特集 鉄道貨物の近況

apan
Railway & Transport Review
第二十六号(2001年2月)
貨物鉄道の未来は明るいか
論説
特別寄稿
ヨーロッパ鉄道の現状と諸課題
フィリペ・ドメルグ
エミール・キネ
フランス政府鉄道輸送審議会
フランス国立ポン・ゼ・ショセ工科大学
教授
EU指令91/440号に端的に示されたヨーロッパにおける鉄道自由化政策は、鉄道
が恒常的に市場を失いつつあり、その鉄道の経営悪化が各国の財政に大きな負
担となっているという共通の認識に基いている。しかし、各加盟国がとった対
策は著しく異なり、英国、ドイツとスウェーデン、フランスの鉄道改革は顕著な
対照をなしている。フランスの専門家二人が欧州鉄道改革について簡潔に概説
し、これまでに得られた成果について評価する。
特集 鉄道貨物の近況
1987年に発足したJR貨物は、最初の6年間好成績を残したが、その後は長引く不
況の影響もあって赤字に悩まされている。鉄道貨物を含む流通業界は、他の産
業部門と同様に、大きな構造変革の波に直面しており、J R 貨物は当面輸送サー
ビスの改善に努力を傾けている。今後の大きな課題として、産業界のサプライ・
チェーン管理に対応した総合物流サービスの提供、販売能力の向上、コストの
削減などが挙げられる。
日本貨物鉄道の現状と課題
岩沙 克次
日本貨物鉄道株式会社
将来を問われる欧州の鉄道貨物
フランソワ・バティス
長らく続いた輸送量減少の末に、
2 0 0 0 年のヨーロッパの鉄道貨物はかなりの好
成績を記録した。主要な国際輸送ルートにおける鉄道相互間の協力関係の改
善、鉄道貨物部門の国境を越えた合併、道路輸送から鉄道への転移促進のため
の立法・課税措置など、注目すべき変化が進行しつつある。完全自由化をめぐっ
てなお意見の対立があるが、
EU指令91/440EECが出て以来10年目にして、よう
やく新しい未来の到来を告げる兆候が見えてきたと言える。
交通ジャーナリスト
アルプス横断交通に関するスイスと
オーストリアの政策
リオネル・クレマン
フロランス・ダルモン
ISIS社
コフィルト社
英仏海峡トンネル
ジョン・ノールトン
250年にわたる夢を叶えて1994年に開通した英仏海峡トンネルは、1996年11月
に発生した貨物シャトル列車の火災のため大損害を受けたが、その後輸送量は
順調に伸びており、中でも旅客のような季節波動の少ないトラックのシャトル
輸送は、トンネルの経営に大きく寄与している。1999年12月、
ユーロトンネル社
は英仏両国の指示により、将来の第二トンネルの可能性について調査報告書を
提出した。
ユーロトンネル
市場経済に対応するポーランドの鉄道貨物
マリアン・ウゥカシャク
ポーランド国鉄
ハンガリーの鉄道貨物輸送近代化
フェンダル・ブリアン
スイスとオーストリアはアルプス横断交通から生じる無数の問題に悩まされ
ている。かたやE U 非加盟国として、他方はE U 加盟国として、両国はともに自動
車交通を抑制し鉄道輸送を奨励する政策を採っている。フランス人著者二人
が、重量トラックへの課税や道路使用料、サン・ゴタール、レッチベルク、ブレン
ナー各峠の新鉄道トンネル建設計画など、アルプス横断交通に関する両国の政
策を詳細に紹介する。
ヨーロッパ最大の貨物鉄道の一つであるポーランド国鉄(P K P )は、ポーランド
がEU加盟を目指して市場経済への移行を深め道路輸送が急増する中で、極めて
深刻な事態に直面している。
PKPの経営改革は多岐にわたり、不採算の旅客輸送
に対する内部補助の削減、不要資産の売却、職員数の削減、貨物営業のための新
組織の導入などを含む。
ハンガリーの鉄道貨物は、市場経済への移行期にほとんど半減した。失われた
市場をいくらかでも取り戻そうと意気込むハンガリー国鉄(MÁV)は、新型貨車
の導入によって新しい需要に対応するサービス改善をはかろうとしている。
パーカニー社
もう一つの視角から 大切な宝物
黄 永鎮
韓国鉄道研究院
1 9 9 0 年代の前半に韓国から日本に留学した筆者は、困難を乗り越えて日本語を
修得し、早稲田大学に学んで数多くの得難い体験と親しい友人たちを得た。
今日の鉄道技術13 新しい軌道系交通機関
根橋 輝
海外鉄道技術協力協会
最新の鉄道技術を紹介する連載の最終回。モノレール、新交通システム、リニア
モーター地下鉄、FITSなどを紹介する。
トピックス
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写真特集
日本の貨物用機関車
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