レンタル市場 4 月度レポート

K INEMA JUNPO R ESEARCH
【
パ
ッ
ケ
ー
ジ
ソ
フ
ト
】
レンタル市場
4 月度レポート
< 2 0 1 2 年 5 月 1 7 日>
ゲオのレンタルが好調。
TSUTAYA も旧作 100 円を決断
I NSTITUTE
K INEMA JUNPO R ESEARCH
【 パ ッ ケ ー ジ ソ フ ト 】
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レンタル市場
4 月度レポート
【ランキング】
4 月度のレンタルランキング 1 位は『ザ・セル』のターセム・シン・ダンドワール監督と『300 <
スリーハンドレッド>』の製作陣がタッグを組んだスペクタクルアクション、「インモータルズ−
神々の戦い−」が獲得。4 月 13 日のリリースで月内に 102.4 回の貸出(1 店あたり)の成績。2 位
には「ミッション:インポッシブル/ゴースト ・ プロトコル」。4 月 27 日リリースのため、集計期
間はわずか 4 日間。その間の貸出数は 78.4 回。1 日あたりでは 19.6 回。店頭からは「久しぶりに
ユーザーを呼び込む、本当の意味でのリードタイトルが現れた」という声が聞かれた。実際、4 月
は初旬から低調で客数・売上ともに伸びていなかったが、同作のリリースからは来店客数が顕著な
増加を見せ、良い流れで GW に突入することができた。ちなみに、「ミッション〜」のすべての商
品が 1 泊 2 日で貸し出されたとすると、適正枚数は 2 日分の貸し出し数である約 40 枚。ウィーク
レンタル解禁後には 8 日分の在庫が必要になるので、同じペースであれば約 160 枚が適正枚数と
なる。リリースから時間が経過してニーズが初動の半分になったとしても、適正枚数は 80 枚。こ
れだけの数量は、粗利率を犠牲にして初期導入コストを下げる、レベニューシェアリング方式で
ないと揃えにくい。かつて、レベニュー方式が一般化していなかった頃には、どのレンタル店も
1タイトルあたりの在庫量は多くなかった。そのため、少ない在庫数ゆえに貸出中が続いていて
もユーザーのニーズは継続し、粗利率の下がる仕入方式を敢えて選択する必要はなかった。しかし、
大量導入が当たり前になった現在は、在庫が少なく貸出中が続くレンタル店の競争力は低い。結
局、粗利率を犠牲にしてもレベニュー方式による仕入を選択せざるを得ず、折角の大作もかつて
のような利益を生まなくなっている。ユーザーにとっては利便性が高まったが、レンタル店にとっ
ては厳しい変化といえるだろう。
ランキングに戻ると、3 位は前月から 1 ランクダウンとなった「モテキ」、4 位には、3 月 23 日
リリースで集計期間が短かった「カウボーイ&エイリアン」が前月より 3 ランクアップ。5 位には
初登場の「三銃士/王妃の首飾りとダ ・ ヴィンチの飛行船」。4 月 20 日リリースと、集計期間がや
や短いため、次月のランクアップが見込まれる。続く 6 位は 3 ランクアップの「アンフェア THE
ANSWER」
。7 位には前月の首位から大きく順位を落とした「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」。
「洋画の寿命が短い」という声はレンタル店から常に聞こえてくるが、前述の大量導入によって短
期間にニーズが消費されてしまうことのほか、「大量導入によって店頭在庫が余り、視聴意欲を
損なっている」という見方もある。また、本作の場合は 2 月 22 日のリリース日から 2 ヶ月以上経
過していることで、一部のレンタル店で新作期間を外れ、レンタル泊数が伸びていることも一因
だろう。7 泊 8 日でレンタルするようになれば、1ヵ月の貸出数は1枚あたり 4 〜 5 回が限界。1
泊 2 日や 2 泊 3 日が主流の新作とは比べられない。続いて 8 位は前月 2 位の「ワイルド ・ スピード
MEGA MAX」
。2 月 3 日リリースのため、状況的には「猿の惑星〜」と似ている。9 位は前月から
ワンランクアップの「マネーボール」、10 位には「ミッション:8 ミニッツ」が食い込んだ。
その他、ベスト 20 に入った初登場作品は、11 位「DOG × POLICE 純白の絆」、13 位「スマグ
ラー おまえの未来を運べ」、17 位「カイジ 2 人生奪回ゲーム」、18 位「タンタンの冒険 ユニコー
ン号の秘密」がある。
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【4 月度市況】
初旬から中旬にかけてはおしなべて低調。これといった強力作品がリリースされなかったこと
と並んで、その要因として “ レジャーマインドの復活 ” を挙げるレンタル店が多かった。好天の週
末に客数が伸び悩む状況に対して、昨年はレジャーを自粛していた反動で、今年はマインドが高
かったのだろうという推測をしている。
4 月の上場各社のレンタル実績は次の通り。ウェアハウス 93.2%、三洋堂 90%、トップカル
チャー 85.9%、ゲオ 95.7%(ゲオは他部門含む)。この中で、ゲオは平成 24 年 3 月度の決算説
明会資料を公開している。そこには「2009 年に開始した、低価格レンタルにより以降のレンタル
収益の改善につながった(中略)粗利率の高いレンタル部門の売上構成の上昇が主要因となり売上
高総利益率が向上している(後略)」とあり、年間の “ 振り返り ” においても「レンタル部門の好調、
当期利益を大きく牽引」とある。また、四半期ごとにレンタルの前年比推移をみると、第 1 四半期
から順に 108.4%、104.8%、95.8%、96.5%となっている。「過去最低の水準」と言われた昨
年の秋冬こそ前年を割っているが、落ち幅は 3 〜 4%にとどまっている。総じて低調なレンタル市
場において、ゲオは売上、利益ともに大きな伸長を見せたようだ。
また、4 月のトピックには一部を除いた TSUTAYA が全国規模で旧作 100 円レンタルに踏み切っ
たことがある。これにより、TSUTAYA と競合している店舗では、各店ごとに大きなばらつきが
あるものの、およそ 7 〜 10%程度の影響がでている。特に大きな影響が出たのは、200 〜 300
円の設定料金を TSUTAYA に合わせて 100 円にしたショップ。「思ったよりも貸出数は伸びてい
ない」と語ったショップは 30%近い売上マイナスが発生している。逆に、元々の料金が 100 円に
近いショップは大きな変化はない。
また、TSUTAYA の各店は「忙しさの割に売上はあがっていない」と語るショップが多い。値
下げによって売上が大きく下がったという声は聞かないが、逆に大きく上がったということもな
さそうだ。大方の店頭の印象は「著しく売上が伸びたとは言えないが、貸出数の増加に伴い作業
量は確実に増えた」というもの。現在までの状況では、値下げの効果は限定的と見られる。
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