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CR 立位チェンジャーにおける自動露出制御
(AEC:AUTO EXPOSURE CONTROL)の施設間比較
〇公立刈田総合病院 佐久間 俊光 仙台赤十字病院 安彦 茂
(Sakuma Toshimitsu)
栗原中央病院 大久 敏弘
(Abiko Shigeru)
(Oohisa Toshihiro)
宮城県立こども病院 佐々木 清昭 西多賀病院 阿部 喜弘
(Sasaki Seisyou)
県南中核病院 坂野 隆明
NTT 東日本東北病院 伊藤 道明
(Abe Yoshihiro)
(Itou Michiaki)
仙台社会保険病院 荒川 信 仙台逓信病院 猪川 訓志
(Banno Takaaki)
(Arakawa Makoto)
(Ikawa Noriyuki)
【目的】
CR胸部撮影において、自動露出制御(以下AEC)の調整は各施設で行っているが、撮影管電圧、画像処
理条件、グリッド、動作特性等の違いにより、その設定は異なる。今回我々は、CR の AEC 調整の標準化を目
的に、CR 立位チェンジャーにおける各施設間の AEC 特性の違いを比較、検討を行ったので報告する。
Table 1 使用機器
施設名
仙台日赤
装置名
CR装置
グリッド
総濾過
KXO-80G
XU-D1
12:1(40)
2.6mmAL
Velocity U
10:1(36)
2.6mmAL
刈田綜合
KXO-80G
XU-D1
12:1(40)
2.6mmAL
仙台逓信
KXO-80G
XU-D1
12:1(40)
3.8mmAL
仙台社保
KXO-50G
Velocity U
12:1(36)
3.8mmAL
【方法】
各施設の CR 装置において、アクリルファントームを用い、
AEC の管電圧特性、被写体厚特性を測定した。AEC 設定は
各施設の設定値を使用した。被写体厚特性は、アクリル厚
(4cm~20cm)を変化させ、撮影管電圧は 120kV とした。管電
圧特性は、アクリル厚 8cm で 60kV から 140kV まで 20kV ごと
に測定した。また S 値、平均信号値、標準偏差(SD)の違いを
測定した。
被写体厚特性
900
800
700
600
S値
【使用機器】
X 線装置:KXO-80G、KXO-50G(東芝メディカル)
CR 装置:XU-D1、Velocity U(富士メディカル)
AEC:PTF-20L(東芝メディカル) 線量計:
Multi-O-Meter Type 519 (Uniform Instruments)
被写体:アクリル板
*各施設の装置は Table 1 に示す。
XU-D1(日赤)
Velocity(日赤)
Velocity(社保)
XU-D1(刈田)
XU-D1(仙台逓信)
500
400
300
200
S値
【結果および考察】
100
0
1. 被写体厚特性
4
6
8
10
12
15
20
アクリル厚(cm)
Fig.1 に示すように、XU-D1 は被写体厚が厚くなるにつれて
S 値が上昇し、Velocity は被写体厚に関係なく一定のS値を示
Fig.1 被写体厚特性
した。これは XU-D1 は、AEC のセンサーがグリッドの前面にあ
管電圧特性
るため、被写体厚の厚みの違いによって AEC センサー到達と
XU-D1(日赤)
800
Velocity(日赤)
グリッド透過後の IP 入射線量の比が被写体から発生する散乱
Velocity(社保)
700
XU-D1(刈田)
線の影響を受けて変化するためと考えられる。またその時の入
XU-D1(仙台逓信)
600
500
射線量は被写体厚が厚くなると線量も多くなった。
400
2. 管電圧特性
300
Fig.2 に示すように XU-D1 は、電圧が上がるにつれて S 値が
200
100
低くなる傾向が見られ、Velocity は、80kV から 100kV では被写
0
体厚特性と同様に S 値の変化は少ない傾向が見られた。また
60
80
100
120
140
アクリル厚(cm)
その時の入射線量は管電圧が高くなるにしたがって低い値を
Fig.2 管電圧特性
示した。
3. SD 値比較
測定した画像を S 値 200 で再出力し、画像中心より ROI(3000×3000pixcel)を設定し SD 値を求めたグラ
フを Fig.3 に示す。 被写体厚特性の SD 値が、XU-D1 と Velocity で低い施設(△、○で示す)があるが、こ
れは両施設の線量が多いためと考えられる。管電圧特性は Fig.4 に示すように 100kV以上では入射線量
c
SD値
の高い施設(○、△で示す)が、SD 値は低い値を示した。
4. SNR2 の比較
FIX モード(S 値 200、L値 2.0)で画像を処理し、SNR を求めアクリル厚 4cm の入射線量を S 値校正線量
として使用し正規化したグラフを Fig.5 に示す。同じ厚みのフィルタの施設(○、△で示す)でも異なる結果
となった。これは両面と片面読みとりの差によって画素値が異
被写体厚特性(SD値)
なることを示している。管電圧の違いによる SNR のグラフを
25
XU-D1(日赤)
Fig.6 に示すが、総濾過 3.8mm と厚い施設は線質が硬くなり IP
Velo(日赤)
Velo(社保)
20
の到達線量が多くなり SNR の値が高くなっている。また同じ入
XU-D1(仙台逓信)
XU(刈田)
射線量での画像の変化量を示したグラフを Fig.7 に示す。○、
15
△で示す施設が高い値を示しているがフィルタが厚いためと考
10
えられる。
5
5. 調整後の被写体厚特性
0
4cm
6cm
8cm 10cm 12cm 15cm 20cm
AEC を 110kV でフィルタなしで被写体厚特性を調整した後、
アクリル厚(cm)
再度測定した被写体厚特性を 4cm の厚さで正規化し表示した
グラフを Fig.8 に示す。□が補正前、*が補正後の値となる。
Fig.3 被写体厚特性(SD 値)
なお電圧を 10kV 上げても形状の変化は見られなかった。
【まとめ】
各施設間で S 値および AEC の特性に違いが見られ、特に
AEC の受光部がグリッドの前面にある機種では被写体厚特性
が大きく変化した。被写体厚特性の調整は、AEC の受光部が
グリッドの前面にある場合、付加フィルタをはずし管電圧も下げ
て調整すれば、ある程度は補正できることが分かった。付加フ
ィルタは、厚いほうが線質が硬くなり、被写体入射線量あたりの
画質は高くなる。しかしながら、胸部撮影の撮影時間も長くなる
ため、このことも考慮する必要がある。
管電圧特性(SD値)
18
16
14
SD値
12
10
8
6
XU:SD値
Velo:SD値
Velo(社保)
XU-D1(仙台逓信)
XU-D1(刈田)
4
2
0
60
80
100
120
140
管電圧(kV)
Fig.4 管電圧特性(SD 値)
管電圧の違いによるSNR(S値200に固定)
4cmの線量で正規化したSNR
12
4000
Velo(日赤)
3000
8
XU-D1(仙台逓信)
2000
1500
SNR
Velo(社保)
2500
SNR
10
XU-D1(日赤)
3500
XU-D1(日赤)
Velo(日赤)
6
XU-D1(仙台逓信)
4
1000
2
500
0
4cm
6cm
8cm
10cm
12cm
15cm
20cm
0
60
80
100
管電圧(kV)
アクリル厚
120
140
Fig.6 SNR(管電圧特性)
Fig.5 SNR(被写体厚特性)
被写体厚特性(調整後)
管電圧の違いによるSNR2/入射線量・管電圧特性
600
2
70
60
XU-D1(日赤)
Velo(日赤)
XU-D1(日赤)NEW
Velo(社保)
XU-D1(仙台逓信)
500
400
50
S値
SNR /入射線量・管電圧特性
80
40
300
30
200
20
100
XU-D1(日赤)
Velocity(日赤)
Velocity(社保)
10
XU-D1(仙台日赤2)
0
0
60
80
100
管電圧(kV)
120
140
Fig.7 管電圧の違いによる SNR2
8
10
12
15
20
アクリル厚(cm)
Fig.8 調整後の被写体厚特性