2004 年 10 月 21 日(木)―2004 年 10 月 22 日(金) ファンダメンタルズ 「ニュースが国際収支のどの勘定を動かすか」 需給「11 月のクセ」 テクニカル 「現在のドル下げ基調VS11 月のクセ」 当局 「NZ初泣き」「中国オレ流」」 ID為替 「娯楽も為替もいろいろ」 横浜湘南便り「この田舎もの! 仙台その 2」 ドル円 107-110 ユーロ円 135-138 FX湘南IG (FSIG) 代表 野村雅道 中京大学講師 日経インデックス(2000 年=100) 10 月 20 日東京引け 前回 10 月 15 日からの変 化 円 94.8 強し ドル 93.2 やや弱し ユーロ 123.1 強し ドルインデックス IN NY BOT 86.35 弱し CRB 287.62 強し 日経平均ドルベース 10 月 18 日東京引け 100.16 IMM円投機筋 10 月 12 日-6387(前週比+8109) 1.今週の予定 18(月) 日銀支店長会議(総裁あいさつ)、ユーロ圏消費者物価指数 19(火)ユーロ圏貿易収支、鉱工業生産、米CPI、住宅着工、グリーンスパン議長講 演 20(水) 21(木) 米 失業保険申請者数、景気先行指数、フィラデルフィア連銀景況指数 22(金)日 第三次産業活動指数、 (来週の予定) 25(月)独 IFO 26(火)日 企業物価、ユーロ圏経常収支、米 消費者信頼感指数 27(水) 豪3QCPI、米耐久財受注、ベージュブック 28(木) 日 鉱工業生産、小売店販売額、NZ政策金利、貿易収支、米失業保険 申請者数 29(金) 日 日銀金融政策決定会合、雇用統計、CPI、ユーロ圏 CPI、米3QGD P、ミシガン大消費者信頼感指数、シカゴ購買部協会景気指数 2.ファンダメンタルズ 「ニュースが国際収支のどの勘定を動かすか」 原油高騰も最近の日本株下げも市場の期待通り円安にならず円高となった。 漸くオーソドックスなドル円市場に戻ってきた。経常黒字を資本赤字でまかなえず、 補助手段としての円売り介入もなければ、ここ数日の円高展開が適切であろう。しかし 急に円高が劇的に進むわけでもなく徐々にであろう。為替需給論ではよく理解できな い原油高騰や日本の財政赤字による円安という説ではドルは上昇しないし、もしそれ でも円安説を信じてドルを買った人はドルの投げを行うので余計な円高の加速がつく。 それが 10 月 8 日の 111 円台から 109 円台への円高であり、10 月 19 日の 109 円から 108 円への円高であった。まさにコツコツあげてドスーンと下げる、日本の伝統的パタ ーンだ。 その円高の理由が原油が 54 ドルから 52 ドルへ下落したことだと笑うに笑えない為 替解説もあった(昨日は原油が戻しているのに円高は止まっていない)。原油輸入は 長期のものが多く、さらには長期為替予約もある。加工貿易の日本としては原油が高 騰すれば製品価格に付加して輸出しよう。貿易収支はそれほど変化しない。また国内 景気が原油高騰で悪くなればそれこそ海外製品を買う余裕もなくなる。卑近な例では OLもブランドを買わなくなる。よって円高となる。これが経済理論であり、ISバランス論 であろう。余計なお金がないと円安にならない。 原油高騰即円安はあまりにも知恵がない。 原油高騰、日本の財政赤字、米国の財政赤字、テロ、大統領選挙、北朝鮮問題な どいろいろハデなニュースが出るが、それが国際収支表のどの収支の勘定がどう動く のかを考えるのが為替需給による相場観である。ドンパチでドルを売ったり買ったりし ても良いがあくまでも短時間の勝負にすべきだろう。国際収支に影響せず気分だけの ニュースならあまり長くつきあうべきものではない。 たいして複雑な考え方ではない。例えば日本企業Aが米国から撤退ならドルを売る のか買うのかくらいは考えるようにしたい。資産が有り余って撤退するならドル売りだが、 撤退するのは不採算(借入金の返済なども)が多く、日本本社がその補填でドルを送 金するすなわちドル買いが多い。) ある大手A建設会社が米国から撤退でドル売り の噂が立ったがそこへ融資している担当者は疑いもなく「結構ドル買いが出るよ」と教 えてくれたものだ。日本へ送金出来るほど儲かっていれば撤退しない。 3.需給 「11 月のクセ」 というわけで前項で円高推移を肯定したが、さはさりながら月特有の相場のクセも ある。1 年中、毎月毎月、毎日毎日ドルが下がるわけでもなく、季節的なクセがある。 せっかくセンチメントもいろいろな理由をつけて円高へ転換したことに水を差すよう だが、11 月は結構円安展開が多い。ここ 10 年間ではドル円は 8 勝 2 敗、豪ドル円、 NZ円も 8 勝 2 敗。ユーロ円は過去 5 年で 4 勝 1 敗であり、円全面安であった。昨年 9 月からの円高の展開でも 11 月は健闘し下ヒゲの長い寄り引き同事に近い陰線で終わ っていた。 これで終われば単純なチャート論や占いなので理由をつけねばならない。11 月は 年末 12 月の海外決算へ向けてのリパトリが起きる。すなわちドル買いや欧州通貨買 い、さらに豪ドル、NZ、カナダなどの買いも出る。円は決算時期ではないので蚊帳の 外。 日本では冬のボーナスへ向けた外債投資が出始める。11 月半ばは 2,5,8 月同様 外国債券の利金払いの円転があるが 11 月総合では円売りが上回るのであろう。 クロス円、特に高金利通貨対円が意外に下がらずシビレを切らせている方もいよう が、待っても買えないときは、この現状レベルで購入すべきだろう。特に長期保有で証 拠金倍率 2 倍程度の利回り 10%程度を狙いなら為替のレベルにあまりこだわるべきで はない。目的は金利差取得だからだ。 4 テクニカル 「現在のドル下げ基調VS11 月のクセ」 型的には 6 月 24 日 107 円からの上げトレンドラインを 10 月 8 日の下げで下に切 った。もちろん 3 月 31 日の 103 円からの上げトレンドも既に切っている。いつも取り上 げている 2002 年 1 月 135 円からの月足下げトレンドは接触していたが遠くになった。 11 月はやや円安になりやすい(対ドルだけではなくその他通貨に対しても)月だけに ここでその月足トレンドを上に抜かないと当分円高が続こう。そのまま 1 月まで続けば 下げの 2 月に突入する。介入の声も出ず、日本に悪いニュースは円安の需給に結び つかない。生保は為替リスクを負う気もなく必要性もなし。運用もヘッジファンドに任せ るムード。移動平均線は 200 日を除けば短期は下げ基調だ。 ただボリンジャーバンドの下限をやや抜け、一目均衡表の雲の下限からの乖離が 大きい。それは 10 年のデータが 11 月は円安になりやすいことを物語ってるのだろうか。 乖離している部分は戻すという 11 月のデータからの示唆だろうか。 5.リスク 「長引くイラク、パレスチナ、日中問題」 北朝鮮暴発(北朝鮮開国?)、テロ激化東京へ、イラン、地震、ビンラディン現る、 日本物格上げ、米国物格下げ、貿易戦争(FTA) 6.当局 「NZ初泣き」「中国オレ流」 「NZ」 ついにNZの泣きが出た。日本のみならず低金利通貨キャリートレーディングの 投資通貨であるNZに泣きが出た。ニュージーランドのカレン財務相が現在のNZレベ ルに不満を漏らした。しかしすぐさま「商品相場高と相殺出来る」とも述べた。ちょっと 泣いて反応を見たといったところだろう。インフレのニュージーランドは通貨高が好まし い。昔の世界中インフレだらけの時と違って程よいインフレのニュージランドは希少価 値がある。市場はウソ泣きと見て様子見となったが、その後反転NZは 0.69 のせとなっ た。 日本と違い介入権限は財務省ではなく中銀にあることから、中銀が同様の発言 や金利引下げ、介入示唆でもすれば注意し始めたい。しかしそれは短期為替売買で あり、長期NZ保有はそのまま維持だろう。金利はそれほど大きくは下がらないからだ。 「中国人民元」 オレ流というか中国流で簡単には変動制にも応じず、金利も上げないようだ。22 日には3QGDPの発表があり、8-9%成長が見込まれている。いろいろ貧富の差など 複雑な問題が内にあり、また米国には貿易大黒字だがトータルすれば不均衡はない からだ。 日本に対しては赤字だし、昨日のニュースでは日本はJR東日本の「はやて」系を 480 両輸出しさらに日本への赤字は増える。人民元を切り上げれば日本は大儲けす るのも米国も放ってはおけないだろう。中国の「オレ流」は日本の「ポチ流」を見ている だけにすがすがしく面白い。 7.ID為替 「娯楽も為替もいろいろ」 ポストシーズンも佳境に入ってきた。ウェークフィールドのような捕手も取れない変化 球を一度見てみたいものだ。 我々日本人もNHK衛星放送やスカパーで米国ファンと同様に同時に楽しめる。 日本時間朝 9 時からTVでエンジョイ出来る。ニューヨーク、ボストン時間で夜 8 時か らだ。メジャーリーグだけでなく米国ではミュージカルやオペラ、バレーなども夜 8 時か ら幕開けだ。5 時に会社を出て帰宅し軽く食事をとり家族で出かけるには 8 時開始が 適当なのであろう。日本では別に 8 時開始にしたところで 1 時間以上も通勤に時間を かける人にはそれは出来ない。また 5 時に会社を出ること自体、就業時間が 9 時―5 時になっていようが極めて難しく異常なほどの社内気配りのエネルギーが必要であろ う。毎週は出来ない。 土地それぞれの事情、国民性でエンターテインメントの接し方が違う。為替取引も 違う。東京のような動かない市場になれてニューヨークへ転勤するとその動きの激しさ に圧倒される。逆にニューヨークから東京に来た外人ディーラーはその力が空回りし てしまう。 東京で動かず、ニューヨークで動く為替相場の要因はひとえにその自国通貨建て 貿易比率が日本が輸出 40%、輸入 20%、米国は 90%、75%(ドイツは 70%、50%) だからだ。 東京の人は輸出の 60%、輸入の 80%が外貨でありそのカバー取引に忙しく、市場 は上下ともその注文で縛られてしまう。ニューヨークは殆どの貿易がドルで行われるの で為替市場はその意味から言えば不要だ。すなわち市場には売り買いの注文はない。 市場でやる人は一攫千金を狙う人ばかりで、力と力の勝負あり、また何か重大なニュ ースが出れば一斉にその方向へ動き出し、それを抑える冷やし玉となる実需の注文 が無く自然と相場は大きく動いてしまう。 為替もエンターテインメントも国それぞれ。平日にエンターテイン出来ない日本人は 週末に一斉に動きだす。これはニューヨークの為替市場のようだ。為替市場も国それ ぞれ、自分の個性にあった市場を選ぶべきだ。静かな落ち着いた市場か、台風直撃 型市場か。 日経掲載原稿 http://www.nikkei-ad.com/kinyu/saizen/kawase/index.html 内需拡大−規制緩和−市場開放−小政府−財政均衡−自己責任−公明正大 50―超円高−100―円高−150−普通円−200―円安−250−超円安− 「世界一のデフレと物価高の共存が日本の弱点」「国を選ぶ時代」 FX湘南社是 「面白く正しく」 FSIG FX湘南投資グループ 代表 野村雅道 中京大学講師 「付録 *横浜湘南便り*」 ( この田舎もの! 仙台その 2) 仙台と聞くと二つの唄を思い出す。「広瀬川流れる岸辺、瀬音ゆかしき杜の都」の 青葉城恋唄と「松島のサーヨー瑞厳寺ほどーの寺はないとーエ」の斉太郎節だ。 青葉城恋唄の作曲者のさとう宗幸さんは東京で仕事があって遅くなってもけっして 東京に泊まることなく仙台へ帰ってくるほど仙台を愛していると聞いていた。その青葉 通りや定禅寺通りのけやき並木を歩くとすがすがしい。気持ちが癒され、それは広瀬 川の早瀬で佳境に入る。青葉城址で緑はさらに深まる。そこにある東北大学はさぞか し環境の良い学び舎なのだろう。 川は澄み切りあゆが泳ぐ。都会の雑踏の中で眠るよりも、無理してでも帰りたくなる さとうさんの気持ちが理解出来た。けやき通りには自転車で行き交う人が多い。皆近く に住んでいるのだろう(職住接近)。秋保温泉や作並温泉も仙台市内にあることには 驚いた。こじんまりとした杜の都とその周りの広大な自然が魅力だ。これからは紅葉 だ。 次に松島へ行く。仙石線(仙台―石巻)の仙台駅で列車を待っていた。列車が来た が私の前だけドアーが開かない。他のドアーは開いている。故障か。女子高生が「ウ オス、ウオス」と小さな声で話している。仙台でも女性に挨拶されているのだろうかと思 ったが、勘違い。ドアーは電車の外についているボタンを押さなければ開かないのだ。 「ウオス」と挨拶してくれたのではなく「オヤジ押せよ」の「オス」であった。 降りる時もボタンを押さないとドアーは開かない。寒い時に不要のドアーまで開けて 寒い外気を入れない工夫だった。そう言えば昔、神奈川の相模線はすべて手動ドア だった気がする。その時も困って立ち止まってしまった。今もそうだろうか。 「オス」と言った女子高生は心の中で「この田舎もんが」あるいは「この都会もんが」と 思ったのだろう。 程なく松島へ着いた。日本三景の名に違わず、箱庭のような島々と明鏡止水と言え るほどの海の静けさであったが何か私には合わない。波のない海は慣れていないし、 入り組んでいて水平線が見えない。海へ行くのは波の音の癒しと水平線が見える広 大さを求めていたかもしれない。帰ってきて横浜の海へ行ったときのほうがホッとした。 続いて伊達政宗の瑞厳寺。別にこのお寺だけではないが、お寺の宗教性よりもそ の権力の象徴のような威厳を感じた。 以上意外であったが仙台は海側より街側と山側の方がくつろげた。やはり行って見 ないとわからない。 また仙台駅には今年出来た「牛タン通り」と「寿司通り」がある。発車時刻まで牛タ ン、カキ、寿司と名物を堪能出来た。体重プラス 1.5 キロで帰浜。
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