DEVELOPMENT SOLUTIONS ES910ラピッドプロト タイピングモジュールと ES920 FlexRayモジュール FlexRay搭載ECU向け ETAS Petra Stix、 Johannes Wagner ファンクション開発 INTECRIOとES910/ES920の連携により、 FlexRayバス上のECUファンクションを検証 2006年7月にETASから発売された小型のES910ラピッドプロトタイピングモジュールは、電子系統のソフトウェアファンクションを実 車で検証するのに好適です。ES910は高い計算処理能力、OSEKリアルタイムオペレーティングシステム、および様々なECUインター フェースを備えています。このES910に新しいES920 FlexRayモジュールを併用するとFlexRayノードとして機能します。インター フェースは2つのFlexRayチャンネルを備え、FlexRay仕様V2.1に適合し、FlexRay適合試験(ISO 9646)の品質基準を満たしていま INTECRIO V2.1と ES910ラピッドプロト タイピングモジュールによる FlexRay ECU用 ファンクション開発 す。FlexRayモジュールの設定はすべてINTECRIO内で行われます。ファンクションプロトタイプとFlexRayバスを確実に同期させるた めに、ES920モジュールはFlexRayクロックサイクルのサイクル、セグメントおよびタイムスロットレベルで割込みを生成します。 F lexRayバスとES910シミュレーション コントローラの間のデータスループット の 向 上 を 図 る た め に 、 ES920 FlexRay Moduleにはプリプロセッサが搭載されて います。ラウンドトリップ時間(FlexRayで の信号を受信後、応答信号までの時間)を 100マイクロ秒未満に短縮できるので、タ イムスロット幅が50μsというスタティック セグメントに収まり、ES910モジュールは メッセージを受信してから同じFlexRayサイ uleはES910のWake-up(ウェイクアップ) モードとCold Start(コールドスタート) モードをサポートしているので、FlexRayバ ス上の通信が途絶えた場合はES910を自動 的にシャットダウンできます。 ES920 モ ジュールには2本のケーブルと終端抵抗器が 付属しており、既存のFlexRayネットワーク に容易に組み込めます。 INTECRIOはFIBEX(Field Bus Exchange) ファイルをインポートし、FlexRayのコン フィギュレーションを行うことができます。 さらに、パラメータ値を変更する操作や、あ らかじめ設定されているデータを用いない で直接マニュアル入力する操作も、使いや すいエディタで容易に行えます。エラーシ ミュレーションを行う場合は、FlexRayコン フィギュレーションの適合性チェックを無 ラピッドプロトタイピング環境への統合 効にすることができます。 ES910とES920は、総合ラピッドプロトタ イプ環境 INTECRIOによりサポートされま を送信できます。プロトコルの処理はBosch INTECRIOはグラフィカルな設定環境を用 E-Ray IPコントローラとFPGA(Field Pro- す。ユーザーは INTECRIO を利 用 して、 意しており、これを使用してファンクショ grammable Gate Array)で行います。こ MATLAB®/Simulink®やASCETのファンク ンの入力と出力の信号をFlexRayのフレーム のように、 ES920 モジュールはファーム ションモデル、およびハンドコーディングし にマッピングすることができます。ES920 モジュールは、エディタで定義されたチャン ウェア更新により将来バージョンのFlexRay たCコードモジュールを統合し検証すること にも容易に適応できるようになっています。 ができます。また、INTECRIOではファンク ネル、サイクル、およびタイムスロット属性 バスドライバにはPhilips TJA1080モジュー ションモデルとハードウェアコンフィギュ に基づいて、FlexRayメッセージをモデルの ルを採用しています。ES910モジュールは 信号に自動的に割り当てます。このように レーション、リアルタイムスケジューリン 車載用に設計されているので、堅牢かつ広 グ、およびインストゥルメンテーションは完 ES920は、ES910のシミュレーションコン トローラへ依存せずにFlexRayのプロトコル 範囲の温度に対応できます。そのため一緒 全に切り離して管理されるので、ファンク 処理を行います。 に用いられる ES920 モジュールの 2 つの ションモデルの再利用性が高まります。こ FlexRayチャンネルは機器アースからも電源 のように、INTECRIOはチーム間、ツール クル内でわずか数タイムスロット後に応答 からも電気的に絶縁されています。この特 間、開発フェーズ間の境界を越えた共同作 徴は、ES910モジュール上のすべての接続 業を支援します。 ポートと同じです。ES920 FlexRay Mod- 12 RT J2. 2006 DEVELOPMENT SOLUTIONS 利用例 INTECRIOとES910/ES920を使用すること により、ECUの新機能を実験室や実車を利 用して容易に検証できます。短時間で実験 の準備が済み、FlexRayに関する専門的な スキルも不要です。INTECRIO上で統合さ れたファンクションモデルとハードウェア設 定はES910にダウンロードされ、OSEK OS の管理下で稼動します。すべてのファンク ションモデルの演算、プロトコル処理はPC ではなく、ES910/ES920で行われるため、 リアルタイム性を確保しつつFlexRayバスを INTECRIO V2.1では、 利用した実験が行えます。そのため、電子 グラフィカルエディタを スロットル制御やブレ−キバイワイヤ等の 使用して ように、安全性が非常に重視されるファン ファンクションの クションのプロトタイピングに最適です。 ファンクション開 発 の対 象 を CAN から ファンクションモデルはINTECRIOにより、 ES920前面のLEDでFlexRayバスのステー FlexRay に変 更 した場 合 でも、 ES910/ ES920により既存のファンクションモデル をすぐにFlexRay通信に対応させることがで きます。INTECRIO上でファンクションモデ ルの入出力を、ES920の入出力に接続する ES910にダウンロードされます。実行時に は、モデル変数をINTECRIOの実験環境や モデリングツール(MATLAB®/Simulink® またはASCET)に表示したり、INCAでモ タス(未処理、アクティブ、同期中)が示 だけで設定は完了します。ファンクション されます。さらにES920が検出したFlexRay モデルの変更や、CANとFlexRayを変換す バス上の各種エラーは、ファンクションモ るようなファンクションを作成する必要は デルに通知されます。これによりファンク ニタリングできます。同様に、実験を実行 ションモデルのエラーハンドリング処理の検 ありません。この機能を利用して、CANと FlexRay間のゲートウェイを簡単に作成する しながらパラメータおよびモジュール接続を 証も可能となります。 事も可能です。 I/O信号を FlexRayフレーム上に 簡単にマッピング できます。 修正できるので、様々なモデルコンフィギュ レーションを容易に比較できます。ES920 はスタティックセグメント受信、ダイナミッ FlexRayツールデイ 2006年9月20∼21日、独シュトゥットガ クセグメント受信、各スロットの終わりと ルト近 郊 フェルバッハにて自 動 車 雑 誌 いったタイミングで割込みを発生させるこ スに同期したファンクションの試験が可能 HANSERの主催で開かれたFlexRayワーク ショップにおいて、ETAS はINTECRIO と ES910/ES920モジュールが動作する様子を 紹介しました。当日はETASのFlexRayアプ です。 リケーション用ラピッドプロトタイピングシ とができます。この割込みによりファンク ションモデルを起動できるため、FlexRayバ ステムについて詳しく説明し、ライブデモ も披露されました。 13 J 2 0 0 6 .2 RT
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