皮膚の役割 冬の皮膚対策 冬の大敵“あかぎれ”

2月号
発行日平成22年1月20日
〒393-0047
長野県諏訪郡下諏訪町西赤砂4342-6
一月も中旬をすぎ、日も少しずつ長くなってきました。
医院の庭にある梅や山椒の木もわずかに新芽が膨らみ始めて
いるのを見ると、春の訪れが近いことを実感します。
大寒を過ぎ、一年で一番寒い季節になってきました。この
時期は寒さとともに空気も乾燥するため、あかぎれやしもや
けなど何かと皮膚のトラブルの多い季節です。
皮膚の役割
皮膚は体の表面を覆いながら、外部と接している組織で常に
外からの刺激にさらされています。皮膚の表面は外側から順
に表皮・真皮・皮下組織に分けられます(下図参照)。表皮の
一番上にあるのは角質層という部分で、0.02mmという、ラッ
プ1枚程度の薄さながら紫外線や微生物等から体を守る役割
をしています。この角質層には体内の水分を調節する役割も
あり常に15~20%の水分を含んでいるため、ここに含まれて
いる水分量で肌のつややかさや滑らかさが決まります。この角
質層は約28日周期で生まれ変わり(ターンオーバー)、最後に
はふけや垢となって皮膚から剥がれ落ちていくという新陳代謝
を繰り返しています。
また皮脂腺から分泌される汗や皮脂は皮脂膜を形成し、天然
の保湿クリームとなって乾燥などから皮膚を守っています。
【皮膚の断面図】
寒くなって皮膚が乾燥すると、白く粉をふいたような状態にな
りることがあります。これは皮膚の表面にある角質層が乾燥に
よってはがれた状態で「乾皮症」といいます。「冬だから仕方な
い」と特に気にしない方も多いかも知れませんが、角質層がは
がれると、皮膚のバリア機能が低下し、アレルゲンや洗剤など
外部の刺激が直接体の中に入ってしまいます。その結果かゆ
みを引き起こしたり、あかぎれや湿疹など皮膚の病気につなが
ることがあるのでクリームなどで保湿することが重要です。
冬の大敵“あかぎれ”
冬になると皮膚が乾燥し、かさかさしてきます。こうした状態
を改善しない放っておくと、角質層の脂質や水分が奪われ、肌
表面の溝に沿って亀裂が応じることがあります。さらにこの状
態が悪化すると真皮層まで深く亀裂が入り、血がにじんで“あ
かぎれ”の状態になります。冬になるとこういったあかぎれが多
くなるのは、空気の乾燥で皮膚の水分量が減少したり、気温の
低下で血行不良になるなど冬特有の気候の影響です。また冬
は汗をかく期間が減るため汗と皮脂がまざりあってできる天然
の保湿クリームというべき皮脂膜が作られにくくなるということ
も原因の一つです。
TEL.0266(28)0505 FAX.0266(28)0550
E-mail. [email protected]
URL. http://www.azami-clinic.jp/
あかぎれは一度なってしまうとなかなか治りにくいもので
す。空気が乾燥しはじめるする10月くらいから次項にあげ
る対策をしたり、手足をマッサージして血行を良くするなど
早目の対策が肝心です。
冬の皮膚対策
1.暖房を強くしすぎない。加湿をしっかり行う。
1.暖房を強くしすぎない。加湿をしっかり行う。
エアコンやコタツ、電気毛布の使いすぎは皮膚を乾燥させま
す。室内の加湿には、加湿器を用いなくても濡れたタオルを室
内に干す、水をはった洗面器をおくだけでも効果があります。
2.お風呂はぬるめのお湯にゆっくりと・・・
2.お風呂はぬるめのお湯にゆっくりと・・・
あまり熱いお湯は皮膚に刺激が強いので、ぬるめのお湯に
ゆっくり入りましょう。あかぎれなど皮膚のトラブルのある部分
は石鹸でごしごしこすらないよう気をつけます。血行が悪いと
皮膚のトラブルもおきやすいので、入浴中や入浴後に手足の
マッサージをするのもお勧めです。硫黄入り
の入浴剤は皮膚の乾燥を強くすることがあ
るので、皮膚の乾燥が気になる方は避けた
方が良いでしょう。
3.水はすぐによくふき取る。
3.水はすぐによくふき取る。
お風呂の後などさっと拭くだけで後は自然乾燥に任せる…と
いう方もいるかもしれませんが自然乾燥は肌の角質層の水分
も一緒に蒸発してしまい、乾燥肌を助長します。濡れた体はす
ぐによくふき取るようにしましょう。
4.入浴後は保湿クリームで水分を補いましょう。
4.入浴後は保湿クリームで水分を補いましょう。
水分を良く拭き取った後は、保湿クリームを塗ります。保湿ク
リームは角質層のタイルの目地を補強するような役割があり、
皮膚を乾燥から守ってくれます。クリームは刷り込むというより
全体に薄く延ばすように塗りましょう。入浴後以外でクリームを
塗る場合は、汗や汚れを取り除いて皮膚を清潔にした後に塗
るようにした方が効果的です。
5.水仕事に注意!
5.水仕事に注意!
洗剤は皮膚から出ている天然の保湿剤である皮脂も流し
去ってしまいます。手荒れのひどい時は、刺激を避けるため
水仕事の際は手袋をして手を守りましょう。素手で洗い物など
する場合はぬるま湯で洗剤をうめて使い、作業を終えたら洗
剤が手に残らないよう洗い流します。そして保湿クリームで水
分保持します。
5.手袋と靴下は通気性の良いゆったりしたものを…
5.手袋と靴下は通気性の良いゆったりしたものを…
血行を保ち、皮膚を刺激から守るため外出の際は靴下と手
袋をしましょう。ただし締めすぎてしまうと逆効果なのでゆった
りした通気性の良いものにしましょう。汗や雪などで湿った場
合はすぐに取り替えることが大切です。
6.十分な栄養と睡眠
6.十分な栄養と睡眠
どんな病気にも言えることですが、バランスの良い食事と十分
な休養は免疫力を高め、皮膚のトラブルを含む様々な病気に
かかりにくくします。皮膚が乾燥してかゆい時はアルコールや
刺激物(香辛料を使ったものなど)はかえってかゆみを増して
しまうことがあります。とりすぎないよう気をつけましょう。
2月号
胃・腸のお話
新型インフルエンザ
ワクチン予約受付中
新型インフルエンザのワクチンの
予約を受け付けています。
ご希望の方は受付までお申し出
下さい。
接種時間:午前11:00または
午後5:00
費用:3600円
“胸焼け”に生じるがん?
胸焼け(逆流性食道炎)を訴える患者さん
は年々増加傾向にあります。胃潰瘍や胃が
んに関連しているご存知ピロリ菌は、わが国
の60歳以上の約8割の人はこれに感染して
いるといわれますが、若い世代での感染率
は低く20-30歳あたりでは2割ほどの感染と
なっています。胸焼けの患者さんはピロリ菌
の感染していない人に多く、これはピロリ菌
の感染のない胃粘膜、つまり元気な胃粘膜
により大量に作られた胃酸が逆流すること
により生じています。今後感染率の低い若
い世代が今後高齢化すると、ますます逆流
性食道炎が増加していくことが想像されま
す。
年々増加傾向の逆流性食道炎ですが、長
期間胃酸の逆流にさらされている逆流性食
道炎の患者さんには特殊なタイプの食道が
んが発生しやすいといわれています。
胃粘膜は専門的に言いますと“円柱上皮”
道の粘膜は“扁平上皮”とよばれる粘膜に
よって構成されていますが、この扁平上皮
が長時間胃酸により障害されつづけると次
第に胃粘膜(円柱上皮)に置き換わっていき
ます。胃粘膜に置き換わった食道上皮は
“バレット上皮”とよばれ、高頻度に特殊なタ
イプのがん(食道腺がん)が生じるようになり
ます。よって、胸焼けの多い方は要注意とい
うわけです。
なお食道がん自体大変頻度の少ないがん
(胃がんの1/6程度)ですし、その中でも食道
腺がんはごくわずかですので極度に恐れる
必要はありません。しか
し胸焼けで薬を内服して
いる方や逆流性食道炎と
診断されている方は、
時々胃カメラで確認を行
うことが大事だと思いま
簡単!おいしい!もちピザ
【材料】
・もち 5~6枚
・ピザソース又はケチャップ
・玉ねぎ・ピーマン・ツナ・ウイン
ナーなどお好みのピザの具
(炒めておく)
・ピザ用チーズ適量
①フライパンにもちを入れ、蓋をして弱火~中火に
かける。
②もちが柔らかくなってきたら薄く延ばす。
③ピザ用チーズ・具材・チーズをのせふたをする。
④チーズがとけてきたら出来上がり。
*チーズに焦げ目を付けたい場合
は、チーズをのせた後オーブンへ!!
看護師 春日文代
医院の庭にかわいい
モズのヒナが遊びに
来ました。
百舌(もず)は様々な鳥の鳴き
声をまねた複雑なさえずりを
することから“百舌”という和名
がつけられたそうです。
徒然なるままに…“チョコレート”
円錐形のチョコを銀紙で包んだ米国ハー
シー社のキスチョコレートをご存知の方は多
いと思います。製造過程でチョコが機械から
押し出されるときに「チュッ」という音がした事
から名づけられたとか。1900年に創業したミ
ルトン・ハーシー氏は事業で成功した利益を
社会に貢献し、州立大学ハーシー医学校は
会社の寄付で建てられたそうです。チョコ
レートの種類はビターチョコレート(カカオマ
ス40~60%+砂糖+ココアバター)、ミルク
チョコレート(ビターの材料+ミルク)、ホワイ
トチョコレート(ココアバター+砂糖+ミルクの
みでカカオマスは入っていない)があります。
チョコレートは薬として重宝されていた歴史を
持ち、現在では非常食として用いられている
のには理由があります。
まず銅・マグネシウム・鉄・亜鉛等のミネラ
ルが豊富で高カロリー・高脂肪食品。さら
にカカオマスに含まれている苦味成分テオ
ブロミンは神経を鎮静させる効果がありま
す。そしてカカオポリフェノールには動脈硬
化予防や癌の抑制作用があると考えられ
ています。しかしチョコレートは脂質や糖分
の多い高カロリー食品なので、食べすぎに
は要注意です。何事もほどほどを心がけた
いものですよね。
管理栄養士
小松和子