第 15 回 アラブ人学生歓迎プログラム(ASP2016)趣意書 アッサラーム ~共に作ろう「大きな平和」~ 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス奥田敦研究会 第 15 回アラブ人学生歓迎プログラム(ASP2016) 実行委員会 1)概要 「アラブ人学生歓迎プログラム(以下 ASP)」は、アラブ諸国で日本語を学ぶ学生を約 2 週間 SFC に招聘し、研究会(ゼミ)の活動の一環として、SFC でアラビヤ語を学ぶ学生たちと日本語レポート作 成や日本語スキット映像の制作などを通じて行う、アラブ・イスラーム圏との学術交流プログラムであ る。 なお、ASP とは、Ahlan wa Sahlan Program の略称であり、ً(أھﻼً وﺳﮭﻼAhlan wa Sahlan)とは、 「ようこそ」を意味するアラビヤ語である。 2)目的 ASP においては、「ともに学び、ともに作る」というコンセプトのもと、アラブ人招聘者と日本人学生と の間で実践的な活動が展開される。そこでは、単なる相互理解にとどまらず、自分たち自身の変化へ の努力が求められる。そうした努力を通じて、互いに共有できる学びを探していく。ひいては、将来に わたって日本とアラブ世界との関係を国益や私益を超えて友好的に発展させることのできる人物の育 成と、大学における学術交流のモデルの構築も目指す。 アラブ・イスラーム世界との信頼と友好に基づく良好な関係構築は、日本のみならず国際社会全体 においても重要な課題となっている。本プログラムは、2002 年の第 1 回開催以来、新しい時代の日本 とアラブ・イスラーム世界との関係のみならず、アラブ人同士の関係をも構築するプログラムとして、継 続的に実施されている。 3)沿革 本プログラムの発端は、2002 年 3 月に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスアラビヤ語授業の一環と してシリアのアレッポ大学で開かれたアラビヤ語現地研修である。アラブ人学生たちの惜しみない歓迎 と真摯に学ぶ姿勢に誰もが感動し、簡単に来日できない彼らを日本に招いて、「アハランワサハラン」 の精神で迎え、自分たちが体験したように日本で生きた日本語に触れてほしいという思いが芽生えた。 こうして、お世話になったアラブ人への感謝の気持が動機となり、同年 7 月に「シリア人学生歓迎プログ ラム」として日本語を学ぶシリア人学生 3 名を招聘した。以降、日本とアラブの学生が等身大の学び合 いと密接な交流を重ね、2015 年の第 14 回アラブ人学生歓迎プログラムまでにアラブ 7 カ国から、計 66 名を招聘した。 同時に、奥田敦研究会では、アラビヤ語を学ぶ日本人学生が原則として年に 2 回アラブ・イスラーム 諸国を訪問するプログラムも実施しており、スキットビデオの協働制作、ワークショップ、文化交流等を 実施し、アカデミックな分野での交流拠点とそのネットワークを構築している。 また 2011 年にはアラブ人学生歓迎プログラムの 10 周年記念行事が行われた。過去の招聘者の中 1 から 20 名の参加を得て、11 月 22 日、23 日の両日にわたって、ディスカッション、レセプション、国際 シンポジウムを行った。 昨年度の ASP では、「そして、共に歩もう」を活動の統一テーマとし、シリアから 1 名、モロッコから 2 名の計 3 名を招聘した。このテーマは、アラブと日本がそれぞれにかかえる困難な状況を十分に受け 入れた上で、「その先へ」共に歩き出そう、という前向きな意志を表している。期間中は学術交流を通じ、 異なる価値観を持つ人同士が平和裏に共生しながらよりよい社会を作っていく方法を模索した。成果 として、アラブ人学生による日本語レポートや、アラブ人学生の視点から SFC を紹介する日本語の映 像作品が完成した。 ASP の活動内容は毎年報告書とそのダイジェスト版にまとめられ、招聘者および各国協力者に配 布されている。また詳しい活動成果は、奥田敦研究会(http://nafidha.sfc.keio.ac.jp)の公式 HP に て公開されている。 なお、昨年度の活動は、神奈川県の大学発政策提案制度「ムスリム接遇人材育成プログラムの開発と実 施~共生的モデルの構築とともに~」(平成26年度最優秀提案)の事業の一環としても実施された。また、 慶應義塾大学スーパーグローバル大学の事業の一つとしても指定され、慶應義塾のグローバル展開にも 貢献した。 4)理念 ASP の基本理念は、「彼らが何者かをわかるためではなく、 彼らとわれわれがお互いの変化を通し て、いかに「大きなわれわれ」になり得るのかを実践的に考える」(奥田敦教授)である。 これは、交流活動において、文化や宗教の違いを知ることのみに終始せず、そのような違いにとらわ れない、人間同士としての「大きなわれわれ」にいかになり得るのかを、学問を追究する学生同士とし ての学び合いと互いの変化を通して考えるということである。 5)ASP2016 今年で15周年を迎えるASPは、「アッサラーム~共に作ろう「大きな平和」~」を活動の統一テーマと する。「アッサラームアライクム(あなたがたに平安あれ)」。これは、世界全体で16億人を数えるとされる イスラーム教徒の日常的なあいさつである。この中で、「平安・平和」にあたるのが、「アッサラーム」とい う言葉だ。この言葉は、単に国家間や民族間に限った平和を指すものではない。誰もが排除されること なく、ただ人間であるというだけで尊重し合えるような平和裏の関係をいう。それは、国籍や民族、宗教 などの違いを超えた「大きな平和」の概念である。 15周年という節目に、改めてASPの根底にある「アッサラーム」の精神を見直し、学生同士の学び合 いを通じて、この「大きな平和」を実現していきたい。そんな思いを込めてこのテーマを掲げた。 なお、本年度の活動は、昨年度に引き続き、神奈川県の大学発政策提案制度の事業の一環として も実施される。 6)スケジュール 2016年7月 第15回アラブ人学生歓迎プログラム(ASP2016)実行委員会発足 8月4日 募集要項送付 8 月 4 日~ 招聘者募集開始 9 月 15 日 応募書類提出締切 9 月 22 日 9 月 23 日 選考会議 追加選考期間(必要に応じて Skype 面接を実施) 9 月 24 日 招聘者決定の通知 10 月 30 日~11 月 13 日 第 15 回アラブ人学生歓迎プログラム(ASP2016)開催 2 11 月 18 日、19 日 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス ORF*における成果報告 *ORF(Open Research Forum):SFC の全研究成果を発表する年次イベント 7)ASP2016 の概要 期間 2016年10月30日(日)~11月13日(日) 場所 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC) 内容(仮) Ø 日本語スキットの協働制作 Ø 日本語レポートの作成と発表 Ø 日本文化体験講座(茶道、着付け、高校生との交流活動など) Ø 日本語による自国紹介 Ø Ø アラビヤ語による招聘者授業、日本人学生とのディスカッション 小旅行(鎌倉、東京、富士山など) 8)招聘者 応募資格 アラブ諸国で日本語を通算で 2 年以上学習している、満 18 歳以上の方で正則アラビヤ語である フスハーを用いての会話および読み書きが正しくできる方(20 歳未満の応募者は保護者の許可が 必要)。日本への渡航経験が無い方が望ましい。 招聘者決定方法 ASP 実行委員会において、提出書類をもとに、プログラムの趣旨にあった招聘者の選考を行う。 なお、選考の際、必要に応じて Skype による面接を実施する。面接の日程は、9 月 23 日(金)を予 定している。 招聘者数 4 名程度。 9)プログラムに要する費用 アラブ人学生に関わる費用は一人あたり約 30 万円を予定。内訳は主に、航空運賃(空港税など諸 費用含む)・日本国内での交通費・食費・宿泊費・健康保険代・諸活動費(休日の旅行の際の費用など) などである。 なお上記費用は、本プログラムの趣意に賛同してくださる方々からの寄付金、大学内の研究助成金、 および学園祭収益金などから、プログラムが負担する。 10)宗教に関する快適な滞在のための配慮 本プログラムでは、招聘者の宗教に応じ、食べ物などの生活面はもとより、礼拝など日々の宗教行為 が円滑に行われるよう、きめ細かい配慮を行う。 3
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