「定番再発見ムード。“永く愛して”のアルティメット・スタンダードが メガバス

「定番再発見ムード。“永く愛して”のアルティメット・スタンダードが
メガバスの理念」
ドデカベイトやキテレツ釣法が落ち着き、アーロン・マーティンスやマイク・
アイコネリーなどアメリカで勃発した、VISION110やX-80のムー
ブメントが日本に伝播したあたりから、「定番ルアー」・・・すなわち「スタン
ダードベイトの使いこなし」がムーブメントになってきた。アメリカでも10年
ほど前までは、西海岸を中心に、新規性や市場活性化への刺激を求め、
様々なルアーブランドやニューカマールアーが活発に市場投入された時期
もあった。しかし現在では、やはりプラドコ(ヘドン、レーベル、ボーマー、ス
ミスウィックなど)や、VMCグループのラパラなど、永きに渡って市場で愛
用されてきたアイテムによる釣りが再び主流を占めるようになってきた。永
く売られている商品には当然理由があり、永続的な高い需要とそこに裏打
ちされた安定した釣果(一時的、地域でなく)、使い心地のよさ、確実な安
定的生産・供給体制など、永続的に支持される理由があるわけだ。そういえば、私の友人がよく言う。若い子には目移りする
けど、毎回土俵と仕込みを変えなきゃいけない。といっていたのをフと思い出したが、まあ、なんのかんのいっても自分の女
房が一番落ち着く、といいたかったのだろう。ルアーはベイト(釣りエサ)なので、ネコの目のように流行が移り変わる音楽ア
ルバムや家電では決してない。だから成熟したアウトドアの市場では、ニュータイプだから良いという単純な評価は成り立た
なくなってきている。最近じゃクルマの世界もそう。30代後半からの世代では、チョイ前のいいクルマとか、ビンテージカーが
静かな人気を博しているように。「いいものと永くつきあう」といった、よく噛んで味わうスルメのノリに精神的な粋とそれをチョ
イスする人格を感じさせるのだろう。子供は、表面的に格好いいものやインパクトに過敏に反応し、あっちこっち刺激を求めて
さまようものだ。成熟したオトナは、渋みとか伝統とか造りの良さとか粋(いき)とか、諸々の奥の深さをココロの目で見抜くも
のだ。
ちなみに、生産者としてぶっちゃけると。昨日できた新作よりも、10年前にデビューして今日も売られているルアーのほうが、
安定した品質・釣果を製品維持のためにフィードバックしてきた量・確実な釣果を保障している、という3点で、ルアーに宿る
パフォーマンスバリュー(価値)がハンパではなく高いのは確かなこと。こうしたスタンダードを使いこなし、だれよりも理解を
深め、自分の釣りのアルティメット・スタンダード(究極の定番)として組み込んでいくことが、アメリカでリスペクトされるプロア
ングラーたち大筋の共通点ともいえる。彼等がよほどの大金を積まれない限り、契約スポンサーとして新興ブランドを望むこ
とがないのも、こうした理由も背景にありそうだ。だから、エキスパートほど新しいものに懐疑的だ。良いと思ったベイト(ル
アー)をずっと使い続けて腕を磨き、自身のテクニックとリニアな関係を築き上げ、時にチューニングを施して裏ワザさえ引き
出し、そしてまたさらなるスタンドードアイテムを広げて使いこなし、様々な状況に合わせていくためのアタリカラーも構築して
いく。自身にとって完成度の高い釣りのロジックを構築していく、といった具合だ。だから同じルアーを使っていっしょに釣りを
すると、そのルアーに対する凄まじい知識と使いこなし、多彩なテクニックに毎回脱帽する。ハイレベルな釣りがそこにある。
私はこうしたスゴ腕アングラーたちと釣りをしてきて、アメリカのルアー市場にそびえ立つ歴史の壁の高さと厚みに感心して
きた。
なお、これもアメリカで感心することだが、釣具ショップはもちろん、スーパーマーケット、ガソリンスタンドなど、いまから釣りに
行きたいとき、先のプラドコアイテムを例にとると、即購入可能だ。或いは、午前中のバイトラッシュからルアーがロストしたり
痛んでも、午後の釣りには、マリーナに併設されるルアーショップで即補充できる。そんな優れた供給体制と生産体系を背後
に有する商品たちは、まさにアルティメット・スタンダードを具現しているといっていいだろう。現地では、どんなにジャイア
ントDOG-Xが釣れていても、プラドコが供給するヘドンのザラにはいまのところかなわない。なんせ、ザラはいかなる
フィールドへ出向いてもどこでも買えるが、ジャイドグは買えない、売っていないエリア、ショップが多数あるからだ。安定供給
のデリバリー体制こそが、ベイト(釣り餌)屋としての正道であり、実は釣果以上に本来もっていなければならない、パフォー
マンス(性能)のひとつかもしれないことを実感してきた。
こうして、メガバスも約1年半前にファクトリーと流通センターの体制見直しにコストをかけ、グローバルなエリア、様々なショッ
プで補充・購買がきくような、ユニバーサル・テイクアウトを命題に生産と出荷の体制づくりを推進している。ロッドを振りもしな
いで購入していただけるお客様は、メガバス歴の長いお客様としてその信頼関係は大変ありがたいものだが、最近メガバス
タックルに関心を持ったお客様は、やはり他社のものとじっくりと振り比べて、その良さを見出していただき納得して購入して
くれるとうれしいものだ。そこで、大宮のショットガンをはじめ、各地でメガバスアイテムの多様な商品セレクトができるデリバ
リー体制と販売体制を進めてきた。
ちなみに、私は釣りに行くとき、カレーヌードル(カップヌードル)を買いにコンビニに立ち寄るが、いかなるコンビニに行って
も、いつでも定番がちゃんと陳列していて欠品に失望したことがない。だから、カレーヌードルは私の早朝釣行の定番になっ
ているわけである。どこぞのスーパーに行かないと買えないスペシャルなヌードルやニッチなヌードルは、よほどカップ麺を極
めたい変質的エンスーでないかぎり定番とはなりえないし、そうしたマイノリティなエンスージャズムは、時流的にクールでは
ない。かつての浜名湖の実家(釣り宿)でも、いつも欠品している弁天蛇虫より、供給が安定しているイソメやゴカイのほうが
最終的には釣果が出せる、オールシーズン定番の餌となったように、同じようなことがルアーの世界でも起きている。なお、
ロシアとかイタリア、ブラジルなどは、まだスポーツフィッシング市場が新しいため、かつての日本のように、店に並んでいな
い希少商品についての問い合わせがやたらと多い。成熟市場でレアモノを探求するのは、次元の高い趣味性を感じるが、し
かしまだこれらの諸国では、ルアー市場の体系も未成熟であるし、レアモノほど釣れるのではないか、といった、単純に釣り
歴の浅いアングラーによる甘い期待値でしかない。発展途上市場ならではの現象に思える。つまり、「魚を釣るための原理
原則」に気づいてないアングラーが多いのを感じさせるのである。逆に、最近の日本における定番再発見・ド定番を使いこな
すムードは、日本の釣りが良い意味でアメリカのように成熟してきたからだと思う。永きにわたる実績こそが、正統な評価を
受ける対象になってきた。逆に、作り手にとっては、プロモーションのインパクトや単年度の釣果だけでは正当な評価を得ら
れない、シビアな時代を迎えたともいえるだろう。