2013 年度 早稲田大学 教育学部 (地理) 解答解説 Ⅰ 解答 問1 A=サンサルヴァドル E=ボーキサイト B=アメリカ合衆国 C=ハバナ D=グアテマラ F=マラカイボ G=ケイマン(ケーマン) H=コスタリカ 問2 ニ 問3 ハイチ 問4 イ 問5 タックスヘイブン 解説 学習の盲点となりがちな、カリブ海周辺国の地誌問題である。大航海時代以後の歴史が地域の言語や人種構成 などの文化に反映されるため、世界史の基本的な知識を踏まえた学習が大切となる。細かなデータの知識を要す る問2以外はさほど難しくはなく、着実に得点したい。 問1 キューバをはじめとした西インド諸島の大きな島の位置と名称は基本として、経済のグローバル化によっ て最近知られるようになったケイマン諸島やヴァージン諸島の位置も把握しておきたい。また、サンサルヴ ァドル島は北回帰線付近に位置する大西洋に面する島である。コロンブスは北緯 23 度を維持したまま、西 進したためこの島に到着したといわれている。カリブ海地域の国々は産業面ではモノカルチャー経済のまま の国が多いので、ジャマイカのボーキサイト、グアテマラのコーヒー、コスタリカやホンジュラスのバナナ など、国名と産業分野を関連させて学習をしておきたい。 問2 キューバの面積そのものを暗記するのは無意味であるので、日本のおもな島の面積、本州約 23 万、北海道 7.8 万、九州 3.7 万、四国 1.8 万 km2 であることを知っておきたい。つまり、キューバは本州の半分ほどの 面積となる。 問3 ハイチは 2010 年の大地震で約 20 万人の犠牲者を出した国である。 問4 フロリダ半島とキューバの位置・緯度をきちんと把握したい。 問5 社会主義の崩壊とインターネット通信の発達は、法人税・所得税を納めないですむこれらタックスヘイブ ン地域の存在を無視できなくさせた。先進国において拡大する貧富差の問題や、テロ組織の資金洗浄地とな ることもあり、これら地域に対する取り締まりが注目を集めている。 Ⅱ 解答 問1 A=羊 B=マンチェスター(リヴァプール) C=放牧 D=パダノ=ヴェネタ E=サンマリノ F=ドイツ G=マルヌ・ライン H=グルジア I=アルメニア 問2 a=ニ b=ロ c=ロ 解説 ヨーロッパ周辺の山脈に関する問題である。3のヴォージュ山脈はやや難しいが、山脈の名称をたずねてはい ないので、全体的には取り組みやすい問題となっている。本問と同様にして、河川、湖、砂漠、海峡などのテー マを想定して学習するとよいであろう。 問1 1.イギリス中央部に位置するペニン山脈に関する問題。B.マンチェスターは産業革命の初期に港湾都 Copyright (C) 2013 Johnan Prep School 市であるリヴァプールと鉄道や運河で結ばれていたため、ペニン山脈東麓の代表都市であるリーズでも羊毛 工業が栄えた。 2. 「大きな半島」 「夏の高温乾燥」などからイタリア中央部を縦断するアペニン山脈と判 断できる。 3.ヴォージュ山脈とライン川に挟まれたアルザス地方は、現在はフランス領であるが、戦争 のたびにその帰属国を変えてきた。中心都市であるストラスブールにはEU議会がおかれ、ヨーロッパの統 合を象徴する都市となっている。 4.カフカス山脈の北側にはロシア、南側にはグルジアとアゼルバイジ ャンが位置する。グルジアは自国内の南オセチア自治州の領有をめぐりロシアと対立し、事実上、南オセチ アにはロシアの傀儡政権が樹立されたため、ロシア主導のCISから脱退した。アルメニアはグルジアの南 に位置する内陸国であり、アゼルバイジャンやトルコと民族問題を抱えている。 問2 a.産業革命期にペニン山脈の西側のランカシャー地方では綿工業、東側のヨークシャー地方では羊毛工 業が発展した。 b.ヴォージュ山脈西側のロレーヌ地方は鉄鉱石の産出地であり、ナンシーやメスに鉄鋼 業が栄えた。 c.カフカス山脈にはヨーロッパの最高峰であるエルブールズ山(標高 5642 m )がある。 Ⅲ 解答 問1 ①=天然ゴム ⑤=アユタヤ ②=フーチエン(福建) ③=フランス ⑥=マラッカ ⑦=マレー 問2 A=ロ B=ホ D=ニ 問3 C=ハ E=ロ F=イ ④=ポルトガル 解説 中国系住民の居住者の多い都市(すべてアジア)に関する問題である。中国人はその人脈を活かした商売を得 意として世界に拡散していったため、交通の要衝に位置する交易都市に中華街を構成している。A=クアラルン プール、B=台北、C=シャンハイ、D=マカオ、E=バンコク、F=シンガポールである。中国や台湾など中 華文化圏内の都市も含まれているので注意すること。 問1 D.マカオは、ポルトガルから 1999 年に中国に返還された。 E.バンコクの北部に位置するアユタヤは、 世界遺産として知られる古都である。文中にもあるように、現在は、日本企業の合弁・系列企業の進出先と して注目を集めている。2011 年の大洪水の際には、多くの工場が操業停止を余儀なくされ、部品供給網(サ プライチェーン)の断絶によって、日本国内の電気機械、自動車メーカーの工場まで生産の縮小、稼働停止 に追い込まれた。早稲田大の問題では、毎年世界遺産に関した出題がみられるので、日本人観光客の多い著 名な地域をチェックしておこう。 問2 Bの説明文中にあるように、台湾の中央部を北回帰線(北緯 23 度 27 分)が通過する。したがって、北回 帰線の緯度が何度であるかかが、この問題を解くカギとなる。さらに、香港・マカオも北回帰線付近に位置 している。このような問題に対する対策として、赤道、南北回帰線の他に、北緯 40 度線、北緯 60 度線の通 過位置をおさえておきたい。 問3 気候区を理解するうえで、前問で問われた緯度に対する理解が重要となる。 C.シャンハイは鹿児島と ほぼ同緯度なのでCfa気候。 F.北緯 10 度より低緯度のシンガポールはAf気候。 E.北緯 10 度か ら回帰線の間に位置するバンコクはAw気候となる。 Ⅳ 解答 問1 A=ドラケンスバーグ E=レアメタル 問2 a=イ b=ニ B=ベンゲラ C=ナミブ D=ワジ(涸れ川) F=アパルトヘイト G=BEE H=地中海性 c=ロ d=ハ e=ニ Copyright (C) 2013 Johnan Prep School 解説 出題頻度の高いとは言えないアフリカ南部地域の地誌問題である。しかし、第Ⅰ問と同様に出題内容は平易で あるので、日頃の基礎学習の成果が問われる。頻繁に出題されるアメリカ合衆国の州名・都市名のように、詳細 な知識を必要としないので、受験生にとってはむしろ歓迎すべき内容となっている。 問1 Gの「BEE(黒人権利拡大) 」政策以外はいずれも基本的な教科書レベルの知識問題である。アパルト政 策の撤廃によって、国際社会に復帰した南アフリカ共和国は、人種間の経済格差の縮小に努めている。また、 2010 年のサッカーワールドカップ開催後、先進国にとって、アフリカにおける企業進出の要地として注目さ れており、その経済発展が、周辺国に拡大していくことが予想される。そこで、南アフリカ共和国と周辺国 における資源の産地や政治経済の要となる都市名をおさえておくことが大切となる。 問2 a.オカヴァンゴ湿地はやや難問。エジプトのカッタラ低地、南スーダンのスッド、ブラジルのパンタナ ールもついでにおさえておきたい。 d.東アフリカから南部アフリカ地域ではトウモロコシを栽培し、そ の粉を水で溶いてモチ状にしたものを主食としている。 e.アンゴラとモザンビークはポルトガル統治下 にあったため、独立が 1975 年となり、他のアフリカ諸国よりも遅かった。この理由として、ポルトガルは、 第二次大戦後も軍事政権が継続し、西欧諸国のような民主化が遅れたためである。東南アジアの東ティモー ル、インド南西部のゴア、東アジアのマカオなども同様な理由から、それぞれが隣国に翻弄される歴史をた どった。 Copyright (C) 2013 Johnan Prep School
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