経済学の基礎 2年次/ 2 単位 必修 前期 松本 礼史【教授】 学科・クラス 指 定 等 学習目標 経済学は、限りある資源をどんな用途に使用するか、また、どのように分配するのが望ましいのかを明らかにする学問体系である。本講義は、経済学の入 門科目として、農業問題、食料問題、環境問題を事例に、市場のメカニズムや国民経済計算の概念等、経済学の基礎理論を講義する。また、貧困、飢餓、 人口爆発、環境破壊といった人類の課題に、私たちの行動がどのように関わっているのかを、経済学の視点から解説する。経済学の基礎理論をもとに、農 業・環境分野を事例として、市場の失敗や政府の役割といった市場経済システムの意義と限界について理解することが本講義の学習目標である。 学 び の 経済社会(市場)の仕組み、需要と供給、農業と経済、資源と経済、環境と経済 キーワード 準備学習及び復習 の内容・履修条件 経済社会への関心を持つこと。高校社会科での科目選択や履修状況は問わない。 履修条件:特になし 身近な経済現象や農業問題、食料問題、環境問題等を例示・解説しながら、経済学の基礎理論を講義する。また模擬オークションなど、実験経済学の手法 を取り入れた講義を行う。 授業方法 宿題と学期末試験による総合評価。2/3以上の出席を前提として、経済学の基礎理論と市場経済システムの意義と限界について理解出来ていれば合格(60 点)。 成績評価 基 準 参考書:伊藤元重『入門|経済学』(日本評論社) オフィスアワー:火曜日(研究室在室中であれば、随時対応する) 備 考 回 数 1 授 業 内 容 講義ガイダンス 講義計画を提示し、ガイダンスを行う。経済学とはどのような学問か、経済社会と農業・食料・環境の関わりなどについて説明する。 2 経済学の前提条件 経済学は、人間の行動原理を理論化する学問である。理論化するためには、一般性と簡明性が必要である。理論化のための仮定・前提を中心に、経済学の 考え方に馴染むことを目標とする。 3 需要と価格弾力性 個人の価値観の多様性と経済行動、需要の価格弾力性について理解する。農産物・食料品を事例に、必需品と贅沢品の需要の価格弾力性の違いについて考 察する。 4 生産費用と供給 生産費用と生産者行動について考える。生産者は利益を最大化するよう行動し、その行動の重ね合わせが供給曲線となることを講義する。また、「収穫逓 減の法則」について理解する。 5 需要と供給、市場の均衡需 要曲線と供給曲線を用い、「市場の見えざる手」や「豊作貧乏」について解説する。消費者余剰、生産者余剰の考え方について説明し、「市場の効率性」 について理解する。 6 7 8 市場均衡と社会、資源、環境 個別の消費者、生産者に関する理論を社会全体へ拡張する。また、価格の付いていない「環境財」を市場でどのように扱えばいいのかについて論じる。 市場の機能と市場の失敗 市場の機能について考える。市場に任せておけば良いという「市場万能論」、「小さな政府」論を紹介する。市場任せでは最適な資源配分が達成出来ない 「市場の失敗」について説明する。 市場の失敗と政府の役割 市場任せでは最適な資源配分が達成出来ない「市場の失敗」について、具体例をあげて説明する。市場の失敗を補うための政府の役割についても考える。 9 経済の波及メカニズム、景気と物価 社会における経済波及メカニズムについて説明する。「景気」とは何か、インフレ・デフレ現象等、経済社会を理解するための重要事項について解説する 。 10 国民経済計算の仕組みと豊かさ 「GDP」、「GNP」指標の算出方法について解説し、社会の豊かさを表す指標について理解する。「豊かさ」の総和(平均)と個人の豊かさの関係について 考察する。 11 豊かさと経済発展 経済発展のメカニズムについて解説する。農業部門の生産性向上と工業化、サービス経済化の関係について説明し、貧困や飢餓といった途上国の経済社会 問題について考察する。 12 経済政策と発展戦略 政府の行う経済政策について、特に財政政策と金融政策について解説する。また、発展戦略としての産業政策や社会基盤整備等にも触れ、経済発展におけ る政府の役割について理解する。 13 14 国際経済と食料貿易 これまでの経済理論を国外とのやりとりにまで拡張する。国際貿易の基礎理論について解説し、世界の食料問題と食料自給について考察する。 講義のまとめ これまでの講義内容をふりかえり、経済社会のあり方と持続可能な開発について考える。 学期末試験 15
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