燃料電池・水素ネットワーク ドイツNRW 州のエネルギー効率及び気候保全に向けコンピテンスを結集 組織 燃料電池・水素ネットワークNRW(FCHN NRW)は 2000 年、NRW 州政府により設立 され、州都デュッセルドルフに本部を置く。同ネットワークは、NRW 州エネルギー経済ク ラスター「EnergyRegion.NRW」の傘下にあり、運営母体は「エネルギーエージェンシー NRW」。燃料電池・水素の他、発電所技術、バイオマス、エネルギー高効率ソーラー建築、 地熱、次世代燃料・駆動技術、太陽光発電及び風力発電と、計 8 つのネットワークが傘下 で活動している。 目的 燃料電池・水素ネットワークの主要目的は下記の通り。 ■ 燃料電池を適した市場に試験的に投入し、新しい産業分野を確立 ■ 燃料電池の製品及びシステムコンポーネントの開発支援 ■ 持続可能な再生可能エネルギーによる水素供給インフラの構築 ■ 国際的な燃料電池・水素拠点として NRW 州の位置づけを確立 メンバー構成 燃料電池・水素ネットワークには約 360 のメンバーが加盟している。約 70 % が企業(主に 中小企業)、20 %が研究機関、残りの10 % はその他。メンバーの大半が NRW 州の企業・ 機関。しかしその他のドイツ連邦州、あるいは外国に拠点を置くメンバーもあり、ヨーロッ パ最大の燃料電池・水素ネットワークとなっている。 燃料電池モジュール 燃料電池アプリケーション BoP コンポーネント (BoP = バランス・オブ・プラント) 燃料電池製造技術 スタックコンポーネント 水素生産 研究所 水素ロジスティックス 水素貯蔵 燃料電池・水素ネットワークNRW のメンバー構成 Ceramic Fuel Cells Ltd(CFCL)社のスタック製造 (ハインツベルクのインダストリアルパーク・オーバーブルッフ) メンバー企業の大半は機械製造及びエレクトロニクス関連企業である。これまでに開発し た自社製品を燃料電池技術の特殊要件に合わせて改良している。例えば、エンジンの過 給器、ポンプ、バルブ、高性能エレクトロニクス部品など、システムコンポーネントの改良 である。その他、移動型・設置型・携帯型の燃料電池システムもNRW 州では開発・製造 されている。これらの活動を通じて、NRW 州は高性能な燃料電池コンポーネントの拠点 として重要な役割を担いつつあり、国内外のシステムメーカーからの問い合わせも増加し ている。もう一つの重点分野は水素技術である。水素の製造、貯蔵、水素供給までも網 羅する活動が行われている。 NRW 州では 50 以上の大学や研究機関の研究所が燃料電池のテーマに取り組んでいる。 その研究活動は、材料開発、生産技術、さらに太陽エネルギーやバイオマス等の非化石 エネルギー源をもとにした水素製造技術の開発にまで至っている。 メンバーが提供する製品及びサービスの一覧はホームページのデータベースから閲覧可能。 メンバーシップ 燃料電池あるいは水素技術を取り扱っている、もしくは今後予定している企業・研究機関 は燃料電池・水素ネットワークNRW に加入可能。NRW 州に拠点がある必要はなく、商 工会議所、業界団体等の機関、並びに個人もネットワークに加入できる。 インターネットから申請手続き可能で、入会は無料。入会後はスタディグループやプロジェ クトでの積極的な参加が期待される。 サービス内容 下記サービスを提供している。 ■ 単体 / 共同プロジェクトの発足 プロジェクト斡旋、パートナー探し、プロジェクト実施中の支援、 助成金に関するアドバイス ■ 国際化 国際協力の発足、国際戦略の構築支援、視察プロジェクト、 超地域的委員会における協力 ■ 情報通信 スタディーグループ、ニュースレター、求人情報提供 ■ 広報活動 ホームページ、国際見本市での共同スタンド、産業別分布地図、専門媒体広告、 国内外でのプレゼンテーション ■ 企業進出 相談、ビジネスコンタクトの仲介、企業誘致およびアドバイス ■ 職業研修 ワークショップ、企業訪問、学生コンペ 当ネットワークは共同プロジェクトの発足と調整役を主要業務とし、NRW 州政府及び EU (欧州地域開発ファンド)から約1億ユーロの補助金が 90 のプロジェクトに拠出された。 対象プロジェクトのテーマは、コンプレッサー及びセンサー等のシステムコンポーネントの 開発から、携帯型・設置型・移動型の複雑な燃料電池システムの開発・製造にまで至っている。 NRW 州における若手研究者育成目的で、数年前から生徒を対象としたコンペ「燃料電池 ボックス NRW」を実施し、毎年約 500 名の生徒が参加している。 traiLH 2™トレーラー – 可動式水素ステーション NRW 州は水素の州 NRW 州には、燃料電池技術の開発、製造、並びに市場導入を推進するための好条件が整っ ている。 ■ NRW 州では、主に塩化ナトリウム電気分解等の産業プロセスにおいて、年間約 3 億 5000 万 Nm³(= 3 万 1000トン)の副生水素が発生している。これにより、理論的に は約 26 万台の燃料電池自動車を稼働させることが可能。 ■ 1930 年からライン・ルール地域には水素パイプライン(全長約 240km)が整備され ており、これを水素インフラ構築の中核とすることで、今後はガス道路輸送が不要と なる。 このパイプラインに沿って NRW 州水素ハイウェー構想「NRW Hydrogen HyWay」が推 し進められている。 NRW Hydrogen HyWay 「NRW Hydrogen HyWay」は、2008 年「NRW 州エネルギー・気候保全戦略」の中で 主要プロジェクトとして立ち上げられた。水素パイプラインに沿って活動を展開し、州全体 に広がっている。NRW 州政府は 2009 年から2011年までに新たに 6000 万ユーロを捻 出し、開発・実証プロジェクト、インフラ整備を進める。さらに EU 第7次研究枠組みプロ グラム、及び水素・燃料電池技術国家技術革新プログラム(NIP)からも補助金が支給さ れる。 イッベンビューレン ミュンスター ン イ ラ マール ボットロップ ラインベルク デュイスブルク ヘルテン ゲルゼンキルヒェン ドルトムント エッセン ルー ル ボーフム デュッセルドルフ ユーリッヒ レバークーゼン アーヘン ケルン ヒュルト デューレン 水素生産 水素生産(計画中) 走行中あるいは計画中の車両 研究 トリプルハイブリッド駆動の燃料電池連結式バス スタートを切った初期プロジェクトは下記の通り。 ■ ドイツ・オランダ共同プロジェクト。18 メートルのハイブリッド燃料電池バスの開発を 目指す。開発後はケルン市交通局に納入 ■ デュッセルドルフ見本市会場での燃料電池中型バスの操業、北部ルール地域における 燃料電池路線バスの運営 ■ 企 業 の 研 究・生 産 向 けに 水 素 供 給 インフラを 提 供 する「 水 素 ユー ザー センター (H2Herten)」の建設着工 ■ ヘルテン市エヴァルド鉱山跡地への水素ステーションの開設 ■ ボットロップ・ヴェルハイマー・マルク下水処理所での水素ステーションの開設。将来 は下水ガスから水素を回収する予定 ■ ケルン地域内での水素ステーション設置。近隣の水素製造所から直接水素が供給され るため、低価格での水素供給が可能 ■ マール市に世界初の水素カートリッジ専用充填ステーション(容量:2リットル)を設置。 貯蔵圧力 700 バー(3 キロワット時に相当)。水素カートリッジは携帯型及び移動型燃 料電池アプリケーションに対応可能 塩化ナトリウム電気分解装置(ケミカルパーク・ヒュルト=クナップザック) 国際活動 EU 地域パートナーシップ「HyRaMP」 NRW 州は、EU 地域パートナーシップ「HyRaMP」 (Hydrogen and Fuel Cell Regions and Municipalities Partnership)に参加しており、NRW 州など各地域の声をジョイン ト・テクノロジー・イニシアチブ(JTI)* に反映させることを目的としている。6 年間でおよ そ10 億ユーロが研究、技術開発、実証プロジェクトに投入され、NRW 州は現在「HyRaMP」 議長を務める。 * ジョイント・テクノロジー・イニシアチブ(JTI)は、産業界、欧州研究共同体および欧州 委員会が、燃料電池プロジェクトの推進を目指し創設したパブリック・プライベート・パー トナーシップ。 「HyChain-MINITRANS」プロジェクト HyChain-MINITRANS プロジェクトは 5 年間のプロジェクトで、第一段階では 5 種類の 燃料電池車両が欧州4地域(フランス、スペイン、ドイツ、イタリア)で開発された。現在、 2 年間におよぶ試験走行が実施されている。同プロジェクトには欧州委員会から1700 万 ユーロが助成され、NRW 州ルール大都市圏の北部ヘルテン市、ボットロップ市、レクリ ングハウゼン郡が、革新的で環境に優しい燃料電池車両の試験走行場所に選ばれた。今後、 この地域において、水素及び燃料電池で駆動する自転車、小型トラック及びバスの試験走 行も計画されており、先駆的役割を担う地域である。 H 2 水素ステーションと燃料電池中型バス(ヘルテン) 連絡先 : Dr. Andreas Ziolek (Network Manager) Dr. Frank Koch Phone: +49 (0) 211 86642-0 Fax: +49 (0) 211 86642-22 [email protected] www.fuelcell-nrw.de EnergyRegion.NRW Fuel Cell and Hydrogen Network c/o Ministry of Economic Affairs and Energy of the State of North Rhine-Westphalia Haroldstraße 4 40213 Düsseldorf, Germany Phone: +49 (0) 211 86642-0 Fax: +49 (0) 211 86642-22 [email protected] www.fuelcell-nrw.de 写真 : 表紙 : 燃料電池技術センター社 / デュイスブルク 3 ページ : Ceramic Fuel Cells 社 (CFCL)/ハインツベルク 4 ページ : Linde 社 / プラッハ 6 ページ上 : APTS 社 / オランダ、へルモンド 6 ページ下 : HyCologne 協会 / ケルン 7ページ : 燃料電池・水素ネットワーク 経済・イノベーション拠点であるドイツ NRW 州は Excellence NRW( エクセレンス NRW)というクラスター政 策を開 始。 NRW 州政府は、州の強みをより強化し、優秀分野を体系的 に発展させることを目指している。そのためクラスター政策 では、産業界の競争力強化、成長と雇用の促進に繋がるイ ノベーションのための環境の整備を目的としている。NRW 州のクラスター政策及び 16 のクラスターについての詳細情報: www.exzellenz.nrw.de
© Copyright 2024 Paperzz