フジコー裁判

フジコー裁判
【1993 年 10 月 28 日
東京高等裁判所】
「建築工事に伴って生じる産業廃棄物の処理における「排出事業者」は、その工事を請
け負った元請業者であり、元請業者が下請け業者に処理を行わせる場合は、その下請け業
者は産業廃棄物処理業の許可を得ることが必要」との厚生省通知に対し、東京高等裁判所
は厚生省の法解釈は違法であり、下請け業者も排出事業者に該当すると判断した。
<事件の概要>
建築物の解体工事を請け負った下請け業者が、産業廃棄物処理業の許可を得た後、上記
厚生省の通知は廃棄物処理法の解釈を誤った違法なものであるとして、本来必要でない業
の許可を取得するために支出した費用の損害賠償を国に対し請求した事件である。
この下請け業者は、自社が請け負った解体工事に伴って生じた廃棄物の場合、自社が「事
業者」として排出するものに該当し、その処理には業の許可は必要としない、として訴訟
を起した。
第一審では、上記厚生省通知は法の解釈を誤ったものではないとして、下請け業者の請
求を棄却した。しかし第二審では、原判決を取り消し、損害賠償を認めた。
<東京高裁が示した判断>
第二審での判決の概要は下記のとおりである。
・ 産業廃棄物を排出する一まとまりの仕事の全部を請け負い、それを自ら施行し、その
仕事から生ずる廃棄物を自ら排出する事業者は、たとえそれが下請けの形態を取って
いたとしても、通常、廃棄物を排出する主体(排出事業者)に当たる。
・ 発注者から建設工事を請け負った事業者(元請業者)から建築物の解体工事を請け負
った者も解体工事を業とする限り廃棄物処理法にいう事業者に当たり、かつ、同人が
その解体工事から排出された産業廃棄物を自分で運搬、処分する場合、法第 14 条 1
項ただし書きにいう「事業者がその産業廃棄物を自ら運搬し、又は処分する場合」に
当たると解釈すべきである。
・ 従って、厚生省が上記通知を出し、対外的に示した解釈は法の正しい解釈とは言えな
かった。また上記通知を受けて知事が法第 14 条の許可を申請するよう即した行政指
導も違法であった。
以上