ウェストミンスタ-小教理問答 27 問「キリストのへりくだり」 キリストは、へりくだりの状態で、預言者・祭司・王として、救い主のお働きをな さいます(23 問) 。27 問は、キリストのへりくだりについてです。 へりくだりの諸側面 地上でのキリストのご生涯全体が、神の独り子としての栄光を捨てた、へりくだり の生涯でした。27 問は、いくつかの点を指摘しています。 1、誕生(受肉) :キリストは神の独り子として、世界と人間とをはるかに超える永遠・ 無限・不変の神でいらっしゃいました。そのキリストが天の栄光を捨てて、弱さと 罪とを帯びている現実の人間の姿になられたこと自体、大いなるへりくだりです。 2、低い姿での誕生:もしキリストが、王宮に生まれられたとしても、人間となられ たこと自体が大いなるへりくだりですが、キリストはさらに、人間の中でも最も低 い誕生の仕方(家畜小屋での誕生)で誕生されました。 3、律法の下におかれたこと キリストは私たちを救うために、人類の代表者として律法の下に置かれ、律法に 示された神の要求に服従して永遠の命を得るべき立場に置かれました。「神は、その 御子を女から、しかも律法の下に生まれた者としてお遣わしに」なったのです(ガラ テヤ 4:4)。 ①律法は、律法を行なうこと(従順)によって永遠の命を勝ち取ることを人に求めま す。キリストは子なる神として本来永遠の命を持っておられましたが、私たちの 代表者として神に服従して永遠の命を勝ち取る道に入られました。キリストのご 生涯は「へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順」であら れるご生涯でした(フイリピ 2:8)。 ②律法は罪人に神の刑罰を与えます。キリストは、罪人の代表者として律法の下に 置かれ、神の刑罰を受けるべき者とされ、十字架への道を歩くように定められま した。 4、この世の悲惨:同国人・家族・弟子からの誤解と裏切り、貧しさ、病等々。キリ ストは、私たちがこの世で味わう悲惨を知っておられました。 5、神の怒りと十字架ののろいの死:十字架には激しい肉体の苦痛がありましたが、 キリストはさらに深く苦しい魂の苦痛を味わわれました。「わが神、わが神、なにゆ え私をお見捨てになりましたか」との十字架の主イエスの叫びは、私たち罪人の代 表として、 キリストがその魂に神の怒りとのろいを受けられた苦痛を表しています。 6、葬りと暫く死の力のもとにとどまられた事:キリストのへりくだりの最深点であ る十字架の苦しみを味わい尽くした後も、キリストは、なお、しばらく、死の力の 元に屈服するへりくだりの時を過ごされました。 へりくだりの状態での救い主のお働き キリストは、このへり下りの状態で、預言者・祭司・王として働かれました。 1、預言者:キリストはへりくだりにより、神の御心を完全にあらわす方となられま した。十字架を頂点とする御苦しみの全体を通して、キリストは、罪を嫌われる神 の御心と、私たち罪人を救うためには独り子をも惜しまない神の驚くべき愛の御心 を示されました。 2、祭司:キリストは、十字架でご自分を犠牲として捧げてくださいました。また、 主御自身、深い苦しみを味わわれましたので、私たちの苦しみを理解し・同情し、 神に取り成してくださる恵み豊かな大祭司となられました。 3、王:キリストは、へりくだりつつ歩まれた地上生涯の間、悪の支配を打ち破り続 けてくださいました(悪霊追い出し、 罪人を赦して御自分の支配下に移すことなど)。 また、十字架によって、決定的に罪責から私たちを解放することで、罪と死の支配 を打ち破って下さり、私たちを解放して、ご自分の支配へと移して下さいました(コ ロサイ 2:14,15 参照) 。
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