小法人の税負担額の わかる速算表を以下にもう一度掲載します。 中小法人の表面税率と実効税率及び速算表の概算(平成27年4月1日以後開始事業年度)は次のよ うになります。自社の課税所得に応じて試算してみて下さい。 速算表(×所得に対する税率(%)-控除額(円)) 課税所得区分 【法人税・地方法人税・事業税・地方法人特別税・住民税】 表面税率(%) 400万円以下 400万円超 800万円以下 800万円超 22.47 24.9 37.62 控除額(円) 実効税率(%) 0 (例) 課税所得500万円の中小法人 (単位:万円) 控除額(円) 21.43 0 97,200 23.21 71,200 1,114,800 34.33 960,800 (1)表面負担額 500×24.9%-9.72≒115 (2)実効負担額 500×23.21%-7.12≒109 (注1)事業税及び住民税は標準税率を適用しています。 (注2)表面税率とは各税の所得に対する率を加算した税率をいい、実効税率とは事業税と地方法 人特別税の損金算入の影響を考慮した法人の実質的な税負担率をいいます。 [注]この記事に基づく税制等の適用には再度詳細な検討をお願いします。 2
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