ウェストミンスタ-小教理問答 28 問「キリストの高挙」 キリストは、低い状態と高い状態で、預言者・祭司・王として、救い主のお働きを なさいます(23 問) 。28 問は、キリストの高い状態(高挙)についてです。 高挙の諸側面 復活から再臨まで、キリストは、力ある救い主として救いの働きをなさいます。28 問は、いくつかの点を指摘しています。 1 復活:キリストの復活は次のことをもたらしました。 ①十字架による贖いを神がよしとされたことが示されました。 ②永遠の命の希望が明らかにされました(キリストは復活の初穂です)。 ③キリストは、生きて私たちと出会い、救いを差し出して下さる救い主になって下 さいました。 2 昇天:キリストの昇天は次のことをもたらしました。 ①キリストは、天国への道を先導する方となって下さいました。 ②キリストは、復活顕現の時(弟子たちが肉眼で復活の主を見た時)を終え、聖霊に よってすべての人々に出会うことのできる方となられました。 3 神の右の着座:キリストの着座は次のことをもたらしました。 ①キリストの世界支配:昔、王の右は、王に委ねられて国政を行なう皇太子や大臣 の座でした。キリストは、神の右に座して、神の世界支配を代行する方となって 下さいました。 ②キリストの取り成し:キリストは、神の右におられて、私たちのために日々、神 に執り成していて下さいます。 4 再臨:キリストの再臨は次のことをもたらします。 ①審判:世の終りに、キリストは再びこの世に来られて、生きた者と死んだ者とを 裁かれます。 ②世界と私たちの救い:この時、私たちの苦難は終り、世界は死もなく、悲しみも 痛みもない世界に変えられます。 キリストの高挙の確かさ=キリストの復活 キリストの高挙の諸事項は、今、私たちの目に見えませんが、復活の事実によって その確かさを知る事ができます。復活の事実は次の点から明らかです。 1 復活信仰の古さ:復活信仰は、時代が経ってキリストが神格化されて生まれたわ けではなく、古い信仰です。学者たちは一致してキリストの十字架の直後に復活信 仰が起こったことを認めます。コリント第一書 15:1 以下参照(紀元 50 年代の書) 。 2 目撃証人たちの殉教:復活を目撃した使徒たちの多くは殉教したと伝えられていま す。少なくとも使徒ヤコブ、主の兄弟ヤコブ、ペテロ、パウロの殉教は史実です。 彼らは、自分の信じる理論のために死んだのではなく、 「キリストは復活なさった」 という事実を証言しつつ殉教し、その証言の真実さを裏書きしました。 3 反対者たちの無力さ:キリスト教に反対したユダヤ教は、主イエスの遺体を弟子 たちが盗み出して復活を言い触らしたの説を唱えました。これは、実際にユダヤ教 徒たちが、主イエスの遺体を墓の中に見出だせなかったことを裏書きしています。 弟子たちが遺体を盗み出したとの説について言えば、そのような詐欺的行為のため に、弟子たちが迫害を忍び、殉教までしたと考えるのは不合理な事です。 高挙の状態での救い主の御働き キリストは高挙の状態で預言者、祭司、王の職務を果たされます。 1 預言者:キリストは天から新約聖書の著者たちを導いて聖書を書かせ、聖霊を送 って私たちに聖書とその中にある福音を悟らせ、私たちに神の御心を伝えておられ ます。 2 祭司:キリストは、十字架の犠牲によって私たちの罪の償いを完成した祭司とし て、今は神の右におられ、私たちの日々の罪を赦して下さるように、また、試練か ら守って下さるように、神に執り成しておられます。キリストは、十分な根拠を持 ち、最も神に近い所から有効な執り成しをされる、完全な祭司です。 3 王:キリストは今、神の右に座し、世界を治めておられます。信じる者には万事 が益となるように一切を支配し、また、この世界全体の歴史を救いの完成に向かっ て導いておられます。そして、世の終りに、罪と悲惨の力(悪魔の力)を打ち破り、 この世界を神の支配の完全に現れる世界とするために再臨して下さいます。
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