第51回- 5%・8%の消費税申告と前回 50 回のお詫びと訂正

CIICメールマガジン-第51回-
公認会計士・税理士 井村
登
5%・8%の消費税申告と前回 50 回のお詫びと訂正
[5%と 8%の混在]
社
長
平成 26 年 4 月 1 日より消費税率が 8%になりましたが、例えば 7 月決算では 5%と 8%が
混在していますね。納税額はどんな計算をするのですか。
[課税売上・課税仕入等の状況]
会計士
そうですね。4 月決算以降しばらくは混在した決算となります。では、次のような 7 月決
算例[表 1]で説明します。
[表 1]
記号
A
B
C
D
E
F
G
H
5%合計
8%合計
総計
1 課税売上・課税仕入等の状況(単位:円)
①
②
③ 課税売上
26.4-26.7
25.8-26.3
5%
5%
8%
税抜き
68,220,169 63,249,567
71,890,402 131,469,736 71,890,402 203,360,138
④ 課税仕入等 税込み
93,090,543 52,305,641
52,335,204 145,396,184 52,335,204 197,731,388
※非課税売上はなしとしています。
[経過措置]
社
長
平成26年4月からは8%ということですが、26年4月~26年7月の5%の63,249,567円(③D)
や52,305,641円(④D)って何ですか。
会計士
以前に勉強しました経過措置適用の課税売上や課税仕入等ですね(メールマガジン第33回
参照)。
[消費税の計算]
社
長
会計士
では、こんな複数税率があるときはどんな実際に計算をするのですか。
はい。上記のケース[表2]で消費税の計算表を作ってみました。
1
[表2]
[6.3%]
社
長
会計士
いくつか質問させて下さい。まずD列の国税6.3%って何ですか。
消費税率 8%は実は国税 6.3%と地方消費税 1.7%となっていて、⑤~⑩でまず 6.3%分の
国税を計算しているのです。その結果をうけて⑪~⑱で 1.7%分の地方消費税を計算し、
⑲で合計額 8%分を計算しています。
[17/63]
社
長
会計士
なるほど。では次に⑯行目の25/100とか⑰行目の17/63って何ですか。
はい。5%の場合は国税が4%で地方消費税が1%ですから、4%の国税の額(280,142円)に
25/100を乗じると1%(4%×25/100)の地方消費税70,035円が計算できます。
8%も同様に6.3%の国税の額(1,476,814円)に17/63を乗じると1.7%(6.3%×17/63)の地
方消費税398,335円が計算できるのです。
[申告書]
社長
計算プロセスは判りましたが、実際の消費税の申告書はどうなっていますか。
会計士
Eの列が主に申告書となってC・D列が付表(内訳書)として添付されるフォームとなって
います。
2
[5%分還付と 8%分納付]
社
長
最後になりますが、この計算表を見てますと、端数処理前ですが、5%分が350,177円(⑧C
と⑯C)の還付で、8%が1,874,519円(⑨Dと⑰D)の納付となっています。
これはどういうことでしょうかね。
会計士
最初の「課税売上・課税仕入等の状況」を見ますと、主に次のようなことが考えられます
かね。26年4月以後の8%の課税売上について当然工期があり原価活動が先行しますから、
26年3月までの5%の課税仕入等が多くあったということでしょうか。
社
長
なるほど、消費税の納税・還付はあくまでも「課税売上に係る消費税額等」から「課税仕
入等に係る消費税額等」を控除して計算しますからね。
会計士
そのとおりです。
[前回 50 回(死亡退職金)記事のお詫びと訂正]
第50回(死亡退職金)記事の「死亡退職金の最終取得者」について解説に誤りがありましたので、
お詫びして次のとおり訂正いたします。
会社の就業規則に受給順位が定められている場合は、その規則の内容により決定される受給者が
取得者します。
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