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患者に学ぶ~医療者の存在~
 インタビュー内容
今回インタビューにご協力いただいた方のご紹介をさせていただきます。 (順不同)
またお話いただけた内容も一緒に掲載させていただきます。
ご協力いただきました皆様には心から感謝申し上げます。
患者様はこの疾患をどのように受け入れているのでしょう?
将来医療者を目指す私たちは、患者様をどのように支えていけるのでしょうか?
 M. T 様
パーキンソン病を患われている方です。今回は奥様とご一緒にインタビューを
受けてくださいました。
パーキンソン病とは、脳の出す運動の指令がうまく伝わらずスムーズに動けな
くなる病気です。医療は進歩し、一時的に症状を軽減する薬などは開発されて
いますが、根本的に完治することは厳しい疾患です。
[以下インタビュー内容]―――――――――――――――――――――――――――――
1,医療従事者との関わり
・リハビリ関係の人と関わった時の印象は?
奥様
初めてあった理学療法士さんは、すばらしい方でした。まず、アドバイスが的確でした。
初めて保健所で見てもらったときに、主人の身体をみて筋肉の弱いところを徹底的に見て
くれて、どの筋肉をどうしたらよいのかを教えてくださり、感激しました。
そして、先生は一生懸命さ、熱心さが伝わってくる方です。これは、私たちだけでなく、
どの方に対しても同じように熱心で一生懸命でした。ですから、先生のおっしゃることは
何でも素直に入ってきました。そして、
「もし自分の母がパーキンソン病になったら毎日こ
の運動はさせる!」
「まずリハビリ。リハビリしかない!」と言って、先生にリハビリの大
切さを叩き込まれています。ですから、毎日なにがあっても、まずリハビリをしています。
・医療者に対して不満に思ったことはありますか?
奥様
訪問リハビリの作業療法士さんには、少し不満を感じます。ストレッチをするとき、反動
をつけてするのです。これに対して主人は、「おかしいな?本当に作業療法士なのかな?」
と不安に思っているそうです。何か訳があってしているのかもしれませんし、今度聞いて
みます。
患者に学ぶ~医療者の存在~
2,病気の受け入れ方
・14 年前にご主人がパーキンソン病だと診断を受けたとき、どのように感じましたか?
奥様
まず、主人がパーキンソン病だと初めて分かったとき、正直、主人でよかった。と思いま
した。親戚がパーキンソン病だったこともあり、病気のことはしっていました。10 年で寝
たきりになると言われていますが、今は医療も進歩していますし、そうなるとは全く思い
ませんでした。
周りの人で、奥さんの方がパーキンソン病になっているところは本当に大変そうでした。
今は家事のできる男の人は多いですが、この年代では家事はすべて奥さんがやっていると
ころが多いので、奥さんが動けなくなるとご主人の負担がすごく大きくなります。そのこ
とを思ったら、本当に、パーキンソン病にかかったのが主人でよかったと思います。
・すぐに病気を受け入れる覚悟はできましたか?
奥様
私はすぐにできました。奥さんが落ち込んで鬱になってしまう話も聞いたことがあります
が、私はポジティブな性格なので、主人は何も言いませんけど、その点では主人も助かっ
ていると思います。
・病気と向き合う中で、大変だったこと、嬉しかったことは?
奥様
私も主人もスキーが趣味で、毎年行っていたんですけど、パーキンソン病になり、もうで
きないと思い、道具を全部捨てました。あるとき、スキーをさせてみたところ、驚くこと
に、普通に滑ることができるのです。こけてしまったら、自分で立つことはできませんが、
滑る分には全く問題はありませんでした。それから、またスキー道具を買いそろえて、3~4
年くらいは孫と行くことができてよかったと思います。
ここ最近は動きが悪くなって、スキーはできません。車も運転できなくなりました。二人
で、車で日本全国回ろうとしてたんですけど、あと宮城県で全制覇なんです。車は運転で
きないですけど、機会があれば行きたいです。
3.医療従事者を目指す学生へのメッセージ
ご本人
人の痛みが分かる人になってほしい。患者の本当の姿をみてほしい。医者に見てもらう
時は、患者は最高の状態でいく。最高の状態を見て判断するのではなく、最低の状態をわ
かってほしい。今、患者はどのような状態なのか、しっかり理解してほしい。
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 N. K 様
先天性の血友病を持っておられる方です。
血友病とは血が止まりにくい疾患で、特に関節で出血をきたしやすく、痛みが
強く残ります。自己注射で血液が凝固する血液製剤という薬ができるまでは、
出血が起きたら痛みに耐えながら、止まるのを待つしかなかった病気です。
[以下インタビュー内容]―――――――――――――――――――――――――――――
1.医療従事者との関わり
・理学療法士との関わりで何か印象に残っていることはありますか?
15,6 年前に血友病に効くリハビリがあると効き、ある病院に通うことになった。血友病
は血が止まりにくい疾患で、特に関節で出血をきたしやすい。最初はきつく抑えられたら
出血しないか不安だったが、そこで出会った理学療法士の方は、触り方がとてもソフトで
丁寧だった。言葉がけも優しく的確で、間の空け方などとても印象が良く、信頼すること
ができた。確実にやってもらっていることを、肌で感じることができた。実際、そのリハ
ビリを行うことで出血が少なくなった。
しかし、その理学療法士の方が異動する事になってしまい、新しい理学療法士に変わった。
新しい理学療法士の方も同じことをするのだが、触り方が全然違い、雑で痛いし、自分で
もできるのではないかとも思った。理学療法士が変わったことにより、リハビリをやめる
ことにした。
・他の医療職種との関わりの中での印象を教えてください。
ある皮膚科で・・・
普通皮膚科行ったらまず体見ますよね?でも体を見ないし、触りもしないのに医師は処方
箋を書いた。もうその病院には行かなくなった。
またある病院では・・・
今、パソコンにデータを打つ病院が多い。その人はパソコンだけを眺め、患者がいるのに
データだけを見ている。目を見て話してくれないなど、これらの様子は本当に自分を見て
くれているのか?本当に自分のことを想ってくれているのか?という気持ちになる。一生
懸命行い、誠意を持って患者と接してほしい。
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2.抱えておられる疾患について、気持ちの変化のきっかけなど、なにかあり
ましたら教えてください。
血液製剤ができたのは 17 歳頃。1977 年頃。薬ができるまでは内出血の痛みにひたすら
耐えるしかなかった。3 日くらい続く。親戚にも血友病の人がいたが、それでも自分の周り
の人にレッテルを貼られるのがすごく嫌だった。
友の会の存在は知っていた。30 歳くらいのときに病気(膝関節に内出血)がひどくなり、
それがきっかけで友の会に入った。同じ病気の人、同じ境遇の人がいることが精神的にす
ごくホッとした。べったりと依存するのではなく、情報の共有や共感しあうことが大事。
あんなことがあった~、こんなことがあった~。って話すことが大事。聞くことが大事。
今まで気張って生きてきたから。
血友病を持った子供が生まれたときに、ほしい情報が全部ネットで調べられるけども、
自分の子供に注射をしなくてはならなくなってしまう。とても不安である。友の会などに
入って打ち明けることでそういった気持ちを和らげることはできる。そういう方は是非入
ることをお勧めしたい。自分の欲しい情報だけを取る、利用するだけでも友の会の価値は
ある。
・友の会に入ることで患者様は心が休まる。
それでは医療従事者がどのような関わり方をすれば、
患者様に安心を得てもらえるとお考えですか?
一つはしっかり説明をすること。自分の言うことは正しいから信頼しとけ、とかいう姿
勢はあかんと思う。
「今の症状はこういう状態でこういう風な方向に持っていけると思うのですが、どう思い
ますか?」と言う姿勢でなくては。患者からのしょうもない質問でも、しっかり説明して
あげてほしい。患者に質問が出てくるのは当たり前で自分の今の状態がどういうことなの
か不安になる。なんでしんどいんやろとか。
ちょっとしたアドバイスや声かけだけで、印象はだいぶ変わる。
なんでこのリハビリをやるのか、億劫にならずに答えてあげるべき。
患者からしたらなかなか聞きにくい。患者と医療者は立場が違うから。
いろんな考えを持つ患者もいるから、医療者も大変な部分もある。
(しっかりした説明をするためには)医療者と患者様は違う立場だが、同じ目線で話をす
るべき。患者と医療者、医師と看護師、医師と PT。
一緒に考える。なぜここまではできるのに、ここからはできないんだろう。
医療者に従え!の姿勢ではあかん。また、医療者間でもしっかり連携がとれていれば、多
方面からより具体的な的確な説明ができる。
患者に学ぶ~医療者の存在~
・医療者の方信頼関係が築けたな。と感じたエピソードは何かありますか?
28 歳の時に膝を悪くして入院したとき、30 代くらいの医師がすごく丁寧だった。
同じ血友病の患者と話をする機会があった。重篤な症状を持つその患者は医師との懸命な
治療の結果、少しずつ症状が緩解していき、初めて月を見ることができた。その感動を伝
えられた医師がすごく喜んでいた。この医師の感性に触れて、とても良い印象を持ってい
る。
やっぱり共感していただくことが大事。患者も医療者も同じことを感じられたら、患者も
自然と医療者を信頼できるし、医療者側も信頼関係が構築できればモチベーション向上に
つながるのではないか。
お金ではない価値があるものだと思う。やりがい。
・医療者と患者では知識の量も違いますし、立場も違うと思います。
それでも共感に繋げていくにはどのようなことが必要だとお考えですか?
一人の患者にいろんな分野の医療者がいてネットワークを構築して診ていく。
それぞれの分野からそれぞれの意見を出していくべきだが、今はそれがなかなかできない
ように感じる。医療者間にも上下関係が生まれてしまってはうまくいかないのではないか。
それを生み出さないために、謙虚さが大事になってくると思う。患者と医療者、医療者間
でも一つの病気に立ち向かう同士、謙虚さを持って向き合うべき。
連携、チームワーク。そういった部分がちゃんと出来ていれば、総合的に患者を診ること
ができるようになるし、患者との共感を生み出すのではないか。
3.学生へのメッセージ
なぜ PT になったのか、という初心に立ち返って欲しい。
誠意を持って接するとはどういうことなのか。共感していくために必要なものは何か。
障害を持った人とそれを良くするための技術を持った人。共に悩み、共に治療を進めてい
くことの難しさ。
そのために信頼関係を築くことの大切さを考えてほしい。
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 K. M 様
先天性骨形成不全症の方です。
現在大学に通いながら、一人暮らしをされています。
近畿地方を中心に講演活動なども行っておられます。
[以下インタビュー内容]―――――――――――――――――――――――――――――
1.医療従事者との関わり
・理学療法士と関わる中で、嬉しかったことは何ですか?
理学療法士と関わったのは子供の頃なので、その頃流行していたカードゲームをしたり、
キャッチボールをしたりということが嬉しかった。
・理学療法士と関わる中で、嫌だったことは何ですか?
骨が折れやすいため、転倒への恐怖から歩行訓練などの言わば、無理やりやらされるリ
ハビリ自体が嫌だった。
2.学生へのメッセージ
障害について考えるときには 2 つの考え方がある。それは医学モデルと社会モデル。
医学モデル
障害は患者の中にあり、その障害を治さなければならないという医療者側の考え方。
社会モデル
障害は患者の中ではなく、社会の中にあるという考え方。例えば、道に段差があり
車椅子利用者が通れない場合、問題は車椅子利用者にあるのではなく、段差にある。
医学の発展のためには、医学モデルの考え方は絶対に捨ててはならない。しかし、患
者の疾患を治さなければならないという気持ちだけでは、患者側にはそれが自分を否定さ
れていると感じてしまうことがある。そのため、障害は患者の中にあるのではないという
社会モデルの考え方も尊重してほしい。
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 M. N 様
35年前、関節リウマチと診断されたそうです。平成 21 年に左肘の、平成 24 年に
左膝の人工関節置換術という手術を受けられました。
パソコンのインストラクターの資格もとられ、ホームページを作る仕事をされてい
ます。
関節リウマチとは、関節が炎症を起こし、腫れて激しい痛みを伴います。進行する
と関節としての機能が損なわれてしまい、変形を起こしてしまう病気で、悪くなる
ことはあっても良くなることはないそうです。
[以下インタビュー内容]―――――――――――――――――――――――――――――
1.医療従事者との関わり
・PTと関わって嬉しかったことは何ですか?
一番初めに「どうなりたいですか?」と聞いてくれたこと。 それに対して、手術したと
わかる歩き方をしたくないという思いから、 「きれいに歩けるようになりたい」と答えた
ところ、そうなれるように一生懸命サポートしてくれた。それで誠意が伝わってきて信頼
できた。 また、リハビリのときに「良くできてますね!」や「前より進んでますね」とい
った、前進している言葉が嬉しく、頑張ろうと思えた。
・看護師と関わって嬉しかったことは何ですか?
自己注射をすることになったとき、忙しいのに何度も教えてくれた。
そのとき、
「初めて注射打つんだから不安なのは当たり前でしょー?」と言ってくれてすご
く安心できたし、“ありがとう”と思った。
・医療者と関わって嫌だったことは何ですか?
膝の手術後、朝は関節が痛むようになり、朝食を食堂で食べたくても行けなかった。その
ことをPTに告げ、副看護婦長に伝えてもらったとともにカルテにも書いてもらった。し
かし、副看護婦長は「なんで食堂に行かへんの?」とかなり冷たく言ってきた。 それがし
たくてもできないということはPTがちゃんと伝えていたし、カルテにも書いていたにも
関わらず、彼女の態度は直らなかった。
彼女は患者を甘やかさず、厳しく言えるのを良さに持っている人。それはとてもいいこと
だし、その性格は保つべきだと思う、でも、それは患者がどういう病状であるかを把握し
てからにしてほしかった。それは彼女の課題だと思う。
患者に学ぶ~医療者の存在~
2.抱えておられる疾患について、気持ちの変化のきっかけなど、なにか
ございましたら教えてください。
特に、これといったきっかけはない。
35 年前に発症当初は、ひどくショックだった。
しかしある時、ふっきれて
「もう治らないのなら病気と友達になるしかない、それは悪友であるかもしれないし、腐
れ縁であるかもしれないけれど」と思うようになった。
のちに、ホームページを始めるようになり、そこで同じ病気の人と出会い、他人の元気の
出るきっかけになれたことに「自分はそういう役目があるんや」と喜びを感じた。
3.学生へのメッセージ
“PTになろう”と思ってる時点で、優しい気持ちはあると思う。それを伝えるのは
優しい言葉がけ。その言葉で患者は頑張れる。
リハビリ後の経過を担うのはPTにかかっているといっても過言ではないと思う。だから、
その認識を持って頑張ってほしい。
患者に学ぶ~医療者の存在~
 A.W 様
他2名
脊柱靱帯骨化症をお持ちの方々です。今回のインタビューには 3 名様の方々に
ご協力いただきました。入院されていた頃に経験された医療者への印象やその
ときの心情などをお話していただきました。
A.W 様は介護職に携わっておられましたので、医療者側からの目線でも医療、
リハビリとは何か、人を支えることがどういうことなのか、といったことを考
えることの重要性もお話いただきました。
骨化症とは、脊椎に関る靭帯が骨化していく疾患です。症状として最初は首筋
などにシコリ・痛み・しびれがあり、徐々に症状の範囲が拡がり、運動障害な
どが出現してきます。次第に神経障害が強くなります。
[以下インタビュー内容]―――――――――――――――――――――――――――――
1.医療者との関わりの中で、何か感じたことはありますか?
・病棟を移動するとき、看護師同士の会話の中で「勝手に連れて行っといて」というや
り取りがされていた。患者に対する内容にも関わらずそれを作業のように扱う態度に
憤りを感じた。
また、この病気に対しての知識が浅いころなので不安を抱えていた。ある朝の体調管
理時に、担当看護師に対していくつか質問をしたところ邪険に扱われた。そのことに
対して私自身に病院側からのフォローもなく、強い憤りを感じた。
・入院先の PT は患者の目線に立ち、わかり易い説明の仕方で安心しながらリハビリに励
むことができた。なぜこのリハビリをするのか、理由をはっきり述べてくれているか
ら不安もなかった。一生懸命さが伝わってきた。
不快に感じたこととしては、医者に対して質問しているときに、時間がないから、と
言われたこと。診察を受けたときに私の治療が不服、効けないのなら受けなくていい
よ、9 割は受けるが 1 割は受けないなど上からの目線で発言をしている人。
(ちなみにその分野ではかなり名の通った人であった。
)
・大学病院は医者を頂点としたピラミッド型の人間関係があって、PT や Ns は自分の意
見は持っていてもそれを活かしにくい環境である。そのことが不憫でならないと感じ
た。そして働く病院の環境・雰囲気によって、個人の意向は制限されてしまう可能性
も大いにある。
患者に学ぶ~医療者の存在~
2.学生に伝えたいこと
・医療技術の対価として医療点数でお金をもらう。言い換えると、患者を食い物にし
ているということを考えてほしい。患者の人生を左右する現場ならば、自然に敬意・
畏怖の念が起こるはず。
「~をしてやっている」という発想は出てこないはずだし、
作業的な行動は起こらないはず。
また大学病院では医者頂点のピラミッド構造なので PT とかは雑務が多いのでは?
こうなってしまうと PT が自分の個性を活かすことが難しいのではないだろうか。
・リハビリの目的とは「スイッチ探し」
。
前を向いて進みだしてもらうためのリハビリを行っていただくには、医療者はどう
したらいいか。生きがいを持つことは、その方の人生を明るく、華やかなものにし
てくれるし、リハビリを行う目的でもある。患者が能動的に動き出すお手伝いをす
るために、医療者は何が必要なのかを考えていくべきではないだろうか。
・声掛け、ほほえみで患者は安心できるし、信頼につながる。しかし、それができな
い医療者が多い。出来ない理由としては立場による違いがあるから。
医療者が傲慢になっている。
「してやってる精神」ではいけないと思う。
・PT が患者をどこに連れていきたいのか、ゴールを明確にする。
(治療上でのゴールだけでなく)
方法論としては、Needs と Wants を区別する。いかにその二つの違いを見抜くか。
患者に共感する視点とその場を客観的に見る視点。Needs は弱っている患者にとっ
て一番嬉しいことであり、医療者に求める部分でもある。Wants はプロとして本質
を見抜き、患者にとって今何が必要なのかを見極めるための目でもある。
プロフェッショナルとしてどちらの視点も必要。
・
「寄り添う」とは「受け入れる」こと。
リハビリは患者と医療者が寄り添って共通のゴールを目指す。双方の主張をすり合
わせた共通のゴールに向かって進むべき。さまざまな障害や疾病を持っているが、
ありのままの「その人」を受け入れる。
「その人」にとっての最適なゴールを一緒に
見つけていく必要がある。
そのためには患者を知る必要がある。どんな時代背景で、どんな環境の中で育ち、
「その人」が生きてきたのか。興味を引き、食いつかせる釣り糸をたくさん用意する。
その人を知る努力をする。
患者に学ぶ~医療者の存在~
・患者を毎日みていて、その人のことを知ろうとする努力をしていくならば、
その患者のイレギュラーな反応に対しても反応できるはず。
難しいのはそれが起きたときどのように対処すべきか。
・感性、人間性を磨くべき。
釣り糸を垂らすにも、相手は人。医療者も人。
その間の人間関係を構築するためには、何が必要かを考える。
医療に展開するのはそれができてから。
「人にやられて嫌なことは人にはしない」
至極当たり前のことだが臨床ではそれが出来ていない人がたくさんいる。
・医療者は患者に寄り添いすぎるのは良くないと考えている。
医療者にとって、負担になるときもあるから。ビジネスである一面も持って
ただ、よき理解者に努めなければならない。この矛盾を理解して、適度な距離感を
もつ必要がある。
・チーム医療の主役はあくまで「患者」
医療者はその脇役でしかない。それぞれの専門分野を十分に発揮して、患者にいく
つかの選択肢を提案することが医療者の役目である。そのために自分の専門分野に
精通する必要がある。より多くの選択肢を提案するなら知識、技術が高い必要が
ある。
患者に学ぶ~医療者の存在~
 アンケート内容まとめ
今回の交流会「ノンテクニカルスキル
~医療者としての自覚~」を開催するにあたり、
今の医療現場で、患者様は医療者に対してどのような考えをお持ちなのか、をアンケート
にてお聞きしました。将来、人を支えていく立場にある私たち学生に対してメッセージを
踏まえていただき、自分の将来の姿を模索していただくヒントになると思います。
① 医療者に対して良い印象を持った出来事を教えてください。
・リンパ腫の再発で自家移植をしなければいけなかった時(10年前)主治医には病気の
説明、移植によるメリット、デメリット(副作用)の説明はありましたが、自分の事な
のに、他人の事の様にしか受け止められなかった様に思います。その中で担当の看護師
さんが親身になって「私が一番どうしたいか」という事を聞いて下さり、性格、環境を
も含めて聞いていただいた事は心強かったです。
(悪性リンパ腫 12 年前発症
55 歳女性)
・リハビリテーション科で理学療法士の先生が患者と歩行訓練をされている姿を見ている
と、一歩一歩患者に寄り添っておられるのに頭が下りました。患者のペースに合わせる
ことは、とてもしんどい事だと思いますが、まずその事が一番大切なことでしょう。
(慢性関節リウマチ 45 年前発症 74 歳女性)
・患者会の講演会などで、自分の病気のことをよく知ることができ、向き合う気持ちがで
きたのはよかったと思います。診察のときにも、こちらの質問にきちんと答えてくれる
先生には好感が持て、信頼できます。
(慢性関節リウマチ 17 年前発症 62 歳女性)
・整形外科のクリニックで、
(医師はもちろん)看護師さんもよく勉強されていて毎回の診
察で注射などを打つときに必ず声をかけてくださったこと。いつも笑顔で対応してくだ
さったこと。日常生活で困っていることを話すと、こんな自助具があるよ etc.を教えてく
ださった。
(関節リウマチ 12 年前発症 42 歳女性)
・病歴が長く、主治医に長い間診てもらっていた時。具体的にはあまり記憶にないが、精
神的な面ではしっかりフォローしてもらっていました。落ち込んでいる時、その状況を
察し、
「全て自分が診てあげるから」と涙を流した事が何度もありました。
(関節リウマチをお持ちの方)
患者に学ぶ~医療者の存在~
・何日かのベッドの上のみの生活の後、たとえ車椅子でもリハビリに行けるようになるの
が楽しみでした。そんな時、理学療法士の方々は明るく親切に、そして丁寧に接してく
ださいました。また、リハビリが進まないときは励ましてもくださいました。今もその
方々のお顔は覚えています。
(関節リウマチ 26 年前発症 61 歳女性)
・看護師が忙しいのにも関わらず、声をかけてくれたり、説明も丁寧にしてくれた。
・長年屈曲し、伸びなくなっていた両肘を 30 分くらいのリハビリで可動域が広がった。
リハビリの時、リウマチの正しい知識を教えて頂き、希望を持てた。
(関節リウマチをお持ちの方)
・最近通っている病院の先生は、顔を合わすと両手を支えてくださって、
「どうですか」と
いってくれます。それだけで患者はよくなる様な励まされる気がします。
(関節リウマチ 発症 25 年前 74 歳女性)
・リハビリに特化した病院ほどよく訓練していて良い印象を受けます。ただ、大学病院だ
と組織の中での働きになるので、個人の能力を消してしまい、PT 個人としての良さが発
揮されていないように感じます。
(インタビューを受けていただいた後縦靭帯骨化症をお持ちの方)
・話をよく聞いてくれた。くだらない愚痴も笑って励ましに変えてくれ、帰りはいつも痛
みが少し和らいでいた。若い先生で最初は不安だったが、三年間お世話になったときは
絶対的信頼をおいていた。薬のこと、症状、何でも話し前向きに患者と歩いてくれてい
るようでした。大学病院ということで主治医はよく変わりますが、やはり思いやりのあ
る治療や言葉で非常に精神的に楽になれた。
(関節リウマチ 19 年前発症 60 歳女性)
・診察時患者の話を聞く。考えもしなかった方向性を示してくれた。
人間として信頼できる医療者に出会えると頑張ることができ、治療にも積極的に取り組
むことができると感じた。
(関節リウマチ 19 年前発症 64 歳女性)
・自分自身はリハビリの経験がなく家族を通じてだが、TPOに応じた対処をしていただ
いている印象を持った。患者を移動させたりするのも素人では時間がかかり専門職の手
は必要だし、とても頼りになる存在でした。
(大動脈炎症症候群をお持ちの方)
患者に学ぶ~医療者の存在~
・専門医に受診する事の安心感。
(後縦靭帯骨化症 7 年前発症 65 歳男性 )
・肘の手術をした後のリハビリの先生が熱心にしてくださり、ボタンを留めたり外したり
することが出来るようになった。
(関節リウマチ 25 年前発症 74 歳女性)
・左肘人工関節の置換術後にトラブルが発生し、入院が長期化し、精神的に不安定になっ
た時、直接の担当者だけでなく、リハビリ室全員の方がさりげなく気遣いや言葉かけを
してくださり、とてもすくわれた思いがして嬉しかったです。
(関節リウマチ 25 年前発症 62 歳女性)
・ギブスを 8 週間していてその間、筋肉が衰えないように症状にあわせて工夫をして筋ト
レをしてくれたこと。少しずつ体重をかけていくことが難しかったが、若い先生が一生
懸命にしてくださったこと。
(右頚骨近位端骨折 4 ヶ月前発症 73 歳女性)
・患者会(友の会)を設立して Dr.と共に病気についてまだ分からない事などにアンケート
調査を実施して治療法を考えてもらって行きました。
(重傷筋無力症 69 年前発症 81 歳男性)
・人との繋がりが広くなった。
(後縦靭帯骨化症 2 年前発症 50 歳男性 )
・患者に対しての接し方が強い口調とかでなく患者目線で接してくれた。
歩行訓練で私自身怖がっていた時も勇気づけて安心感を与えてくれた。
(後縦靱帯骨化症 A.W 様)
患者に学ぶ~医療者の存在~
② 医療者に対して悪い印象を持った出来事を教えてください。
・名だたる部長(主治医)の診察は患者の顔より、パソコンの画面を見て診察をする医者
で不愉快をとても感じました。その結果、腎障害を見落とされてもう少しで透析しなけ
ればならないところまで放置された事に対して憤りを感じます。
(関節リウマチ 9 年前発症
55 歳女性)
・診断が付かず不安でいっぱいの時期で検査三昧だったある日、検査技師同士でガラスの
奥で談笑している様子を見たときは、とても不快になったことがありました。
(大動脈炎症症候群をお持ちの方)
・手術前提とする検査で鋭いしびれを感じ不安→カテーテル
手術しない人は来なくて結構と言われたこと。
(後縦靭帯骨化症 2006 年発症 65 歳男性)
・腰椎の後縦靭帯骨化症なのに、それに特化したリハビリ内容ではなかった。
(後縦靱帯骨化症 A.W 様)
・受けたい期間に比べて許されるリハビリの期間が短いと感じる。
・日本の医師は分刻みの仕事で診察室でも患者の顔を見ることが少ない。モニターや資料
を見たまま どうですか?と聞くばかり。制度的に忙しすぎると思います。
(国立など大
病院の場合)
(脊髄靭帯骨化症をお持ちの方)
・リウマチの講演会に参加。作業療法士の先生からのお話で装具を作っていただきたくた
め、リハビリテーション科の医師に初診を受けました。希望する装具作りの前に診察が
あり、医療界の冊子に載せたいからと手の写真をパチパチと撮られ、手術を強く勧めら
れました。初めてお会いした先生で人間関係ができていませんので、手術は躊躇しまし
た。すると、ひやかしに来たのかと言われ、装具は作ってもらい感謝しましたが、二度
と行きたくないと思いました。
(慢性関節リウマチ 45 年前発症 74 歳女性)
・リハビリのとき、リウマチを理解せず、ほかの人と同じようにリハビリさせられたとき。
(慢性関節リウマチ 17 年前発症 62 歳女性)
患者に学ぶ~医療者の存在~
・医師が病気をつきとめられず、あちこちの病院にいかなければならなかったこと。水を
抜く注射で何度も失敗したあげく、痛い思いをしたのに、結局水を抜くことができなか
ったこと。スタッフさん同士が患者がそこにいるのにヒソヒソと話してたり、変な笑
い声をあげていたとき。
(関節リウマチ 12 年前発症 42 歳女性)
・ベッドの上で動くことが出来ず、訴えたのですが腕を組みながら、拒絶された時は涙が
出るほど悔しく悲しかったことを覚えています。
(関節リウマチをお持ちの方)
・医師に話もほとんど聞かず検査データだけで診断された時。
(関節リウマチ 19 年前発症 64 歳女性)
・私が話していることを聞いていてくださるのか、理解していてくださるのかリアクショ
ンがはっきりいなくてそのままになってしまい、次回にまた同じ質問された時は不信感
を持ちました。同じ質問が必要なこともあると思いますが、それなら前回のことも少し
加えていただくとか少しでいいから工夫が欲しいです。
採血の下手な人。とっても痛く我慢するのが辛かった。
(関節リウマチ 26 年前発症 61 歳女性)
・近所の整形外科では腱鞘炎と言われ治療していた。血液検査もなかった。リウマチな
ど疑わない。見立て違いで治療方法も間違い、正確な治療が出来なかった。
(関節リウマチ 9 年前発症 65 歳女性)
・リハビリでホットパックをしている際、PT が TV ゲームをして時間を待っていた。
・ある医師に「検査結果が良いのにどうして痛いのか」と言われた。
(関節リウマチをお持ちの方)
・平成3、4年頃リウマチの痛みがきつくなった頃、月1回の診察で主治医の先生にお会
いすれば少しでも痛みが和らぐ様に思って、診察に行ったところ、「薬出してるやろ、わし
は痛くない」と言われ、帰りの電車の中で余計に痛みが強くなった様な気がしました。
(関節リウマチ 発症 25 年前 74 歳女性)
患者に学ぶ~医療者の存在~
・自信をもつのはいいことだが、何事も決めつけてしまう先生。
主治医の一言で一喜一憂するのが患者です。病院を変えたいという友人達は、たいてい
主治医の言動などから信頼がもてないという考えである。自分も不快な変わりたい時も
ありました。
(関節リウマチ 19 年前発症 60 歳女性)
・待っている間や診察室に入っている間に子供の事を看護師の方が気にかけてくれていた
ことは助かりました。
・スタッフの経験不足、疾患を知らないなど。大学病院・循環器科での予診で「高安病っ
てなんだっけ?」と隣にいる研修医に耳打ちする研修医。大病院の医師(疾患は担当外)
で画像診断の結果がでても外見(通常生活をしていること)で「このままで治療は何も
しなくてよい」言われたことがある。
・担当する患者情報の共有が出来ていない。
入院中、ベットサイドで「この人、どこが悪いの?」という病棟スタッフ
(どこが悪いって…そりゃ私のセリフだ、どこが悪いのかこちらが聞きたい)
(大動脈炎症症候群をお持ちの方)
患者に学ぶ~医療者の存在~
③ ご病気や持たれた障害に対して何か考え方の変化が起きた出来事
はありましたか。
そこに医療者はどのような関わりを持てましたか。
・恥ずかしいですが自分が障害者になって初めて相手に対する思いやりや悲しむ感情がで
きてきたのではないかという事が、私の人生で多分必要不可欠ではなったのか!!と感
じる今日このごろです。家族には、常に病院と縁が切れない私を時には嫌気をさすこと
もあると思いますが、幸い、付かず離れずみたいに支えてくれている事に感謝します。
(慢性関節リウマチ、SLE、悪性リンパ症 55 歳女性)
・自身がその立場になった事で同様な症状を訴える人には同じ病気かもしれないので、専
門医に診てもらうように勧めたり、看護会に入会して安心感を得るよう共に考える。
(後縦靭帯骨化症 2006 年発症 65 歳男性)
・主治医の若い先生がベテランの先生と治療方法について、お手紙のやりとりをしてくだ
さったこと。とても安心しました。
(関節リウマチ 25 年前 74 歳女性)
・難病患者に対して奈良県ではまだ保守的な考え方が強く難病という言葉を敬遠している、
今後この問題をいかに考えるか。
(後縦靱帯骨化症をお持ちの方)
・患者の身になって、何でも相談にのって頂ける先生になってほしい。
大病院で予約しても2時間待ちが当たり前で診断時間はたったの5分。
相談や質問をしても、まともに答えてくれない。それで私は病院を変えました。
信頼できる先生に巡り合えたことは一番の味方を得たようなものです。
(リウマチ、糖尿病 9 年前発症 62 歳女性)
・医師との会話で、家族でさえ病気に対する理解がなかったが、に「家族に理解してもら
うための教育入院」を勧められたことを家族に話すと大きな変化がみられ支えてくれる
ようになった。病気に対してはひとりで悩まず、理解してもらえるように周囲の人と話
すことが大切だと思った。
(関節リウマチ 19 年前発症 64 歳女性)
・自分が病気になって初めて病気の人の気持ちがわかるようになった。健康なときの価値
観で今まで病気や障害を持った方に対してたくさん傷つけていたことがよく分かった。
(関節リウマチ 12 年前発症 42 歳女性)
患者に学ぶ~医療者の存在~
・障害者になったとき、やはり一番の支えは家族です。そして次に友人。しかし、周り友
人といっても、それまでの人生における人間関係がうまくいってなければ駄目です。
(慢性関節リウマチ 45 年前発症 74 歳女性)
・ネットで同じ病気の方のホームページを見たり、患者会でみんなの話を聞いて、元気付
けられました。そして私自身が病気を受け入れることができるようになり、明るくなる
と家族も協力的になり、励ましてくれるようになりました。
(慢性関節リウマチ 17 年前発症 62 歳女性)
・リウマチになって、初めのころ先生から「病気と友達になって・・・・」と話されまし
たが、私の場合どんなに努力してもいい方へ向かわなかったので「したたかに闘うしか
ない。友達にはなれない」と思いました。
(関節リウマチ 26 年前発症 61 歳女性)
・障害者になりましたが、手術をしたことに依って行動範囲が広がり、あらゆる事に挑戦
していく意欲がわき、今では感謝しています。
(関節リウマチ 19 年前発症 60 歳女性)
・医師を含む医療者との信頼関係が大切なんだと思いました。とても感謝しています。命
の恩人でもあると思っています。
・PT・OT の方が補助的な仕事と思わず、自信を持って患者と接し手いる姿が印象的
・医療者が高い所の人から患者と同じ目線なんだとイメージが変わった。
・一生の病気だと受け入れた時。病気を通じて、社会とどう関わっていくか考えた時
・医師の積極的な治療への姿勢も希望をもつことができた。
・スタッフのリウマチ患者に対する接し方に温かみを感じた。
・痛みや変形する手指、手首、膝の状態を見て、「大変ね」「辛いね」と何気ない声かけを
してくれる看護師の存在が有難かった。
(関節リウマチをお持ちの方)
・リウマチ患者の会に参加して、いろいろ情報交換したり、困っている事の相談やアドバ
イスをもらって参考にしています。
(関節リウマチ 発症 25 年前 74 歳女性)
患者に学ぶ~医療者の存在~
・患者の会に入会したことが自分の考えを変えるきっかけになった。病気による孤独感が
軽減された。自分の病気のレベルが分かり、落ち着くことができた。また、自分とは違
う考えを持つ仲間と出会えたから。
(関節リウマチ 女性)
・若い時・・・リウマチは老人がかかる病気だと勘違いされることが多かった。自分も普
通人のように振舞っていたし、痛み以外変形(手・足)もなかったため、それから 30 年
くらい働いていた。
60 歳前・・・足が痛くなり自転車に乗れなくなり大学病院へ。リウマチが再発し軟骨が
なくなっていたため手術を受けた。そのころ障害者認定を受けた。このころもまだ普通
人として振舞っていた。
65 歳・・・出来ること出来ないことがはっきりしてきたため、周りの人に「すみません
が、手が不自由なので拾ってください。
」など表現できるようなった。
(関節リウマチ 38 年前発症 68 歳女性)
・難病疾患のため同じ病気の方と出会うことが出来ず、情報交換や共感がほしくて患者の
会に入会しました。それにより、知識を得ること、同じ症状に苦しむ方と共感したりで
きた。そこから「上手な病気との付き合い方」を考えるようになったり、受け入れるこ
とが出来ました。
・この病気のため心臓を手術しましたが、先生方を含め、入院中に病院の方々にとてもお
世話になりました。看護師の方がなぜ「白衣の天使」と言われるのかよく分かった気が
します。家族も当然ですが、術後の苦しみを乗り越えることができたのは、病院の方々
のおかげだと今でも思っています。
・入院中、毎日何度も病室に顔を見せてくれる先生もおられて勇気づけられました。
ただ、人により、信頼できる先生から傲慢な態度の先生まで様々でした。
(大動脈炎症症候群をお持ちの方)
患者に学ぶ~医療者の存在~
④ 将来医療者を目指す学生にメッセージをお願い致し
ます。
・患者の痛み(心と身体)にできるだけ心寄り添える様に(体の痛みは本当には分からな
いけれど)気弱になっている患者さんには、時にはハッパをかけ、共に闘っていけるん
だとポジティブになる様に接してほしい。
(慢性関節リウマチ、SLE、悪性リンパ症 55 歳女性)
・医療者に求めることは確かな技術、知識だと思います。説明するときも患者が分かって
いるであろう内容でも何回でも伝えるべきです。
(血友病をお持ちの方)
・大道無門 大義を持った大きな志をふさぐものは無い
単に親がドクターであるから自分も引き継ぐ人もいますが、緊張感がなく、技術的にも
いまいちの人が多くなっているのではないでしょうか・・・
かつて野口英世先生のようにアフリカで黄熱病の解決をし、しかし自分はその病気で命
を落とした人がいます。
この方の銅像がどこにあるか知っていますか??
(脊髄靭帯骨化症をお持ちの方)
・理学療法士の先生とのかかわりは少なかったのですが、リウマチとはどんな病気か?を
把握されていなかった。できればリウマチ専門の理学療法士の先生を望みます。
(慢性関節リウマチ 45 年前発症 74 歳女性)
・病気には各々違いがあり、特にリウマチは初期のころは外見でわからなくて、その痛み
や不自由さが理解されないことが多いですが、特に先生方は検査数値でしか判断しない
ほうが多いように思います。もっと患者本人の話を聞いてほしいと思います。
(慢性関節リウマチ 17 年前発症 62 歳女性)
・患者に「思いを寄せる」医療者を目指してほしい。
・患者に自分を重ね合わせ、自分がされたら嫌なこと(言葉遣い・態度など)はせず患者
に寄り添い、見守りながら甘やかすのではない、毅然とした態度で仕事が出来る医療者
になってほしいです。
(関節リウマチをお持ちの方)
患者に学ぶ~医療者の存在~
・手段が目的に変わらないよう、本当に大切なことを見失わないように気をつけてくださ
い。目の前のひとりひとりを大切にしてほしいと思います。
(関節リウマチ 12 年前発症 42 歳女性)
・一言で患者といっても色々ですが、皆各々に何か辛いことを抱えていると思います。我
儘もでると思いますが、その辺のところ「しゃあないなぁ~。」みたいによろしくお願い
します。それから、色々あると思いますが少なくとも患者の前では皆さんも良いチーム
メートであって欲しいと思います。
(関節リウマチ 26 年前発症 61 歳女性)
・謙虚さ、総合判断力、コーディネート力など。
・相談しやすい雰囲気は他の職業にも必要な部分だが、その裏では高い技術力、確かな知
識が求められると思う。特に医療現場は、日頃の勉強や心磨きが生かされる場だと思う。
・単に国家試験を通るための知識でなく、診断・治療のための知識であって欲しい。知識
があってもそれを活用できなければ(診断・治療できなければ)患者にとっては、医療
者に知識・技術がないのと同じになります。
・医療者にとっては、大勢の中の一人の患者だけど、患者にとってはたった一人の医療者
です。学生の時は、覚えているけど、働くのが長くなると毎日一連の流れなって忘れて
しまいます。
・患者に良い治療,現在の最適な標準医療を提供しようと常に勉強し続けられる姿勢、患者の
話を傾聴し共感できる人間性が必要であると考えます。
・患者にとっては話しやすいのが一番です
・技術力のみならず、精神面でも相談に乗って欲しい(わがままですが)
。
・大変なお仕事になると思いますが、皆さんの支えがあることで頑張って生きていける患
者さんが多くいるはずです。患者さんと接するにつれて嫌な事もきっと起こるでしょう
が、患者さんの笑顔を信じて頑張って下さい。
・悪意がなくても、その未熟さで、ときには患者の身体や気持ちを傷つけながら、プロと
しての経験を積んでいるのだと、頭の片隅に入れておいていただければ幸いです。相手
の気持ちを想像できる医療者になってください。
・医療者が患者を診るように、患者も医療者をとってもみています。先生に比べ、看護師、
リハビリスタッフへの方が気さくに話しやすい場合も多々あります、この人なら聞いて
くれる、相談しやすい、など患者も自然に選んで話しているんだと思います。対話上手
に越したことはありませんが、聞く耳を持つ、話を引き出せる力はとっても大切に感じ
ます。
・患者は常に不安で、医療関係者をとても頼りしています。その期待に添えるような医療
者になってくれるよう祈っています。
患者に学ぶ~医療者の存在~
・患者目線で考えて対応してもらえると、患者は精神的にもとても救われます。
からだが病気であることで、心まで病気になってしまいがちですが、心が救われると病
気自体には変わりがなくても、めげずにがんばることができます。
(大動脈炎症症候群をお持ちの方)
・患者は自分の病気と闘っています。
そして患者にとって病気に対しては家族と違った 1 番の頼りたい存在です。
よく効く薬より、思いやりの一言が特効薬の時もあります。
医療現場における若い先生方の展開を期待しております。
(関節リウマチ 19 年前発症 60 歳女性)
(関節リウマチ 26 年前発症 61 歳女性)
・上から目線ではなく、患者を一人の人間として見ながら、治療に当たってほしい。
・患者の話を傾聴し、病状や気持ちが理解できるように努力してほしい
・人間としての尊厳を大切にして患者と接することができる人になってほしい。
(関節リウマチをお持ちの方)
(関節リウマチ 19 年前発症 64 歳女性)
・自身の役割の自覚をしっかりと持つこと。患者中心の医療とは患者が治療を理解し、自
分の治療に責任を持つこと。インフォームドコンセントを大切に。
・病気を診るのではなく、人を診るということを信条として欲しい。
未熟でも患者の心に寄り添える医療者になってください。
(関節リウマチをお持ちの方)
(関節リウマチ 38 年前発症 68 歳女性)
・将来いろんな困難に出会うと思いますが、強い信念を持って初心を忘れず、貫いてくだ
さい。
(関節リウマチ 発症 25 年前 74 歳女性)
・医療者に求めることとしては高い技術力、豊富な知識量、相談しやすい雰囲気、医療者
自身の向上心です。厳しい環境でしょうが、どんなときも「自分」を大切にしてくださ
い。
(後縦靱帯骨化症をお持ちの方)
患者に学ぶ~医療者の存在~
・人柄や技術は大切であり、医療はサービス業であることを知ってほしい。
Hospitality(Hospial:病院 + ity:おもてなし)
(後縦靭帯骨化症 2006 年発症 65 歳男性)
・毎日毎日いろいろと訴えてくる患者に付き合うのはとても大変だと思います。ストレス
を溜められないよう、患者と病気以外の事などで交流して頂ければお互いに性格とか考
え方がわかり、スムーズに楽しく過ごせるのではないでしょうか。
先生・PT・OT の先生方のちょっとした一言が患者には何よりの心の薬になります。
また先生がにっこりと笑ってくださっただけでとても気分が明るくなったとおっしゃっ
ていた友達もいます。
(関節リウマチ 25 年前 74 歳女性)
・患者の身になって、何でも相談にのって頂ける先生になってほしい。
大病院で予約しても2時間待ちが当たり前で診断時間はたったの5分。
相談や質問をしても、まともに答えてくれない。それで私は病院を変えました。
信頼できる先生に巡り合えたことは一番の味方を得たようなものです。
(リウマチ、糖尿病 9 年前発症 62 歳女性)
・患者側に立って良く聞く耳をもってほしい。患者は不安でいっぱいだから。
(重傷筋無力症 1944 年発症 81 歳男性)
・本当の痛みが理解しようと思う心を持って欲しい
(後縦靭帯骨化症 2011 年発症 50 歳男性 )
・患者の声を聞いたときに専門用語を並べるのでなく、患者の分かり易い説明を患者の立
場側に立って説明してほしい。
(後縦靱帯骨化症をお持ちの方)
・まずクライアントに同じ目の高さ、目線で「寄り添う」こと。
机上の知識は、知識として持っていてもいいが、それをどう組み合わせて引き出せるか
が本当の知識。
(後縦靱帯骨化症 A.W 様)
患者に学ぶ~医療者の存在~
・リウマチ患者は日によって痛みの度合いが違います。そのことを理解してほしい。
・人によっては遠慮して、自分の思っていることやしてほしい事を言えない人もいる。
そこのところを考慮できる医療者になってほしい。
・日常生活と隔離している入院患者は日常会話にも飢えています。医療行為中にもさりげ
ない会話が出来る余裕の持てる人になってほしいです。
(関節リウマチ 25 年前発症 62 歳女性)
・皆さんは理学療法学科の学生さんとのことですので、先日亡くなった私の母のことを書
かせていただきます。
母は、デイサービスのお風呂でころんで足の付け根を骨折しました。認知症があり、ど
こが痛いとか、どんなふうに痛いとか説明することができませんでした。
人工関節を入れ、車椅子の生活になって、退院後2回目の診察で入ったレントゲン室。
療法士さんからズボンを脱ぐように言われました。前回の時はバスタオルを出してもら
ったのですが、その時はうっかり持参するのを忘れてしまい、またお借りできないか尋
ねると、たった一言ぶっきらぼうに「ありません」
。
母には持参するのを忘れたことを謝り、おむつ姿でレントゲンの台に寝かせました。
そして私は退室し、レントゲンを数枚撮られ、療法士さんの「終わりました」の声で入
室すると、母は療法士さんに叱られていました。
「ほら!自分で起きないと動けなくなるよ!しっかりせなあかんやろ!」
慌てて、
「私がやりますから」というと、
「麻痺でもあるんですか」
。
「認知症なんです」というと、
「あ~ぁ」と言いながら奥の部屋に入っていきました。
「な~んだ」という言い方。
私は泣きながら母を着替えさせました。
母だってなりたくて骨折したわけじゃない。
ましてや、なろうとして認知症になったわけでもない。
これからどんどん高齢者がふえていきます。
高齢者が苦手なら、高齢者をめんどくさいと思うなら、医療従事者にはならないでいただ
きたいです。
いくらでも、もっともっと他にやれる仕事はあります。
こうしてアンケートをいただいて、書かせていただいくうちに思うのは、病気や症状によ
って、やってほしいこと、こうなったらいいのに、と思う内容は変わります。
でも、どんな状態、症状であろうと、患者を見て、どうすることがその患者にはいいのか、
「人」として考えていただけたら…と思います。
(大動脈炎症症候群をお持ちの方)
患者に学ぶ~医療者の存在~
今回アンケートにご協力いただきました患者の会の皆様、
インタビューをお受けいただきました方々に厚く御礼申し上げます。
今回皆様にいただいたご意見は、将来人を支えていく職業を目指す
私たち学生に深く響いたものとなりました。
このご意見を活かして最高の医療、最高の理学療法を提供できるように
日々邁進して参ります。
誠にありがとうございました。