2005 年1月 10 日(月)―2004 年 1 月 14 日(金) 総括 「成長率では当局は為替介入に動かず」 需給「需給とファンダメンタルズと日常」 テクニカル 「円独歩高への不安」 当局 「続 2 月G−7は面白い」 ID為替「スワップ狙いの基本」 横浜湘南便り 「日本大通り」 ドル円 103-106 ユーロ円 135−138 FX湘南IG (FSIG) 代表 野村雅道 (事務所 田園、ベイサイド、伊豆稲取) 中京大学講師 日経インデックス(2000 年=100) 1 月 7 日東京引け 前回 1 月 5 日からの変 化 円 96.2 やや弱し ドル 91.0 強し ユーロ 126.4 弱し ドルインデックス IN N YBOT 83.61 強し CRB 278.86 弱し 日経平均ドルベース 1 月 7 日東京引 け 109.27 IMM円投機筋 1 月 4 日 22720(前週比−5033) 1.(今週の予定) 10(月) 独 経常収支、 11(火) 日 景気動向指数、独 ZEW景況指数 12(水) 日 マネーサプライ、米 貿易収支 13(木) 日 国際収支、ECB理事会、米 小売売上 14(金) 日 機械受注、景気ウオッチャー指数、鉱工業生産確報、企業物価指数、 米 PPI、鉱工業生産、設備稼働率 (来週の予定) 17(月) 日 消費動向調査 18(火) 日 日銀政策決定会合米 証券投資収支、NY連銀景況指数、フィラデル フィア連銀総裁講演 19(水) 日 日銀政策決定会合、総裁会見、月報、独 PPI、米 住宅着工、CPI、 地区連銀景況報告 20(木)ユーロ圏 CPI確報、貿易収支、ECB月報、米 景気先行指数、フィラデル フィア連銀景況指数、セントルイス連銀総裁講演、 21(金)日 第三次産業活動指数、米 ミシガン大消費者信頼感指数 2.総括 「成長率では当局は為替介入に動かず」 ドル上昇の原因として米国経済の強さ、金利引上げ予想などが上げられているが、 実際そのようなものにかかわらず歴史的に今までドルは上下してきた。やはり相場 はドル供給過多の需給によって動き、たまに投機筋がドルを売りすぎて戻すこともあ るが極めて短命でドルの長期下落トレンドを揺るがしたことはない。 ファンダメンタルズで言うなら米が日欧を成長率では殆ど常に上回っている。 ファンダメンタルズと為替相場には関連性は薄いが、相場の予想には外れても外れ ても必ず何の疑いもなく取り入れられている。 ただ当局にとっては米国が 3%超、日欧が 1%超の成長率が同時に確保されてい ればその時の為替相場の水準は是認されるのだろう。次回の 2 月G−7も同様な結 果になりそうだ。シャンシャン総会で終わる可能性もあろう。 日本経済は減速している。景気動向指数、短観、景気判断でも弱い。それが貿易 収支にどう響くかだ。従来は不景気なら購買力が衰え輸出に頼り黒字拡大し不況 下の円高となっていた。今週は貿易週間であり、米国と日本の貿易収支が発表され る。日本の 11 月貿易統計では原油価格の上昇で黒字が 39%ほど縮小していたの で 11 月経常黒字も幾分か減少するであろう。輸入が急増しているが輸出も増加し 続けており落ち込んでいるわけではない。 米国はまたもや月間 500 億ドル超の赤字が出ることとなろう。かつては月間 200 億 ドルを超えればドルが大きく売り込まれる時もあったが最近は月間 500 億ドルという 大きな赤字でも市場は反応薄な時もあるが、確実にドルの需給には響いてくる。 今週はドイツの経常収支も発表される。市場のうわべの動きはともかく、冷静に需 給をチェックしておきたい。 3.需給 「需給とファンダメンタルズと日常」 さて 1 月は過去 10 年ほどのデータでは円安になることが多いと前回のべたが、幾 分かは 7 月と同様、ボーナス見合いの外債投資などが出る影響もあろう。そのような 季節的な需給でのドル上昇であるが相場観をいたずらに変えるのは良くないだろ う。 昨年の 7 月もそのような季節的な需給でドルが 112 円程度に盛り返した時に急に 日本の財政赤字を引き出して 115 円説、120 円説と出たが、結局はドルが下がりや すい 8 月には逆襲にあった。相場が上がれば上げの相場観に、下がれば下げの相 場観にいろいろファンダメンタルズの材料を探してくる。また都合の良い強弱材料 は常にある。 しかし相場が上下するのはファンダメンタルズにかかわらない、極めて生活的な、 季節的な、日常しなければならない取引からくるものも多い。例えば外債の利金払 いの円転で円が強くなっても別にファンダメンタルズが良くなっているのでもない。 翌月そのような支払いがなくて円安になってもファンダメンタルズが悪くなっている のでもない。しかし利金の受取は年間 8 兆円にもなる、為替相場にとっては貿易収 支と同じように重要な要素だ。 為替相場はおおげさにファンダメンタルズと考えるより、もっと身近な子供への仕 送りなどのような日常の資金の受払いが影響する。つまらないかもしれないが身近 で親しみもある。 さて上述したように貿易収支の輸入の急増が気になるところである。また外国人の 日本株買いはまだ昨年と同じようなペースであり円買い要因のままだ。 4 テクニカル 「円独歩高への不安」 全体的にユーロが弱くなった。次いでドルの強さである。貿易を反映する日経通 貨インデックスではユーロが年末より 2.4 ポイント下落、ドルが 1.3 ポイント上昇、円 は 0.15 ポイントだけ上昇、殆ど変わっていないとも言える。ドルやユーロは自国通貨 で貿易が出来るので為替取引は投機的な要素が強くなる。従って上昇しても下落 しても円の動きよりは早い。従ってドル下げではクロス円が円安推移し、ドル上げで はクロス円が円高推移してしまう。年初の一見ドル上昇の動きは日本の貿易業者の 収益には全体的には何も影響していないことがわかる。 プラザ合意以降ユーロ発足後まで続いたドルの上昇でも下落でも引き起こされる クロス円の円独歩高の展開にはならなくなったのは幸いである。 出来高で見ればやはり 12 月 10 日に 150 億ドルの大商いが 106 円台で出たとこ ろが輸出に動意が出たのであるが、その後戻らないので、しぶしぶ 103 円 50 銭以 上に注文を出していた輸出の売りに 1 月 5,6 日にヒットした。両日ともに 100 億ドル を越える商いとなった。ドルの買い手が損きりではなくドルロングポジションテークな らそれを一斉に利食う時はドルのビッドが希薄になる恐れがある。ドル円ではドル上 げは遅く、下げは一気呵成となるかもしれない。注意したい。 IMMのポジションを見ればユーロの下落は投機筋の巻き戻しを表している。11 月 は 5 万枚超のユーロロングが一時はショートにまでなって 1 万枚程度のロングに戻し ている。円はさほど大きな動きはなく 2 万枚程度のロングのままである。ユーロと円 では起こっていることが違うようだ。 一目均衡表ではクロス円が雲の下に落ちるペアも多くなり円独歩高の兆しも出て きた。投機筋の影響よりも円の需給が昨年と変わらず円需要の強いままだからだろ う。 5.リスク 「長引くイラク、パレスチナ、日中問題」 北朝鮮暴発(北朝鮮開国?)、テロ激化東京へ、イラン、地震、ビンラディン現る、 日本物格上げ、米国物格下げ、貿易戦争(FTA)、米軍イラク撤退 6.当局 「続 2 月G−7は面白い」 実弾は出ないが口先介入は続く。 シラク大統領の「行過ぎたドル安」に続き、スノ ー財務長官はまたもや「強いドル」と言い切った。口先介入が多くなればなるほど、 2 月のG−7の声明に興味が湧いてくる。いつも通りの「ファンダメンタルズに合致し た」「必要に応じてなら」程度の文言なら期待が高まっていれば失望のドル売りが出 よう。久々に注目が集まるG−7になりそうだ。 また米国の 2006 年会計年度は実質マイナス予算となりそうだ。気持ちは財政赤 字削減に向かっているようだ。1985 年プラザ合意にも米国の財政赤字削減が声明 に記載された。10 年以上かかって米国は一度クリントン大統領当時財政黒字を達 成した経験がある。日本もプラザ合意では財政赤字の削減目標があったがこれは 悪化の一途を辿ってきただけだった。(日本の国会はG−7の声明など関与しない ようだ) 今回の声明に為替の文言以外に米国財政赤字削減があれば効果は大き い。 7.ID為替 「スワップ狙いの基本」 為替で長期投資ならスワップ金利を得る方法がある。 ドル円では金利差が小さく 魅力はないが、豪ドル円なら 5%、NZ円なら6%、フォリント円なら 13%程度を得る ことが出来る。 想定元本が証拠金の 2 倍ならそれぞれ、10%、12%、26%になる。 もちろん 10 倍にすれば 50%、60%、130%の金利差益が得られるがそれは為替の ボラティリティーとも相談しながらポジションを操作しなければならない。まずは 2,3 倍程度ならあまりリスクはないだろう。 しかし今年は年初から若干のクロス円の円高が進み為替差損が出ているがスワッ プ狙いはもともと為替差益を狙うものではなく、長期的に 5 年とか 10 年持って金利 差益を狙うものだ。(全体的にドル高推移すればクロス円は円高になりがちだ。) 駐車場経営して、土地価格は下落しても駐車場料金は入ってくると思ってもらえ ば良い。しかも駐車場のように空車のリスクはない。 ここ 2 年で言えば例えばNZ円は金利差益に加え望外の為替益を 10 円以上手にし ている。年利回りで言えばスワップ益 6%と為替益 7%合計 13%が証拠金の 1 倍で 得られてきた。2 年おいしい思いをしたわけで、若干の為替損は目をつぶり、長く持 てば持つほど金利差が為替損を補ってくれる。あくまでも長期投資だ。何の見返り もない金投資よりは優れている(ここ数年の金投資はほぼチャラか若干のマイナス であろう)。 しかし一応知識としてはNZ円の最安値は 2000 年の 41 円台、最高値は 1973 年 の 370 円台があることくらいはリスクを取るものの最小限の知識として頭に入れた い。 日経掲載原稿 http://www.nikkei-ad.com/kinyu/saizen/kawase/index.html 内需拡大−規制緩和−市場開放−小政府−財政均衡−自己責任−公明正大 50―超円高−100―円高−150−普通円−200―円安−250−超円安− 「世界一のデフレと物価高の共存が日本の弱点」「国を選ぶ時代」 FX湘南社是 「面白く正しく」 FSIG FX湘南投資グループ 代表 野村雅道 中京大学講師 (事務所 横浜田園、横浜ベイサイド、伊豆稲取) 「付録 *横浜湘南便り*」 「日本大通り」 オフィスのそばに日本大通りがある。みなとみらい線の駅名にもなっている。なか なか洒落た通りだが、最初は日本大学の校舎があるのかと思ったが、そうではなく 開港当時にこの通りを作り境の東側が外国人居留地、西側が日本人居留地とする ためのものであった。 場所をわかりやすく言えば、横浜スタジアムの 1 塁線をまっすぐ海に伸ばした方向 の通りだ。ボンズくらいの強打者が場外に打って着地点が日本大通りの東ならファ ール、西ならホームランだ。サンフランシスコベルパークでの場外ホームランなら海 に届くが横浜はそれはちょっと難しい。 慶応 2 年の豚屋火事がきっかけで居留地と日本人街に区画整理を行い延焼を防 ぐ目的の通りで英国人ブラントンの設計で誕生した。やはり横浜で洒落たものは山 下公園なども含め外国人がその設計にかかわっている。日本人は公園や樹木の繁 った大通りなど癒しにはなっても経済的でないものを作る余裕はないのだろう。 いちょう並木があり、いつも 30 人くらいが風景をスケッチしている。通りの建物もレ トロである。 岩亀楼の灯篭やブラントンの胸像のある横浜公園、横浜地裁(旧ニチ メン横浜支店)、三井物産横浜支店、日東倉庫、横浜情報文化センター(旧横浜商 工奨励館)、ユーラシア文化館(旧横浜市外電話局)、開港資料館(旧英国領事 館)、キングの愛称の塔がある県庁、ジャックの愛称の塔があり私のオフィスから見 えるので時計変わりに使っている時計台がある開港記念館などの明治から昭和初 期の建造物が多い。 散策しながら、また通りには外にデッキを配したカフェもあり、欧風気分が味わえる。 特に「LUNCHAN AVENUE」という無国籍ダイニングは国の重要文化財に指 定されている昭和初期に建てられた旧横浜商工奨励館にあり、天井の高い落ち着 いた雰囲気だ。
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