園芸なんでもQ&A

暖冬の影響なのか、バラの芽がもう伸びてきました。
まだ冬季の剪定を行っていないのですが、剪定はせず、
このまま生育させたほうがよいでしょうか?
冬になってもバラの葉がなかなか落ち
剪定は、通常、芽の出る前に行います
定することをおすすめします。バラの
ないのに芽が伸びてきたということで
するモダンローズをイメー
なかったりします。さらに、軒下など
が、冬に出た芽は、寒の戻りの影響な
のヒートアイランド現象や、ひいては
ジしましたが、ガーデニングブームと
の日だまりでは、バラの蕾や花の咲い
どで傷んでしまうことも多いため、気
かつてはバラというと、ハ
ともにオールドローズのよさが見直さ
ている姿を見かけるようになりました。
にせず剪定を行ってください。バラの
すが、そのままおくよりも、やはり剪
れたり、またオールドローズの花形で
しかし、それらのバラをよく観察する
習性として、側枝やシュートが発生す
地球温暖化の影響なのか、暖冬が続き、
モダンローズの性質を持つイングリッ
と、蕾のまま開かないものや、開いて
ると、そこから先は衰えることが多く、
イブリッドティーを中心と
シュローズが導入されたりしたため、
もやけに貧弱なものがほとんどである
つぼみ
現在ではさまざまな系統のバラが流通
花は貧弱になります。また、放任栽培
ご質問では、冬季の剪定を行ってい
自然放任されたバラ。3m の高さにもなっている。
必要があります。
ら樹形を整える
引いたりしなが
込み合う枝を間
取り除いたり、
弱枝や老朽枝を
予防も兼ねて、
による病害虫の
日当たりと通風
に、枝や葉への
図ります。さら
して若がえりを
め、更新剪定を
します。そのた
ったり枯れたり
いシュートは弱
枯れあがり、古
すると、株が大きくなりすぎて下葉が
ことに気づきます。
鹿児島県生まれ。宮崎大学農学部卒業。昭和36年タキイ種苗㈱
に入社、タキイ研究農場に配属となり、キュウリ、ピーマンな
ど果菜類の育種に従事。定年退職後は趣味の野菜栽培をしなが
ら、現在は地産地消の直売事業に携わっている。
し、栽培されています。
ご質問にあるように、近年、都市部
剪定前の鉢植えのバラ。
冬季剪定後の鉢植えのバラ。
上門 徹也
愛知県生まれ。三重大学農学部農学科を卒業後、タキイ種苗㈱
に入社、タキイ研究農場で野菜育種に従事。退職後、宮崎大学
農学部フィールドセンター客員教授を経て、現在ニチレイ農業
コンサルタント(海外での野菜栽培指導)。また、10a の畑で
有機野菜栽培を楽しみながら、地域の市民農園で有機野菜栽培
の栽培指導ボランティア活動をしている。趣味は登山、スキー、
魚釣り、絵手紙など。
園芸なんでもQ&A
臣 康雄
園芸研究家
このコーナーでは、園芸作業中によく感じる疑問点、難しい点、
つまずきやすい点などを中心に、Q&A方式でやさしく解説します。
植物の特性をよく知り、ワンランク上の園芸を目指しましょう。
園芸研究家
太田 周作
京都市都市緑化協会
ガーデニングフォーラム
1941年、高知県室戸市生まれ。京都大学付属古曽部園芸場に
て研修後、大阪市立天王寺公園植物温室に勤務。園芸業、造園
業自営の後、総合園芸商社を経て大阪テクノ・ホルティ園芸専
門学校教授となる。現在は㈶京都市都市緑化協会にて花と緑の
普及員、みどりの相談員に就任。樹木医。緑花文化士。
場
広
会
の
友
2月
53
2009.
2.
はなとやさい
ますが、植え付けや播種の7∼
エダマメを早めに収穫したいので、
ほかの果菜類同様、早まきをし、
ホットキャップで管理しましたが、
発芽しません。どうしてでしょうか?
主な原因は、地温
の不足と水分過多、
または乾燥だと思
われます。エダマメは夏型の
作物で、低温での発芽はどち
らかというとほかの果菜類よ
りも劣ります。また、ホット
キャップを利用するほかの果
菜類の栽培も、直まき栽培よ
は春先の冷たい風を遮り、保温する効
ことが多いようです。ホットキャップ
吸水できなければ、発芽を途中で止め
ます。逆に、乾燥ぎみで種子が十分に
難になるためか土の中で腐ってしまい
りも育苗された苗を定植する
果は確かにありますが、極めて狭い部
てしまいます。
解決策としては、①早めに播種する
∼ 日ぐらい前までにとどめる
②過
湿や過乾にならないように播種後の潅
場合は、露地での安全な播種期より7
的に過湿に弱いようです。種子が吸水
水は適度を心掛け、またキャップ内に
次に土の水分ですが、マメ類は一般
した後も過湿の状態が続くと、呼吸困
芽が難しくなります。
や雨の日が多いと地温が上がらず、発
分を保温するためのものなので、曇り
黒エダマメ‘早生黒頭巾’。コクのある甘みと
黒豆特有の風味が味わえる。播種後78日で収
穫できる早生種。
畑を借りたばかりで、現在育てている植物などは
ありません。春の植え付けや
タネまきの時のために、今の時期に
土づくりをどのようにしたらよいでしょうか?
6・5前後に保つために、
石灰で調整して下準備をしておきます。
に適した
を考えておられるのは素晴
まず、手はじめに土づくり
元肥の量は作る作物によって異なり
てる基本は、我々が健康のために食べ
に施し、土によくなじませておくこと
しっかりと土づくりをすることが、おいしい
作物をつくる第一歩。
らしいことです。野菜を育
物に気を配ることと同じで、根に養分
が大切です。
日前
を供給する土をしっかりとつくること
が基本となります。
植物の根が育ちやすい土と
は、水はけがよく、通気性も
あり、また保水力にも優れ、
さらに養分保持力の高い生物
相の豊かな土だといえます。
そのような土をつくるため
には、落ち葉や稲わら、野草、
野菜くずなどに米ぬか、家畜
たい ひ
の糞尿などを混ぜて積みあげ、
醗酵させた堆肥を十分に施す
ことが大切です。堆肥は土壌
粒子を結びつける働きがあり、
こうしてできた土を団粒構造
の土と呼びます。このような
土は土壌中にすき間が多く、
排水・通気・保水性を高めま
す。
堆肥のおおよその施用量は、
1㎡当たり3∼4㎏ です。ま
た、土壌の酸度を植物の生育
透明マルチを用いて地温不足を
防ぐ ③別の暖かい所で催芽処
理︵芽出し︶を行い、少し白い
根が見えた種子を播種する、な
いずれにしても、春先は天候
どの方法が考えられます。
が不安定です。無理な早まきは
せず、晴天続きの日を選んで播
種するように心掛けましょう。
2009.
2.
はなとやさい
54
10
堆肥には、土づくり資材として土壌の性質を
改善して地力を高める効果があるとともに、
作物に養分を供給する肥料としての効果もあ
る。
10
エダマメは過湿にも乾燥にも弱いので注意
が必要。また、地温不足にならないように
管理することも発芽を促すためにとても重
要。
pH