細菌発育の3条件 食中毒予防は台所から! 夏に多い食中毒

6月号
発行日平成23年6月1日
〒393-0047
長野県諏訪郡下諏訪町西赤砂4342-6
雨に濡れる緑の美しい季節になりました。6月は真夏のように暑い日もあ
れば、まだ半袖では寒いような日もあったりと天気が安定しません。季節の
変わり目は体調を崩しやすいもの・・・風邪などひかないよう気をつけてくださ
い。
今年のゴールデンウイークは腸管出血性大腸菌による食中毒
が世間を騒がせました。たかが食中毒といえど甘く見れば命を
落しかねません。例年6~9月は食中毒が多く発生します。どん
なことに注意したらよいか見直してみましょう。
夏に多い食中毒
これから夏にかけて気温・湿度ともに上昇し、食中毒の原因とな
る菌が増殖しやすい環境になります。食中毒の原因菌として代表
的なものには肉類や卵などに付着するサルモネラ、魚介類に付着
する腸炎ビブリオ、肉類特に鶏肉やレバーなどの臓器にに付着す
るカンピロバクターなどがあります。特に5~7月はカンピロバク
ターによる食中毒の発生件数がピークを迎える傾向にあります。
食中毒の発生に十分注意しましょう。
ウイルスや細菌などに汚染された食品を食べると、数時間~数
十時間後に下痢・嘔吐・発熱・腹痛などの症状が起こります。症状
が出たらなるべく食べ物は口にしないようにし、胃腸を休ませること
が大切です。ただ下痢や嘔吐が続くと体の中の水分が失
われ、脱水になるので、水分は多めにを補給するように
しましょう。下痢には体の中の細菌を排泄する働きもあり
ます。食中毒が疑われる場合には市販の下痢止めなど
使用せず、早めに医療機関を受診することが大切です。
細菌発育の3条件
食中毒の原因菌は家庭で日常的に使う生鮮食品や調理器具、
人の皮膚などに付着しています。ただ細菌はどこでも繁殖できるわ
けではなく、次の3つの条件が整って始めて繁殖を始めます。
①栄養
調理器具などに残る食物の汚れが細菌にとって栄養になり
ます。特に肉や魚など高たんぱく食品は最良の栄養源です。
②水分
細菌は食品中の水分を利用して繁殖します。水分50%以下では
発育しにくく、20%以下では繁殖しません。
③温度
細菌の繁殖には温度が最も重要な要素となります。すべての細
菌にはそれぞれ繁殖に適した温度がありますが、一般に15~40
度が適温帯で、35度で最もよく増殖します。
細菌はこの3つの条件がそろった時に最もよく繁殖します。よって
細菌の繁殖を抑えようと思ったら栄養になる汚れをしっかり
取り除き、乾燥させることにより水分を除去し、熱湯消毒等
で温度管理することで繁殖を抑えることができます。
TEL.0266(28)0505 FAX.0266(28)0550
E-mail. [email protected]
URL. http://www.azami-clinic.jp/
食中毒予防は台所から!
食中毒予防の基本は菌を“つけない・増やさない・殺菌する”
です。大丈夫だろう・・という過信は禁物。家族や身近な人の健
康を守る為にも、調理の際は細心の注意を払いましょう。
①食品は新鮮なものを購入。冷蔵庫につめこみ過ぎない!
魚や肉などは長時間持ち歩かず、買ったら速やかに冷所
に保存しましょう。冷蔵庫はつめすぎると、庫内の温度が
上がり、かえって細菌が繁殖しやすくなります。つめすぎに
は注意が必要です。また冷蔵庫を過信せず、買ったもの
は早めに使い切るようにしましょう。
②まな板は加熱する食材と、そのまま食べる食品で
使い分けましょう。
肉を切った後の包丁・まな板で、そのままハムを切ると、
細菌がハムに移りそのまま口の中に入ることになります。
包丁やまな板はこまめに洗い、肉や魚を切る際は専用の
シートや牛乳パックを開いたものをひくなどすると、細菌が
他の食材に移りにくくなります。手洗いもこまめにしましょう。
③肉・魚類はしっかり火を通しましょう
肉類は75度以上で1分以上の加熱を行うことでほとんどの
細菌が死滅します。肉を調理する際は「赤い肉汁がでてこ
いない」「切ると中心部まで白くなっている」状態になるまで
火をしっかり通すことが大切です。またカレーや
シチュー等を翌日温め直す場合は、サッと火を通
すだけでなく中心部がぐらぐら沸騰する状態を
1分以上続けないと菌は死滅しません。
④盛り付けは食べる直前に。調理済みの肉と生野菜を
長時間置かないようにしましょう。
生野菜と肉料理を長時間一緒におくと細菌が繁殖しやすく
なります。盛りつけは、食べる直前に行うようにし、食べ残し
を片付ける際も、容器を分けるなどの工夫をしましょう。弁
当に入れるおかずも水分が多いと細菌が繁殖しやすいので
水分を飛ばすように調理したり、弁当箱の裏に水蒸気がた
まらないようによくさましてから蓋をしめることが大切です。
⑤雑巾・スポンジ類はよく乾かして清潔にしておきましょう。
スポンジは水分と汚れが残り、雑菌が繁殖しやすい場所で
す。洗い物の最後にポットの湯などでもみ洗いし、
しっかりしぼって乾燥させましょう。また台ふきんもぬれたま
ま放置しがちですが、臭うようなら雑菌が繁殖している証拠
です。汚れをふき取るたびこまめに洗い、よく乾
かすことが大切です。スポンジもふきんも数日
に1回は熱湯で5分間煮る“煮沸消毒”を習慣に
しましょう。
生肉は危険?
焼肉チェーン店の集団食中毒で話題になった腸管出血性大腸菌。大腸菌は人や家畜の腸内にも存在するものであり、ほとんど
が無害ですが、このうちいくつかのものが下痢や消化器症状を起こすことがあり、病原性大腸菌と呼ばれてれています。生肉に
は食中毒の原因となる細菌(腸管出血性大腸菌・その他の病原性大腸菌・カンピロバクターなど)や寄生虫がついていることが
あり、加熱不十分だと食中毒になることが多くあります。食中毒の原因となる細菌やウイルスがいるかどうかは目で
見たり臭いをかいだだけではわかりません。小さいお子さんや高齢者、抵抗力の弱い方は食中毒にかかりやすく、ま
た重症化しやすいので生で食べない方が安全です。また加熱して食べる際も中までしっかり火を通すよう心がけま
しょう。
6月号
胃と腸のお話“痔の予防”
6月18日(土)
13:30~
当院待合室ににてオカリナ
のコンサートを行います。入
場無料です。お誘いあわせ
の上、ご来場下さい。
エンジョイ
フォト
SUWA 写真展開催中
現在院内で写真愛好家のグループ
“
エンジョイ フォト
”
の写真展を開催
SUWA
しています。
患者さん以外の方も御自由にご覧下さい。
カジュアル生け花で
家の中に幸せを♪
7月16日(土)
19:30~21:00
当院多目的室にて、岡谷市の
清水氏を講師に生け花教室を開催
します。
興味のある方は受付までお申し出
下さい。
①肛門を清潔にしましょう。
不潔な肛門は細菌が繁殖し痔を悪化
させます
②長時間同じ姿勢をしないように。
特に立ちっぱなし、座りっぱなしは肛門が
うっ血し痔を進めます。長時間のドライブも
よくありません。
③便秘・過度のいきみに注意
硬い便は肛門を傷つけ、排便時の過度の
いきみは肛門をうっ血させます。
④毎日お風呂に入りましょう
肛門を清潔にするとともに、血行をよくしま
す。
⑤アルコールや刺激物を避けましょう
肛門を刺激し、うっ血をすすめます。
脳トレーニング!四字熟語
今回は普段よく聞く四字熟語を集めてみました
① 古( )東西
② ( )場一致
③ 馬( )正直
④ 試行( )誤
⑤ 本家本( )
⑥ 痛快無( )
⑦ ( )婚葬祭
⑧ 冷( )期間
⑨ 大胆不( )
⑩ 用意( )到
答え
①今②満③鹿⑤錯⑤元⑥比⑦冠⑧却⑨敵⑩周
初夏の
オカリナコンサート
以前も痔についてお話しましたが、痔の
患者さんは男女を問わずたいへん多く、
成人の3人に1人は痔の症状で悩んでい
るか、もしくは以前悩んでおられたかとい
われています。痔疾患は、その恥ずかしさ
からきちんとした診察を受けずがまんして
いたり、自己流で対処していたりと、治療
せずに放置していることが多いと思われま
す。よって、ますます症状を悪化させてい
たり、痔かとおもっていたら実はがんが進
行していたり・・・ということも
たいへん多いですので、一
度ご相談下さい。内視鏡で
処置できる痔もあります。
今回は痔の予防について
お話します。
看護師 駒場志穂
徒然ななるままに…“ジャガイモ(馬鈴薯)”
原産地はアンデス山脈の高地。インカを征
服したスペイン人によりヨーロッパに普及、当
時は毒があると誤解され、観賞用の花として
栽培。それが17世紀にヨーロッパを襲った飢
餓の救荒作物、寒さに強く収穫量の多いジャ
ガイモが飢えに苦しむ人々の命を救ったの
です。初めはパンの代わりに仕方なく食べて
いましたが、次第に肉や乳製品とよく合うこと
が分かり、なくてはならない食材となりまし
た。ナポレオンは軍の兵糧としてスウェーデ
ンの7年戦争、アメリカの独立戦争でも兵士
の胃袋をジャガイモが満たしたとか。日本へ
は江戸時代にオランダ人によりジャカルタを
経由して渡来しましたが、普及したのは明治
初期。北海道の田川男爵がイギリスから導
入した男爵と大正時代にメイクィーン(Ma
y-Queenから)が導入されてからです。
男爵はホクホクとした食感が特徴でマッシュ
ポテト・コロッケ・粉吹き芋に適し、粘質のメイ
クィーンはカレー・シチュー・肉じゃがなど煮込
み料理に適します。主成分は澱粉を主とした
糖質・他にビタミンB・C群、ミネラルとしてはカ
リウム・リンが豊富。特にビタミンCは熱に強く
煮たり焼いたりしても壊れにくいのが特徴。カ
リウムはナトリウムの排出効果があり、高血
圧・動脈硬化の予防に効果があります。
管理栄養士
小松和子